(――やっぱり、随意飛行機能の再現は難易度が高すぎる……。
《ザ・シード》規格を使って入出力している情報は大して変わらないはずなのに、何をキーにしてプレイヤーのモーメントを制御しているんだ……?)
願望が尽きないところは、人の良い点であり悪い点でもある。
一つ叶えれば、また一つ、そしてさらにまた一つ。際限無く溢れ出る欲望を抱えているのは、このプライベートVR空間の支配者・キリトもまた同じだった。
(羽根展開のON/OFF機構は、ケットシー族の尻尾で使わている制御モジュールの応用で再現できそうだからいいとして……。
そこから実際にプレイヤーを飛ばすとなると……進行ベクトルに空力制御、G負荷計算と軽減判定をしつつ翼を連動させて……考えなきゃいけないことが多すぎる。
ああ、せめてログデータか何かをもらえれば……)
屋外に設置された岩風呂の縁に頭を預けて仰向けに寝転び、青い空を眺めながらキリトは深々と嘆息した。
今や小規模ダンジョンが裸足で逃げ出す程度には増築されたキリトのVR空間内邸宅。その一角に設置された『屋外露天風呂付き和風大型浴場』は現在、キリトの貸切状態である。
現在、同サーバー内にはキリトの他にアスナとユウキもログイン中ではあるが、二人とも今はリビングルームでアスナが淹れたお茶を楽しみながら、帰還者学校から出された課題に取り組んでいるはずだった。
地下から汲み上げた源泉をそのままかけ流す贅沢な暖かさに包まれながら、キリトは次の大規模アップデート――『《ALO》と同等の随意飛行機能実装』に向けて思索を巡らせる。
(どうするかな……。《ALO》で飛び回っていっそ感覚的に掴んだ方が早いんじゃ――ん?)
『かぽーん』という、温泉に居ると何故か時々聞こえる不思議な音を模したメッセージ着信通知音が響く。視界前方に開いたシステムウィンドウをキリトが見てみれば、そのメッセージ差出人欄に表示されている名前は――ユウキ。
腕を伸ばしてウィンドウに触れ、キリトはメッセージを開封した。
【キリト、どっかにお出かけ中? 部屋に行ったら空っぽだったんだけど】
(【ちょっとアイデアに詰まったから、風呂に入って気分転換してるよ】……っと。
……もしかして、随意飛行より先にボイスチャットを実装した方がいいんじゃないか、これ)
ウィンドウに入力した文をそのまま返信した後、キリトは湯船に寝転んだままボイスチャット機能の実装プランをざっくりと練り始める。即座に実装できるかと言われれば難しいが、時間さえかければ不可能ではないだろう。
大まかなプラン構築に没頭して五分ほど経った後のことだ。内湯と外湯を隔てる扉が開かれる小さな音が、キリトの耳に届いたのは。
「おっじゃましまーす、キリトー♪」
「……ゆ、ユウキ?」
濡れ羽色の長い髪を入浴用のアップスタイルにまとめ、白いバスタオルを体に巻き付けた小柄な少女――ユウキ。《絶剣》の二つ名を《ALO》中に轟かせる彼女は、キリトの姿を見つけると、にっこりと笑いながら岩風呂へと近づいてきた。
両耳が長くぴんと尖っている様子を見るに、今日は《ALO》で使用しているインプ族のアバターでログインしているようだった。
彼女のバスタオル姿は《SA:O》で一度だけ拝み、その下に隠されたしなやかな肢体はこの空間で何度と無く貪った事があるが、その健康美はユウキ自身が持つ溌剌さと相まって毎度毎度興奮を催させる。
「課題はどうだった、ユウキ」
「アスナ先生のおかげでサクッと終わっちゃった。キリトの方は順調……じゃ、無いんだっけ」
「まあな。……そういえば、アスナは?」
「アスナなら、さっきシリカに呼ばれて、《ALO》に行ったよ。
