チュン……チュン……
朝
窓から差し掛かる陽光とスズメの鳴き声で俺は目覚める
「……ん……。……っ!?」
ベッドから飛び起きる
「あ。あれ?ここは……俺の部屋……か」
≪目が覚めたか。相棒……≫
っ!ドライグ!?ってことはあれは夢じゃない……?
≪昨日の事か?夢ではないぞ≫
てことは……?あれ?
堕天使から受けた傷がなくなっている……
≪傷ならそこにいる悪魔が治したぞ≫
「ん……」
ごそっベッドの上の布団が動く
見覚えのある紅い髪の美少女がシーツに覆われ半裸状態で寝ている事に気が付く
リアス先輩……裸のリアス先輩が俺の部屋のベッドで俺の横に寝ている!?
どういう事だ?夢か!?いや、俺はあの時死んで……、そうだ俺死んだのか、それで天国……なわけねえな!
じゃあ、何?これ……まさか現実なの?完全に混乱してしまう
「ええええっ!?」
「ん……?あ……おはよう……、はぁ~~~~~っ!ん!目が覚めたのね?昨日はよく寝られたかしら?」
ゆっくりと体を起こし挨拶するリアス先輩
「え……!あっ……!はい、おはようございます……?」
ゆっくりと赤い髪の美少女が伸びをしながら欠伸をする
「ふあぁ~……」
「えっと、あの……、これは一体どういう状況で……?」
「まず自己紹介させてもらうわね?私はリアス・グレモリー。上級悪魔であなたのご主人様よ」
「あっはい。お名前は存じてます。同じ学校なので……。あっ、俺は駒王学園2年の兵藤一誠です!」
急いで姿勢を正し正座して挨拶する,
リアス先輩裸だから目のやり場に困るが、目をみて集中して話そう。
俺はエロいがここまでどうどうとされるとさすがに困る
「ええ、知っているわ、有名ですもの。あなたは」
「あ~……、あはは、そうでしたかぁ……。で……上級……悪魔?それにご主人様って……」
「ええ、その件ね、あなたは昨日堕天使から攻撃をうけて瀕死の状態に陥ったの、すんでのところで私があなたを悪魔として転生させたの」
「ええと、瀕死から転生……ですか?要するに命を救っていただいた、という事ですか?」
「ええ、あなたからすればそういう事になるわね」
「あの、危ない所をありがとうございました!助かりました!!」
……ヤバいヤバいヤバい!どうなってんだコレ!マジかよ、昨日俺はやっぱり殺されかけて、そんでリアス先輩に命救ってもらったのか!完全に命の恩人じゃん!
漫画とかアニメとかでよく見る奴じゃんコレ!まさか自分がそういう状況になるとは……
頭をさげ、繰り返し感謝を告げるが、こんな頭下げただけで返せる恩じゃねえよ……!
わからない事は沢山あるが、差し当たっての疑問を投げかけてみよう!なんか気になる事言ってたし!
「…………」
「あの、どうかしました……?」
「いえ、だいぶ印象が違うのね……」
「は、はぁ……」
「それで……、その、最後のご主人様というのは……?」
「ええ、あなたは転生する際に私の眷属悪魔になったの」
「眷属……、それってあの、吸血鬼とかが血を吸って眷属にするとかっていう、あの眷属ですか」
「私は悪魔だから、血を吸う事はしないけれど、そうね、その認識で合っているわね」
「はぁ、いまいち眷属とか下僕っていうのがどういうものなのか理解できてないんですけど……、部下みたいなものですか?」
「まあ、その認識で間違ってはいないわ」
「そ、そういうものですか」
「ええ、とりあえず今日の放課後に部室へ来てもらおうかしら」
「部室……」
「そうね、今日の放課後あなたのクラスへ使いを出すわ、放課後教室で待っていてもらえるかしら」
「はい、わかりました」
今の俺がこの人へ恩を返せる方法は……
……よし!
「……じゃあ、夕方に教室にいるようにします、今日は学校を休もうと思うので」
「あら?どうして?どこか体調でも悪いかしら?完全に傷はふさがっているはずだけど」
「いえ、今日はしなければいけない事がありまして」
「そう。わかったわ、じゃあ今日の放課後教室で待っていてね」
そういうと、リアス先輩は一瞬にして制服姿へ変わり魔法陣を展開させ消えていった
ドライグ?いるか?
