※この作品はR-18です。

赤い龍と龍の巫女   作:ローランシア

1 / 36
旧校舎のディアボロス
00 赤い龍と白い龍


竜と人と精霊。天使と堕天使と悪魔が共存とまではいかずともそれなりに譲り合いながら過ごしていた時代があった

 

幻想的な雰囲気の森

その森の奥地に美しい湖があった

その湖には一匹の龍と美しい娘が幸せに暮らしていた

 

「まったく……。ねぇ?ドライグ。どうしてあなたはいつもいつもケガをして帰ってくるのかしら?」

嘆息しながら妻が傷の手当てをしてくれていた

 

≪俺が悪いのではない!アルビオンの奴が絡んでくるのだ!≫

 

「相手にしなければいいでしょう?こんなに傷ついて……、自慢の鱗が台無しよ?」

 

≪ドラゴンが決闘を申し込まれたのだぞ!?逃げるわけにはいかぬ!≫

 

「アルビオンはあなたの親友でしょう?どうしてこんなに仲が悪くなってしまったのかしら……」

 

≪そ、それはお前が―――≫

 

ガサッ

 

――――――!?

傷のせいか周囲への警戒が甘かったようだ

何者かの気配を感じ取る

 

「いたぞ!赤い竜と竜の巫女だ!」

 

そこには人間の男が歓喜の表情で声を上げ仲間を呼ぶ姿があった

その声で集まる野党たち

天使 堕天使 悪魔 人間――――――

 

殺せ――――――誰かがそう叫んだ

 

 

           

 

 

 

夕暮れの駅前、家路を急ぐ人達が行きかう路上

 

「私あなたの事が好きなの、私と付き合ってください」

 

今日初めて出会った女の子からの告白で俺の日常は崩れ去る

 

 

朝起きて、学校へ行き、授業を受け友達とくだらない話で盛り上がる。一日が過ぎ家路につく

そんな何でもない平穏無事な日常が終わりを告げた

 

 

キーンコーンカーンコーン

一時限目終業のチャイムが鳴り、教室内が騒がしくなる

となりの席のクラスメイトと放課後の予定について話始める者

そんな喧噪の中一人机に突っ伏し、脱力していた

昨日一睡もできなかったために体調が優れない

 

「イッセー!何死んでんだよ!今日帰りにゲーセン寄っていくんだろ?」

「ハハハ!イッセーは今日のテストの結果が嫌で脱力してるんだよ」

悪友の元浜と松田がうるさく話しかけてくるが返す気力もない

 

「そうだイッセー!明後日の日曜朝から気晴らしにカラオケいこうぜ!」

「……悪い。俺、日曜デートだわ」

「何いいいいいいっ!?デートって、おい!?マジか!?嘘だろ!?」

元浜が叫びを聞いて教室内に残っていたクラスメイト達が全員俺たちへ視線を向ける

 

「兵藤に彼女が!?嘘だろ!?」

「ありえない!一体どんな魔法を使ったのよ!?」

気が付けば俺たちの周りに教室中の生徒が大集合していた

 

「おい……そんなに驚く事か?」

「そりゃあ、俺達エロ三人組の一人だからな……」

 

我ながら自分の周りからの評価が悪すぎて内心笑えてくる

 

 

≪今代の宿主はハズレか。身体能力も魔力も……戦いの才能がまるでないな≫

 

「っ!?」

 

なんだ!今の声!?

自分の頭の中に響く重苦しい男の声がする

俺は周りを見渡すが何も変わったところはない

 

「気のせい、か……?空耳?」

昨日一睡もしてないせいか疲れているのだろうと思い気にせず過ごした

 

 

 

 

日曜日 朝10時 公園の噴水前

 

「おまたせー!」

 

約束の時間通りに俺の彼女天野夕麻が姿を見せる

 

やっぱりかわいいなぁ 

などと内心デレデレしているとまたあの声が聞こえてくる

 

≪おい、相棒……≫

「っ!?」

 

俺は驚きあたりを見渡す、が誰もいない

あたりには夕麻ちゃんしか見当たらない

 

≪おい、聞こえているのなら返事をしろ≫

「だ、誰だっ!?」

「……?」

 

夕麻ちゃんが怪訝そうな顔で顔をかしげる

そりゃそうだ、いきなりわけわからん事を叫びだす変な奴と思われているに違いない

 

≪ああ、俺はお前の心に直接話かけている、心で思うだけで話す事ができる、声に出さなくてもいいぞ≫

「っ!?」

 

冷たい汗が背中を伝う

ありえない、あり得るか!こんな事!

アニメや漫画じゃあるまいし、こんな事があるはずがないとかぶりを振る

 

≪信じられないといった様子だな、まぁ、それも仕方なかろう≫

お前っ!一体何なんだよっ?何者なんだよっ

 

辺りを見渡し怪しい奴がいないか探す

 

≪ククク、俺は何度も名乗っていたのだがな?今代の宿主は俺を感じる事すらできない程の無能だったか≫

なんだと!?いきなりずいぶん失礼だな!おい!

