※この作品はR-18です。

おそらくはありふれた究極的なやりかた   作:Hastnr

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放尿描写があるので苦手な人は気をつけてください。





13-2.月下に捧ぐ


 

 交合のためだけに作られた黒き城。そこで始まった淫靡な宴は、場所と相手を変えながらも未だ終わること無く続いていた。

 

「――とってもよく似合ってるわ、ロニエさん」

「ありがとうございます、アスナさま。アスナさまも……とても、お綺麗です」

 

 片や、女王の慈愛と共に。片や、臣下の敬愛と共に。二人の女――アスナとロニエは、互いの姿を素直に褒め合う。少し前にロニエが純潔を喪った部屋から数部屋分離れた所にある一室で、二人は次の行為(プレイ)に向けた準備を進めていた。

 二人とも全裸ではないとはいえ、その出で立ちは大きく異なる。

 ロニエが革製の首輪一つきりしか身につけていないのに対し、アスナはいわゆる『女王様』のコスチュームに身を包んでいる。

 アスナの二の腕半ばから指先まで、そして太股半ばから爪先までを覆うロンググローブ/タイツは、共に艶々(てかてか)とした光沢を放つエナメル製。同様の素材で作られたボンデージスーツは、股座や尻をギリギリまで露出した大胆なカットラインと胸元をイヤらしく強調するハーフカップデザイン。それでも、身体を隠すことを許されているその様は、ほとんど裸であるロニエの立場の差をこれ以上無いほどに明確に表していた。

 

「あとは、これをつけて……これも一応出して、と。蝋燭は……さすがにまだ早いかな」

 

 ぶつぶつと呟きながらアスナがコンソールウィンドウを操作すると、彼女の手の中に黒い乗馬鞭がオブジェクト化される。同時に、その首元にロニエと同じデザインの首輪が填まった。

 煌めく宝石を飾ったネックレス等ならまだしも、女王たるアスナの首元を絞めるには些か不自然な存在である首輪の登場にロニエが思わず怪訝な顔をしていると、その視線に気づいたアスナがくすくすと微笑む。

 

「あ、首輪(これ)? 私もロニエさんとおんなじ、キリトくんの女(メス)だもの。これはその証だから……女王様(わたし)もつけるのは当然じゃない」

「キリト先輩の、メス……♥ 私も、アスナさまも……♥」

「そう、キリトくんの為のメス。キリトくんのおちんぽ様にお仕えして、気持ちよく射精してもらうためのおまんこ穴♥

 だから同じメスとして、安心して私に身を任せて……調教(プレイ)を楽しんでくれると嬉しいな」

 

 調教という行為に於いて最も重要なファクターとなるのが、『奴隷』側から『支配者』側への信頼だ。今回の場合、奴隷側たるロニエが、支配者側たるアスナへ元々抱いている信頼だけで調教を進めるには事足りる。とはいえロニエは性行為の経験も浅く、SM調教はこれが初めてだ。普通に進めるだけでは、過剰な緊張に苛まれてしまうかもしれない。

 アスナ自らが首輪をつけ、女王様としての尊厳を損ねてでもキリトの支配下にあることをアピールするのは、キリトの存在を意識させることでロニエに安心感を齎し、彼女に心の余裕を持たせるためだ。まあ、単に己が首輪を付けたかった――というのも大いにあるが。

 

 熱に浮かされたようなロニエをそっと抱き寄せながら、アスナはその耳元で妖艶に囁く。エナメル質に包まれた掌がロニエの尻肉の上を這い回り、乗馬鞭の平べったい穂先が、適度にむっちりとしたロニエの太股を撫でた。

 

「ひゃうっ……」

 

 人の肌よりわずかに冷たい穂先の感触にか、あるいは打擲される事に怯えてか、ロニエが微かに身を震わせる。

 

「ふふっ。大丈夫よ、ロニエさん。いきなり乗馬鞭(これ)で叩いたりなんてしないから。

 ロニエさん、こ(・)う(・)い(・)う(・)の(・)を楽しめるほどまだ慣れてないでしょうし……それに、まだキリトくんに叩いてもらったことはないでしょう?」

「はい、まだ……」

「だったら、初めての打擲調教(スパンキング)は……ちゃんとキリトくんにしてもらわなきゃ。ね?」

「はい……♥ ありがとうございます、アスナさま……♥」

 

 上半分が露出したアスナの胸元に、ロニエはそっと頭を寄せる。尻を揉んでいた手をそっと動かし、彼女の焦げ茶色の髪をそっと撫でるアスナの顔は、その衣装からは想像できないほどに優しかった。

 ロニエを抱き寄せたまま、エナメル質の感触とアスナ自身の身体や香りに慣らさせること暫し。コンソールウィンドウに表示された時計を確認したあと、アスナは彼女の頭にぽんぽんと軽く触れた。

 

「さて、と……そろそろいい頃合いね。始めるわよ、ロニエさん。最初に何をすべきかはさっき教えたつもりだけど……ちゃんと覚えてるかしら?」

 

 こくりと頷いたロニエは、まずはアスナの豊かな谷間に顔を埋めるようにして柔肌の上に口づける。キスマークがつかないギリギリの強さで幾度も幾度も唇を触れさせ、自らをこれから調教(しつけ)てくださる相手――女(・)王(・)様(・)への忠義と愛を示す。

 そうしてキスを繰り返しながら、ロニエは自らの身体を少しずつ下げていく。ボンデージスーツに隠されたアスナの臍、下腹部、そして股座。スーツとタイツの間から姿を覗かせる太股の柔肌。そしてエナメルタイツ越しに膝へ、脛へとキスを続け、最後はアスナの足の甲へ長々と口づける。

 ほとんど裸、ほとんど土下座のような体勢で身を屈めてアスナの脚に吸い付くロニエの姿は、まさに雌奴隷というに相応しかった。

 

「よくできました♥ これから、私みたいな――キリトくん好みの変態さんに躾けてあげるから……一緒に頑張ろうね、ロニエさん」

「ぷふぁっ、ふぁい……♥ よろしくお願いいたします、アスナさま……♥」

 

 エナメル質に包まれた脚を舐め続けるロニエを見下ろしながら、アスナはくすりと微笑む。

 後宮に属する雌による、別の雌の調教。それ自体は最早珍しいことでは無い。奴隷も主人もその日その時の気分によって決まる緩やかな相互調教は、後宮女性陣の中で複雑な紋様を描きながら今も続いている。

 

 アスナ自身、ユウキやシリカといった比較的素直な子はもちろん、シノンやリズといった跳ねっ返りの強い女、更には《ホロウ・エリア》で出会ったばかりの頃の自分を演じるフィリアという変わり種まで幅広く相手取り、様々な調教方法を用いてマゾヒズムの悦楽を叩き込んできた。調教行為自体も楽しいし、何より『手ずから調教して雌として開花させた友人達を、自らの夫に捧げる変態淫蕩妻』という立ち位置に浸れるのが心地よくて堪らない。

 故に、件(くだん)の『共有映像フォルダ』にもそういった動画が割と大量に格納されており――ロニエが目にし、興味を持ってしまったのもある意味では必然かもしれなかった。

 

「さーて、最初は……やっぱりこれよね」

 

 アスナは家具用ストレージから大きな姿見をオブジェクト化。爪先から頭まで全部が映る縦長の鏡が、それを支える脚と共に部屋の床へと設置された。

 少しだけ鏡の角度を調整したあと、アスナはキスを中断させる合図として、ロニエの頬へ乗馬鞭の穂先をそっと触れさせた。ゆっくりと立ち上がるロニエを身体ごと鏡の方に向けたあと、アスナは背後からそっと抱きつく。

 

「本当、素敵な体をしているわよね。ロニエさん……♥ おっぱいもずっしり重くて……男の子が夢中になっちゃいそう♥」

「ひぁ、んんっ……♥」

 

