放課後 教室
「おーす!」
「あ、兵藤だ!」
「おーす!」
「兵藤おはよー」
「あれっ?イッセー!今日どうしたんだよ?もう放課後だぞ」
「ちょっと家の用事があってさ」
「どうせ、サボって家でエロDVD見てたんだろ!」
周りを見てみるとまだ全員女子はいるようだ
「ああ、そうだ。女子のみんなに聞いてほしい事がある」
「な、なによ?改まって……?」
「こないだみたいに、パンツどんなの履いてるとか聞くんじゃないでしょうね!?」
「彼女ができたんならもう覗きとかやめなさいよね!」
俺は教室の一番前の教壇の前で数人の女子に向き直り、土下座で頭を地面につけ真剣な面持ちで告げる
「女子のみんな、今まですまなかった!不快な思いをさせてしまって申し訳ない!」
目を丸くした元浜と松田、そしてクラスメイト達が動揺する
「……謝ったからと言って、今まで俺がしてきた事が消えるわけでもないし、みんなの心に残った傷が消えるわけでもないのはわかってる。
だから、俺は卒業までの間俺にできる事で俺が迷惑をかけた人へできる限りの事をさせてもらう。どうか許してもらえないだろうか」
言い終わり頭を地面に擦り付ける
「えっ!?ええっ!?兵藤君!?何?どうしたのっ」
「え!?ちょ、ちょっと、兵藤!?ちょっとやめなさいよ!土下座なんて!」
「そ!そうだよ!何もそこまでしなくても!」
「ちょっ!兵藤!?」
「兵藤!?ねえ、あんたどうしたの!?」
「ちょ!?イッセー!?お前マジでどうしたんだよ!みっともねーぞ!?やめろって!」
「……兵藤君今日どうしたの……?」
「イッセー!?おい!やめろよっ!お前みっともねーぞ!!ほらっ立てって!」
「イッセー!マジどうしたお前、おかしいって今日!なぁっ」
「もう一度言う、今まで本当にすまなかった……!」
「おい……、これ、ガチなやつじゃね……?」
「お、おう、ガチだ。冗談でもさすがに土下座はできねえよ、プライドあるしよ……」
「ちょ、ちょっと!兵藤!?やめなって!ほら!起きな!」
「ちょっと!みんな起こすの手伝って!コレ普通じゃないよ!」
数人の女生徒が俺の腕をもち起き上がらせてくれる
「ま、まず事情を説明してくれる……?」
「……ああ、えっと、そのな?」
その場にいるみんなが俺の顔を神妙にうかがう
事情を説明といっても、堕天使の事は伏せたほうがいいだろうし、困ったな……
端的に説明するか……
「……ある人に恩義を受けた、どうしたって返せない恩を。その人に恩を返したい」
「え……」
「……」
「え、それで……?」
「え?それだけだけど?」
「まてまてまてまて!恩義がある人ができたってのはわかった、もしかしてそれだけで!?」
「……そうだけど?」
「え、ちょっと意味わかんない。もうすこし詳しく説明してよ」
「あぁ……、えっとな、俺ってエロいだろ?そんで、教室内でエロトークとかもするし、
そこの元浜や松田と一緒になって覗きとかしてたじゃん?エロ本とかも学校に持ってきたしよ」
「おお、まさしくイッセーだな」
「うむ、正常な姿のイッセーだ」
悪友二人が何か言ってるが構わず続ける
「その人に恩を返したい。そして、その人に尽くそうと思う。けどよ、今までの俺の行動を振り返ってみてみるとだ。今までの俺じゃダメなんだよ。今までの俺じゃその人に迷惑かけちまうんだ」
「その恩人に恥をかかせたくないんだ。その人の近くで尽くすためにも変わろうと思ったんだ。だから、自分のしでかした事への謝罪と今までの行いの償いをしたい」
「兵藤……」
「兵藤君……」
「イッセー……お前……」
「イッセー……」
「そっか……、そういうことなら……まぁ……納得だけどさ。さっきのも」
「私も!今までの事は忘れるから!頑張ってね!兵藤君!」
「まあ、なんつーか……、頑張れよ!兵藤!あれだ!手足りなかったら俺が手貸してやるよ」
「あ……ありがとう、みんな、少し気が楽になった……」
「あれ、狭山?意外と優しいね?あんた」
「俺はもともと優しいだろが」
「イッセーをなんか遠くに感じる……なにがあったんだよ、マジで」