≪どうした?相棒≫
聞きたい事がある
≪なんだ?≫
ドライグは……強いドラゴンなんだろう……?
≪当然だ≫
「頼む!俺に修行をつけてくれ!あんな想いはもうしたくねえ!それに、今のままじゃ俺はあの人に何も恩返しできない……!」
≪ククク!いいのか?死ぬかもしれんぞ?≫
「……そのうちまたあの堕天使が襲ってくるかもしれない。今度は俺だけじゃなく父さんや母さん。リアス先輩を狙うかもしれない」
「……あんな理不尽はもう嫌なんだよ……!!理不尽を打ち砕く力がほしい!!」
≪ククク、その心意気や良し!ならば今から修行を始めるぞ!≫
「おう!で、まずは何をすればいいんだ?筋トレとかか?」
≪相棒の修行専用の特殊な空間を作る、ゲートが開いたら入れ≫
「えっ?」
ズズズズズズズズ……!
部屋の空間が歪み大きな穴が開く
「これは……」
≪さあ、入れ。この中に入っている間は外敵からの攻撃は受けん≫
「わかった!頼むぜドライグ!」
中に入るとだだっ広い荒野が広がっていた
「すげぇ殺風景な所だな……、って、うお!?お、お前……」
巨大な赤い竜が俺を見下ろしていた
≪俺だ、相棒≫
「その声、お前、ドライグか……?」
≪そうだ、俺だ相棒≫
「こんなにでかいドラゴンだったんだなぁ、5階建てのビルよりでかいぞドライグ!!」
≪ククク!!俺を見た感想が「5階建てのビルよりでかい」か!面白い!≫
「実際そうだろ」
≪これまで俺の姿を見た者は恐れおののく者ばかりだったぞ≫
「そうなのか?怖いって感じはしないな、俺は。ドライグは俺の中に宿ってるんだろ?だから怖く感じないのかもよ?」
≪ククク!宿主も恐れる奴はいたがな、この姿と俺の力に……≫
「そうなのか?ならそいつが怖がりだったんだろうよ」
≪ふっ。そうかもな……!ククク!面白い宿主だ……!≫
≪では、修行の説明を始めるぞ、相棒≫
「おう!頼むぜドライグ!」
≪まず、この修行場は、外の時間で1時間がこの修行場では一年になる、思う存分修行できるぞ。≫
≪相棒の精神力と体力を糧にして作った空間だ、つまり相棒が強くなればなるほどこの場所へ滞在できる時間は伸びる≫
「え、それあっという間に寿命尽きて死ぬんじゃないか?俺……」
≪実際の寿命は元の世界の一時間しか減らないから心配は無用だ≫
「そりゃすげえ……」
≪修行場内では睡眠欲も食欲も感じない。修行内時間の24時間365日フルで修行できるぞ、あの女との約束の夕方まで10時間だから、10年修行できるぞ!!≫
「すごいなドライグ!こんなの作れるなんてマジですごいドラゴンだったんだな!」
≪ククク!二天龍だからな!この修行場は俺だけが使える自慢の技だ!では修行を始めるぞ!相棒≫
「おう!」
≪修行開始だが……、まずは基礎体力をつけるところから始める。どんな技を覚えようがそれを扱いきる体力がなければ無意味だからな≫
「おう!わかった!」
≪まずは10倍からの重力で始めるか≫
ズン!
「くおっ!?なんだこれ!?急に体が重く!?」
ただ立っているだけでも汗が出てくる
≪相棒に10倍の重力をかけたのだ、まずはこの負荷で走り込みだ。あそこの岩までが10㎞だ、500往復してみろ、10㎞ごとに休憩を5分与える≫
「500往復で……。1万キロだな!!わかった!」
≪ククク!きついだろう?苦しいだろう?≫
ああ!きついさ!けど、やってやる!
絶対に俺の家族やリアス先輩を守るんだ!
もう二度とあんな想いはしたくねえんだ!