なんかねー。クエストの進行に完成度の高い料理アイテムが必要らしいんだけど、シリカやルクス達の料理スキル熟練度じゃどうにもなんないんだって」
「なるほどな……。確かに、アスナの手を借りる必要があるな。それは」
体を起こしたキリトが岩の湯船の中で座り直している間に、ユウキはコンソールウィンドウを呼び出し、ストレージ内に格納していた木製の湯桶をオブジェクト化。岩風呂のそばにかがみ込んで湯を汲み入れたあと、ユウキはそのまま自身の装備解除ボタンを押した。
白い薄布が一瞬で消え去り、晴天の元に露わとなるのは彼女の裸身。夜明け前の空を思わせる髪色と見事なコントラストを生み出す、眩しいほどに白い肌。普段は金属製のブレストプレートと少年っぽい雰囲気に隠されてわかりにくいが、存在をしっかりと自己主張しているバスト。細い脚の間から見え隠れする秘奥には、どうやら体毛は存在していないようだった。
「――むー。キリトの、えっち」
「な、なんだよいきなり」
「だって、ボクの方じーっと見てたでしょ? もう、えっちなんだから」
木桶の湯を何度か体に掛けながら、ユウキは挑発的な笑みを浮かべてキリトを揶揄する。意趣返しのつもりか、ルビーのような紅の瞳から放たれた視線がキリトの体を舐めるように奔った。
にんまりと笑う彼女に片手を上げて降参の意を示し、キリトはユウキを己の側へと手招く。
「えっちで悪かったな。……ま、とりあえずこっちに来ないか。ユウキ」
「もちろん!」
ほとんど透明といい湯に爪先から身を浸らせたあと、ユウキは湯の中を進んでキリトの側まで近づく。彼女はそのまま正面から向かい合う位置へ陣取り、おもむろに両手を伸ばしてキリトへ抱きついた。
なぜか小動物の求愛行動を想起させる彼女のムーブを、拒む理由は特にない。キリトは両腕を彼女の小さな背に回して引き寄せ、そのまま己の脚の間へと座らせた。
「……ほんとにえっちだね、キリトは」
下腹部に当たる男の象徴――剣よりも固く、湯よりも熱いその感触に頬を染めながら、ユウキは今更照れたように呟く。
「あのな……ユウキとこんな状況になったら、俺じゃなくても大抵の男はこうなるって」
「そうなの?」
「そうそう。それに、こんな近くで、そんな可愛い顔しながら上目遣いでじーっとこっちを見られたら――」
「――キス、したくなっちゃう?」
その問いかけに、キリトは黙って首を縦に振る。
「やっぱり、そうなんだ……実は、ボクもおんなじ気持ちだったりして」
そう言って、ユウキは両の瞼を閉じ、唇をゆるゆると突き出す。彼女の細い腰に手を回し、そっと抱き寄せたキリトは、そのままユウキの唇を優しく奪う。
たっぷりと時間をかけて唇と唇を触れ合わせ続けたあと、餌をついばむ小鳥のように軽いバードキスを何度も行い、そしてまたゆったりと唇を重ねる。不規則なリズムで与えられるキスの雨に、ユウキは時折微かな笑い声を漏らす。愛らしいユウキの後頭部に空いている手を宛てがいながら、キリトは彼女の頬、そして額に唇を触れさせる。
「ひゃふっ……。くすぐったいよぉ、キリト」
「いやじゃないだろ?」
「うん……♥ こういうのも、好きかな。でも、やられっぱなしはヤだから……おかえし♥」
キリトに抱き寄せられ肩まで湯に浸かったまま、ユウキは下腹部へ片手を伸ばすと、そこに押し当てられている長大な肉棒に触れる。ほとんど力を入れない、肌の感触だけを伝えるかのように緩く握った右手で肉棒を包み込み、そのままゆっくりと上下させる。
力も、速度も、雄の放精を促すほどの物ではない。せいぜい、『くすぐったい』というのが関の山だが、ユウキなりのおかえしとしてはちょうどいいくらいだろう。
「……ね、キリト。答えたかったらでいいんだけど」
