「ちょっと、信じられいのだけれど」
「なにあれ?モンスターテイマーってあんなことできんの?」
「ねえ、私もう帰っていいかな?怖くなってきたんだけど」
相変わらず口調で識別できない女三人組のピピロ、ヘスカ、ミサは、ただひたすらに森を走っていた。
段々と口調が素に戻っていく三人で幸いなのは、化粧などをしていないすっぴんの状態で走っていることだろう。
無論、この時代にはネイルアートと等は無い。
黙っていたら美少女(勇者の仲間には少し劣るが)の三人は本気で、あのギャル風の口調が勇者の気を引くと思っていたのだ。
「だめよミサ。勇者パーティーに入れてもらうって言ったのを忘れたのかしら?」
「そうだよ。憧れの勇者様のヒロインになるんでしょ?」
「う、うん……。そうだよね。あの冒険者を陥れてオークに犯させたのは少し心が痛かったけど、これも勇者のため、しかたないよね」
『勇者は世界のためなら犠牲を気にしない』という、噂からの発言である。
「でっ、でもピピロ、あの人……男の人の方は、どうするの?すっごく怒ってたみたいだけど」
「それが問題よね。でも安心して。この辺りに、昔使われてたコロシアムがあるハズなの。モンスターを戦わせて賭けをするための闘技場が」
「うん。モンスターを戦わせるってことは、モンスター用のオリもあるってわけ。それで──」
「──あの触手やオークを閉じ込めて、無力な術者を袋叩ききにするってわけだね!」
……勇者のためだけでもないかもしれない。
素で性格が悪い可能性があった。
ピピロは近くの崖の側面に触れると、懐から取り出した地図を睨みながら辺りをキョロキョロと見渡した。
「文献ではこの辺りのハズよ。崖の洞窟から入って、コロシアムに入る仕組みなの……うわわ」
ピピロが手近にあった岩を掴むと、ゴゴゴとありきたりな音を立てながら崖の側面が横にスライドする。
隠したがりな貴族が安全にモンスターバトルを楽しむために作ったものである。
「あった、あったわ、これよ!」
「ふう~、ピピロやるゥ!」
意気揚々とコロシアムに入っていく三人。
コロシアムは古い作りで、崖の中に入ったはずなのに見上げれば空が見えていた。
すぐそばには向かい側と対になるようにモンスターを出場させるオリが設立されており、とても頑丈で
「これであの男を倒せるってわけね!」
「あとは、あいつを誘い出して……」
楽しそうに作戦会議をする彼女達は知らなかった。
彼が、神にも匹敵する力を持っていることも。
彼は、モンスターテイマーでも魔法使いでもなく、【影法術士】であるということも。
◇
この怒りはどこにやればいい?
簡単な話だ、姉さんを殺したあいつらにぶつければいい。
汚らわしいあいつらに、触れてやる意味などない。
この触手を使って、凌辱してやる。
舌を切っても、死なせるものか。
無論、【特上】になんてしない。
「し、シェイさん……?」
おずおずと声をかけてくるアヤメを無視する。
現在、俺は波乗りのように触手に乗っている。
後ろにいるアヤメもまたしかり。
「た、高くないですか?」
この辺りにコロシアムがある。
触手の移動するルートを変えて、クズども三人をコロシアムに向かわせるようにした。
きっとあいつらは、そこで俺を迎え撃とうとするだろう。
その時がチャンス。
姉の痛みを知ってもらおう。
あいつらには、調教が必要だ。
ごめんね、エッチシーンはまた次回。
次のエッチシーンは三人称視点になりそうです。
なるべく早めに書き上げるから……!