オカルト研究部に入部して数日が過ぎていた
俺はオカルト研究部のチラシ配りをしていた
チャリで一件一件まわってポスティングだ
一通り配り終わり公園でスポーツドリンクを飲んで一休みしている
「はぁ~。なんか悪魔の活動って、イメージしてたのと大分違うな……」
なんというか、呼び出された悪魔が呼び出した人間の願いを聞いて……そんなファンタジーなイメージを持っていたせいか
ポスティングという地味な作業があまりにも想像とかけ離れてしまっていてため息が出る
「きゃっ!」
公園の入り口で派手に転んだ女の子荷物をぶちまけながら倒れていた
転んだ女の子のところに歩いて行き声をかける
「あの……大丈夫?」
「あうう……痛い……」
痛そうに顔をしかめるシスターの恰好をした女の子が顔を上げる
ちなみに俺とシスターが普通に会話できてるのは
悪魔に転生したときに外国の言葉でも通じるようになっているらしい
≪っ!?そんな……!≫
ドライグ?どうした?
「すみません、ご心配おかけしました」
「あ……、手伝うよ」
二人でぶちまけられた荷物を鞄に詰める
≪そんな、しかしこのオーラは……≫
「あの、ありがとうございました!」
「いえいえ、どういたしまして。ところで見慣れない恰好だけど、もしかしてシスターさんなの?」
「はい!私はアーシア・アルジェントと申します、アーシアと呼んでください!正教会から今日この町に派遣されてきたのですが……」
「そうなんだ、あ、俺は兵藤一誠。イッセーでいいよ」
「はい!イッセーさんですね!よろしくおねがいします!」
≪しかし、こんなことがあるのか……?≫
だから、さっきからなんだよ。ブツブツと……
「あ、あの、一誠さんはこの町でお住まいなんですか?」
「うん、そうだよ。生まれも育ちもこの町」
「そ、それなら、教会にいく道をご存じないでしょうか……?」
「教会……、ああー……、うん、知ってるよ。たぶんあそこの事だとおもうんだけど……」
「よかった!その教会への道を教えていただけませんか!」
「あ、それなら仕事終わったところだし、案内するよ」
「え、いいんですか!ありがとうございます!」
「いいのいいの。どうせ暇だしさ。あ、遅くなるって電話だけ入れさせてね」
「はい!」
部長がつながらなかったため、木場に連絡を入れ遅くなるかもと伝言を頼む
家にも一応連絡を入れておく
教会までの道すがらアーシアさんは、今まで自分の国から出た事がないらしくいろんなものに興味を示していた
教会前
「ここであってるかな?」
「はい!ありがとうございました!助かりましたぁ」
「よかった、それじゃあね、アーシア」
「はい!イッセーさん!またお会いしたいです!」
「ははっ、嬉しいね。今度良かったら街を案内してあげるよ」
「本当ですか!?すごくうれしいです!」
「じゃあ、これ俺の携帯の番号。良かったらさ、俺と友達になってくれないかな」
「えっ!いいんですか!」
「もちろん!この町で楽しい場所沢山あるからさ!連れて行ってあげるよ!」
「ありがとうございます!うれしいです!」
「えへへ、初めてのお友達……」
「えっ?初めて……?」
「私は特殊な能力を生まれつき持っていて、それで周囲から必要とされていたんですが、ある時、悪魔の方を助けてしまって、魔女と呼ばれ追放されちゃったんです……」
「そんな感じだから、いままでお友達って呼べる人は一人もいなくて……」
「じゃあ、誰かと一緒に遊んだりって……」
「お友達と一緒にお買い物に行ったり、本屋さんに行ったりするのが私の夢です」
「よし!じゃあ、俺がアーシアの友達になるよ!さっそく今度の土曜その夢叶えに行こうぜ!」
「ホントですか!嬉しいです!ぜ、絶対ですよ!忘れちゃ嫌ですからね?」
「絶対だ!ほら!約束!」
「ふぇ?」
「こうやって、小指だして」
「こ。こうですか……」
「そう、こうやって小指からめて。ゆーびきりーげんまーんうそついたらはりせんぼんのーます!指切った!これで約束完了!」
「は、針千本のむの嫌ですぅぅぅ!」
「ハハハ!じゃ絶対守らないといけない約束だな!」
「はいっ!絶対守りますっ!」
「じゃ、土曜の朝10時に迎えに来るから!ここで待ってて!」
「はい!必ず!」
「じゃ、またな!アーシア!」
「はい!ありがとうございました!」
教会前でアーシアさんと別れ家路につく
≪あの娘やはり……。いや、間違いない!あれは────≫
ドライグはドライグでまた電波になってるし……
俺は公園でチャリを回収し、部室に戻る
今日あったことを何気なくリアスに報告すると、予想外の反応をされた
「ダメよ」
「えっ……?リアス?」
「いい?イッセー?私達は悪魔なの、教会の人間と関わるなんて自殺行為だわ」