「泣くなよ元浜」
「あっ、小山!今日日直だよな、教材もっていくんだろ?手伝うよ、じゃ、俺早速手伝ってくるわ!」
「えっ?あっあの!いいよぉ、私やるよ……?」
「いいからいいから!」
「あ……、ありがとう……?」
うちのクラスの連中はみんないい奴だな
「俺あんな顔の兵藤初めて見たぜ……」
「なんか……顔つき変わったよね?兵藤君って」
「あ、わかるー。なんかさ、妙に大人びた感じしない?一昨日に比べて」
「そうそう!なんかさ、影あるよね」
「いやでもよ?ほんの一日やそこいらであんな雰囲気漂わせるか?」
「一体何が……」
「なぁ、兵藤ってあんな目できたんだな……」
「ちょっと感動しちゃったよ、私」
「でも、誰なんだろね?恩義を返したい人って」
「あそこまで兵藤を変えるって……並大抵の事じゃないよね……」
手伝いが終わった後
2年進級時クラス替えで他のクラスへ移っている女子達や上級生下級生たちにも謝罪へ回った
◇
「木場君!?」
「木場きゅんがどうしてうちのクラスに!?」
廊下から騒がしい声が聞こえてくる
「やあ、待たせてしまったようだね、あ、僕はAクラスの木場祐斗。よろしくね兵藤君」
イケメンスマイルで手を出してきた
こういう握手とかって日本人がやってもサマにならないが、こいつがやると絵になりやがる
「あ、ああ、よろしく!兵藤一誠だ!」
「じゃあ、行こうか」
木場と二人で旧校舎へ向かう途中、女子たちの妙な噂話が聞こえてくる
「野獣兵藤と木場きゅんが!?」
「きゅんパイ!?なんであんな人と!?」
「兵藤のエロがうつっちゃう」
「野獣先輩と木場先輩がなんで一緒に歩いてるの!?」
「究極の組み合わせね、上一番と下一番」
ははは、さんざんだなー
いつもの事だけどさ
苦笑しながら木場と並んで歩く
≪だが、これからは変わるのだろう?≫
ああ、変わって見せるさ……!
俺の命を救ってくれた人に恥をかかすわけにいかないからな!
オカルト研究部と書かれたルームプレートを確認する
オカルト研究部……?
「さ、ついたよ、どうぞ」
木場に案内され部室の中に入ると、怪しげなろうそくやら人形やらが並んでいる部屋だった
部屋の中央には魔法陣といった、いかにもな雰囲気たっぷりの部屋
「あら?もう来ていたの?」
部室の奥からバスタオルを巻いた美少女が出てくる
うおっとぉ!?
思わず部室の入り口方向へ顔を背ける
木場もいつの間にか同じように顔を背けていた
なぁ?ドライグ?
≪なんだ?相棒≫
朝も思ったけど、悪魔ってのは羞恥心はないのか?
≪いや、そんな事はないと思うが。少なくとも俺の知っている悪魔にはこういう事をする女はいなかったぞ≫
だよな!俺の感覚はおかしくないよな!修行のし過ぎで感覚がおかしくなったのかとおもったぜ!
≪相棒は何もおかしくないぞ、これは完全にこの女の問題だ≫
「あ……あの……?」
「あ、ごめんなさい、もう着替え終わったから」
「ほっ……」
振り向くと紅の髪を揺らす美少女が立っていた
「改めて自己紹介させてもらうわ。私はリアス・グレモリー、このオカルト研究部の部長をしている者よ。この地区を収めている領主をしている悪魔よ」
「2年の兵藤一誠です。リアス・グレモリー様の眷属の悪魔です。よろしく……」
部屋中の部員らしき人達に挨拶する
「適当にかけてちょうだい」
「あ、はい……」
「お茶をどうぞ」
ポニーテールの女性徒、姫島先輩がお茶を出してくれる
「あっ、どうも……」
「で、あの……やっぱ、悪魔とか眷属についてですかね……?」
さっきから俺をまじまじと見つめるリアス先輩
「そうね、その前に……一昨日の土曜の夕方。公園で異常なほど高い魔力を感じたの」
って、高い魔力?
≪ああ、あの堕天使を威嚇するのに俺がちょいと魔力をだした≫
「あぁ……ええっと」
「……これを見てもらえるかしら?」
一枚の写真を机に出される
その写真にうつっているのは─────夕麻ちゃん
「わかりました、ご説明します、少しお待ちを」
「出てこいよ、ドライグ」
ジャキン!
