次にシリアス、その次でようやくエッチ回かな?
「妖術っ!【猫の瞳】!」
「【影幻の実体術】。その視界、塞いじゃいましょうねぇ」
猫男の目が光ったので、男の目の前に影の壁を作って妖術を防ぐ。
すると、壁がピキピキと石化していき、やがてガラガラと崩れ落ちた。
「フレイヤ。影の力、使い方はわかるな?」
「大丈夫です、主様」
俺の配下、それも【特上】ともなれば、影の力をいくつか開放させることができる。
フレイヤは【特上】として淫紋をつけたので、もう既に影の能力が開花しているはずだ。
フレイヤは背中から黒い翼を展開し、部屋の天井付近へ向かう。
影の能力を使うためだ。
猫男が突っ込んできたので、軽く飛び越えてついでに頭の頂点の毛を影から作った剣で剃る。
「あっれぇ?ほんとにハゲになっちゃった?」
「ぬ、ぬお?あ────」
自らの頭に手をあて、確認する猫男。
やがて、俺が剃った場所辺りまで手が届き…。
キュッ
「ぷ…ぶあはははは!『キュッ』て!今頭『キュッ』て!あははははは!」
「きぃさぁまぁぁぁぁぁぁ!」
「ウケるー!」
「殺すっ!」
怒りで我を忘れたのか、先程と同じように一直線に突っ込んでくるハゲ猫。
やはり俺に飛び越えられ、今度は前髪を剃られてしまう。
前髪を切ったらどうなるか?
もちろん…。
「ウケるー!デコ光ってやんのぉー!あははははは!」
「アアアアアッ!!」
梅に顔がついたらこんな顔になりそうだな…そんな顔をしているハゲに、親切にも俺は忠告する。
「あ、そこ。あぶないっスよ」
「どうせハッタリだろう!もう我慢ならん!」
「さっきからそれしか言ってないじゃないですか。そんなんだからまた髪の毛無くすんだよ────やれ、フレイヤ」
ジョイン、と男の後ろ髪が宙を舞う。
俺は、窓に背を向ける形で立っている。
男は俺に相対する形で立っているため、月明かりに照らされて影は後ろに延びていた。
フレイヤの影スキルは【影斬り】。
相手の影を真っ二つにし、しばらくの行動を封じる技だ。
フレイヤは影に向かって剣を振り下ろしたものの、その副産物として男の後ろ髪が犠牲になったワケだ。
「おっ、おおお」
「動けないだろ?怖いだろ?」
「おおお!おおー!」
【影斬り】を使われたら、目と内臓しか動けなくなる。
要するに、目を動かすことと、
スキルも、妖術も使えない。
「チヨ、起きろ。ここまでしてやったんだ、最後はやりたいようにやれ」
「…なにからなにまで、ごめんね。ってか、なにこの頭。光ってるよ?」
チヨが手甲から爪を出す。
男の目には、怒りの感情があった。
「おおー!」としか聞こえないが、きっと『汚ならしい狐風情が!』とでもわめこうとしているんだろう。
チヨはにっこりと微笑み、男に近づくと…
ジョインッ
その、耳の毛を剃った。
「お!?おおーっ!!オーオーッ!!」
「ぷはっ、あははは!チ…ごほん、お前最高だよ!」
「でしょー?ここまでやってもらったら、そりゃやらなきゃね!」
「おおー!!」
なんかハゲが怒りのこもった目で見てきたからチヨと二人でこう言ってやった。
「「ウケるー!」」
「おおーっ!!おー…」
耳の付け根や人間なら耳がある場所は剃らない。
適度にプライドを残していくのだ。
「ほらほら見て!お月様!」
「おいおい、それはお月様に失礼だろー?」
「月は神聖なものです。侮辱は許しません」
「おおー!」
月夜に、俺達の笑い声と猫男の悲鳴がしばらく響いた。