※この作品はR-18です。

赤い龍と龍の巫女   作:ローランシア

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021 父と娘

ゲーム当日 朝7時50分

グレモリー領、グレモリースタジアム前

 

 

「……ここ?リアス」

「ええ。朱乃?朝の8時に待ち合わせよね?」

「ええ、そのはずよ。……あの、リアス?」

「……わかってるわよ、朱乃のお父様と話をするんでしょう?イッセーは置いて行ってあげるから安心なさいな」

「うふふ……、なんだかんだ言ってリアスは肝心な時には優しいから好きよ?」

「そのかわり……、ちゃんと、よく話してくるのよ?朱乃……」

「……ええ。わかってるわ……」

 

「……」

朱乃の手を、そっと握ると小さく震えていた

 

ああ、やっぱり、そりゃ、不安だよな……

今まで溝があったお父さんとこれから会うんだものな

 

「イッセー君……。うふふ。ありがとう……」

「……大丈夫、俺がついてる」

「……うんっ。ふふっ、今ので震え止まっちゃったわ……。もう、イッセー君心強過ぎよ……」

「はは……、そりゃよかった」

「む~……!イッセーさんっ!私だって不安ですよっ!」

 

がばっとアーシアが腕に飛びついてくる

「おっとと……、わかってるよ、アーシア。アーシアも俺が守るからな?大丈夫だ……」

「はいっ!ふふふっ!」

アーシアの頭をなでながら言うと笑顔になり返事をするアーシア

 

「……朱乃」

 

後ろの方から男性の声が聞こえ全員で振り返るとスーツ姿で髭を生やした体格のいい男性が立っていた

 

「父……様。……お久しぶりです……、父様……」

「……お久しぶりです、バラキエルさん」

「おぉ、グレモリーさん。娘がいつもお世話になっております……」

「いえ、私の方こそ朱乃には助けてもらってばかりです」

「試合まで、少し、時間があるわ。みんな、行くわよ?」

「「「はいっ」」」

「イッセー?あとお願いできるかしら?」

「はい、リアス様」

「……バラキエルさん、私たちは先にスタジアムに入っておきますわ。試合の準備がありますので、これで失礼します……」

 

みんなが空気を読み、最後に全員で一礼してからリアスについて行く

 

「……お気遣い感謝します……。グレモリーさん」

「いえ、……ごゆっくり」

「……はじめまして。リアス・グレモリー様の兵士で──今代の赤龍帝、兵藤一誠です。よろしくお願いします」

「……っ!?赤い龍……!?……朱乃の父の、バラキエルと言う者だ……」

「父様、……ここで立ち話もなんですから、あちらのカフェへ行きましょう」

 

朱乃がスタジアムに隣接されたカフェテラスを指さす

 

「う、うむ……。そうだな、そうしよう……」

 

三人でカフェテラスの席につき向かいあう

俺の横に朱乃が座り、向かい側の席に朱乃のお父さんが据わる

三人で飲み物を注文をし、一息つき話始める

 

「……父様……?あの……」

「……私の事を、また父と呼んでくれるようになるとはな……朱乃、父は嬉しいぞ」

「父様……」

「あ、朱乃?……彼は、その……、なんだ……朱乃とどういう関係の男なんだ……?」

 

っ! 

ど直球で本題をぶつけてきたか

 

「彼は、私の将来の旦那様ですわ……。うふふ……」

「何ぃ……!!!!!!!!!?しょうらいの……だ……ん……なさまぁ……~~っ!?」

「はい。朱乃さんと結婚を前提にお付き合いさせていただいております」

「君は……?あれか……?もう、朱乃と……その……せ……せ…………せっ!」

 

せ……?せ……なんだろう?

あ、「セ」ックスのことかな!?やだな!朝っぱらから何言い出す気だこの人!

やっぱり、一線超える前にご挨拶しといてよかったか!

 

「せ……接吻は……したの……かね……?」

 

顔を真っ赤にしながら、必死に声を絞り出す朱乃のお父さん

 

せっぷん……って

あ、昔の言い方でキスの事だっけか!

 

って、キスなんて……毎日ちゅっちゅしてるけど……。

ほんの1時間前に「おはようのキス」したばかりですけど……

キスとか今じゃ挨拶変わりにしちゃってるけど、何?キスってそこまで重大な事だったの!?

