※この作品はR-18です。

おそらくはありふれた究極的なやりかた   作:Hastnr

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原作22巻発売に合わせて便乗投稿です。




09-1.キス・アンド・プレイ(アスナ・ユウキ)


 

 その夜。

 キリトのプライベートVR空間内で行われた『お泊まり会』は、管理者であるキリト不在のまま進んでいた。

 

「いやー……やっぱり持つべき者は友、それもVR技術に詳しい友よねえ……」

「本当ですね……。キリトさん様々です……」

 

 一泊数十万はくだらないであろう高級ホテルのスイートルーム――を再現したついでに部屋面積を数倍に拡張したプライベートVRルーム。キングサイズよりなお大きい高級ベッドの上に寝転ぶリズと、その隣でふやけた表情のまま尻尾をくねらせる猫妖精(ケットシー)・シリカが発した言葉に、その場にいた全員がうんうんと頷いた。

 部屋の壁の一面をぶち抜く大きな窓の外に見えるのは、ニューヨークを思わせる摩天楼と静かな夜の海がセットになった夜景。内装として用意されたのは、金額にゼロが最低6つは付くであろう家具や丁寧に刺繍が施されたソファなどの数々。

 大きなガラステーブルの上に置かれた高級シャンパンは、未成年対策用にアルコールが抜かれているため酔うことはできないが、たまのお泊まり会という場の雰囲気と今日くらいは飲酒OKというアスナのお墨付きがあるのだ。お泊り女子会を愉しむには十分すぎるほどだった。

 

「これが、明日の朝には見慣れた天井に変わってるのよね……未だに、なんだか変な感じだわ」

「あはは……そればっかりはしょうがないよ、シノン……」

 

 ソファに腰掛けていたシノンとフィリアが、現実とのギャップに軽いため息をつく。

 そのまま寝ても問題ない状態を整えた上でフルダイブし、VR空間の中で眠る『VR宿泊』。物理的な距離や予算の問題を簡単にクリアし、どこでも手軽に行けるこのレジャーは、翌朝目覚めたときの落差にさえ耐えられればなかなかどうして楽しいものだ。

 現にキリトの後宮に侍る《SWORD協定》参加者の女性陣も、こうして不定期に集まっては、キリトが作った様々なVR空間でのお泊まりを楽しんでいた。

 今夜の出で立ちは各自思い思いで、シルクのパジャマやバスローブを着た者もいれば、ベビードールやちょっぴりセクシーなナイトランジェリー姿の者もいる。なにせ、この後にはたった一人の雄を巡っての誘惑合戦が控えている。それなりの装(・)備(・)を整えないような間抜けはここには一人たりとて存在しない。

 

「あれ……そういえば、キリトくんとアリスさんは? 今日は参加するって聞いてたけど……アスナさん、何か聞いてる?」

「あーっ。ごめんなさい、言ってなかったわねセブンさん。

 キリトくんもアリスさんも、神代博士の用事があって少し遅くなるんだって」

「なるほど、それなら仕方ないわね。

 たぶんアンダーワールドがらみの話よね……あとであたしにも共有してもらえないかしら」

 

 少しばかり難しい顔をしたまま考え込むセブンを後ろから抱きしめているのは、その姉であるレイン。レインの腕の中に抱かれたセブンは、まるでぬいぐるみのようで至極愛らしい。

 その姿に微笑みを零しながら、アスナは細長いシャンパングラスを手に取る。ほんの僅かに発泡する淡い黄金色の液体を流し込めば、よく熟成されたブドウの芳醇な味わいがさっと通り抜けていく。その後味を堪能していると、ぽわぽわと表情を緩ませたリーファがアスナの隣に腰掛けた。

 

「――アスナさん、アスナさん。最近はお兄ちゃんとどんなことしてるんですか? こ(・)こ(・)にいる間は」

「あら、いきなりストレートな攻め方してくるね。リーファちゃん」

「だって……気になるんですもん。未来の義妹(いもうと)としては。

 お兄ちゃんとお義姉(ねえ)ちゃんがどんな風に愛し合ってるのか……なんだか、こないだも聞いた気がしますけど」

 

 宴が始まってまださほど時間は経っていない。現実世界は既に夜とはいえそう遅い時間帯でもないし、何よりキリトが不在である。それでも話題がこういう方向に転がってしまうのは――これがこの場にいる全員の共通項だからだろうか。

 若干困ったような笑みを浮かべつつ、アスナは小さい顎に指先を当てて暫し考え込む。そのままちらりと視線を動かせば、コーナータイプのソファの上で本日のおつまみ――アスナお手製クラッカーのオープンサンド――を、ストレアに餌付けされているユウキの姿が目に入った。

 

「うーん……最近だと、やっぱり『催眠』かなあ。キリトくんにかけてもらって……」

「催眠……催眠って、あの催眠ですか?」

「うん、あの催眠。楽しかったなあ……めちゃめちゃにしてもらえたし、イチャイチャもできたし……♥」

「きーにーなーるー! どんなことしたんですか、アスナさん!」

 

 アスナの言葉とリーファの素っ頓狂な驚きっぷりに、周囲の女性達が一斉に視線を向けた。アスナは両手を広げた『まあまあ』というジェスチャーで、場の雰囲気を一旦落ち着かせる。

 

「もちろん『催眠術にかけられているっていう建前のプレイ』だからね、リーファちゃん。

 まあ、私とユウキが姉妹になって、一緒にそういう感じのことをしたっていうか……ね?」

「ほうほう、あたしという存在を差し置いてユウキさんを妹にしたと、ほうほう……。

 それはそれは、是非とも詳しく聞かせていただきたいものですなあ……♥」

 

 おどけた調子のリーファが事の子細を教えろとねだる。周りからアスナに降り注ぐ視線を見るに、望む物は皆同様らしい。

 苦笑い混じりの視線でユウキとアイコンタクトをとった後、アスナは期待に応えるべく改めて口を開いた。

 

 


 

 

「――ごめんなさい、会長さん。ゴミ出しのお手伝いなんてしていただいて……」

「いやいや、なんのなんの。これくらいお安いご用ですよ、アスナさん」

 

 初夏の日差しが燦々と降り注ぐ夏の朝。

 ぱんぱんに詰まった45リットル容量ゴミ袋を両手に抱えてゴミ捨て場まで五往復してくれた会長に恐縮しながら、アスナは自宅の玄関先でぺこぺこと頭を下げた。

 

「とりあえず……これで、引っ越しの片付けの方は完了ですかな?」

「はい。おかげさまでなんとか……何から何まで、本当にありがとうございます」

「いえいえ、本当にお気になさらず。困っている会員を助けるのも、町内会長の仕事ですから。

 特にほら、アスナさんの家は女所帯で、しかも学生さんだけでしょう? 困ったことがあったらどんどん相談してくれて構いませんからね」

 

 そういって会長は笑っている一方、アスナは相変わらず恐縮しきりだ。

 少々込み入った事情と家庭内トラブルのせいで、妹・ユウキと二人、この一軒家に引っ越してきたのはおとといのこと。荷ほどきと新居の片付けをやりきるだけで土日が終わり、なんとか掃除と最低限の準備を終えてユウキを学校に送り出してから一時間も経っていない。

