※この作品はR-18です。

赤い龍と龍の巫女   作:ローランシア

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013 アーシアとデート

夜 兵藤家

 

夕食後リビングでテレビを見て一休みした後、日課の修行を終え、風呂に入るのが最近の俺の一日の流れだ

夜は21時から22時までが修行の時間だ

 

「ふぃー、さっぱりした……」

やっぱ修行の後は風呂だよな!

風呂から上がり風呂上がりの麦茶を飲んで一息入れ

 

自室にもどるとアーシアがすでにスタンバっていた……

 

「アーシア、もう寝る準備できたか?」

「はいっ、いつでも大丈夫ですっ」

「じゃあ、その前に……学校で約束したのしよっか」

「はいっ。おねがいしますっ、イッセーさんっ」

 

ベッドに腰かけ二人並んで座る

「アーシア……」

アーシアを抱き寄せギュっと抱きしめる

「あっ……」

「アーシア……?学校はどうだ?みんなと友達になれたか?」

「はいっ、みなさんとても仲良くしてくださいますよっ」

「そうか、よかった……。もし学校で何か嫌な事されたらすぐ言うんだぞ?俺が絶対なんとかするから……」

「はいっ。嫌な事でないんですけど……。今日1時間目の休み時間に他のクラスの方からお手紙をいただいて困ってしまいました……」

「何?男子?女子?」

「男性の方でしたよ。お手紙読んだら「一目惚れしました、俺と付き合ってください」って書いてありました」

「あらら、早速ラブレターもらったか。それでどうしたんだ?その後……」

 

さすがアーシアだ、モテるなぁ

 

「次の休み時間にその方の教室行って教室にいる人に呼んでもらって「私は兵藤一誠さんのお嫁さんになるのでお付き合いできません。ごめんなさい」とお断りしてきました」

「そういえば今日2時限目の休み時間どこか行ってたな」

 

……返事は公開処刑だった、そいつ災難だな……。これからクラスの噂の的決定だな

まぁ、そういう断り方をしたのなら今後ちょっかいかけてくるのも減るだろうし結果的にはよかったのかもしれない

 

 

「……イッセーさん以外の男の人怖いです……」

「そうか、そうだよな……。大丈夫だ、アーシアには俺がついてる。これからそういう困った事あったら俺に言うんだぞ?俺が何とかするから」

「はいっ!」

「……これからさ?寝る前にこうやって二人の時間作ろうか、それでその日あった事とか明日したい事とか話そう」

「はいっ!凄くうれしいですっ!イッセーさんと毎日二人でお話しできるなんて……!」

「こんな、こんな夢みたいな日々が私に与えられるなんて……」

 

ぎゅっと抱きしめる力を強めるアーシア

 

「イッセーさんは、さっき学校で「そんなにすごい事したつもりはない」って言ってましたけど……してるんですよ?すごい事……」

「……アーシア?」

「私は……、赤ん坊の頃教会に捨てられ、教会の属する孤児院で育てられました……。それから私は教会のシスターとして育てられました。私が10歳の頃神器に目覚め人の傷を癒す力を持っているとわかると、周囲から崇められ、教会の役に立つようにと教えられました……」

「でも、ある日、ケガをした悪魔の方に出会い、その傷を癒せる力で悪魔の方を治しました。それが教会の人に見られて、悪魔をも治す私は「魔女」と呼ばれるようになりました……。そのあとすぐ追い出されるように教会を後にしました」

「……私を育ててくださっていた教会の孤児院の方からこの街の教会へ行くように言われて、途方に暮れていました、おそらくこの町の教会管理者に売られたんだと思います……」

「家族もなく頼る友人もなく、ただ一人でこの街へ来て、言葉も全然通じなくて、外国人のせいか変に目立って白い目で見られて……これは神様が私に試練をお与えになられたのだと思ってました……」

「そんな時です、イッセーさんと出会ったのは、よその国の私に親切にしてくださって、友達になろうと言ってくださいました……。

 私があの時どんなに救われたか……、「こんな私に友達になろう」って言ってもらえてすごく嬉しかったです」

「私があの堕天使の方に神器を奪われて体からどんどん力が無くなっていくのを感じました、もうだめだと、目を閉じかけた時イッセーさんが助けに来てくれました……」

「……俺は、あの時……」

結局何もできなかった……!俺は何もできなかったじゃないか、アーシア……

 

「あの時私にはイッセーさんが、子供の頃読んだ絵本の神様が助けに来てくれたんだと思いました……、その神様は死ぬ間際の私に優しく語り掛け私の為に泣いてくださいました……」

「私がそれまで信じてきた神様は信じても、祈っても何も叶えてくださいませんでした。でも今私の目の前にいる神様は私のしてほしいことを次々と叶えてくださいます」

「その時思ったんです、「ああ、生まれ変わってもう一度生きられるのなら、この人と一緒に生きていけたらどんなに幸せだろう」ってそんな事を考えていたら目の前が暗くなって行きました」

「私が死ぬ間際最後に願ったのは、もしもう一度生があるなら「イッセーさんと一緒に学校でお勉強したり、お買い物したり、一緒に暮らしたいってそんな夢です……」

「死ぬ間際最後に見たのはイッセーさんでよかった……そして、目が覚めた時やっぱりそこにはイッセーさんがいてくれて……、私は奇跡だと感じたんです」

「そして、昨日、イッセーさんの家族になれて、私がどんなに嬉しかったか……」

「私、今願いが叶って凄く幸せなんです……。ずっと一人ぼっちだった私に、家族になろうといってくださいました。

 これから毎日イッセーさんと一緒に過ごせるんだって思うとすごく嬉しいんです、幸せなんです」

 

あの教会での事を思い出し、胸が張り裂けそうになる

俺のせいで……アーシアは死んだのだと……再認識してしまう

泣きそうになるのを何とか堪えながら返事を返す

 

「……アーシア?もうアーシアは一人じゃない、アーシアはもう寂しい想いしなくていいんだ。

 アーシアがいる、俺がいる、父さんがいる、母さんがいる。家族四人だ。これからはそれが「兵藤家」だ。これからは家族四人で生きて行こうアーシア……!」

「はいっ!はいっ……!イッセーさんっ大好きですっ!うっ……うぇぇぇぇぇぇっっ!!」

アーシアが泣きながら胸にしがみつき甘えてくる、アーシアが泣き止むまで頭をなでて落ち着かせる

 

「イッセーさんは不思議です……、私のしてほしい事や言ってほしい事を当てて、どんどん叶えてくれるんです。本当に神様みたい……」

「アーシアが望む事は俺が全部叶えてやるさ……、アーシアが言ってほしい事は全部俺が言うよ……」

「私は悪魔に転生して、良かったと思ってます、後悔もしてません。悪魔になり主の教えに触れることができなくなりました。けれど今は主とは違う信仰を持てました……」

「違う。信仰……?」

「はいっ!私はイッセーさんの信者になりますっ!私はイッセーさんを信じて生きていきたいですっ!イッセーさん、私の主になってくださいますか……?」

「ああ!……好きなだけ信じてくれ!俺はそれに答えられるように頑張るよ!」

 

アーシアが望むなら俺は何にだってなってやるさ……!