 片方の手でロニエの豊かな胸を持ち上げながら、アスナはロニエをからかう。男を知り、女として一段階上のステージに昇ったロニエの女体が味わう興奮は、彼女の口から甘い吐息となって溢れていく。ロニエの顔に発情の色がにじみ出たのを見計らい、アスナは彼女の視線を改めて前に向けさせた。

 

「さて、ロニエさん。最初の調教だけど……今から私がいうことを繰り返してほしいの。できる?」

「は、はいっ。やってみます」

「その意気その意気。それじゃあ、早速始めるわね」

 

 鏡の中に映り込む、若干不安げな表情を浮かべたロニエの顔。その顔に寄り添うように耳元に唇を寄せ、鏡の中に二人分の顔と体を映しながら、アスナはそっと囁き始める。

 

「『私の名前は、ロニエ・アラベルです』」

「私の名前は、ロニエ・アラベルです」

「『私は、キリトくんのことが大好きな、キリトくんの傍付きです』」

「私は、キリトく……キリト先輩のことが大好きな、キリト先輩の傍付きです」

 

 アスナにつられて『くん』を付けかける寸前でどうにか修正に成功したロニエの頭を撫でながら、アスナは彼女を褒める。言われた言葉をただ繰り返すだけでも十分よいが、己自身の言葉として咀嚼できればなおよいというのが、この調教の本質だ。

 

「『私はキリトくんの、固くてぶっとくて男らしくて、私のハジメテを奪ってくれたおちんぽが大好きです』」

「私は、キリト先輩の……固くて、ぶっとくて男らしくて、私のハジメテを奪ってくれたおちんぽが……大好きです!」

「『私はとっても淫乱な女の子なので、いつもキリトくんとセックスすることばかり考えています』」

「わっ、私はとっても淫乱な女の子なので、いつもキリト先輩とセックスすることばかり考えています」

「『これからもキリトくん専用の性処理傍付きとして、おまんこでいっぱいご奉仕させていただきます』」

「これからも、キリト先輩専用……♥ 

 キリト先輩専用の性処理傍付きとして、おまんこでいっぱいご奉仕させていただきます!」

 

 アスナが囁く卑猥な言葉を、ロニエは素直に口にする。鏡に映る乙女二人の顔は、どこまでも淫靡で美しい。

 どこか仔犬めいたロニエの素直さに嗜虐心をそそられながら、アスナは裸身の彼女を抱きしめ、頬へちゅっと軽く口づけた。

 

「よくできました……♥ とっても上手だったわよ、ロニエさん♥

 この調子で、もう少し難しいことに挑戦してみましょうか?」

「はい、アスナさま。私、頑張ります」

「ふふ。それじゃあ次は……ちょっとだけ姿勢を変えてみましょうか」

 

 ロニエを優しく、しかし反抗を許さぬ強制性を保ちながら、アスナは彼女のポーズを変えさせる。両手は頭の後ろで組ませ、両脚は左右に開かせたまま、膝を軽く曲げさせる。首輪以外に何も身につけず、胸も股座も隠す手段を失ったロニエの姿が鏡にはっきりと映り込んだ。

 

「はっ、恥ずかしいです……アスナさま……」

「そう? その割には……ロニエさんの身体は、とっても喜んでるみたいだけど」

 

 ロニエの肌の上を滑るように進んだアスナの指先が、無防備になったロニエの秘所をそっと開く。エナメルに包まれた指先に、情欲を示す女の蜜がとろりと絡みついた。そうして暫しの間ロニエの秘所を弄んだあと、アスナはその指先をロニエの口元へ持っていく。

 

「ん……♥」

 

 差し出された二本の指先を、ロニエはそっと口に含んで丁寧に舐めしゃぶる。糸を引く雌汁に唾液を混ぜ込み、舌をエナメル質の上へ滑らせながら、こくこくと嚥下していく。

 鞭を握ったアスナの片手が、ロニエの下腹部にそっと触れる。子宮の真上、雌が雌である証のすぐ傍に触れながら、その存在を意識させる。

 

「そう、上手上手。ちゃんと覚えるのよ、自分のおまんこの味を。キリトくんのおちんぽ専用の性処理穴にしてもらったことと一緒に……ね♥」

「ふぁい、あふゅなひゃま……♥」

「それと、これから私やキリトくんが『奴隷のポーズ』って言ったら、いつでもどこでもこの姿勢(ポーズ)を取るのよ」

「わふぁりまふぃた……♥」

「ふふっ、いい子ね。それじゃあ……次の調教(レッスン)に進みましょう。奴隷のポーズ、崩しちゃダメよ?」

 

 ロニエの唾液を纏った指先を引き抜きながら、アスナは彼女の側から離れる。鏡映しの世界からアスナがフェードアウトし、取り残されたロニエは唇の端と股の間から粘つく滴を零しながら、哀れみすら覚えるほどに卑猥なポーズを取らされ続けていた。

 鏡に映る己自身を直視する恥ずかしさに若干身動ぎしながらも、ロニエは奴隷のポーズを維持し続ける。そんな彼女の斜め後ろに立ったアスナは、静かに両腕を組んだ。

 

「それじゃあ、ロニエさん。私がさっきあなたに言わせたこと、覚えてる? 

 淫らで、下品で、普通の人が聞いたら眉を顰めそうな台詞……それをね、今度はロニエさんに考えてもらいたいの」

「わ、私ですか……?」

「そう。ロニエさんが考えた言葉を、鏡に映ったロニエさん自身に語りかけるの。

 自分がどういう存在で、キリトくんとどういう関係になりたいのか……どうなるべきなのかをしっかりとね」

「私の、存在……キリト先輩と……♥」

「ええ、そう。私達の動画を見て、いっぱい勉(・)強(・)したんでしょう? その成果、いまここで見せて」

 

 ごくり、と息を呑んだロニエは、女王様の言葉に頷きを返す。

 磨き上げられた曇り一つ無い鏡に映る、ほぼ裸の己の姿。自分自身とは思えないほどに興奮に染まった己の顔。背中に感じる、女王様の視線。下手なことを言えば容赦なくお仕置きされてしまうだろう。それになにより、女王様より更に上のご主人様(センパイ)のお顔に泥を塗ることにもなる。そんなことは決して許されない。

 心臓はどくどくと早鐘を打つ中、鏡像の己と視線を重ねたロニエは、すっと小さく息を吸ってから口を開いた。

 

「――私の名前は、ロニエ・アラベル! 敬愛するキリト先輩の傍付き……つまりは、性欲処理穴係を勤めさせていただいております!

 こ、これはまではキリト先輩の事を想いながら毎晩自分を慰めるばかりしか能の無い、ダメな後輩でしたが……この度キリト先輩の、雄々しく猛々しいおちんぽ様に処女を捧げさせていただき、晴れて正式なおちんぽご奉仕穴となることができました!

 私は暇さえあればおまんこ弄りをしている、いっ、淫乱雌豚です! 先輩のご寝所に忍び込んで、先輩の残り香を嗅ぎながら何度も何度もイきまくりました! キリト先輩とアスナさまに躾けていただき、私の身体を玩具にしていただけることが嬉しくてたまりません!

