幾多の性を謳歌する 作:のーる
アマナを妻として押し付けられてから、一週間が経過した。
私の一日の行動は相変わらず、前と同じだ。
朝食を食べて、魔法を使った仕事をして、メルケに魔法の知識を教える。
ただ変わった事といえば、アマナの世話が加わってしまったことだろうか。
今も朝食を終えた後の、食べ残しをアマナがいる自分の部屋へ持っていく所だ。
今日の朝食は、親指程の大きさの焼いた芋虫と、干した木の実、そして炙った干し魚が二尾。
木の実と魚は食べたが、芋虫には手を付けていない。
五匹の焼き芋虫が入った硬い木の実を割って作られた皿に、更に水を注いで私は部屋へと向かった。
通路と部屋を仕切る薄っぺらい毛皮をめくると、その先の狭い空間の隅にアマナが座っている。
彼女は僕が寝るときに使っている厚手の毛皮に包まっていたが、僕が扉を開けた瞬間にそれを地面へと投げ出す。
膝を抱えて座っていたようで、立てられた足の間に複雑な性器が垣間見えた。
「別に隠さなくても咎める気はない。 それより飯を持ってきたぞ」
この部族の女ゴブリンは着衣を禁じられている為、全裸で毎日を過ごしている。
ローブを身にまとっている私でさえ、この洞窟の中は凍える程に寒いのに、裸のアマナにとってはそのままでいる事は拷問に等しいだろう。
別に私がいない間に毛皮を羽織るくらいは、咎めることではない。
「あ、ありがとうございます」
地面に這いつくばり頭を下げるアマナを一瞥してから、皿に盛り付けられた料理を温める魔法を掛けてやる。
それにアマナは更に恐縮し、両手を使って皿に盛られた虫とお湯を口に入れていった。
(………何だかこの環境に馴染んできている私自身が嫌になるな)
私は無言で、アマナが食事をしている部屋から立ち去り、他の仕事へと移る。
途中で通り過ぎる戦士が住む個室の中からは、淫声と体液の臭いが漏れ出していた。
数日前に今年初めての大雪が降り、トブの大森林は一夜にして深い雪に覆われた。
それにより狩りや食料採集は殆ど行われなくなり、部族は冬篭りの段階に入っている。
食料を節約し、出来るだけ動かずに体力を温存しなければならない長い冬。
そんな中で多くのゴブリンにとっての一番の娯楽が雌との交尾であり、どの戦士達も一日のかなりの時間を妻を嬲る事に使っている。
私はといえば、今年中の逃亡は流石に諦め、ゴブリン達と共に冬を越さなければならないようだ……、と受け入れる心境になっていた。
清掃と塩作りの作業を終えた後は、普段通りにメルケの元へと向かう。
彼の部屋は、部族の幹部だけあって私のものよりも随分立派だが、そこにも例に漏れずゴブリンの淫臭が漂っている。
「おお、ランゴバルト、よく来たな。 仕事は終わったのか?」
「ええ、まあ………。 お取り込み中のようでしたし、もう少し遅く来た方がよかったですかね」
「いや、いいんだ。 ただ寒さを凌ぐために、穴の中に入れていただけだからな」
柔らかそうな干し草の敷かれたベッドの上で、一体の女ゴブリンを後ろから覆いかぶさるように犯していたメルケが、あっさりと己の一物を抜いて僕の方へと向き直る。
流石に上位種だけあって、並みのゴブリンではメルケの体力にはついていけないようだ。
女ゴブリンは、雌穴から白い液体を垂れ流しながら、意味の分からない呻き声を上げている。
「………いやぁー、ブルザ部族に入って良かった。 これほど好きに女を使える部族は他にはあるまい。
ランゴバルトよ、最近寒くなってきたし、お前さんもあの妻と楽しんでいるんじゃないのか?」
「いえ、私は別に……、種族が違うから子供もできませんし、する意味が……」
「ヒヒヒ、硬いのぉー。 別に子供などと面倒な事は抜きにただ楽しむ為にやればいいんじゃ」
「……はぁ」
下手に機嫌を損なうのはまずいので、とりあえず頷いておく。
森の奥で原始的な生活をするゴブリン達の道徳は人間とは大分異なり、単純で野蛮なものが多い。
ただ所詮は、他種族のする事なので個人的にどうこう思う事はないのだが。
その後メルケは体をボロ布で軽く拭いてから、まだベッドの上で荒い息を上げている妻の股を拭い、体に毛皮をかぶせてやる。
基本的にブルザ部族の女ゴブリンは、服を着ることを許されていないが、夫の許可を得れば毛皮を羽織るくらいは許されていた。
戦士階級のゴブリンは殆どの者が妻を一人抱えており、奴隷のような扱いをする事さえブルザに許可されていたが、案外戦士達の妻への虐待は無いようだ。
明確な身分の差が確立されていることで、戦士と妻で意見がぶつかる事は無いし、もしも妻が死んでしまいでもすれば、自分の子供を産む存在がいなくなる。
他の種族と比べても旺盛な性欲を持つゴブリンにとって、性交の相手の存在はかなり重要らしい。
メルケもそうだが、高い身分のゴブリン程、女を丁寧に扱う傾向がある。
ただ一般階級のゴブリンは夜は我先にと争って共用妻へと殺到する為、妻の疲労もかなり激しく、一応睡眠時間と食事時間は確保しているものの、共用妻は戦士階級の妻よりも数段やつれていた。
その後はメルケに二時間程、私の知りうる魔術の基礎的な知識を教えてから、特に仕事が割り当てられていない自由時間に入る。
まだ時間は昼を少し過ぎた程度か。
この時間は大体私は洞窟の入口まであるき、住処の近くを軽く散歩する。
外は洞窟内の冷たさとは比べ物にならない、肌を刺す寒気が満ちているが空気は新鮮だ。
流石に真冬に入っただけあって、洞窟の外には見張り番くらいしかいない。
灰色の雪雲に覆われた空を一人で見上げながら、私は故郷の事を思い出した。
(今ごろ学園ではどういう授業をしているのだろう……。 私の事も既に話題にのぼらなくなっているかも知れないな)
利用できる取り巻きとしか思っていなかったとは言え、共に学園生活を過ごしてきた班のメンバーを殺された時は衝撃を受けた。
だが、結局は深く悲しむ事も無く、怒りのあまりブルザに向かっていくことも出来ない。
ただゴブリン達の部族の一員と成り果て、自分の命を繋ぐために、己の身を立てる為に研鑽した魔導の力を安売りする毎日。
ここに来るまで、私自身がこれほど薄情で、誇りを持たない人間だとは考えたこともなかった。
(よく考えれば私に本当の仲間などは一人もいなかったか。 ………ジエットの奴には悪いことをしたかもな。 ……私は奴が妬ましかったのか?)
