※この作品はR-18です。

影法術士は月に笑う   作:翠晶 秋

29 / 47
影法術士は捕まえる

 

探索を始めてから約20分。

暖炉の裏に地下室を発見し、俺たちはそこに集まった。

目の前にあるのは、8代目が作ったらしい魔道具の数々。

魔力を込めると相手を拘束する縄や鎖、用途がわからない魔力を込めると振動するピンク色の丸いなにか…。

赤と白のストライプの模型もあった。これはただの置物だろう。

 

「音も外に通さず、容易に破壊も出来ない、か。素晴らしい材質で出来ているなぁ」

 

8代目の部屋から見つけた日記から、地下室の壁や床はコンクリートと呼ばれる物で作られていることがわかった。

そんなことより、道具の説明を書いて欲しかったものだが…。

 

「鍛錬場かな?」

「いえ、鍛錬場ならばかかしや的があるはずです。ここは他の用途のために用意されたのではないかと」

 

影法術士を継ぐ儀式をする部屋は個別に見つけたので、ここがなんのために作られているのか全くわからない。

…っと、暖炉を降りた通路に生命反応。

曲がり角からこちらを見ている。

目配せをして、フレイヤに捕まえてもらうことにする。

さて、何が出てくるかな。

 

◇

 

少女の目線の先に、一人の男と二人の女がならんでいる。

まさか暖炉に通路が隠してあるとは思わなかった少女は、無用心にも好奇心から通路を通ってしまったのだ。

 

「これはこれは…。悪巧みをする場所ってことかな?男は影法術士。他は…剣士とビーストファイターかな?鑑定するのめんどくさいけど」

 

カメラを構え、資料を録ろうとする少女は、首をかしげる。

先程まで男の隣にいた、腰に剣を挿した女が見当たらないのだ。

 

「あっるえ、どこに『動くな』…ひえっ」

 

少女の視界の端に写るのは、今にも首を切らんとばかりに突きだされた鋭い剣。

油の切れた機械のように少女が後ろを振り向くと…

 

「汝に問う。迷いによる偶然の立ち入りか、悪意のある潜入か」

「…すみません。好奇心で入っちゃいまして」

 

少女はとっさにうそぶくが、何人も罪人を裁いてきた【天使】、否、【堕天使】にはお見通しである。

 

「故意、悪意のある潜入だと判断」

「そんな…」

 

視界の端の剣がブレたことをかろうじて見えたレベルの少女に、剣の腹で頭を叩かれるなど避けられるはずもなく、抵抗する余地もなく意識をおとしたのだった────

 

 

 

 

 

────じゃらりという音で目が覚める。

朦朧とする意識を保とうとしていると、頭に殴られたようね痛みが走る。否、実際に殴られたのだろう。

咄嗟に手で抑えようとするも、なぜか手の自由が利かない。

未だ暗い視界の中で左手に目をやると、手首に枷(かせ)がつけられているのがわかった。

感覚からして、両手両足に枷がつけられているのだろう。

 

「起きたか?」

 

男の声で意識がしゃっきりとする。

視界が晴れ、自分の状態がよく見えた。

自分は大の字になる形で、鎖に拘束されていたのだ。

しかも全裸で。

 

「あんたが俺らをつけていることは前から気付いていた」

 

声の方に首を動かせば、全身が黒い装備につつまれた男が、優雅にイスに腰掛けている。

影法術士、と本能が警鐘を鳴らす。

あの剣士と獣人は側にいないが、影法術士は影法術士で実力が謎だ。なめてはいけない。

 

「…何を、するつもりかな?」

「まずはお前の計画をばらしてもらおうか」

「言うと思う?」

「いや、思わない。だから…」

 

男が立ち上がる。

手足の拘束をはずそうともがくが、鎖は虚しくじゃらしゃらと音を鳴らすだけ。

いつの間にか至近距離まで近づいていた男は、自分の頬に触れて獰猛な笑みを浮かべるのだった。

 

「お前の身体(カラダ)に聴くことにする」

 

私(・)は始めて、恐怖という感情をこの男に持った。

 




次の回でエッチ回かなぁ。
このキャラはずっと温めてたキャラだから、もしかしたら2000字、もしかしたらエッチ回が2話に渡るかも知れないね。
ん?ワタシの性格?Sって良く言われるよ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。