「ん?」
「ボク達が使っているアバターって、リアルのボク達を元にしてるけど、100%リアルのままってわけじゃないよね」
「そうだな。アバター自体ある程度ランダム性もあるし、髪の色とか、カスタマイズできる要素も結構あるからな……」
小さな手で大きな一物を刺激しながら、首筋をぺろぺろと舐めてくすぐってくるユウキの舌がキリトを愉しませる。そんな中、キリトが思い返すのは《GGO》で使用したアバター。それも普段使用している方ではなく、死銃事件を追うためにこっそりと『BoB』へ参戦した際に使用したアバターだ。
風になびくほどに髪が長く、女性と見間違われるほどに中性的なあのアバターは菊岡が用意した物ではあるが、アレが一番リアルとの差異が大きいのは間違いないだろう。
また、望んでそうしたわけではないキリトを除いたとしても、《ALO》でのアスナや、リズ、リーファなどのようにリアルと違う髪型や髪色を楽しんでいるプレイヤーは多い。シリカやシノン、アリスのケットシー組に至っては現実世界ではまずありえない猫耳や尻尾といった物までついている。
アバター生成時のランダム要素如何によっては、たとえば現実世界では長身の人間が、仮想世界ではその半分程度の身長しか無いチビアバターを使用する可能性すらある。もっとも、キリトが知る限りそういった差異の大きいプレイヤーに出くわしたことは無いが。
「キリトはさ、アバターをいじったりとかしてないの? ボクは髪を伸ばしてるけど」
「そうだな……特に、何かしたような憶えは無いな。ここでも、他のVRMMOでも」
「え。……じゃあ、これも……リアルのまんま?」
自らの手で触れ、そして下腹部に押し当てられている肉棒と、その持ち主であるキリトの顔を交互に見つめながら、ユウキは半ば唖然とした表情で呟く。
「そうだよ。……というか、そこだけ何かしてると思ってたのか。おい」
「えへへ……まあ、ちょっとだけ。ほら、あの時みたいな事、自分にもしてるのかなーって思っちゃって……」
「あの時?」
「ほら、ボクとアスナとキリトの3人でした時……って言ったら、わかる?」
「えーと…………思い当たる節がありすぎて、どれの事だか正直わからないんだよな……」
「うっっっわー……やっぱり、キリトはえっちすぎだよ……」
恥ずかしがりつつもそれに嬉々として参加していたユウキが、さらりと自分のことを棚に上げているのは無視しつつ、キリトは己の記憶を手繰り寄せるようにして辿る。
このいたく愛らしい黒髪少女が言っているのは、田舎に伝わる豊作祈願の儀式という体で、巫女服姿のユウキとアスナに一晩中種付けを行った時のことだろうか。
それとも、『キリトくんの部屋でまったりお家デートがしたいなー』と二人に言われたのでシノンに倣って仮想空間内に自室を再現してみたら、実際は部屋に入るなり興奮した二人に押し倒された時のことだろうか。
あるいは、アラビアンな踊り子の衣装を身にまとった二人を金貨がぎっしり詰まった袋で買い上げ、淫靡な舞と腰使いを散々堪能してしまった時のことかもしれない。
もしくは――と、じっと記憶を遡っていたキリトの腕の中で、ユウキはふるふると首を横に振る。
「ほーら、アレだよ、アレ。《ALO》の種族間戦争ごっこ。
スプリガンとインプの間で戦争してたら、こっそりスプリガンと同盟を結んでたウンディーネに急襲されて……ボクがアスナにつかまっちゃった、アレ♥」
「ああ、あの時にか……。確かに、アバターをちょっといじったりできるけど、自分には使ってないぞ」
「へー、そうなんだ。でも、ボクとしてはかなり楽しかったよ、アレ。大人の《ALO》って感じでさ」
