プライド。
単純に訳すれば『誇り』となるその言葉には、もうひとつ、『群れなす獅子』という意味が含有されている。
サバンナに君臨する支配者にして、プライドの王たる存在・鬣靡かすオスの
そんな雄ライオンと同様、最高権限管理者――とどのつまりはこの空間の王たるキリトもまた、この空間に集う麗しき女性たちと、いつでもどこでも自由に肌を重ねる権利を有していた。
無論、キリトがそういった類の事に及ぶ際は必ず相手の承諾を得るようにしている。その過程をすっ飛ばすのは、女性陣から明確な『お誘い』があった時だけだ。
例えばの話だが、共有スペースを歩いている誰かをいきなり押し倒し、その場で裸に剥いて襲うなどという野蛮な真似はしたことがない。これまた例えばの話だが、欲望に負けたキリトが、そういった強引な手段を取ったとして、喜んで受け入れそうなのが何人かいるとしても――だ。
兎にも角にも。
大型ガレージ、シューティングレンジ、プール、剣道場、メイドカフェ、ビーチ、牧場、昼寝部屋、ローマ風コロッセオ、リズの工房にストレアの
そんなキリトですら、理性に嵌めた固いタガが緩む場所。内に滾る昏い欲望と情動を抑え込まずともよい場所。誰もが交合のみを目的として集まる場所。
プライベートVR空間の一角に構えられた複合施設型娼館『黒夜館』は、そんな場所だった。
「――待ってたよ、キリトくん」
壁に据え付けられたランプが放つ妖しい光が、紅いビロードの絨毯を照らす。娼館に脚を踏み入れたキリトを出迎える蒼い髪のウンディーネ――アスナの姿も、同様に。
雪のように白い肌の上にまとうのは極薄の生地で作られたベビードール。ブラックカラーの薄布はそのほとんどが透けており、目隠しの役目など一切果たさぬまま、アスナの裸身を飾るアクセサリと化している。下腹部だけはどうにかショーツによって隠されているが、ごく小さな三角形の布を除いた他全てが紐で構成されたストリングタイプのTバックとあっては、もはや下着としての機能はほとんど無いに等しい。
それでも、『黒夜館』唯一の客であるキリトの情欲を煽るという役目だけは立派に果たしていたが。
「どう? キリトくん。裁縫スキルの練習も兼ねて、新しく作ってみたんだけど」
「……あのお嬢様のアスナが、こんな格好してくれてると思うと……正直、興奮が止まらないです……」
「ふふっ。喜んでくれたみたいだね。苦労して作ったかいがあったよ。
ちなみに、鑑賞料は50億コルね」
「それはまた……安すぎるな。倍出したって足りないくらいだ」
管理者特権でたった今生成した100億コル分のデータを、極上の娼婦のストレージに惜しげも無く放り込んだあと。とてもではないが良家のお嬢様とは思えない淫靡な笑みを向けてくるアスナに先導され、キリトは娼館の奥へと進んでいく。
隣にそっと寄り添うアスナの体から立ち上る、ほのかなミルク石鹸の香りがキリトの嗅覚を心地よくくすぐる。今すぐ押し倒して、その身体を思うままに貪りたい――そんな欲望がキリトの中で鎌首をもたげる。そうしたとしても、アスナは嫌がらないだろうという確信と共に。
熱の籠もった視線に気付いたのか、アスナは不意に脚を止めて振り返ると、キリトの体へぎゅっと抱きついた。
「私のこと、今すぐ抱きたいな~って思ってるのが丸わかりだよ、キリトくん。
でも……もうちょっとだけ、我慢してね? 今日の私は、デザートだから」
「デザート?」
「うん。メインディッシュは、特別な濃厚スープにじーっくり漬け込んで、キリトくんだけにしか発情できない体になっちゃった可愛い可愛いケットシーちゃん♪
オナホ嫁志望のウンディーネを使うのは、メインディッシュをじっくり堪能してから……だよ?」
キリトの唇にそっとキスを落とし、焦らされる楽しみを与えて劣情を押し留めたあと。アスナは再び前を向き、キリトを娼館の奥へと導いていく。
機先を制されたお返しとばかりに、紐下着によって丸見えになっているヒップへキリトが戯れに手を伸ばしてみれば、淫らなウンディーネは「やぁんっ♥ キリトくんのえっち♥」と可愛らしく啼きながら身をくねらせる。
むにむにとした独特の感触の中にしっかりとしたハリと柔らかさが同居する極上の尻を堪能しながら、キリトは娼館内部を進んでいく。
ポールダンスやストリップショーを鑑賞する為のクラブルームや、SMプレイ用の器具が用意された調教部屋、公園などによくあるような男子公衆トイレを模した部屋やホリゾントが設置された撮影スタジオなどの部屋を通り過ぎたあと、アスナが開けたのは『壁の部屋』と呼ばれる一室の扉だった。
「ここか? アスナ」
「うん、そうだよ。今日はここにしたの」
頷きつつ、アスナは部屋の中へキリトを招き入れる。
コの字型に配置された半透明素材の壁によって内側と外側に区切られたその部屋は、女性陣が『他人の視線や気配を感じながら抱かれたい』となった時によく使われる部屋。
壁の内側がプレイスペースであり、外側が観賞用のスペースとなっている。部屋を仕切る壁は、設定次第で普通の鏡にも、ただの透明な板にもなれば、観賞用スペースから内側を覗くマジックミラーにできたりもする。
また、外側がぼんやりと透けて見える程度の曇り具合に調整した上で、人影めいた映像を外側に投影し、更には以前実装した合成音声システムに状況対応型自然言語処理パッケージで自動生成した台詞を喋らせれば、まるで本当に壁の外側に誰かがいて、はしたない行為をじっくり鑑賞されているかのような気分を味わう事ができた。
