旅館に到着し、挨拶を終え現在は指定された部屋にいる。ちなみに一夏は織斑先生と宗隆は山田先生と同室になっていた。
「一夏ー。先着替える部屋行って着替えてるぞ~」
「おお、わかった後から追いつくわ~」
宗隆は着替える離れへ移動すると、中庭にうさ耳が生えていたが・・・
「これ抜いちゃあかんやつですやん・・・」
華麗にスルーしていた。その後着替えてるときに何か落ちてきた音がしたので抜かなくてよかったと宗隆は思ったそうな。そのあと一夏も入って着替えたので共に海に向かった。
「あ、神崎君と織斑君が来たよ!!」
「ねぇ!私、水着変じゃない?」
やはり学園に男子は2人だけなので注目される。それもそうだ、一夏と宗隆は両方ともイケメンである。当然のごとく派閥がある。まぁ一夏はそんなことは露と知らず宗隆は薄々勘づいている。
「宗隆さん、こちらですわ」
「宗隆、いろいろ持ってきたからね」
「というより、似合ってるかな・・・」
「嫁よ、私たちの水着を見た感想はないのか?」
というわけで、宗隆は感想を求められたので・・・
「あー、セシリアはかわいいっていうより美しいって方だね。シャルとラウラと簪はかわいいし、なんていうかエロすぎです・・・」
「あら、では夜にでもお相手いたしましてよ?」
「お風呂みんなで入ったらすごそうだね」
「嫁と温泉か。これはまたいいものだな」
「宗隆と一緒に温泉か~。結婚しても毎日一緒にお風呂入ろうね」
「お、おう・・・」
宗隆はもうこの4人からは逃げられないことを確信した。
「ね~ね~、たかちゃーん。一緒にビーチバレーして遊ぼー」
「おー、のほほんか。いいぜ、チームはどうする?」
「「「「宗隆、私と組んで!!!」」」」
「お、おう・・・」
「それじゃ順番ね~」
というわけで、かなりの時間をビーチバレーに充てられた宗隆、順番をくじで決めいざやっていると丁度織斑先生と山田先生が来た。そして、あれよあれよという間に先生タッグVS男子生徒タッグマッチが決まった。
「一夏、アタックとトスどっちがうまい?」
「お、俺はトスのほうがうまいぞ?」
「わかった、なら俺が何が何でも拾うから俺の言った方向にあげてくれ」
「わ、わかった」
というわけで、ゲームスタート。
「サーブ権はこちらだ。行くぜ!!」
ジャンプサーブを撃ち始まる。
「すっごいね、神崎君ってジャンプサーブできるんだ~」
「あのフォーム見るとプロって感じがするね!!」
「一夏!!左サイド!!!」
「おっけー!!っよ!」
「おりゃ!」
「甘いぞ!」
お互いにアタックをかましたりフェイントでトスが入れたりするがお互いにそれも拾って譲らない。
「一夏!左だ!!」
「っよ、あ!やっべ!!」
点数が入らず焦った一夏はトスをミスる。が
「ナイスだ、一夏!!」
宗隆は助走の途中で右サイドへ旋回しアタック。
「っく!これは!」
何とか拾う織斑先生、だがボールは後ろへ飛ぶ。山田先生は辛うじてトスを上げるがネットまで距離がある。が
「これで終わりにしてやろう!!」
織斑先生が思いっきりアタック、最後は宗隆が拾えず教師タッグに点が入る。
「おおおおおおお!!」
そのあとはお互いにまた譲らぬ展開になったので先制した教師タッグの勝利となった。
「お前の姉ちゃん人間やめてるだろ・・・」
「それはいえてら・・・」
「わ~、おりむーとたかちゃんがへとへとになってる~」
「宗隆、大丈夫?はい、お水」
「シャル、ありがとな」
「私も持ってきたわ。はい」
「鈴、ありがとさん」
宗隆と一夏は水分補給をする。
「そういえばさ、宗隆って4人と恋人関係なんだろ?」
「そうだが?」
「その、なんであの4人は仲がいいんだ?」
「さぁ?同じ男に惚れた誼じゃね?」
「そんなもんか?」
「お前も難儀なものだな。あの二人の好意に気づかないなんてな」
「あの二人って誰だよ」
「はぁ・・・まぁガンバレや一夏」
「お、おう・・・」
だが、宗隆には分かってしまった。ここ最近一夏を見ていたがあいつに箒と鈴に対する認識は幼馴染でしかないことに。
