昨日は酷い目にあった。
普通に洗濯していたのに大淀から下着泥棒と言われるわ、明石と夕張が風呂上がりの格好で身体を密着させてきたところを電と叢雲に見られてキレられるわで大変だった。
明石と夕張の説明で誤解は解け、3人に謝られたが俺の両頬は許しはしないだろう。手形ってこんなにくっきり残るのか⁉︎と言いたくなるほど跡が残ってる。痛みもまだ残っててジンジンするし、ほかのやつらがこれを見ては大爆笑してくるしで俺としては大変不愉快極まりない。誠に遺憾である。
だがそんなことはどうでもいい。今日もみんなのお手伝いをしようではないか。
早速声がかかった。金剛お姉様からどうしてもお願いしたいことがあると言われたので部屋へと向かう。何故か表情が引き攣り目も泳いでいたのが気になるが…あんな金剛お姉様を見たのは初めてだ。
〜金剛姉妹の部屋〜
コンコン 隼斗だよ〜 蹴破っていい?
ガチャ
霧島「普通に入りなさいよ。」
隼斗「うっそ〜ん。あれ?霧島お姉様…顔色悪いけど大丈夫?」
霧島「ま、まあ…それより、早く入りなさい。金剛お姉様がお待ちよ。」
隼斗「う〜い。(なにがあったんだ?ここまで暗いなんて…)」
靴を脱いで中へ入ると丸いちゃぶ台の上に土鍋が1つ、それを虚ろな目で見つめる金剛と榛名。隼斗に気づいた金剛が笑顔で手招き、榛名も同様に笑顔で手を振ってくる。目は完全に虚ろで光がなく絶望してる…一体何があったのか……とりあえず、事情を聞くために金剛と榛名の間に座る。うん、相変わらずいい匂いがして落ち着く。
隼斗「……どしたの?なんでそんな絶望した顔になってんの?」
金剛「これデース…これが原因デスヨ。隼斗、あなたのミッションはこれを食べることデス。」
隼斗「は?いや、俺人間の食い物食べれないって知ってるだろ?」
榛名「榛名も知ってますよ。でも、“人間の食べ物”でしょ?見たら分かります。きっと…うふふ…食べれると思います。」
隼斗「は?え、いや…言ってる意味が…(榛名お姉様の目が怖い…)」
霧島は榛名の隣に座ってからどこか遠くを見てる。ずっと見てる。ここではないどこか…視線の先を見ても天井の隅しかないが霧島には違う何かが見えているのだろう。時折微笑んだり、ブツブツ呟いたり、あれ完全にイっちゃってるね。
比叡「はーーい!みんなお待たせー!あ、隼斗来てたんだ!」
隼斗「やっほ〜、比叡お姉様。今日も元気だねえ、そして比叡お姉様もいい匂いする。みんないい匂いする。」
比叡「あはは!相変わらず変態だね隼斗わ。だから下着泥棒と間違われるんだよ?」
隼斗「あれは大淀姉さんの早とちりじゃねえか。俺は被害者だよ、被害者。」
比叡と会話中、他の3人は一言も喋らなかった。というか、震えてるように見えたが…一体どうしたんだよ。全然意味が分からん。比叡は取り皿と箸をみんなに配り終えると自分も座りようやく土鍋の蓋を開ける。
