爽やかな春の風に、たなびく金色の髪。
すっと伸びた背筋は後ろからでも凛々しさや気品を感じさせ、黒いニーソックスに包まれた美脚は艶やかさを感じさせる。
紺色の、遠月学園のブレザーを身にまとった美少女、薙切えりなは学園内の中庭を散歩といった風体で一人、闊歩していた。
「はぁ…はぁ…えりなたん…」
そんな彼女の後ろを付きまとう者が一人。
彼もまた遠月学園の生徒、そしてえりなの同級生であった。
名は肝井草男。
寸胴のように膨れ上がった肥満体で、大樹の幹に登り、えりなの後ろ姿を見て耽っていた。
「はぁ…えりなぁ、愛してるよ…はぁ、はぁ」
しきりにえりなの名を口にしながら、抱き着くようにしがみついた木の幹に腰を擦り付けている。
ズボン越しに膨れ上がったペニスを幹に擦り付けて、自慰に耽っているのだ。
「あぁっ!えりなえりなえりなえりなえりなえりなえりなえりなえりな…!」
黒ずんだ毛穴からは多量の脂汗が滲み出て、吐息の荒くなった口元には黄ばんだ歯が覗く。
えりなの後ろ姿が視界から消える前に、絶頂を迎えんと、必死になって腰を振りたくる。
「うあぁっ!出るっ!出るよえりなぁぁあああっ!」
自らの想いを届けるように大声を出して果てた草男に、一瞬えりなが怪訝そうな顔をして振り返る。
しかし、木に登っている草男の姿はその目に映らなかったようだ。
すぐに前を向き、草男の視界から消えていく。
「はぁ…はぁ…怪しむえりなも、可愛かったよ…はぁ、はぁ」
ズボンから染み出た精液がポタポタと大樹の根元へ垂れていた。
しばらくオナニーの余韻に浸るように大きく息を吸って、幹の上で収まらぬ胸の動悸を落ち着ける。
呼吸が整った所で草男は命綱をつなげて、慎重に木から降りていった。
「そこの貴方?何をしているの?」
足を地面に着けた瞬間、何者かに声をかけられる。
声の高い、鈴の音のような玲瓏とした声だった。
振り返ると、その声の主が近付いてくる。
桜色のショートボブを揺らして、少女は険のある顔つきでこちらへ迫って来る。
遠月学園高等部の者なら誰もが知っているであろうその顔。
薙切えりなの秘書として知られる、新戸緋沙子であった。
「えりな様の後をつけないで、とあれほど言いましたよね?」
刺すような鋭い視線で草男の目を覗き込んでくる緋沙子。
えりなの後をつけて、緋沙子に警告を受ける事は今までも度々あった。
一方の草男は精液で濡れたズボンを隠すために、恥ずかしそうに木陰に回る。
「え?な、なんの事かなー?えりな様をつけてるつもりはなかったんだけどなー」
「とぼけないで。貴方が木の上からえりな様の後ろ姿を見ていたのを、私はずっと見ていました。さっき大声を出したのも貴方でしょう」
「うっ…」
怜悧な視線にあてられながら、自分のストーカー行為が見られていた事に恥じらいを覚える草男。
もしかしたら射精した所まで見られていたかもしれない。
先程までノリノリでオナニーをしていた草男も恥ずかしさに体を縮めてしまう。
「それと…もうこんな真似は止めてもらえるかしら?」
緋沙子が小脇に抱えていた小包が開かれると、ばさばさっと中から大量の手紙がこぼれ落ちる。
和紙にしたためた和風筒から少女趣味のリボンで閉じたものまで。
その一つ一つに『薙切えりな様へ』という宛名書きがされていた。
「あぁっ、それはっ!」
数百、あるいは数千にも上る数の手紙であったが、草男にはその一つ一つに見覚えがあった。
なぜならそれは草男自身が全て、自らの手で書いたものなのだから。
「肝井草男…貴方の事ですね?迷惑ですので、今後このような事をなさらぬよう」
