「急に呼び出して申し訳ない。今から皆に伝えることがあって急遽集まってもらったんだ。」
そう話す長門の前には先日保護した江ノ島鎮守府所属の艦娘達が整列していた。
保護した、と言ったが正確には無断で隼斗が連れ帰って来たが正しい。
長門「現在、ここ横須賀第3鎮守府で皆を保護している。期間は2週間とされており、以降は江ノ島鎮守府に戻るか、又は他の鎮守府に異動することができる。異動先の鎮守府に関しては全て艦娘人間派の提督ばかりだから安心して欲しい。そして江ノ島鎮守府にも人間派の提督が着任することになっている。戻るも異動するも、どちらも安全だ。以前のような日々を過ごすことはない。それからもう1つ、選択肢があることも伝えておこう。それはここに、そのまま残ることだ。」
艦娘「……!」
大淀「つまり、異動先の1つに横須賀第3鎮守府も含まれているということです。ただし、皆さんも既にご存知のようにここには私達艦娘と妖精さん以外にも暮らしている者がいます。そう、喰種です。そしてここは常に軍の監視・包囲下にあります。包囲は地上部分だけですので大した抑止力ではありませんが、他の鎮守府と違い“異質な”場所であることには変わりません。喰種の庇護がある限り、私達へ手出しする人間はいない、と同時に喰種が存在する限りは深海棲艦とは違う脅威や被害を被る可能性も大いにあります。そこも含めて、残り1週間で答えを決めてください。」
ザワザワ どうする? 違う脅威って、軍のことなの?
「あの、今ここで答えを言ってもいいですか?」
艦娘「……!」
長門「ああ、構わない。満潮の答えを聞かせてくれ。」
騒ついている中、満潮は1人手を上げて真っ直ぐ長門を見つめる。人間派の提督や鎮守府の下に行けば、普通に考えて幸せだろうし普通の生活を送ることができるだろう。誰もがそう思うし、そうすべきだろう。
だがそう思えない自分がいる。
何故か?
答えは至極当然なこと、人間が信用出来ない。他の人間も提督も、特に男性はいつか手のひらを返して同じことをするんじゃないか?
上っ面だけで結局はただの兵器、道具としか思ってないんじゃないか?と強い不信感が出来たから。
喰種…隼斗さんも男性だから正直言って不安な部分もある。でも何故かそれ以上に安心出来る、何故か惹かれてしまう。
男性に対して初めて、もっと知りたいと思った人。後半は単なる個人的なものだけど。
満潮「私はここに残る。私の異動先は横須賀第3鎮守府よ!」
ザワザワ…!
満潮「理由は単純。私は、人間や提督が…男が信用出来ない。命を預けて、体張って守りたいと正直思えないの。今まで散々苦しめられて最後の最後であんなことを言われて……確かに被弾率も高くてみんなの足引っ張って迷惑かけてた。でも…だからってあんな…!無理矢理初めても奪われて…穢されて……なのにあんな、あんなこと言われるなんて……意味分かんない!」
肩を震わせ、泣きながら話す満潮を隣にいた朝潮と霞が同じように泣きながら抱き締めていた。
他の艦娘も俯いたり、口に手を当て泣いていた。江ノ島鎮守府に所属する艦娘全員が提督やそれに便乗する者達の毒牙によって傷つけられ、穢されていたことも聞き取り調査で分かったことだった。またその事実が提督殺害後のことで当然隼斗も聞いている。その結果どうなったかの説明は必要ないだろう。
“提督含む鎮守府にいた全男性職員の死亡を確認。遺体の損傷激しく、個人の特定非常に困難。”
本営の憲兵や艦娘が駆けつけた時、真っ先に目に映った光景は返り血で紅く染まり、血の海の真ん中で“肉”を喰らう隼斗の姿だったそうだ。
まあ、当然の結果だったわけだな。
満潮「…でも、あの人だけは違った。あの人は私のことを不良品じゃないって言ってくれた。怒ってくれた…!ここに戻る間もずっと側にいてくれて、ずっと声をかけてくれた。何度も涙を拭いてくれて…この人なら信用出来るかもしれない、命を預けていいかもしれないって思えた。私はあの人と一緒に戦いたい、だからここに残る!」
確かに… 男の人はちょっとね… 他の提督もあまり信用出来ないし
長門「分かった、満潮の着任を歓迎する。今この瞬間からこの横須賀第3鎮守府が新たな“家”となる。よろしくな、満潮。」
満潮「…!はい、よろしくおねがいします!」
朝潮「長門さん!私も、ここに残ります!」
霞「私も残る!ここで共に戦わせてください!」
私も! 私達もお願いします! ここで戦いたい!