「まあ、俺にはどうでもいいことだ」(こいつは唐変木ってわけじゃない。ただ女の子として認識していないだけ、いうなれば女の子ということを意識してない。唯一女性として認識してるのは姉である織斑千冬だけとは・・・。難儀なものだ、こいつに惚れた女も)
そのあとはいつもの5人で遊んだ。そして1日目の自由時間は終わり夕食と相成る。簪はクラスが違うのでここにはいない。
「そういえばセシリアは正座とか平気なんだな」
「ええ、宗隆さんと一緒にいるのですもの。これくらい慣れておかねばと思いまして」
「ていうかみんな大丈夫なのな」
「私は茶道部に入っているからな」
「僕は慣れるのが早いからね」
以外にもみんな正座が大丈夫であったので席順は宗隆の隣にセシリア、対面にラウラとシャルロットとなっている。
「う~む、これはなかなかうまいな。が・・・」
「僕たちの料理と比べて?」
「お前たちの料理のほうがうまい」
「嫁よ、うれしいことを言ってくれるな」
「だってほんとのことだしね」
「あら、事実だとしても言ってくれることがうれしいのですわ」
このときの周りの反応は皆一致しているはず。
『ここで惚気るな!!』
だろう。
夕食タイムが終わり現在の時間は男子生徒の入浴時間であるため一夏とともに温泉へ入っている。
「ふ~。やっぱ湯船につかれるっていいよな~。学校だと大浴場はあんまり使えないから懐かしく感じるぜ」
「男子生徒は俺とお前だけなんだ。二人のために男湯を作るのはあまりコスパが合わないしな」
「それもそうだな。でも部屋に浴槽ぐらいあってもいいだろ」
「スペースがないだろ」
「それもそうか」
裸の付き合いというかなんて言うか気が緩む二人。
「なんていうか、平和でよかったぜ」
「そう・・・なったらいいのにな・・・」
「ん?何かあるのか?」
「いいや、何でもない・・・」
宗隆は一瞬浮かない顔をしたが悟られないように顔を隠す。
「なんかあったら言ってくれよな。相談にぐらいなら乗ってやるから」
「ならそん時は頼らせてもらうよ」(こういうことに一切邪念が見えないからお前は厄介な存在だよ)
「そうしてくれよ~。」
そのまま二人で温泉につかり疲れをいやしていた。
「あら、鈴さんは何をしていまして?」
「シーッ!ばれちゃうでしょうが!!」
(千冬姉久しぶりだからな)
(いいからとっととやれ・・・)
「ええっ!織斑先生!!」
織斑先生が嬌声を上げるごとに増える覗きだった。
「にしても、神崎もなかなかなものだな」
「そうでしょうか?親でやっていたからですかね?」
「一夏、そっち頼む」
「あいよ、ていうか千冬姉全身やばいなこれ」
「俺の母さんの比じゃないな。これは解すのに手こずるぞ」
「お前たちが迷惑かけてこんなことになっているのだろうが・・・」
「「すんません・・・」」
「わかればいいんだ」
それから30分後・・・
「やっと終わった・・・・!」
「千冬姉これ定期的にやんないとやばいって!!」
「ふむ・・・なら定期的に頼むとしよう。そういえばそこで覗いている者たちよ、出てこい」
「バレてる!!」
織斑先生がそう言うとぞろぞろと中に入ってくるヒロインズ。
「お前らなにやっとんの?」
「ていうかなんで覗いてたんだ?」
「男子、二人はもう一度風呂にでも入ってこい。汗臭くてたまらん」
「え?」
「千冬姉?」
「いいから行け!」
「「は、はいい・・・」」
宗隆と一夏は駆け足で部屋を出ていき風呂へと向かった。
「お前たち、何が飲みたい」
「は?」
「何が飲みたいのか聞いている」
「わ、私は緑茶で・・・」
「わたくしは紅茶でしたら・・・」
というわけで、織斑先生からそれぞれ飲み物を渡された。
「あの、これってどういう・・・」
「おう?口止め料だ」
「く、口止め料って・・・」
理由を聞こうとした瞬間織斑先生は缶ビールを飲み始める。
「んあ?お前たちは私がオイルを飲む女とでも思っていたのか?」
「いえ・・・そんなわけでは・・・」