地面に散らばった手紙の中から一つ、緋沙子が指でつまみ上げると、その中には『肝井草男より』という署名が見えた。
手に取った手紙を捨て、散らばった手紙をそのままに草男のもとを去ろうとする緋沙子。
「ま、待ってくれ!」
散らばった手紙をかき集めながら緋沙子の背中へ声をかける草男。
「…なんでしょうか」
「いくら料理が全ての遠月学園といえども、恋愛をする事くらいは自由だろう?なら僕のえりな様を想う気持ちを君が否定する権利はないんじゃないのか!?」
「あのお方の名前を気易く呼ぶな!」
主君の名前をこんな豚に呼ばれる事さえ腹立たしい。
ましてやこんな醜い男があのお方に恋焦がれているだなんて。
早く草男の存在をえりなから突き放そうという気持ちで、緋沙子の心は一杯だった。
「僕は心の底からえりな様を愛しているっ!それはもう四六時中えりな様の事で頭の中が一杯になるくらい、えりな様の事が好きで好きで…」
「…少し黙れ」
はぁっ、とため息をつきながら額に手を当てて、顔を伏せる緋沙子。
こんなストーカーに付きまとわれるなんて、えりな様もお気の毒に、と。
「そうですね。そこまで貴方が言うなら…私と食戟をしませんか?」
「食戟…?」
予想外の返答に口をぽかんと開けている草男。
「ええ、食戟です。貴方が私を負かせばえりな様とのデートのお約束を取り付けます。ただし、貴方が負ければ、今後一切、えりな様の半径50m以内に近寄る事を禁じます」
どくん。
えりなとのデート、その一言に草男の胸が強く拍動する。
えりなとデートするとなればどこが良いだろう?遊園地?水族館?海辺?
沈みゆく夕陽をバックにロマンチックなキスを交わした後は勿論ラブホテルで熱い夜を…
「うへへぇ…」
「なっ!何を考えている!」
妄想に耽ってついヨダレを垂らしてしまった。
ドン引きしている緋沙子の声で我に返ると、答えは一つしかなかった。
「食戟?受けるよ。君を負かせばえりな様と結ばれるんだろう?そんなの、受けるしかないじゃないかぁ!!」
「結ばれるとは一言も言ってない。ただ一日デートする権利を与えると言っているだけだ」
えりなとデートできると聞き、舞い上がっている草男に釘を刺す。
余程自分の料理に自信があるのか。
同学年の中でトップクラスの実力を持つ自分を前に、ここまで勝てる気でいられる草男の反応が、緋沙子には理解し難かった。
「日付は明後日、時間は…」
「ちょっと待って」
食戟の場所時間を確認する緋沙子に、草男はそれを遮るように手を振りかざす。
「やっぱり、デートでなくても良いや。えりな様の電話番号とメールアドレスを教えてくれるって条件はどうかな?」
「…え?」
あれほどデートという言葉に舞い上がっていた草男が、突如そのデートを破棄してきた事に驚きを隠せない緋沙子。
代わりに提示されたのは、デートよりも軽い電話番号とメールアドレスを教えてくれというもの。
「それでそちらが良いなら」
どういう腹づもりなのか、全く読めなかったが、えりなへの負担が軽くなるのであれば、承諾する他ない。
もっとも、緋沙子は100%勝つつもりでいたので正直どうでも良かったのだが。
「よし!それじゃ僕が勝ったらえりな様のアドレスは教えてもらうよ!で、僕が負けたら半径…5m以内だっけ?ダメなんだよね?」
「半径50m以内だ。よく覚えておけ」
冷たくそう言い放つと、足早に立ち去る緋沙子。
(これでやっと、えりな様をつけ回す虫を一匹潰せる…)
その横顔は自信と安心で満ち溢れていた。
「勝者、肝井草男―!」
満場一致で導かれた草男の勝利に、食戟を見に集まっていたギャラリー達がどよめく。