生まれて初めて見た。これが、宇宙の大部分を占める暗黒物質“ダークマター”か…ダークと言う割にはパープル一色だと思うんだが、いやこれも暗黒物質の1つなのかもしれない。しかも具材?いやこれ、そもそも具材と呼んでいいのか?なんか得体の知れないものまであるし、色はさっきも言ったがパープル一色で、時折ゴポッて音が聞こえる。なにこれ?艦娘ってこんなものまで食べるのか?喰種の俺が言えることではないが、あまり食が進みそうとは思えないね。
金剛「oh …こ、今回もすすす素晴らしい出来ですね比叡。あは、あはは…」
比叡「はい、お姉様!隼斗の“食糧事情改善計画”を成功させる為に、気合い!入れて!作りました!」ドヤァ
榛名「流石です、比叡お姉様!早速隼斗に食べてもらいましょう!」
霧島「そうですね!そうしましょう!隼斗、取ってあげるからお皿貸しなさい!」
隼斗「え、ちょ…あ、金剛お姉様⁉︎何勝手に入れてんの⁉︎」
金剛「比叡の料理が待ちきれないと思って私自らお皿に取ってあげてるんですヨ。(いいから黙って食べなサイ!)」
隼斗「……⁉︎(な、なに⁉︎直接脳内に声が⁉︎)」
金剛にたっぷりと盛られた取り皿を目の前に置かれる。変わらずゴポッと音もするし色も変だし…だが、比叡お姉様の表情はとてもにこやかで「隼斗のことを考えて頑張って作ったの♪」なんて言われたら断れる訳がない。ここで断れば比叡お姉様の気持ちを踏み躙り傷つけてしまうことになる。比叡お姉様を悲しませるわけにはいかない、あんな素敵な笑顔を悲しみで染めたくはない。意を決してスプーンで一口分掬うと口の前まで持ってくる。間近で見ると余計に怖いな。いや、食べるんだ。そう…食べるんだよ!俺は喰種。怖いもの知らずなんだよ!
隼斗「………(あいやでもこれ怖いな…食べ、る?食べない?食べる食べない食べる食べない食べる食べない…)」プルプル
金剛「………(す、凄い震えてるネ。いくら喰種といえど、比叡の気合い入れ過ぎた料理は怖いみたいネ…)」
榛名「………(さあ、食べなさい。榛名がバケツ持って隣で見守ってますよ。)」
霧島「………(隼斗、私達の思いを背負い食べなさい。全てはあなたにかかっているわ。)」
比叡「………(どうだろう…隼斗の口に合えばいいんだけど。これがダメなら他の料理を持って来なきゃ。)」
それぞれの思いが渦巻く中、ついに隼斗は比叡の料理を口に入れる。よく噛んで、ピタリと止まり、吐く…かと思いきやまた噛み始めてついには飲み込んでしまった。
隼斗「……ん?」
金剛姉妹「……ん?」
あれ?思ってた反応と違う。金剛は目をパチクリさせ何度も目を擦り、榛名は隼斗の顔とバケツを交互に見て、霧島は目を見開き身体を乗り出していた。比叡はというと、3人に比べたらまだ冷静に眺めていた。まだ一口だけ、だから喜べないと。だが、次の瞬間驚くべき光景を見ることになる。なんともう一度掬い二口目に進んだのだ。これは前代未聞である。
隼斗「…んんん?」
金剛姉妹「…んんん?」
またもや首を傾げて料理を見つめる隼斗。これは間違いない…隼斗は、比叡の気合い入れ過ぎた料理を食べることが出来る!