かつてリソースを可能な限り節約してNPCを実装できないものかと思案したキリトが、試験的に組み込み、そして諦めて放棄したプランの再利用ではあるが、プレイに使うだけならこれで十分すぎる程に有用だった。
「ほら、あれ見て。キリトくん」
アスナが指で指し示す先――マジックミラーモードに設定された壁の向こう側にあるのは、ごく一般的なキングサイズのベッド。大きなベッドとは裏腹に、その上にいるのは珪砂色の猫耳と尾を生やした小柄なケットシーの少女ただ一人だった。
VRヘッドセット――アミュスフィアのご先祖様とでも言うべき、視界を映像で埋め尽くすだけのレトロタイプのみを身つけた少女は、興奮した吐息をはあはあと漏らしながら、抱き枕に覆いかぶさったまま腰を激しく上下させている。それはまるで、雄に下から貫かれる雌のように。
「――ふふっ。シリカちゃん、キリトくんと交尾したくて我慢できなかったみたい。
『私がキリトくんに抱かれてる時の動画見ながら待っててね』って言ったら、おんなじ動きで必死に腰振っちゃって……シリカちゃんって本当に可愛い♪」
「……なんで動画の中身まで知ってるんだ、アスナ?」
「だって、あのヘッドセット私のだし。動画をセットしたのも、私だし」
男を惑わす妖艶な笑みを浮かべたアスナが、キリトの耳元に唇を寄せる。
「どうする? キリトくん。ここで、シリカちゃんのエアセックスをオカズに、
それとも……女の子を一発で雌に落としちゃう、この最高のおち●ぽで……『キリトくんと交尾したいよー』って鳴きながらヘコヘコ腰振りしてるシリカちゃんを……襲いに、行っちゃう?」
アスナの細い手がキリトの下半身へと伸び、固くなった逸物を衣服越しにさわさわと撫で回す。
それは誰の目にも明らかな挑発。据え膳残さず喰らい付くし、毒も皿も、もちろんデザートも味わってしまえという誘い。
そんな挑発に容易く乗ってしまうほど、キリトは与し易い男ではなかったが――眼前で無防備な姿を晒し、襲われる事を期待する二匹の獲物を見逃してやれるほど、寛容な雄でもなかった。
「――襲うよ。シリカも。アスナも」
「ふふっ……♥ じゃあ……行こ?」
再び先導しようとするアスナをそっと制し、キリトは自ら先んじて壁の内側へと通じる扉へと向かう。待ち受ける物の仔細が明らかになり、そして彼女らを襲うと決めた以上、ここから先のフェイズは男の方が気合を入れて進んでいくべきなのだろうから。
コの字型になった壁の外側、その端に設けられた扉を開けたキリトは、アスナを伴ったまま内側のスペースへと足を踏み入れた。
レトロなVRヘッドセットから供給される音声によって開扉音が遮られたのか、ベッドの上では相変わらず、シリカが抱き枕を相手に騎乗位の真似事を続けている。キリトが部屋の片隅で待つ中、コンソールウィンドウを呼び出したアスナはVRヘッドセットを遠隔操作し、流れていた動画を停止させた。
「――っ!?」
「はーい、シリカちゃん。そこでストップ。動いちゃダメだからね」
「は、はいっ……」
突如動画再生が止まったことと、アスナの声が聞こえてきた事に驚いてびくりと身を震わせつつも、シリカは指示通りに動きを止める。そのままアスナが抱き枕をストレージにしまい込むと、シリカはぺたりとベッドの上に座り込んだ。
「じゃあ、キリトくん。あとはよろしくね」
「ああ」
アスナから場の主導権を受け取り、キリトはベッドの上へとのぼる。男の体重を受け止めたベッドがぎしりと鳴る中、キリトは小さな体を正面から抱きしめるようにしてヘッドセットを外した。
「お待たせ、シリカ」
「キリトさん……」
蕩けたメス猫の瞳と見つめ合いながら、キリトは回した腕をゆっくりと引き寄せる。
「その……キリトさん。えっと、さっきの……見ちゃいました?」
「ああ、見た。上手だったぞ、シリカのエア騎乗位」
「い、言わないでください……恥ずかしいです」
真っ赤に染まった頬をごまかすように、シリカは体を押し付けるようにしてキリトへ抱きついた。
男の腕の中にすっぽりと収まったシリカの体から立ち昇る、発情した雌の匂い。そして、その中に入り交じる清らかな花の香りがキリトの嗅覚に己の存在を主張する。
「今日のシリカは、いつもよりいい香りがするな……。
でもこの香り、どこかで…………思い出した。プネウマの花の香りだろ?」
「さっすがキリトさん、大当たりです」
「やっぱりな。これ、俺が実装した覚えが無いってことは……もしかして、自分で作ったのか?」
「はいっ。リズさんに調香の仕方を教わって、再現してみたんです。
あたしとキリトさんの……大切な、思い出の香りを」
喜びと恥ずかしさでふにゃふにゃとした笑顔を浮かべるシリカの体を抱きしめながら、彼女がまとう花の香りをキリトはじっくりと堪能する。天に鋼鉄の城在りし頃、彼女がテイムしたフェザーリドラ・ピナを助ける為に、キリトはレアアイテム『プネウマの花』を求めて共にフィールドを彷徨った事があった。
ほのかな懐かしさに浸りつつ、柔らかな肌の感触と花の香りで男を誘う小悪魔系ケットシーの唇を――キリトは静かに奪った。
「ん、んっ……♥」