「まぁいいだろう?口止め料は渡したんだ」
「あ、そういうことですの・・・」
皆察したようだ。
「それで?お前たちはあいつらのどこがいいんだ?まずはオルコット。お前からだ」
「わ、私でして!?わ、わたくしは・・・宗隆さんがとても強いからですわ。」
「ほう、確かにあいつは強いな」
「ですが、宗隆さんは何と言いますか・・・強いのですけどその強さだけではなくその中に確かな優しさがあります。わたくしはそんな宗隆さんに好意を抱きました。」
「よくわかった。では次にデュノア、お前だ」
「ぼ・・・私は、宗隆が私のために全力で助けてくれました。あの時はすごく悲しくて、でも宗隆はそんな私に道を照らしてくれたんです。だから私は宗隆のことが好きなんです。」
「神崎がな・・・。次!更識妹だ!!」
「わ、わわわ私は、その・・・更識の人間じゃなくて簪って言う私個人をしっかり見てくれて・・・。その、私のことを手放しで褒めてくれて、とっても嬉しくてこんな人と一緒に居たいって思ってたら好きに変わってました」
「そうかそうか、神崎はそんなところがあるのか。次はラウラだ」
「私は、嫁が存在価値をくれたからです。嫁は私は私だと言ってくれて、私の目のことを綺麗と言ってくれました。しかもそれに嘘がなかったんです。私はそんな嫁が好きなのです。教官」
手放しに宗隆をほめる4人、それに影響されたのか鈴と箒も一夏が好きなことを再確認した。
「で?篠ノ之と鳳はどうなんだ?」
「私たちは・・・。お互いに少なくとも4年間は一緒にいたわけですし」
「あいつのいいところなんていざ言おうとして見ると正義感が強いくらいしか上がらないわね」
「だが、私たちはそれに助けられたからな・・・」
「そこからよね、好きになったのは」
「なんだ、そうだったのか」
一方そのころ宗隆と一夏はもう一度風呂に入りのんびりしていた。
「なぁ、なんで俺たちは追い出されたんだ?」
「あれなんだろ、女子会みたいなもんだと思うよ。」
「納得。女子会に男子がいるとなんかやべーもんな」
「俺に言われずとも察しろよ」
「善処します」
そんなことを話していたが突然宗隆は海の方角から邪悪を感じ取った。
「っん、何かが来る・・・」
「へ?どうかしたか?宗隆」
「海のほうから何かが来る・・・。とても強い邪悪な何かが・・・」
「お、おい。大丈夫かよそれ」
「来るのは明日・・・かな?」
「何かあるのか・・・お前の勘はよくあたるって聞くし警戒しとくぜ」
「そうしてくれると助かる・・・」
同時刻、織斑先生との話を終えた女子一行の中でセシリア、簪、シャルロット、ラウラは違和感を感じていた。
「何か違和感を感じません事・・・?」
「なんかこう・・・いやな予感的な?」
「宗隆が嫌な予感がするって言いそうな感覚だよね」
「恐らく、明日何かありそうだな。大事でなければいいが・・・」
この4人は覚醒するかもしれない・・・。
あくる次の日、臨海学校2日目でIS操縦の実習のため砂浜に来ている。ラウラの遅刻などがあったものの予定通り一般生徒と専用機持ちで別れる。
「おっと、篠ノ之はこっちだ」
「えっと、どういうことですか?」
「すぐにわk・・・」
「ちーちゃーーーーん!!!!」
なんか織斑先生の後ろから砂煙を上げて女性が走ってくる。
「はぁ・・・ふんっ!」
走ってきた女性を蹴飛ばして止める織斑先生そして蹴飛ばされた女性が負けじと絡む。
「へいへい!ちーちゃん、久しぶりだね!!さぁさぁ!!この束さんと愛のハグを・・・」
「やめろ、気持ち悪い」
「ぶへっ!!っとおお!箒ちゃんも久しぶり!!!おっきくなったね~特におっぱぶへっ」
「姉さん・・・殴りますよ・・・?」
「いったーい!!殴ってから言った~!!」
「えっと、織斑先生?この方は・・・」
「束、自己紹介をしろ・・・。皆が困惑しているだろう・・・」
「ハロハロ~。超天才科学者の篠ノ之束で~す。以上!!」
「もっとまともにやらんか!!」