比叡「ど、どうかな?」
隼斗「……食べれる。え、なんで…まさか材料に人間使った?」
比叡「ヒエーーー!そんな物騒な料理作る訳ないでしょ!」
金剛榛名霧島「……(いやこれも相当物騒な料理じゃ…)」
そう思う金剛・榛名・霧島だが表情は眩しいぐらいの笑顔であった。もし、隼斗が食べれないとなったら自分達が食べることになっていたからだ。比叡には悪いがあの料理だけは食べたくないと3人は思っていた。ここの比叡は料理上手ではあるが、今回みたいに気合いを入れ過ぎて最早料理とはかけ離れたものを作り出してしまうところがあり、その対処に金剛達は困っていた。
だが、それも解決した。隼斗が食べれることが判明したのだ。これは食糧事情改善と暗黒物質処理の成功を意味する、正に一石二鳥。金剛達の喜びは最高潮であった。
隼斗「人間使ってないのに喰えるなんて…比叡お姉様、一体何を……まあいいや。まだあんの?」
比叡「うん!残り全て持ってくるからね!」
比叡は笑顔で答えると立ち上がり台所へ向かう。そして間髪入れずに詰め寄る3人達。
金剛「隼斗!食べれて良かったネ!私はとっても嬉しいネー!」ダキッ
榛名「榛名も嬉しいです!良かった、良かった!これで大丈夫ですね!」バケツ ポーイ
霧島「隼斗…グスッ……うぅ、良かった。本当に良かったわ!良かったー!」
隼斗「あ、うん…(絶対違う意味で喜んでんな…まあ、分からんでもないが……でもなんで食べれたんだ?人間使ってないなら一体何を…)」
再び首を傾げて考えるが全く見当がつかないのですぐに諦めてしまう。そうこうするうちにあのダークマターが再び用意される。ちゃぶ台から宇宙でも誕生するんじゃないかと思うぐらいのダークマターに隼斗は一瞬ビビってしまうもすぐに食べ始める。理由は分からないが食べれるし、少しだけ腹が膨れる感じするので次に人間を食べるまでの繋ぎには十分だろう。
そうして全て平らげた隼斗は榛名に膝枕されていた。食べてすぐ寝たら豚になって喰い殺されると教えられ育ってきたがこの世界ではそんなことは起きないだろう。というか、そんなことはどうでもよくて何故こうも艦娘は良い匂いがするのか。榛名の身体に顔を押し付けてるわけじゃないのに、側にいるだけでこうも香るのか。金剛も比叡も霧島も、当然電達もだがもう良い匂い過ぎてずっと嗅げるよ。
シャンプー?ボディシャンプー?香水?それとも、体臭?……体臭って言い方はなんか嫌だな。フェロモン、か。まあ、よく分からんが艦娘は良い匂いということだ。昨日の明石と夕張は…ちょっと……女の子でもちゃんと入らないと臭うのね。
でもまあ、本当に良い匂いだ。なんだか…落ち着く。
榛名「〜〜〜♪……あら?寝ちゃいましたね。」クスクス
金剛「ん?あ、ホントネ。」ツンツン
霧島「気持ちよく寝てますね。見てくださいよ、この寝顔。子供みたい。」
比叡「榛名の膝枕が気持ちいいんだろうね。へえ、隼斗ってこんな寝顔なんだあ。」
4人とも隼斗の寝顔を見て微笑む中、隼斗は完全に爆睡し夢の中。比叡と霧島は食器を洗い、金剛は紅茶の用意を始める。榛名はずっと隼斗の頭を優しく撫でては時折寝返りをうつ隼斗が膝から落ちないように手で支え自分の方へと引き寄せていた。
〜1時間後〜
金剛「むむむ…」
霧島「…………。」
比叡「金剛お姉様、そんなに悩みます?」
榛名「あまり悩まず思い切った方がいいと思いますけど…」
あれから紅茶を飲みながら談笑したり、テレビを見たりしていたが金剛が突然トランプをやりたいと言い出したのでババ抜きをすることになった。現在六回戦目、金剛五連敗中という状況でありここで負ければ連敗記録更新である。
金剛「ぐぬぬぬ…どっちがジョーカーなのか分からないネ…霧島!どっちか教えなサイ!」
霧島「……やはり金剛お姉様には逆らえません。右です。」スッ
金剛「これでアガリデーース!」バッ
ジョーカー「馬鹿じゃねえの?」
金剛「fucccccccccck‼︎‼︎‼︎」うがーーー!