背に回ったキリトの手にしなやかな尻尾が絡むのとほぼ同時に、シリカの舌がキリトの口の中へと滑り込んできた。珍しく攻勢に出てきた彼女の舌を受け入れつつ、尻尾に絡みつかれていない方の手で、キリトは猫耳の裏側をさわさわと撫でてやる。
くすぐったさに身をよじるシリカが、キリトの口内に響かせる唾液の水音がたまらないほどに興奮を昂ぶらせていく。
「はぅっ、んんっ♥」
ケットシー組共通の弱点である尻尾を緩く握ってやると、シリカは堪らず声を漏らす。それでもどうにか唇を離さなかったシリカが、キリトの舌へ懸命に吸い付き続けていると、蒼い髪のウンディーネがそっとその背後へ腰を下ろした。先程までの挑発的な下着を脱ぎ捨てて一糸まとわぬ姿を晒すアスナの視線が、キリトを妖しくねめつける。
二人の妖精の間で混じり合う石鹸と花の清らかな香り。そして、匂い立つ雌と牝の香り。黒き王への捧げ物として自らを差し出した妖精達の香りに誘われながら唇を貪り続けたキリトは、シリカが酸欠に陥る寸前でようやく唇を開放してやった。
激しく熱いキスの洗礼を浴び、くたりと脱力したシリカの身体は、そのまま背後にいるアスナへと寄りかかった。
「はっ……は、ひゅう……」
「いっぱいキスしてもらえてよかったねー、シリカちゃん♪ じゃあ次は、もっともーっとキリトくんに溺れちゃおっか」
背を預かったのをいい事にシリカの体に両手を回したアスナは、そのまま小柄なケットシーを抱き寄せてうつ伏せの姿勢を取らせると、キリトの方へ尻を向けさせた。
ぴったりと閉じられたスリット部から垂れ落ちる女の蜜。そしてきゅっと小さな後ろの窄まりが興奮と羞恥にひくひくと蠢く様は、得も言われぬほどに淫靡であり、雄の征服欲求を激しく刺激する。
「それじゃあ、シリカちゃん。ちゃんとおねだり、できるよね?」
「はい、頑張ります……♥」
ゾクリとするほどに蠱惑的な笑みを浮かべるアスナに支えられ、四つん這いの姿勢を取ったシリカがゆっくりと振り返る。
細長い尻尾を興奮にぴんと張り伸ばし、己の両手の指先が食い込む程にしっかりと尻たぶを掴むと、シリカは自らの尻肉を左右に割り開いた。一本線を描くように閉じられていた秘裂が連動して押し広げられ、溜まった愛蜜がどろりと流れ出してキリトを誘う。
「あ、あたし、シリカは……キリトさんのザーメン風呂の中で何回もイッちゃうような変態ケットシーです。
今日は、アスナさんにおねだりして、アスナさんお気に入りのおもちゃを貸していただきました。
どうかそのおもちゃを、あたしにも使ってください……♥」
シリカがそう言い終えるのと同時に、共有ストレージから一つのアイテムがオブジェクト化され、キリトの側へ落ちる。ストレージの共有相手であるアスナが操作したのだろうと確信しつつ、キリトはオブジェクト化されたアイテムに視線を向けた。
端的に言えば、それは巨大な注射器だった。ただし先端についているのは針ではなく、円錐形に近い形をしたノズル。濃い緑色をした液体がみっちりと充填されたシリンダー部はキリトの腕より二回りほど太い。そのシリンダーにつながったピストンヘッド部は限界まで引かれ、中に詰まった液体の容量がちょっとやそっとではないことを無言の内に物語っていた。
「へえ、『ジュエルメイカー』か……。なあシリカ、これがどんなおもちゃなのか、ちゃんとわかった上でおねだりしてるんだよな?」
「はい、わかってます。アスナさんにも説明していただきましたし……その……。
アスナさんがそれを使って、キレイな蒼色の
アスナそっくりの、年相応とは言えぬ淫猥な笑みを浮かべながらシリカは首を縦に振る。
「そうだったのか。ちゃんと予習ができてて偉いじゃないか、シリカ」
「えへへ……♥」
ご褒美代わりに、キリトは砂色の髪と猫耳の裏側をたっぷりと撫で回す。
大型注射器――もとい、正式名称を『ジュエルメイカー』というそれは、リズが作成したプレインググッズの一つ。シリンダー部分に詰まった薬液は、女性陣の後ろの穴へ注ぎ込まれることをトリガーに変化し始め、最終的にそのほとんどが適度な大きさの球状物質へと固体化する。
ジュエルメイカーの名が示す通り、女性達の体内で作り出される固体は、まるで宝石のような色合いと透明度を持っている。残った薬液から生成される無色透明のローションに包まれたその宝石を排出――否、
「それじゃあ、早速だけど……いくぞ、シリカ」
「お願い、します……♥」
緑色の液体が詰まった本体部分を抱え直した後、キリトは慎重に狙いを定め、先端のノズル部分をシリカの後ろの穴へと宛てがう。アスナに上半身を抱かれたままうつ伏せの姿勢で尻を突き出したシリカが、今か今かとその時の訪れを待つ中、キリトは腕に力を込めて先端部を押し込んだ。
「――ひぁぅっ!」
小さな喘ぎ声と共にジュエルメイカーの先端部分がシリカの体内に呑み込まれ、ノズルにつながった円筒部がぴったりと尻肉へ密着する。そのまま突き出された格好となったピストン部分に掌を当て、キリトはゆっくりと前方へ押し込んだ。
「あっ――んんぅ゛っ♥ あ、お、お腹、すごぉっ……♥ おふゅぅっ♥♥」
ピストン部分が前に進むのと正比例する速度で、緑色の液体がシリカの腸内に送り込まれていく。その総量が、小柄な少女の身の内に納めるには多すぎる事は誰の目にも明らかである――が、それで何の問題も起きないのがVR空間のいいところだ。