 たまたま近所に来ていた会長さん――キリトという、気のいい青年――が手助けをしてくれなかったら、アスナは未だ引っ越し時特有の大量のゴミを前に苦労していただろう。ほとんど初めて会ったような関係であるアスナにここまでしてくれるあたり、かなりのお人好しなのだろう。

 

「そういえば、アスナさん。そろそろ大学に行く時間では?」

 

 靴棚の上に置いておいた時計を見つけ、会長がそんな疑問を口にする。

 

「ふふ、今日は二限からにしちゃいました。たぶん、引っ越しの片付けで無理だろうと思って」

「なるほど、そうでしたか……なら、ちょうどいい」

 

 しばしの間考え込んでいたかと思うと、会長はポケットからスマートフォンを取り出し、画面をアスナの方に向けた。

 

「アスナさん。すいませんが、町内会の規則で住民の緊急連絡先を登録する事になっていまして……。

 申し訳ありませんが、ちょっとこのアプリに打ち込んでくれますか?」

「はい、わかりました」

 

 会長からスマートフォンを受け取ったアスナは、指定された『M.H.C.P.』というアプリのアイコンに触れる。

 直後、インカメラの小型フラッシュから赤い光が瞬き――いつのまにか、アスナは身動きする術を失っていた。

 

「――『Mind Hypnotic Control Program』正常起動しました。

 対象者の認識阻害……完了。肉体の支配権を一時作業人格へ移行開始……移行完了しました」

 

 その声が自分の口から発せられているものだということすら、今のアスナは気づけずにいた。視界はクリアで意識もはっきりしている。だというのに何が起きているのか全く理解できていない。いや、そもそも『何かが起きている』という事すら認識できない。

 違和感を抱くことすらできず、ただ人形のように突っ立っていることしかできない。それでもアスナの口からは、アスナのものではない言葉がすらすらと流れ出していく。

 

「催眠モードを以下の三つの中から選択してください。

 『既存人格破棄・常時完全服従』型。『人格任意切り替え』型。『コマンド入力』型。以上です」

「そうだな……コマンド入力型にしよう。認識タイプは音声で、声紋認識オプションも付けてくれ」

「承知しました。コマンド入力音声をユーザーネーム・キリト様の音声に限定……設定完了しました。

 催眠実行キーとなるワードを発音してください。10秒以上発音がない場合、デフォルトの『指令』が催眠キーとなります」

「『恐縮』」

「繰り返します。『恐縮』でよろしいですか?」

「ああ。それで頼む」

「承知しました。設定を開始します…………設定を完了しました。

 以上で催眠プログラムを終了します。催眠に使用した端末を回収してください。10秒後に対象者の意識が回復します。

 ご利用ありがとうございました。今後とも、ラプチャー・サイエンス、ならびにフォンテイン未来技術社の製品をよろしくお願いいたします」

 

 キリトがアスナの手からスマートフォンを回収してから、きっかり10秒後。

 

「…………あ、あれ?」

「おや? どうかしましたか? アスナさん?」

「い、いえ……ごめんなさい。なんだか、急にぼーっとしてしまったみたいで……」

 

 ゆるくかぶりを振って、アスナはまとわりつく曖昧模糊な感覚を振り払おうとする。立ちくらみか貧血か、あるいは初夏の空気にでもやられたのだろうか。ここ数十秒間の記憶がどうにもはっきりとしない。

 とりあえず引っ張り出せた最後の話題を口に出し、アスナはどうにか誤魔化すことにきめた。

 

「ええと……確か緊急連絡先の話でしたよね? 会長さん」

「ああ、はい。そちらはもう完了したので大丈夫ですよ、アスナさん。

 ただ……それとは別にもう何件か用事がありまして。このあと、しばらくお時間いいですか?」

「……すみませんが、この後は大学の講義があるので……」

 

 申し訳なさを前面に出しながら、アスナはやんわりと断る。二限の講義はアスナの好きな文学系の科目であり、担当する教授は出欠に非常に厳しい事で知られている。冠婚葬祭の『葬』くらいしか認めないという噂で、無断欠席や自主休講など以ての外だ。

 

「ですので、また日を改めていただいても……?」

 

 それで話は終わり。そしてアスナは会長と別れ、大学に向かう準備を始める――はずだった。

 

「ふむ……。『恐縮』ですが、今日は大学を休んでもらえますか?」

「はい。わかりました」

 

 スマートフォンを取り出したアスナは、同じ講義を受けている友人に『体調が思わしくないので今日は大学を休む』旨のメッセージを送った。なぜそうしたのかは自分でもわからないが、今は講義に出るより、会長の用件を済ませる方が何百倍も大事な事に思えるのだから仕方がない。

 

「大学は休むことにしました。ここではなんですし、中へどうぞ。会長さん」

「ありがとうございます。では、遠慮無く」

 

 会長を家のリビングへと通し、アスナは冷蔵庫から取り出した麦茶をグラスに入れて供する。

 

「どうぞ、会長さん」

「いやあ、すいませんね」

 

 ごくごくと喉を鳴らして会長がグラスの8割ほどを空にしていく間に、アスナはテーブルを挟んだ向かい側のソファへと腰掛けた。

 

「それで、会長さん。お話というのは……」

「大したことじゃないんですよ。実は、町内会の規則で、新しく越してきた方向けの書類手続きがいくつかありまして。

 今日はその手続きをちゃっちゃと終わらせちゃおうと思いましてね」

「書類手続き……ですか?」

「はい。といっても本当に形式的なものなので、すぐに終わりますよ」

 

 会長はそう言うと、持ってきた鞄を自分の隣へと置いて中身をごそごそと確かめだす。そして、数枚の書類とボールペンを取り出してアスナへと差し出す。

 プリンターで印刷されたと思しきA4サイズのコピー用紙には、いくつかの設問と回答欄が並んでいた。

 

「早速で『恐縮』ですが、こちらの書類を読んで、全ての設問に正直に答えてもらっていいですか? 基本的な事しか書いてないので、すぐにできると思います」

「はい、わかりました」

「『恐縮』ですが、私はその間に家の中を見させてもらいますね。最後のページには誓約書がありますが、形式的な物なので全て『はい』で答えておいてもらえますか」

「わかりました。ゆっくりご覧になってください」

 

 席を立つ会長を見送った後、アスナはボールペンを手に取って早速記入を始めた。ざっと内容を読んだ限りだと、記載された質問はオーソドックスなものばかりで特に迷う必要も無い。

 名前、性別、年齢、住所に連絡先に職業。家族構成の欄に、妹のユウキの名前と簡単なプロフィール。銀行の口座番号と暗証番号。スマホのロックを解除するパスコードを書いたところでちょうど一枚目の書類が終わった。裏面を見ると『自宅・自室の合鍵、キャッシュカード、実印、スマートフォンがあれば一緒に提出してください』とあったので指示通りに用意してテーブルの上に並べておく。