「っ!その籠手は───」
部室にいる全員の顔が驚愕に染まる
「はい、赤龍帝の籠手、俺の神器……らしいです」
「その、すごい魔力を出したやつってのがこいつです」
「ドライグ……?説明頼めるか?」
≪ああ、任せろ≫
≪そこの悪魔よ。リアス・グレモリーと言ったか?≫
「え、ええ!あなたがその神器に宿っているドラゴンなの?」
≪そうだ、ドライグと言う。あの時は相棒が殺されそうだったのでな、少し魔力で威嚇したのだ≫
「そ、そう。少し、ね。わかったわ」
≪相棒の命を救ってくれた事感謝する。リアス・グレモリー≫
「ふふっ、赤龍帝からお礼なんて鼻が高いわ」
「じゃあ……、次に部員たちを紹介しようかしら」
「─────朱乃?」
「はじめまして、三年の姫島朱乃と申します、リアス部長のクイーンです。よろしくお願いしますわ」
「じゃあ、次は僕だね、二年の木場祐斗。ナイトだよ、よろしく兵藤君」
「一年、搭城子猫。ルーク、よろしく」
「あ、はい!二年の兵藤一誠です!……えーと……?」
「ああ、駒の事かしら?」
「あ、はい!俺の駒ってなんでしょうか?俺にも役職みたいなのってあるんですよね?」
「そうね、あなたは─────」
っ!?
ドライグ!この気配って!
≪ああ、近くで高い魔力の悪魔が出現したな、近くに人間の反応もある≫
ってことは、もしかしてうちの生徒が襲われてるって事か!?
「っ!急に顔色が……」
≪その可能性は高いな、すぐ近くだ……≫
「……兵藤君?どうしたの?あなた顔が真っ青よ……?」
「やばい!この近くでよくない気配が暴れてる!」
俺は立ち上がり部室から飛び出して走り出す!
俺は良くない気配に向かって走り出していた
部室内の全員が茫然と俺に視線を向けていた
「えっ?ど、どうしたの!?ちょっと!」
「えっ?」
「……?」
「一体……?よくない気配って言ってましたよね……?」
「そう言ってたね……」
「どこに行ったの?どういう事……?」
「顔色が急に悪くなりましたよね……」
突然
部室にいる全員がその一誠の姿に驚いていた1分後に警報が鳴り響く
ピピピピ!!……ビーーッビーーーーーッ!
「っ!?警報!?はぐれ悪魔!?」
「じゃあ、彼が向かった先はっ!?」
「急ぎましょう!」
「……はいっ」
気配の居場所は学校近くの廃工場跡だった
「ここかっ」
「グエッ!グエッ!キイエエエエエエエエ!!」
「い、いやっ、?いやああああああっ……!」
うちのクラスの女子だ!
「うちのクラスの奴に何してんだああ!!?」
今にも女子生徒へ襲いかかろうとする化け物に飛び蹴りをぶち込むと化け物は吹き飛び壁に激突する
「グゲアッ……!?」
ドガァン……!!!
「えっ……?あ!?ひょ!兵藤!?あんた、何して……えっ?」
いつもは勝気なクラスメイトが涙で顔をグシャグシャにしながら狼狽えていた
「っ!斎藤っ!?話は後だ!危ないから今のうちに外に逃げろ!」
「……っだ、ダメ!……腰が抜けて……立てない……」
クラスメイトが何とか立ち上がろうと懸命に動こうとするが少し体が持ち上がったところで尻もちをつく
「兵藤君!っ?あれは……!大型はぐれ悪魔!?」
追いかけてきたのか、木場が到着し、木場の後ろのにリアス先輩たちが走ってきているのが見えていた
「ナイスタイミング!木場ぁ!」
「ひゃっ!?ええっ!?」
クラスメイトをお姫様抱っこで抱きかかえる
「嫌だろうけど、ちょっと我慢してくれよ?」
入り口の木場のところまで走り出す
「祐斗!?あっ!?!指名手配危険度SSランク悪魔……!ヴォルべト!?
最上級悪魔に近い実力の上級悪魔クラスよ!?なんでこんな所に!みんな戦闘準備して!」
「……最上級悪魔に近い……!?……どうりでこの悪寒……!部長…………」
「あれは……!なんて禍々しい魔力を放ってるの……!!」
「…………危険です、あれ……!冷や汗がとまりません……!!」
「嫌な汗が止まらないわ……、……最悪撤退も視野に入れて戦いましょう!!」
「朱乃!?ソーナに応援要請して!確実に私たち全員でも手に余るわ!被害を抑えるために手を借りましょう!」
「はい!」
「木場!?」
木場の前にゆっくり斎藤を下す
「木場!こいつの事頼む!」
「わかったよ!兵藤君!」
「さて、と」
先ほど蹴り飛ばした悪魔の方向へ歩き出す
「っ!?何やってるの!?もどりなさいっ!!」
「兵藤君!?危険だ!早く戻って!?」
「危険ですわ!戻って!早く!!!」
「……っ!あぶないですっ……」
「グギャルルラルルルル!!お前は……何者だ……この力……!?」
瞬時に化け物の懐に潜り込み鳩尾にボディブローを入れ、体内に突き刺さった拳から赤い魔力を放出する
「うちのクラスの奴泣かしてんじゃねえよっ!!」
紅い光に飲み込まれ化け物は一瞬で消え去る
「ゲボアッ!!!?」
ズガァ!!!!!!