「でも!今日知り合ったアーシアって子は悪い人間じゃ……」
ない、と続けるつもりだったが、それをリアスは首を振り否定する
「教会の陣地へ悪魔が入り込んだ瞬間に光の矢が飛んできてもおかしくないわ」
リアスが俺の頬に手を添え、言い聞かせるように言う
「もし、あなたが教会の信徒に殺されでもしたら、と思うとゾッとするわ……」
そんなことを悲しそうな顔で言うリアスに俺はうなづくしかなかった
そうだよな……、俺たちは悪魔……、アーシアは教会陣営の人間だ。いいとか悪いの以前に立場があるものな
リアスにこんな顔をさせるわけにはいかない……。グッと拳を握り締め自分の中にあるものを押し込めようとする
俺が勝手に教会に接触したら、種族レベルの戦争にも発展しかねない……それはリアスに迷惑をかける事になってしまう……
恩人にそんな迷惑をかけるわけにはいかない。俺がそう納得しようとした時……
ドライグが珍しくみんなにも聞こえるように話だした
≪相棒。リアス・グレモリー。リアス・グレモリーの眷属達よ……。聞いてくれ≫
「……ドライグ?」
「珍しいわね?どうしたの?」
≪今日、相棒が知り合った人間の女──アーシア・アルジェントは俺の元妻ソフィアだ──≫
…………………
わずかな静寂が部室を包み……
「「「「「ええええええええええええええええええっ!!!!????」」」」」
「正確には俺が封印される以前、かつてドラゴンとして生きていた時代に娶った人間の女の……転生した姿だ≫
「お、おい!?マジか!?ドライグ!!」
「な、何かの間違いじゃなくて……?」
≪転生しても魂を構成するオーラ自体は変わらない、間違いない。俺も驚いている≫
「さすがに驚きました……」
「ははは……、ホントイッセー君といると驚きの連続だね……」
「イッセー先輩自身も驚いてますけど……」
≪リアス・グレモリーよ?気が付いているか?この町に潜伏する邪悪な気配を……≫
「え、ええ……」
「っ?こないだの堕天使か!?…………っ!
≪相棒はまだ気配を察知する技が完全ではないからな、察知しきれなかったんだろう。今相棒に共有する≫
「……おい!?これ……!ドライグ……!」
≪その堕天使どもの気配のうち4匹が、教会へ近づいている、そして、教会には50匹以上の堕天使が集結し始めている、おそらく召喚陣で呼び寄せているのだろう≫
「なっ!?早く言えよ!?ドライグ!すぐ助けに──」
≪まあ、待て、相棒。先ほど教会関係者と関わりあいになるなと言われたばかりだろう?≫
「なんでそんなに冷静なんだよ!お前の──」
≪……俺が冷静だと思ったか……?相棒……≫
ドライグの声音が恐ろしく低く部室へ響く
≪リアス・グレモリーよ「街に侵入した堕天使から一般市民を守る為、領地管理者として堕天使討伐にむかった場所が「偶然」教会だった」という建前は──≫
「あ、あなたね!?そんなごり押しの理由が通るわけ──」
リアスがそう否定しようとした瞬間、俺の左手からすさまじい魔力が放出される
旧校舎が振動し始める……!メキッ!ミシッ
ドライグの発する魔力で旧校舎が派手な音で軋みを上げだす
窓の外のは紅く染まり、空が振動していた
ゴゴゴゴゴゴゴ……!
≪どうだろうか?俺は妻が堕天使に傷つけられないか気が気じゃない……。今にも力を暴走させてしまいそうだ……!≫
ドライグが放出する魔力に当てられ、部室にいる俺以外が全員が膝をつく
「ドライグ……!?」
「これは……!」
「っ…………」
「握りつぶされる…………っ!?」
「……くっ…………」
みんなの顔が真っ青になり顔すら上げられなくなっている
「ドライグ!?おい!?ドライグって!やめろって!!……リアスっ!!?」
「わ、わかった!わかったからやめて!許可するからっ!」
≪……すまないな、リアス・グレモリー。感謝する!相棒?力を貸してくれるか?≫
力の放出が止まりドライグに抑え込まれていたみんなが解放される
「もちろんだ!場所はさっきの教会でいいんだな!?」
≪ああ、急いでくれ……!≫
「行くぞ!ドライグ!!」
≪応っ≫
「みんな!うちのドライグがホントごめん!帰ってきたらちゃんと謝るから!」
俺はみんなに謝りながら部室から飛び出し、教会へ向かい走り出す
「っう……ゲホッゲホッ……う……!」
「っつ!あぁ……体が痺れて……」
「っ……!はぁっはぁっ……!」
「あれが……、赤龍帝の力……」
「何も抵抗できなかった……」
「まさか、あれほどの存在とは……」
「空が……まだ赤い……」
「と、とにかく!イッセーを追いかけましょう!一人では危険だわ!堕天使が50体もいる所へ一人で向かうなんて自殺行為よ!」
「「「はいっ!」」」