「へぐっ!!おお!君かい?いっくん以外にISを動かせるって言うイレギュラーは」
そう言って宗隆を睨む篠ノ之束
「イレギュラーね、いつの時代でも俺はそう呼ばれてきたし。今更か」
「ふーん、君自分の置かれてる状況分かってるの?」
「これでも分かってるけどね。でも所詮は重力に魂を囚われている人間か」
「なんだい?その言い方は、私はね超天才なんだけど・・・」
「だが人間の域を出たわけではない。そうだろう?」
「っく!イレギュラーごときが!!生意気!!!」
「この勝負、あんたの負けだな」
「誰が負けただって~!!!!」
「っふ・・・。所詮は獣か、人語は解さないか」
「今に見てろ!絶対後悔させてやる!!凡人め!!!!!」
宗隆は束に煽られたので巧みに煽り返す。
「神崎、束。いい加減にしろ」
「分かったよ、ちーちゃん」
「このくらいにしときます」(癖で煽り返しちゃったけど、まぁいいだろう。こいつはNTじゃないし。ただの天才ってだけか)
無意識に怒っているのか宗隆の束の評価は散々だった。
「ところで、ここに何しに来たんだ束」
「そうだった、忘れてたよ~。それじゃみんな上にご注目!!」
そう言ってコンテナが降ってきた。コンテナが開きそこにあったのは紅いISだった。
「これこそ!箒ちゃんのために私が作った現時点での最高傑作!!第4世代型IS紅椿だよ!!」
「束、やりすぎるなとあれほど言ったはずだが?」
と、なんやかんやあったが箒も含めた専用機持ちと一般生徒は別々になり実習を開始した。
「では!箒ちゃん、最適化するから乗って乗って!!」
「わかりました」
「あら、宗隆さんは何をしていまして?」
「嫌な予感がするから必要なもののメンテナンス作業」
「あ、やっぱり宗隆も感じたんだ」
「え?シャル達も感じたの?」
「うん、なんか嫌な予感がするって昨日の夜そう感じたの」
「嫁と同じことを感じるとはな」
「そ、そうか・・・」(俺の近くにいたからなのかな・・・。この4人もNTに覚醒するのかな・・・。そうするとなんかすごく申し訳ないや。)
「そこ!ナンデ紅椿に注目してくれないのさ!!」
「なんでって、性能はいいですけどああいうのは当たらなければどうということはないので」
「言ってくれるね!!」
「どれだけ性能が良かろうと乗り手が素人じゃな、機体の性能を発揮できず死ぬだけだ」
「な、なんでそんなこと言うんだ!性能が良ければ勝てるんだよ!!」
「ISの性能が戦力の決定的ではないことを教えたほうがいいのかな?」
「神崎!束!いい加減にしないか!!そんなところでキャットファイトするな!!」
「「はい・・・」」
「織斑先生ーーーー!!大変です!!」
山田先生が織斑先生に何かを急いで伝える。
「おい!お前たちは至急旅館に戻れ!専用機持ち全員は広間に集まれ!!」
手短に指示を飛ばすと急ぎ旅館へ戻っていった。
「当たってしまいましたわね」
「でもあまり重大なことじゃなきゃいいけど・・・」
「宗隆も戻らないと・・・って大丈夫!!」
「嫁よ!しっかりしろ!!」
宗隆はなにかに充てられたみたくへたり込んでいた。
「あ・・・・あああ・・・来る!!邪悪な何かが!!」
「大丈夫だ!嫁よ、まだその邪悪とやらは来ていない!」
「だ・・・め、そこ、まで・・・」
「とりあえず連れて行きますわよ!!」
そう言ってセシリアとシャルロットで宗隆を抱え旅館へ急ぐ。
「これで全員だな。山田先生、説明を」
ここに来るまでに何とか宗隆は持ち直し、平静を保っている。
「はい、現在アメリカとイスラエルが共同開発中であった第3世代IS『シルバリオ・ゴスペル』が試験中に突如暴走、超音速飛行で日本に向かいつつあります。そして国連より正式通達がありまして、あと1時間半ほどでここから約30キロ先を飛行するであろうこのISを我々が迎撃せよとのことです。」
「それでは、その機体の詳細スペックを提示してください。」
「許可するが外部には漏らすなよ。漏らした場合裁判にかけられ最低2年間の監視が付くぞ」
「了解しましたわ」
