「あ……あ……め、メイヴ……ちゃん……」
狭間田はゾンビのようにメイヴに近づいていく。信じられない、とは思いつつも、同時に、こんな展開も予想出来ていたような気もする。
目の前のメイヴは、質感と実体を伴っている。興奮で耳の奥が痛くなってきている。
狭間田は女体の中でもへそとくびれに並々ならぬ欲望を持っているため、今のメイヴのヘソ出し民族衣装のような霊衣に、股間は叩き起されてしまう。
「ふぅん……」
メイヴは狭間田の評価を始める。おそらく東洋人だからか、コノートの男達と比べれば随分ひ弱そうだ。おそらく野犬にも勝てやしないだろう。
だが股間の方は、意外と良さそうだ。現界してから数時間の間で食った男達の中では、活きが良くサイズもいい。
なにより、童貞特有の爆発しそうな性欲が、可愛がりがいがある。
「ま、合格点ってところね。いいわ、さっそくだけど相手してあげる♡」
まだ現状をよく理解できてはいないメイヴだが、いつも以上に溢れ出てくる性欲が、彼女を突き動かしていた。メイヴは狭間田をどんと押し倒し、いつものように『騎乗』する。
「最低五回は、ヤラせてもらうから……ね」
そして、狭間田の大きな男根に向けて、その下の口を触れさせたその時、ふにゃんという感覚がした。
「は?」
驚きつつ見ると、狭間田の男根は、萎えていた。
「な、な、な……」
メイヴの毛が逆立つ。その手には、彼女の武器である鞭が握られていた。
「なんでよーーーッ!」
「あひぃぃいいいっ! ごめんなさいぃいっ!」
強烈な鞭の一撃が狭間田の金玉に加えられる。狭間田は死にそうな顔で床を転げ回った。だが、それだけメイヴにとっては屈辱的だったのだ。
自分のこの美の極地の身体を見てなお、萎える男がいるのだという事実。それが彼女の逆鱗に触れた。
「私の身体を見て何でそんな反応ができるワケ!? 私よ!? それを、こんな……あら?」
改めて見直すと、狭間田の一物は再び勃起していた。メイヴは首を傾げる。
「ふぅん……そう。あなた、そういう趣味なのね」
天使のように美しい顔で、メイヴは嗜虐的な笑みを浮かべる。狭間田は自らがこんな刺激によって勃起してしまうとは思いもよらなかったが、思い返してみれば何度もメイヴちゃんに罵られながら射精させられる同人誌で抜いていた。
「ひ、ひぃっ、お許しをっ」
「ダメよ。ほら、仰向けになりなさい。その惨めな勃起チンポを晒すのよ」
なるほど、と狭間田は心の中で納得した。これは確かに気持ちがいい。
「何ニヤついてんのよ!」
「ああっ♡」
メイヴはそのすべすべした素足で、狭間田の男根を踏みつけた。気持ちいい刺激と痛い刺激が同時に襲いかかり、えも言われぬ快感となる。
「あひっ、あ、やべ、もう……ああっ!」
あっという間に、狭間田は限界へと達してしまった。朝一番で作られた大量の精液が、狭間田の腹に出される。かなりの量だ。常人の男の数倍はあるだろう。
メイヴはひゅいっ、と鞭の先端を器用に使い、麺を掬うように精液を掬い飲み込んでみる。
「ん……ふぅん……♡」
喉越し、味、魔力量、どれも期待値以上だ。あとはこれを腹に飲めれば男としては合格点だろう。
狭間田は息を切らしつつ、絶頂の余韻を味わっている。
「あら、お礼も言えないのかしら?」
「あ、ありがとうございます! メイヴちゃんサイコー!」
「うんうん、いいわね♪ 随分私のことを分かっているようで何よりだわ。で、あなた名前は?」
狭間田は立ち上がり、メイヴちゃんに頭を下げた。正直、まだ現実感はない。だが直視するのも辛いのでこうするしかなかった。
「えと、狭間田隆と申します」
「タカシね。私の勇士に見合う働きをしてもらうわよ。覚悟すること♡」
「はいぃっ!」
狭間田は意気揚々とメイヴの後ろを着いていく。現実感は後から来るだろう。今はただ、メイヴの際どい衣装から見える、安産型のお尻が眺められればそれでいい。
いや、それにしても綺麗だ。それでいてどエロい。
これが完成された美、清楚にして淫蕩の女王。