朱乃とキスとか……確か告白される前に教会で押し倒された時が最初だよな……

 

……はい!おたくの娘さんのほうから、告白される前にされました!それ以降は毎日してます!

 

とか本当の事言ったらブチ切れるんだろうなぁ、これ……

 

「はい……あります」

「ふしゅ~~……!ふぅ~~~~~~っはぁはぁ……。そうかぁ……!?したんだなぁ……!?」

「接吻までしたとなったら……それはもう、責任問題というやつだろう、君……!」

 

うん、まあ、怒るのも仕方ない、のかな……

嫁入り前の娘さんだし……

俺と同じで、この人にとっても朱乃は宝なんだろうし……

 

「ええ。ですから、今日こうして、バラキエルさんにお時間をいただいております。責任を取るためにご挨拶をさせてもらいたくて……」

「責任など、学生が軽々しく口にするものじゃない……!わかっているのか!?責任の意味を!?」

「はい、責任の意味は理解しております。私は朱乃さんと一緒に今後の将来について考えたいと思っております」

「イッセー君……うふふ、もう……」

 

朱乃が俺の腕に抱きついてくる

朱乃!?ヤバいって!いつものノリは本当にまずいって!

前を見て!?今にも噴火しそうな火山があるよ!?

だって、この人の背後に「ゴゴゴゴゴゴゴ……!!!」って漫符が見えるもん!俺!

 

「朱乃……!人前ではしたない!!やめなさい……!!」

「……はぁ……はぁっ……。……んっ……んぐ…………」

 

バラキエルさんが注文したウーロン茶を飲み干し、改めて俺を見据える

 

「……責任を取ると……、朱乃と結婚する、とそういうのだね?兵藤君……!?」

「はい。私は朱乃さんと結婚したいと考えてます。……率直に申し上げます。

朱乃さんを絶対に幸せにして見せます。この命が尽きるまで朱乃さんを守り抜いてみせます!だから私に朱乃さんをください!」

「若いのに、言うじゃないか。兵藤君……!いい根性だ……」

 

バラキエルさん……そんなに睨んでも俺は朱乃を諦めませんよ?

……ぶっちゃけ、ドライグと素手の殴り合いするのに比べたら全然怖くない

 

≪ハハハハ!相棒?俺との手合わせを比較対象に選んでは大抵の恐怖は克服できると思うぞ?≫

まあ、そうだけどさ……

 

「……ぬ……くっ……」

 

再び俺を値踏みするかのようににらむバラキエルさん

 

「君は、朱乃を守っていけるというのかね……!何があっても!?」

「はい、絶対に守り抜いて見せます!」

「くっ!ハハハ!君はまるでテレビドラマの主人公のような言葉を吐くな……!

現実はそんなに甘くないぞ!もっと現実を見たまえ!ハハハハハ!」

 

……リアスのお義父さんは、下級悪魔で娘の下僕の俺にも礼を尽くしてくれた

立派な方だと思う……

自分よりふたつも位の下の悪魔なんて鼻にもかけてくれないと思っていたから、本当に驚いた

 

リアスのお義父さんとバラキエルさんを比べると……

バラキエルさんは最初から喧嘩腰だし、まだ学生でガキだってのと、娘の恋人ってのを差っ引いてもこの言い草は失礼過ぎるだろ

たぶん俺が朱乃と交際しているのが気に入らないんだろうけど、人の覚悟を嘲笑うってのは大人としてどうかと思うぜ……

 

あぁ、ダメだダメだ!

俺はリアスや朱乃やアーシアの為に真面目になるって決めたんだ

 

真面目な奴は

本音とか言わない、人の欠点を指摘して相手と揉めたりしない、あとトイレも行かない……

世界は建前で回っている……

 

今日は話し合いに来たんだ、感情的になっている相手に自分まで感情的になったらダメだ。感情的になって喧嘩腰になった時点で負けだ

こうしてこじれた場合、あくまで冷静に、建設的に話をしないとまとまる話もまとまらなくなる

 

バラキエルさんはどのような男なら認めるのか、朱乃と付き合ってもいいというのか、まずそれを知りたい

それがわかれば突破口が見つかるかもしれない

 

……よし

 

「父様っ!?やめて!?イッセー君に失礼よっ!」

 

「……一つ、ご質問させていただいてもよろしいでしょうか?」

「……何かね?」

「バラキエルさんは、どのような男性が朱乃さんに相応しいとお考えでしょうか?」

「……それは、君に関係のない事だ」

「関係がない?どうしてでしょうか?私はどう考えても関係者だと思いますが……」

「そうよ!彼を認めないのであれば、どんな男性ならいいというの!?