比叡「いやどう考えても罠だって分かりますよね?」
榛名「榛名でもあれは引っかかりません。というか、霧島にどちらか教えろだなんてルール違反ですよ?」
金剛「そんなこと…だって、このままじゃ連戦連敗になってしまいマス!そんなの嫌ネー!」
霧島「金剛お姉様は顔に出やすいので分かるんですよ。本当、トランプになると物凄く弱いんですから…」
比叡「戦闘時だと真逆なんだけどなぁ。ま、これで連敗記録更新ですね。」カキカキ
金剛「oh…ついに更新してしまったネ……」
比叡「では、今日の洗濯担当はお姉様に決定です。拍手〜!」
榛名・霧島「おめでとうございます!」パチパチ
金剛「うう…全然嬉しくないネー。トホホ…」
肩を落とし溜息をつく金剛に比叡は笑顔で紅茶を入れたカップを渡す。金剛は一口飲むと再戦要求するが即答で断られてしまった。
榛名「金剛お姉様、ちょっとお手洗いに行きたいので膝枕を交代してもらってもいいですか?」
金剛「交代デスカ?その辺に頭置いてて大丈夫ヨ。」
榛名「もう、そんな意地悪なこと言っちゃだめですよ。はい、榛名の隣に来てください。」
比叡「洗濯担当に加えて膝枕担当も兼任ってことで。おめでとうございます♪」
金剛「エー!むう…仕方ナイネ。変わるから榛名は早くお手洗いに行ってきなサイ。」
榛名「ありがとうございます。では…「ガシッ!」…きゃっ!は、隼斗?」
隣に来た金剛と入れ替わろうとした瞬間、左腕をガッチリと掴まれる。力強く掴まれてはいるが痛みはほとんどない、だがしっかりと掴んでいて金剛が離そうとしてもビクともしなかった。それどころかさっきまで気持ち良さそうな寝顔をしていたのに対し、酷くうなされてどこか怯えているようにも見えた。
隼斗「……リサ姉…いかないで……死んじゃう…嫌だよ…」
榛名「隼斗…」
あの隼斗が…泣いてる。子供のように怯え、しがみつき、泣いている。何度も「いかないで」「死んじゃやだ」と呟きながら泣き続ける。すぐに良い夢ではないことは分かる。だが突然のことでどうすればいいか戸惑っていた榛名の横から金剛が手を伸ばし頭を優しく撫でる。母親が子供を寝かすように、優しく。すると落ち着いてきたのか表情から少しずつ怯えが消えていく。
金剛「…大丈夫デスヨ。何処にも行かない、誰も死なない…私達は隼斗の側にずっと居るネ…」
隼斗「うぅ…」
金剛「さあ、安心して寝なサイ。ずっと一緒デスヨ、隼斗。」
隼斗「……うん…一緒………」
完全に怯えが消えて再び規則正しい寝息を立てて眠りにつく。その頃には榛名の左腕を掴んでいた手も離れていた。それを確認した後、金剛と榛名は入れ替わり今度は金剛が膝枕をする。ずっと頭を撫でながら隼斗の寝顔を見つめる金剛だが、表情は暗かった。
霧島「さっきの“リサ姉”って、隼斗のお姉さんのことですよね?」
比叡「だろうね。家族と暮らしてたって言ってたから姉がいてもおかしくないよ。実際、妹がいるんだし。でも…あの様子じゃ…」
金剛「…きっと、亡くなったんでしょうネ。」
その言葉に「やっぱり…」と呟く2人。そこへトイレから戻ってきた榛名が金剛の隣へ座り再び交代を申し出るが金剛は首を横に振りこのままでいいと答える。榛名は黙って頷くと反対側へ移動して先程自分の腕を掴んでいた隼斗の右手を握りずっと見つめていた。
隼斗「……んぅ…リサ姉…?」
榛名「ごめんね、起こしちゃったね。」
金剛「まだ寝てて大丈夫デスヨ。」
隼斗「……どこにもいかないで…もう、みんな…死なないで…」