「う、うそだろ…?あの新戸緋沙子が…」
「負けた、なんて…」
同学年の中では指折りの実力者として知られている緋沙子があっさりと敗北した事に驚きを隠せない同級生達。
しかし、最も驚いているのは、当の緋沙子であった。
(う、嘘だ…ぬかりなく準備もした…判定者の反応も良かった、調理の感触も良かった!…なのに、なんで…)
愕然として、膝を落とす緋沙子に太鼓腹を揺らして草男が近寄る。
その表情は勝利の余韻と嬉々とした興奮に満ちていた。
「ぐふふっ!どうやらこの僕に負けた事が余程信じられないみたいだねぇ」
草男は何か卑怯な手を使った訳ではない。
正々堂々真っ向から己の料理で勝負し、その末に勝利をもぎ取ったのだ。
えりなとお近づきになるためには何が必要か。
それを考えた時に、大前提となると思われたのが料理の腕前だった。
もとより、遠月学園は料理が全ての学園。
その学園に首席で合格したえりなに興味を持ってもらうためには、まず料理の腕前を顕示しなければならない。
そして、それが上手くいけば、えりなと同じく遠月十傑評議会に名を連ねるなど、自ずと道は拓けてくるだろう。
しかし、えりなは十傑の中の末席、第十席。
草男が今の十傑に入るとなれば、えりなを弾き出す形で十傑入りしてしまうだろう。
愛しのえりなを蹴落とす真似はしたくない。
だから、草男は今まで、自分の磨きに磨いた料理の腕前を大っぴらに見せつける事を良しとしなかったのだ。
常に成績は中の中、しかし本気を出せば、正直十傑の連中ですら凌ぐ実力はあると自負している。
(能ある鷹は爪を隠す、ってね)
そこまで料理の腕を研鑽したのは愛しのえりなと恋仲になるため、それだけである。
「じゃっ、約束通り、えりな様の電話番号とメールアドレス、教えてくれるかなっ?」
「…公の場で教えると、他の者にも流出する恐れがある。控室に来い」
青ざめた顔で消えるようにその場を去ろうとする緋沙子。
背けた頬に長い睫毛の影が重たげに映っていた。
控室といっても普段は更衣室として使われている一室。
薄暗い部屋に緋沙子と草男の二人っきりとなる。
調理服から着替えた二人はブレザーを纏い、制服姿になっていた。
無機質に、ガリガリとボールペンの先が紙面を走る。
紙に刻まれるのはえりなの電話番号とメールアドレス。
草男のような醜い豚に教えるなど10000%有り得ない情報だが、食戟で負けた以上、教えざるを得ない。
これを書いて草男に渡したらすぐに、メールアドレスと電話番号を変えて頂くよう書き置きを置いていこう。
そして、えりな様の元を去ろう。
私なぞあの完全無欠なお方の傍にいるべき器ではなかった。
「…これで間違いない。受け取れ」
「うほほぉ!!これがあのえりな様の連絡先…!」
差し出された紙を丁重に両手で受け取ると、舐めるように顔を近付けて凝視する草男。
震えた指からは汗がじんわりと滲み出ていた。
「…」
喜ぶ草男を尻目に、黙って去ろうとする緋沙子。
しかし、ドアノブにかけた手に、もう一つの手が被せられる。
「そう急がなくても良いじゃないかぁ。少し僕とお話しようよ、緋沙子ちゃん」
ずい、とドアと緋沙子の間に体を入れ、緋沙子を押し戻す。
意外な圧力に押し負け、部屋に押し戻されてしまう。
「随分落ち込んじゃってるけど、緋沙子ちゃんの料理、美味しかったよぉ」
わざとらしく、じゅるりと舌舐めずりをする草男。
「でもねぇ、まさか、スッポン料理で来るとはねぇ…」
薬膳料理を得意とする緋沙子が作ったのはスッポン料理だった。