あなたにはそれを言う義務があるわ!ごまかして逃げるなんて、そんなの卑怯よ!」

「あ、朱乃!?さっきは「父様」と呼んでくれたのに!?」

「私は彼のおかげで立ち直れたの!過去と、母様の事と向き合えるようになったの!彼のおかげでやっと鏡を見られるようになったの!

私を立ち直らせてくれた彼を認めず、どんな人ならいいのかすら言わない卑怯者は私の父じゃないわ!」

「ぬっ!?……まず!朱乃をちゃんと守れるだけの強さが必要だろう……!」

「……強さ?彼より強い人なんていないわ!」

「言っておくが……心の強さなどではないぞ。実質的な強さだ!ちゃんと朱乃を守れるだけの強さだぞ!」

「……イッセー君の強さを知らないのね。彼は魔王サーゼクス様と同格、いえ、今はそれ以上の実力者よ!」

 

へー、そうなんだ

俺ってサーゼクス義兄さんと同じくらいの強さなんだ

≪今は同じではないぞ?相棒。相棒はリアスの兄より大分強いぞ≫

……やっぱりドライグって強いドラゴンだったんだなぁ……

≪ククク!二天龍だからな!≫

 

「な、何……!魔王と同格……!?それ以上だと!?……ハハハ、朱乃、それはいくらなんでも身内贔屓が過ぎるだろう……」

「事実よ!何……?私の言葉も信じてくれなくなったのね……、話にならないわ……。もう、いいわ……!」

「っ!?待ちなさいっ!朱乃っ!」

「……朱乃、座って?今日はお父さんと話をするんだろ?」

「……っ!イッセー君……。……イッセー君がそう言うなら……」

「朱乃、だと……!?」

 

席を立とうとする朱乃の手をつかみ思いとどまらせ座らせる

 

ドライグだったら朱乃攫って逃げるんだろうなぁ

≪言っておくがソフィアは押しかけてきたぞ……≫

マジかよ!?絵本ではドライグがソフィアさんを攫って逃げたって事になってるけど!?

≪話を創る時に都合のいい解釈をしたのだろうな≫

つえー……。ソフィアさん……押しかけ女房だったのか……

≪ふふふ……。なんとも、懐かしい話だ……。あれから何年が過ぎたか……≫

……ドライグってさ、ソフィアさんの話する時嬉しそうだよな

≪フン、相棒がリアス・グレモリーや朱乃やアーシアの話をする時だってそうだろう≫

ハハハっ!そりゃ間違いねえや!

≪フッ……!お互い様と言うやつだ、相棒≫

 

「……男は、強いだけではだめだ、ちゃんと朱乃を大切にできる誠実さも必要だ……。

朱乃、堕天使にいい男がいるぞ、父が紹介をしてやろう……」

「……私は彼より誠実で前向きな人を見た事がないわ。

イッセー君は私の為に誰よりも必死に努力して強くあろうとしてくれるの……」

「ぬ……」

「……逆に、お聞きしますわ。あなたの言う「いい男」は私の為に伝説のドラゴン……、赤龍帝ドライグと毎日修行ができます?

毎日体に痣を作って、日によっては体に大きな傷痕増やして、帰って来た時必ず口から血の匂いがして……

そんな彼を見るたび泣きそうになる私に心配かけないように笑顔で「大丈夫だよ、朱乃」って言える男性なの?」

 

やべっ!?口の中の血の匂いって残ってるのか!

帰ってきたらまず手洗い場で口ゆすがないと……みんなにバレる……

気を付けよう……

 

「せ……赤龍帝と、修行……!?それ、は……いない……な……」

「ほらっ?ごらんなさい!彼以上に素敵な人なんていないわっ」

「ぬっ……うううううう!!し、しかし学生の身だろう!?結婚を考えるなど早すぎるだろう……!私はお前の事を考えて言っているんだ!」

「早すぎ?じゃあ何歳なら男性とお付き合いしていいと言うの?学生のうちはダメというのなら……大学を卒業した22歳?

