※この作品はR-18です。

影法術士は月に笑う   作:翠晶 秋

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第三章 ~純白ナル情報ノ鎖~
影法術士は家を貰う


 

「わぁ~!キレイだねぇ~!」

 

俺達は今、獣人の里の近くの崖に来ている。

チヨの案内で、せっかくだから朝日を見ようということになった。

 

「……」

「どうだ、フレイヤ?」

「…はい。とても、美しいです」

 

白い髪の毛を風にたなびかせ、潤んだ瞳で朝日を眺めるフレイヤ。

元は天使だからな。神の降臨と言われている朝日には思うところがあるのだろう。

と、そんなことを考えていると、ふいに頭の中に声が響いた。

 

『順調に配下を増やしてるようっスね、後輩?』

「…お前は」

『あの時にいた8代目っス。覚えてるっスよね?』

「…あぁ、覚えている。感覚操作が上手いとか言われていたな」

『おっおう。そこまで覚えてるとは…。まぁ良いっス。後輩クンに少し話があるんスよ』

 

ちらりとフレイヤ達を見る。

未だに朝日に夢中だ。

 

「いいだろう。だがその前に、一つ質問がある。どうやって俺に話しかけている?」

『それは…後ろを見て欲しいっス』

 

指示通り、振り向いて朝日を背中に受ける。

すると、俺の影がうごめき、その手を動かした。

もちろん、俺は腕を動かしてなどいない。

 

『後輩クンの漏れでたマナを使って、影が濃くなる時間帯に話せるようにしたんス』

「つまりは、夕方や今のような朝しか使えない、と?」

『頭良いっスね、その通りっス。漏れでるマナもマナなんで、交代制にしてるっス。今日は俺の番っスね』

「…そうか。それで?話とはなんだ?」

『後輩クンに家を譲ろうと思ってるっス』

「家だと?」

『そっスそっス。影法術士が代々受け継ぎ、居城にしてきた代物っス。そこに、俺の作った道具があるんスよ。家と一緒に有効活用して欲しいっス』

 

俺は顎に手を当て、考える。

目的(神殺し)を達成するには、【特上】の配下が必要だ。

旅をしなければ中々集まらないだろう。

しかし、影法術士のスキル【影魔法】は汎用性こそ高いものの、あまり長旅には向いていない。

休める場所も欲しいし、8代目の残した道具とやらも気になる。

 

「わかった。その家、譲り受けた」

『やりぃっス!じゃあ、場所の情報を叩き込むっス。そこは先代先輩や14代目後輩が適役っスから、少し席を外すっス』

 

しばらくの間声が聞こえなくなり、また俺の頭に声が響いた。

 

『しばらくぶりだな、15代目』

「あぁ、あの時俺に魔法をかけた奴か」

『必要な事だった。許してくれ』

「構わない。それより、家の情報を贈ると言っていたが、わかるのか?」

『無論だ。私もそこに住んでいた』

「そうか。わかった、初めてくれ」

 

そう言葉にした瞬間、俺の脳に膨大な情報が流れ込む。

家の場所、部屋の位置、罠、武器、過去の【特上】のデータ……。

それらが全て一瞬で脳に焼かれ、俺は思わず頭を押さえた。

 

『これで終わりだ。お疲れさま』

「ハァッ、ハァッ、ハァッ…。ありがとう。すぐに向かう事にする」

『それはよかった。そろそろ漏れでたマナも無くなる、また今度だな』

 

そう言って消える声。

フレイヤ達を呼び出し、次の目的地をラプターに伝える。

そのとき、情報のことで頭が一杯だった俺には聞こえていなかった。

 

 

「スクープだ…。世界に一つの影法術士、その受け継ぎ手…ついに見つけたよ」

 

 

草むらに隠れていたある女の声が。

 

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