びくびくと身体を震わせて未体験の快楽に酔うシリカの体を支えながら、アスナは珪砂色の髪を優しく撫でてやり、彼女が無駄に力まないよう手助けする。
「気持ちいいよね、これ。身体の奥の奥――普段、えっちで使ってるところとは別のところが刺激される感じがして、きゅんってしちゃうよね」
「は、はひゅぅっ♥ ん、あっ、あん゛んっ♥」
「ふふっ。もう半分入ったよ、シリカちゃん。残り半分、頑張れ頑張れー♪」
アスナの応援を聞きながら、キリトは相変わらずのゆっくりとした速度でピストンヘッドを押し込んでいく。勿体つけるようなジリジリとした動きでヘッドは進み、やがて中身は全てシリカの体内へと注ぎ込まれた。
空になったジュエルメイカーを引き抜けば、ぽっかりと口をあけたシリカのアナルがひくひくと震えている光景が目に入る。管理者権限でシリカのストレージにアクセスしたキリトは、円錐形の突起がついた黒いアナルプラグを取り出すと、シリカの後ろの穴へ挿し込む。薬液の影響で滑った尻穴に呑み込まれたアナルプラグは、その形状を生かしてシリカの穴をしっかりと塞いでみせた。
「ん゛、ふぉおっ……♥ これ、すごぉ……♥ おひり、と、あたまぁ……ぐちゃぐちゃになっちゃいまひゅ……♥」
「よく頑張ったな、シリカ。じゃあ、お待ちかねのご褒美だ」
装備解除ボタンを操作し、キリトは遅まきながら衣服を脱ぐ。露わになる男の筋肉質な裸身と、天を穿けとばかりに振り上がる肉棒を目にしたアスナの顔に、とろりとした媚笑が浮かぶ。その美貌と至近距離から見つめ合うシリカも、アスナの様子に自らの背後で何が起きているのかを察したらしい。
次の行為に備えてより一層尻を突き出し、一匹の牝として媚びてみせるシリカの腰を軽く掴みながら、キリトは自らの分身の先端部を、蜜を溢れさせる肉花の入り口に充てがい――そして、ゆっくりと押し込んだ。
「――んぅっ……♥ あっ、んんっ、キリ、トさっ……んうぅぅうっっ♥♥」
きつく締まる膣道をみちみちとこじ開けて進む太く硬い雄肉の感触に、シリカはたまらず歓喜の悲鳴を上げる。臀部を開き、肉棒を導くために使われていたシリカの両手をそっと掴んで前方向に持っていきながら、キリトは深く、より深くへと己の分身を沈めていく。
小柄なシリカの体に覆い被さり、絶対的なサイズ差に物を言わせて蜜壺を押し拡げて征服していくその様から想起されるのは、人の秘め事というよりはむしろ獣の交尾。シリカという一匹のメスを守護し、喰らい、子を宿させる者がここにいるのだと、ここにしかいないのだと、体へ徹底的に教えこむ傲慢にして強権的な行為。
「あ゛っ‥…♥ いっぱい、きてま、す……♥ キリトさんの、おっきいの……♥♥ あたしの奥まで……もっと、もっとぉ……♥
硬いので、お腹の中広げられるの……すっごく好きです……♥」
その行為を、シリカは受け入れる。体の自由を阻害され、ただのメス猫として犯される以外に何もできないこの現状を喜び、快楽にただ打ち震える。
いずれキリトの子を宿す場なのだからという理屈の元、シリカが望むまま秘所を無遠慮に貫き進む、灼けるように熱い硬い肉の塊の感触。ぐちゅぐちゅと無秩序に蠢きながら、体の内側を蹂躙する未知なる薬液の感覚。対照的な悦楽の二重奏が、シリカを肉悦の深みへと沈めていく。
実際、沈み、溺れ、堕ちていくのは簡単だった。なにせシリカの目の前には、もうとっくの昔にキリトのメスへと堕ちきった、気高くも浅ましき白き閃光という大先輩がいるのだから。
「よかったね、シリカちゃん。キリトくんからご褒美もらえて。
シリカちゃんの体は、私がしっかり支えててあげるから……シリカちゃんは、おま●こしてもらう事だけ考えて、いーっぱい気持ちよくなっていいんだからね♥」
キリトの挿入と連携するかのような滑らかな動作で、シリカの体の下に潜り込んだアスナの囁きがシリカの耳に響く。魔性の声でメス猫を昂ぶらせ、極上のベッドのように柔らかな体でシリカを抱きしめたまま、アスナは自らの脚をシリカの脚にそっと絡ませ、シリカが反射的にでも股を閉じられないようにそっと拘束する。
やがて、シリカの子宮口を穿ちながら、ようやく逸物の根本まで全てを納めきったキリトの腰が密着する頃には、シリカはもはや指一本すら動かせぬ程に硬く、そして幸せな拘束の中に陥っていた。
「ねえ、キリトくん。シリカちゃんの膣中……どんな感じ?」
「そりゃあ、もう……スゴイぞ。挿入れた途端に、ぎちぎちと締め付けてきて……気を抜いたら、すぐに絞られそうだ」
「そうなんだ……♥ シリカちゃん、そんなにキリトくんに気持ちよくなってもらいたいんだね……♥
体の一番奥、女の子の一番大事な所に、びゅーっ、びゅーって射精してもらいたいんだ……♥
本当にえっちな子だね、シリカちゃんは♥ ね、キリトくん?」
「ああ……すごくえっちな子だよ、シリカは。
だから、シリカをえっちにした男としては……ちゃんと責任取ってやらないとな」
これもある意味では夫婦の共同作業というのだろうか。
左耳から聞こえるキリトの声と、右耳から聞こえるアスナの声が、シリカの精神を幸せで染め上げ、そしてどろどろに蕩かしていく。どんな抵抗も意味がない。仮想世界で《黒の剣士》と《閃光》に責められて、無事でいられる者がどこにいるというのだろうか。
「ほーら、シリカちゃん。せっかくおち●ぽ入れてもらったんだから、ちゃんとキリトくんにお礼言おう?