「ふぅ……、弱い奴で助かったな……」
「……えっ?」
「ひょ、兵藤……?」
「え……ひょっ!!?」
「…………っ!?」
「……え?……今、弱いって言いました……?」
さて、どうしよう?クラスメイトに見られたぞ
なーんちゃって!ドッキリ大成功!とかで……
≪通るわけないだろ≫
ですよね!マジでどうしよう
「……一撃で……」
「神器も使わずに……、こんなことって……」
「リアス……こんな事ありえるの……?だって……」
「私……、今自分が見たものが信じられないわ……」
「私もよ……。リアス……」
「部長、状況の理解ができません……」
「小猫……私もよ……」
「私も……」
「僕も……」
「あ、あの!兵藤……?兵藤なんだよね……?」
座り込んでしまっているクラスメイトの所まで歩いていき屈んで目線を合わす
「大丈夫だったか?斎藤」
精一杯普通を装い話しかける
「うっ、うん!あんたが助けてくれたからっ」
「リアス先輩こいつの事お願いできますか」
「ええ、わかったわ……」
その言葉を聞き立ち上がろうと体を起こそうとした
「ちょ、ちょっと!兵藤!?あ、あのさ?」
そりゃ聞かれるよな、「なんであんな化け物みたいなのがいるの?」とか
「なんであんな化け物倒せるの?」とかいやいや、そもそも「あんたって化け物!?」とか呼ばれるかもしれない
なんせ、そこの悪魔の皆さんが俺の事を化け物みたいな目で見てるし……
≪……実際化け物だろう?≫
そういう事言うなよ!傷つくぞ!?いいのか俺傷つくぞ!?
「あの……あの!」
必死で何かを伝えようとしているが、余程化け物が怖かったのか、いまだその肩も手も震えていた
俺はそっと斎藤の手の上に自分の手を添え震えるのを待つ
「……」
「あの……ありがとう」
「お前が無事で良かったよ」
無理やり笑顔を作っていってみる、作り笑いなんて生まれて初めてしたぞ
≪本能に忠実な動物のように欲望丸出しな生き様だったからな、今までの相棒は≫
自分に正直とか裏表がないとかそういう言い方できませんかね?ドライグさんや
≪俺は良くも悪くも相棒の半身だぞ?無茶言うな≫
無茶なの!?
「……う~、なんか面白くないわ……」
「あらあら、うふふ……」
「朱乃?先にみんなと部室へ戻ってくれるかしら?祐斗ついてきて」
「はい、部長」
「あっ。あの、兵藤はっ……?」
「……また明日な?斉藤」
「うっ、うん!また!明日!」
学校へ戻る途中の道
ドライグ?頼みがある
≪なんだ?改まって≫
今日は訓練の前に異形の存在を察知する修行を教えてくれ、あと相手の強さを計る能力も
≪……今の一件か?≫
そうだ、この街だけでもなんとかならないか?今日のような事が今後起こらないようにするためにな
≪ふっ、そんなこと造作もない!今日も帰って修行をするぞ!≫
おう、今日も頼むぜドライグ先生!