文明社会で生きる上で築き上げた仮面を脱ぎ捨て、初めて自分自身の姿が見えてくる。
そう考えれば、この洞窟での生活も全てが悪いという訳ではないが、やはり快適な生活を送ることのできる帝国に帰りたいという思いはある。
こうして散歩が許されていることからも分かる通り、私には特に監視が付けられているという訳ではない。
ただそれは、ブルザが私を信用しているというよりは、私の力ではトブの大森林の奥地から脱出出来ないだろうという侮りから来ているようだ。
やがて寒さの限界が来て、洞窟へ入ってまた暫く時間を潰す。
そうして夕食を取ってから、その余りをアマナに持っていき、睡眠をとる。
それが、ここ数日の日課だった。
ただ最近は少し変わってきたこともある。
――――――――――――――――
「《清潔/クリーン》………、よし、もう寝るぞ」
アマナの体を魔法で清めてやった後は、同じ毛皮にくるまり、身を寄せ合いながら眠りに入る習慣がついていた。
私が所持する寝具用の毛皮は一枚しかなく、初めは私がその毛皮を使って、アマナは部屋の壁際にでも寝かせておこうと思っていたのだが、夜の寒さに歯を鳴らして震えるアマナの様子を見て、仕方がなく一緒の毛布に入る事を許した。
それが数日続き、今では私もアマナと共に寝ることにすっかり慣れてしまったようだ。
ホブゴブリンとは言え、肌の感触は滑らかで暖かい。
暖を取るための手段としては、アマナを寝具の中に入れることは優れているし、流石に何日も食事の面倒を見て、体を清めてやれば、多少の情も湧く。
基本的にこの部族で浮いた存在である私にとって、アマナは唯一、気を使わずに接する事ができる存在なのだ。
最近では、仕事がないときは彼女と話して時間を潰すことも多くなった。
「はい……、ランゴバルト様、お休みなさい」
ただ、私はあくまでアマナと寝ているだけだ。
人間としての矜持はまだ残っているし、亜人相手に手を出すことなどありえない。
しかし、横で安らかな寝息を立てているアマナの存在を感じていると、何故か妻にするときに見た、性器の映像が脳裏にちらついた。
ぬらぬらと濡れた光を帯びた、赤い粘膜。
唇に触れた尿と恥垢の味と臭い。
気持ち悪いだけの筈のそれが、何故か私の陰茎をいきり立たせる。
(くそっ………)
これではとても寝られないと思い、股間に手を這わせて音を立てないように男根を扱く。
だがアマナの事が気になって、自らの手による刺激だけでは満足できそうもなかった。
(ね、寝ているよな?)
陰茎を握る右手はそのままに、左手でゆっくりと、芋虫が這うよりも遅いのではないかという速度で、仰向けに寝ているアマナの太もも、そしてその先の陰毛の茂みへと手を伸ばす。
亜人のものとは言え、柔らかく温かい感触は私の理性を狂わせる。
股の間を指でかき分けた先に、明らかに湿り、熱い程の熱を湛えた秘肉を感じた。
「うっ!」
その時だった。
急にアマナが動き出し、彼女の手が秘貝へと伸びていた私の腕を掴む。
思わず声も出してしまい、私の頭は焦燥感と恥ずかしさで真っ白になった。
「こ、これは……」
私がしどろもどろに言い訳をしようとする間もアマナは動きを止めず、毛皮を剥ぎ取って、あっという間に私の上に馬乗りになった。
「そのまま動かないで……、私が良くして差し上げます」
私にかかる彼女の体重が軽くなり、ついで陰茎に熱い感触を感じる。
亀頭に一瞬抵抗がかかるが、直ぐにそれを突き破り、私のものは熱い液体が満たされた空間へと誘われた。
「や……」
やめろ、そういうつもりだったのだが、アマナの体内のあまりの心地よさに何も言葉が出ない。
亜人と交わる等あってはならない、だが、それを拒絶する事も出来ない。
私はただ、アマナの腰の弾みに翻弄されるままだった。
「ランゴバルト様が私の事を気に入っていないことなど分かっていますが、私には他に生きていく術など無いんです。 ……こうして暗闇の中でなら、私の事は見えませんよね? 他には何もできませんが、せめて穴だけでも使って下さい」
アマナにとって、私は唯一の生きる物資と居場所を提供してくれる存在だったのだ。
今までの最低限しか彼女に関わろうとしない態度がアマナの不安を増幅させ、今回の暴発を招いてしまったのだと今更ながらに気がついた。
そうして互いに無言の数分間が過ぎ、私の精は亜人の膣の中に解き放たれてしまった。