スペックを見た時の宗隆の感想は、
「サイコガンダムmk2かよ・・・。」
「宗隆?」
「いやなんでもない。んで?作戦はどうするんですか?」
「恐らく敵に接触できるのは1回だけ、目標は撃墜だ。だから一撃で落とさねばならない。」
そこで全員一夏を見る。
「お、俺!?」
「そうだ、お前の零落白夜で一撃で決めるしか方法がない。だが実戦だ強制はしない。」
「お、俺は、やります!やらせてください!!」
「そうか、ならエネルギー温存のため輸送役が必要だな・・・」
「なら、わたくしの高機動パッケージだありますからそれで・・・」
「ストップストップ!!ちーちゃん、この私にいい作戦がナウぷりーてぃんぐだよ!!!」
「束、お前は出ていけ」
「聞いて聞いて!!箒ちゃんの紅椿なら追加パッケージを乗せなくても超音速飛行ができるんだよ!!」
「本当か?束」
「ホントだよ!!」
「最高速度はどのくらいだ?」
「これくらいだよ!」
そう言いデータを出す。宗隆は速度を見て・・・
「おっそ・・・」
「は?今君遅いって言ったよね?じゃあ君の機体はどのくらい出せるんだい?」
「俺の機体は、つい先日できた外付けブースターを展開すると・・・。安全装置ありで時速5000k約マッハ5ですね、ただし人を運ぶとマッハ2ぐらいまで落ちますが・・・」
「君、嘘ならもっとましな嘘をついてよね」
「嘘じゃねえよ」
「まったく、お前たち二人は!!作戦を伝える、篠ノ之は織斑の輸送役をしろ、そのあとは織斑の援護に回れ。神崎はそれに付いていき篠ノ之、織斑両名のフォローと不測の事態による状況判断を任せる。以上だ、束紅椿のセッティングは?」
「10分でできるよ!!」
「神崎は?」
「その気になればいつでも」
「では作戦開始は30分後とする!各自作戦時間まで解散!!」
とりあえず広間から出る。
「はぁ・・・。勝てるかな・・・」
「宗隆さん・・・」
「宗隆・・・」
「宗隆」
「嫁よ・・・」
「正直、今の一夏と箒の実力を考えると勝利は絶望的で返り討ちに合う確率のほうが高い。俺一人ならまだ何とかなるかもだが・・・」
「私たちも・・・」
「いや、あの機体はどちらかというと玉になってかかるより1on1のほうが撃墜しやすいんだ。あっちは広域殲滅型だ。1対多数を想定してるから多数で攻めた場合、向こうの土俵なんだ。多数のほうは仲間のフォローや連携なんかもあって一人一人がエース操縦者級の場合実力が生かされないかもしれない。だから広域殲滅型には1on1の広い場所での決戦が一番撃墜しやすいんだがな」
「そう・・・なのですね・・・」
「別にお前たちが必要ないと言ってるわけじゃない。戦いには適材適所って言うのがあって・・・」
「宗隆、何をそんなに焦っているの?」
「は・・・?俺が焦っている・・・?馬鹿なことは」
「いいや、今の説明でよくわかりましたわ。宗隆さんあなたはとても焦っていますわ」
「宗隆、落ち着こう?初めての実戦だからって肩に力が入りすぎだよ」
「嫁よ、落ち着けばおのずと勝利が見えてくるはずだぞ」
「違う・・・違うんだ!!」
宗隆は涙を見せる。
「怖いんだ・・・。さっきからずっとずっと頭の中が気持ち悪いんだ!!嫌な予感ばかり感じて!勝つ未来が見えないんだ!!全部真っ暗なんだよ!!」
「宗隆さん・・・」
「さっきからずっと俺この戦いで死ぬんじゃないかって!感じるんだ、死神の気配が!!」
「宗隆・・・」
「だから!怖いよ!嫌だよ!戦いたくなんてない!!」
「宗隆・・・」
「嫁・・・」
「怖いよ・・・。誰かたす・・・けて・・・」
初めて自分から助けを求める宗隆、そしてセシリアは宗隆を抱きしめる。
「落ち着いてくださいまし。宗隆さん、あなたの恐怖は人として間違ってはいませんわ。ですけどもう作戦はやることが決まってしまいましたわ。ですからやらなければいけません」
そこに簪も声をかける。
「だけどね、宗隆。私たちは宗隆が生きて帰ってくるって信じて待ってるから」