 

「イッセーさんっ、大好きですっ……愛してますっ」

 

アーシアが俺の胸にぐりぐりと顔をうずめ甘えてくる

 

「ただ……、聖書の音読とか神に祈ったりはなしな?ほら悪魔だからダメージがさ……」

「ふふっ、神様へのお祈りって、儀式にとらわれなくてもいいんですよ?」

「えっ?そうなの?」

「信じる心があれば大丈夫なんです。「信仰」とは「主を信じ尊ぶ心のありよう」で「祈り」は「神様へお願い事をする行為」ですから」

「あぁ……。確かに神社とか参拝行ってもみんながみんな手順踏んで祝詞を言うイメージないな……」

「私の信仰はイッセーさんに捧げます。私の幸せは、イッセーさんのそばでイッセーさんの無事を願い、イッセーさんの幸せを願う事です」

「俺の幸せも同じだよ……俺はアーシアに幸せでいてほしいんだ……。俺と一緒に幸せでいてほしいんだ」

「ふふっ!じゃあ私たち願い事同じですねっ……」

「そうだな……!ああ、一緒だ!どこまでも一緒にいよう!アーシア!」

「はいっ!イッセーさんっ……」

「……イッセーさん?今私のしてほしい事わかりますか……?」

「ああ、任せてくれ……」

「アーシア……大好きだ……」

「イッセーさん……大好きですっ、ずっと一緒にいます……」

 

アーシアと向き合い唇を重ねる

 

「んっ……あ……」

「アーシア……」

「イッセーさんとキス……しちゃいましたぁ……」

「しちゃったな……」

 

言いながらアーシアの肩を抱きベッドにゆっくり押し倒す

 

とすっ……

 

「あ……」

 

顔を真っ赤にして、少し顔を背けるアーシア

 

「アーシア……、怖いか?」

 

アーシアの体が少し震えていたので聞いてみる

 

「あ、あの……、怖いと言いますか……。その、緊張してて……」

「そか、じゃあ……」

 

アーシアの体をギュっと抱きしめる

 

「アーシアが落ち着くまでこうしとく……」

「……やっぱりイッセーさんは私のして欲しい事当てるの得意すぎですよぉ……」

「……俺はアーシアがどうしたら幸せになってくれるかいつも考えてるからな……ある程度はわかるさ」

「私……、イッセーさんと出会えて幸せです……」

「俺もだよ……アーシア……」

 

アーシアは絶対に俺が守って行く、絶対に幸せにしなきゃいけない 

そう心に誓いながら抱きしめる

少し時間が経ちアーシアの震えが止まる

 

「イッセーさん?もう大丈夫です……、続きしてもらえますか……?」

「大丈夫か?アーシア……」

「はいっ……」

「……アーシア……」

「イッセーさん……」

 

再び唇を重ね、お互いの感触を確かめ合う

「アーシア……?口あけて……?」

「……はい……んっ……」

アーシアの口に舌をすべりこませアーシアの口の中をくまなく舌で占拠を始める

ゆっくりと慈しむようにアーシアの口の中を自分のものにしていく

 

「んっ………っ……あ、頭……ぼーっとしてきましたぁ……、体がぽかぽかしますぅ……」

「良かった……」

「嬉しいです。部長さんや副部長さんにした事……私にもしてください……」

「……少しでも嫌だったり、怖かったら言うんだぞ?こういうのに遅いも早いも、上も下もないんだから」

「はい……でも、イッセーさんを私も感じたくて……」

「わかった……できるだけ優しくするから……」

「はい……、お願いします……」

「脱がすよ……?いい……?」

「っ……はいっ……」

 

パジャマの上着を脱がし、小さめの乳房が露わになる

「あ、あの……部長さん達みたいにおっぱい大きくないから……恥ずかしいです……」

「そんなの、関係ないよ……、すごく魅力的だよ、アーシア……」

「……嬉しいです……」

「触って、いい……?」

「……はいっ」

 

アーシアの胸に手を添えると、小さいながらもしっかりと胸の柔らかい感触があり、揉みごたえは十分あった

 

「あっ……」

 

甘い声をアーシアが出すのを聞いた後。元シスターだった汚れない体に興奮し再びアーシアの口を舌で慈しむのを再開する

アーシアの口の中を自分の物にしつつ胸を撫で 揉み 乳首を摘まむなどしてアーシアがどうすれば気持ちよくなるのかを探索していく

三人目だが相手によって感じる所もやっぱり違うんだな、などと新しい発見に感動しながら探索は進められていく

 

一通り探索し終わり、唇をアーシアから離す

 

「うぅ……ふへぇ……。もう凄すぎですよぅ、イッセーさん……体が火事みたいに熱いです……」

「どうだったかな……」

 

最初だし、今日はこの辺で終わりのほうがいいな

回数を重ねればアーシアの不安が薄れていくだろうし……。

こういうのは急いでもいい事がない気がする

 

「すごく、幸せな気持ちです……、これ、またしてもらえますか……?」

「もちろん、アーシアが望むなら毎日だってするよ……」

「じゃあ、毎日してほしいです……。きっとすごく幸せな気持ちで毎日過ごせると思います……」

「わかった……毎日しような……?」

アーシアの腰からお腹を撫でさする

「あっ……それぇ……お腹の中がぽかぽかしますぅ……、……もっと欲しくなっちゃう……」

「ん、これ……?これって気持ちいいんだ?」

「はい……またしてほしいです……」

「じゃ……、明日からここも触るよ……」

「はい……えへへ……幸せです……」

「アーシア?そろそろ寝ようか……?」

「はい……。イッセーさん?」

「ん……?」

「ん…………」

アーシアが目を閉じて待っていた

「ああ、おやすみ……アーシア……大好きだよ……」

「私も……イッセーさんが大好きです……。おやすみなさい……」

言いながら「おやすみのキス」を交わす、アーシアが着崩れたパジャマを着なおし

二人でベッドに横になり、アーシアが腕にしがみついてくる

 

「イッセーさん……、イッセーさんっ……」

アーシアが俺の俺に抱きつき、頬やら唇やら胸やらに夢中でキスしながら眠りに落ちていく

「イッセーさん……イッセーさん……イッセーさん……イッセーさん……えへへ……」

 

よかった、凄く幸せそうな寝顔だ

これから、毎日この笑顔でいさせるからな!アーシア!

 

次の日 朝4時

 

朝のトレーニングの時間だ

横で寝ているアーシアを起こさないようにそっとベッドを抜け出し、着替えドライグに声をかける

おーい?ドライグー?おきてるかー

≪ん……?もう朝か……≫

おう、おはよう。今日も朝の修行頼むぜ!

≪うむ……おはようだ相棒。しかし、よく毎日続くな、相棒……。夜も修行していたというのに……≫

……足りないものだらけの俺が修行サボってどうするんだよ。さ、ゲート出してくれ

≪ふっ……今日はもう一段階上の修行に行くぞ!相棒!≫

やったぜ!次の段階か!あ、そうだ、今日からは6時30分に戻ってこれるようにしてくれるか

≪ふむ、なぜだ?≫

アーシアが起きるまでにシャワー浴びないといけないしな

修行後は汗まみれだからアーシアを抱っこできないからさ

≪なるほどな、わかった≫

 

 

6時50分……修行を終え風呂に入り自室に戻る

 

自室にもどるとアーシアはまだ寝ていた

 

「んにゃ……イッセーさん……」

 

こっそりと布団にもぐりこみアーシアを抱きしめる

よし、これでアーシアが目覚めても大丈夫だ

 

アーシアの寝顔をみながら時間が過ぎていく

 

うーん!アーシアは寝顔もかわいいぜ!

 

ジリリリリリリ!!!