恍惚の笑みと共にそう告げたあと、ユウキは再び目を閉じてキスをねだる。
肯定の返事の代わりに、キリトは再び彼女の唇を奪う。ただし、此度はより深く、より濃密に。舌を挿し入れ、ユウキの口内で彼女の舌と絡ませ遊ぶ。
やがて離れた唇と唇の間には、唾液の端が幾本もかかり、そしてぷつりぷつりと途切れ落ちていく。
「ボク、キリトとするキスが一番好き……かも。心の中が、ぽかぽかーってするんだよね」
「疑問系なのはおいておくとして……じゃあ、二番目は?」
「うーん……それ、結構難しい質問なんだよね……。
アスナとするキスもいいんだけど、シノンにキスされた時の、腰のあたりががふにゃふにゃになっちゃう感じも好きだし……」
「ほほう。人のこと、えっちだなんだって言っておいて……このキス魔め」
「えへへっ。ごめんね、キリト」
悪びれずに笑うユウキは、キリトの鎖骨の辺りに唇を触れさせ、キスマークができそうな程に強く吸い付く。
こういう関係になってからだいぶ時間が経ったせいか、女性同士による睦み合いはそれほど珍しい光景ではなくなった。個人差はだいぶあるが、ユウキはどちらかというと同性とのじゃれ合いに抵抗感がほとんど無い方だ。少なくともキリトにはそう感じられる。
ただ、ユウキも他の女性陣もしっかり一線は引いている。同姓間での性的な行為は、あくまで『いずれキリトに捧げる体をより淫らに育てあげながら、自らがキリトのオンナであることを再認識させる行為』であり、そのスタンスを崩さないように注意している。ユウキ曰く、プレイや調教の一環という範疇から抜け出さないようにしている、のだとか。
「なあ、ユウキ。だいぶ長く湯に浸かってるし、一旦上がって、『休憩』しないか?」
「気が合うねー。ボクもちょうど、キリトと『休憩』したいなーって思ってたんだよね……♥」
意味ありげな声音で同意を示したあと、ユウキは頬擦りするようにしてキリトの胸板に頭を寄せる。紅玉色をした瞳をキリトが見つめ返せば、ユウキは小さく首を縦に振り、キリトにその身を委ねた。
彼女の小さな体に両腕をしっかりと回したキリトは、ユウキを抱きかかえたまま岩風呂の中で立ち上がった。
「わわっ。意外と力持ちだね、キリト」
「だろ? まあ、内部パラメータで判定されてるだけだから、あんまり胸を張れた話じゃないんだけどさ」
「確かに。……あ、でも、こないだ聞いたよ? リアルでも、みんなのこと軽~く抱っこできるくらいには筋力をつけるんだーって、リーファに教わって色々トレーニングしてるんでしょ?」
「なっ……だ、誰から聞いたんだよ、それ」
「もっちろん、リーファだよ。で、もうみんな持ち上げられるようになった?」
「まあ、どうにか…………アリス以外は」
体重、なかでも特に女性のソレに関する話をするのは大変失礼な事であるとわかった上で、キリトは気まずそうに答える。
若干ではあるが、アリスは――重い。
その体を形作るのが、ラースで開発されていたマシンボディ・通称『ニエモン』をベースに、アリスの外見に合わせたカバーユニットを被せたものなのだから当然と言えば当然なのだが、重いものは重いのだ。
とはいえ、歩くだけで道路にヒビが入るようなレベルではなく、せいぜい日頃の業務で鍛えた宅配便スタッフであれば一人でぎりぎり運搬できる程度。ならば、キリトに持ち上げられないという道理はあるまい。
パワードスーツを作った方が早いのではないか――という脳の片隅から聞こえてくる某教授の囁きを無視しつつ、キリトは日々の合間を縫っては己の体を鍛え続けていた。鋼鉄の体に収まったアリスに、しょぼくれた顔をさせないために。
「頑張ってねー、キリト。アリスだけ仲間はずれなんて、かわいそうだもん」