満潮の返答に続くように次々と声が上がっていき全員がこの横須賀第3鎮守府への配属を希望した。
長門は頷き、大淀に目配せする。それに頷いた大淀は持っていた転属願いの書類を全てシュレッダーにかけ、その間に陸奥から1人1人に書類を手渡していく。その書類の中身を読んでいくと“本日付を持って、横須賀第3鎮守府への着任を認める”との記載があり、再びわっと声が上がる。
長門「見ての通り、本日付で皆の横須賀第3鎮守府着任を歓迎する。隼斗、入っていいぞ!」
直後、執務室の扉が開き隼斗が入って来ては長門の隣に立ち小さく手を振ってくる。
それを見た艦娘達も頬が緩み自然と手を振り返していた。
長門「改めて紹介しよう。ここにいるのが例の喰種、名を隼斗という。これから共に戦う仲間であり、家族だ。」
隼斗「よろ〜。全然タメ口でいいからね〜、堅苦しいの嫌いだし。あと満潮!」
満潮「は、はい!私、ですか?」
隼斗「うん。お前が俺に命を預けるなら、俺もお前に命を預ける。そして何があっても、手段問わずお前を守る。満潮以外の奴らも全員同じく守る。まあ俺の身体は1つしかないから限度はあるけどね。まあそれでも俺はやるから安心しな。長門姉、こんな感じでいい?」
長門「そうだな、いいと思うぞ。次は皆から隼斗に簡単な自己紹介をお願いしたかったがこの後出撃任務があるのでな。申し訳ないが帰投後にしてもらうことになる。ありがとう隼斗、行っていいぞ。」
コンコン 叢雲よ、入ってもいいかしら?
長門「良いタイミングだな。ああ、入っていいぞ。」
叢雲「失礼します。そろそろ時間なので隼斗を迎えに来たわ。行くわよ隼斗、みんな待ってるわ。」
隼斗「りょ。んじゃ行ってくる。」
大淀「隼斗、今回行くのはあなたにとって初めての海域です。戦艦ル級だけでなく重巡リ級、ネ級、そして軽空母ヌ級及び空母ヲ級の存在も確認されているの。必ずみんなと連携して戦うこと。旗艦を務める金剛さんの指示には必ず従うこと。ちゃんと言うこと聞きなさい。絶対だからね?分かった?」
隼斗「りょ。言うこと聞いた上で皆殺しすりゃいいんでしょ?その戦艦なんとかって奴らも。いざという時はちゃんと手考えてるから大丈夫だって。ちゃんとみんなで帰ってくるさ。じゃ、行って来ま〜す。」
叢雲、シャンプー変えた? 分かる?もっと近くで嗅いで良いわよ あぁ〜最高だわ 別にもっと近くで嗅いでもいいわよ?///
大淀「もう、あの子ったら全然緊張感がないんだから。大丈夫でしょうか…」
陸奥「海での戦いはまだまだ経験が少ないけど、こと“実戦”に置いては私達と同等もしくはそれ以上なんだから大丈夫よ。あの子の戦闘能力と適応力は目を見張るものがあるわ。それに弱肉強食の激しい世界で生きてきた経験を活かすでしょう。」
長門「さて、隼斗のことはいいとしてこれから部屋割りを伝える。荷物は明後日までには届けてもらうように頼んでおく。大淀、皆を案内してくれ。それが終われば食堂で昼食を食べて、それ以降は自由にしてくれて構わない。では解散だ。後は大淀に任せる。」
大淀「了解しました。では皆さんついてきてください。お部屋へ案内します。」
艦娘達「はい!お願いします!」
ぞろぞろ ワイワイ
長門「第1艦隊が海域に到着するまで1時間といったところか。それまでに書類関係は終わらせておこう。」
陸奥「そこまで書類も多くないし、さっさと終わらせてお茶でも飲みましょう♪」
〜1時間後 食堂〜
滞りなく部屋割りと案内が終わった大淀一行は食堂で昼食を食べていた。