オカルト研究部の部室へ帰ってきた
部室に帰ってきて、姫島先輩が入れてくれたお茶を飲んでいると
「……あの、兵藤先輩」
「えっ?えっと……。搭城さん、ですよね。どうかしました?」
「私一年ですから、敬語は使わなくて大丈夫ですよ、あと呼び捨てで構いません」
「……そう?じゃあ、お言葉に甘えて……。何かな?」
「さっきの攻撃は一体なんですか?それ以前に動きも凄まじかったんですが……」
姫島先輩も興味があるように、こちらをうかがっていた
「何ですか、と言われても。懐に入り込んだ後に鳩尾に拳打入れて、拳打のインパクトの瞬間に魔力砲をゼロ距離で撃っただけとしか……」
「……」
「………」
何を言ってるんだ?こいつは というような表情だ
やばい、完全に痛い奴を見る目だろ、これ……。でもこれ以上説明詳しくできないぞ……
「たぶん部長が帰ってきたら、同じ事を聞かれると思います……」
「ただいま」
「っと、早かったですね、先輩」
「ええ、さっきの子に魔法をかけてきただけだから。記憶改ざんの魔法をかけてないと大騒ぎになるから」
「なるほど。魔法、ですか。いよいよファンタジーめいてきたな……」
「あら?悪魔だと言ったでしょう?魔法くらい使うわよ」
「まあ……、そう言われてしまえばそうなんですけどね。何と言いますか実感がない感じで……」
「ふふっ、すぐ慣れるわ。さて、質問があるのだけど、いいかしら?」
「……どうぞ」
「あなたが先ほどはぐれ悪魔を倒した力。あれはいったい何かしら?」
「今さっき、まったく同じ質問を搭城からされましたけど。「懐に飛び込んで鳩尾に入れた拳打のインパクトの瞬間に魔力砲をゼロ距離で撃った」だけとしかお答えできませんが……」
「……まあ、その戦闘技術の事もそうなんだけど。昨日まであなたは普通の人間だったでしょう?そして堕天使に殺されかけた」
「えっ……はい、その通りです」
「え……?昨日まで普通の人間って……!?」
「ええ、そうです」
「それが今朝私が帰ってから夕方までの半日であれほどの力を得ているっていうのが納得いかないのよ」
「半日……!?」
「半日って……」
「ちょっと、リアス。それ本当なの?」
「本当じゃなかったら、こんな事質問しないわよ」
「……そうね」
その場にいる俺以外が青ざめていた
「あぁ……なるほど。確かにそれはおかしく映るでしょうね。すみません、今質問の意味を理解できました」
「ええと、ドライグ───俺の中にいる赤龍帝に修行をつけてもらっているんです」
「っ!赤龍帝自ら……!なるほど。でも半日でそこまでの強さを手に入れるって……どういう事かしら?」
「ええと、ドライグが作り出してくれる俺専用の修行場があるんですけど、そこの時間の流れをドライグが調節してくれるんですよ」
「そ、そんな事……!」
「ええ、驚きですよね。俺も驚きました」
「で、そこの修行場だと、現実の世界の一時間を修行場の1年にすることができるんです。あ、現実の肉体年齢や寿命はそのまま外の時間で、一時間経過するだけなんですけどね」
「その特殊な修行場でずっとドライグに修行をつけてもらってました、リアス先輩が帰ってから10時間ほど」
「つまり実質10年間赤龍帝につきっきりで修行をつけてもらっていたと……?」
「はい」
あれ?リアス先輩たちの顔がずいぶん青ざめてるな。ひきつってもいるな
これは引いてる反応だよな……どう見ても……
皆一様に絶句してしまっている
「あなたは、兵藤君はどうしてそうまでして強くなろうと思ったの?
今朝私が帰った後に何を思ったの?並大抵の覚悟じゃ赤龍帝相手に10年も修行するなんて出来ない事だわ」
「……力が欲しかった理由は三つあります」
「一つ目は、堕天使に殺されそうになった時思ったんです「まだ何もやりたい事もしてないのに殺されるなんて嫌だ、理不尽だ」って。
だから、俺の周りに起こる理不尽を打ち砕ける力が欲しかったんです」
「二つ目は……、リアス先輩の為ですね」
「えっ……?」
「あらあら、うふふ。リアス?よかったわね?」
「俺はリアス先輩に瀕死だった命を助けてもらいました。またあの堕天使が襲ってきて今度は俺の家族やリアス先輩を狙うかもしれない……、俺の家族や恩人にそんな事させない」
「リアス先輩に恩をお返しする方法が、俺が強くなってリアス先輩を守る事しか思いつかなくて……」
「じゃあ……、あなたが今朝「しなければいけない事があるから今日は学校を休む」って言ってたのって……」
「はい、ドライグに修行をつけてもらう為に今日は休みました」
「…………」
あれ、なんか俺の顔についてますか?リアス先輩、なんかすごい顔赤いですけど
「あらあら、うふふ……、リアス?お顔が真っ赤よ?」
「う……、ちょっと今は……そっとしておいて……朱乃」
「あらあら。うふふ……」
「三つ目は宝物を守る力が欲しかったんです」
「宝物……?」
「修行中にドライグが言ったんです。誰もが宝物を持つ時が来る、その宝物を守れるくらい強くなれって」
「……そう、あなたの宝物って何かしら?良ければ教えてもらえる……?」
「俺の宝は周りにいる人ですね。まず、家族、リアス先輩、姫島先輩、搭城。……あっ、木場も。
後は今のクラスのみんなと一年の時のクラスのみんなと……両隣の鈴山さんに田村さん……あ、コンビニのみっちゃんも……数えきれないや」
「あらあら、うふふ……。初対面なのに3番目なんて嬉しいわ」
「4番目……」
「兵藤君っ?今僕の名前言うの忘れてなかったっ!?」
「……忘れてないよ、大丈夫」
≪相棒ぉ!?俺は!?俺が入ってないようなんだが!?≫
ドライグはー……うん、大事だよ?