 

目覚まし時計が鳴り響く

 

「ん……イッセーさん……?おはようございます……」

おもいっきり寝ぼけ眼で目をこすりながら目を覚ますアーシア

 

「おはよ、アーシア……、目覚まし止めるからな?」

「はい……、えへへ……」

 

いいながらアーシアが抱きついてくる

手を伸ばし目覚まし時計を止め、アーシアの頭を撫でる

どうやら、一日の朝の流れとして今日の時間に起きるくらいがちょうどいいみたいだ

 

「イッセーさん……」

アーシアが目を閉じ待っていた

「おはよう……、アーシア……」

いいながらアーシアに「おはようのキス」をすると、アーシアが満面の笑みで体を起こす

「んっ……ふわぁぁぁ・・・・よく寝られましたぁ……」

言いながらアーシアが伸びをする

 

「よく寝られたみたいだな?」

「はいっ、やっぱりイッセーさんに抱っこして寝るとすごく気持ちが安らいで寝られるみたいですっ」

「ははっ。そりゃよかった。さ、朝の支度しに降りようか?」

「はいっ」

 

二人でリビング一階に降り、顔を洗い歯を磨く。

さっき修行前に済ませたが、それはそれだ。

できるだけアーシアと一緒にしてあげたい

 

アーシアが朝のシャワーに入ってる間、リビングに向かう

「おはよう。父さん、母さん」

「お、おはよう、イッセー。アーシアは風呂か?」

父さんがガサっと新聞を畳み話しかけられる

 

「……うん、寝汗かいたってシャワー浴びてる」

 

本当は夕べ寝る前に俺とアーシアがイチャイチャしてたからだけどな!

体とか胸とか耳とか舐めたし!そんでアーシアとそのまま流れで寝ちゃったし!

 

「そうか」

「おはよう、イッセー」

「おはよ、母さん、今日の朝飯何?」

「ベーコンエッグとトーストと牛乳、サラダよ」

「あ、今日ってパンの日だっけ。そうだ。父さん?今日アーシア連れて買い物行ってくるけど、準備してくれてる?」

「ああ、金なら準備してあるぞ。アーシアの欲しいもの買ってやれ。

 アーシアの部屋に机とかベッドとかも必要だろうし、

 クレジットカードも渡しておくから高いものはカードで買え。金は今日多めに渡しておくからデートしてこい」

「わかった。ありがとう父さん。じゃあ、ベッドとかの大きな買い物はカードでするよ。支払いは一括でいいの?」

「ああ、かまわん。そんな事よりも今日デート頑張れよ?イッセー」

「うん、頑張るよ、帰ってきたら明細渡すね。カード使用の時に店から電話確認来たらよろしく」

「わかってるさ。今日は一日家でゆっくりするつもりだから、安心して行って来い」

「ちゃんと手を繋いでいくのよ?はぐれないように」

「……手と言うか腕組んでると思うよ?」

「まあ、今の子は結構大胆なのね……。でもそれなら安心だわ……」

「今の子は早いよなぁ。俺達の頃なんて、手つなぐだけで三か月かかったよな?母さん」

「やあね?半年よ?お父さんなかなか手を出さないから」

「えっ!?俺たちそんなにかかったっけ?」

「ええ、完全に脈がないと思ってたわ……」

「ハハハ……、そっちもごちそうさま」

 

「夕べ最後の一線寸前までいってました」とかとてもじゃないが言えないな、これは……

 

「……おはようございますっ!イッセーさん!お父さん、お母さんっ!」

「おはよう、アーシア」

「おはよう、アーシア」

「おはようアーシア。さあさ、みんなそろったし、ごはん食べましょ」

「はいっ、お母さん私食事運ぶの手伝いますっ」

「ありがとう、アーシア。……もう、お母さん幸せでどうにかなりそうよ?」

「私も幸せですっ」

「ふふっ、イッセーと今日のデート楽しんできてね?」

「はいっ」

 

リアス達の事いつ切り出そう、今日はアーシアの為に一日使いたいし、明日言うかなぁ

などと考えながら家族で朝食を食べ始めた

 

 

「アーシア?準備いいか?」

 

玄関でまっているとアーシアが部屋から出てきた

携帯と財布と小銭入れ……あるな、大丈夫だ

 

 

「はいっ、お待たせしましたっ」

「おぉ、アーシアは私服もかわいいな!」

春らしい雰囲気の私服のアーシアだ

 

「えへへっ……。照れちゃいますよぅ……」

「じゃ、いこうか」

「行ってきまーす」

「行ってきます!お父さん!お母さん!」

 

俺たちを送るため父さんと母さんが玄関へ出てくる

 

「行ってらっしゃい!車に気を付けてね?イッセー!アーシア!」

「気を付けていくんだぞ?イッセー?アーシア?」

「わかってるよ、父さん。母さん」

「はいっ」

「あ、なんかあったら電話しろよ?イッセー携帯は持ってるな?」

「ああ、ほらこの通り」

「ん。じゃあ、気をつけて行ってこい」

「ああ、行ってきます」

「行ってきますっ」

「「いってらっしゃい」」

 

駅へ向かう道の途中、車道側をさりげなく陣取りながら歩く

 

二人で駅前のショッピングモールへ向かう

アーシアと俺は腕を組んでいてご機嫌の様子だ

 

「わあっ!すごく大きなお店がたくさん!」

「この街で一番大きなショッピングモールだからな。

 鉛筆から家具まで大抵のものは駅前で揃うんだ。一通り買い物終わったら本屋いこうか?

 アーシア友達と一緒に本買いたいって言ってたもんな」

「はいっ、行きたいですっ!イッセーさん覚えててくれたんですねっ!」

言いながらアーシアが抱きついてくる

 

「忘れるわけないって、アーシアとの約束だからな」

「嬉しいですっ」

 

はしゃぐ俺たちに向けられる目は様々だった

 

美少女たるアーシアに抱きつかれる一般人たる容姿の俺

 

アーシアは10人が10人とも「可愛い!」と答えるような容姿なので目立つ目立つ

身内贔屓込みだがアイドルよりも断然可愛いと言える

 

そんな俺とアーシアのミスマッチさを訝しげに見るカップル

羨ましそうな目でアーシアを見る女の子達

アーシアの可愛さに目を奪われている男ども

嫉妬の目を俺に向ける男どもの目

「あらあら、若い人はいいわね」と言わんばかりのおばさんの目

咳払いで「自重しろよ、若造が!」と言わんばかりのおじさんの目

 

そんな様々な人の注目を集めながら俺たちの買い物は始まった

 

最初に入ったのは家具店、手荷物が増える小物や服等の日用品関係は後回しだ

 

「わあっ!すごい!ベッドやクローゼットがたくさんありますっ!」

 

アーシアが物珍しそうに興味をもった商品を物色し始める、すごいはしゃぎようだ

「イッセーさんっイッセーさんっ!あっちのクローゼット見に行きましょうっ!」

「ああ、行こうか」

 

アーシアは俺の腕を組んだままはしゃぎ続ける

 

「基本的に似たような作りだけど細部のデザインやサイズが違うんだな、なんか新鮮だ」

「そうですねっ、たくさん種類があって迷っちゃいますっ!」

 

よかった、買い物を楽しんでくれてそうだ

キャッキャと楽しそうにするアーシアを見てほっとする

 

クローゼットを見終わり候補を決めると、家具に供えつけられた商品札を持ち、次の売り場へ移動する

 

「隣は本棚コーナーだな、アーシア本好きなんだから本棚も必要だよな」

「はいっ、本は大好きですっ」

「じゃあ、本棚もいいのがあるか見に行こう」

「あっ……」

 