 これからもキリト先輩のおちんぽ様がおっきくなった時は、すぐに私を使っていただけるように、もっとお手軽で変態な傍付き肉便器になれるように頑張ります!!」

 

 はあ、はあ、と荒い呼吸を重ねながら――ロニエは自らが言うべきことを言い終えた。

 己自身と見つめ合いながら、己自身を貶め、尊厳をすりつぶす。アスナやアリス、他の女達がそうした行為に耽る映像は幾度も見たが、見るのと実際にやってみるのとでは何もかもが違う。

 あくまでこれは『遊び(プレイ)』――だというのに、言葉を口にする度、本当に愛する人の性欲を処理するための穴になることを望んでしまいそうになる。ドクドクと高鳴る心臓が、ロニエ自身が抱いてしまった興奮を誤魔化しようもないほどはっきりと示していた。

 

「よくできました、ロニエさん。ちゃんと勉強できてて……えらいえらい」

 

 背後から近づいてきたアスナは、ロニエの後ろ髪を軽く引いて顔を真上に向かせると、徐に彼女の唇を奪う。真上からするりと滑り込んでくるアスナの舌に少し遅れて、たっぷりと溜め込まれたのであろう唾液がロニエの口内に流れ込んでくる。

 『奴隷のポーズ』を取らされたロニエに、それに抗う術はなく――いや、そもそも女王様の行為に従者たる己が逆らう理由がどこにあろうか。注ぎ込まれる唾液を、ロニエは素直に嚥下していく。細い喉が幾度も微かに鳴ったあと、アスナはようやくディープキスを解いた。

 

「あっ、アスナさま……おいしかったです……♥」

「ふふっ、ありがとう。それじゃあ、次は……そうね。ロニエさん、『目隠し』されるのは嫌いかしら?」

「ええと……大丈夫だと思います」

「よかった。それじゃあ、次の調教(レッスン)は……」

 

 個人ストレージにアクセスしたアスナは、黒いアイマスクをオブジェクト化する。アイマスクといってもパッドにゴム紐がついているような安っぽい物では無く、眼帯部分は革製で、細いベルト二本を後頭部に巻いて固定するSMプレイ用のものだ。

 ロニエに再び前を向かせ、アスナは彼女の頭にアイマスクを装着していく。瞼に触れる部分は柔らかな素材が使われたそのマスクを付ければ、ロニエの視界全てが闇に閉ざされた。視覚を封じられたことに若干の不安を覚えるロニエの頬に、アスナの指先がそっと触れた。

 

「さて、ロニエさん。次は私も大好きな『おさんぽ』をしようと思うの。

 今から私があなたの首輪に鎖をつけて引っ張るから、その方向に歩いてくれる? もちろん、『奴隷のポーズ』のまま、腰振りもつけてね」

「つまり……キリト先輩に躾けていただいている時のアスナさまのようにすればよいのですね?」

「ええ、大正解。そこまでわかってるなら、もっとレベルを上げて……つまりは、少し難しい事をしましょうか」

 

 アスナの手がコンソールウィンドウに伸び、ロニエの首輪のオプション機能を使用。勉強熱心な傍付きの首輪から伸びた銀色の細いの鎖が、アスナの手の中に収まる。その鎖を二、三度軽く引っ張って具合を確かめたアスナは、続けてロニエの目隠しのオプション機能を使用した。

 相変わらず真っ暗で何も見えないロニエの耳元で、何らかのシステムが起動したことを知らせる効果音が微かに鳴った直後――突然、聞こえるはずの無い音の群れがロニエの鼓膜に届く。

 

「――ッ!?」

 

 それはまるで、華やかに彩られた貴族屋敷の大広間。楽団が奏でる気品ある音楽の中、優雅に談笑する紳士淑女の声に、柔らかな絨毯を踏みしめる靴音と高級なドレスの衣擦れの音が微かに混じる。

 何が起きているのか理解できないロニエが、反射的に身体を隠そうとした刹那、アスナが鎖を引いてロニエの行動を言外に戒めた。

 

「あっ、アスナさま! これはいったい……」

「驚いた? 周りにたくさん人が居るみたいでしょ? もちろん、ここにいるのは私とロニエさんだけだから、心配しなくてもいいわよ」

「そうなのですか……?」

「ええ。キリトくん専用のとっても綺麗でエロティックな身体を、わざわざ他の人に見せたりしないわ。

 これはあくまで、バイノーラル……ええと、つまり……本物のように再現した環境音や人の話し声を流しているだけなの。

 だけどこうしてると……まるで、ロニエさんの変態で淫乱な姿をたくさんの人に見られているようでしょう?」

 

 アスナの言葉に、ロニエはこくこくと頷く。

 周りにはアスナ以外誰もおらず、あくまで音声を流しているだけ――そう言われても、視覚から入ってくる情報が皆無に等しいおかげで、ロニエは己が本当に社交会の会場に連れ出されたかのような感覚を拭いきれないでいた。それどころか、好奇と憐憫が入り交じった視線が肌を突き刺し、くすくすという密やかな嘲笑の音が鼓膜を打つような錯覚まで覚えてしまう。

 ロニエとて、下級とはいえ貴族の端くれである。家格が上の貴族の家で開かれるパーティに参加した事もある。それ故に、耳に聞こえる音はより一層の現実味(リアリティ)を以てロニエの心を嬲る。

 

「それじゃあ、ロニエさん。『おさんぽ』、始めましょうか」

「は……はい。アスナさま……♥」

 

 くい、くいと引かれる鎖に従い、ロニエは歩を進める。両脚を左右に開いた姿勢のまま、へこっ、へこっと腰を前後させ、己の無様さをアスナに――そして、周りにいるはずの観客達にアピールする。一歩、また一歩と歩く度、雌穴の奥からじくじくと溢れ出した蜜が滴となってあたりに飛び散る。

 

『ほら見て、アラベル家のご令嬢。なんて惨めな姿なのかしら』

『ひどいものですな。とてもではないですが同じ貴族……否、同じ人間とすらも思えません』

『聞きましたか。あの淫売、セントリアの見世物小屋で犬とまぐわう様を披露しているのだとか』

『まあ、本当ですの? 今度見に行ってみましょうか』

『まったく、あのような恥知らずを処断するどころか、手元で大事に飼育されるだなんて……星王妃陛下も変わったご趣味をお持ちですこと』

 

 自然言語処理を活用した合成音声システム――ロニエは存在自体を知らない――によって作り出された侮蔑の言葉が、ロニエの耳にぎりぎり届く程度のボリュームで響く。その一言一言がロニエの心を乱し、同時に痺れるような快感を奔らせていく。

 庶民の娯楽に飽きた貴族にとっても、変態ガニマタ姿勢で散歩するロニエの姿はよい出し物だろう。よく育った胸を揺らし、獣のように興奮の吐息を繰り返す様はとても滑稽であり、まともな人間のすることではない。それがわかっているが故に、ロニエの破滅願望にも似た情欲は更に煽られていく。

 

「アスナさま、アスナさま……♥ 私、今、とても興奮しています……♥」

「ええ、よくわかるわ。ほら、周りの皆様にもっと見てもらいなさい。ロニエさんが、どうしようもない雌豚だって♥」

「はいっ♥ ぶひっ♥ ぶひぃっ♥ 私、ロニエ・アラベルは、キリト先輩のおちんぽでたっぷり躾けていただいて……おちんぽにお仕えするめしゅぶたにしていただきましたぁっ♥♥ 

 見てぇ、もっと見てえっっ!」

 

 一歩ごとに己の尊厳を踏み砕きながら、ロニエは散歩を続ける。尻を高く突き出し、ふりふりと前後左右に振って己の惨めさをアピールする。隠そうともしなくなった嘲笑の声が届く度、ゾクゾクとするほどの快感が背筋を駆け抜ける。

 もちろん、もしこれが本当に多くの人が集められた社交界の会場で行われていたら、ロニエはすぐさま逃げ出していただろう。もしここにアスナが居らず、ロニエ一人での散歩だったとしたら、こうまで乱れることはできなかっただろう。

 あくまで再現しただけという安心感と、実際にロニエを見つめながら導いてくれるアスナの存在が、ロニエの雌の部分を開花させる大きな一助となっていた。

 

「素敵よ、ロニエさん……♥」

 

 淫らな振る舞いを繰り返す、最も新しい後宮の一員を鎖で引き回しながら、アスナは陶然と微笑む。

 ロニエが感じている被虐と堕落の悦び――ジェットコースターやホラー映画のように、安全を約束された環境で楽しむ危険と堕落。この仮想空間そのものが雌が何の心配も無く堕ちるための場所なのだから、それを活用しないのも、淫らで甘美な快楽に溺れないのもあまりにもったいない。

 故にアスナは、ロニエがこれまで一度も感じたこと無い快感を教えてやるべく、使い慣れたシステムをそっと起動した。

 