出撃と遠征に出ている者以外と一緒に新たな仲間を迎えた食事はいつにも増して楽しく食が進む。
最初はどうしても暗い話から始まってしまったが徐々に明るい話が始まり、今では全員が笑いながら会話をしていることに大淀はやっと安堵し肩の力を抜くことが出来た。
暁「朝潮達の部屋はどこになったの?」
朝潮「私達の部屋は暁さん達の隣になりました。」
響「それはいいね。いつでも遊びにおいでよ。良いウォッカがあるんだ。」
扶桑「飛龍さんと蒼龍さんは赤城さん達と相部屋なのね。2人とも喜ぶと思うわ。」
飛龍「はい!私達も嬉しいです!ね、蒼龍♪」
蒼龍「うんうん♪一航戦のお2人と一緒だなんて光栄だし、最高だよね!」
時雨「3人は僕たちの隣なんだね。」
川内「そうそう、あでも夜戦夜戦って騒いだりしないから安心してね。」
神通「ちゃんと大人しくしておきますから。」
那珂「………」
夕立「那珂ちゃん、このハンバーグ美味しいから食べて食べて♪どう、美味しいでしょ?」
那珂「……」モグモグ コク
夕立「でしょ〜!ほらもっとたくさん食べて食べて♪」
川内「ごめんね、気を使わせちゃって…」
時雨「ううん、気にしないで。きっとまた話せるようになるよ。ここは僕たち艦娘にとってとても過ごしやすい場所だからね。少しずつ、少しずつ心の傷も癒えるんじゃないかな。もしまた悪い人間が現れて僕たちに危害を加えようとしても隼斗が守ってくれる。だから安心していいよ。」
神通「ありがとうございます。那珂ちゃんもきっと安心していると思います。久しぶりに笑顔を見ることが出来ましたから。」
前に座る夕立にあれもこれもお皿に乗せられ慌ただしく食べる那珂だがその顔はとても楽しそうな表情をしていた。
那珂も被害者の1人で、極度のストレスに加えて肉体的にも精神的にも追い詰められ遂には声を失ってしまった。“艦隊のアイドル”と自らを呼び、元気に明るく歌う姿はもう見れない。姉の川内も神通もその姿が見れない、聞けないことに深く悲しんでいると聞く。
他所でもかつての自分達と同じような扱い方をされていることに憤りを感じ、同時に不快で大変不愉快だ。
時雨「…僕たちは人間を守る為に生まれてきた。決して人間のおもちゃになる為に生まれてきたんじゃない。なのにどうしてこんな目にあわなきゃいけないんだ…どうしてこんな扱いをされなきゃいけないんだ…!」ググッ
夕立「時雨、落ち着いて。今は怒る時じゃない、みんなで楽しくご飯を食べるの。」
時雨「……!あ、あぁ…そうだね、ごめん。今は楽しくご飯を食べていっぱい話さないといけないよね。ごめんね夕立、川内さん達もごめんなさい。」
川内「大丈夫、気にしないでよ。正直私も同じこと考えてたからさ、やっぱみんな同じこと考えてるんだな〜。本当、私って何の為に生まれてきたんだろうね…ねえ時雨、もし隼斗さんなら何て言うかな?」
時雨「隼斗なら否定してくれるよ、でもその次には自分で考えろって言うだろうね。隼斗自身も同じことを考えてたことがあるんだって。」
川内「考えた結果、どんな答えが出たの?」
時雨「……人間の殲滅、だってさ。」
川内・神通・那珂「……⁉︎」
その言葉を聞いて3人はピタリと動きが止まり背筋に冷や汗が垂れた。時雨の発言内容が恐ろしいこともあったが、何よりそれを語る時雨の眼に怒りだけでなくどこか危なげな雰囲気も感じたからだ。狂気、に近いかもしれない。片方の口角がニィと釣り上がっているのもどこかの誰かさんに似ていて不気味で恐ろしい。しかも時雨の横に座っている夕立も同じ表情をして指で器用にナイフを回しながらこちらをジッと見ているではないか。今目の前にいる2人が先程までにこやかな表情で話していた時雨でも、元気いっぱいの笑顔で那珂に話しかけていた夕立でもない全くの別人に見えることが余りにも恐ろしく感じた。