俺は走り始める
≪―――――何も言わず始めるとは、根性はあるようだな≫
「もう、死にたくないからな!」
≪ククク!そうだ!生きるために強くなれ!その心構えが最も強くなる為に必要な物だ!≫
こうして、俺兵藤一誠と赤龍帝ドライグの修行は始まった
≪ペースが落ちているぞ!一定のペースを保って走り切れ!≫
≪たかが20倍の負荷で息を上げるな!実戦で死にたいのか!?≫
≪甘えるな!戦場の敵が待ってくれると思っているのか!?≫
≪考えろ!その瞬間何が最も最善かを!考える事をやめるな!≫
≪腰が入っておらんぞ!?走り込みからやり直しだ!≫
≪これしきの炎など素手で薙ぎ払え!敵の動きをよく見ろ!≫
≪手加減など無用だ!敵は全力をもって殲滅しろ!お前が手加減をして逃がせばそいつはお前の家族を殺すぞ!?≫
≪思い上がるなよ!小僧!?最初からできると思うな!いいか!?貴様は無力な存在だ!才も無く積み上げてもいないのだから出来なくて当たり前だ!出来るまでやり続けろ!成し遂げろ!できるまで積み続けろ!≫
≪お前には戦いの才能が一つも無い!腕力、体力、魔力、技術、魔法力、魔法術式展開技術!、あらゆる必要な才が最低能力値だ!今までの宿主の中でお前は最低だ!悔しいか!?悔しいなら立ち上がれ!悔しいなら立ち向かって来い!≫
≪無ければ積み上げればいい、自分の弱さに屈服するな!積み上げたものが高ければ高い程お前を屈服させるものは少なくなる!≫
≪自分に負けるという事は赤子にも劣るという事だぞ!赤子は乳が欲しければ泣くだろう?
泣き続けるだろう?自分に屈する事無く要求を通すために泣き続ける!赤子ですら戦っておるのだ!≫
≪敵が両腕、両足、頭、どの部位で攻撃してきているのか瞬時に判断して適切な回避をしろ!≫
≪人も悪魔も堕天使も天使も四肢の可動域はみな同じだ!可動域と得物の長さを瞬時に考えろ!≫
≪得物の長さに惑わされるな!懐に飛び込めばいいというものではないぞ!たわけが!≫
≪何者にも成れぬか。何者にも成れるか。成れぬ者と成れる者、その差は積み上げた物の高さだ!高め続けろ!積み上げ続けろ!≫
≪貴様には腕がある手がある脚がある……!それだけで十分立ち向かえる!立ち上がる気迫さえあれば何者にも立ち向かえる!≫
≪勘違いをするなよ?無能と無力とは才能がないという事ではない!何も積み上げなかった者を指す言葉だ!決して才能がある無しを指すのではないぞ!≫
≪お前が死ねばお前の大事な者が死ぬ!親兄弟友人恋人全てだ!立ち上がれ!命ある限り立ち上がれ!命ある限り立ち向かえ!相手が何者であろうとも!死ぬその瞬間まで戦い抜け!あの時のように!≫
≪感情が昂ぶった時だけ強くなってどうする!危機的状況に陥らない強さになれ!また力が足りず泣きたいか!?≫
≪死ぬその時まで戦う意思を捨てるな!「もうダメだ」などという思いは死ぬその瞬間までとっておけ!≫
≪戦いに情けなど無用だ!女子供だろうが武器を持てば人を殺せる!お前やお前の大切な者に矛先を向けた時点でお前の敵だ!殺しつくせ!」
≪戦闘中だ!気絶している暇なぞないぞ!?早く起きないか!お前の大事な者を狙う凶刃が迫っているぞ!?≫
≪集中力を乱すな!魔力を暴発させて消し飛びたいか!?≫
≪瞬時に必要な形に切り替えろ!この間合いなら短刀の方が有利だ!」
≪攻撃を避ける時は目で見るだけでなく気配で感じろ!風を切る音!空気の動き!匂いに至るまで集中して危険を感じ取れ!≫
≪戦場では誰も守ってはくれぬのだぞ!?甘えるな!!!≫
≪耐えてみせよ!防御を崩されるな!崩されれば死ぬぞ!≫
≪攻撃が当たったからと気を抜くな!喜ぶな!愚か者が!そうした油断が死へとつながるのだ!また死にたいか!≫
≪弱った所を相手に見せるなと何度言えばわかる!?相手を調子付かせるだけだぞ!?やられたらこんな傷などなんでもないと気迫で押し返せ!≫
≪力が足りぬなら気迫で負けるな!気持ちで負ければ実力を出し切れず死ぬぞ!?≫
それから修行場内での時間で何日が過ぎただろうか
超が何個もつくスパルタの修行が続けられていた
「これでっ!」
≪なんだ!?その気の抜けた魔弾は!?鼻糞でも飛ばしているのか!≫
「っ!ふざけんな!これでどうだ!?」
残りの体力全てを込めた魔力弾を打ち出す
≪フン!まだこんな力を残しているじゃないか!ふざけているのは貴様だ!≫
ズガァァァァン!!!!