シャルロット、ラウラも加わり宗隆を勇気づける。
「宗隆、大丈夫だよ。本当に危なくなったら逃げればいいんだよ。そうすれば生きて帰れる。その権利織斑先生から渡されてるんでしょ?なら本当に危なかったら逃げていいんだよ?」
「嫁よ、お前は操縦者として一人前だ、私が保証する。一人前の操縦者は引き際をわきまえている。だから生きて帰ってきてエースと呼ばれるのだ。お前は間違いなくエースだ、軍人の私が保証するんだ。自信を持って、自分の死ぬ運命なんて壊してしまえ」
4人の温かい心により宗隆の恐怖は打ち払われた。
「うん・・・。しっかり状況判断して危なかったら逃げてくるよ」
「はい、期待して待っていますわ」
「ちゃんと帰ってきてね宗隆」
「嫁よ、しっかりと生きて帰ってこい」
「宗隆、みんなで待ってるから。これが終わったら帰ってみんなで好きなもの作ってあげるからね」
「おう、じゃあもうすぐ時間だから行ってくるわ」
「「「「行ってらっしゃい!」」」」
宗隆は送り出された。宗隆は絶対に帰る決意をしながら送り出してもらった。
「来たか、神崎。今すぐ専用機を展開し出撃に備えろ」
「了解・・・」
宗隆はドラッツェを追加ブースターとともに展開。
「結構大きいのだな」
見た目は某ACのVOBとなっている。
「じゃないと速度は出せませんので」
「そうか」
「宗隆!やっと来たな」
「一夏はずっとここで?」
「ああ、箒の調整を見てた。」
「そうか、準備はいいか?」
「できてるぞ!いつでも来い!!」
「気合十分だな」
「私もいつでも行けるぞ」
「箒も調整が終わったか、ならここからは実戦だ。気を引き締めて行こう」
「すべてがうまくいくとは限らないからな」
「何を言っている、この私と紅椿がいるのだ。すべてうまくいくさ。大船に乗ったつもりでいろ」
「そ、そうか・・・」
「神崎、篠ノ之が浮ついているからな。撤退するなら決断を早く出してくれ」
「了解」(この気配、やはりこいつは浮ついているな・・・。いくら高性能だからってその機体の性能100%出せなきゃ意味がないのに・・・)
「作戦開始まであと1分だ、篠ノ之は織斑を抱え開始の合図に備えろ」
「はい!」
「作戦開始まで5、4、3、2、1、0!作戦スタートです!!」
「神崎宗隆、ドラッツェ!行くぞ!!」
追加スラスターに火を入れトップスピードで出ていく。
「紅椿!篠ノ之箒、出る!!」
箒も負けじと発信しトップスピードで追いかける。
「すげぇな、宗隆は。前を飛んで完全に俺たちと守ってやがる・・・」
「それはそうだろう、お前が作戦の要だ。そうするのは当然だ」
「無駄口叩いてないで集中しろよ。このスピードならあと5分もしないうちに接触するぞ」
「「了解!!」」
そう言っていると敵性機体を発見し戦闘へ入る。
「見つけた!!ブースターパックパージ!」
「行くぞ!一夏!!」
「おう!」
「戦闘開始!!」
とりあえず接触したはいいものの、奇襲では決められなかったため泥沼の戦闘と化していた。
「一夏!零落白夜は何回使える?」
「あと3回ぐらいだ」
「帰りと合わせると2回が限度か・・・。良し、箒!」
「なんだ!宗隆!」
「福音の攻撃の目を俺にひきつける!だからお前は一夏のために福音の体制を崩せ!!」
「了解した!!」
「一夏!できればこの一撃で決めてくれ!!」
「わ、わかった!」
「んじゃ行くぞ!!」
宗隆は福音の弾幕の中へ入っていき巧みに弾幕を避けながら福音に近づき至近距離でのマシンガンぶっぱを実行、ヘイトをこちらへ向ける。
「箒!」
「あいわかった!!」
次に箒が全速で近づき福音の羽を斬る。
「ラスト!一夏!!」
「うおおおおおおおおお!!」
福音は反応したが遅い、苦し紛れに弾幕を張る。が一夏は海に何かを見つけたのか攻撃をキャンセルしそちらへ向かう。
「な!?一夏!」
「船がいる!!多分密漁船だ!」
「こんな時に構っている暇がるのか!そいつらは犯罪者だ!!」
「箒・・・。そんな悲しいこと言うなよ・・・」
「なっ!?わ、私は」