「――――っっっ!?」

 

 システムが起動した直後、ロニエは劇的な反応を見せた。ロニエはまるで電撃にでも打たれたかのようにびくりと身を震わせ、思わず足を止める。そうしてぷるぷると身体を震わせ、何かに必死に抗おうとしているようだった。

 

「あらあら、どうかした? ロニエさん。足が止まっているようだけど?」

「あぅ、あっ、申し訳ありませんっ! アスナさまっ! わ、わたし、なんだか……くうっ……! へんな感じに……。

 お腹の下の方が、きゅうっとして……なんだか、はあっ、はぁっ……!!」

「大丈夫、大丈夫。怖がらなくてもいいのよ」

 

 鎖をそっとたぐり寄せてロニエの側に近づいたアスナは、もう片方の手に握っていた鞭の穂先をロニエの下腹部にそっと当てる。舞い落ちる羽毛のように微かな接触、その儚い感触にすら、ロニエはびくりと身体を震わせて反応する。快楽に浸る獣から、怯える小動物に変わってしまったようなロニエの様子にくすくすと笑みを零しながら、アスナは彼女の耳元にそっと囁く。

 

「ロニエさん。あなたが今感じているのはね、『尿意』というものなの」

「にょう、い……?」

「ええ。私みたいに現実世界(リアルワールド)の人は日常的に感じているけれど、アンダーワールド産まれの人は一生縁の無い感覚。それをね、ロニエさんは感じているの。

 今まで見た映像の中に、私や他の女の子が、おまんこのある辺りから黄色い液体を噴き出している場面があったでしょう?」

「はひっ……。ありました……」

「あれは、『おしっこ』。尿意を我慢しきれなくなったり、我慢するのをやめたりするとあれが一気に出てきちゃうのよ」

 

 誰が設定したのかは知らないが、アンダーワールドには排泄の仕組みが存在しない。ごく一部の例外を除けば、アンダーワールド外からログインしてくる者もいないため、アンダーワールドの住民は排泄という行為や概念そのものを知らずに一生を終える。

 故に、こうして排尿感覚を再現するシステムの餌食にでもなろうものなら――その身体は、未知の感覚によって一気に支配されてしまう。今頃、月光の射し込む部屋でキリトとしっぽり楽しんでいるのであろう、金髪の女騎士がそうだったように。

 

「アスナさま、アスナさまぁっ!」

「はいはい、焦らない焦らない。はじめてのおしっこ我慢、大変だよねー。

 早くおしっこをお漏らしして、すっきりしたい?」

「はいっ、したいです! お漏らししたいですうっ!」

 

 幼子をあやすようなアスナの声音に、ロニエは首をぶんぶんと縦に振って応える。

 その必死さに、ついつい放尿の許可を与えてしまいそうになる自分の甘さをアスナはどうにか抑え込む。調教において大事なのは飴と鞭のバランスであり、今は鞭をくれてやるべきタイミングであるからだ。

 

「ふふ、わかったわ。でもその前に、ロニエさんに一つ確認したいのだけど……」

「なっ……なんでしょうか」

「私は修剣学院の規則はよく知らないのだけど……。

 もし『傍付き』が、お仕えする上級修剣士サマの許可無くおしっこをお漏らししたとしても……それは処罰の対象にはならないのよね?」

 

 ロニエがぴくりと身を震わせたのは、決して股座から登り来る感触のせいだけではあるまい。

 アスナの言葉に含まれた、誰の目にも見えない鞭。すっとぼけても許されるその鞭を――ロニエは、あえて受けた。

 

「……いいえ。それは……それは、くぅっ……とても重い罪になってしまいます……♥」

「そうなの? じゃあ、キリトくんの許可を取る必要がある……ということでいいのかしら?」

「はい……♥ ですので、アスナさま。私に、上級修剣士――キリト先輩に、おねだりする機会をくださいませんでしょうか。

 この、未知の感触……はうっ……♥ 生まれて初めてのおしっこを……キリト先輩の許可のもとでお漏らしする事を許していただきたいのです……♥」

 

 目隠しの下で、ロニエの双眸が妖しい光を宿す。アンダーワールドには概念すら存在しない行為、それをたかだか上級修剣士が認知し、咎めることなどできるはずもない。それを分かった上でアスナが繰り出した鞭を、ロニエは喜んで受けた。

 自らの痴態を晒す歓びに、すっかり目覚めてしまった一匹の雌。その首輪に繋がる鎖をアスナはそっと引いた。

 

「いいでしょう。それじゃあ、キリトくんのお部屋まで案内してあげるから……そこまで一緒におさんぽしましょうか」

「はいっ!」

 

 元気よく返事をするロニエ。その声音(トーン)は、もしロニエに犬のような尻尾が生えていたら千切れんばかりに振っていただろうと確信してしまう程だ。

 奴隷のポーズと品の無い腰振りをしっかりと維持しながら歩くロニエを連れながら、アスナは調教に使用していた一室の扉を開け、そのまま廊下を進む。歩く速度を抑えめにする理由は、目隠しをしているロニエへの気遣いでもあるし、キリトに許可を得る前に限界を迎えてしまうかもしれないと、ロニエをたっぷり焦らせるためでもある。

 

「はっ、はあっ……♥ うう……まだ、まだ着きませんか? アスナさま?」

「焦らない、焦らない。もうちょっとだから頑張りましょ。

 そうだ。せっかくだから……ティーゼさんに見られてる事を想像しながら歩きましょうか」

 

 思わぬ所で親友の名前を出されたロニエは、反射的に身を竦ませる。その反応を見下ろしながら、アスナはまるで獲物をいたぶる女豹かのようにサディスティックな笑みを浮かべながら、ロニエの尻たぶに鞭の穂先を滑らせる。もちろん叩くようなことはせず、しっとりと優しく、撫でるように。

 

「ティーゼさんが見てたら、どんな顔するのかしらね……。騎士見習いが……ううん、普通の女の子が絶対にしちゃいけない事ばっかりしてるロニエさんの姿を見たら」

「へひゅっ……! いや、いやぁ……。見ないで、見ないでティーゼ……♥」

「でも、ティーゼさんは優しくて聡明だから、ロニエさんが望んでしていることじゃないってちゃんとわかってくれるわよね。

 これはあくまで、キリトくんっていうとっても意地悪な先輩に無理矢理させられているんだって。

 ――でも、それじゃキリトくんは後輩を虐めるひどい人だって、悪い評判が立っちゃうわね」

「……っ!?」

「そうしたら修剣学院にもいられなくなっちゃうかも……うーん、いったいどうしたらいいのかしら?」

 

 目隠しの裏側に親友の姿を描かせながら、アスナはロニエを嬲る。鞭の痛みではなく、言葉による誘導で以てロニエ自身に考えさせる。貶められるべき雌として、己が何をどうすればいいのかと。調教の興奮と尿意で限界ギリギリの中でも、ロニエならその答えを導き出せると信じたが故の問いかけ――そんなアスナの期待に、ロニエはしっかりと応えた。

 

「ちっ、違うの、ティーゼ……。これは……私がこうしているのは、キリト先輩に命令されているからじゃないの……」

「『そんな……。じゃ、じゃあどうして……?』――って、聞き返すでしょうね。ティーゼさんなら」

 

 ほんの少しだけティーゼの声音に寄せたアスナの囁きに、ロニエはこくこくと首を縦に振る。

 

「これはね……私が、したくてしている事なの♥ 裸でおさんぽするのも、キリト先輩のおちんぽに誓いを捧げるのも、全部私がしたくてやってるのっ! 傍付きとして、先輩のおちんぽのご機嫌次第でいつでもおまんこご奉仕できる雌奴隷に調教してくださいってお願いして、変態として振る舞う事を許していただいたの!」