突然アーシアが申し訳なさそうな顔をし、表情を曇らせる

 

「ん?どうした?アーシア」

「えっと、あの……、私なんかの為にこんなにたくさんお買い物してもらっていいのかなって……」

「気にしなくていいよ、これからアーシアが俺たちと一緒に暮らすために必要な物なんだから」

「でも……」

 

そういいながら、ちらりと値札の張られたクローゼットや本棚に目を向ける

家具って結構値が張るものだから気が引けたのだろう。

数千から数万単位の値札がずらりと並んでいる、今日かかるであろう合計金額に気が引けるのもわかる気がする

 

「アーシア?俺達は家族だ、遠慮したら父さんや母さんが悲しむぞ?」

「は、はい……。でも」

「気にしなくていいと思うけど……。そうだ、母さんのご飯のお手伝いしてやってよ。

 母さんアーシアがご飯作るの手伝いしてくれるの凄く嬉しそうだしさ……。

 アーシアがお手伝いしてあげたら母さんの負担も減るだろ?」

「はいっ!もちろんお手伝いしますっ」

「それでいいと思うよ」

「……はいっ、もう幸せ過ぎですよぅ……。こんなに幸せでいいのかなって」

「いいんだよ。アーシアはこれからあの家で俺たちと暮らすんだ。

 アーシアは俺の嫁さんだろう?」

「……はいっ!イッセーさん大好きですっ!」

いいながらアーシアが抱きついてくる、店内で恥ずかしいったらないなこりゃ

 

 

「おい……!可愛いな!あの子!」

「お、ホントだ!アイドル並に可愛いな!でも一緒にいる男は普通だな……、

 どういう組み合わせだ?アレ」

「さぁ……。マネージャーとかじゃね?」

「あんだけイチャついいててか?」

「うーん……、だよなぁ。謎だな」

俺はマネージャーかよ!確かにアーシアは可愛いけどさ!

 

「あらあら、いいわね、新婚かしら?」

「え?でも若すぎないか?あの子達高校生くらいに見えるぞ?」

「ほんとねえ、どういったなれそめか気になるわ……」

新婚じゃないけど似たようなものです!

 

「いいなぁ、私もあんな風に彼氏と家具選びたい……」

「こないだの彼氏どうしたのよ?結婚するとか息巻いてたでしょうが」

「あぁ……、アレ?アレはダメだよ。せっかく公務員で区役所の職員なのにさ?

 いきなり「俺、公務員辞めて漫画家目指すわ」とか言い出したし」

「うわぁ、痛いねそれは……」

「ダメでしょ?どう考えても……。しかもアイツ26よ!26!!

 なれるわけないでしょうが!現実見ろっての!」

「……それはダメだわ、ついて行く気になれんわ。あんた正解」

「でしょ。ホント付き合ってらんないわ」

 

世の中の世知辛さを教えてくださってありがとうございます!

俺は地道にリアスと朱乃とアーシアを養っていきます!

 

「……」

 

などと周囲の反応に気を取られていると、

アーシアがあるものにくぎ付けになっている事に気が付く

……?アーシアの視線の先にあるもの……

 

二人用の長枕だった!

しかも枕カバーに真ん中にでかでかとハートマーク描かれてるぞ!

なんて危険物を置いてやがる……この店……!

このアーシアの表情!完全にこの枕で俺と一緒に寝るの想像しちゃってるぞ!コレ!

 

え、これレジにもって行くの?アーシアと一緒に?腕組んだまま?マジで?

エロ本レジに持って行くより難易度高くね!?

「彼女持ちビギナー」の俺にはちょっときついものあるよ!?

そりゃアーシアは大好きだよ!?それは間違いないよ!

その気持ちは決して嘘じゃないし!嫌じゃないけど!

恥ずかしすぎやしませんか!彼女と一緒に二人用枕買うって!

……いや、一人でこれをレジに持っていくよりはずっといいか?そうだな!そう思う事にしよう!

 

ほら、そろそろアーシアが言うぞ?「イッセーさん……?」って上目遣いで……!

 

「イッセーさん……?」

ほらっ!

 

「あの枕欲しいの?アーシア?」

「はいっ!」

 

めっちゃ満面の笑顔で「はいっ!」言われたよ

なら、俺はこう返事するしかないじゃないか

 

「じゃあ、買って帰ろうか」

「はいっ、この枕で一緒に寝るの楽しみですっ」

 

この店は商品札制だからセーフセーフ!

商品はベッドとかと一緒に送ってもらえばいいんだ!

アーシアが欲しいと言ってるんだ!少々恥ずかしいくらいガマンしろ俺!

覚悟を決めろ!

 

俺とアーシアは枕と枕カバーの商品札を自然に(自己評価)

取って次のベッドのコーナーへ向かう

近くにいたのカップル客の男が「マジかよ!?お前勇気あるな!?」

みたいな顔してたけど知らない知らない

 

 

この枕でなんか吹っ切れた気がする、

もうなんでも乗り越えられるだろ、俺たち二人!

 

 

と、思ってた事が俺にもあったよ?

 

次のベッドコーナーでそれは揺らがされる事になる

 

広々としたスペースのベッドコーナーに到着すると、まず最初に目にはいったのはベッド……の上に置かれている「試しに寝てみてください!」の文字

 

「わあっ!いろんなベッドがありますねっ!」

 

アーシアちゃん!?迷う事なくダブルベッドのコーナーに俺の腕を

引っ張って行くのはやめなさいっ!?

今日買いに来たのは君の部屋に置くためのベッドだよ!

 

「……」

 

ん?どうした?ダブルベッドの前に来て突然アーシアが何か考えだした……

 

もう一組カップルが同じベッドを見に来る

「わー!おっきー!ダブルになるだけでだいぶ大きいんだねー!」

「でかいな、これなら二人で寝ても楽勝だな!」

「ねー!これにしようよ!シックな感じでキレイだしさ!これ気に入っちゃった!

 どーん!ほらっ!ひゃー!ふかふかー!んーっ、たまらんっ!肌触りもサイコー」

「えっ……、ちょっと……、高くね……?ほら8万近いし……

 消費税と送料と設置料入れたら……。

 これからの生活考えるとここは抑えるべきだと……」

「もー!これくらい必要だって!なんとかってブランド品らしいから

きっと長持ちするってー!これからの生活に絶対必要だってー!」

「でもさぁ、予算が……」

 

確かに今日の出費は結構な金額になるはず。

俺が働き出したら色々プレゼントでお返しするからね!父さん、母さん!

俺たちが学生のうちはお世話になります!

 

「ど、どうした?アーシア……?」

「いえ……、広いなって……」

「広い?」

「はい。これじゃ二人で寝たらあんまりくっつけないです……。イッセーさんに抱っこして寝たいのに……」

 

「……っ!?それだ……!」

「なぁ!やっぱあっちのシングルサイズのベッドにしようぜ!

 うん!そうしよう!さぁ行こう!すぐ行こう!よし行こう!」

「えっ?えっ?えっ?ちょちょちょ!?どしたのいきなり!?

 ちょ!?押さないでって!?行くからっ!」

「いやあ!寝るときはお前を抱きしめながら寝たいよ!俺!