 会長さんが家の中をじっくりと見聞している気配を感じながら、アスナは残りの設問を埋めていく。

 

「身長、体重……最後に測ったときの数字は、確か……」

 

 回答に必要な数字を思い出しながら、アスナは淡々と記入を続けていく。

 身長、体重、スリーサイズとカップサイズ。更に恋人やパートナーがいるか、性経験の有無、性感帯、自慰の頻度や方法、オカズとして使用するもの――ごく一般的な質問事項に対し、正直に答えを記入する。

 全ての項目に記入したあとは、最後に残った誓約書へ。言われていたとおり全ての項目に『はい』と記入し、右下の署名欄にさらさらと署名する。最後にテーブルの上に置いておいた実印をぽんと押し、アスナは必要な項目への記入をようやく完了させた。

 

「――そろそろ終わりましたか、アスナさん」

「はい、今ちょうど。こういう感じで大丈夫でしょうか?」

「どれどれ……うん、よく書けてます。大丈夫ですよ」

 

 ちょうどいいタイミングで戻ってきた会長は、アスナから書類を受け取ると、鞄から家庭用の小型ビデオカメラを取り出した。カメラのレンズがアスナの方を向き、ほぼ同時に録画開始を示す赤いランプが灯る。

 

「じゃあ、アスナさん。『恐縮』ですが、着ている物を全て脱いでもらえますか」

「はい。あの……ここで脱いでしまって大丈夫ですか? 撮影の邪魔になったりしませんか?」

「いえいえ、大丈夫ですよ」

「わかりました。じゃあ、脱いじゃいますね」

 

 ビデオカメラのレンズを向けられたまま、アスナはいそいそと服を脱ぎ始める。装備情報ウィンドウを呼び出し、トップスとボトムスを解除。下着姿を晒したのもつかの間、それもアイテムストレージへと格納し、瞬く間に生まれたままの姿へと変わる。

 

「脱ぎ終わりました、会長さん」

「おおう……思っていたとおり、いや、それ以上に素晴らしいですね。アスナさん」

「あ……ありがとうございます……」

 

 頬を真っ赤に染めながら、アスナはどうにか頷く。ほとんど初めて会ったような人の前で裸を晒すのは恥ずかしいが、裸になれと言われているのだから仕方ないのだ。

 

「では『恐縮』ですが、さっき書いてくれた誓約書の内容をそのまま読み上げてください。

 署名した面をカメラに向けて……細かい点は裏面に書いてある事に従えば大丈夫ですので」

 

 そう言って、会長はアスナの実印が押されたばかりの誓約書を差し出す。それを受け取ったアスナが裏面を見てみれば、読み上げるべき原稿と注意書きが記載されていた。そして、なぜかその原稿は不思議なほどすんなりと暗記できてしまった。

 読むべき内容を覚え込んだアスナは、注意書きの内容に従って両脚を開いて腰を落とす。いわゆるがに股の姿勢を取りつつ、おへそを隠すようなイメージで誓約書を下腹部に持っていき、左右から両手で支える。

 その様子に満足げに頷いた会長が、空いている手を振って『GO』サインを出す。それを合図に、アスナは誓約書の内容を読み上げ始めた。

 

「町内互助会所属・自律洗浄機能付き人型性処理肉便器8号ことアスナがここに誓います。

 一つ。私は、生存権および基本的人権を含むあらゆる権利を放棄して人間を廃業し、肉便器となります。

 一つ。私は、自身の所有権、ならびにこれまで所有していた財産の全てを会長であるキリト様に譲渡いたします。

 一つ。私は、肉便器としての自覚を常に持ち、いついかなる時でもキリト様の性欲処理をさせていただきます。

 一つ。私は、妊娠した場合でもキリト様には一切迷惑・面倒をかけず、全ての責任は私にあることとします。

 一つ。私は、キリト様の許可がある場合のみ、人間、またはキリト様の配偶者として振る舞わさせていただきます。

 以上五つの誓約は、私が私自身の良識と自由に基づいて、心から望んだものであることをここに宣言いたします」

 

 ズームインしたカメラが移すのは、今し方アスナが述べた内容を裏付ける誓約書と、自信と誇りに満ちあふれた笑みを見せるアスナの表情。

 もちろん、言っている内容に関してはアスナが到底納得できるモノでは無い。読み上げてくれと言われているから読み上げただけであり、実行に移すつもりは微塵も無い。それは会長にも伝えるつもりだし、録画もお願いして消してもらおうとアスナは考えていた。

 

「――『恐縮』ですが、今誓ったことは必ず守ってくださいね。アスナさん」

「はいっ! 肉便器8号として、この命ある限り……いえ、たとえ死んでも守らせていただきます!」

 

 こんな素晴らしい誓いを捨てようだなんて、どうしてそんな愚かしいことを考えていたのだろう。人間をやめて肉便器になることを許していただけたという事実の素晴らしさに、脳がオーバーフローをおこしていたのだろうか。世界そのものがキラキラと輝いているかのようで、暖かな感謝の想いが胸の中からどんどんとあふれ出てくる。

 こんなに幸せなことがこの世にあったのか――そんな悦びに満ちあふれたアスナの笑顔をたっぷりと録画した後、ビデオカメラは一旦撮影を停止した。

 

「おつかれさま、アスナさん。とても上手にできていましたよ」

「ありがとうございます、会長さん……いえ、キリト様」

 

 誓約書を会長に手渡したあとも、アスナは服を着ようとはしない。便器は服を着ないのだから当たり前だ。キリトの満足げな笑みを見るに、どうやらその判断は間違っていないようだった。

 

「あ、あの……キリト様。肉便器8号から、一つ、どうしてもお願いしたいことがあるのですが……。

 キリト様のお耳とお時間を、私のような下賤の存在の言葉で汚してしまうことをお許しいただけないでしょうか?」

 

 正直なところ、肉便器というものが何なのかアスナはよくわかっていない。それでも、便器というからには人間より格上の存在であることはまずないだろう。同格、あるいはずっと格下である可能性の方が高い。ならばたっぷりへりくだっておくに越したことはないはずだ。

 所有物の分際で許可無く主に声をかけてしまうことに申し訳なさを感じているアスナの頬に、キリトの左手が触れた。

 

「ああ、もちろんだよアスナ。アスナは俺の可愛い肉便器8号なんだからさ」

「ありがとうございます……♥ 

 それで、肉便器としての誓いを捧げさせていただいたばかりの身で申し上げるのも烏滸がましいのですが……よろしければ、キリト様の配偶者として振る舞ってもよいでしょうか……?」

 

 差し出がましい申し出をしているという自覚はあったが、『配偶者』――つまりは、キリトの『奥さん』として振る舞えるという響きの誘惑には勝てなかった。厳しい叱責を受ける覚悟で見上げた視線。その先で、キリトは暫し考え込むポーズを見せ、やがて首を縦に振った。

 