(俺が、そのマスター。マスターか……あれ、待てよ? というか俺は今聖杯戦争に巻き込まれてるってことだよな。あれ? 死ぬんじゃね俺)
徐々に現実感が増してくると同時に、もう一つの現実が狭間田を襲う。眼前に広がる未来都市、YOSIWARA。朝になってようやくその全貌がハッキリと見えるようになったが、その発展ぶりは東京の中心と見紛うほどである。
高層ビルがいくつか立っているが、どちらかというと遊興施設の割合が高い。その殆どは、風俗である。
「中々面白い街ね。ふふ、私のモノになるのが楽しみだわ♪」
メイヴがその格好で歩いていても違和感を持たれないほど、道行く人は様々である。アジア、欧米、アフリカ系、あらゆる人種が、老若男女楽しげに歩いている。狭間田のいた風俗街のイメージとは全く異なっている。
「本当に……何がどうなってんだよ」
ついそんなことを呟いた狭間田の頭上を、何か巨大な物が通り過ぎた。
「わっ」
「あら、上空パネルね。見るのは初めてだわ」
「え? 上、空?」
「あなたこの時代の人間なのに知らないの? 空飛ぶ喋る絵みたいなものでしょ」
そうか、と狭間田は納得する。聖杯戦争に招かれたサーヴァントはその時代の知識を事前に入手するという。やはり、ここは自分がいた時代よりも遥か未来なのだ。
狭間田は第二の衝撃を実感しつつ、その上空パネルを見た。
そこには際どい衣装を着た美しい女性が映っている。日本人だろう。ウェーブのかかった黒髪は、美術品のようにも見える。
「あれ……? あの人、どこかで……」
狭間田の背中に、何故か嫌な汗が吹き出し始める。長いマスター歴が、Twitterで得た若干偏った知識が、彼にその感覚を抱かせていた。
何故なら、あの女性は……
『YOSIWARAの皆々様。ご機嫌麗しゅうございます。私は今回の遊興の監督役を努めさせていただきます、キアラと申します』
「……マジかよ」
短く、狭間田はそう言うしかなかった。
そして、キアラの説明が始まる。
『今回、このYOSIWARAの中でも特に性に貪欲な方々が、マスターとして選出されました。彼ら彼女らには、歴史上の偉人、性豪をサーヴァント、つまり使い魔として使役していただきます。そこで行われまするは、全てのサーヴァントとマスターが、己が肉欲を存分に振るい、最も性的に勝利する者を決める、『性杯戦争』にございます』
性の字が明らかに異なっている。狭間田はメイヴと顔を見合わせた。メイヴもまた、その言葉を聞いて釈然としていない様子だった。
キアラの説明は続く。
『本戦争の鍵となりますのは、マスターの皆様に配られた『令呪』にあります。この令呪は通常サーヴァントへの絶対命令権、および抑止力として機能いたしておりますが、此度の令呪は特別製、それは『あらゆる知的生命体への命令権』です。自分のサーヴァント、相手のサーヴァント、さらには……一般の市井の皆様まで。令呪は一日に三画までとなり、日の終わりに自動で一画補充される仕組みとなっております』
狭間田の頭がこんがらがってきた。あらゆる者への命令権? しかも、一日三回まで使える? そんなの、滅茶苦茶になってしまうではないか。
『これでは混沌に満ちた結末しか有り得ない、とお思いでしょう。ですがご安心ください。この命令には一つ条件がございます。それは、相手のサーヴァントとマスターに対しては、相手を性的に屈服させる必要があるということです。弱らせ、骨の髄まで痺れさせ、遂には我がものとする。それが、この性杯戦争の醍醐味でございます』
淡々と語るその様は、まさに狭間田も画面越しに見てきた殺生院キアラであった。その声に存分に愉悦を含み、その眼は淫靡の果てを見つめている。
圧倒的な者を目の前にした期待と恐怖が、狭間田を包んでいた。
包んでいたが、動いて喋るキアラがえっちすぎるので勃起はしていた。
『皆様の力でありサーヴァントを現界させうるもの、それは性欲と悦楽。欲し、満たす生物の営みより出る魔力が、全ての元になります。多くの人を巻き込みましょう。そしてYOSIWARAの皆様、サーヴァントは皆、歴史に名を残す絶世の美女や性豪です。必ずや極上の体験となりましょうや。どうぞ、ごゆるりとお楽しみくださいませ』