古今東西、精力剤として知られるスッポンは滋養強壮に利用される事も多い。
「こんな可愛い女の子にスッポン料理作られたら、夜のお誘いなのかと思っちゃうよぉ」
「!?」
いきなり手を握られ、壁に押し付けられる緋沙子。
草男の言葉と卑しい目つきから、淫らな事をしようとしている事はすぐに分かった。
「いつもえりな様の隣にいるせいであんまり目立たないけど、緋沙子ちゃんもすっごく可愛いよねぇ…」
犬のように緋沙子の顔をぺろぺろと舐め始める草男。
ぞくりと、凍り付くような悪寒が背筋を走る。
「き、貴様ッ!大概に、しろっ…」
全身に力を込めて、草男を押しどかそうとするも、体に力が入らない。
それどころか、意識もどこかふらふらとして、視界がぼやつく。
「あぁ、さっき緋沙子ちゃん、僕の料理を試食してたけど」
小皿に盛られたものを草男に勧められたので、口にした事を思い出す。
確かに、緋沙子を負かすだけのものはあったが、妙な苦味が喉にまだ残っている。
「あの中にね、実は、睡眠薬を入れておいたんだ」
「す、睡眠薬!?」
草男のブレザーの胸ポケットから白い薬剤の箱が覗く。
という事は、最初から緋沙子に淫らな事をするために食戟を受けたという事か。
ターゲットにはえりなだけではなく、緋沙子も入っていたのだ。
(くっ、こんな奴に…)
えりなの側近として身を捧げてきた緋沙子も一人の少女。
「いい加減に、しろッ!」
好きでもない醜男の変態行為を許す訳にはいかない。
「ぐふっ!」
上手く力はこめられなかったが、緋沙子は膝で草男の股間を蹴り上げる。
急所であれば、わずかな力でもダメージを与えられる。
緋沙子の膝蹴りを喰らって、床に倒れ込む草男。
「おぉ…っ、酷いじゃないかぁ…スッポン料理で僕のおち○ちんをビキビキにさせておきながら、思いっきり蹴るなんて」
草男が倒れている隙にドアへ駆け寄る緋沙子。
しかし、睡眠薬が効いてきたのか、意識がふらついて、思わず転倒してしまう。
「ダメじゃないかぁ、緋沙子ちゃん。逃げようとなんかしちゃあ」
しどろもどろで立ち上がれない緋沙子を跨ぐようにして立ちはだかる草男。
「ほぉら…緋沙子ちゃんのスッポン料理で、こんなにおっきくなっちゃったんだよ?僕のおちん○ん」
カチャッ、ジーッ…とベルトとジッパーを外すと、勢い良くズボンを下ろす。
下着ごと下ろされた下半身は一糸まとわぬ姿となり、反り立った努張が情熱に滾っていた。
「…きゃあああああああっ!?」
いきり立ったペニスがぶらぶらと、緋沙子の目の前で縦に揺れる。
咄嗟に目を閉じて顔を両手で覆ったが、一瞬だけ見たソレの残影が、暗闇の中でも鮮明に現れる。
「あれあれぇ~?緋沙子ちゃんもしかして男の人のお○んちん見た事なかったのかなぁ?」
おちょくるようなふざけた声を出して、緋沙子を挑発する草男。
見た事があったとしても、目の前でいきなり露出されたら誰もが驚いてしまうだろう。
「ぐへへっ…緋沙子ちゃんが悪いんだよ?スッポン料理なんて食べさせて、僕をその気にさせるから…」
「ちょ…貴様、何を!」
ブレザーとシャツを強引に脱ぎ散らかすと、仄暗い部屋で脂汗に光る肥満体が露わになる。
まるでゴキブリだ。
全裸になった草男は、腰に力が入らず、立ち上がれない緋沙子に、覆い被さるように腰を沈めていく。
「…!?やめろっ!抱き着くな!」
「はぁ、はぁ…緋沙子ちゃん良いにお~い」
ふんふんと鼻を鳴らして、緋沙子の香りを堪能する草男。
抵抗しようにも力が入らないのでなされるがままにされてしまう。
「うへへ…これもえりな様の傍にいるせいで目立たないけど、緋沙子ちゃんも結構オッパイおっきいよねぇ」