「それじゃあ……今から明日の朝まで、アスナには俺の奥さんとして振る舞ってもらおうか。うまくできたら、もっと延長してやる」

「本当ですか? ありがとうございます、キリト様! 精一杯、奥さん役を務めさせていただきます!」

「おいおい。まだ肉便器モードになってるぞ、アスナ。奥さんなんだから、もっと気楽な感じでいいよ」

「はい……じゃなくて、うん。じゃあ、改めて。肉便器嫁としていっぱいご奉仕させてね、キリトくん♥」

「ああ、よろしく頼むよ。アスナ」

 

 肉便器にしていただいた喜びと、そんな肉便器の分際で愛する主人の奥方として振る舞わさせていただける事への喜びでアスナの胸はいっぱいだった。こうしてキリトにぎゅっと力強く抱きしめられると、その喜びが体の中から溢れ出してしまいそうな程に。

 

「じゃあ、アスナ。早速だけど、アスナが俺のモノになった証拠の映像を記録しなきゃいけないんだ。奥さんになってもらったばっかりで悪いけど、手伝ってくれるか?」

「もちろんだよ、キリトくん! 撮影場所はここでいいの?」

「いや。さっき、ちょうどダブルベッドのある寝室を見つけたから、そこで撮ろうと思うんだ。

 ちなみにあそこって……もしかしてアスナの部屋か?」

 

 キリトの胸板に頭を預けるように抱きすくめられながら、アスナはふるふると首を横に振る。

 

「ううん。あそこは夫婦用の寝室だよ。ただ……今は誰も使ってないの」

「え? あんなに広くていい部屋なのにか?」

「ええ。あの部屋は……というか、この家はもともと私の兄夫婦が使う予定だったんだけど、お仕事で海外に行くことになっちゃって。空きっぱなしにするのも勿体ないからって、私とユウキが住まわせてもらってるの。

 さすがにあの部屋はちょっと広すぎて持て余してたんだけど……キリトくんに使ってもらえるなら、きっと部屋も喜んでくれると思うよ」

「そうか、じゃあ……遠慮無く使わさせてもらうとしますか」

 

 抱擁を解いたキリトにぴったりと寄り添って両腕を絡ませながら、アスナは家の奥の方にある夫婦の寝室へと向かう。肉便器として生まれ変わって最初の仕事へ向かう足取りは、アスナの心と同様に軽やかだ。味気ないフローリング敷きの廊下すら、真っ赤な絨毯が敷かれた教会のバージンロードに思えてくる。

 

「ねえねえキリトくん。私がキリトくんのモノになった証拠映像って言ってたけど……どういうものを撮るの?」

「そうだな……基本的にはハメ撮りなんだけど、細かい部分は肉便器になった子のやりたいことをさせてるんだ。

 あとでできることのリストを出しておくから、アスナのやりたいことがあったら選んでくれ」

「はーいっ」

 

 アスナを伴って夫婦の寝室に辿り着いたキリトは、アイテムストレージから三脚をオブジェクト化すると、ビデオカメラを据え付けていそいそと撮影の準備を始める。その作業をにこにこ顔で眺めながら、アスナはダブルベッドの上に腰掛けて空中にコンソールウィンドウを開く。

 半透明のウィンドウ上に表示される、実施可能なプレイ項目のリストと詳細な注文を記載する入力欄。リストの中からいくつかを選択したアスナは、その他の細かい内容を文章にまとめて入力欄に打ち込んでキリトへと送信した。

 

「私がやりたいこと全部まとめて送ったよー。キリトくん。

 名付けて『肉便器アスナ・人間廃業ビデオレター』♥」

「ありがとう、アスナ。どれどれ……よし、これならすぐにでも始められそうだ。

 じゃあ早速撮ろうか、アスナ」

 

 こくりと頷いたアスナは、ベッドの上に仰向けに倒れ込んで両脚を開き、いわゆる『まんぐり返し』の姿勢をとる。カメラへと向けられた股座で露わにされる性器と肛門、そしてアスナの顔。それらがはっきりと映るように、キリトはカメラ位置を調整し、録画開始ボタンを押した。

 あとは、アスナが喋りたいことを喋り、したいことをするだけだ。

 

「――えーっと。お父さん、お母さん、お兄ちゃん。それからユウキ。突然こんなビデオを送っちゃってごめんなさい。

 実は私……アスナは、今日から人間を廃業してご主人様の肉便器にしてもらいました。皆にはそれを知って欲しくて、こうしてビデオメッセージを録画しています」

 

 頭を持ち上げてカメラレンズを真っ直ぐに見つめながら、アスナは淡々と言葉を紡ぐ。

 

「皆は『きっと、誰かに脅されているんだろう』って考えるかも知れないけど……私は、私自身の意思で肉便器になったの。その証拠に誓約書も書いたから、あとでそっちも見ておいてね。

 それで……肉便器として生まれ変わった記念にご主人様が特別なお薬を用意してくれたの。たかが肉便器の為にここまでしてくれるなんて、本当にいいご主人様だと思わない?」

 

 ストレージウィンドウを表示したアスナは、キリトが用意してくれた薬物をひとつひとつ掌の上にオブジェクト化していく。

 

「これは、女の子の頭をゆるゆるにしてちんぽ中毒にしちゃうセックスドラッグ。これが排卵促進剤で、こっちが受精と着床をしやすくなるお薬。

 それで、このカプセル剤がすごくて……なんと、まだ認可されてない超裏モノなの。これを飲むとね、子宮の機能とか体内のホルモンバランスとかがめちゃくちゃになっちゃうんだけど……その代わりに、最初に膣内射精してくれた男の人の精子以外じゃ絶対に孕めない体にしてもらえるんだって!

 普通なら肉便器如きが妊娠しないように子宮をただのゴミ袋にしちゃうお薬をいただいてもおかしくないのに、むしろご主人様の赤ちゃんを造りやすくしてくれるなんて……♥ 本当に素敵なご主人様に所有してもらえて、私は世界一幸せな肉便器だよ♥」

 

 情熱と感謝、そして尊敬に満ちあふれた微笑みを浮かべたまま、アスナはオブジェクト化した薬剤を再びストレージにしまうと、代わって独特な形状をした無針注射器をオブジェクト化する。ちょうど片手で扱えるサイズの無針注射器の薬液チェンバー内には、薄らと色づいた薬液がみっちりと充填されていた。

 

「他にも、ひどいことや痛いことされると気持ちよくなっちゃうように脳神経を造り替えるお薬とか、妊娠しなくても母乳を出せるようになるお薬とか、いろんなのがあるんだけど……そういうのって用法・用量を守らないと本当に大変なことになるの。

 だからね……そういうお薬をいーーーーっぱい使って、超濃厚ドラッグカクテルを造っちゃいました~♥ さっきのお薬……トータル百錠くらい、この中に溶かしちゃってま~す♥」

 

 握った注射器がよく見えるよう、アスナは片手をカメラに向けて軽く振ってアピールする。安全成分量を遙か彼方に置き去りにした薬液で満たした破滅の象徴、その注入口の先を自らの首筋へと押し当てる。

 