いえ、大学院修士も含めたら24歳かしら?もし、博士号まで行ったら27歳よね?

仮に27歳からすぐ男性とお付き合いを始めたとして、同棲を含める期間を考えるとすぐ30になるわね?

世の中にそうやって親のワガママに振り回されて婚期逃して結婚できない女がどれだけいると思ってるの?

婚期逃したのを職場の人に「なんで結婚しないの?」って聞かれたら「父様がダメって言ったから~」

なんて30にもなって人に言えと言うの!?冗談じゃないわ!恥ずかしい!何の罰ゲームよ?それ。

女の30歳って、周りはほとんど結婚して子供も生まれて、家庭を築いている頃でしょうね?

知ってるかしら?そういうのを世間じゃ「行き遅れ」って言うのを……

あなたは私にそんな惨めな思いをさせたいって言うのね?それのどこが私の事を考えてるのよ?

今だけ、自分の都合の事だけ考えずにもっとちゃんと私の人生の事を考えてよ!?いい加減すぎるわよ!

今のあなたは単に子離れできてない親がワガママ言ってるようにしか見えないわ!

イッセー君を認めてくれないのなら、老後の面倒は見ませんし、孫も抱かせませんからね!?」

 

「ま、孫……!?お、お前達はもうそこまで……!?」

「イッセー君は真面目だから「一線を超える前に、お父さんに挨拶したい」って私がどんなに誘っても最後まではしてくれないの」

「あ、朱乃から、誘う!?な、なんと……」

「わかるかしら?私がどれだけ誘惑しても、頑なに私を抱かなかった意味が。

全部あなたに筋を通そうと、私達「親子」に対して礼儀を尽くそうとしてくれたからよ。そんな彼以上に誠実な男性がいるかしら?

それに比べて今日のあなたの態度は何よ?相手が年下だから、学生だからって舐めてかかって煽ってバカにして失礼にも程があるわ!

今日のあなたのどこに誠実さがあるのよ?人に誠実さを求めるのならまず自分を改めて誠実な態度を身に着けてくださいな!

大人ですよね!?子供のほうがまだ礼儀を弁えてるわ!」

 

あ、朱乃……?

バラキエルさんが引いてるよ……?

ちょっと泣きそうだよ?この人……

うちの嫁さんはみんなつえーな……

優しい朱乃がここまで激怒するの初めて見たぞ……

 

「……母様はなんでこんな失礼な人と一緒になったのかしら……、不思議でならないわ……」

 

しかし、わからないな……

会ってから失礼な態度をとったつもりはないし、

むしろ失礼な態度ならこちらがされたくらいだ……

俺の何が気にらないんだろう……

 

「バラキエルさん。私の何がお気に召さないんでしょう?

「娘と付き合っているのが気に入らない」以外の私の気に入らない点を教えていただけませんか。

私も至らない点が多い若輩者と自覚しております。改善できる事なら改善していきたい思います」

「……結婚前の男女が接吻など、破廉恥だろう……!」

「……男女が好きあっていれば、いずれそういった事に至るのは自然な流れだと思いますが……」

「何よ、キスくらいで目くじら立てて!人間と堕天使の恋を認めてもらえないからって母様と駆け落ちした人が良く言うわ……。

あなたのしたことのほうが余程破廉恥よ!」

 

「っ!?朱乃!?」

 

その言葉を聞き、カッとなったのかバラキエルさんが席を立ちあがり朱乃に平手打ちをしようとした瞬間

俺の手がバラキエルさんの腕を掴み止める

 

「……やめろ、オッサン……。俺の宝を傷つける気か……!?」

 

殺気を込めながら睨み掴む腕に少し力を入れる

ミシッ……!