緋沙子の腹の上に馬乗りになった草男は、乳房を揉み出す。
ブレザーの上からでも形の分かる豊乳は、15歳にしてはかなり発育している。
「くっ、やめろと言っているのが聞こえないのか!この変態!」
一杯に広げられた平手は、力無く草男の頬に叩きつけられる。
意識が鈍っているせいでビンタも満足にできない。
草男はそんな抵抗をものともせず、緋沙子の乳を揉みしだく。
それに、気になっていたのは胸だけではない。
緋沙子のふとももにあてがわれたペニスが、さっきから大きくなっているのだ。
両脚で緋沙子の片脚を挟むように固定し、乳房を堪能しながら素股を愉しむ草男。
普段、体に良い物を多く摂っているせいか、緋沙子の肌はすべすべだった。
「いつもはえりな様の秘書として謙遜してる感じだけど、今日はそんな遠慮いらないからね。今夜は緋沙子ちゃんを僕のお姫様にしてあげるよぉ!」
『僕のお姫様』という言葉にぞわりと不快感と嫌悪感が滲み出る。
普段はえりなの秘書として黒子に徹する彼女だが、彼女にも一定の理想はある。
こんな奴の姫にされるだなんて冗談じゃなかった。
「王子様とお姫様の夜伽がこんな床の上じゃ興醒めしちゃうね。そこのベッドでしよっか」
あらかじめ草男が用意していたのか、質素な部屋に不似合いな真新しいベッドが隅にあった。
ふらつく足では抵抗もままならない内に、ベッドへ押し倒される緋沙子。
「とりあえず僕は脱いだ事だしさ、緋沙子ちゃんも脱いじゃおっか?ねっ」
「や、やめろ…服を掴むな!あっ!」
強引にブレザーの襟を引っ掴んで脱がすと、シャツも引きちぎるようにして脱がせ、スカートもずり下ろす。
あっという間にひん剥かれた緋沙子はピンク色の下着も引き裂かれ、黒のソックスのみとなってしまう。
「やっぱりスタイル良いねぇ…緋沙子ちゃん」
豊かな乳房に引き締まった腰。
均整のとれた肢体はとても15そこらの少女とは思えない。
「女の子の裸見るの、これで初めてだけど、緋沙子ちゃんでこれだったらえりな様は…ぐふふっ!とんでもないんだろうねぇ!」
「あのお方の下劣な妄想をするな!!」
草男の妄言に吐き捨てるように声を荒げる緋沙子。
もうえりなの傍には戻らない、と心に誓ったものの、えりなを想う心を完全に捨て去る事はできなかった。
「そう怖い顔しないでよぉ~、せっかくの可愛い顔が台無しだよ?」
緋沙子の威勢を逆撫でるような、ふざけた態度を取る草男。
普段はたおやかで、家庭的な雰囲気すら漂わせる彼女も、この時ばかりは眉間に皺を寄せ、烈しい憤りを露わにしていた。
「それに、今日は緋沙子ちゃんがお姫様の日なんだからね?えりな様の事は気にかける必要はないんだよ」
草男の顔がぐっと近づき、お互いの息と息がぶつかり合う。
「機嫌直しに王子様とお姫様の熱い接吻、しちゃおっか…」
草男の口先に力が込もり、獲物をついばむ魚の口のようにすぼめられる。
狙うは初々しい、薄紅色の緋沙子の唇。
「なっ!やめっ…むっ!?ん゛んっ!!」
襟足に伸びた桜色の髪をかき分け、うなじを両手で抱えた草男は、自らの唇の方へ引き付けるようにして、深く強く濃くキスを味わう。
お互いの鼻と鼻がぐにゃりとぶつかり合い、顔全体を押し付けられた。
ぶぢゅっ!!ぢゅるっ、ちゅっ!ぢゅぞ、ちゅくっちゅくっ!
緋沙子の頭を抱えた両腕に、か細い指が爪を立てる。
しかし、キスの快感に陶酔している草男は、爪を立てられる痛みなぞ全く感じない。
唇全体を覆われるように重ねられ、草男の口の中で緋沙子の唇が舐り尽くされた。
(初めてなのに…こんな奴に…!)
