「ん…。んぁ…?」
ふわふわとした空間の中で俺は目を覚ます。
確か俺って、勇者に突き落とされたはずじゃ…?
辺りを見渡せば、霧…?もや…?得体の知れないふわふわな空間が広がっていた。
と、そんなことを考えていると、俺の周りを囲むように黒ずくめの集団が現れた。
「おい、貴様」
空間に響くような、頭に直接響くような、そんなはっきりとしない声。
「誰だ?お前」
「【影法術士】の先代だ」
「そして私達が、【影法術士】の継ぎ手だ」
二人の男が言う。
影法術士は未知の職業だったはずじゃ…?
先代がいたのか?つーか、先代ってなんだ?
職業は一人一人違う。親子同じ職業でも、それは遺伝ではなく、運が良かったり才能があったりしただけだ。
次に口を開いたのは、ポニーテールの女だった。
「影法術士は配下を増やす」
次に軽い当たりの男。
「影法術士は感情を喰らうっス」
次に一番若そうな男。
「私たちは先代の意思を継ぐ」
次に先代と名乗る男。
「ただ一つ、我の野望を果たすがために」
そして、全員で口をそろえた。
「「「「神を、殺すために」」」」
…無茶苦茶だ。職業の引き継ぎなど聞いた事がない。
それに、神など殺せる訳がない。
さらに言うならば、俺は死んだのだ。
「あぁそうだ。君は死んだ。だからやり直す」
「我が造り出した職業は、絶えてはならない」
あっるぇ心の声が聞こえてるぅ?
「聞こえているが?」
えぇ…。
あ、そうだ。やり直すって何よ?
「時間を巻き戻し、勇者と神を殺す」
すまん、言っている意味がわからないのだが?
「そうでしょうね。私も先代にはじめて会った時は頭おかしいんじゃないかと思ったわ」
「オイ待て二代目、貴様我をそんな風に考えておったのか?気を利かせて読心を止めてやっていたのに…」
なんだろう、急に場が和んだ。
って言うか、時間を巻き戻せるんならお前らが行けばいいのでは?
「…こほん。我らには神からの呪縛がかかっている」
「影法術士は人間の寿命が来ると、弱体化していきやがて朽ちるんス」
「だから私達は継いだ」
「すべての魔力が霧散する前に、職業を引き継ぎ、長きに渡ってその野望の達成に身を捧げてきた」
ちょっと待て。なんでお前らは先代の野望に身を捧げたんだ?普通は拒否するだろう?
「「「だって生きにくいし」」」
「貴様らな…」
先代、ドンマイ。
「聞こえておるぞ貴様ァ!」
「ってな訳だ。俺らの継いだ野望、君が果たしてくれると嬉しいっス」
やだ。
「エェ…」
「なっ!?貴様、どういう事だ!!!」
やる義理がない。
それに、痛いの嫌だしな。
「くんぬぉ…貴様、これを見てもそれが言えるか!?」
何やらパネルが先代の後ろに出てきた。
そこに写されたのは…
『あっあっ!!シュウ様、すごいっ、ですっ♥』
『タミィも、タミィもですぅ』
『は、入る隙間がないわ…』
『おいで。君たちの悲しみは俺が背負う』
「ウワァ…こいつはひでぇや」
自然と声が出ていた。
「見たろう?あの勇者様、君の死をモンスターのせいにしたんだぞ」
「さらに言うなら、その悲しみにつけこんで仲間を全員抱いているわね。クズだわ」
やっぱり最初に俺を突き落としたの、勇者か。
てかアイツ、シュウって名前だったのか。
「まぁ憎いっちゃ憎いケド…死んでるしなぁ」
「だから貴様を復活させようと言うのだ!」
「あのクズが女を抱くその前の時間に」
お断りします。
よく考えれば、人生繰り返す程じゃないな、と。
「なぜ貴様は死を求む!?」
「
「しょうがない、なるべく手荒なマネはしたくなかったのだが…。野望のため、許してくれ」
その瞬間、頭に衝撃が走った。
そうだ。なんだあの勇者。
俺を殺した上、女を抱くとか。
許せん。
…頭がしゃっきりしない。視界もぼやけてきた。
「さっすが、感情操作は14代目に任せる限りっスねぇ」
「感覚の操作なら8代目、君のほうがうまいだろう」
「いや、そんなんなら2代目先輩とか実体術────」
チキショウ、俺が怒りに燃えている隣でなに雑談してやがんだ。
ぜってぇ忘れねぇ。
勇者を殺して、こんな運命を導いた神すらも殺して。
それで、一度こいつらを殴る。
俺は心に、そう決めた。
そろそろエッチシーン必用だよねぇ。おら、がんばる。