 

「くっ……!」

 

振り払おうとしたのかバラキエルさんの腕に力がこもるが、俺にがっちりと掴まれ微動だにしなかった

 

「……失礼しました。朱乃さんが傷つけられると思い、つい粗野な態度を取ってしまい申し訳ありません」

 

……あっぶねー

もう少しで殺す所だった……

ギリギリで腕を掴むのに切り替えられたぜ……

 

 

俺はパっと力を緩めバラキエルさんを解放する

 

「くっ……これ、は……」

バラキエルさんが俺に掴まれた腕の部分を抑えうずくまる

 

「ああ、もう……。だから言ったのに……。

イッセー君は父様がたとえ100人いたとしても絶対勝てない程の人なのよ?恥ずかしい真似はいい加減やめてくださいな……」

 

言いながら朱乃が席を立ち、向かいにいるバラキエルさんに寄り添い背中をさすりながら介抱する

 

「……ごめん、朱乃。ついやっちゃったよ」

「ううん、いいのよ、これくらい。いい薬よ……。それに、私を守ってくれようとしたんだもの……」

「……そういってもらえると救われるよ」

「っ!?これは…………!?」

 

俺が掴んだところが青黒く変色し痣になってしまっていた

 

「……怪我をさせてしまい申し訳ありません。

私の家族に傷を癒す能力を持った者がいます。その傷を治療をしてもらいましょう」

 

「……いや、構わん。これは自分でなんとかしよう」

「ですが……」

「……私も、朱乃に手を上げようとする者がいたなら、君と同じ事をしていた。これは当然の報いだ」

「……わかりました」

「君は……、先ほど朱乃を宝だと言ったね……?」

「はい、朱乃さんは私の宝です。最も大切な宝です。……バラキエルさんと、同じです」

「うふふ……イッセー君……」

「……君の今の行動で、君が朱乃を大事にしていると言うのは理解できた……。兵藤君、と言ったね?」

「はい」

「君と腹を割って話がしたい。ゲームが終わったら時間を作ってくれるかね?」

「わかりました」

「……朱乃も同席しなさい。ゲーム終了後、もう一度三人で話をしよう」

「……わかりましたわ、父様」

「……朱乃、兵藤君。今日のゲーム……頑張りなさい」

「……!はいっ!」

 

バラキエルさんが伝票を取り席を立つ

 

「……兵藤君」

「はい」

「朱乃は気丈なようで、弱い所がある娘だ。……朱乃を守ってやってくれ」

「……はい!お任せください!」

 

父親になった事ないからわからないけど、いいお父さんだな

きっと、娘に恋人ができて動転していたんだろう

それで、俺を拒絶するような態度を取っていたんだろうな

 

「ふぅ……。一応は、認めてくれた感じかな」

「イッセー君っ!父様がイッセー君に失礼な事ばっかり言ってごめんなさいっ!」

朱乃が頭を下げながら謝ってくる

 

「いいよ。いいお父さんじゃん。朱乃に手を上げようとしたのはダメだけどさ。

俺に色々言ってたのもさ朱乃が大好きで、大事だからああいう態度になったんだと思うよ」

「もう、本当に恥ずかしかったわ……。感情的になりすぎよ……父様は……」

「……時間、そろそろ行かないとまずいな、行こうか」

「ええ!」

 

俺たちは少し早足でゲーム参加者控室に向かう

 

選手控室に行くとみんなに出迎えられる

 

「ただいまー、お待たせ」

「ただいま戻りましたわ」

「あっ、イッセーさんっ!朱乃さんっ。おかえりなさいっ」

「おかえりなさい、副部長、イッセー君」

「おかえりなさいっ、朱乃さんっ、イッセー先輩っ」

「おかえり、朱乃、イッセー!……その顔からすると、お父さんとうまく話せたのね?」

「ええ、一応は、ね。ゲーム終了後に三人で話す事になったわ……。リアス?悪いんだけど……」

「……わかってるわよ、イッセーは貸してあげるから、お父様と話してらっしゃい」

「……ありがとう、リアス……」

 

やっぱりリアスは優しいよな

いつも朱乃と俺の取り合いでいがみ合ってるけど、

こういう肝心なところで優しいからみんなから慕われるんだろうな……

 

「ん?あれ?ティアは?」

「ティアマットさんならお水を買いに行ってるわ」

「あ、そうなんだ。じゃすぐ帰ってくるかな」

「ええ、おそらくね」

 

コンコン

 

「はい?どうぞ?」

 

「おはようございます、リアス様、皆さん」

部屋のドアがノックされリアスが返事をすると、笑顔で挨拶しながらグレイフィア様が入室してくる

全員でグレイフィア様に挨拶しながら頭を下げる

 