「そんな悲しいやつだったか・・・?」
「い、一夏・・・」
だがこれが決定的な隙となって福音が付け入る。
「箒!!」
が、一夏が箒を攻撃する福音との間に入るがそこにさらに宗隆の盾が割り込み箒と一夏両方を助ける。
「馬鹿が!!こんな時にお前がやられてどうする!」
「わ、わるい・・・」
「箒!お前もしっかりしろ!!今は戦闘中だぞ、死にたいのか!!」
「そ、そんなつもりは!!」
「いいから下がってろ!」
宗隆は無理やり戦闘を続行、福音は宗隆が気に入らないのか宗隆から目を離さない。
「少し、心苦しいが!!」
宗隆はヒートロッドを福音にくらわせる。すると突如福音が光を放ち中から女性が出てきた。
「一夏!あの人を拾って!!福音の操縦者だ!」
だが福音は止まらない。無人機となってさらに過激な動きをするようになった。
「拾ったぞ!どうする!」
「お前ら二人は撤退しろ!人を一人担いで戦う余裕は俺たちにない。殿は俺でいいから!!」
「わ、わかった!箒、帰るぞ」
「い、一夏・・・私は・・・」
「いいから帰るぞ!!」
「わ、わかった・・・」
「宗隆!死ぬなよ!!必ず生きて帰ってこい!!」
「死んでたまるかってんだ!!」
「旅館で待ってるからな!」
そう言って一夏と箒両名は戦闘空域から離脱、宗隆はただ一人空域に残り戦闘を続行する。
「これでやっと一人だ・・・。本気を出せるし、お前は無人機だ。容赦はしねえ!!」
宗隆は1on1での状況を望んでいたためかなりやりやすい環境になった。
同時刻、監視衛星からの映像で宗隆の動きを見ている織斑先生や山田先生は宗隆の動きに舌を巻いていた。
「あいつ、一人だとこれほどの動きをするのか・・・」
「なんなんでしょうか、あの動き。空中でなんかフワッって浮いて少し落下して射撃のロックオン誘導を切っています。しかも落下しながら射撃したり横にバレルロールをしたり。」
「だが、まだ本気ではないみたいだ。VTシステムの時に見せたあれをまだ出していない」
「そうですね・・・。経歴はいたって普通なのに、あの動きは異常です。政府などに警戒されてはいないのですか?」
「いや、警戒の的だ。あれは才能ということでは簡単に説明がつかない動きだ。あんな動き私ですらできないぞ」
「宗隆さん・・・」
「セシリア、心配だけど信じて待つしかないよ」
だがセシリアやシャルロット、ラウラ、簪の中にはぬぐえない何かが頭の中を駆け巡っていた。
一方、篠ノ之束も別の場所で同じ映像を見ていた。
「あいつ、なんなの?この動き、まねできないわけじゃないけどそんな動き難しいに決まってるじゃん」
天才でも理解できないことが起きていた。
「まだIS動かして半年くらいしか経ってないのにこれはおかしいよ」
映像を見ていた束は次の現象にさらに驚きを隠せなくなる。
「はぁ!!質量を持った残像って!!」
宗隆はスラスター系のリミッターを解除し決着を付けようとしていた。
「こんなの!ちーちゃんにもできないよ!!しかも一切操縦が破綻してないって!!」
あり得ないのだ、普通。こんな動きをして反応速度が追いつくわけがない。
「こんなのあり得ない!私やちーちゃんですらそんな動きをしたら機体の操縦が破綻するのに、神崎宗隆。一体何者なんだよ!!」
束が悪態をついていた。
そして戦闘空域では戦闘が佳境を迎えていた。宗隆はスラスターリミッターを解除そして残像で弾幕をばらけさせて突撃、一瞬のうちに懐に入る。
「これで!!」
そして宗隆は福音に対しチェーンマイン改を巻き付け爆破させる。
「前のものより大幅に威力は上がっている。確実に仕留められるはずだ・・・」
爆炎から福音が海に落ちるのが見えた。
「これ以上はもう戦えない・・・」
ドラッツェは所々装甲が融解していてこれ以上戦闘を続けようものなら機体が耐えられず爆散してしまう。
「だが・・・なんだ?この違和感は!?」
だが次の瞬間、海から一条の光が宗隆の脚部スラスターを捕らえ爆発する。
「っく!まだやろうってのか!?」