 うん!さぁ行こう!俺らのベッドは向こうだ!」

 

先ほど来たばかりのもう一組の男が、歩きながら振り返り、

こちらに向かってサムズアップをしていた

 

「イッセーさんのベッドもここで買ったんですか?」

「そうだったと思うよ、だいぶ前だけど……」

「じゃあ、私イッセーさんのベッドと同じのがいいですっ」

「そうか、じゃあ、あっちのシングルのコーナーに行こうか」

「はいっ」

 

シングルベッドのコーナーへ移動する

先ほどのカップルも見て回っていた

 

「シングルベッドでも結構大きいんですね!」

「そうだなぁ、ゆったり寝るなら一人用でもこれくらいの大きさは必要なんじゃない」

「あっ?あそこにあるのイッセーさんのベッドとそっくりですっ」

「あ、ホントだ。俺のベッドのマイナーチェンジバージョンみたいだな」

「ちょっと寝てみますっ」

「うん」

 

コロン……

靴を脱いでアーシアがベッドに横になる

うん、夕べ家で見た光景だ

 

「……………」

「…………?」

 

なにやらアーシアが不思議そうに、若干不満そうに俺を見つめている

何かベッドにおかしいところがあったのかな?

 

「……どうした?アーシア?そのベッドに何かおかしい所でもあったのか?」

「……なぜイッセーさんは一緒に寝てくれないんでしょうか、と思いまして……」

 

……え!?ここで!?お店の中だよ!?イチャイチャするにしても限度があるでしょ!

さっき「もう何でも乗り越えられるだろ!」とか思ったけどハードル高すぎるよ!?

でも!アーシアがそうしたいのなら!できるだけいつも通りに……!動揺すんな!俺!

 

「んじゃ、おじゃましまーす」

 

靴を脱ぎベッドに上がり、アーシアの横に寝る

 

「わぁっ!お家と一緒ですっ!うふふっ」

 

アーシアが家で寝るときのように抱きついてくる

ヤバい!半端なく恥ずかしい!

 

店内を行きかうお客さんたちがちらちらとこちらに目をやりながら通り過ぎて行く

 

「あ、さっきの子たちだ!すごい一緒にベッドで寝てるー、可愛い!」

「いいなー!あの子!」

「あの子たちくらいの年頃ならあんまり恥ずかしさなんてないだろうから羨ましいわ……」

「ふふっ、恥ずかしさなんてないよきっと、見てて微笑ましいもん」

 

いやいやいや!?恥ずかしいですよ!?何言ってるんですか!?

俺今めっちゃ頑張ってますからね!?

 

「うふふっ、このベッドなら私の部屋でもちゅっちゅしながら寝られますねっ!」

 

アーシアちゃん!?それお店の中で言っちゃダメなやつ!ちょっと周り見てみて!?

 

「ちょっ!お部屋でちゅっちゅって言った!?今あの子……!」

「うん、聞いた……。ガチの惚気ダメージ飛んできて心が死にそう今」

「やばい、直視したら心が死にそう……。

 あそこのベッドの上だけラブホのベッドの雰囲気だもん……」

 

「ちょっと、ゆかり?なんで泣いてるの?」

「う、うらやましくなんてないもんっ!うらやましくなんて……!ううっ……」

「ど、どうどう……、落ち着いて……ね?泣かないで?

 あとでハンバーガー奢ってあげるから……」

「ううう……ぐすっ!まよタマバーガーLセット……ぐすっ……」

「はいはい……、奢ってあげるから泣かないの……」

 

「ちゅっちゅってなんだ!言葉の意味を理解しようとすると心がそれを拒否する……!」

「ぐっ!?家具店にこんなギミックがあるなんて予想してねえよ!」

「結構……、ダメージでかいなこれ……」

 

「おい……、今あの子お部屋でちゅっちゅって言ったぞ……!」

「クッソ!あの彼氏殺してぇ……!」

「あの子、かわいいなぁ……。あんな子とちゅっちゅしてぇなぁ……」

 

「なんかすごく安らかに寝てないか?この子……。

 むちゃくちゃ安心しきった寝顔なんだけど……」

 

「……すー……すー……」

 

……え?寝てる……?寝顔……!?

アーシアの方に目を向けてみると……アーシアが俺に抱っこしたまま……、寝てる!?

アーシアちゃん!?お店の展示用ベッドの上だよ!?いつの間に寝ちゃったの!?

≪ソフィアだからな。根性が凄いんだ≫

これ「根性がすごい」で片付けられちゃうの!?いくらなんでも根性が凄すぎるよ!?

 

流石に起こさないとまずい、ほかにも買い物しなきゃいけないからな

人も集まってきてるし!さっさと起きてもらってこの場から離れよう!

俺たちが寝ているベッドには10人くらいの人だかりができていた

 

かなり恥ずかしくなってきたのでアーシアを起こす

 

「……アーシア?ほら、朝だぞー……なんてな、ハハハ……」

言いながらアーシアをゆすって起こす

 

「うにゅっ……?うぅ……イッセーさぁん……えへへぇ……」

寝ぼけながらいつも朝目が覚めた時みたいに抱きついてくる

よし、目が覚めた……

 

「ヤバいくらい可愛いね、この子……」

「か、可愛い……。何この可愛い生き物……」

「はは……、寝ぼけてるのもかわいいな、この子」

「めっちゃほのぼのする……」

「ヤバい、癒される……。この子天使すぎるだろ……」

「この子の笑顔の破壊力ヤバいな……、めっちゃ癒される……。こんな嫁さんが欲しい……」

「ふふっ、彼氏さんがんばってね!」

「うう、本気で羨ましい……。彼氏にこんな風に甘えたい……!」

「俺とあの彼氏の間にどんな差があるんだ、マジで理解できねえ……」

「俺が高校生だった時も、こんなだったらよかったのに……!」

「……他人がこんなに憎いと思った事は初めてだ……!」

 

応援と羨望、嫉妬と憎悪の入り乱れベッド前から俺たちに向けられていた

いつの間にか人が増えていた

 

いやー、見せつけちゃってすみませんホント……

 

目覚めた事により集まっていた周囲の客が散らばりだした時それは起こった

「あ……、イッセーさんだぁ……おはようございます……。ふふっ……、おはようのキスしますねぇ……?……んっ」

寝ぼけたままのアーシアが「おはようのキス」をしてくる

「んっ……」

「えへへぇ、おはようございますっ……。イッセーさんっ」

 

バキィッ!!!

「……っ!!!!」

「……えっ!?ちょ……、ゆかりっ!?スマホ握り潰すほど怒らなくても……!」

 

「あああっ!?おはようのキスって実在したの……?」

「……キスってあんなに自然にするもんだったっけ?」

「うん……めっちゃ自然にしたね、今……」

 

「ひゃー、やるねぇ!あの子!いつもおはようのキスしてるんだね」

「新婚って感じしていいね!素直に羨ましいわ」

 

「ね、ねえ?羨ましすぎて鬼みたいな形相で歯ぎしりして見てるのいるよ……、ほらあっちの人……」

「やだ、怖い……。人ってあんな怖い顔になるものなの……。握りつぶしたスマホからなんか液垂れてて余計怖い……」

 

「俺さ……?今日家に帰って誰もいない部屋を見たら、玄関先で鬱になりそうなんだけど……」

「……俺も今日の夜ベッドで一人で寝るの想像したら怖いよ……」

 

「ヤバい、見るんじゃなかった……。この場から即時撤退すべきだった。心が死にそうだ……」

「もう無理だろ。見ちゃったんだから……、逃げ遅れたんだよ俺たちは……」

 

「ちくしょう……!おはようのキスってなんだよ……!欧米じゃないんだぞ……!」

 

今この子寝ぼけてるからね!?俺らは見世物じゃないからね!?

