※この作品はR-18です。

影法術士は月に笑う   作:翠晶 秋

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第一章 ~清楚ナル神ノ剣~
影法術士は託す


「アルテイル様。儀式の準備ができました」

 

白い髪を長く垂らした女が話しかけてくる。

この職業を持って長くになるが、もう潮時か。

 

「わかった。連れていってくれ」

 

この通り、今の私は老人のように弱々しい。

飯を食らうにも、配下であるターナの介護が必用だ。

能力もほとんどが機能を停止している。

 

「君は、怖くないのか?儀式がおわったら、君も朽ちるんだぞ」

「今まで、アルテイル様に十分に可愛がって頂きました。恐怖など欠片も浮かびません」

 

私のベッドを押すターナに手を伸ばす。

私の配下は年をとらない。胸のはりだってそのままだし、髪もツヤツヤのままだ。

 

「アルテイル様。どうかそのような顔をしないでください。私はちゃんとここにいますから」

 

私だって死にたくない。

けれど、全盛期よりもすっかり衰退してしまった私では、先代の目標は達成できない。

やるしか、ないのだ。

 

「ありがとう、ターナ。愛している」

「もったいなきお言葉」

 

ターナが歩みを止めて顔を寄せ、口づけをしてくる。

幸せだ。

幸せ故に、離したくない。

思えば、ずっとこの職業に振り回されてばかりだったな。

ターナはまた歩みはじめ、やがてギィと扉の開く音がする。

 

「アルテイル様、部屋につきました」

「…ついに来たか。始めろ」

 

ターナが引き継ぎの祝詞を紡ぐ。

あれが完成したら、私やターナ、他の配下が朽ち、【影法術士】(えいほうじゅつし)が引き継がれる。

 

「────影の名におき、次へと還さん───」

 

やっぱり、ターナは詠唱が上手だ。待たせてくれない。

 

 

あぁ、どうか。

 

次の後継者は、もっと自由に生きられますように──────

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、シェイ!」

「えっ、なに…?ヒュウリ君」

 

僕は今、長い長い列に並んでいる。

お店かと問われれば、そうじゃない。

 

「お前、自分がなんの職業になると思う?俺様はもちろん、勇者だぜぇ!」

「無理だよ、【勇者】は世界に一つの職業なんだから」

「んだよぉ、つれねぇなあ」

 

そう、僕らの職業を決める列だ。

12歳になると、職業が決められる。

【剣士】、【魔術師】、【狩人】…

さらには【大工】や【調合術士】、なんて細かい職業まである。それらは、僕らの未来を形作る土台となる。

自分がどんな職業に選ばれるか、みんなワクワクしている。

 

「んで、お前は、どんなのが良い、シェイ?」

「そうだなぁ、【魔術師】とか…【獣使い】とか?」

「見事に後方タイプだなぁ。っと、来た来た、俺の番!」

 

普段は協会にいる【聖女】の職業を持つお姉さんが、神様に祈って職業を開花させてくれる。職業が開花すれば、自分のステータスの確認ができるようになり、そこで職業を知る訳だ。

 

「ありがとうございます!さぁて、どんな職業かなっと」

「さてお次は~?お、シェイ君だぁ」

 

ヒュウリ君がどき、僕の番だ。

 

「よろしくお願いします」

「まっかせて?『神よ、導きを』…」

 

そうして、僕も職業を得られた。列から抜け、ステータスを開く。

あれ?職業【影法術士】(えいほうじゅつし)?

聞いたことがないなぁ。

 

「おうシェイ、どんなだった?」

「影法術士だって。なんだろう、これ?僕、知らないんだけど」

「お姉さーん!シェイが変な職業開花したー!」

 

すぐにヒュウリ君がお姉さんを呼びにいく。

 

「どうしたの、シェイ君?」

「【影法術士】ですって」

「え…それは、私にも分からないわねぇ。もしかして、新種かな?」

 

職業は無数にあって限界はわからない。どこかの【学者】さんは新種の職業があっても、おかしくないと言ってた。

 

「げぇー!マジかよシェイ、新種!?スキルは?何使えんの!?」

「え、えーと…うわ、見たことない。【影魔法】(かげまほう)だって」

「すげぇ!」

 

僕はワクワクしていた。

この先、どんな未来が待っているのか。

良い未来だと良いな。




長いのにエッチシーン無くてスマソ。たぶんしばらくないから過度な期待しないでぇ
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