※この作品はR-18です。

影法術士は月に笑う   作:翠晶 秋

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影法術士は天使とガチンコ

神殿は白を基調とした、神秘的雰囲気漂う建物。

ただし、神に祈る場所以外、部屋がひとつもない。

俺が狙っている天使は、神様の像の前で剣を目の前に突き刺し、目を閉じて立っていた。

白い髪の毛、整った顔立ち、人並みに育った双房。それらを包むバトルドレス。

【天使】、または【ヴァルキリー】と呼ばれるに相応しい見目だった。

俺の気配を感じ、その真紅の瞳を開き、こちらに向ける。

 

「武の気配。汝、未来を担う者と見える」

「まぁ目標は持っているな」

 

この天使、最初に来たときもレベルを聞いて来たな。

きっと決まり文句なんだろう。

 

「汝、この先に進む覚悟があるか」

「もちろん。あんたを倒し、この先の秘宝を手に入れる」

 

狙いは秘宝ではなく天使なのだが。

ちなみに、この神殿には勇者のみが扱える剣がある。

一回目は戦力アップのため、真っ先にこの神殿に来たんだっけか。

それで、勇者が苦戦しているから援護になるかと全力の【シェイド】を背中に撃ったら、弱点属性で2発で沈んだんだったな。

と、そんな事を考えていると天使は剣を引き抜き、純白の翼を羽ばたかせて高らかに口上を放った。

 

「我はフレイヤ。神が使い、聖剣を守る【聖天使(せいてんし)】!汝、職を名乗れ!」

 

俺は手に【シェイド】を纏う。

それを見てフレイヤが目を丸くする。

 

「俺の職業が何かって?ただの【影法術士(えいほうじゅつし)】だよ」

「…笑止ッ!!」

 

フレイヤは大きく羽根を羽ばたかせ、空を舞う。

マナを練り上げ、魔法の連発の準備。

今回は相手に勝利するだけではなく、無力化して配下にしなければならない。

全力は危険だ。相手の体力がどれくらいかも知れない。

 

「いぃぃやぁぁぁぁぁああ!!」

 

フレイヤが剣で空から斬りかかってくる。

左手のシェイドで弾き、さらに右手で肉薄する。

自らの危険を察知したフレイヤは翼を使ってバク転すると、俺の後ろへ回り込む。

見えているのは、影を使って相手の位置を把握しているから。…さすがに影なだけあって、高度は分からないが。

即座にしゃがみ、刺突攻撃をかわす。

フレイヤの体が俺に重なるようになり、剣の影が俺の右手辺りに来る。

すかさず俺は、覚えたてのスキル、【影幻(えいげん)の実体術(じったいじゅつ)】を使う。すると、俺の手に、フレイヤの持っている剣と同じデザインの黒い剣が現れた。

 

「フッ!!」

「───!!」

 

返し手で剣を振るう。

素早く反応したフレイヤは翼を大きく展開し、急に空へ上昇した。

【影幻(えいげん)の実体術(じったいじゅつ)】は名前の通り、影から本物と同じ物を造り出す優れもののスキルだ。任意で消す事もできるので、長旅には持ってこいである。

更に、軽く鋭い。つおい。

そうこうしている間にも戦いは続き、それももう終わりに迫っていた。

 

「ハァッ、ハァッ。【飛翔閃(ひしょうせん)】!」

 

フレイヤが空中で剣を振るうと、光の刃が次々と飛んでくる。

普通にシェイドで打ち消し、さらに一発だけフレイヤに当てる。

 

「ああああああああッ!!」

 

蝕む闇に耐えられなくなり、フレイヤが煙をあげながら落っこちて来る。

 

「淫紋、発動っと」

 

すれ違い様にフレイヤの子宮に重なる位置辺りに触れ、スキルを発動させる。

フレイヤは地面に衝突し、そのまま二、三回転がると、やがて肩で息をしながら動かなくなった。

 

 

戦闘終了。誰が見ても明白だった。

 

 




戦闘の荒さは許して。俺だって次話を早く書きたいんだよ!
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