『私のおま●こを、キリトくんの精液コキ捨てるオナホ穴として使ってくれて、ありがとうございます』って」
「あ、あたひの、お、おまん――んひいぃい゛っ! ぎっ、リトひゃん、いま、今動くの、おっ、お゛っ、だっだめれぇしゅううぅう♥♥」
シリカが喋りかけたタイミングを狙って、キリトは肉棒をゆっくりと引き抜き、そして深々と挿し込む。激しく前後させても何の問題も無いほどに濡れぼそる膣道を堪能しながら、太い肉棒をゆったりとしたリズムで繰り返し叩きつける。
「あっ、あふっ♥ んんっ♥ お゛っ、おぐっ、奥、ぐりゅって来まひゅぅうっううう♥ あっあっやら゛これあっああ゛あ゛あああ゛♥」
腰と腰が離れ、キリトの肉棒が抜かれる度に名残惜しげに吸い付くシリカの蜜壺は、突き込まれる度に愛蜜を溢れさせながら、雄の象徴を歓んで迎え入れる。
望外の快感に襲われる小さな体は、反射的な動作でそれに耐えようと試みる。だが、上からは逞しい雄に抑え込まれ、下からは同じ雌に支えられているせいでそれも叶わず、シリカはただひたすら性交の快楽に晒され続けた。
「お゛っ゛♥ ほお゛っ♥ ち゛んぽっ、しゅご‥…あっ゛♥ そ、そこっ、そごっとんとんしゅるのらめれしゅ♥
あっあっあっぅ゛っあ゛っそれずる、じゅるっ――ああああっ♥ ひっ……ひっぃいぐぅうぅいいうううううっ♥♥」
既に知り尽くされ、そして増えていく一方である己の弱点を連続で抉られたシリカは、一際大きな快感の波に襲われながらも、無意識に体を仰け反らせて肉棒の抽送を遅らせようとする。
そんなシリカの儚い試みを、絡めた己の脚とキリトの腕を以て優しく防いでやりながら、アスナは愛情を込めた囁きをシリカの聴覚へと送り続ける。
「好きなだけイッていいんだよ、シリカちゃん。我慢なんてしなくていいの。
キリトくんのち●ぽで、おま●こいっぱいにしてもらう事だけ考えながら、何回でも何回でも気持ちよくなって……自分の体と心に、たくさん教えてあげるの。
『私はこれからも、この先も、ずーっとキリトくん専用の女の子』なんだよーって。
『この先何があったって、キリトくん以外のち●ぽじゃ絶対に気持ちよくなれないし、キリトくんの精子以外じゃ絶対に妊娠しない』って♥」
全身いたるところから与えられる快楽が渦となり、シリカを溺れさせていく。愛しい男に抱かれながら、憧れた先達に道を示してもらえることのなんたる幸福か。
理性なき獣のようなはしたなさで快楽を貪るシリカに微笑みかけながら、アスナは幼子に物事を教える母親のようにゆっくりと言葉を紡ぐ。
「そうやって、VRシステムの中でいっぱいえっちしてるとね……リアルの体も、どんどんえっちになって、どんどんキリトくんの事を好きになっていくの。
私だってそうだったもん。リアルで初めてキリトくんのおち●ぽを見た時ね、私、思わずキリトくんの足元に跪いて……そのままキリトくんのおち●ぽにキスしちゃってたんだよ。しかも、ほとんど無意識に。
ね、キリトくん?」
「ああ、あったあった。アスナ、いきなりぽーっとした顔になっちゃってさ……。すごくキレイだったけど、流石にちょっと驚いたよ」
「だって、だって……なんていうか、本能で理解しちゃったんだもん……。
『ああ、私はキリトくんの為に生まれてきたんだ』って。『キリトくんの男らしくて立派なおち●ぽ様に全てを捧げるために、女の子として今まで生きてきたんだ』って、直感しちゃったんだもん……♥」
隙あらばイチャつき始める永久新婚夫婦は、意味をなさぬ喘ぎ声を上げて肉棒に酔いしれるシリカを挟みながら器用にキスを交わす。唇と唇を吸いあい、水音を立てて舌と舌が絡みあわせながら行われる激しいキス。初な恋人同士がするものとはレベルが違う、心の奥底までつなげあうような濃密なキス。
そんなキスを交わしながらも、二人のシリカを責める手が止まる事はない。キリトはどちゅどちゅと粘着質な音が上がる程に激しくシリカの蜜壺を犯し、アスナもまたシリカのバストに手を這わせ、屹立した乳首をつまんで刺激する。
雄だけが与えられる快楽によって何度も昇天させられ、雌だけが知る弄び方によって色欲の中に沈み込まされながら、シリカはただただ悦楽に融けた媚声で鳴き続ける。
「あっあ゛っんんっはぁっ……ん゛ぅうっ♥ や゛っんっあぁああ゛ああっ♥♥ ちんぽぉっ♥ きりとひゃんのちんぽしゅごひいぃぃいっ♥ すき、あっああっあ゛っんぅうぅう♥ しゅき、あぁあっ、しゅきっれしゅぅ♥ ♥」
満足に呂律も回らなくなる程によがり悶える雌猫の声をBGMに従えて、たっぷりとキスを堪能したあと。名残惜しげな顔で唇を離したアスナは、シリカの頬にそっと手を当てた。
それを合図にしたかのように、二人の上から伸し掛かるキリトの腰使いが一層激しさを増した。シリカの股座から飛び散る愛液の雫が、重なりあう三人の下腹部を汚していく。矢庭に荒くなる夫の吐息を浴びて満足げに微笑みながら、アスナは再びシリカの耳元へ唇を寄せた。
「――だからね、シリカちゃん。シリカちゃんも、私みたいに堕ちちゃおう?