 

「ほら、アーシア?買い物の続きだ。起きような……?」

「うにゅ……?……はっ……?そうでしたっ!お買い物の途中でしたねっ!寝心地がいいからつい寝ちゃいました」

 

ふう、もうこの先何があっても恥ずかしさなんて乗り越えられるだろ!

なんたって公衆の面前でキスしたんだからな!もう恥ずかしいものなんてねーぞ!俺!

 

「アーシア?寝心地良かったならこのベッドにするか?」

「はいっ、これがいいですっ!イッセーさんっ」

「わかった、じゃあこれにしような……」

 

いいながら、ベッドの商品札を取り、自然にアーシアと腕を組みながら次のコーナーへ移動した

アーシアと腕を組んだ瞬間、俺たちのベッドの周りに出来ていた人だかりから、

半端ない殺気が放たれた気がするがきっと気のせいだ

 

次は、勉強机だ!

 

勉強机のコーナーにいくと多種多様な勉強机が置かれていた

 

「うーん……。勉強机って、どんなのがいいんでしょうね……」

「そうだなぁ、使いやすいのがいいと思うけど……。

 机ってある程度使ってみて使いやすいかどうかなんてわかるものだしなぁ」

「あっ!これとか俺の使ってる机のマイナーチェンジなんだけどさ、

 これとかどう?俺つかってて割と使い易いよ?」

「お家のイッセーさんの机に似てますっ!これがいいですっ」

 

ニコニコ顔で即決だった!

 

「じゃ、これにしようか」

 

言いながら商品札を取る

 

「はいっ、後はー……。何が必要でしょう?」

「後は、そうだな、アーシア本好きなんだし本棚も必要だろ?」

「はいっ、本好きですっ!」

「よし、じゃあ本棚のコーナーへ見に行こうか」

「はいっ」

 

本棚のコーナーに来るといろいろな本棚が並べられていた

 

本棚程どんなのがいいのかわかりにくいものないよな……。

机もわかりにくいけどまだ想像はつく

やっぱベーシックなものが一番か……?

いやいや、アーシアは女の子なんだし

身長が俺より低いわけだから高さとかも考慮しなければいけない

 

お……?最近の本棚ってカラーボックスみたいなのばっかりじゃなくて、変わったのもあるんだな……

足にキャスターがついてて、狭いスペースでも設置できて引き出すことで本棚を収納できるタイプを見つけた

 

ちょっと面白そうだななんて考えていると……

「イッセーさん?どうしたんです?」

「ん?うん、俺も中学生の頃に漫画や小説集めに凝ってた頃があってさ、たくさん持ってたんだよ」

「イッセーさんも本好きなんですねっ、嬉しいですっ」

「ま、まあ小説つってもハードカバーのじゃないけど……」

「本は本ですよう」

「でな?その頃困ってたのが本の収納場所なんだよな、ほら結構本ってかさばるじゃん?」

「……私そういう経験がなくて……。前に住んでた所には本棚ってなかったので……」

アーシアがちょっと困ったみたいな顔で返す

 

……え?経験がない……これって誰でも困る事だと思うけど

「え?経験がない?」と言葉を口に出す寸前で思い当たり言葉を飲み込む

 

……あ……

「私は……、赤ん坊の頃教会に捨てられ、教会の属する孤児院で育てられました……」

昨日の夜のアーシアの言葉を思い出す

 

……馬鹿かよ、俺は……!

 

何を言い出そうとしたんだ今!考え無しすぎるだろ!

 

でも、いくら申し訳なくても謝れない。

先ほどの言葉を気にして俺が謝ったら、きっとアーシアは「俺に謝らせてしまった」と申し訳なく思って謝ってしまう

アーシアは優しい子だ。そういう、子だ

そんな事をアーシアにさせられない、アーシアは何も悪くないのだから。悪いのは無遠慮で考え無しだった俺だ

ここで俺が謝りたいと思う事は単に俺が楽になりたいだけ、自分が謝って赦してもらって気持ちよくなりたいだけの自慰行為だ。

この件に関して俺が出すべきふさわしい言葉は「ごめん」とか「すまん」とかの謝罪の言葉じゃない

だから、謝らない。謝らず、今の失態を背負おう

 

 

無意識に伏せていた顔を上げ一つの想いが俺の中に生まれる

 

アーシア?……これからはそういう経験もたくさんできるからな?俺が一緒にいて色んな体験させるからな?

経験っていい事ばかりじゃないけど、そういうのも全部一緒に経験していこうな……アーシア

 

「……アーシアは、この中だとどれが使い易いと思う?」

 

ヤバい、さっきの事が情けなくてちょっとだけ涙声になってるじゃん、俺……

 

「もぉ……、イッセーさんっ?」

「えっ?」

「さっきの「ほら結構本ってかさばるじゃん?」って聞かれて私が「経験ない」っていったから気にしたでしょう?」

「えっ!?」

「わかりますよぅ、イッセーさんが私に気を使って申し訳ない気持ちになってる事くらい……」

 

ハハハ……、まいったねこりゃ……

俺の嫁さんは俺以上に俺の事理解してるわ

 

「ほらっ?今度はなんでわかったんだろ?って顔してますっ

 私いつもイッセーさんの事見てますからそれくらいわかるんですよ?」

 

ははっ……、こりゃかなわんね。完全にお見通しだったわ

 

「……バレた?」

「イッセーさんっ、いいですか?さっきの事に関してイッセーさんが謝る事なんてないですっ、私も謝りませんっ。

 さっきのはただ話の流れでそうなっただけですっ。それでいいじゃないですか」

「ははっ……。なんか、救われたよ。ありがとう、アーシア」

「ふふっ、どういたしましてっ!」

 

やっぱりアーシアはすげえなあ……

いくら考えても俺には「ごめん」とか「すまん」とか謝罪の言葉しか頭に出てこなかったのに……「ありがとう」なんて言葉に変えちまったよ

≪フッ!ソフィアはいい女だろう?≫

ああ!最高だね!

 

「あっ……?でもぉ……」

「え?」

アーシアが腕を引っ張って耳を傾けさせてくる

 

「今日のおやすみのキスの時……、昨日のよりすごいの期待してますからね……?」

アーシアが小声で耳打ちしてくる

「……っ!」

 

いきなりの不意打ちに顔が赤くなってしまう

 

「ふふっ!本棚どれがいいとおもいます?私のお部屋に」

 

アーシアがててっと小走りで2~3歩走り出し、後ろ手を紡ぎながらクルっと振り返りながら満面の笑みで言う

 

「ははっ……。もうホントアーシア大好きだわ、俺」

「私もですよー?」

「知ってまーす」

「あ、知っちゃってました?」

「もちろん」

「えへへっ……」

「あっ?イッセーさん、これがいいですっ」

「キャスター付きか、なるほど。何個いる?」

「とりあえず一個あれば……」

「わかった」

「アーシアさ?本が好きならさ図書館とか好きかな?」

「えっ?図書館がこの街にあるんですかっ」

「あるよ、国立の図書館だから大きいのが。今度行ってみる?」

「はいっ、行きたいですっ!」

「ああ、じゃあ、今度のデートは図書館デートにしよっか」

「えっ!?嬉しいですっ、すごく楽しみですっ。……あっでも……」

「ん……?どうした……?やっぱ図書館嫌だったか?」

「いえ……、図書館は凄く嬉しいんですけど、イッセーさんが……楽しめるのかなって」

「気にしないでも大丈夫。俺も本は割と好きだから何かしら読んでるだろうし、気にしなくていいよ」

「そうなんですかっ!どんな本読みます?」

「ノンフィクションもフィクションも読むよ。最近読んだのだとお笑い芸人が書いた本で道徳について語ってるやつ」

「私は絵本が主ですね、将来絵本作家になりたくて……」

「絵本かぁ、優しいアーシアにぴったりだ。俺も読んでみようかな、おすすめってある?」

「あっ、じゃあ、この間使い魔の森でお友達になったティアマットさんが登場する絵本とかどうですか?」

「えっ、ティアって絵本にもなってるんだ?」

「はいっ、結構有名な話なんですよ?」

 