「『ウソ、ウソよそんなの……』」

「ウソじゃないよ……♥ だって、大好きな先輩に自分の全部を捧げちゃうの……とっても気持ちいいんだもん……♥

 こんなの知っちゃったら、もう戻れないよ……♥♥」

「『変態……ロニエの、変態……!』」

「うん、うんっ♥ 私、変態なんだもん……♥」

 

 堕ちていく悦びが溶け込みきった声音で、ロニエは愛を語る。愛する人の名誉を守るために自らを貶める――そんな大義名分を盾にして、己の本性を晒していく。

 もちろん、こんな行為を人前で実際にしようものなら、どうやってもまともな生活を送ることは難しくなってしまう。ただ、この空間にはそんなリスクは一切存在しない。故に、そこに付随する快感だけを味わうことができる。

 雌としての振る舞い方、楽しみ方をすっかり身につけたロニエに満足げに微笑みながら、アスナは目的地へと続く厚い扉をそっと開けた。

 

「……はぅっ……!?」

 

 数時間前、ロニエが純潔を散らした部屋。その扉を開けた途端に溢れ出すのは、むわりとした男女の匂い。汗と、精と、愛液と――様々な体液が入り交じって作り出す『巣』の香り。

 無関係の雄雌には忌避感を覚えさせる一方、交尾を求めるオスとメスは発情させる特別な香りをたっぷりと吸い込みんだあと、アスナはロニエが装備していた首輪と鎖を解除した。

 

「アスナさま……?」

「よくできました。

 さ、いってらっしゃいロニエさん。鼻を使って、あなたの先輩のところまで辿り着いて……ちゃーんと、おしっこする許可をもらってきなさい」

 

 アスナが背中を軽く押して促してやれば、ロニエは暫し戸惑ったあと、鼻をすんすんと鳴らしてニオイを嗅ぎ取ろうとする。目隠しによって視界を奪われている以上、頼れるのは嗅覚のみ。

 とはいえ――正直なところ、ロニエが目的のニオイを嗅ぎ取るのは不可能だろうとアスナは踏んでいた。

 アスナとロニエが別室で準備と調教を進めていた間、この部屋ではキリトとアリスの交尾が続けられていたのだ。部屋の中はオスとメスのニオイで隅々まで満たされているし、一番の手がかりになりそうな肉棒のニオイ――汗と精が混ざったような男性器独特の芳醇な香りのもとは、ベッドの上でうつ伏せのままぐったりとしているアリスのお掃除フェラによって、アスナ達が入室してくる前に清められている。

 アスナやアリスのようなベテランならともかく、後宮に入ったばかりのロニエにはさすがに荷が勝ちすぎる。強烈な尿意に襲われているならなおさらだ。

 

「先輩……先輩、どちらですか……? ふぅっ、んんっ……♥」

 

 腐葉土の中からトリュフを探す豚のように鼻を必死に使いながら、ロニエは部屋の中をよたよたと彷徨う。声に混じる不安の色は時間が経つほどにその濃度を増していき、胸元でぎゅっと握りしめられた両手の仕草は彼女の怯えをはっきりと表す。

 そろそろ頃合いだろう――そう判断したアスナは、ベッドの縁に腰掛けたキリトへそっと目配せを送る。内心でアスナと同じ判断を下していたらしいキリトは、裸のまま愛妻に頷きを返してからゆっくりと立ち上がった。

 

「ロニエ」

「――っ!? キリト先輩……♥」

 

 待ちわびたキリトの声に、ロニエは敏感に反応する。

 

「ロニエ。ほら、俺はこっちだぞ」

「はいっ! ロニエ・アラベル、ただいまそちらに参ります、キリト先輩!」

 

 やっと見つけた明確な手がかりであるキリトの声を頼りに、ロニエはいそいそと歩みを進める。ほんの一瞬前の不安そうな足取りはどこへやら、嬉しさを隠しきれない挙措で確実に距離を詰める。とはいえ尿意の感触が邪魔をするのか、時折身体を震わせて本能的な欲求に必死で抗う。

 行為後の疲労でぐったりとしたアリス――雌穴から精液を逆流させたままベッドの上に寝転ぶ彼女の世話をアスナに任せ、キリトは両腕を広げる。そうして、その腕が届く範囲へ過たず辿り着いたロニエを、キリトはしっかりと抱きしめる。

 同時に、ロニエの装備アイテム情報にアクセスし、目隠しを強制的にストレージへ格納した。

 

「おかえり、ロニエ」

「はいっ。ただいま戻りました、キリト先輩」

「アスナにたっぷり調教してもらったみたいだな。楽しめたか? ロニエ」

「はい……♥ いっぱい恥ずかしいことをさせてもらえて、とっても楽しかったです♥ 

 それで……その、早速なんですけど……♥」

 

 上目遣いと共に言外のおねだりを繰り出してきたロニエに、キリトは頷きを返す。

 

「傍付き錬士、ロニエ・アラベル。命令だ。股を大きく広げて腰を落とせ」

「はいっ♥」

 

 命令されるがまま、ロニエは言われたとおりの姿勢を取る。視線の先に映るのは、ベッドの上に身体を横たえたままこちらを見つめるアスナとアリスの姿。蠱惑的な視線にドキリとさせられたのも束の間、その視界が突然塞がれる。

 もう一度目隠しをつけられたのか――思わず瞼を閉じたロニエだったが、すぐさまそうではないことに気づく。瞼と鼻筋に当たる、熱く固い肉の感触。くらくらとするほどに強烈なオスの香り。びたりと押し当てられた先輩の肉棒で視界を遮られたことを理解してもロニエに戸惑いは無く、むしろそれはとても自然で喜ばしいことに思えてしょうがなかった。

 

「ロニエ。現時刻を以て、排尿の許可を与える。溜まっているもの、全部出して良いぞ」

「――っ!! ありがとうございます、先輩……♥」

 

 待ちに待った許しの言葉と、頭を撫でる優しい手の感触。すう、はあ、すう、はあ、と呼吸を繰り返す度、鼻と口から肺へ循環されていく肉棒の香り。その全てから生み出される多幸感が、ロニエのフラクトライトの輝きとなって迸る。下腹部からじんじんと伝わってくる排尿欲求すらも愛おしい。

 

「キリト先輩専属傍付き錬士、ロニエ・アラベル! ただいまより……おしっこをお漏らしさせていただきます!!」

 

 もう後戻りのできない宣言を口にし、ロニエは張り詰めていた下腹部の力を抜いた。

 

「――あっ……♥ はひゃあっ……♥♥ なにこれぇっ……!」

 

 生まれて初めての放尿。リアルワールドの人間が成長過程で身につける、トイレ以外の場所での排泄への既視感を全く知らずに育ったロニエは、括約筋を一度弛めてしまえばもう抵抗することはできなかった。

 しゃーしゃーと勢いよく放たれる黄金色の小水。かすかなアンモニア臭を伴いながら溢れ出したロニエの尿は、寝室の絨毯の上へ黒い痕跡を広げながら染みこんでいく。

 

「あっ、ふにゃあんっ♥ 奥から、お腹の奥からあっ♥♥

 先輩、キリト先輩! ごめんなひゃい、とまっ、止まらないんですっ! いっぱいでちゃうんですぅっ♥」

「そうかそうか。いっぱい出せて偉いぞ-、ロニエ」

 

 性交の快感とはまた異なる未知の快楽。現実世界の人間が幼子の頃に慣れる快感を、成熟した身体で味わうという禁忌。

 誇りや清らかさ、矜持に理性――人間として大事にすべき要素を、股の間から噴き出す液体と共に排出してしまっているような感覚にロニエは怯え、そしてそれ以上に確かで濃密な快感に支配される。

 顔に触れる逞しい男根の感触と、後頭部をそっと撫でる優しい手の感触。愛する人の巣の中にいる間は、たとえ肉欲に支配されたただの雌豚と化してしまってもよいのだと本能的に理解させられる。

 

「これ、これ好きっ♥ 好きになりました♥ あっ、やああっ♥ もっと、もっと出したいぃっ♥♥」

 