≪なんだ今の間は!?……今日の修行覚悟しとけよ!!≫
大事だって!いやホント!
≪フン!≫
あらら、拗ねちゃった
≪拗ねてないわ!≫
「って、あれ?皆さん、どうしました」
あれっ顔真っ赤だぞ、みんな
特にリアス先輩の顔がやばいくらい紅潮して、俯いてしまっているんだけど?
「ええと、あれ?俺何かまずい事を言っちゃいましたか……?」
「いや……、君が不意打ちでみんなを宝物なんて言うから照れてるんだとおもうよ?」
「……実際話してみると噂とずいぶん印象がちがいますわね……」
「ええ。本当に「兵藤一誠」本人なのか、不安になってきたわ……。噂と全然違うわね、どう見ても」
「……本当ですね」
「え、どんな噂ですかっ?」
「スケベで覗きの常習犯で最低なセクハラ発言ばかりする問題児……」
「あ、なんだ。間違いじゃないですね。合ってますよソレ」
「認めるんだ……」
「事実ですから」
「けれど、もうセクハラ発言も、覗きもしないと公言して、今日の放課後に今まで迷惑かけた人達にも謝りましたから。噂が収まるまで勘弁してください……」
「え!?なんで!?」
「ええ!?どうして……」
「……え」
「……興味ありますわ」
そこまで驚愕する事か?ちょっとショックだぞ……
「えっ?だって……、俺リアス先輩の眷属になったんですよね?よくわからないけど、眷属って部下みたいなものなんでしょ?」
「まあ……、その認識で間違いないわね……」
「リアス先輩という旗を持つのに眷属の俺がそんな事してたら主の恥になるでしょ」
「あ……あはは。こりゃまいったな……」
「なんというか、凄すぎです、いろいろ……」
「あらあら、うふふ……。ここまで来ると崇拝レベルね。部長?王としてこの忠義に答えるのは大変ですわよ……?」
「言わないで……今すごいプレッシャー感じてきて胃がキリキリと痛み出してるんだから……」
「部長、がんばってください」
「うぅっ、小猫まで……、なんか「年上の部下を持った上司の気持ち」っていうのがわかった気がするわ……」
「ええっ?俺リアス先輩より年下ですよっ?」
「ねえ、あなたの事イッセーって呼んでいいかしら?」
「あ、はい、仲のいい友達はみんなイッセーって呼ぶんで……そっちのほうが気軽ですけど」
「あと、その敬語もやめて頂戴?悪魔としての実力はあなたの方がずっと上なんだから」
「ええっ!?主にそんな……!それにリアス先輩は俺の命の恩人ですし……!」
「私の事はリアスって呼び捨てにして?それと敬語はなし。いや、本当にお願い。自分よりあなたのほうがずっと能力が高いのに敬称つけの上に敬語使われるとか耐えられそうにないわ……」
「でもリアス先輩もすごいじゃないですか、……上級悪魔って位なんですよね……」
「……悪魔社会って実力主義なのよ……、実力がないものは追い落とされていくの……」
「は、はぁ……、そういうものなんですか……?」
「ええ、そうなのよ。……朱乃ならわかってくれるでしょ?今の私の気持ち……」
「ええ、とても……。明日から部室に胃薬用意しておきますね?」
「うん、お願い……」
「部長、僕は彼とは同学年ですが、お気持ちはわかります……。今すごく複雑な気分です……」
「祐斗先輩、私もですよ……」
「だからせめて、私の心の平穏のために協力してほしいわ……」
「えぇ……、なんか、すみません……。気をつかわせちゃって……」
「いえ、これは完全に私の問題だから気にしないで……。あなたは何も悪くないわ」
しかし、学校で先輩を呼び捨ての上タメ口でいいとかすごい難易度要求して来るなこの人……
リアス先輩のファンの連中にそんなの見られたら俺殺されるぞ……
≪グレモリーは貴族だからな、プライドが高くわがままなのだろう≫
へー、外国の人だとは思ってたけど貴族なのか、貴族ってのがどう凄いのか知らないけど一般人の俺よりはすごいんだろ、それ……
「お願いよ、イッセー……」
……顔真っ赤にして涙目でめっちゃガン見されてるんだけど!これ呼ばずに済ます方法なさそうなんだけど!
「……わかったよ、リアス。これでいいかな」
リアスの顔がパァ!と明るくなる、一瞬でニコニコ顔になったよ!
≪相棒の心を折るとは、この女やるな……。相棒は俺の修行ですら折れぬ心の持ち主だというのに……≫
だって今にも泣きそうなんだもん!仕方ないじゃん!?恩人にこんな顔させておけないよ!