店内で立ち話は他のお客にも迷惑になるので、二人で店内の休憩コーナーへ移動し腰掛ける

アーシアが検索している間休憩スペースの自動販売機で二人分の飲み物を買ってくる

 

「タイトルは「赤い龍と龍の巫女」です。……あ、これです」

 

アーシアがスマホで絵本を検索し見せてくれた。

あ、冥界ネットのほうだ

俺たち悪魔は自分が所属する主から悪魔用のスマホを支給されていて

冥界 天界 人間界のネットにそれぞれ接続して情報を検索する事ができる。

ちなみに動力は充電池ではなく魔力だ

 

アーシアが絵本の動画モードを再生し始める……。

動画の再生が始まるとすぐアーシアが腕を組んできた

 

「むかしむかし……、冥界も天界も人間界も今のようにわけられていなかった時代のお話です……」

 

「その時代は龍も天使も堕天使も人間も、今のように喧嘩をせず、それなりに平和に暮らしていました……」

ん……?どっかで聞いたような……

 

「人間達の住むエルトという大きな国がありました。そこにはソフィア姫という美しいお姫様が住んでいました」

 

「ソフィア姫は大変なお転婆で頻繁にお城を抜け出し、お城近くの大きな森まで遊びに行っていました」

……え、ちょっと待って!?ソフィアって!それにエルトって……!

思わずアーシアの顔を見てしまう、アーシアも驚いた表情でこちらに気が付き頷く

 

「ある日、ソフィア姫がいつものようにお城を抜け出し、森で動物達と一緒にお花畑で遊んでいました。

 突然、ソフィア姫と動物達の前に小汚い山賊が現れます」

 

「山賊は言います、「へへへ、お嬢ちゃん?殺されたくなかったら俺の言う事を聞け!

 なあに、ちょっと犬みたいに四つん這いになってもらってパコパコするだけさ!すぐに終わるから安心しろよ」と」

 

「嫌よ?バカじゃないの?あなた?こんな事してるから馬の糞みたいな顔になるのよ!!なぁにが犬みたいによ!

 このスカトロ獣姦強姦早漏野郎!あなた変態の役満じゃない!!そんな変態じゃ生きててもいい事ないわよ!

 そんなので生きていて辛くないの!?!今すぐ死になさい!死んで馬糞にでも転生しなさいよ!!その方が世の中の為よ!!」

 

ソフィア姫はとても勝気な性格で山賊を罵倒しながら逃げました

 

「なっ!?そこまで言わなくてもいいだろぉ!?」

 

「山賊はソフィア姫に口汚く罵倒されちょっと涙目なりながら追いかけました。

 

しかし、山道に慣れた山賊とソフィア姫では追いかけっこは勝負になりません」

 

「ソフィア姫はすぐに疲れてしまい、山賊に追いつかれてしまいます。山賊は怒りに任せお姫様を穢そうと近寄ります」

 

「もうダメだ、自分の体も命もこの男に奪われてしまう」そう諦めようとした時です。二頭の龍がお姫様と山賊の前に舞い降ります」

 

「一頭は巨大な赤い龍、もう一頭はそれなりの大きさの紫色の龍です。

 赤い龍が言います「人間がこんな所で何をしているのだ?」と」

 

へぇ……?

 

紫色の龍に、巨大な、赤い龍……、ねえ……?

……なぁ?ドライグさんや?さっきからわざと黙ってるんだろ?

≪……やめろ、本気で恥ずかしいのだ……。今は俺をそっとしておいてくれ……≫

わかったよ、ドライグ

≪う、うむ……。感謝する。相棒≫

しかし、ソフィアさんの罵倒はエグイな……

≪これはだいぶマイルドだぞ?≫

え!?そうなの?これでマイルドなの!?大分パンチがきいてるよ!?

≪……ソフィアを、一度だけ本気で怒らせた事があるんだ……≫

何したんだよ……。優しいアーシアが本気で怒る所なんて想像できないぞ……。その時はソフィアさんだろうけどさ

≪ソフィアの大事にしていたティーカップセットをアルビオンと喧嘩してて割った……。ソフィアの亡き母上から誕生日にもらった品だったそうだ……≫

……ドライグ達が全面的に悪いな、それ……。俺も気をつけよーっと

≪あの時は本当に怖かった……。決してその赤い龍のようにはなるな相棒……≫

それ、前に言われた覚えがあるかっこいいセリフなはずなんだけど……、今の流れで一気に台無しになったな

 

「山賊はすっかり龍に怯えてしまい逃げようとしました。しかし紫色のドラゴンが立ちふさがり山賊の行く手を遮ります」

 

「人間の娘よ……?この男がお前を穢そうとしたのではないか?あるいは殺そうとしたか……。この人間から醜悪な意識を感じ取れるぞ?」

 

「お姫様は答えます「はい、殺される所でした」と」

 

「その言葉を聞いた赤い龍が吠えます「貴様……!!誇り高きドラゴンの森でよくも狼藉を働こうとしたなぁ!?」

 

……貴様、誇り高きドラゴンの森でよくも狼藉を働こうとしたな…… 

≪相棒ぉ!?頼むから棒読みで読まないでくれ……!!心が死にそうだ!!≫

わかったよ、ごめんって!もう言わないよ。案外繊細なんだよな、ドライグって……

≪本っ当に頼むぞ!?相棒!?≫

大丈夫だって!

 

「赤いドラゴンが激高し、火の玉を吐き出し山賊を焼き尽くします。

 命を救われたソフィア姫は赤いドラゴンに惹かれ、その一件から龍たちと交流を深め始めました。

 赤いドラゴンもソフィア姫に心を許し。じきに一人の女の子と一頭のドラゴンの恋が芽生えます」

 

「しかし、ソフィア姫は人間の国の大国エルトのお姫様です、ドラゴンとの結婚など認められませんでした。

 赤いドラゴンはソフィア姫を攫い、二人は駆け落ち同然で夫婦になります」

 

「しばらく赤い龍とソフィア姫、そしてその周りの龍たちの間に穏やかな日々が訪れます」

 

「赤い龍の傍には常にソフィア姫の姿があり、いつしかソフィア姫は「龍の巫女」と呼ばれるようになっていました。

 ソフィア姫の勝気ながらも、優しい性格はドラゴン達に大変好かれ、ソフィア姫はドラゴン達の間で大人気になっていました」

 

「そして、大国エルトに残された国王の耳に入ります、

 ソフィア姫が赤い龍の元で生きていると……王が大臣達に命じます

 「姫を!娘を!助けてまいれ!」

 大臣たちの中には敵国のスパイが紛れ込んでおり次期王位継承者が

 生きていてもらっては困るという人たちもいました」

 

「そして、大臣達は悪だくみを始めます

「この機会にソフィア姫を殺せば自分の国がこの王都エルトを乗っ取れるかもしれない」

 そう考えた大臣たちはソフィア姫を抹殺しようと考えます」

 