 アスナやアリス、そして映像で見た多くの先達達の様に、一介の雌となる悦びを全身で感じながら――ロニエの身体は、最後の一滴を膀胱から絞り出した。

 

「はあっ……♥ はあぅうっ……♥」

 

 生まれて初めての尿意、生まれて初めての放尿。その感覚に酔ってしまったかのように、ロニエの身体から力が抜ける。危うく崩れ落ちそうになった彼女の身体を、キリトはすんでの所で抱き上げた。

 

「おっと、大丈夫か。ロニエ」

「はい……ありがとうございます、先輩」

「それにしても……たくさん出したな。どうだった、初めてのお漏らしは」

 

 キリトに抱えられたまま、ロニエは視線を下に向ける。絨毯の上に染み込んだ、黒い流れの筋。長々と刻まれたその痕跡が、己から溢れ出した小水なのだと思うと気恥ずかしくてたまらない。

 

「え、えっと……ドキドキしました。それに、すごく気持ちよかったです……♥」

「気に入ってくれたみたいでよかったよ。またさせてやるからな」

「はいっ♥ よろしくおねがいします、先輩♥」

 

 頬を染めるロニエと軽い口づけを繰り返しながら、キリトは彼女を抱えたままベッドへと運ぶ。

 

「よく頑張ったな、ロニエ。それで、頑張った直後に悪いんだけどさ……」

「わかっていますよ、先輩……♥ さあ、こちらにどうぞ♥」

 

 ベッドの上に降ろされて四つん這いになったロニエは、突き出した尻をふりふりと揺らしながらベッドの中央部に向かって進む。交尾を誘う雌の獣のように、雄を迎え入れる準備が整っていること示しながら向かう先は、事後の余韻に浸るアリスの隣。

 力なく広げられた両脚の間から濃厚な精液を逆流させたまま、ぼんやりと視線を虚空に彷徨わせているアリス。そんなアリスの頭を膝枕で支えているのは、女王として振る舞う必要が無くして素っ裸となったアスナだった。

 

「どうぞ、ロニエさん」

 

 ぐったりとしたアリスの髪を撫でていたアスナは、近づいてくるロニエに気づくと、近くにあったクッションの山から一つを取り出してロニエに差し出す。

 アスナに「ありがとうございます」と礼を言ったあと、ロニエはクッションに顔を押し当てるようにして上半身を低くし、尻を突き出した。どろどろと愛液を垂れ流す秘所を無防備に晒し、『どうぞ犯してくださいませ』とでも言わんばかりの姿勢を取ったロニエは、顔だけをキリトの方へと向けた。

 

「そ、傍付き錬士、ロニエ・アラベル……♥ おまんこご奉仕の準備、整いました♥

 どうか、キリト先輩の逞しいおちんぽ専用ザーメントイレとして、ご使用いただけないでしょうか……♥」

 

 これまで得た知識を総動員した、ロニエの精一杯の誘惑。羞恥心が快楽を得るためのスパイスであることを理解し、立派な雌となったロニエの期待と興奮に応えられない雄がどこにいようか。

 両手でロニエの尻をがっちりと掴んだキリトは、そのまま左右に少しだけ割り広げる。ひくつく肛門を見下ろしながら、キリトは後輩の蜜壺に肉棒の先端を宛がう。ぐじゅりと溢れた雌の滴が、亀頭を出迎えるようにまとわりついた。

 

「いくぞ、ロニエ……!」

「はい、先輩♥」

 

 ほんの少しだけ体重を乗せながら、腰を前へと突き出す。同じ夜に純潔を奪われたばかりの雌穴は、太い逸物にこじ開けられることを悦びながら、ぢくぢくと蜜を滴らせる。勿体つけるようにゆっくりと腰を進めたキリトは、じっくりと時間をかけて肉棒を根元までさし込む。

 びくびくと身体を震わせて挿入の快楽を味わっていたロニエは、子宮口に亀頭が押し当てられた瞬間、びくんっ、と一段大きく身体を震わせた。

 

「――ぁあああっ♥♥ はっ、はっ、はあっ♥♥ せんぱい、先輩のおちんぽぉ……♥」

 

 身体の中心を肉杭よって貫かれ、みっちりと埋め尽くされ、ロニエの瞳の光が蕩ける。正常位より密着度は低い分、一方的に犯されている事を強烈に理解させられる体位。メスはオスに勝てない、雌は雄に奉仕するもの――歪んだ本能的認識を叩き込まれることに、ロニエは悦楽を感じずにはいられない。

 雌として一皮むけたとはいえ、初めての性交を経験してからそう時間の経っていない後輩を気遣い、キリトは肉棒を深々と埋めたまま暫し待つ。しっかりとボリュームのある尻肉をむにむにと揉みながら手元に視線を向ければ、肉の合間から控えめに顔を出す薄肉色の窄まりが目に入る。

 

「ほほう……どれどれ」

「せん――ぴゃいいいっ!?」

 

 悪戯心を起こしたキリトが親指の腹をロニエの肛門に当てた途端、ロニエは過剰なほどに反応する。

 

「せっ、せんぱひ……♥ ひあっ、だめ♥ ぐりぐりって、ひゃめえぇっ♥」

「そういう割にはめちゃくちゃ嬉しそうじゃないか。その内、こっちの穴でも遊べるようにしてやるからな……ロニエ」

「はぅ……♥ 先輩が、お望みなら……♥♥ あっ、うう♥」

 

 アンダーワールドもそうだが、大抵のVRMMOには排泄という行為や概念が存在しない。だが、同じ人間である以上――肛門は存在する。そして排泄に使われる事が無い以上、その穴はまさに肛門性戯(アナルプレイ)の為だけに存在していると言っても過言では無い。純粋性で言えば、リアルワールド出身の人間など足元にも及ばないだろう。

 新たなる未知の快楽の扉に手をかけてしまったロニエを可愛がりつつ、キリトはゆっくりと腰を引く。最初の一突きでたっぷりと愛液をまとった肉槍の軸が露わになった所で――ぐいっ、と奥まで突き込む。

 

「――あひぃぃいっ♥ あっ♥ ああぅうっ♥ ふおっ♥」

 

 肉棒の快感をしっかりと教え込む、焦りとは無縁の前進/後進。太く長い雄の象徴で、狭く小さい雌の穴をじっくりとこじ開け、己専用の穴として造り替えていく。

 健気な程にキツく締め付けるロニエの膣肉を堪能しつつ、少しだけかける体重を強める。逃がすつもりはないという意思を伝え、逃げられない事をロニエに理解させる。

 

「せんぱぁいっ♥ ああっ♥ 先輩っ、せん――いひいぅっ♥ だめ、へんになる、おかしくなっひゃぁううっ♥♥」

 

 開きっぱなしになったロニエの口からだらだらと零れた涎が、クッションの上に落ちて染みこんでいく。肩甲骨の辺りに焦げ茶色の髪が流れ、浮いた汗によって幾筋かが肌に張り付く。

 慣らしと性感開発を兼ねるスローピストンで、ロニエの膣内全体を刺激しながら存分に啼かせる。見ようによっては少しだけサディスティックな性交をキリトが楽しんでいると、ようやく回復したアリスがむくりと身を起こした。

 

「おや……また新しい雌を躾けているのですね、キリト……♥ 私の身体で散々楽しんでおいて……本当に、酷い人」

 

 からかうような微笑みを浮かべたアリスは、両腕をキリトの首に回して抱きつき、そのまま彼の唇を奪う。遠慮無しに舌を送り込むディープキスでキリトの口内を侵略し、ぐちょぐちょと音を響かせながら舌と唾液を絡めあう。

 女を犯しながら別の女と交わる――多頭飼い(ハーレム)の醍醐味を、雄にたっぷりと味わわせるためのキス。

 

「――はぁっ……♥」

 

 噎せ返るような雌の香気と共に唇を離し、アリスは妖艶に微笑む。それは、普通の男であれば一目見ただけで射精してしまいかねない程に危険な、サキュバスじみた魔性の笑み。

 雌としての振る舞い方に精通した金髪の女騎士によって、キリトの劣情は激しく滾らされる。

 