「ま、まあ公私はわけるって事で……」
「そうね、そこは譲歩するわ……」
「ちなみに……、公の時ってどんな時だろう……?この流れだと学校って公に入らない感じ……?」
学校も十分「公」だと思うんだけどな……
「そうね……、貴族たちが集まるパーティに出席する時とか、学校の他の悪魔に接する時とか、お行儀よくしてほしいと言う意味合いなら私の家族にあう時もかしらね?」
「パーティ……?他の悪魔?先輩のご家族……?ま、まあ、じゃあその機会があれば……」
「あなたなら空気を読んでくれると信じてるわ」
「……努力してみるよ」
「祐斗と小猫、朱乃も。これだけは彼を特別扱いさせてほしいわ……」
「かまいませんよ、部長。僕も兵藤君が部下になったのを想像したら胃が痛くなりました……。次の日はストレスで学校を休むと思います」
「大丈夫ですよ、部長……。私も兵藤先輩が部下になったのを想像してみたんですが……、泣きながら寝込むレベルで体調崩すと思います……」
木場と小猫ちゃんが真っ青になりながらいやいやをしながら話していた
「私は大丈夫ですわ、むしろそっちのほうが気軽でいいわ……」
「ありがとう、みんな……、良かったぁ、反対されたらどうしようかと……」
「いや……さっきのを見せられてそう言える人はいないと思いますよ」
「そういってもらえると助かるわ……」
「うふふ、良かったわね、リアス」
「ええ、本当によかったわ、うぅぅ……!朱乃ぉぉ、私がんばったよぅ……」
「あらあら、うふふ。リアスは甘えん坊さんねぇ」
リアスが姫島先輩の胸に顔をうずめながら甘える
「うふふ、でもこれでイッセー君の近くにいられるし、イッセー君の観察日記がはかどるわね?」
「ちょっ!?朱乃!?」
「イッセー君が入学した頃からずっと観察してるのにまったく接点がない物だから見ていてやきもきしたわ」
「へっ?俺が一年の頃から……日記?そんなに前から頻繁に観察されてたんですか?俺」
「ええ、日記に「今日は彼が体育でサッカーしてるの見ちゃった!体操服がたまらない!」って書いてた程よ?」
「朱乃だって見てたじゃない!私と一緒に観察してたでしょ!」
「まあ、してましたけど。私はそこまで酷くないもの……」
「はぁ……、部長……。そんなに重症だったんですか……」
小猫ちゃんが嘆息しながら呟く
「ええ、相当な重症なのよ……?」
「小猫まで重症とか言わないで!ちがうの!」
「あの、他にはどんな……?」
「そうねぇ、あそこの窓から下にいるイッセー君と目を合わせるために、事前にわざわざ髪をセットしたり服のシワ気にしたりとかも……」
「いや!?やめてやめてやめて!!それは本当にダメ!」
「ええっ?あそこの窓から目があってたのって偶然じゃ……?」
「完全に出来レースよ?」
「……すごい真相を知った気がします」
「うぅっ、ば、バレちゃった……」
「今日なんて放課後にイッセー君が部室に来る予定だったから、リアスったらスキップで部室に来たのよ?」
「スキップて……」
「わかった!朱乃!今日の帰りに好きなもの奢るから!ね!?これ以上はやめて!私イッセーの顔見れなくなっちゃうから!」
「うふふ、じゃあ帰りにみんなでクレープね?」
「クレープ……、お供します」
「うぅっ……ひどいわ、朱乃……私の築き上げてきたイメージが……」
リアスが顔を両手で伏せてしまっていた
姫島先輩すごいS顔になってますよ!完全にいじめっ子の顔になってますよ!
「木場……」
「なんだい?」
「なんかすげえな、俺らの先輩達は……」
「ハハハ……」
「ああ、そうだ。一つお願いがあるんだけど……」
「何かしら?」
「あの、ドライグに聞いたんですけど、神器所有者だけじゃなく、神器所有者の家族も狙われたりするって聞いたんですよ、両親の警護とかおねがいできるかな?」
「なるほど、確かに神器所有者もその家族も人質に取られたり殺されたりという事件もおこってるわね。わかったわ、あなたのご家族の警護をする悪魔をつけましょう」
「ありがとう、そうしてもらえると助かる」
「いいのよ、これくらいなんでもないわ」
よかった、これで両親はひとまず安心だ
≪相棒、一つ言い忘れていた事がある≫
ん?なんだよ
≪赤龍帝の気質というか特性というか……≫
珍しく歯切れ悪いなどうした?
≪赤龍帝の特性でな?女が寄ってくるという性質があってな……≫
はぁぁぁぁぁぁ!?