キリトくんの今日一回目の特濃精子、子宮で全部受け取って……『ここはキリトくんと、キリトくんの赤ちゃん専用の場所』ってマーキングしてもらいながら、子作り交尾でイキ癖つけちゃおうね」
「あっあっあぁぁっ♥♥ はひっ、はひぃいいぃっ♥ キリトひゃんのせーし、おっ、ほぉっ゛♥ くらっ、ひゃいいぃいぃ♥」
それは、人が己を呼ぶ声に応じる時のように。あるいは、獅子の王がプライドの雌と交わる時のように。
本能的な繁殖欲求の高まりと共にシリカの願いを聞き届けたキリトは、彼女の狭い膣道を今一度深々と貫く。雄の遺伝子を乞い願う膣肉が太い肉棒を全方向から締め付ける中、シリカの子宮口に亀頭をぴったりと押し当て――抑え込んでいた全てを解き放った。
「あひっ……せー、えき、きて、いぎゅ、いぎゅうぅうぅうう゛うう゛ぅうう♥♥
あ゛――あ゛ーっ、あ゛っ、おっ、おぐっ、灼げちゃ…‥あ゛っ、あ゛ー、あ゛ーっ♥ ああああああ゛ぁぁあぁあーっ♥♥♥♥♥」
雌の体を押さえ込みながら腰と腰を密着させ、体の最も深い部分に叩き込む射精。雌の体は、雄を喜ばせる為にあるのだと教えこむ種付行為。
びくびくと震えながら愛液を撒き散らし、絶頂につぐ絶頂を味わうシリカの胎内に、たっぷりと時間を掛けて大量の精液を流し込む。膣道が繰り返し収縮し、精液を貪欲に搾り取りながら種付けを促す度に、シリカは体を震わせながら口の端より声にならぬ声を上げ続ける。
陰嚢にたっぷりと溜め込まれていた精液は、シリカの子宮を容易に満たす。雌に己の子種を植え付けるという、雄の至上命題――それを別の雌に手伝わせるという、王の如き交尾特権を行使し堪能するキリトの顔と、子宮いっぱいに濃厚な精液を叩き込まれるという極上の悦楽に浸るシリカの顔。その両者の顔を交互に眺めながら、アスナはくすりと微笑む。その笑みはまるで天に座す女神のようであり、同時に地の欲望にまみれた娼婦のようでもあった。
「おつかれさま、シリカちゃん♥ ちゃんと上手に
一先ずの肉壷奉仕の務めを果たしたシリカの髪を撫でて労をねぎらいつつ、アスナは彼女の両足に絡めていた己の脚を動かし、拘束を解いた。
キリトがシリカの両手を解放してやったのは、それから少し遅れての事。空いてしまった片手をシリカの肌に触れさせつつ、もう片方の手でアスナの手を握りながらキリトは行為の余韻に浸る。そうして、この後に続く己の番への期待感に満ちたアスナの瞳と見つめ合いながら、時を過ごすこと暫し。
ようやく快楽の波が落ち着き、シリカが正気を取り戻したのを見計らい、キリトは納めたままにしていた逸物をシリカの膣内から引き抜いた。
「んんっ、ゃあっ……♥ あふれ、ちゃ……♥」
愛液と精液にまみれながら姿を現す太い肉槍は、たった一回の射精で萎えようはずもなく、蜜壺を貫く前と同じように天を向いて屹立している。
押し止める栓となっていた太く固い逸物を失ったシリカの股座から、どぷりと音を立てて白濁液が溢れ出し、アスナの下腹部に滑り落ちていく。卵子一つに対し、何十、いや、何万もの精虫が同時に群がっていきそうな程に濃厚な精液を、肌の上で受け止めたアスナが微笑む一方、キリトは脱力したままのシリカの体に手を添えると、そのままアスナの隣へ仰向けに寝かせた。
「あっ、はあ……♥ もう一回、ですか? キリトさん……♥」
「もう十回くらいはするつもりだけど……でも、まずその前に」
未だ力が戻らぬシリカの片膝に手を添え、キリトは彼女の股を左右に開かせる。仰向けの姿勢でベッドに背を預けるシリカの姿は、まるで潰れたカエルのように無様であり、そしてその無様さが尚更扇情的でもあった。
「そろそろ、こっちも出来上がってる頃だと思うからさ。まずはそっちを試してみようか、シリカ」
「たっ、試すって……何をですか……?」
その答えを口にする代わりに、キリトは大きく開かれたままのシリカの股座、その下方部に突き出たもう一つの栓――黒色をしたアナルプラグを指先でぴしりと弾く。プラグを通して薬液――否、既に反応を終えた
シリカの反応を確かめたあと、キリトはシステムコンソールを呼び出し、アナルプラグのアイテムデータに手を加え始めた。
「今、シリカの体の中にあるジュエル全部と、このプラグを繋いで一本にしたんだ。
これをさ……一気に引っこ抜いてみたら、面白いと思わないか?」
「お、お腹の中のを……一気に……?」
「ああ。たっぷり入れたから、かなりの数が出来てるはずだ。それを一つ残らず、思いっきり引っ張り出してやるよ」
「はひっ……♥ キリトさん……あ、あたし、その……イッたばっかりで……♥
まっ、まだ体中、びっ敏感になってて……♥」
「ああ。わかってる」
「そ、そんな時に、そんなことされたら……あたし、あたし……♥ きっと、からだ、こわれちゃいます……♥