「ああ、そのつもりだよ。
――もちろん、ユウキだって、いつかちゃんと抱き上げてやるからな」
「あははっ。それはすっごく嬉しいけど……何年か待ってもらわなきゃいけないかなあ。キリト、それまでちゃんと覚えてられる?」
「自慢じゃないが、記憶力の弱さには自信がある。……けど、忘れないよ、絶対に」
「そっか。じゃあ……ボクも頑張るよ、キリト。もし忘れてたら、ほっぺたつねってやる~」
すでにつねるつもりでいるのか、ユウキは人差し指を伸ばし、キリトの頬をぺしぺしと軽く叩いた。
――かつて、《ALO》内で時間流の乱れが発生し、『バーストリンカー』達がいる約21年後の時間軸と、現在の時間軸が混濁するという異常事態が発生したことがあった。幸いにも事件は一応の解決を見せ、時間の乱れも修正された。そして、ユウキとアスナはその折、あるバーストリンカーから興味深い情報を得ていた。
不治の病を患い、幼い頃からメディキュボイドを使用していたある患者が、バーストリンカー達のいる時代に回復をみせた――そんな情報を。
無論、それがそのままユウキの生存を意味するわけではない事は誰もが承知している。バーストリンカー達がいた未来とこの時代が真っ直ぐ繋がっている可能性は高くないし、そのメディキュボイドがユウキの使用している物とは限らない。現に、今ですら2号機が存在しているのだ。性能と有用性を鑑みれば、3号機、4号機と増えていかない可能性の方が低いだろう。それに、現在動いている
それでも、たとえ、そうだとしても――それは十分すぎる程に有益な、未来からの贈り物だった。
「今日は……こっちで休もうか、ユウキ」
露天風呂の端にある一角。天然木の無垢材を惜しみなく使った板敷きの休憩スペースに、キリトは足を踏み入れる。屋根に覆われたその休憩スペースには、デッキチェアに似た長椅子数脚とサイドテーブルが置かれている。近床の一部には厚いタオル地の布が広く敷かれており、ゆったりと寝転んで『休憩』することができるよう配慮されていた。
設計時点で計算されていたのか、内部には周辺の湯船から立ち上る熱気がほんのりと流れ込むようになっており、急な湯冷めを喰らう心配は無さそうだ。
「……お外っていうのも、悪くないよね」
厚い布の上に腰を下ろしたユウキは、キリトに向けて微笑みかける。
上気した湯上がりの裸身。その玉のような肌の上を滑り落ちていく汗の雫。人形のように可愛らしい顔立ちと、くりくりとした紅の瞳。入浴用にまとめていた髪を解けば、ユウキの持つ少女らしさが一気に解き放たれ、キリトの劣情をより一層刺激する。
「あははっ。そんなギラギラした顔しなくても、ボクは逃げたりしないよー。キリト」
「……そんな顔してるか? 俺」
「うん、してるしてる。……ま、ボクもキリトのこと言えないんだけどね」
手近な場所にあった枕を背もたれ代わりに上体を倒したユウキは、挑発的に笑いながら下半身を突き出す。
両脚をはしたなく広げながら腰をくねらせ、正面にいるキリトへ向けて自身の脚の間をたっぷりと見せつける。とろりとした女体の蜜が溢れ出す、一本筋が通ったスリット部。まぐわいの気配に興奮してひくひくと震える小さな窄まり。飢えた鳥を誘い交配する花木の如く、秘め隠すべき場所を色香と共に晒す。
「病院のVRルームだと、さすがにこういうことはできないでしょ? だから……溜まっちゃうっていうか」
キリトの、そして反り返り屹立する雄の象徴に視線を向けながら、ユウキは自らの股座に手を這わせる。
割れ目の表面を撫ぜる細い指先に、溢れる情欲の滴りを纏わせながら、己の膣内に指を少しずつ差し入れていく。くちゅり、くちゅりと粘ついた水音が上がる度、ユウキの口から熱の籠もった吐息が漏れる。