「悪い、ロニエ……ちょっと激しくする」

「……っ♥♥」

 

 待ちに待った言葉に満面の笑みを浮かべながら、ロニエはクッションに頬ずりするようにこくこくと頷く。

 それを見て取った直後、キリトは腰をぐいと前に出し、ロニエの膣内最奥部まで逸物を深々と挿入し直す。

 

「ひあっ♥ んにゃああぁっ♥」

 

 お預け状態を喰らい続けた事でじりじりと絡みつくロニエの蜜壺を刺激しつつ、キリトはそこで腰の動きを一端止めた。そのまま太く固い逸物を杭のように使ってロニエを固定しつつ、彼女の背中へ寝そべるようにして上体を倒す。更に右手をロニエの右手に絡ませながらベッドへ押しつけ、左腕はクッションとの隙間をこじ開けるようにして彼女の首へと回す。

 そのまま両脚と膝の位置を整えるキリトの姿を見下ろすのは、ベッドの上に寄り添って座り直したアスナとアリスの二人。

 

「あーあ♥ ロニエさん、完っ璧に抑え込まれちゃった♥」

「ああなってしまったが最後、キリトが射精するまで絶対に逃げられません……♥ 

 少々屈辱的ではありますが、なぜか……いえ、屈辱的だからこそとても心地良いのでしょうね♥」

 

 すっかり犯される体勢になったロニエの見下ろしながら、アリスとアスナはくすくすと笑う。互いの秘所に指を伸ばし、くちゅくちゅと音が立つ程に弄り合いながら。

 その光景を見上げる余裕すら今のロニエには与えられない。全身をベッドに押しつけられ、腕を絡められ、逃げ場の全てを奪われたロニエを――肉の杭が穿つ。激しく。強烈に。

 

「――あ――ぁああ゛あ゛あっ♥♥ せん゛っ♥ぱゃい゛っ♥せんびゃいぅっ♥♥ あふぁッ♥あっ♥あぁっ♥やあぁっ♥♥」

 

 年頃に豊満な尻肉が柔らかく歪むほど、深く激しい抽送。アスナの調教と、キリトの慣らしによって準備を整えられていたロニエの蜜壺は、それを歓喜の蜜涙と共に受け入れる。子宮から脊髄に伝わり、脳へと駆け上る快楽。その痺れるような感覚に、閨での経験が薄いロニエは耐えきれるはずもない。

 

「あっ♥あ゛ぉっ゛♥ はひぃっ♥ しゅき♥せんぴゃはいっ♥ しゅき゛ぃいっ♥」

 

 反射的に身じろぎしようとする身体を完全に抑え込まれてしまう以上、ロニエに為す術は無い。彼女にできることは、淫らな鳴き声を上げながら犯され、メスはオスの為にあるのだという事を本能に刻みこまれることだけだ。

 もしそれが望まぬ相手であれば、たとえ肉体で敵わなくとも精神で耐えきる事ができたかもしれない。だが、ロニエを容赦なく犯すのは、ロニエが心から望んだ相手(せんぱい)。

 故にカラダは屈服し、ココロは歓迎する。後宮を形作る雌の一匹として、ただ真っ直ぐに堕ちてゆく事を。

 

「お゛っ♥あ゛っ♥♥あっ♥ぁああっ♥ ぢんぽ、おっぎぃのぉ♥ ぐりゅぐりゅ♥きもぢぃ♥きもちいひぃいっ♥♥」

 

 膣内全体を掻き回し子宮口を揺さぶるような強烈な突き込み。その一撃一撃が突き刺さるごとに、意図せず息を吐かされたロニエの喉から品の無い鳴き声が漏れる。その声がキリトを興奮させ、熱を昂ぶらせ――その熱がまたロニエを狂わせる。

 ピストン運動によって飛び散った愛液がシーツの上に次々と染みこんでいく様は、まるでロニエが失禁しているかのよう。開きっぱなしになった口から唾液を溢れ出させる姿を見て、彼女が一端の騎士であると信じられるものがどこにいよう。

 

「せんぱひ♥ せんぱいぅ♥♥ あたま゛、とけっ、どげひゃいまひゅ♥♥ あっ♥ああ゛ぁあ゛っ♥」

「くぉっ……ロニエ、そろそろ……」

 

 最後の瞬間に向けて、キリトのピストン運動が更に速度を増す。

 みぢみぢという締め付けの音が聞こえてきそうな程にキツく、キリトの肉棒へまとわりつくロニエの膣肉。その締め付けすら押し返すように一層太さを増した肉棒によって嬲られながら、ロニエは恥も外聞も憚らず獣のように喘ぐ。キリトの腕の中で犯され、抱かれ、愛されながら喘ぎ鳴く。

 

「せんぱいっ♥ せんぱいっ♥ いぐ、いっ――♥」

「ロニエ、でる、出すぞっ!!」

 

 そして、最後の一突きがロニエの最も深い部分を打つ。身体ごと押し潰す勢いで密着したまま――キリトは、膣奥へ精液を放った。

 

「――ぁああぁああ゛ああ゛っっ゛っ♥♥ せんぱ――ひぃいいぃっ♥♥ いっ゛ぐ、い゛ぃ――きゅうぅうう゛うぅ゛♥♥♥♥ あっあああっ♥♥ああ゛ぁあぉおぉおああぁああっっ♥♥」

 

 陰嚢から一気に駆け上った精液が、ロニエの子宮口をしっかりとロックした鈴口から勢いよく放たれる。マグマのように熱くどろどろとしたオスの子種汁がロニエの子宮内壁を容赦なく叩き、制圧していく。

 口の端より溢れ出す唾液は、まるで注ぎ込まれる精液によって体内から押し出されたかのよう。うまく呼吸を整えられず、表情から一切の締まりを無くし、ロニエはただただ愛される悦びに浸る。

 

「あお゛っ゛♥お゛♥あっあぁあああ♥♥ はひっ♥いぐっ♥♥ いっへる゛ぅぅうう♥♥♥」

 

 どくん、どくんと蠢く輸精管から精液が流し込まれる度、ロニエの身体もわずかに遅れて蠕動する。その身動ぎすらも、キリトの身体によって抑え込まれる。

 内側を侵略され、外側を制圧される。オスの熱い吐息を肌に浴び、滾る精液で子宮を満たされる快感がロニエの理性を焼き尽くす。

 巣の支配者たる雄の腕の中で味わう、二度目の膣内射精。金玉の中身が根こそぎ吐き出されたのかと思うほど、たっぷりと流し込まれたその射精は、ロニエにとっては永遠に続く錯覚すら与えるほどだった。

 

「うっ…………ふうぅ……」

 

 射精一回分の精液を送り出しきった肉棒がようやく落ち着きを取り戻すのと同時に、キリトも深々と息を吐く。そして、ロニエの首に回していた腕を抜くようにして彼女の頭をクッションへと寝かせた。

 

「はひゅ、はひゅぅっ……♥♥ せんぱぃ……♥♥」

「ロニエ。すごくよかったぞ……」

 

 ほとんど夢見心地な後輩の頭を撫でつつ、キリトは抜いた腕で己の体重を支える。射精を終えた肉棒は挿れたまま、互いの肌を触れあわせたまま、じっとりとした事後の時間を過ごす。このまま二回戦に雪崩れ込んでもいいのでは――などというキリトの考えを見透かしたかのように、サファイアの如く蒼い瞳がキリトを覗き込んだ。

 

「ダメですよ、キリト。ロニエは私達と違って経験が浅いのですから。休ませてあげないと、壊れてしまいます」

「お、おう……そうだな、アリス。俺もそうだと思ってたよ」

「……まあ、そういう事にしておいてあげましょう」

 