神通「それが…隼斗さんの答え、なんですね。(この2人…少し危険な感じがします)」
川内「あはは、私達じゃ行き着かない答えだね。(やばいなあ…口にはしてないけど、2人もその答えに賛同してる感じだね)」
那珂「……」
時雨「……あ、ごめん!さっき夕立に楽しくご飯を食べる時間だって言われたんだったね。恥ずかしいとこ見せちゃったなぁ、あはは…」
夕立「ぽいぃ、夕立も自分が言ったこと忘れてたっぽい!川内さん、神通さん、那珂ちゃん、ごめんなさいっぽい。」
川内「大丈夫大丈夫!あははは!」
川内は一応笑って流したが背中をつたう冷や汗は収まらない。2人が見せた危険な雰囲気と狂気が宿る眼が喰種を連想させたことが自分の頭と目に強烈な衝撃を与えたことが拭えないからだ。恐らく、神通と那珂も同じ。笑顔が若干引きつっているのがその証拠だろう。
とりあえず、今はこれから共に戦う仲間との親睦を深めることにしようと頭の中を切り替える川内だった。
時間は経ち、全員食事を終えてゆっくりと食後のお茶を飲みテレビを見たり雑談したりとくつろいでいた。
この数時間でだいぶ打ち解けたことに大淀が再び安堵した表情でお茶を飲んでいたその時、この団欒の終了を知らせるが如く突如襲撃を知らせる警報が鳴り響く。元々最前線だった為こういうことは多かったのだが、隼斗が加わってからは一度も襲撃はなかった。
それでも即座に反応、各自が迅速に行動することが出来るのは身体に染みついているからだろう。
大淀が言わずとも間宮は江ノ島鎮守府のメンバーを連れて鎮守府内にある地下避難所に移動、残りは執務室へと走っていった。
〜地下避難所〜
飛龍「間宮さん、私達も戦います!今すぐドッグへ行かせてください!」
蒼龍「私からもお願いします!ここでただ待つだけなんか出来ません!お願い!」
朝潮「そうですよ!こういう時でも守られてばかりでは申し訳が立ちません!」
間宮「落ち着いてください。皆さんの艤装は現在オーバーホール中で使用出来ません。だから今はこうするしかないんです。」
川内「予備の艤装はないの?もしあればそれで…」
間宮「ごめんなさい、予備はないの。以前は確かにありましたけど、ここの前提督が解体させたのよ。不必要な艤装や装備品は資材にして横流しする為にね。勿論、それで得たお金は着服して私腹を肥やしていたわ。」
川内「…ッ、最低な提督だね。ぶん殴ってやりたい気分だよ…!」
飛龍「本当…私も思いっきり引っ叩きたい!」
間宮「2人ともその必要はありませんよ、前提督は既に“居ません”から。」
既に居ない、その意味を理解した時に川内と飛龍は沈黙して次に言おうとする言葉を飲み込んだ。間宮は真実を言っている、何一つ間違ったことは言っていない。何故、ここには艦娘しかいないのか?何故、長門が提督代理を務めているのか?何故、この鎮守府は監視・包囲下にあり危険視されているのか?そんなことはすぐに分かることだった。
間宮「ね?だから今はここで私と一緒に戦闘が終わるのを待ちましょう。大丈夫です、ここはそう簡単には落ちませんよ。」
そう言って間宮は備え付けられたコンロでお湯を沸かし棚から茶葉を取り出して人数分の湯呑みを用意していた。