そして放送は終了した。狭間田は周囲を見渡す。混乱が起きるかと思ったが、彼ら彼女らは見るからに色めきたっていた。楽観的なのか、享楽的なのか、日本というよりはそれこそやはり、ニューヨークやラスベガスに近い雰囲気を感じる。
「ふぅん、なるほどね。じゃあ陣取り合戦ってとこかしら、あなたの国風に言うと」
「え、あ、そうなんですか」
キアラ勃起が収まったかと思えば、隣にはメイヴがいる。そろそろ狭間田は限界が近い。
「私にせよあなたにせよ、人に言うことを聞かせる力がある。それで性欲をじゃんじゃん満たしていけばいいということでしょ? そしたら、魔力も増えるし部下も増える。簡単なことだわ」
狭間田は考える。キアラは最後まで残った者とかそういうことは言っていなかった。倒す必要もなければ、殺す必要もないのだ。どころか、相手のマスターとサーヴァントを令呪で使うことが出来れば、戦力が増やせる。
これは、上手く立ち回れば生き残れるかもしれない。
「あら、意外といい顔するじゃない」
メイヴは微笑む。狭間田はときめく。
「じゃ、一旦拠点に戻りましょうか。あなたの家はどこ? 多分貧相なものでしょうけど、多少のことには目を瞑ってあげるわ。今回は楽しくなりそうだしね」
その言葉を聞いて、狭間田は思い出した。恐らく今この時代に、狭間田の家はない。つまり彼は、現在ホームレスなのだ。更に言うなら口座も怪しい。
どうする、メイヴちゃんにひもじい思いをさせるわけには……と焦っている狭間田は、背後の気配に気が付かなかった。
「ハーーーッ!」
「うわーーっ!?」
突然鼓膜を揺るがす爽やかな男の声。飛びかかられたのかと思いきや男はただ直立不動でそこに立っていただけだった。メイヴはもちろん、その男を警戒する。サーヴァントかマスターか、どちらかが順当な所だ。
だが、その線の細い大男からは一切の魔力を感じない。
「な、なんだぁ、あんた!?」
狭間田は改めてその男を見た。黒いジャケットに無地のジーンズと、身長とルックスが無ければ着こなせないファッションのその男は、髪が赤と白に分かれていた。
その整った顔で、ハッキリとした声で、男は言う。
「青年、オナホールは好きかな?」
狭間田はぽかんとする。
一方でメイヴは、上空パネルを睨んでいた。キアラの映像が切り替わったパネルには、アイドルのライブ映像が映されていた。
「皆、今日はありがとう!」
少女の美声は会場中に響き渡っていた。男達の雄叫びが、それに応えるように会場を揺るがす。男達の眼差しの中心にいるのは、見目麗しい三人の少女である。
赤、水色、ピンクの配色の、それぞれ豪華で可愛らしい衣装を着た三人。彼女達はここYOSIWARAを拠点に活動するアイドル、『スリーピーズ』である。
「また会いに来てねーーっ! 待ってるからねーーっ!」
「ウオオオ!」
そのファンの一人である山田のぶおは、歓喜の涙を流しながら勃起していた。彼はこの後の、ファン交流会に当選していたのだ。
スリーピーズのメンバー、元気な巨乳美少女みるる、無口クールな巨尻美少女めいる、そして最も美しく凛々しいリーダーなるみ。
彼女達を全員、抱くことが出来るのだから。
「また、会いに行ける……会いに行けるんだ……ぐへへぇ!」
YOSIWARAで大人気のアイドル形態、それは、アイドルと風俗を織り交ぜた淫乱アイドルだ。相場の何十倍もの指名料と引き換えに、アイドルとエロいことができる。
全てのファンは、それを了承済みである。アイドルに重要な純潔や清楚さをかなぐり捨てたこの商法は、予想を超える盛況ぶりを見せた。
「はぁ、はぁ……」
会場裏のある一室へと連れてこられた山田。彼は係員に言われるまま、椅子に座らされその部屋で待機していた。周囲には同じく運良く交流会に当たった男達が、息を荒らげて待機している。
(あのみるるちゃんのでかっぱい、めいるちゃんのデカ尻、そしてあの綺麗ななるみちゃんの……ああやべぇ、止まらねぇ妄想!)