「がっ……!?」
俺打ち出す魔力弾と相棒の魔力弾がぶつかり合い衝突の末消える
あたり一面を衝突の余波で紅く染める
ダンッ!!!!
衝撃に耐えられず吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる
「カ八ッ!……てぇっ……くそ……、はぁっはぁっ……!まだまだ……やれるぜえ!!ゲホッゲホッ……!ペッ!」
口の中の血を吐き出し気合を入れなおす
≪まだ立つか……!……何者だお前は……!≫
「はぁはぁっ……!つっ!?はぁっ!はぁっはぁ……!……すぅ……はーーーーっ……はぁーーーーー……」
「はぁっ…………。はぁ……なんだって……?」
≪お前は……なぜ折れぬのかと思ってな≫
「……今更何言ってんだ?修行しないと強くなれないだろ……。折れてる暇なんてねえな……」
≪……何度も言ったはずだ。お前は戦闘に関する才能が皆無だと。お前は過去最低の能力の宿主だと……
これだけ無能を晒して無様に倒れようが罵声を浴びせられようが……お前は折れない……≫
「ハ……、才能が無い、ね。そんな事は俺が一番わかってんだよ……!それはやらない理由になんねえよ……!!!」
≪ククク!その目だ!這い上がろうとする者の目だ……!!≫
「当たり前だ!俺はあの堕天使から家族とリアス先輩を守るんだ!!二度とあんな理不尽に屈するか!!!≫
≪ククク!これだけ痛めつけられてまだそれだけの気迫を見せるか!実に楽しい宿主だ……!!≫
≪少し休憩にしよう……その間少し昔話を聞かせてやろう≫
≪昔この世界には 天使 悪魔 堕天使 人間 そしてドラゴンが暮らしていた≫
≪それぞれの種は小競り合いこそあったものの、それなりに譲り合いながら平和に暮らしていた≫
≪あるところに一匹の龍と人間の女の夫婦が住んでいた≫
≪その女は気立てがよく、人間ながらに龍にも優しく接していた≫
≪その女の優しさは他の龍にも伝わり他の龍からも好かれていた≫
≪夫の龍はそんな妻が誇りだった、人間と龍……種族は違えどわかりあえるのだとその女から教えられた≫
≪だが、幸せは長くは続かなかった。心ない人間 悪魔 天使 堕天使 の野党に住処を襲われ、蹂躙された≫
≪怒り狂った夫は妻を穢し殺した他の種族へ戦争を挑んだ≫
≪戦争を仕掛けようと街へ向かう途中、赤い龍の前に立ちはだかる白い龍がいた≫
≪白い龍もまた彼女の優しさに触れ心を許していた者の一人だった≫
≪白い龍は言った「お前が彼女を守れなかったせいで彼女は死んだのだ」と≫
≪それから七日七晩かけて白い龍と紅い龍の死闘が繰り広げられた≫
≪赤い龍と白い龍の闘いはすさまじかった、戦いの余波やとばっちりをうけた各種族は二匹の龍を倒そうとした≫
≪二頭の龍の力は互角。続けられる激戦の中、二頭の龍は次第に疲弊していった≫
≪疲弊しきっていた所を天使堕天使悪魔の三つの勢力に狙われ、二匹の龍は神器に封印され龍の魂は転生し神器所有者へ宿るようになった≫
≪……龍も人も生きる物全てに宝を持つ時がやって来る。その宝を守れる力を身につけろ、相棒。決してその赤い龍のようにはなるな≫
「赤い龍って……」
≪この話をした宿主は久方ぶりだ……。さて、十分休んだだろう?修行を再開するぞ!次からは60倍の重力をかけるからな!≫
一つだけわかった、こいつは、このドラゴンはもう失いたくないんだ
自分が大事な物を失ったから、周りにも失う辛さを味わせたくないんだ
この想いに……俺はこの言葉を返そう
「おう!!ガンガンきやがれっ!封印前のドライグより強くなってやるからな!」
これがこの誇り高いドラゴンへ返せる精一杯の返事だ