「ん、っ……♥ キリト、さ。ボクが時々、夜中にこっそりここにログインしてるの……知ってるでしょ?」
「まあ……一応な」
仮にもキリトはこの空間の製作者であり管理人である。万一の不正ログインに備え、ログイン/ログアウト履歴情報を定期的にチェックしている以上、誰がいつログインしたのかを知る事は簡単だった。
特にユウキの――深夜、誰も居なくなるのを見計らったかのようにログインし、30分から1時間ほど滞在したあとログアウトするという少し変わった履歴は否が応でも目に入った。
「じゃあ、ボクが……あふぅっ♥ こっ、こーういうことしてたのも、知ってた?」
「いや、全然」
「そうなんだ……じゃあ、教えてあげる……♥ ボクって、結構……んゅっ♥ えっちな子、なんだよ……♥♥」
興奮するユウキの指の動きは一層早まり、股座から響く粘ついた水音は更にボリュームを上げる。
以前、ユウキの奇妙なログイン履歴に気づいたキリトは、本人にそれとなく事情を聞いてみた事があった。メディキュボイドとのデータ連携に何か不備があったのではないかと気を揉んだが故の行動ではあったが、ユウキは理由を話してはくれず、妙に慌てた様子で煙に巻くばかりだった。しかし――まさか、そんな事情があったとは。
「キリトがね、みんなと、えっちしたあとのお部屋に忍び込んで……んんっ、あっ♥ ニオイを嗅ぎながらしちゃったり……♥
はっ、裸でっ、外に出たりして……ひゃあっんっんっ♥ いっぱい、おなにー……しちゃった……♥」
はあはあと荒い吐息を漏らし、時折びくりと腰を震わせながら、ユウキは貪欲に悦楽を貪る。
普段の活発にして快活な姿とは真逆の、淫靡さに満ち満ちたその姿にキリトは思わず生唾を飲み込む。それを見計らったかのように、ユウキは己の蜜壺の中より指を引き抜く。濃密な口づけを交わしたあとのように粘質の液にまみれて糸を引く指先をぺろりと一舐めしたあと、ユウキはその指先を再び股座に持っていき、自らの媚肉を左右に割り開いた。
「ほら、見て、キリト……♥ キリトと、ちゅーして……思い出しながらぐちゅぐちゅしてたら……こんなになっちゃった……♥♥」
露わになる、興奮にひくひくと蠢く薄ピンク色の肉襞。開かれた両脚の間から、もぎたての果実のようにたっぷりと愛蜜を溢れ出させるその秘所を惜しみなく魅せつけながら、ユウキは目の前にいる雄を誘う。
その誘いに一も二も無く乗ったキリトは、ユウキの体を抱きかかえるようにしながら覆い被さり、張り詰めた肉棒の先端をユウキの蜜壺に宛てがう。
「ユウキ。キスしながら挿入れるから、舌、出して」
「おっけー……♥ キスハメ、頭がぽやーってなっちゃうから……ボク、大好き♥」
小悪魔の笑みと共に頷いたあと、ユウキは目を閉じる。代わりに開けられた彼女の口に己の唇を重ね、舌を差し込みながら――キリトはゆっくりと腰を下ろし、自らの剛直をユウキの中へと沈めていく。
「――んっ♥ んんぅぅううっ♥ んっう゛んぅうんっっんんんっ♥♥♥」
潤滑油代わりに従えた愛液をまとうキリトの太い肉棒が、ずぷずぷと音を立てながらユウキの膣内を奥へ、奥へと侵略していく。そのシンプルな行為によって作り出された快感に酔い痴れるユウキの嬌声は、唇同士で繋がったままの口内で反響し、くぐもった音となって外へ漏れ出る。
女の細い指とは比べ物にならない質量と硬度によって押し広げられる産道が伝える、暴力的なまでの快樂。人前での自慰行為によって昂ぶっていたユウキの体は、キリトの肉棒が前へ進む度に与えられる快感によって何度も達し、さらなる愛液を撒き散らす。
「んぅぅうっ――ん゛っ、んぶっ! んんっっっっっぅぅう゛ぅうっ♥♥♥」