「あら、グレイフィア?手続きはもう終わったの?」

「ええ、皆さんお揃いのようですね?試合のルールをご説明させていただいてもよろしいですか?」

「ええ、そうね。おねがいグレイフィア」

「かしこまりました。リアス様。試合のルールですが、シンプルにどちらかの「王」が先に倒されれば即ゲーム終了となります」

「次に今回のゲームでは建造物の破壊によるマイナスポイント発生等のペナルティはありません」

「あと、選手がリタイアして、救護室へ運ばれる条件ですが、今回はプロのライザー様と初出場のリアス様という事で最高ランクの安全設定にしてあります」

「以上が本日のライザー・フェニックス眷属対リアス・グレモリー眷属のゲームルールとなっております」

「何かゲームについて質問等ございますか?」

「あの……質問よろしいですか?グレイフィア様」

「はい?なんでしょう?兵藤様」

「相手の選手をやり過ぎて殺したり、あるいは消滅させてしまった場合は、どうなるんでしょうか」

「不慮の事故は当然発生します。それにつきましてはペナルティなどはございませんし、罪にも問われません。

人間の世界で言う格闘技の試合で相手を殺してしまっても「事故」として処理されるのと同じだと考えていただいて結構です」

「……わかりました。ありがとうございます」

 

グレイフィアさんの話を聞き

アーシアが俺にの腕にしがみついてくる

ガクガクと震えてしまってる

 

「うぅ……イッセーさぁん……」

「……」

「……イッセー君……」

 

いつの間にかリアスと朱乃が俺の服の袖をがっつり握っていた

 

「大丈夫だ、みんなは俺が守るからな」

「……うぅ、今半端なくイッセー先輩の腰に抱きつきたいです……」

「……気持ちはわかるよ、小猫ちゃん。いよいよなんだって、僕も緊張してきたもの……」

 

 

なぁ?ドライグ……レーティングゲームっておかしいよな……

≪何がだ?相棒≫

だってさ、悪魔の数が減少してて困ってるんだろ?悪魔業界って

それなのに、死ぬ可能性がある娯楽競技を流行らせるっておかしいだろ。

≪……確かに、そうか。種の存続を考えるなら、そんな危険な事はせんな……。

死ぬ可能性がある「娯楽競技」など真っ先に廃止して、種の保存を最優先にするだろうな≫

だろ?

……誰か、レーティングゲームを提案した、お偉いさんにとって都合がよかったのかね……

≪恐らくそうだろうな≫

 

俺は待合室の椅子に腰かけ膝をポンとたたくと、アーシアが抱きついてくる

「ほら、おいで、アーシア」

「……はいっ、うぅ、ゲームが始まるまでこうしてていいですか……。もうすぐ怖いゲームが始まると思うと……」

「ああ、いいよ」

「うう、イッセー君……」

「……」

うわ、リアスの顔がみたことないくらい強張ってる

 

「……朱乃とリアスもおいで?」

 

作戦会議の時にしたように右腕にリアス、左腕に朱乃が抱きついてくる

これで少しは不安がやわらげばいいけど

 

「みんなさ?今日まで頑張って修行しただろ?大丈夫だって」

 

リアスと朱乃の表情がだいぶ落ち着いた表情になってホッとする

 

「ふふ……。リアス様、本当に安心した表情ですね……」

「う……、いわないでよ。グレイフィア……、これでも緊張してるんだから……」

「お、イッセー戻ったか!ん?グレイフィアもいるじゃないか」

「……ティアマット先生がいらっしゃるとは驚きでしたわ」

ティアマット、先生……?

 

「久しいな!グレイフィア!サーゼクスは元気か?」

「ええ、おかげさまで。ティアマット先生はどうしてこちらに……」

「イッセーの頼みでリアス達に魔法を教えているのだ」

「っ!ティアマット先生直々ですか、正直うらやましいですわ……」

「ハハハ!お前も今度一緒に修行にくればいい!こいつらもいい刺激になるだろう!」

「ええ、ぜひ参加させていただきますわ。私もまだまだ魔法の道を追求して参りたいので……」

「そうだとも。なんの道であっても「自分はここまでだ」と歩く事をやめたらそこで終わりだ。常に向上心を忘れるなよ、グレイフィア」

「フフフ……、卒業式ぶりですね。先生のそのお言葉……懐かしいわ……」

「え、ティアマット……先生?ティアってグレイフィア様の先生だったの?」

「昔な、冥界で魔法学校を気まぐれでやっていた時に生徒だったのだ」

「そ、そうなんですか!お義姉様!?」

「ふふふ、そうなのですよ。リアス様。懐かしいわ……本当に……、witch&wizard……」

「……私達、とんでもない方に修行をつけていただいてたのね……」

「グレイフィア様の先生だなんて……すごいはずだわ……」

「あ、あのところで……ティアマット先生?兵藤様とはどのような関係で……?