そして、彼らの目の前になるみが現れた。ライブの衣装のままだ。近い、全身からいい匂いがしそうだ。だが残念ながら、今は周囲のむさくるしいオタクの臭いしかしない。
もっと近くに、と立ち上がろうとした山田は、自分の手足が拘束されていることに気づいた。
「え? なんだこれ」
周囲の者達も同様に拘束されている。
「皆、今日は私の指名に応えてくれてありがとう!」
凛とした美しい声で、なるみはそう言った。綺麗な黒い髪と黒い目が、不気味さを持ち始める。
「ど、どういうことだよ、俺達は……」
「違うよ。皆は騙されてここに来たんだ。皆は私に買われたんだよ」
「え?」
なるみは拘束されている山田の服を、乱暴に剥いだ。一般的に見ても汚らしい山田の体と、その勃起した皮の被ったちんぽが露わになる。
誰もが状況の異様さに声も出ない。
「アイドルはね、趣味なんだ。家にお金がいっぱいあるからね。色々買って、できるようにしたんだ。それに、こうしてクサい男達がいっぱい集まってくれるし」
そのすべすべした美しい手で、なるみは山田のちんぽの皮を剥く。途端に、むわあっとえも言われぬ臭いがなるみの鼻腔を満たした。
なるみは恍惚そうに、その美しい顔を歪ませる。
「はぁ……くっさぁ♡ 腐ったチーズみたいな臭い。良い良い♡」
そして乱暴に、搾り取るように山田のちんぽをしごき始める。
「あ、ああっ、ひいっ♡」
「あははっ、汚い汚い、臭いがでてきたぁ♡ ほら、出せよぅ。私に出すつもりだった臭い汁だせよぉ♡」
「ああああああっ!」
情けない射精汁が、なるみの手のひらに出される。なるみは嬉しそうにそれを嗅ぎ、また笑う。
「はぁ……これ、これだねやっぱ。ほら、いい臭いでしょ?」
「ひいっ、や、やめっ」
「どんどん、混ぜてこうねぇ♡ 皆の臭い、もっと嗅ぎたいから♡」
怯えながらも、男達はその妖艶ななるみの様子に、官能的な笑顔に、漏らす吐息に、情けなくもその勃起したちんぽを差し出さざるを得なかった。
一時間後、全てを堪能し終えたなるみは、一旦身体についた臭いを落とした後に、控え室へと戻る。
「はぁーっ、気持ちよかったあ。やっぱ男の雄臭さは脳髄に来る♡」
そこには、みるるとめいるの二人が待っていた。二人とも、ライブが終わってから間もないため衣装に染みるほどに汗をかいている。
「お疲れ様、なるみちゃん!」
「お疲れ」
二人が駆け寄ってくる。二人より少し背の高いなるみは、ぎゅうっと二人を抱きしめた。そして二人の首筋の豊かな香りを、メイいっぱいに楽しむ。
(そして雌の匂いは……股間にクる♡)
なるみはこの世の全ての匂いを、愛している。雄の臭いも雌の匂いも、全てである。
「みるる、どう?」
「うん♡ いっぱい汗かいたよっ♡」
その衣装は、胸の間に穴が空いており、谷間が見える構造になっていた。くぱあっとみるるが乳を広げると、なるみはそこに顔を埋め、谷間に満たされた雌の香りと汗の匂いを、鼻腔に満たした。
なんと気持ちのいい香り。なるみの心臓が、どくどくと高鳴る。
「すぅううっ♡ はあぁあっさいこぉ」
「なるみ、ボクも……」
「じゃあ、私の上に座って♡」
「……ん」
めいるはソファに寝転んだなるみの上に、慎重に座る。100cmを超える巨尻が、なるみの美しい顔にのしかかる。密封されたそのケツの空間には、めいるの甘い雌の匂いと、股から香る濃厚な臭いが満ちていた。
「んふーっ♡ んふーっ♡」
「あ、なるみっ……♡」
めいるはこの異常な状況においても、真摯になるみに己の身体を捧げている。全ては地獄のような風俗の店の仕事から自分を救い上げてくれたなるみのために、めいるの愛は重かった。
だが、その様を見て、みるるは心の中で笑っていた。
(ぶふっw ほんと、ボロい商売だわw 変態女に乳の匂い嗅がせるだけで毎日遊んで暮らせるとか、マジ最高。風俗嬢も卒業させてくれたし、ほんとみるるちゃんラッキーだなぁw)
あまり綺麗な心を持ち合わせてはいないみるるは、自らの状況にただ満足し、ほくそ笑む。それもまた、この街の人間としては正当な反応である。
「……ふう、さて、じゃあ今日は、二人にあの子を紹介しようかな」
充分二人の身体を堪能したなるみは、すくっと立ち上がり指を鳴らした。すると控え室の扉が開き、スーツを着た女性が現れた。それを見て、二人は驚愕する。
胸、その胸はみるるよりも豊満で柔らかい。
尻、その尻はめいるよりも大きく肉々しい。
顔、その顔はなるみよりも、誰よりも美しい。
そしてその身に纏う芳香は、今まで嗅いだ何よりも蠱惑的で魅力的であった。
「な、なに……その、人……」
彼女はコスプレをしているようで、狐のような耳と、もふもふした尻尾を持っていた。
「この子は玉環。私たちの、新しいメンバーだよ♡」
玉環はなるみに寄り添い、その体臭を存分に嗅がせる。それは、天にも昇るような極上の芳香だ。
「さぁ……もっといい匂いを、もっと、嗅ぎたいな♡」
なるみの太ももには、赤い紋様が燦然と輝いていた。