「こんなの使ったら、もうまともな人生なんて送れっこないけど……まあ、私って肉便器だし? ご主人様が飽きるまで楽しくハメ潰してくれればいいだけだし。というわけで、さっそく使っちゃいたいと思いま~す♥

 じゃあ、3カウントでいくよ? 3,2,1……注入~~~♥」

 

 ぐぐぐと押し込まれたピストンハンマー部分が薬液を前方へと押し出す。ぷしゅっという空気の音は、恐らくピストンに伝わる手応えから生まれた幻聴のようなものだろう。

 注入口から溢れ出した薬液は、浸透圧の作用に従ってアスナの肌から体内へと染み渡り、やがて血管へと到達。血流に乗って運ばれた大量の効能成分がアスナの脳を、子宮を、全身を余すところなく侵していく。

 

「あはっ――――ひゅい、あぶ、くうっ……♥ おくゅひゅぅりぃ、さいこぉっ……♥♥」

 

 錠剤では得られない即効性に、アスナは無数の手によって体内をかき回されているかのような錯覚を覚える。いや、もしかしたらそれは錯覚ではないのかもしれない。現に今、アスナの脳細胞を繋ぐ快楽神経は大量のケミカル成分によって容赦なく書き換えられ、子宮は無理矢理に排卵を始めようとしているのだ。その感覚が電気信号となって神経網を駆け抜けない方がどうかしている。

 びくびくと震えだしそうな体の感覚に興奮し、身も心も肉便器に相応しくなりつつあることに喜びを感じながら、アスナは空っぽになった注射器を投げ捨てた。

 

「はっ……はっ、はぁーい♥ これでぇ、アスナ(わたし)の人生は完全終了しちゃいました~♥ これからはご主人様の肉便器として、ちんぽ様に媚び媚びすることだけ考えて生きてイきま~す♥ もうそっちのお家には帰らないけど探さないでくださ~い♪

 ……じゃあこれから私のおまんこに、ご主人様がファーストザーメンマーキングするところを撮ってもらうね♥」

 

 言うべきことを言い終えたアスナは、カメラに向けてウィンク。それを合図にビデオカメラの後ろから立ち上がったキリトは、ベッドの上へ移動してそのままアスナの体に覆い被さる。期待に満ちたアスナの視線を浴びながらキリトが装備アイテムを全解除すれば、拘束を失った剛直が勢いよく飛び出してアスナの下腹部を磨った。

 

「えへへ……♥」

「嬉しそうだな、アスナ」

「だって、キリトくんのおちんぽでま(・)た(・)処女(ハジメテ)を奪ってもらえるんだもん♥ 嬉しいにきまってるじゃない……♥」

 

 至近距離に顔を近づけた二人が交わす声は、ビデオカメラでは捉えきれないほどに小さい。

 キリトの背中に両腕を回して抱きつきながら、アスナは腰を前後左右にゆっくりと動かし、張り詰めた亀頭を肌の上ですりすりと滑らせる。

 

「ちゃーんとここに……私の使(・)用(・)済(・)み(・)だ(・)け(・)ど(・)未(・)使(・)用(・)の(・)子(・)宮(・)に、キリトくんの精液たっぷり注いでね♥

 今なら、おくすりのちからでキリトくん専用肉便器にカスタマイズできちゃうし……あ、もし外に出したりしたら絶対許さないんだからね?」

「おお、怖い怖い。それじゃあ張り切ってナカダシしてやらないとな」

 

 少しばかり意地悪な顔つきで嘯くキリトは、肉棒の先端をアスナの蜜壺の入り口に宛がうと、そのまま一気に押し込む――と見せかけ、入り口をつんつんと軽くつつく。薬物と脳内物質の作用で既に準備万端だったアスナの雌華は、それだけの刺激にも愛蜜を溢れさせてしまう。

 乙女の滴で亀頭を濡らしたキリトは、今度は軸の部分でアスナの割れ目をじっくりとなぞる。素股をしているときと同じ、もどかしい快感に苛まれたアスナの口から熱い吐息がこぼれ落ちる。

 

「やっ♥はぅっ♥ 焦らすの、ずるいよキリトくん……♥ はやくきて、きてよお……♥」

「わかってるって。ほら、一緒にファーストキスも奪ってやるから舌出せよ。アスナ」

「いいの? だす、だすぅっ♥」

 

 体を上から抑え込まれながら、アスナは両の瞼を閉じて舌を差し出す。

 その舌に吸い付く乱暴な口づけの感触と、肉壷を貫く太く固い逸物の感覚がアスナを上下から襲ったのは――ほとんど同時の出来事だった。

 

「んっ――――んんぅうう゛っぅうぅうぅ♥♥♥」

 

 処女破瓜の痛みを感じなかったのは、ペインアブゾーバーのおかげか、あるいはこれが何度目かのロストバージンだからだろうか。

 快楽のみを感じて悶える体を抱き竦めるキリトの力強い腕。その感触に安心感を覚えながら、アスナは己の内を貫く肉棒の逞しさにひたすら酔い痴れる。

 

『頭、頭溶けそう♥ ファーストキスも、バージンも、またキリトくんにもらわれちゃった♥ うれしいよぉ♥きもちいぃよぉ♥あたまとけちゃっておかしくなっちゃうよぉ♥♥』

 

 キリトの唇に塞がれてしまった声が、アスナの声を再現した人工発声システムによって迸る。声帯への電気信号を読み取って音声化するこのシステムは、声の主がどうなっていようと常にクリアで聞き取りやすい音声を作り出す。

 たとえば、唇を唇で塞いだキスハメ状態のまま、キリトが腰を前後させ始め、アスナの蜜壺をじっくりと堪能し始めたとしてもだ。

 

「んぶっ♥んぶゅっ♥ぉお゛っぅ♥う゛ぶぅううっ♥♥」

『キリトくんのさいきょーちんぽ、どっちゅどっちゅって音立てながら、私のおまんこ征服してる♥ ここは俺のモノだぞって、お前は俺の精子便所なんだぞって、ちんぽのロングストロークで教え込んでるよぉ♥』

「ふひゅっ♥んぴぃ♥ん、んっ、んぅうううぅうっっ♥♥♥」

『こんなことされたら、どんどんどんどん好きになっちゃう……♥ 貴方様の雌にしてくださいって、おまんこが勝手に降伏しちゃうよぉお♥♥ 無理っ、無理ぃぃいっ♥♥ こんなのに女の子が勝てるわけないよぉおおぉっ♥♥♥』

 

 くの字に曲がったアスナの両脚は、膝裏を抑え込むように入り込んだキリトの両脚によってがっちりとロックされ、雄を迎え入れるために大きく開かれたまま抽送を受け入れることしかできなくされている。抵抗しようにも最早どうしようもないが、そもそもアスナには抵抗する理由がない。

 互いの体に互いの腕を回し、ぎゅっと抱き合いながらの交尾。傍から見つめるビデオカメラが記録するのは、雌汁にまみれながら処女地を遠慮無く蹂躙する肉棒の姿と、出し入れの度に獣のように鳴き悶えるアスナの尻。そのまま互いの腰と腰を密着させたキリトは、己の逸物でアスナを深々と刺し貫いて固定したまま、ようやく唇を解放した。