えりなの秘書一筋だった緋沙子にとっては恋愛など二の次三の次、ましてやキスなど絵空事。
しかし、緋沙子も一人の乙女として、お互いを想い合い、愛し合う異性とファーストキスを交わしたい、そのくらいの理想は持っていた。
それが儚くも、目の前にいる醜悪な男によって打ち砕かれる。
悲しみと恐怖に歪んだ緋色の瞳は、陽炎のように涙の中で震えていた。
ちゅばっ、ねぱぁっ…
唇が離れてもなお、名残を残すように、ねっとりとした唾液が糸を引く。
顔を上げた草男が見下ろすと、緋沙子の頬に一筋の涙が垂れているのが目についた。
「はぁっ、ふぅっ…もしかして、緋沙子ちゃん初キスだったの?うはは!こんなに可愛いのにまだキスもした事なかったなんて」
「ぅ、うるさい…触るなぁ!」
緋沙子の頬に指を当て、零れた涙をすくう草男。
純情の疵口をえぐる悪魔の手を、緋沙子は思い切りはたく。
「僕も女の子とキスしたの初めてだったけどねぇ、緋沙子ちゃんの唇、軟らかくてふわふわで…もう、気持ちよかったよぉ!」
悦楽にだらしなく開いた口から唾液が漏れる。
ぼたぼたと垂れた唾液は緋沙子の顔を妖しく濡らした。
「ふざけた事を…ほざくなっ…」
力が入らない中でも、左右に体を捻ってなんとか逃げようとする緋沙子。
馬乗りになった草男の腹を両手で押すもびくともしない。
「そう僕の事嫌いにならないでよ。今夜、僕は君の王子様なんだから。…それに、さっきのキスで僕のここ、こんなになっちゃったんだからぁ!」
「…いやぁっ!」
膝を立てると、いきなり緋沙子の顔の前で痛いほど勃起したペニスを見せつける。
スッポン料理で下半身が温かくなった上、蕩けるようなキスで限界まで膨れ上がってしまったのだ。
今にも爆発しそうに赤く膨張したペニスを眼前にして、恐怖の余りに顎をわなわなと震わせる緋沙子。
「うへへぇ…どうしよっかぁ」
垂れた腹を押し上げるくらいまで反り立ったペニスに、中途半端に被った皮を剥きながら思案する。
とりあえず一発出したくて出したくてしょうがない気分だったのだ。
さっき味わった唇でペニスをしゃぶってもらったらどうなるだろう?
きっと腰がはじけるくらい気持ち良くなって、すぐにイっちゃうんだろうな。
あるいはパイズリで緋沙子の顔に出してやるというのもアリかもしれない。
年端に似合わず豊かに実ったその乳房は、僕のペニスを包むのに十分だろう。
もしくは顔に直接すり付けてやるというのも良さそうだ。
緋沙子の可愛い顔を見ている内に答えが導き出される。
「亀頭は亀頭でも僕の頭は切っちゃダメだからね、優しくしてくれよ…」
食戟の時に、緋沙子が躊躇なくスッポンの頭を切り落とした事を思い出す。
あんな風に僕の亀頭も痛々しい目に遭わなければ良いのだが。
ズボッ!!
「…ぐむぅっ!!?もが、んごっ!?」
口にペニスを突っ込まれた緋沙子が、目を見開いて何やら呻いている。
おそらく何が今自分の身に起こっているのか理解できていないのであろう。
フェラチオという言葉すら知らなかったかもしれない。
「はぁ、はぁ…いいよぉ、緋沙子ちゃんそのまましゃぶっててねっ」
じゅぽっ、じゅぽっ
唾液で濡れそぼった口腔を熱く火照ったペニスが淫らな音を立てて、抜き差しされる。
緋沙子の顔を股に挟むようにして、掴んだその顔を激しくグラインドさせる。
ざらざらした舌の表面に亀頭を擦り付けるのが草男のお気に入りだった。
「んむっ!んぐぅ…っ、はむっ!んっ、ふっ…」
日頃、えりなの振舞う絶品料理や自前の薬膳料理を味わうこの口に、限界まで勃起した男性器が入っている事を、緋沙子は認められなかった。
舌から伝わる独特の苦味は本能的に緋沙子の雌を呼び覚まし、いやでも体が熱くなってしまう。
「…!?」
虚ろな目から一転、瞳孔に力が戻ると、すぐさま顎にぐっと力を込める。