 

≪宿主が早々に殺されてもかなわんからな、教えておいてやる≫

教える、だって?何をだよ

 

≪今お前の目の前にいる女は堕天使だ、気を付ける事だな相棒≫

堕天使……?

俺の彼女に何を言ってやがるこの電波!

 

≪で、電波……?≫

 

そーだよ!いきなり話かけて来たと思ったらわけわかんねー事ぬかしやがって!何が堕天使だ!

悪いがうちは仏教系だ!そういうわけわかんねえもんが来るなら女の鬼とか雪女とか、とにかく日本式のだろ!

 

≪い、いや、宗教とかそういうの関係ないから……≫

 

「あの……、兵藤君?」

「あっ!?ご、ごめんね!夕麻ちゃん!見とれちゃって!ハハハ!」

 

見ろ!お前のせいで夕麻ちゃん不安がってるだろ!どうすんだよこれ!?

 

≪えっ、あ……、スミマセン……≫

 

とりあえず、このわけのわからない電波はほっといて、今は夕麻ちゃんとのデートを楽しもう

 

                 

 

一日遊びまわり帰り際

夕暮れに染まる公園、夕日に照らされキラキラと輝く噴水の前に俺たちはいた

 

「兵藤君、今日はありがとう、最後にお願いがあるの」

「うん、俺も楽しかった!また遊ぼうね!それでお願いって?」

 

―――――死んでくれないかな?

 

 

「えっ……?」

夕麻ちゃんから発せられた言葉の意味が分からず一瞬動揺する

その次の瞬間俺の体に黄色い光が突き刺さっていた

 

「えっ?あ、なん……何?これ……っ!カハッ!」

口から血の塊を吐き出し、全身がガクガクと震え出す

全身を強烈に寒気に襲われながらその場に崩れ落ちる

 

何が起こったのかわからず混乱する

 

痛い痛い痛い痛い!なんだこれ!?

その場に倒れこみのたうちまわる俺

 

「あれぇ。即死じゃないんだ?意外としぶといね兵藤君」

「夕麻ちゃ……?!なんで……!どういう……!」

「もう死ぬだろうから教えてあげるけど、あなたには神器が宿っているの」

「せ……セイ……?なんだって……あぐっ……!」

 

ぜいぜいと呼吸が荒くなってくる、体の感覚もマヒしてきたようだ

ああ、これは本格的にやばい

 

≪だから気をつけろと言ったのだ、マヌケめ。あの女は堕天使―――――お前の敵だ≫

また出てきたのかよ、この電波!

 

≪俺は電波などという名前ではない、ドライグだ、誇り高き二天竜が一翼―――――赤龍帝ドライグだ≫

ああ、そうかよ、電波じゃなくてドライグな!だが残念だけど俺はもうじき死ぬぜ?

せっかく名前教えてもらって悪いが速攻でお別れみたいだ、もう目も霞んできてるし、体も思うように動かねえ

 

≪ククク、何を言っている?赤龍帝を宿した宿主がこの程度の雑魚に殺されたのでは笑い話にもならん、お前には生きてもらうぞ≫

状況理解してねえのかよ?今にも意識飛びそうなのを必死で堪えてるんだぞ!

 

クソッ!いよいよか!目が暗くなってきた……!

俺はまだ何もしてない!何もしてないじゃねえか!俺が死ぬ!?死にたくない!死にたくねえよっ……

なんで俺がこんな目に!?畜生畜生畜生っ!!こんなの理不尽すぎるだろ!

 

俺はまだ何もしていない……!

父さんがずっと欲しがってた高い釣り竿だって俺が働き出したら給料で買ってやるつもりだったんだ!

母さんが腰が痛いって言って欲しがってたマッサージマシンだって、母さんが使ってるミシンだって新しいのを買ってやるつもりだったんだ!

父さんと母さんがずっと行きたがってた熱海の温泉旅行にだって行かせてあげてないんだぞ!

松田や元浜ともっと馬鹿やって過ごしたかったんだ!

 

俺がずっと憧れてたリアス先輩とだって一度も話した事ないんだぞ!

 

こんなの、嫌だ!こんな中途半端で終わるのかよ!

 

ふざけるな……!なんだよ、これ!こんなの理不尽にも程があるだろ!

くそっ!力があれば……

俺に力があれば……!

 

―――――力が欲しい

――――――――――この理不尽を打ち砕ける力が―――――

 

突然俺の体が強烈な紅い光を発しだす

 

「っ!?何!?この力は……まるで……!」

 

≪ふん、こんな雑魚に宿主が殺されてはかなわん≫

 

「冗談じゃないわ!」

 

堕天使の足元に魔法陣が出現し堕天使の姿が消える

 

≪逃げおったか。腰抜けめ≫

薄れゆく意識の中ドライグの残念そうな声だけが聞こえてくる

 

噴水の近くに別の魔法陣が出現する

≪……この気配は悪魔か≫

 

魔法陣から人が出現する

紅い髪、紅い髪の少女が俺のほうへ近づいて言う

何を言っているかよく聞こえない

「――――――――――」

 

その声を最後に意識が途切れる

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。