FATE/Walküre suko suko suki- 作:鹿島鹿
聖杯戦争とはどのように行うのか。
そう問えば彼女達の反応は芳しくなかった。何でも彼女達の様なサーヴァントは過去の人物であり知識はあっても、そういう戦術が与えられる訳ではないらしい。
敢えて言うとすれば彼女達の名前を口にしないでクラス名で呼ぶ事と(身バレが怖いのはネットを生きる現代人なので凄く納得したが3人の「大丈夫かな?」的な視線のやり取りがあった。何故だ?)
基本的に夜に聖杯戦争を行うと言う事だ。一般人を巻き込むと面倒が起こるとの事。
つまり基本戦略は深夜徘徊をしろと言う事だ。不審者同士の戦いなんてそんなものだろう。
引き篭もりから不審者へジョブチェンジだ。戦闘力は後者の方がありそうなので有利だなこれは。デュエリストは職業ではない。
「マスター。提案があります」
ある程度長い会話が終わるとそう切り出したのはオルトリンデだった。通常はサーヴァントはマスター1人に付き1体なので最初はオルトリンデだけが戦闘を行い他二人は霊体化と言う透明モードになって俺の護衛をして、オルトリンデがピンチになった時に援護に入ると言う。俺自身その手の事は初めてだしどうしたら良いのか解らんのでその通りにしようと思うが、下から見上げて話すオルトリンデのフードから覗く赤い目が小動物の様でメチャ可愛い。話を聞くのも愛でるの同時にやらなくちゃならんのがマスターの辛いとこだわ。
返事をせず彼女の赤い瞳をじっと見ていると返事のない状況に僅かに首を傾げる。可愛過ぎかよ。
「如何でしょうか?」
「……結婚した」
「? ……婚姻を行われた事と話の内容に何か繋がりが?」
「むしろ繋がりたい」
「? ええ。私達は契約で繋がっていますが…」
「何でもないです」
かわいいかよ(感嘆符)
ツッコミなんてものが不在なため永遠に会話が進まなそうだが、この手の無間地獄なら大歓迎である。けれども三者三様の不可解な表情にジッと見つめられればおれはしょうきにもどった。咳払いをして誤魔化しながら会話を続ける。
「ゴホン。スルーズとヒルドはそれで良いのか?」
「私は異論ないかなー」
ヒルドのピンク耳(頭部にある羽だか耳だかが)をパタパタさせながら同意する。それを摘み愛でたいと言う本能的欲求と、シャワー浴びるとベチャってなるのか検証したい科学的欲求が頭の中でせめぎ合った後に対消滅した。芸術は爆発である。
「オルトリンデは戦闘力では若干私達より低い所が心配ですが、相手の力量を測る為ならその方が良いかも知れません。敵サーヴァントが宝具を使うタイミングに注意を払う様にします」
綺麗な金髪が喋る度に微妙にふわふわ揺れるスルーズが最後にそう締めた。あの金髪で滑り台を作ろう。大発見だ。そして学会に発表しよう。人生の意味を見つけた気がする。真祖の尻は関係ないぞ。
途中幾度かオタク的な精神汚染があった気がするが、特に問題はないだろう。そんなこんなで作戦会議や、準備を終えれば気が付けば日は沈み、夜は更けていった。
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都心でもないせいか、地元の夜の街は廃墟に通ずる程の静けさだ。
どことなく温度が低い気もするし、やはり人間は明るい内に行動する種なのだろう。
2年振りの外出はなんの感慨もなく行われた。
まぁ周りの建物から大量の蒼崎橙子が襲い掛かってこない限り冷静に対処できるだろうと自身のスペックが告げている。
3人は霊体化して俺の周りを囲う様に付いてきているのでそう言った安心感があるのかも知れない。
『マスター。まずはどこに向かうの?』
頭に声が響く。念話と言うらしい。サーヴァントってのは便利なもんだ。かがくのちからってすげー。
『知らん。俺も外に出るの久しぶりだから取り敢えず人気の無さそうで事件があった大きめの自然公園に向かうぞ』
『了解! 当世の風景をのんびり見ながら回れるのって、あはは。なんだか楽しいね!』
ヒルドは明るい声音でそんなことを言うが、現代人である自分には同意できる感覚ではないので返答はできない。そういうものだろうか。
霊体化してるせいで顔は確認できないが、心なしか3人の気配はやや嬉しさ、いやワクワクしてる様に感じる。本人達は同位体とか言っていたが表に出やすい感情に差がある時点で感じ方や在り方は違うのではないだろうか?
そんな疑問を考えていれば、こちらを伺っていた公園外のマンションの屋上辺りにいた気配が一気に近づいてくる。知らん振りをして歩くのを続けていればオルトリンデが実体化して俺の前に手を突き出し制止を促した。
「マスター。敵サーヴァントと思われます。警戒を」
「お見事……と言うには侮り過ぎですか。ランサーのサーヴァントに相違無いですか?」
「ええ」
美しい銀とも白とも取れる長髪は夜の公園の街灯でも見て取れた。
まるで時代劇の様な和装と弓を携えた嫋やかな雰囲気を持つこの女性が敵サーヴァントの様だ。
彼女の出現と同時に迎撃体制を取ったオルトリンデが光の粒子と共に出現した盾と光の槍を構えた。
「日本出身のサーヴァントなら登場時に堂々と名乗るのが日本流では?」
適当も甚だしいし服装だけでの日本出身判定であるが取り敢えずそう声をかけてみる。
案の定あまりにもあからさまな真名の訪ね方にくすりと笑われてしまった。滑稽な自身の言の恥ずかしさもあるが、その動作は可愛い。無罪判決だ。
「そう在れば良いのですが、それは叶わぬのが聖杯戦争というもの。今は……そうですね。『アーチャー・インフェルノ』とでも名乗っておきましょう」
余り良い思い出のある名では無いのですけど。とこれまた可愛いらしく笑って応えられた。可憐な女性である。
サーヴァントってなんかそういう二つ名があるものなのだろうか。ワルキューレ達は言ってなかったけどうちの子達にも何か付けてあげないとな。取り敢えず直感で。
「成程な。ならば我が『ランサー・クソカワユス』が迎え撃とう」
えっ? みたいな視線が味方の3人から、特にオルトリンデから特に強く感じられた気もするが言葉は弾丸の様なもの。役者に必要なのはアドリブ力で、吐いたツバは飲めんのである。
今、此度の聖杯戦争において、最初の戦端が開かれたのだった。
作者「生きとし生けるもの皆イチャイチャを求めん・・・」
もうひとりのボク「あ~、なんやかんやで勝利してで飛ばしてイチャイチャ書けば?」
作者「即イチャとはパンモロのようなものだ。それはそれで嬉しいが」
もうひとりのボク「ふぇぇこいつ業が深いよぉ」
ふつうやろ(´・ω・`)