「大臣は身元が判明されるのを恐れ、人間 天使 堕天使 悪魔 様々な種族のならず者たちを集め、野党を装いドラゴンと姫の抹殺へ向かわせました……」

 

「運よくドラゴンと姫の抹殺を命じられた者達が、

ドラゴンと姫の住処を見つけ出した時、

ドラゴンはひどく傷つき疲弊していました……」

 

「それを好機と見た野党一団は、

 赤い龍を殺す寸前まで痛めつけ姫を凌辱し殺しました」

 

「瀕死の状態で生き残った赤い龍は体の傷が癒えるのを待ち、

 王都エルトを滅ぼそうと国へ向かいます」

「そこに赤い龍の親友の白い龍が立ちふさがり赤い龍に告げます

「お前が彼女を守れなかったせいで彼女は死んだのだ」と、

 その直後赤い龍と白い龍の激しい戦いが始まります」

 

「それから七日七晩かけて白い龍と赤い龍の死闘が繰り広げられました。

 赤い龍と白い龍の激闘を知った人間の国の大臣達は驚きます、

 殺したはずの赤い龍が生きている事に……」

 

「紫色の龍「ティアマット」はソフィアの死の噂を聞きつけ、

 赤い龍へ事情を聴きに赴きました。赤い龍は泣きながらティアマットに言います

 「妻が、ソフィアが人間の国の連中に殺された。

 ソフィアを「殺せ」と最初に叫び、ソフィアを殺したのはエルトの国の人間だった」と……」

 

「ソフィアの死を知ったティアマットの心は哀しみに満たされます」

「哀しみに満たされたティアマットは顔を伏せむせび泣きます「どうしてソフィアが殺されなければいけなかったんだ」と……」

 

「そして、ティアマットは激しい怒りに歯を食いしばり、

 哀しみに耐えながらソフィア姫を知る全ドラゴン達に告げます」

 

「私は……!今からソフィアの命を奪った王都エルトへ向かうっ……!!!

 ソフィアを敬う者!ソフィアを愛する者!

 ソフィアに恩がある者!ソフィアを己の宝だと思う者!私に続け……!!!!

 我らの宝を傷つけた者を許すな!!!私達でソフィアの仇を討つのだ!!!

 エルトを滅ぼし尽くすぞ……!!」

 

「紫色の龍「ティアマット」の涙の大号令により、赤 青 黄色 緑 白 黒……

 ありとあらゆる色の龍達の大群が王都エルトを中心に集結しました。

 中には邪龍と呼ばれる乱暴者のドラゴン達の姿もありました。

 皆ソフィア姫を大切に想うドラゴン達です」

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!」

 

「ソフィア姫の死を悼む哀しい咆哮がその場の全ての龍達から上がります」

 

「龍達の大群で覆い隠され夜と見まがう程の真っ暗な空がでした。

 完全に王都エルトは龍達により包囲され逃げ場などありません」

 

「突然のドラゴン達の襲撃になすすべもなく半日程で完全に壊し尽くされ、

 王都エルトと近隣に住まう村や町全ての人が殺し尽くされました。

 王城は真っ先に襲撃され王族以下一族皆殺しにされ、

 城は跡形もなく破壊しつくされました」

 

「龍達の咆哮はソフィア姫を悼む鎮魂歌となり戦場に響き続け、

 龍達に破壊された建物から上がる黒煙と炎はどこまでも天へ昇り、

 ソフィア姫を送る送り火のようにいつまでも燃え続けました」

 

「ソフィア姫が来世では幸せでありますように」

と願いが込められた龍達の咆哮はどこまでも天を昇り、どこまでも響き渡りました」

 

「その日、地図から「王都エルト」の名が消えました」

 

「王都エルトが滅亡して数日経った頃……、

赤い龍と白い龍は疲弊しきった頃を狙われ、

悪魔、堕天使、天使達によって倒されたそうです」

 

「エルトが滅ぼされた日

「ゴッホの森」ではソフィア姫を慕う龍達の手でお墓が作られました」

 

「龍から最も愛されし人間 ソフィア・エルト・ゴッホ ここに眠る」

 と刻まれたお墓が現在も大切に龍達によって守られています……」

 

恐らくソフィアさんのお墓であろう墓石が映し出され動画が終了する

 

「……今久しぶりに読んだんですけど……。これ私の前世の話みたいですね」

「……みたいだな」

「なんだかイッセーさんとすごく運命を感じます……」

「俺もだよ……驚いた」

 

てかこういう話ならもっとムードのあるところで聞きたかったな

家具店の休憩所って……

 

 

アーシアは、俺と一緒に今ここにいるんだって思って欲しかった

その証拠として写真を残したかった

俺の勝手な自己満足に過ぎないけど、そう思って欲しかった

 

「……そうだ、せっかくこうして並んでるんだ。写真撮ろうか?アーシア」

「はいっ」

スマホの機能をホームにもどしカメラ機能を呼び出し、タイマーをセットする

アーシアが顔をよせてきた、撮る準備が整ったらしい

 

カシャッ!

携帯からシャッター音が響きとり終わる

「あとで俺にも今の写真メールで送ってよ」

「はいっ!ふふっ、携帯の待ち受け画面に設定します……」

「…………」

 

ん?さっきからアーシアがちらちらと俺の顔をうかがってくるな……

んー……、これは……何かしてほしい時の素振りだよな……

手がもじもじしてる……

 

……

 

俺はそっとアーシアの手を握りお店の通路へ連れて行く

人影がいないの確認する

 

「アーシア……?これで合ってた……?」

「……はいっ」

「……んっ」

「ん……」

 

アーシアの肩に手を置きながら軽めのキスをする

たぶんさっきの絵本の動画の内容で、ソフィアさんが死んでしまっていた為不安になったんだろう

 

キスし終わるとアーシアが抱きついてくる

 

「大丈夫。アーシアは俺が守るから……」

アーシアを抱きしめながら告げる

 

アーシア?アーシアはここにいるんだ、ここで生きてるんだ

俺もここにいる、俺もアーシアの傍で生きてる

アーシアが安心できるように、それだけを想い抱きしめる

 

「……っ!……はいっ。もう、イッセーさん心読みすぎですよぅ……」

アーシアが涙ぐむ

 

≪アーシアよ……。前世での俺は妻を困らせてばかりのダメな夫だったが、

 今世のお前の夫はいい男だぞ≫

「知ってますっ!知ってますよぉ!そんなの誰よりも知ってますよっ!」

「ほら……?アーシア……」

ハンカチを取り出しアーシアの目元をぬぐってあげる

「んっ……えへへ……」

アーシアをぎゅっと抱きしめる

「……私、幸せです……」

「俺もだよ、アーシア……」

 

アーシアがぐりぐりと顔を俺の胸にうずめながら甘えてくる

 

「……絵本のお話しはあれで終わっちゃったけど、これからあの絵本の続きを、

 俺とアーシアそれにオカ研のみんなで一緒に作って行こう」

 

「……っ!はいっ……!もぉ、イッセーさんはズルいですよぅ……、なんで私の事なんでもわかっちゃうんですかぁ!もう泣きますよっ私っ……うっ……、うぇぇぇっ!」

 

 

 

そうだよ、アーシア……

絵本のお話しはあれで終わってしまったけど、終わったのならまた始めればいいんだ

 

 

 

―――――――これから俺たちで「赤い龍と龍の巫女」の第二章を始めよう

 

 

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