小柄なインプの啼き声が、互いの口内に木霊する。びくびくと体を震わせるユウキを膂力と体格の差で完膚なきまでに抑え込みながら、猛る一物で深々と貫くキリトの様はもはや一種の陵辱じみている。もし、ユウキの両腕がキリトの体とより密着するために使われていなければ、レイプしているのと大差なかっただろう。
みちみちと容赦なく締め付けてくるユウキの膣内に、肉棒の先から根本までを挿入し終えたキリトは、深く繋がった状態でようやく腰を止めた。そのままユウキの四肢を抑えこんで自由を剥奪したキリトは、静かに唇を離し、肉棒が収まりきった事を言外に告げた。
「はひゅっ……あふっ♥ はーっ、はぁーっ……♥ お腹の中ぜんぶ、キリトのでいっぱい……♥」
玉の汗を肌の上にいくつも浮かべ、ユウキは劣情に満ちた吐息を繰り返す。肌と肌を触れ合わせたまま、キリトは彼女の艷やかな髪を撫で、インプの尖った耳先を弄ぶ。その心地よいくすぐったさに身を捩る事も許されないほど、がっちりとロックされた状態で組み敷かれたユウキにできることは、与えられる肉の悦びを享受する事だけだ。
たっぷりと時間をかけ、甘えたがりなユウキの狭い膣内に己の分身のカタチを覚え込ませたあと。キリトはもったいつけるようにゆっくりと腰を引き――そして、本格的な抽送を開始した。
「ひっ――――ッあアあ゛あぁああぁあぁあ゛ぁっ♥ んっ゛♥ んぉお゛おっ♥ 」
上半身はユウキに密着させたまま、腰と膝を活用して肉棒を先端ギリギリまで引き抜き、そして互いの腰が触れ合うほど深々と挿し込む。
真上から真下へ、そして真下から真上へ。パイルバンカーを思わせる重く激しいピストン運動は、とっくの昔にキリト専用となった膣道を容赦なく穿ち貫き、大量の快樂物質を脳内に迸らせる。
キリトの腰がユウキの股座と密着する度、どちゅ、どちゅという、過剰な水分を纏った肉同士がぶつかり合う音が響き、足裏が天井に向く程高く上げられたユウキの両脚が快樂信号に連動して震える。
「あひゅっ♥ やっ♥ らぁっ、あぁあっ♥ あ、頭、んぉ゛っ♥ あたま、なでなでしながりゃ、どぢゅどぢゅってするのりゃめぇぇえっ♥ ひぁっ、あっひぃいいいっ♥」
「へえ。どうしてダメなんだ、ユウキ?」
快樂に翻弄され続けているせいで舌足らずな喋りになりながらも、ユウキはどうにかこうにか人の言葉を紡ぐ。そんな幼気な少女を容赦なく貫きながら、キリトはわざと問いかける。
「だって、らって……おっ、憶えちゃう、からぁああっ♥ あ゛っ♥ っっっぅうっ♥ キリトに、なでなでさりゃたら、せっ、せっくしゅしてる時のことぉ♥ んひぃいぅっ♥ やっあっ♥ おぅ、ふっ、お、おもいだしぢゃうかりゃああぁあ♥♥」
「そうか。じゃあ……いっぱい撫でてやるから、ちゃんと覚えるんだぞ、ユウキ」
「ひぁ――あっ、やああぁっぁぁああ゛ぁあっ♥♥♥」
最初から覚え込ませる為にそうしていた――とは噯にも出さぬキリトは、ユウキの髪を手ぐしで梳き、慈しみの籠もった手付きで撫でる。
無論、その最中も肉棒の抽送は止めず、むしろより激しさを増しながら、ユウキの感じる部分に擦り当てていく。頭一つ分小さなユウキを抱え込むように抱きしめながら、頭を撫でられる感触、キリトの声、匂い、触れ合う肌と力強い腕の感触――そのどれか一つからでも即座に思い出せてしまえるよう、ユウキの体と心に交合の肉悦を叩き込んでいく。
そんな逞しい雄との交尾に歓喜するユウキの肉体は、キリトとの間に子を為さんと、吸い付くような膣道と子宮口の動きを以てただひたすらに肉棒へと媚びる。その蠢きによってキリトの射精欲求は徐々に高められ、抽送のリズムが少しずつ早くなっていく。