 

「……っ、はあっ、はあ……。っと、危ない危ない、一気に射精する所だった……」

「はひゅ、はひゅぅ……♥ きりと、くん♥ ちんぽ、ちんぽとめちゃやだぁ♥ ぶっとい旦那様ちんぽでイジメてほしいよお……♥

 わたしのおまんこ……キリトくん専用の肉便器おまんこで、一緒に気持ちよくなって欲しいよぉ……♥♥」

「まったく、こんな淫乱な処女初めて……でもないか。うん」

 

 そうからかってやりつつ、キリトは腰をわずかに動かし、亀頭で奥のポルチオ周辺をぐりぐりと刺激してやる。快楽に身もだえするアスナの体をしっかりと抱き留めながら、唇を彼女の耳元へ。

 

「今日は全部、アスナの子宮(ココ)に注いでやるからな……。ちゃんと孕むんだぞ?」

「うん♥ 孕む、絶対、ぜったいキリトくんの赤ちゃん孕む♥ 子宮で旦那様ザーメン記憶して、りっぱな肉便器ママになってみせるからね♥」

 

 どろどろに蕩けた声で囁き返しながら、アスナは両手を己の下腹部へ持っていくと、脇腹と腰の境目付近を親指でぐにぐにとマッサージする。

 

「ほーら♥ 頑張って排卵して、私の卵巣ちゃん♥

 せっかくキリトくんがザーメンたっくさん注いでくれるのに、お腹の中は空っぽでお出迎えなんて失礼なことしちゃダメなんだからね?」

 

 薬で敏感になった体を己の手で更に刺激して排卵を促しながら、アスナは一匹の雌として雄に媚びる。相手に己の子を孕ませるという、雄の遺伝子に刻まれたプリミティブな欲求を喚起するためだけに、自らの人生全てをあっさりと差し出す。

 そうしてマッサージを終えた腕でアスナは愛しい男の体へ再び抱きつく。それを合図に、キリトは力強く腰を動かしてピストン運動を再開した。

 

「あっ――――んぁっ♥あっ♥お゛っ♥ あっあっあ♥ぁあんぅっ♥あっ、あぁっ、あぁああっ♥♥」

 

 互いの体を密着させたまま、キリトは下半身だけをフル活用してアスナを責め立てる。

 どんな逸物が入っているのかカメラにはっきり映るように、根元から先端までを使う杭打ちピストンで雌穴を貫く。アスナが自分の喘ぎ声で更に興奮できるよう唇は塞いでやらない代わりに、ベッドの中では甘えん坊で所(・)有(・)さ(・)れ(・)た(・)が(・)り(・)な彼女の首筋を甘く噛んでやる。

 

「んぃ゛っ♥ あっ♥ はひ♥ んお゛っ♥ あんっ♥」

「ほんと、動物みたいに鳴くな……アスナは。そんなに気持ちいいのか?」

「きもち♥いひぃ♥ きもちいぃのぉっ♥♥ ちんぽ、あふっ♥キリトくんのぉ♥ちんぽぉっ♥ きもちよひゅぎれ、あぅ♥こえ、こえでじゃうのぉっ♥♥

 ごめんにゃひゃいっ♥ あひ、あんっ♥うるしゃい便器で、ごめんなさいっ♥♥」

「よしよし、謝らなくていいんだぞアスナ。アスナはこんなにエロ可愛く鳴く機能までついてる高級便器なんだから、遠慮せず声出していいぞ」

 

 アスナの髪を撫でつつ、キリトはピストンの速度を数段階速める。腰と腰がぶつかり合う間隔が狭まり、ぱんぱんという肉の音が一気にボリュームを増す。

 子宮から脳髄へ駆け上る快楽が、耳に届く肉のビートと絡まり合ってアスナを更なる官能の中へ堕としていく。鳴き声の止め方を忘れてしまった口の端からだらしなくこぼれた唾液を舌でそっと舐め上げたキリトは、口内で己の唾液と攪拌した後、アスナの顔の真上から垂らして返してやる。口内を狙った滴は僅かに狙いを逸れ、アスナの鼻先へと滑り落ちた。

 

「……っと、悪い。ハズれた」

「だひ♥ひぃっ♥ うっ、ううん、だいじょうびゅ♥ えへへ……あふ♥ キリトくんので、顔、キレイにしてもらっちゃった♥ だから……だいじょーぶぅ♥♥ すきっ、しあわせぇ……♥♥」

 

 顔面にべったりと唾を浴びただけで、アスナは軽く達した。

 その余波でより一層締め付けを増した膣肉が、種付けの汁を乞い願うようにキリトの肉棒にぎちぎちと絡みつく。雌の健気さに答えるように、キリトもまた一層激しく腰を突き込む。

 陰嚢の中で待機する何億もの精子は、煮えたぎる溶岩の如く沸き立ちながら出撃の時を今や遅しと待ち構えている。最奥にて無防備な姿を晒す雌の卵をよってたかって蹂躙すべく身のうちにエネルギーを蓄えて。

 雄の興奮を本能的に感じ取ったのか、アスナの両脚はほとんど無意識のうちにキリトの腰に回り、肉棒の先が抜ける余地を無くしてしまう。それが終末への合図でなくてなんだというのだろう。

 

「とりあえず、そろそろ一回目だ……一気にいくぞ、アスナ」

「はひ♥はひぃいっ♥ きへ、きへえっ♥キリトくゅんっ♥♥」

 

 白いベッドシーツが灰色に染まるほどにたっぷりと愛蜜をこぼしながら、アスナはこくこくと頷く。呂律の回らぬ口は役に立たず、合成音声システムを使う事に気を回す余裕は既に無い。

 射精を目前に控えたラストスパート。一気に加速する腰の動きは我武者羅なようでいて、アスナの弱いところを常に刺激し続けるだけの技と余裕も兼ね備えていた。そんな雄のパワーと男のテクニックが融合したような性技を受けて、アスナがまともでいられるはずがない。

 

「あっ♥あっ♥あっあ゛~~あ゛ぁあ~~♥♥ いぎゅ、いっでりゅ♥♥おあっ♥ひぃいぃい♥♥

 キリトくんのれ、いっへ、イってるのに♥すご♥しゅごっ、しゅごいのくりゅ♥ もっどおっぎいのきちゃうよおお♥♥♥」

 

 ばちゅばちゅという粘ついた水音を引き連れて、最短のスパンで何度も何度もぶつかり合う腰と腰。上と下に重なり合って貪り合う男と女。先に絶頂を迎えた雌を組み敷いたまま、雄は己の分身を容赦なく叩き込み続ける。

 少しでも長く、アスナを狂わせるために。少しでも多く、精液を流し込むために。とっくに臨界点を超えていた逸物をその意地だけで抑え込み――そして、ついに。

 

「……アスナっ!!」

 

 愛しき女の名を叫びながら、キリトは彼女の最も深いところへ肉棒を押し込み、滾る白濁の証を一気に解き放った。

 