地下にまで砲撃音や揺れが響く中、川内達は今はここで待機するしかないのだと自分達に言い聞かせ大人しく席に座るのだった。
〜執務室〜
時間は少し遡る。間宮達が地下避難所へと向かっている時、警報を聞き執務室へと集合した大淀達は長門から指示を受けていた。
長門「先程、この鎮守府に向かう深海棲艦の艦隊を哨戒中の航空隊が捕捉した。数は30、タ級及びル級5体、チ級5体、ワ級3体、残りはイ級とロ級で構成されている。これまで同様の襲撃は何度もあったからこの程度の数は問題ない。問題は別にある。」
扶桑「…別に?」
長門「出撃中の第1艦隊と非常時に備えて後方の哨戒に出した第2艦隊が分断、包囲されている。報告では50を超え、更に増える可能性もあるそうだと…そして時を同じくして鎮守府への襲撃。」
扶桑「つまり、これは深海棲艦の作戦ということですね。出撃した2個艦隊を分断、包囲しての各個撃破、同時に別働隊による鎮守府強襲を行い増援を断ち、混乱に乗じて制圧する。ならば、短期決戦で撃破し第1・第2艦隊を救出するということでよろしいですか?」
長門「そういうことだ、そして敵の思い通りにさせる気は更々無い。総員、全力でこれを撃破し救出に向かってくれ。陸奥、出番だ。久しぶり暴れてこい。昔のように燃料弾薬をケチる必要はないからな?」
陸奥「うふふ、じゃあお言葉に甘えて暴れてこようかしら♪」
長門型2番艦、戦艦陸奥。横須賀第3鎮守府が誇る最高戦力の1人。前提督時代から防衛戦、海域攻略戦、友軍支援など着任してから様々な戦闘に参加。戦闘に勝て、だが弾薬燃料は節約しろ等の無茶な指示やろくに入渠もさせてもらえない中で酷使され続けた結果、最高戦力にまで上り詰めた。
そして日頃の鬱憤を晴らすかのような戦いぶりは只々、苛烈。鬼神の如しと言わせるほど凄まじいものがある。
その陸奥が再び戦場に立つことに扶桑をはじめ、山城と第六の4人は「おお!」と声を上げた。
長門「扶桑には救出に向かう艦隊の旗艦を務めてもらう。メンバーは山城、暁、響、雷、電だ。陸奥は正面海域で待機しろ。」
大淀「現在明石と夕張さんが朝潮さん達の艤装を急ピッチで最終調整しています。完了次第、再編成し陸奥さんと合流させます。避難してもらったところ申し訳ないのですが、致し方なしです。」
長門「では、迅速に行動しろ。総員、出撃だ!」
全員「了解!」
号令後、すぐさまドッグへと向かい出撃。陸奥が先陣を切り、扶桑達第3艦隊が続いていった。
そして時は進み今に至る。海面には深海棲艦の残骸と残存する敵を蹴散らす7人の姿があった。第六駆逐隊による連携攻撃と扶桑・山城の支援砲撃、そして陸奥の砲撃と殴打による苛烈な攻撃を前に30隻いた深海棲艦の艦隊はその大半を失っており残すは旗艦であるタ級と護衛するル級が3体のみ。最前線の鎮守府で、しかもブラックで満足のいく整備も補給も入渠もない状態で戦い生き抜いてきた彼女達。実力はさることながら今は明石と夕張による完璧なメンテナンス、間宮と鳳翔が作る美味しい料理、好きな時に好きなだけ入れるお風呂、そしてケチらず使える燃料と弾薬(裏では本営から指摘を受けても隼斗の恐喝でしこたま過剰供給されてる)という常に心身共に最高の状態にある彼女達からしてみれば30隻を相手にするのは造作も無いことだ。
だがここで予想外のことが起きた。
陸奥「全然物足りないわね。でも、今は我儘言ってられないの。これで、おしま…!」
ドオォォォン ドンドンドン
タ級「…ククク、ナラバクレテヤル。」