「あっあっあっあっ♥ あんっ、だっ、めぇぁえ♥ んんっ♥ はひゅー、ひぅぅううっ♥ っぅっあっ、あっ、あぁぁあ゛ん゛んっ♥♥」
雌の本能とこれまでの経験から感じ取る、キリトの射精の兆候。自らの体の全てを、一瞬の快楽の為だけに使いつくされるというその事実にゾクゾクとした官能を覚えながら、ユウキは無意識の内に腕へと力を込め、キリトへとしがみつく。雄を己から逃さぬように、あるいは己が雄から逃げられぬように。
それを合図にしたかのように、更に抽送の速度を上げるキリトの雄の象徴。その感覚に翻弄され、膣内射精される事への確信に溺れながらも、ユウキはしっかりと感じ取った。
自らの内側でより一層膨張した愛しい男の肉棒が、最奥部に叩きつけられ――子宮口に密着した亀頭から、一気に精液が解き放たれる、その感触を。
「――っっっうううううぅうぅう♥♥♥ あ゛、あ゛っ、あ゛あーっ♥ い、いっ、ぎゅ――あああふあぁあっああああぁああっ♥♥♥」
品の無い喘ぎ声と共に深く重い絶頂へと叩き込まれたユウキは、ぷしゃぷしゃと愛液を吹き散らしながら端なく達する。
ユウキの胎内を思うままに蹂躙した肉槍から放たれた、たった一人によるものとは思えない程の量を誇る濃密な精液が子宮内を満たし、雌を孕ませ専有する絶対権限を確立。キリトに抑え込まれた体勢のまま、ユウキは内側から伝えられる極上の快感を改めて記憶していく。
ぴんと張り詰めた脚とは逆に、びくり、びくりと痙攣する体。唇の端から溢れる唾液。放たれた精液が逆流すらもできないほどみっちりと蜜壺を支配していた肉棒を、キリトがゆっくりと引き抜けば、白濁した子種汁がごぷりと音を立ててようやく溢れ出す。
「はあっ、はあ……♥ んゅ……♥ き、りと……んっ、射精、しすぎだよ……♥」
「そう言われても……どうにもならない、としか。可愛すぎるユウキにも責任がある」
行為後の余韻と、独特の幸福な気怠さに包まれるユウキの隣へ、キリトが身を横たえる。
その片手はユウキの頭に沿えたまま、さらさらとした髪を指先で弄る。
「やっぱり……キリトは、えっちだ」
「そういうユウキもな」
「ふふっ、そうだよー。ボク、結構えっちな子だから……これからも、一緒に気持ちいいことしようね。キリト。
ずっと、ずーっと……ね♥」
くすくすと微笑むユウキに、しっかりと頷きを返しながら、キリトは彼女の細い体をそっと抱き寄せる。
大人しくキリトの腕の中に収まる直前、ユウキの視線が一瞬、キリトの下腹部へと向いた。
「――ねえ、キリト」
「ん?」
「質問なんだけど、さ。『お掃除コース』と『もっと休憩コース』……どっちが、いい?」
「……おすすめは?」
「ボクとしては――『もっともーっとたっぷり休憩コース』がおすすめ、かな……♥」
紅い瞳が、妖艶に微笑む。
答えを口にする代わりに、キリトは再びユウキへ襲いかかると、有無を言わせずその唇を奪った。
二人の休憩時間は――どうやら、もっと長く続くようだった。
なお、数日後。
「……っていうことが、こないだあったんだけどさ。実際どうなの、アスナ?」
「なんで私にそれを聞くのよ、ユウキ……」
「だって、アスナなら《SWORD協定》発効前に、本物を見たことがあるんじゃないかなー……って思ってさ。
やっぱりリアルのキリトも、ここと同じで魔剣クラスなの? 夜もスターバースト・ストリーム16連撃なの?」
「――もっとすごいよ、リアルのキリトくん」
「……え? えっ?」
「あとスターバースト・ストリームじゃなくて、ジ・イクリプス――ううん、それ以上ね」
「ええええぇえええっ!?」
という会話があったかどうかは、彼女らのみぞ知る。