「キリ――あっ♥あ♥あ゛♥あぁああ゛ぁぁあぁあ゛あっっ♥♥♥

 あむっ♥せーし、せーしびゅーっへ♥♥♥いぎゅっ、イってるのにまりゃっいぎゅぅうぅぅうぅうう♥♥

 あっあっあっ――ぁあああああ゛あああ♥ はひゅ♥はらっ♥はらんでイっちゃうにょぉおおお゛おお゛おおぉおぉお♥♥」

 

 ベッドマットレスにアスナの尻が沈み込むほど力強く押しつけ、絶頂に次ぐ絶頂に狂い悶える女体を抑え込みながらの射精。一際大きさを増した肉槍がアスナの狭い膣道を力尽くで押し拡げ、陰嚢の中でたっぷりと熟成された精子達を一斉に送り出す。

 子宮内に容赦なく叩きつけられる白濁の奔流は、アスナの快楽神経をオーバーロードさせながら雌の秘奥を瞬く間に満たす。どくっ、どくっ、と、不規則な間を挟んで精液が次々に送り出される度、アスナはびくびくと体を震わせて雌の喜びに溺れ続ける。

 

「おひゅっ♥ひゅご♥ひゅごぃ♥ キリトくゅんの、すぎょひぃい♥ まりゃいぐ、いぐっ、い゛ぐうぅうぅううう♥♥♥

 あかちゃんはらまさりぇながらまらいぎゅぅうぅううぅうぅううっ♥♥♥」

 

 引き絞られた弓のように体を仰け反らせ、だらしなく開いた口から舌を伸ばしたまま、アスナはイキ潮を撒き散らしながら何度も達する。一部始終を録画していたビデオカメラに記録されていたのは、男女の体が上下に折り重なって密着した姿だけだったが、何が起きているのかは子供でも容易にわかってしまうだろう。

 そうして――たっぷり60秒以上は繋がっていただろうか。ようやくアスナの興奮が収まり、絡んでいた両脚が力なく解けるのを見計らって、キリトはゆっくりと体を起こした。

 

「ふうっ……まあ、1発目ならこんなもんだろ……」

 

 ずぬり、と。雌穴から姿を表すのは、本気汁と精液の残滓に塗れた股間の逸物。当然ながら硬度を失っていないそれは、アスナの蜜壺から抜けた際にぶるんと勢いよく撓り、付着していた愛液や精液の残りをアスナの体の上にぶちまけた。

 そして、肉棒が抜かれてからしばしの間を置いて逆流し始めたのは、射精されたばかりの子種汁。大量の精子を含んだその征服の証は、溶けたチーズのようにどろりと濃厚なままアスナの性器から溢れ出し、ひくひくと痙攣する肛門を掠めながら股の間を流れてベッドへ落ちていく。

 

「ほーら、アスナ。いつまでのびてるんだよ。ちゃんとカメラに向かって、挨拶しないとダメだろ?」

 

 アスナの頭の方へと移動したキリトは、彼女の綺麗な髪を掴んで頭を持ち上げ、彼女の顔をカメラの方へと向かせる。雌の快楽をこれでもかと味わわされたばかりの締まりの無い顔が、そこにいるのがもはやただのメスであることを雄弁に物語っていた。

 

「あふぇ……♥ あっ……♥ み、んな……私、もう、ダメ……♥ はふっ、はふぅ……♥♥ ばい、ばい……」

 

 どうにかこうにか最後の挨拶を終えたアスナを解放したキリトは、手元のコンソールウィンドウを操作し、ビデオカメラの録画を停止する。録画中を示す赤いランプが消えるのを確認してベッドの上に座り込むと、そのまま両手でアスナの体を抱き寄せた。

 

「おつかれ、アスナ」

「あっ……♥」

 

 ぐったりとしたまま余韻に浸るアスナは、持ち上げられるままキリトの体へもたれかかる。交合の熱にうっすらと汗をかいた肌が、艶めかしいオンナの色香を放つ。

 

「えへへ……♥ 上手に肉便器デビュー、できたかな……?」

「ああ。すごくよくできてたぞ、アスナ。

 ――じゃ、二回戦いこうか」

「………え?」

 

 アスナの体を正面からもたれ掛からせたまま、キリトは彼女の両膝の裏に腕を回して下半身を大きく持ち上げる。無理矢理開かされた股座からぼたりぼたりとこぼれ落ちていくのは、先程放った精液達だ。

 

「きっ、キリト、くん……私、今、いっぱいイッたばかりで……ね?」

「『恐縮』だけど、俺が満足するまで時間無制限コースで付き合ってくれますか?」

「~~~~~~~っ! もうっ、ズルいんだから…………わかりました♥ キリトくんの肉便器奥さんとして、たっぷりお付き合いさせていただきます♥」

 

 キリトの首に改めて両腕を回したアスナは、そのまま唇と唇を重ねる。そっと挿し込まれた舌が絡み合う音の反響に入り交じるのは、キリトに持ち上げられた腰が、肉棒を飲み込みながら下ろされていくぐちゅりという結合音だった。

 

 


 

 

 ――朝方に始まった交歓が一段落する頃には、既に太陽は西の空に沈もうとしていた。

 午前中から今まで食事も摂らず、口にしたのはスポーツドリンクと互いの唾液くらいなもの。そこにキリトは母乳、アスナは精液といった顔ぶれが加わるが。

 

「悪いな、アスナ。すっかり付き合ってもらっちゃって。『恐縮』するよ、ほんとに」

「そ、う……りゃね……♥ あっ、あふっ……♥」

 

 完全に精神の一部がどこかに飛んでいったままのアスナを後ろから抱きかかえながら、キリトは浴槽に肩まで浸かる。熱い湯がざばりと溢れ出し、二人の体に染みついたニオイと汗を溶かして流れていく。

 なんとはなしにアスナの中に精を放った回数を思い返せば、正常位で三回、対面座位で二回、騎乗位と立ちバックと駅弁で一回ずつの計八回。夫婦の寝室に男女の交わりの臭いが染みついてしまうのではないかと思うほど、ぐちゃぐちゃのどろどろになるまで交じりあって種を植え付けた。

 

「明日もまた来るからさ。退学届の準備をしておいてくれないか、『恐縮』だけど」

「うん……しておく……♥」

「それで、午前中に手続き済ませたら、その後は買い物デートでもしないか? 