リアス様達の修行を教えるよう頼まれたとおっしゃっていましたが……」

「ん?ああ、私はイッセーの使い魔になったからな!その関係でこいつらの修行を見ているのだ!」

「え……、え!?……ええええええ!?先生が……使い魔……?」

「……お義姉様が、目を見開いてこんなに大声で驚いてるところを初めて見たわ……」

「た……大戦時に「爆炎の化身」とまで謳われたティアマット先生が……使い魔ぁ!?えっ、あの……それはどういった……」

「ハハハハハ!懐かしい二つ名を言うな!グレイフィア!だがな?

お前の義理の弟になる男……イッセーは私より断然強いぞ!」

 

「え、あ、あの、もしかして……兵藤様……?」

「あ、はいっ、ティアと戦って倒しました!グレイフィア様!」

「……リ、リアス様……?冗談、ですよ……、ね……?ねっ……?」

 

グレイフィア様がリアスの顔をうかがい確認を取ると

リアスがにっこり笑って「ええ」と頷く

グレイフィア様が顔を青ざめティアの方に向き直る

「初めて見たわこんなに狼狽えるグレイフィア……」

 

「ああ、イッセーに完敗したぞ!ハハハハ!あれは参った!流石に驚いてるな!グレイフィア!私はお前のそんな顔を初めてみたぞ!」

「お、驚いたなんてものじゃないですよ……。……今日のライザー様達が可哀想に思えてきました……私……。

つ……、使い魔もレーティングゲームには参加できますが……。ティアマット先生……?まさか……」

「おお、そうか、使い魔も出られるのであったな!じゃあ、本陣でアーシアとのんびり水でも飲みながら観戦しとこうか!ハハハハ!特等席だ!」

「へー、使い魔って出られるんだな、知らなかった。まあ、でも作戦変更はなしで構いませんよね?リアス様」

「ええ、そうね。今更かえるのもあれだし、予定通りの作戦で行きましょう」

「……お前らの修行の成果楽しみにしてるぞ!リアス!朱乃!アーシア!」

「はいっ、がんばりますっ!」

「ええ……!がんばりましょう!」

「そうね!泣いても笑ってもあと10分すれば開始よ!私達も修行はしてきたんだから……、勝つわよ!今日のゲーム!」

「はいっ!部長!」

「はい……!」

「ええ!頑張りましょう!リアス」

「はい。リアス様……」

「それと、イッセー?話し方いつも通りにしてくれると嬉しいわ……」

「……やっぱり気になります?」

「ものすごい違和感よ。グレイフィア?イッセーの敬語崩させてもいいわよね?」

「ええ。構いません。リアス様。兵藤様?私がいる時でもお気になさらず普段通り話してくださって結構ですよ」

「わかりました、グレイフィア様、ありがとうございます」

「わかったよ、リアス。今日のゲーム頑張って絶対勝とうな!」

「ええっ!もちろんよ!やっぱりあなたはそうでなくちゃ!」

「やっといつものイッセーさんですよぅ……」

ぐりぐりとアーシアが俺の胸に頭を擦り付け甘えてくる

「ははは……、俺そんなに変だった?アーシア」

「変、ではないですけど、いつものイッセーさんのほうが私は好きです」

「うふふ、なんだか今ので緊張がほぐれちゃったわ」

「ふふ、私もです。朱乃さん。やっぱりイッセー先輩はいつもの話方のが好きです私」

「ふふっ!私もよ、小猫」

「ハハハ、いつものオカ研にもどったね、イッセー君」

「よっし!やる事はやってきたんだ!今日のゲームみんな頑張ろうぜ!」

「「「「「うんっ」」」」」

 

 

 

 

この10分後に「ライザー・フェニックス眷属対リアス・グレモリー眷属」のレーティングゲームを開始するベルが鳴り響いた

 

 

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