※この作品はR-18です。

影法術士は月に笑う   作:翠晶 秋

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影法術士は日記を見つける

 

「う、ううん…?」

「お、起きたか?」

 

後ろからチヨの声がする。

振り向いてチヨの方を見れば、チヨが起き上がっている。

 

「う、うん。ボク、結構寝て…た……ッ!?」

 

一度寝て思考がクリアになったことで寝る前(セックス)の事を思い出したのか、顔を赤くしてチヨは胸元の毛布を口元まで上げた。

と、そこであるはずの無い毛布に気付いたようだ。

 

「これ、シェイが…?」

「あぁ。風邪を引かれたら困るからな」

「そっか。ありがとう…」

 

俺は微笑し、外套の腹ポケットに手を突っ込んでチヨの元へと向かう。

 

「月を見てたの?」

「あぁ。今夜は月が良く出ていたからな」

 

先程まで、窓側で月を見ていたのだが、大変良いものだった。

満月に勇者の顔が鏡のように浮かび上がって来て、思わず暗い笑みが溢れて来た程だコンチクショウメ。

 

「ねぇ、あまり覚えてないんだけどさ、【特上】ってどういう意味?」

「うーん、そうだな…。気に入った女をそう呼んでいるだけだ」

「それは…フレイヤさんも【特上】なの?」

「あぁ。最初の特上だ」

「そっか。フレイヤさん、優しいもんね」

 

優しい?セックスの時以外無表情であまりわからないが、女同士なにか通じる物があるのだろう。

 

「さて、そのフレイヤも待ってる事だし、早いところ帰るか」

「あっ、ちょっと待って」

「ん?なんだ?」

「父さんの部屋に行かせてよ」

 

チヨの父の部屋…?

何があるのかは知らんが、まぁ特に急用もないので、それぐらいは良いだろう。

近そうだし。

 

「あぁ、良いだろう。どこだ?」

「この部屋の隣」

 

近ぇ。隣かよ。

 

「んじゃあ、いくか」

「うん。よっこらせ…ふやあっ!?」

 

ベッドから勢いよく飛び降りたチヨは、急に体を震わせると股に手を伸ばした。

 

「さっきの…漏れて…!?」

「あー、うん。悪い」

 

どうしようもないのでとりあえず謝り、チヨを肩に抱えて部屋を出る。

隣の部屋のドアを開ければ、ボロボロの机や椅子が並んでおり、元は質の良い物だということが素人目でもわかる。

 

「ここが、チヨの父さんの部屋か?」

「うん。ちょっと、よりたくてさ」

 

チヨを降ろし、俺は俺で部屋を物色する。

何か、地図や面白そうな物があれば良いのだが…っと、これは?

机の奥に何かがしまってあり、引っ張り出して見れば赤や金で装飾された、古ぼけた日記帳のようだった。

チヨの父さんの最期がなんとなく気になったので、最後のページを開く。

 

『この手記を読んでいる人へ。娘を頼む』

 

…バカな人だ。

これを読んでいるのが他の獣人だったらどうするつもりだ。

だが、好感は持てる。

日記を机の上に丁寧に置き、目を閉じて冥福を祈る。

 

「娘さんは俺が貰いました。幸せかどうかはわかりませんが、悲しませるような事はなるべくしません」

「…シェイ?」

「どうか、安らかな眠りを」

 

そこで目を開き、チヨの方を向く。

 

「さて、もう良いか?そろそろフレイヤが待ちくたびれるぞ」

「…そうだね。行こうか、シェイ」

 

そう言って部屋を出たチヨが、階段から飛び降りた拍子に再度股から精液を漏らすのは2分後の事だった。

 

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