 これから色々物入りになってくるだろうからさ」

「うん、いく……。

 ……あ、でも、えっちもしたい……せっかく肉便器になったんだから、いっぱいせっくすしてもらいたい……♥♥」

「するに決まってるだろ。デート終わったら、今日みたいにいっぱい抱くから覚悟しておけよ」

 

 耳元でそう囁いてやると、アスナは蕩けた笑みを浮かべたままこくりと頷く。キリトを背もたれ代わりにしたまま浴室で入浴を楽しむアスナの顔が、熱い湯の湖面に反射してゆらゆらと揺れる。

 

「ねえ……今日、あのお部屋で寝るね……。私が可愛がってもらった匂いがいっぱいついてる、夫婦の寝室で。

 キリトくんの匂いに包まれながら眠ったら、夢の中でもセックスさせてもらえそうだから……ね♥」

「それじゃあ……アスナ。『恐縮』だが、眠ってる間も夢の中で俺といっぱいセックスしてくれないか?」

「いいの? はーいっ、よろこんで♥」

 

 ニコニコ顔のアスナの頬へ軽く唇を触れさせて、キリトは彼女を振り返らせる。

 

「それとさ、アスナ。実はもう一つ、アスナに頼みたいことがあるんだ」

「頼みたいこと?」

「ああ。『恐縮』なんだが――」

 

 


 

 

「たっだいまー! アスナー!」

 

 山の向こうに日が沈み、すっかりあたりが暗くなった頃。自転車を玄関側に置いた少女――ユウキは、いつものように大きな声で帰宅を告げた。

 

「おかえり、ユウキ。新しい学校、どうだった?」

「もう、すっごく楽しかったよ! みんな楽しい人ばっかりでさ、これならどんどん友達になれそうだよ!」

「本当? よかった、なら大丈夫そうね」

 

 玄関で出迎えたエプロン姿の姉――正確に言うと遠い遠い親戚筋という関係なのだが諸般の事情で姉妹となっている――こと、アスナに、今日の出来事を報告しながらユウキは靴を脱いで家へと上がった。

 引っ越しても大学には通えるアスナとは違い、別の学校へ転入することにはなってしまったユウキではあったが、まだ入学式シーズンから一ヶ月程度しか経っていないこともあってどうにかやっていけそうな手応えを感じていた。

 

「アスナ、今日の晩ご飯はなに? ボク、ハンバーグがいいなあ」

「こーら、ユウキ。その前に」

「手洗いうがいでしょ? ちゃんとわかってるよ」

「それも大事だけど……その前に」

 

 スマホを取り出したアスナが、カメラレンズをユウキの方へと向ける。

 

「急にどうしたの? ア――」

 

 名前を呼び終えるより早く、紅色をしたフラッシュが迸り――そして、ユウキは体の自由を失った。

 

「――『Mind Hypnotic Control Program』正常起動しました。

 対象者の認識阻害……完了。肉体の支配権を一時作業人格へ移行開始……移行完了しました」

 

 ぼんやりとしたまま棒立ちになったユウキの口から、自分のものではない言葉が溢れ出す。もちろん、ユウキにそれを喋っている自覚は微塵も存在しない。

 一方でアスナはといえば、人形のようになってしまったユウキを見つめながら、ほっと安堵のため息をこぼしていた。

 

「よかった……ちゃんとうまくいったみたい」

「プリセット催眠設定を確認しました。設定をインストールしています……インストール完了しました。

 催眠を完了しました。10秒後に対象者の意識を解放します」

 

 ユウキの口から、ユウキの声で流れる、ユウキのものではないアナウンス。それを聞いたアスナはスマホをしまい、何事もなかったかのような顔を作る。

 それから、きっかり10秒後のことだった。

 

「――あ、あれ?」

「どうかした、ユウキ? なんだかぼーっとしてたみたいだけど」

「そう? 実は、ボクもなんかそんな気がしてて……」

「きっと、転校したばっかりで変に疲れちゃったのね」

「あはは。たぶんそうだね」

 

 気まずさを誤魔化すように笑いながら、ユウキは装備ウィンドウを呼び出すと、身につけていた衣服をいそいそとストレージへ格納し始めた。

 

「ほーら、いつまで服着てるの? アスナも早く脱いじゃおうよ」

「脱ぐって……どうして?」

「どうしてって……裸を録画してご主人様に送るために決まってるでしょ?」

 

 さも当然という顔で、ユウキはあっという間に服を脱ぎ捨てて全裸になる。

 

「そ、そうだったね。ごめんね、ユウキ。なんだか私もぼんやりしちゃってたみたい」

「あははっ。今日はなんだか、ぼーっとしてばっかりだね、ボク達」

「ほんとほんと」

 

 キリトが帰る際に残した頼み事――スマホの催眠アプリを使って、ユウキを催眠術の支配下に置く。それをうまくやり遂げられた自分を誇らしく思いながら、アスナもまた衣服を脱ぎ捨てる。

 二人とも素っ裸になった所で、映像録画モードに設定したスマホをテーブルの上の適当な場所に立てかけ、その前に並んで立つ。

 

「アスナ、アスナ。もう始めて大丈夫なの?」

「うん。大丈夫だよ、ユウキ」

「じゃあ……早速、はじめちゃうね」

 

 アスナと頷きを交わしたあと、ユウキはカメラを真っ直ぐに見つめ、両手を体の横につけた『気をつけ』の姿勢を取った。

 

「アスナのご主人様兼旦那様へ。えーっと……初めまして、でいいのかな?

 ボクはアスナの妹……みたいな感じの、ユウキって言います。

 ボクもご主人様のお眼鏡に適うような立派な肉便器になれるように、これから週末までの五日間、アスナにたっぷり調教してもらうことになりました。ね、アスナ?」

「ええ。私の可愛いユウキが、とっても素敵な肉便器9号になれるように精一杯調教するので……できあがりを楽しみに待っててくださいね、ご主人様♥」

「ボクも頑張って調教されまーす♥ それじゃあご主人様、また週末にねー♥」

 

 子犬のように愛らしいユウキの頭を撫でつつ、アスナはスマホの録画を停止。出来たばかりの映像ファイルを、早速キリトへと送りつけた。

 

「よーっし、これで撮影完了ー。ご飯にしようよ、アスナ」

「うん、そうだね。ご飯が終わったら早速調教開始だよ、ユウキ」

「望むところだよ、アスナ!」

 

 やる気満面といった様子のユウキは、アイテムストレージにしまった衣服をオブジェクト化しようとウィンドウを開く。その動きにいち早く気づいたアスナは、ユウキの手をそっと押しとどめた。

 

「あれ、アスナ?」

「あのね、ユウキ。私達は肉便器なんだから、ご主人様の許しもなくお家の中で衣服を着たりするのはとっても失礼な行為なの。

 ご主人様はもちろん、お洋服に対してもね」

「そうだったの!? ごめん、アスナ……ボク、知らなくて……」

 

 しゅん、とうなだれるユウキの小さな体を、アスナは両腕でそっと抱きしめる。

 

「そんなに落ち込まなくても大丈夫。ちゃんとしたお作法も、品のある振る舞い方も……全部これから教えてあげるから。

 だから……一緒に頑張ろうね、ユウキ」

「うんっ! ボク、頑張るよ!」

 

 腕の中に収まる華奢な背中に手を這わせ、髪を梳くフリをして臀部に手を触れる。この小さな体をキリト好みの肉便器に調教して献上するのが、己に課せられた大事な大事な役目。

 どんな調教メニューを課していくべきだろうか。内心でじっくりとプランニングを進めるアスナの顔には――妖艶な雌狼の笑みが、ありありと浮かんでいた。

 

 




 09-2.『キリトを待ちながら』に続く
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