おっおっお尻で気持ちよくなっちゃう、変態さんなんだって、頭に刻み込まれちゃいます……♥」
脚を開いたまま抵抗する素振りも見せず、期待と興奮に染まりきった雌の表情を浮かべるシリカの様子を見れば、その躊躇いが口だけであることは容易に察せられる。もちろん、それを察したのはアスナも同様だ。ぬいぐるみを抱きしめる姫君のようにシリカの体を抱き寄せ、ベッドの上から動かないよう固定したあと、アスナは小さな頷きをキリトへと送った。
「悪いな。もう時間切れだし――それに、とっくに手遅れだよ。シリカは」
そういって、キリトはアナルプラグの先端部分を二本の指で挟み込むようにして握り――水平方向へ一切の容赦なく振り抜いた。
そのモーションをソードスキル《ホリゾンタル》と認識したシステムが自動的にライトエフェクトを展開。数珠状に何十個も連なった、ゴルフボールより一回り大きな
「ぴっ、いっ――んぅ゛っ゛――ぴぁあああ゛あ゛あぁぁ゛あ゛ああああ゛♥♥♥♥♥」
肛門から腸内を通り、体の中身を全て引きずり出されていくかのような暴力的にして圧倒的な快感が、シリカの脊髄を駆け抜け、脳の快楽中枢を蹂躙する。横にいるアスナの抑えがあるおかげで、振り抜きの力でシリカの身体がずれる事もない。故に、シリカ自身が体内で作り出した
現実世界でも体感する、排泄時の快感。それによく似た――されど性的欲求のみを追求した、仮想空間だからこそ味わえる非現実的な悦楽。ただでさえ強烈なその感覚に耐えるには、愛しい男に抱かれて深い絶頂を味わったばかりの身体は、あまりに非力で、そして無力だった。
「あ゛っ――あひぁ゛っ――――――――♥♥♥」
ライトエフェクトが収まり、引き抜かれた勢いを失ったジュエルが部屋の床へと落ちる。ぽっかりと口を開けたアナルは、大量のローションを溢れ出させながらひくひくと蠢き、大きなジュエルを強制排出させられた衝撃に酔い痴れる。
そのジュエルの色が、インペリアルトパーズを思わせるシャンパンイエローカラーだと分かる頃には、シリカは身体をびくびくと痙攣させながら、幸せの内に意識を手放していた。
かつて一人の英雄が、子供を喰らう牛頭の怪物を倒さんがため、何人たりとも脱出できぬと謳われた迷宮に挑んだ。そんな英雄に恋をした王女は、彼の無事を願い、迷宮を脱する際の道標となる糸玉を手渡した。そして迷宮の奥底で怪物を打ち破った英雄は、その糸を辿り、見事帰還を果たしたという。
俗に言う、《アリアドネの糸》。まだ幼子の頃、その話を本で読んだアスナは、英雄の冒険譚と王女の愛に胸を躍らせ――それと同時に、こんな疑問も抱いた。
『大好きな人がとても危ない場所に行くとわかっているのに、どうしてアリアドネは彼を止めようとしなかったのだろう』――と。
幼い頃に抱いたその疑問に自分なりの答えを見つけられたのは、それから十数年の後――アスナ自身に大好きな人が出来たあとのことだ。
そんな、愛する人の顔を見下ろしながら、アスナはうつ伏せになっていた身体をゆるゆると動かし、ワンストローク分だけ腰を上下させた。
「んんっ……♥」
一番深い部分で繋がっていた逸物が、ほんの少しの間だけアスナの身体を離れ、そしてすぐにまた蜜壺を満たす。その感覚に強い喜びと安らぎを覚えてしまう事実に、自分がどうしようもなく一匹の雌である事を自覚する。
英雄を導く女神。獅子の元に集う雌獅子。邪竜に攫われし姫君。古来より現代に至るまでありふれた存在である彼女達と同じように、アスナもまた、愛と欲望の下、寵愛を得るために後宮に身を置き、そして数多くの同志を迎え入れる道を選んだ者だった。
深い心地よさと共にアスナが視線を下へと向ければ、愛する人の黒い瞳と視線がぶつかった。
「――動こうか? アスナ」
「ううん……♥ もうちょっとだけ、このままでも……いい?」
「ああ、わかった」
仰向けの姿勢でベッドに身を預け、アスナの敷布団あるいは抱き枕状態になったまま笑うキリトに、アスナもまた微笑みを返す。
何時間か前の宣言通り、アスナとシリカを相手に十回、更にはおまけでもう何回かの行為をキリトが終えたあと。お互いの身体を休める目的も兼ねて、アスナは繋がったままでゆったりとした時間を過ごす性行為――いわゆるポリネシアン・セックスじみた交わりに耽っていた。
どちらかが我慢できなくなって腰を動かす度、相手が本格的な行為の再開を提示するが、この穏やかな時間が終わるのがもったいなくてついつい首を横に振る――そんな事をもう5度は繰り返しているが、これが意外と愉しい。
シャンパンイエローカラーのジュエルを再び腸内に押し込まれ、そしてその全てを自力で産卵することに成功したばかりのシリカがなんともいえぬ幸せそうな顔で脱力している様子を横目に、アスナは愛する人と己自身の全てが融け合うような性愛、その片鱗をまったりと味わっていた。