理性の目覚めた緋沙子は、草男の猛る本能に歯を立てた。
しかし、あまりにも草男のペニスが大きく、硬過ぎるせいで、しっかりと噛み付けないのだ。
反対に緋沙子の顎が疲れる一方であった。
「緋沙子ちゃんそんな甘噛みされたら、余計気持ち良くなっちゃうよぉ」
非力な緋沙子の噛み付きなど草男にとっては甘噛みに過ぎない。
「緋沙子ちゃんも僕に気持ち良くなって欲しいんだね?嬉しいよ。君に奉仕してもらえるなんて…」
(奉仕だと…ふざけるなっ…)
奉仕とは心の底から尊敬できる人物へのおもてなしの事。
こんな変態に奉仕をするなど、ありえない。
一瞬、えりなの顔を思い浮かべると、さらに顎に力を込める。
「だからそんな風に甘噛みされたら…っ、うっ!イっちゃう!」
ドビューッ!ドビューッ!ドビュドビュッ…
フェラをさせてからものの2分ほどでイってしまう草男。
幹の上でえりなをオカズにオナニーした時以来、溜めていた濃厚な精液が緋沙子の口腔を一杯にする。
「ん゛、むぅっ!?」
喉奥深くに注ぎ込まれるように口内射精をされた緋沙子は自然にその精液を飲み込んでしまう。
くっくっ、と貝殻のような咽頭が鳴るのを見て、草男は初めて緋沙子が自分の精子を飲んでくれている事が分かる。
喉を下ると、独特の苦味が口一杯に広がり、やがてそれは不快感や嘔吐感を催す。
忌み嫌う草男の遺伝子を飲まされているなど信じたくなかった。
ペニスが引き抜かれると同時に、口に残った精液を吐き出すも、舌にべっとりとしつこく粘ついたものは何時までも不快感を与え続ける。
緋沙子の唾液でてらてらに濡れたペニスは、未だ努張を保っている。
それどころか、射精前よりも長く太く、逞しくなったようにさえ見える。
「くふっ!ごほっ…うぅ」
体を丸くして、咳き込んでいる緋沙子。
しかし、涙をためたその瞳は、草男への荊棘を忘れてはいない。
「緋沙子ちゃんのお口の中、気持ち良かったよ…でもね、おかげでもう、ガマンできなくなっちゃった」
仰向けになった緋沙子の両手首をベッドに押し付け、磔のような体勢で固定すると、下半身同士を擦り合わせる。
いわゆる正常位といった体勢だ。
これから何をされるのか悟った緋沙子は、脚をばたつかせ、草男を蹴りつける。
「やっ、やめろ!貴様、何をするつもりだ…!」
「ナニをするって?そりゃあ決まってるでしょ。男と女の愛の営みってやつだよ」
腐った魚のような異臭のする吐息を吐きかけながら、草男は腰を浮かせる。
自分の秘所に草男の先端が当たるのを感じて、必死にもがく緋沙子。
「今日は緋沙子ちゃんを僕のお姫様に…僕のオンナにしてあげるからね。最初は痛いかもしれないけど、我慢してくれよぉ」
唾液とカウパー液で濡れた亀頭がぬぷぬぷと緋沙子に侵入してくる。
「ひっ、いやあ!」
折り曲げられた脚で草男の腹を蹴って、なんとか押しどかそうとする。
が、睡眠薬で鈍った体は本来の力の半分も使えない。
無力な少女は欲望と情熱の淵へ落ちてゆく。
「あぐっ、うっ、あぁああああああああああああっ!!!」
草男の腰が緋沙子の尻に押し当てられると、猛った欲棒は全て膣に収まる。
その瞬間、緋沙子の処女膜は破れ、無垢で清廉な乙女の園は男の熱く滾った情欲で強引にこじ開けられていく。
「い、痛っ!痛い!抜いて、抜いてっ!」
哀願するような悲鳴に思わず腰を引く草男。
普段は冷静な態度でえりなの脇を固めている緋沙子だが、一人の女にさせられた今、女性としてのか弱さが露わになる。
女を支配する悦びに笑みを浮かべながら、軽く突いてやる。
「はぁ、はぁ、ごめんねぇ…緋沙子ちゃんが可愛いからつい、奥まで突いちゃった」
極度の興奮で震える手で乳房を鷲掴みにしながら、なるべくゆっくりと腰を揺する。
重たげに腹をたぷたぷと揺らし、不慣れそうにカクカクとピストンを繰り返す。