陸奥「……あらあら、優しいのね。(増援…それはいいけど、空母が出てくるのは厳しいわね)」
暁「陸奥さん大丈夫ですか⁉︎この…!響!対空射撃で陸奥さんを、雷と電は扶桑と山城さんを援護して!」
響「了解だよ、任せて。」
雷「分かったわ!私に任せなさい!電、やるわよ!」
電「なのです!お二人を守るのです!」
ヲ級エリート「シズメ…」
ヲ級1「ジャマナ駆逐艦を優先シテ排除シロ。」
ヲ級2「ヲッ!ヲッ!」
扶桑「厄介な増援ね。山城、敵空母を優先的に叩くわよ。」
山城「はい、姉様。蹴散らしてやりましょう。」
予想外のこととは敵増援の出現。ではなく、まして敵空母打撃群でもない。ヲ級エリートを筆頭にヲ級2体と他にヌ級6体、ル級エリート10体、チ級10体、イ級、ロ級、ハ級各10体ずつと総勢60隻近くの大艦隊が現れたことが予想外だった。しかもエリート艦がここまで多い増援も初めてであった為、長門は執務室で陸奥は現場で小さく舌打ちをする。どうやら今回はそれなりに力を入れて攻めてきたなと。
朝潮『長門さん!これから出撃して陸奥さん達の援護に向かいます!』
長門「避難させたところ申し訳ない。朝潮達の力を貸してくれ。」
朝潮『任せてください!それに、もう私達はこの鎮守府の一員ですから!では、出撃します!』
どうやら明石と夕張の最終調整が完了したらしく次々と出撃していく新たな仲間達。
それを執務室の窓から見送る長門は再び無線を取り、大淀と2人で指示を出す。
二航戦の2人が放った矢が艦戦や艦爆と姿を変えて舞い上がり空を翔ける。
ここに鎮守府防衛戦の第二幕が切って落とされたのだった。
そして場所は変わり金剛率いる第1艦隊がいる戦場へと移る。
ここでも鎮守府同様に予期せぬ事態に陥っていた。
比叡「ああもう、しつこい!」
吹雪「だめです!全然数が減りません!」
鳳翔「吹雪ちゃん頑張って!くっ…流石に1人でこの数相手は…!」
金剛「次から次へと…マジfuckネ!叢雲!隼斗の様子わ⁉︎意識は“戻り”ましたか⁉︎」
叢雲「……だめ…全然、戻らない。嫌、絶対嫌よ…起きなさいよ…!」
金剛を先頭に輪形陣を組み敵の包囲網を駆け抜ける第1艦隊の姿。そしてその中心に叢雲に背負われる者が1人。
それは両足の膝から下が無残にも千切れ、血を垂れ流し、意識を失った隼斗だった。
艤装も飛行甲板も壊れ最早大破、いや轟沈寸前の状態とも言える状態。
今はただ、一刻も早く鎮守府へ帰らねばならない。必ず生きて帰る、誰一人として欠けることなく全員で帰る。
その一心でひたすら目の前の敵を打ち破り進んで行く。
「フフフ…無様ナ姿ダナ。所詮コノ程度カ…」
その姿を遠くから見てほくそ笑む影とそれに付き従う2回りも大きな巨軀の怪物。
影が片腕を上げると海から次々と現れる深海棲艦達。それを率いてゆっくりと前進、金剛達へ追撃を開始する。
背後から迫る脅威に金剛達はより窮地に陥ることになるが、もう一つ別の脅威が姿を現すことになるとはこの時誰も思っていなかった。
全然投稿出来なくて気付けば年明けて、もう3月も終わりかけでした。
コロナやばいですね。どこもかしこもコロナコロナで騒いでます。住んでる街にある夜のお店も人が来なくてこの先店の営業が厳しいそうです。
皆さんは大丈夫ですか?私は仕事柄外にいるのでマスクしてますけどもう備蓄分が無くなりそうです。
アルコールもないしマスクもないし予防の手段がないですが、出来る範囲でやってくしかないですよね。
お身体に気をつけてください。
そしてまた仕事頑張りましょう!