ちょっと待て!今までンな事一回もなかったぞ!じゃあ今まで全然モテなかったのはどういう事だよ!
≪神器に覚醒する前だからな、それなりに強い力を持つ者でなければ神器の効果が出ないのだろう≫
≪現に神器に覚醒してからは学校の女どもは相棒に好意的だろう?≫
まあ、前に比べては……でもあれはほら、助けたって事があるだろ?
≪以前なら、暴力振るうなんて最低!とか言われて逆に責められたはずだぞ?何度かそういう理不尽に見舞われていた相棒を知っているぞ?≫
あ、ありえるな、女子って嫌いな男子にはとことん辛辣だからな……天災レベルの理不尽さはよく知ってる
ま、まあ、さっき教室で宣言した通り今までの行いは謝罪したし、
できる限りこれからの行動で誠意を示すつもりだけどさ、まだ何にもしてないからなぁ……
「改めてよろしくね?イッセー君!」
「おう、よろしくな!木場!」
「僕の事は祐斗って呼んでくれて構わないよ!」
「おう、よろしくな!木場!」
「言い直した!?」
「……イッセー先輩よろしくお願いします」
「あー、えっと小猫ちゃんでいいかな?よろしく。一年だよね?」
「……はい」
「姫島先輩もよろしくおねがいします!」
「うふふ、よろしくおねがいしますわ。それと私も呼び捨てで結構です、敬語も必要ないわ」
「ちょっと!朱乃!?」
「えぇ……、いいんですか?」
「これからリアスの眷属になるって事はゲームにも出るって事よ?
一緒に戦場に出る仲間だもの。それに私とリアスは同学年よ?リアスがいいなら私もいいわよね」
「えっ?あぁ……、それは……、そう、ですね……はい」
「えっ?あっ?ゲームの事を知っていたの……?」
「ああ、ゲームの事はドライグが教えてくれたんだ。眷属に誘うならちゃんとその辺も伝えたほうがいいよ?」
「あっ……。ごめんなさい……」
「うふふ、舞い上がって説明をすっ飛ばしてたわね、いろいろと……」
「あ、そうだリアス?オカルト研究部についても説明をしなければいけないんじゃなくて?」
「はっ?そうだわ!」
「そういえば、オカルト研究部って……」
「この部は私の眷属たちで構成されたクラブなのだけど、表向きの名目として世界の超常現象や世界の神秘などの調査等を目的としたクラブなの」
「あの、具体的にはどういった……」
「稀有の生き物や古代生物、遺跡などの情報を集め、それを現地で調査したり、生体を観察したりするクラブね」
「遺跡の現地見学!なにそれすげぇ楽しそう……」
「あら、興味あるの?」
「ナスカの地上絵とかピラミッドとか、アマゾンの奥地を生で見てみたい!」
「そう、それはちょうどよかったわ、なら問題なく部活にも入部してもらえるわね」
「ぜひ、お願いします!」
「朱乃入部届を帰りに渡しといて?」
「はい、部長」
「これでしばらくリアスをいじるネタにはこまらなさそうね?うふふ……」
「ははは……」
なんだかんだで仲がいいんだろうな、この二人は
よし、この流れなら、さりげなく滑り込ませられる
「あ、でも教室とか他の人がいる前では「部長」か「リアス部長」、「副部長」か「朱乃副部長」でいいかな?」
「……」
ぷくっと頬をふくらませ可愛く睨んでくる
「えっ!?あ、ほらっ!リアスは可愛いくて美人だし!男子生徒からすごく人気があるからさ!嫉妬をされそうで!」
「か、可愛くて美人……」
「あ、あれ……?」
ぼふっとリアスの顔が真っ赤になり湯気が出る
「イッセー先輩って無自覚に爆弾投下しますね……」
「あらあら、うふふ。今日も寝るの遅くなるのかしらね」
「そうだわ、イッセー君の入部と眷属加入も決まった事ですし、記念に写真撮りましょう、リアス」
「そうね、ナイスアイデアだわ!朱乃」
「……うん、これでよし、じゃ、タイマー入れますよー?」
俺を中心としてみんなが並ぶ
「……ん?いや、ちょっとタンマだ、木場」
「了解」
なんでみんな俺を中心に集まるのさ
「リアス?こっちこっち」
「えっ?……あっ……」
端にいるリアスの手を引きながら中央へ誘導する
「こういうのは部長が真ん中じゃないとな!ここにいるのはみんなリアスが好きで集まった人ばかりなんだろ?」
「……ふふっ、そうね!」
「じゃ、いきますよー!」
「「「「はーい」」」」
木場がタイマーをセットして帰ってくる
……カシャ!
俺の学園生活はこれから楽しくなりそうだ!