 あまり納得していない様子のアリスを余所に、キリトはロニエの頬に軽く口付け、乱れた髪の毛を手で軽く整えてやる。体重はほとんどかけず、肌だけを触れあわせたまま、ゆっくりと時間をかけてロニエを落ち着かせる。

 ようやくロニエの呼吸が落ち着いてきた所で腰を引き、挿れっぱなしになっていた肉棒をロニエの穴から抜いた。

 

「――あっ、ああっ……♥♥」

 

 自らの内側を占めていた極太の存在感が失せていく事を感じ、そして少し遅れて逆流を始める重たい白濁液塊の感触に刺激され、ロニエの喉から甘ったるい声が漏れる。

 頭も身体も心地よい疲労感に満たされて寝転ぶロニエの視界に映るのは、先程ロニエを調教していた女王様(アスナ)の姿。ベッドの上に仰向けとなり、自らの両腕で膝裏を抱えるようにして秘所を晒すその様には、女王の威厳は欠片も見受けられない。

 そんなアスナを見下ろすキリトの姿は対照的だ。堂々と仁王立ちし、精汁の残滓とロニエの愛液に塗れた肉棒をアリスに舐めしゃぶらせるその姿は、雄の逞しさを何よりも雄弁に物語る。

 

「せんぱい……♥」

 

 うらやましい。雌殺しの肉棒にご奉仕できるアリスが、これから存分に犯されるアスナがうらやましい。そんな思いが言葉となってキリトを呼ぶ。

 アリスの後頭部を掴んで肉棒を根元まで飲み込ませたまま、キリトは視線をロニエの方に向けた。

 

「ゆっくり休めよ、ロニエ。回復したら、また一緒に楽しもう」

「はい……♥ いっぱい、いっぱいしたいです……♥」

 

 ずぬり、と。アリスの口から引き抜かれる猛々しい肉棒。

 身体を休め終えたら、あちらの方に混ぜてもらいたい。先輩の身体に抱きついて、キスをしたまま繋がりたい。もう一度おしっこをお漏らしする許可をいただいて、あの感触を味わってもみたい。

 脳裏にあふれるたくさんの期待と妄想にロニエが浸っていると、キリトはコンソールウィンドウを操作し、何かのシステムを起動させる。それにいち早く気づいたのは、キリトを上目遣いで見つめながら肉棒に頬ずりとキスを繰り返していたアリスだった。

 

「おや……それを使うということは、また私におもらしさせたいのですか? キリト」

「残念。それもそれで魅力的だけど……今回はロニエへのご褒美なんだ」

 

 そう言いながら、キリトはシステム起動のボタンを押す。直後、ロニエの下腹部に急発生する排尿欲求。普段なら反射的な抑えが効くが、性交の余韻で脱力状態になっているロニエに、それを制御する術は存在していなかった。

 

「あっ……♥」

 

 脚の間からとめどなく溢れ出す、生温かい液体の感触。汗と愛液で灰色に染まったベッドシーツが、小水の黄色で上書きされながら丸いシミを描いていく。

 金玉に吸い付くアリスを優しく引き剥がし、今か今かと待ち受ける愛妻の上へと覆い被さるキリトの姿を見つめながら、ロニエは全身に行き渡るまろやかな気怠さと開放感に身を委ねた。

 

 


 

 

 大窓から月光がゆるく射し込む寝室。新しく生成し直したベッドの上に横たわったまま、キリトは事後の気怠さに身を預けていた。

 左右に伸ばした腕に感じるのは、柔らかな髪の感触と心地よい重み。

 

「んん……」

「……」

 

 ややもすれば聞き逃してしまいそうな程に微かな寝息と共に眠る、アスナとアリス。キリトの腕枕に頭を預けたまま、無防備に微睡む二人の美女。

 娼婦のように乱れ、肉欲に悶えたあととは思えないほど安らかな寝顔を眺められるのは、男の――キリトの特権である。両腕を封じられているおかげで身動きが取れないという問題など、この温もりに比べたら些末極まる。

 そしてもちろん、キリトの側に侍る温もりは二つきりではない。仰向けに寝転ぶ閨の王へ抱きつくようにして、キリトの身体へ覆い被さる彼女もいるのだから。

 

「先輩……。ふふっ、キリト先輩……♥」

「どうかしたか、ロニエ」

「いえ、呼んでみただけです……♥ ご迷惑でしたでしょうか?」

「まさか。じゃあせっかくだし、俺も呼んでみようかな……な、ロニエ」

「はい、先輩♥」

 

 左右で眠る二人の乙女達を起こさぬよう本当に小さな声で囁きかけながら、ロニエはとても嬉しそうに微笑む。男の胸板の上で、むにゅりと潰れるふくよかな双丘の感触は、まさに極上の一言。

 肌を重ねた後の、なんとも言えぬまったりとした時間。アスナとアリスが文字通り目を瞑ってくれているおかげで作られた二人だけの秘密の時間を、遠慮無くゆったりと堪能する。そんな贅沢を味わいながらキリトが何の気なしに視線を動かせば、ふと、窓の向こうに大きな満月の姿が見えた。

 

「……? どうかしましたか? 先輩」

「ああ。ほら、あっちに月が見えるなと思ってさ」

「お月様ですか? ……あっ、本当ですね」

 

 少しだけ身を起こしたロニエが、振り返って窓の方を見る。時間の経過によって傾きを増した月の位置は低く、壁の一部を成す大窓からでもはっきりと姿を見ることができた。さすがに『月影』で雲海の上に出て見た時よりは小さいが、それでもその怜悧な美しさには一片の曇りもない。

 暫しの間、その輝きに見とれていたロニエだったが、何かを思いついたかのような微かな身動ぎと共に、再びキリトの方を向いた。

 

「せ、先輩」

「ん?」

「――『月が、きれいですね』」

 

 柔らかな月の光が作り出す淡い逆光。その中ですらはっきりとわかるほどに頬を赤らめながら、ロニエは言葉を紡いだ。

 覚えたばかりの――想い人への愛を囁く、迂遠で詩的な言い回しを。

 

「ええと……使い方、あってますでしょうか……?」

「ああ、あってるよ。ロニエ。……綺麗だ。今日は月が綺麗だよ、本当に」

「それなら……よかったです。先輩」

 

 その言い回しに『あなたを愛しています』という意味が含まれていることを、ロニエは知るまい。それでも、たとえアンダーワールドに件の文豪がいなくとも――愛する人のすぐ側で見る月が美しくないはずがない。

 それはきっと現実世界であっても、あるいは仮想世界であっても変わらない一つの真理なのだろう。

 

「キリト先輩……」

 

 ほっとした様子のロニエが、キリトの身体にそっと身を寄せる。その柔らかで確かな重みを、キリトはしっかりと受け止める。

 きっとこれからも、幾度となくロニエと共に月を見上げるのだろう。二人を隔てる時間と世界の壁は、もうどこにも存在しないのだから。

 素肌のまま寄り添いあう恋人達の身体を、そっと包み込む夜の女王の輝き。それはまるで薄絹のように淡く、そして『無慈悲』と呼ぶにはいささか優しすぎていた。

 

 

 

 なお、それから数日後。

 問題があった『月影』のオートパイロットシステムの再調整に取りかかったキリトだったが、何度試してもシステム停止不可バグが再現されないばかりか、そもそも『黒夜館』にあった発着パッドはオートパイロットシステム起動時の位置から計算すると最寄りの発着パッドですらなかった事を知ってしまい――

 

「……まさか『ロニエのために空気を読んだ』なんていうんじゃないだろうな、月影(おまえ)……」

 

 ――という返答が戻るはずもない問いかけを、鋼鉄の鎧竜(プロトドラグーン)に投げかけてしまうのだが――それはまた、別のお話。

 




次はアルゴ編かストレア編かイーディス編のどれかになると思います。

このシリーズを読んでいる理由として一番近いものは以下のどれですか?

  • SAOのエロ小説だから
  • 原作主人公が竿役だから
  • ハーレムものだから
  • 描写や文体が好みだから
  • なんとなく・特に理由はない
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