「……あっ♥ 今、中でびくってした」
「そんなことまでわかるのか……」
「もちろん。キリトくんのおち●ぽの大きさも、硬さも……たっぷり出してくれた、重たい精液の感触も、ぜーんぶ♥」
胎の内に溜まった大量の精子達が、アスナという雌の卵に向けて我先に襲いかかる光景を想像して頬を緩ませながら、アスナは蕩けた声音で囁く。
「私も、シリカちゃんも、もちろん他の皆も……もうとっくの昔に、キリトくん無しじゃ生きていけない女の子にされちゃってるんだからね。
そこら辺をちゃんと考えておくように。『君子危うきに近寄らず』、だよ?」
「はい。肝に銘じます……」
近寄るどころか、薄紙一枚分の厚さより尚近くまで絶体絶命の窮地に肉薄し続けてきた事を思い出したのか、キリトは頬を引きつらせたままなんとも言えぬ表情で首を縦に振る。『避けて通るは君子の教え、受けて立つのが
とはいえ、その首肯がその場しのぎの嘘などという事は無いのだろうが――それでも、アスナは確信する。
たとえ、これまで幾度となく傷ついてきたのだとしても。たとえ、誰も傷つかぬ優しい世界という避難場所へ逃げ込むことができるのだとしても。
彼の目の前に、理不尽な悪意に晒される誰かがいるのならば。その背後に、守るべき誰かを庇っているのならば。きっと、彼は立ち上がる。両刃の剣を手に、自らが傷つくことすらも厭わず立ち上がれてしまうのだと。
「でもね、キリトくん。もし、もしもだよ……。今までみたいに、どうしても危ないことに首を突っ込まなきゃいけなくなっちゃう時が来たら……。
その時は……
「『無茶しないでね』じゃないのか? そこは」
「だって、いっつも無茶するじゃない。キリトくんは。そんな人に『無茶するな』なんて、それこそ無茶な話だと思わない?」
痛いところを突かれたと言わんばかりの顔で、キリトは言葉を詰まらせた。
きっと、迷宮に挑む英雄を見送ったアリアドネも、アスナと同じような気持ちだったのだろう。苦難が待ち受けていると知りながら、それでもこの人は前へと進む。それを止めることは、きっと誰にも出来ない。ならばせめて、微力でも彼の助けとなろう――そんな想いと共に、彼が帰る場所への道標を預けたのだろうと。
ただ一つ、アリアドネとアスナに明確な違いがあるとすれば――。
「キリトくんが誰かのために戦って、傷ついたら……その時は私が――ううん、私達がキリトくんを助けに行くから。現実世界でも、仮想世界でも、どこへだって駆けつけてあげるんだからね」
「でも、アスナ……俺は……」
「わかってるよ。キリトくんが、私達に傷ついてほしくないって思ってることくらい。
でもね、それと同じくらい、私達だってキリトくんに傷ついてほしくないし、苦しんでほしくないんだよ。
そうだよねー、シリカちゃん?」
不意にアスナに水を向けられたシリカは、キリトの隣に寝転んだままコクコクと頷く。
キリトとアスナが休憩している間に正気を取り戻していたらしく、シリカの瞳にははっきりとした意識の光が見て取れる。とはいえ、下半身は男女の体液で汚れたままではあるが。
「あたしも、キリトさんがピンチの時は必ず助けに行きますから! その、アスナさんほど上手くはできないかもですけど……全力で頑張りますから!
だから、どーんと頼りにしてもらっていいんですよ!」
ぐっ、と可愛らしいガッツポーズをきめながら力強く宣言するシリカの様子に、さしものキリトも破顔し、そして改めて首を縦に振った。
「――わかった。じゃあ、また俺が何かに巻き込まれたら……その時は頼りにさせてもらうよ。アスナ、シリカ」
「うんっ」
「はいっ!」
英雄が戦場に赴く時、剣を手にその側で共に戦える者。プライドの王を弑逆せんと企む身の程知らずなオスが現れた時、容赦なく牙を剥ける雌獅子。邪竜を討たんとする愚者が表れた時、その前に立ちはだかれるだけの気概を秘めた姫君。
その有り様こそ、アスナ、そしてシリカを含め、キリトの閨に侍る権利を持つ乙女達全員に共通しているもの。キリトにただ守られるだけでなく、キリトをただ守るだけでもなく、共に苦難に立ち向かうという強い意思で繋がれた、鋭く靭やかな剣の群れ。
還る者無き迷宮を舞台にした神話の最後、アリアドネと英雄は別離の運命を迎えてしまう。その正確な理由は分かっていないが――たとえそれがどんな理由であったとしても、麗しき剣の乙女達とキリトが離れ離れになることは決して無い。
たとえそこが天空の鋼鉄城を繋ぐ昏き迷宮でも、銃火響く争いの荒野でも、もう一つの現実世界でも、彼と彼女らが隔てられることは無いのだから。
(大好きだよ、キリトくん。ずっと一緒にいようね……)
ぞくりと疼く下半身から伝わる興奮した怒張の感覚に、激しい行為の再開を予感しながら。キリトの左頬へ、アスナはそっと口づけを落とした。