「ひ、ぐっ…許さんぞ、貴様が今日した事は全て…んむっ!?」
言葉を遮るように、唇を重ねられる。
再び蘇るあの感触。
薬を盛られ、キスをされ、もがく事も叫ぶ事もできずに、緋沙子はただただ屈辱を舐めさせられるだけ。
草男のキスはさらにエスカレートし、舌まで挿し込んでくる。
硬くいきり立ったペニスならともかく、舌なら思い切り噛めるだろう。
そう高を括った緋沙子の考えも虚しく、おとがいを掴まれ、顎を閉められなくされてしまう。
口を半開きにさせられている状態でディープキスをされているので、唾液が唇の端から漏れてしまう。
草男は時折、重ねた唇をスライドさせ、顎に垂れた緋沙子の唾液を吸い取る。
普段の緋沙子からは想像もできないようなはしたない表情。
それがなんだか、緋沙子には日頃他人には見せない自分の内部を監視されているようで、恥ずかしかった。
ディープキスをしながら挿入しているせいか、膣の中でペニスがさらにむくむくと大きくなる。
唇に集中しているおかげで腰の動きはおろそかになっていたが、こんな巨大なモノで突かれたらどうなるのかと、恐怖を煽られる。
もしかすると女性器が壊されてしまうかもしれない、そこまで危惧させられるほど草男のぺニスは凶悪且つ凶大だった。
くちゃ、ねちゃっ!ちゅるるっ…ちゅばっ、れろ、ちゅくっちゅっ
「ぷはぁっ!」
唇と舌で散々淫らな音を奏で、唇は離れていく。
おとがいを掴まれたままだったので、唇の離された緋沙子はだらしなく開いていた。
「うほっ!緋沙子ちゃんエロい顔してるねぇ!」
まるで主人に餌をねだる犬のようだ。
口を慎ましやかに小さく開ける訳でもなく、あんぐりと大きく開ける訳でもなく、中途半端に開かされた緋沙子の口は「はぁっ、はぁっ」と掠れた息を発している。
屈辱と怒りに潤んだ瞳は、男に媚びる売女を連想させる。
その様が、草男が緋沙子を屈服させたという最も象徴的な姿に見えて、草男の興奮を誘う。
「もう一回キスしよっか」
嗜虐心くすぐる緋沙子の表情に、思わずもう一度唇にかぶり付く草男。
乾いた唇に、草男の唾液が染みていく。
「むぅっ!うぅぅっ!!」
今度は口付けもしながら腰も振る。
体を重ね合わせ、唇を押し付け、緋沙子の凹に自らの凸をはめ込む。
こうする事で、体も心も一つになれた気がするのだ。
唇から伝わる甘い官能が、草男のペニスをより膨らませる。
それだけには留まらず、舌と舌も絡み合わせる。
草男の舌先が緋沙子の舌に触れた途端、バチンと体を震わせるような衝撃が神経に走る。
まるで静電気のようだった。
それが電流となり脳髄を灼き尽くした後は、脊髄を伝って、睾丸をも打ち震わす。
「うおおおおおおおわああっ!!出るぅうううううううううっ!!!」
ドビューッ!!ドビュッ!ドビュッ!ドビュルルル!
「えっ嘘!?いやっだめ!中はだめえええええええええええっ!!」
体を仰け反らせ、潸然と零した涙を舞い散らす。
最奥までペニスに貫かれたかと思うと、子宮に直接精子を注ぎ込まれる緋沙子。
屈辱と汚熱に苛まれ、非情な仕打ちに顔を両腕で覆う。
「はぁっ、はぁっ、まだ出てるよぉ…緋沙子ちゃん」
数分間射精し続けたのにも係わらず、未だにペニスはぴくぴくと脈動し、できるだけ数多くの種を緋沙子に注ごうと必死になっていた。
「へへ…まだまだ、スッポン料理でビキビキにさせられた分は出し切れてないからねぇ。今夜は長いよぉ~!」
射精の余韻に浸る暇もなく、さらに次の絶頂へ登りつめんと腰を振り出す草男。
ズッチュズッチュと精子で濡れた膣道が淫らな音を立てる。
(えりな様…逃げ、て…)
灼熱の溶岩に浸されてもなお溶けない鉄のように、硬く鍛えられた少女の忠義は主君を思い続ける。
そのひたむきな誠忠ぶりが主君を苦しめる事になるとは知らずに。