※この作品はR-18です。

影法術士は月に笑う   作:翠晶 秋

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第四章 ~潔白ナル斬撃ノ渦~
影法術士は方針を探す


 

「…ごほん」

「あ!シェイ、戻った?」

「ご無事ですか、主様?」

「ああ。身体には特に異常はない」

 

そこまで言って区切る。

どうしようか、このスフィアに神と戦う方法を聴こうと思ったのだが、今の会話を見るにそんなことは知らなさそうだ。

 

「ん…なにかな」

「いや。神に挑む権利が欲しくてな、あてはお前だったんだが…」

「それは悪いことしたね。知ってることなんて、せいぜい『星の神殿』に向かうことくらいだし…」

「星の神殿?」

「え、知らないの?太陽と月を結び、その間の異次元空間にいる神に会うって」

 

初耳だ。

 

「で、星の神殿で影法術士とその配下の特上8人が力を合わせ、神を地上に引きずり出す」

 

初耳である。

 

「本来なら一人でも神に会えるんだけど、それだと神の用意したフィールドで戦うことになるから、神と会うときに捧げる魔力の量を増やして神をフィールドから追いやる」

 

初耳でござる。

 

「まあ、こんなもんかなぁ。まさか知らないとは思わなかったよ」

 

初耳で候(そうろう)…あ、終わったのか。

つまりは、配下を増やして神を引きずり出し、そして殺す。

やっていることは変わらない。

このまま配下を増やせば自然と目標に近づくのだから。

 

「さてと。私からは伝えれることはないね。あ、そうそうシェイくんや」

「ん?」

「この魔道具に、マナと魔力を込めて欲しいんだ。影法術士の研究だよ」

「なんのメリットがあるのかわからないが…まあ、少しくらいなら良いだろう」

 

魔力を込め、そしたらそこでもう別れる。

拍子抜けだな。とりあえずは、やることは終わった。

どうにかして星の神殿へ向かわないと…。

図書館。確か図書館があったはずだ。

 

「フレイヤ」

「はい」

「星の神殿の情報を図書館で調べてこい」

 

了解しました、と一言だけ言って姿を消すフレイヤ。

あとは…。

 

「レナ。星の神殿について何か知ってるか?」

「知らないなぁ。強いて言うなら、そこに勇者しか扱えないサークレットがあるって話だけど」

「そうか。…ん?勇者?」

「え…知らないの?おとぎ話では有名だよ?昔の話を元に作られてるやつ。最近読んだけど面白かったよ」

「知らん。ってかその年でおとぎ話とか読んでるのか」

 

勇者、勇者か…。一回目の世界だとまだレベルは下の方だったが、俺がちょっかいをかけたせいで変わっているかも知れない。

そう言えば、旅の途中に勇者にベタ惚れの女パーティーがいたな。

時期的には、そろそろ会うはずだ。

彼女らは聖なる鎧を探していると言っていたが、これは…。

聖なる剣、聖なる鎧。そして勇者のサークレット…。

 

「行ってみる価値はあるな。チヨ」

「なに?」

「しばらくの間、チヨとレナで留守番を頼む。フレイヤが帰ってきたら俺を追うように言っておいてくれ」

「え…わかったけど、シェイ、どこか行くの?」

「ああ。少し危険だから」

 

あそこはオークやゴブリン、飲み込み触手…性に関する魔物が多いからな。

女冒険者のタブーとされている場所で何をしているのやら。

 

 

◆

 

 

俺は勇者だ。

生まれたときから今まで、俺に逆らう者はいなかった。

それがなんだ、このザマは。

『影』と名乗るクソガキに散々コケにされているじゃないか。

見た目は同い年だ。だったらなおさら、俺の価値は知っているはずだが…。

 

「ああクソっ!!」

 

思わず悪態をつき、聖剣を魔物に突き刺す。

この剣だって、アイツに先取りされた。

イラつく。

 

「ど、どうしましたか?」

「いや、なんでもない。それより、今夜いいか。そんな気分なんだ」

「あ…その、少し恥ずかしいですけど…その、大丈夫…です…」

「ありがとう」

 

一歩踏み出した瞬間、鎧の皮ひもがちぎれた。

 

「ああ、鎧が…」

「だいぶ長く使っていたからな。ここらで買い換えるのもいいかも知れん」

「ああ、それでしたら、今向かっている聖堂に鎧があるそうですよ?」

「そうか。ならそれを貰っていこう」

「きゃっ」

 

聖女の腰を抱き寄せ、俺はほくそえむ。

待っていろ『影』。俺は必ずお前を殺す。

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