FATE/Walküre suko suko suki- 作:鹿島鹿
この2年間が俺を真人間にした。
全力で引き篭もって親の脛を鼠の大軍の如く齧りまくり充実したオタクライフを過ごしたのだ。
両親は常に唯我独尊だった俺が急にしおらしくなり、へりくだった態度をとった事をとても心配してくれたが、両親が奥の手である訳わからん殺しを放ってくる可能性を考慮し自分に残されたちっぽけな怪力(所詮対人戦で全く役に立たない能力)でドアを固定し自室に引き篭もった。
対人恐怖症であると医師が診断したらしく、俺は1人暮らしする事となった。幸い親は裕福だったので仕送りは十分にあり、ネット通販などで日用品や食料、娯楽品などを購入して生きていくのは心が安らいだ。
配達員と相対する時は全能力を駆使して街の外まで跳躍出来るよう常に脚部に力を籠めて置く事で恐怖を克服した。
常に気配感知を行う事も忘れない。いつ何時蒼崎橙子の様な危険なやつが現れ、最後の砦である我が家を吹き飛ばさないとは限らないのだ。ここまでやってもあの訳わからん殺しに対してはあまりにもちっぽけな守りではあったが。
ビクビク怯えながらも俺がオタク文化にハマったのはある種必然だった。
バトル描写の殆どは再現できる動きだし、多種多様な能力は実際にそういった能力者と相対した時のイメージトレーニングに使えると思ったからだ。
しかし、物語の能力者は恐ろしい。時止めたり宇宙崩壊したりする。ぱないの! 自分では全力を出してもせいぜいこの国を沈める事ぐらいが関の山だろう。無論、無意味に過ぎるので実行はしないのだが。
のんびり電子書籍を読んだ後、インターネットサーフィンを優雅に楽しんでいると地元のニュースが載っていたので思わず開いてみる。
『△△県〇〇町にてバラバラ殺人事件』
こんな感じの見出しだ。
世間は毎日全国からニュースを集め、物騒だなんだと騒いでいるが、こう言う猟奇的な感じの事件は近年珍しい。続きを見てみると、某日、町中にある大きめの自然公園で、ホームレスと会社員のバラバラ死体が見つかったらしい。
近場の公園なせいか嫌な感じである。やはり蒼崎橙子の仕業にちがいない。公園付近は特に警戒しておこう。家からは出る予定はないが。
最近はちょっと強い気配が何体か街中に存在するのを感じる。もしかしたら複数に増殖した蒼崎橙子の仕業かもしれない。やっぱ外怖い。
「二次元の主人公の様に俺を助けてくれる可愛くて強い女の子とか来ないだろうか。一般オタクとしてはそう言う妄想をしてしまうぜ」
パソコンから離れ、ベットにダイヴする。ふかふかもふもふである。ナナチは可愛いなぁ。妄想や願望に耽るとか俺マジ一般オタク。いい加減に外が恋しくなって来たのか、近場に蒼崎橙子がいる可能性がとにかく不安なのか、実にオタクらしい願望が洩れた。
すると、超感覚的に何かが繋がる様な気配がする。
部屋を中心に紫電のようなものが走り抜ける。害は無い様だが起き上がって身構えるまで1秒とかかることは無かった。
走りきった紫電は幾何学の紋章だか魔法陣だかのような光の軌跡を残して行く。
そして…
「ワルキューレ、個体名、オルトリンデです。あなたをマスターとして認証します」
「ワルキューレ、ヒルドだよ。よろしくね」
「ワルキューレ、スルーズです。よろしくお願いします」
「ひぇ…我が家には本日ア○ゾンとヨ○バシカメラ以外の訪問はお断りしています」
なんかやたら白くて神々しい連中が3人も突如現れる。部屋の白さが7割位増えた。ブ○ーチかよ。
しかもちょっとだけ強者の気配。これは 今までのパターンだと訳わからん殺しを持っている可能性が高い。丁重にお帰りいただくようそれほど遠回しでなく開幕からお願いした。
3人は俺を見た後、「私達を3人まとめて召喚する程の魔力量…」とか「イレギュラー」とかボソボソ言ってた。が途中から自分たちの事の現状とと説明をしてくれた。
なんでも彼女達の様なサーヴァントを使役して争う魔術師とか言う輩の小規模な戦争に巻き込まれたらしく、命の危険があるが、どんな願いでも叶うらしい。
彼女達はその過程で勇士を探す為に派遣されたとか。派遣社員って奴か、世の中世知辛い。
因みに急に手の甲に浮かび上がったこの印は令呪と言う絶対命令権なのだそうだ。早速試しにおっぱい揉まして貰おうと思ったが、無くなるとサーヴァントが離反したりするらしい。欲望に負けて命を失うところだったわ。見果てぬ夢を掴むおっぱいアームの出番はいつ来るのだろう。
ついでに聞いた事だがサーヴァントは宝具という訳わからん殺しを1つは持ってるらしい。ほらね! やっぱり! 世の中怖っ!
一般人も持ってるか何気なく聞いてみたが、普通は訳わからん殺しは持っていないようだ。この発言は衝撃的だった。
まあ口だけならなんでも言える。だが仮にこの妙に見た目がシコい3人の言によれば、俺は世の中を警戒しなくても良いのかも知れないが、やはり怖い。
だが、人恋しいのは事実なので聖杯とやらに訳わからん殺しの消滅を願ってみるのも悪くないかも知れない。ちょっとだけ、彼女達の可愛さに免じて脱引きこもりをしてみようと思う。
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マスターは不思議な人でした。
事情を知らない一般人とは言え、私達3人を召喚し、維持していく事ができる時点でかなり規格外で強力な魔力を有しているのは確実なのに、常に何かに怯えているようでした。
勇士を好む私達としては少々情けなく感じる彼ですが、そんな自分を変える為に聖杯戦争に参加すると言い出したのです。
少しだけ、その小さな勇気は、何故でしょうか、言語化し辛い喜びとも言えるような美しい何かに感じられたのです。
基本的に同位体である2人とは同じ意見でしょうが、少なくとも私、オルトリンデはサーヴァントとしてマスターの為に戦う事を決めたのです。
作者「導入部はサクサクいきたい。鳩サブレ」
もうひとりのボク「キャラも筆も勝手に歩くもんでしょ」
作者「鳩サブレ・・・(´・ω・`)」