「……ふぅ。遊んだ遊んだ」
チヨが息をつき、一度目を閉じる。
次に瞼を開けたチヨの目は、殺しをする者そのものだった。
「おっ、おお……」
気迫に気圧され、猫男の目が震える。
「まずは、君の罪を数えようか」
チヨは左手の爪をしまって手のひらをぐーにし、男の目の前まで持っていく。
「一つ。里の掟、『他種族を見下さない』を破ったこと」
人差し指がぴんとのびる。
「二つ。違法とされている他種族の売買を行ったこと。そしてそれを隠蔽しようとしたこと」
中指と薬指がのびる。
男の額に脂汗が涌き出てきた。
「三つ。狐獣人を売りに出したこと。これは私怨だね。でもカウントしちゃう」
小指がのびる。
罪が曖昧になった。
「四つ。・・・」
カッコつけようとしたけど何を罪にしたらいいのかわからなくなったんだな。
俺はチヨに近づき、その親指を張らせる。
「四つ。人を殺そうとした罪、だな」
「……ごほん。以上、君の罪だ」
「この罪、【天使】の職を持っていた彼女に裁いてもらう」
隣で目を閉じていたフレイヤが「えっ」と目を見開く。
許せ、フレイヤ。天使だったお前が悪い。
「えー……こほん。では、今から審判しよう」
「汝の罪、それは人にあるまじき行為であるため…」
「死刑に処す」
「執行人、狐獣人代表、チヨ」
チヨの名前を聞いた男が目を慌ただしく動かす。
チヨは左手の爪を取りだし、男に肉薄した。
「一つッ!!」
「オオッ!!」
ズブリ、と男の胸に爪が突き刺さる。
「二つッ!!!」
「ゴヴォっ」
右手を抜くと同時に、左手の爪を突き刺すチヨ。
「三つッ!!!!」
「ヴヴヴォっ」
右手を抜き、今度は両手で心臓目掛けて爪を突き刺す。
「四つッ!!!!!」
「……コプっ」
上段から爪を振り下ろす。
顔に線が走り、男は口に溜まっていた血を吐き出した。
既に事切れているだろう。
「……今思いついた五つ目。……ボクを、バカにしたこと。………………五つ」
腕をクロスにし、最後に首をとばす。
すでにそこに、里の長はいなかった。
あるのは肉体のみ。
魂も、きっと生まれ変わりたいだなんて思わないだろう。
現在進行形で、何かをぶつけるように、チヨが首の無い肉を斬りつけ続けているのだから。
「うあああああああああッ!!!!!!!」
とんだ首がハゲなのがすごくしまらないが。
◇
「……こほっ」
チヨが咳き込む。
爪を振り下ろしている間、ずっと息を止めていたみたいだ。
「……ー終わったか」
「……シェイ?」
チヨがこちらに振り向く。
目は虚ろ、唇も渇き、呼吸も掠れている。
日溜まりのような橙色の髪も今や真っ赤に染まっている。
「シェイ、苦しいよ。楽しくて、気持ちよくて、嬉しいはずなのに、胸が締め付けられて、これ、何?」
俺は無言でチヨを抱き締める。
やはり、チヨは幼すぎた。
「……今はそれに耐えろ」
「……ぐすっ。ねぇシェイ、しばらくこうしてていい?」
「あぁ。その苦しみなれるまで、ずっとこうしてやる。フレイヤ、来い」
しばらくの間、俺とフレイヤに挟まれてチヨは泣いていた。
次でようやっと行けるかなぁ。
長くなりそうだなぁ、エッチシーン。
それでもおけ?
おけなら感想をば(殴