そういうと再び目を閉じて眠りについたと思ったが、すぐに目を開けてゆっくりと顔を動かして金剛と榛名、そして心配して覗き込んでいた比叡と霧島の顔を順番に見ていく。順番に見た後、ジッと金剛を見つめそれに対して金剛が優しく微笑み返すと徐々に隼斗の目がしっかりとしてくる。そしてハッとして体を起こし誰かを探すように部屋の中をキョロキョロと見渡し再び金剛達の顔を見てようやく夢だということに気づく。どれだけ時が経とうと、どれだけ強くなろうと、どれだけ歪んで、壊れて、狂っても、決して消えることのない記憶の1つ。
隼斗「……夢、か…だよな。そうだよな…みんな死んだんだ。もう、いないんだよな…あはは…」
榛名「でも、榛名達がいます。だから…泣かないで隼斗。ずっと、榛名達が側にいますからね。」
榛名は握っていた手を引っ張り自分の胸に抱き寄せると優しく語りかける。まさか引っ張られるとは思っておらず完全に不意を突かれそのまま正面から榛名の胸に顔を埋める形になってしまう。流石に恥ずかしいのか顔を少し離すもすぐにグイッと引き戻されてしまうが咄嗟に顔を横に向けるも、それでも胸に接してるので恥ずかしいのは変わらずどうしたらいいか戸惑っていたが今この状態が懐かしくもありとても落ち着くと思っていた。
金剛「榛名の言う通り、私達が側にいるネ。以前の家族とは全く違うかもしれないけど、でも…家族は家族ネ。」
比叡「そうだよ隼斗。私達がちゃーんとついてるから!寂しくないでしょ?」
霧島「それに駆逐艦の子達もね。あなたはあの子達のお兄ちゃんなんだから、泣いてる暇なんてないわよ?」
榛名「それに加えて私達お姉さんもいるんだから余計にね。」
隼斗「確かに…こりゃ……泣いてる場合じゃねえわな。」
「もう大丈夫」と榛名に伝え腕を離してもらい目元を擦る。そうだ。一度全てを失いはしたが、今こうして新たな家族と出会い、共に暮らしている。家族と言い出したのは他でもない自分。艦娘はそれを断ることもできた、拒絶することもだ。だが、受け入れてくれた。一緒に歩んでいこうとも言ってくれる、ずっと側に居てくれるとも。
だったら、やるべき事は決まっている。泣いてる場合ではない。再び得た家族を誰にも渡さない、もう2度と奪わせない、もう2度と失うわけにはいかない。どんな手を使っても必ず守り抜き、目的を果たす。それが俺に与えられた責任であり死なせてしまった者達への償い。
金剛「ほら、元気出しなサイ!今から食堂でランチタイムネ!隼斗、私についてきなサイ!」
隼斗「おわっ、ちょ、いきなり引っ張るなって!」ポフッ
金剛「wow!今度は私の胸に飛び込んで来るなんて、余程好きなんデスネ〜。」
元気良く立ち上がった金剛に手を引っ張られ再び勢い良く、今度は金剛の胸に顔を埋めてしまう。すぐに顔を離すが横から比叡に「そこは私の特等席だから離れろ!」と言われながら叩かれる。完全に不可抗力だし、何も悪くないはずだが…
隼斗「痛い!痛いから殴るな!」
比叡「ほんと、すぐそうやってどさくさに紛れてそういうことするんだから。」
隼斗「……いや、俺そんなことしてないんだけど…」
霧島「みんなの下着漁ってたくせに?」
隼斗「漁ってないしあれは大淀姉さんの勘違いだって。俺は明石姉と夕張ちゃんの洗濯を出しに行ってただけなのに…」
そのままあーだこーだ言いながら5人は部屋を出て食堂へ向かう。先頭は金剛、その後ろは手を引っ張られながらブツブツ文句言ってる隼斗。まるで、いじけた弟をそんなの御構い無しに手を引く元気で陽気な姉に見える光景を比叡、榛名、霧島は微笑みながら眺めていた。そして、ブツブツ文句垂れていた隼斗も徐々にどこか嬉しそうな懐かしそうな表情に変わっていく。チラッと振り返った金剛だけがそれに気づき、金剛もまた微笑みグイグイ手を引っ張っていく。
自分達を守ると誓った隼斗に対して、自分もまた同じように隼斗を守り、隼斗が前に進めなくなった時は今みたいに手を引いて導いていこうと誓う金剛であった。