海から突然光りが舞い上がりそこには福音が見えた。
「せ、セカンド・・・シフト・・・」
セカンドシフトをした福音が上がってきた。
「・・・。ごめんみんな、帰れそうにないや・・・」
これ以上は宗隆は戦闘継続は不可能だ。疲労も機体の耐久もこれ以上戦うには無理がある。
「これ以上の戦闘継続は不可能だ・・・。だが道理、私の無理でこじ開ける!!」
戦闘続行を宗隆は選択、脚部スラスターがなくなり機動力も低下、疑似バイオセンサーモードも使い装甲は融解、宗隆自身の疲労もピークを迎えている。このままでは壊れるのは宗隆のほうだろう。
「ダメです!!帰ってきてくださいまし!!」
マイクに向かいそう叫ぶセシリア。
「無理だ、通信電波がやられたのか宗隆との連絡が取れないのだ・・・」
「そ、そんな・・・」
福音を一度撃墜した時に千冬は撤退を進言しようとした。だが繋がらなかったのだ、慌ててどうにかしようにも時すでに遅し、福音はセカンドシフトで戦闘を続行したのだ。
「通信もつながらない、機体ももう限界、俺も限界。だが!ここでお前を落とさなきゃ!次はセシリア達なんだ!!」
必死に食らいつくが福音の攻撃がセカンドシフトでさらに激しくなり回避が追いつかず致命傷は避けているが被弾が増える。
「くっそ!ガンオンでアレックスがはやった時代みたいじゃねえか!!」
思わず悪態をつく宗隆、あの時代は闇だ・・・。
「あいつらを!温かい光を見せてくれたあいつらを!!守らなきゃいけねぇんだよ!!!」
だが現実は非情だった。とうとう、動きに耐えられず背部スラスターが停止、そして福音の攻撃が宗隆を捕え爆発、宗隆は海へ落ちていき海中へ没する。
「ああ、俺はここで死ぬのか・・・・。」(ごめんセシリア、ごめん簪、ごめんシャルロット、ごめんラウラ・・・さようなら・・・。)
宗隆は諦め意識を手放し墜ちてゆく、蒼い海の底へ。
「宗隆さん!!」
「宗隆!」
「宗隆!」
「嫁!!」
「神崎が・・・落ちた・・・」
セシリアやシャルロット、簪、ラウラは・・・
「あきらめてはいけません!!」
「宗隆!ダメ!死んじゃダメ!!」
「宗隆!!約束したのに!あきらめないで!!」
「嫁よ!今助けに行くぞ!!」
なにかを感じたのか4人は神崎宗隆を救助に向かおうとしていた。
「お前たちは分かるのか?神崎が生きているということを」
「わかりますわ」
「宗隆はまだ生きています。織斑先生」
「宗隆は今は生きることを諦めてしまっていますが」
「嫁は今助けを待っているのです。教官」
千冬はそっと宗隆のバイタルチェックモニターを眺めるがさっきから死んだことを伝えている。そしてシグナルもロスト状態。
「なぜ、計器類はみな神崎を死亡したものと・・・」
「いいえ、計器はそう言っていますが、私たちは感じるのです」
「かすかな宗隆の命の鼓動を」
「いま宗隆は闇の中にいます。だから私たちはそこから宗隆を連れ出さなければいけません」
「恐らく嫁は意識がありませんから。起こしにいかないとな」
「命令違反だとは重々承知ですが、私たちは行かせてもらいます」
4人は出て行った。
「宗隆が、死んだ・・・?」
宗隆の死亡が一夏と箒にも告げられる。
「そんな馬鹿なことあるか!宗隆は生きてる!どんな状況でもあいつは!!」
「ですが、計器類はすべて神崎君の死亡を告知いたしました。生存確率を出そうにも計算上0.01%から0.05%の確率です。生存は極めて絶望的です・・・」
「そんな・・・」
絶望的、そんな言葉が出てきた。
「私のせいだ・・・。宗隆が堕ちたのも、作戦に失敗したのもすべて私のせいだ・・・」
「そんなこと・・・」
「そんなことある!私が、私が専用機を貰って調子に乗らなければ・・・。こんなもの!!」
箒は待機状態の紅椿を投げようとするが鈴が止める。
「あんたねぇ!専用機貰っといてそれはないでしょう!専用機があるって言うならそこに生じる義務や責任を果たしなさいよ!!向こうを見てみなさいよ!!セシリアや簪たちは今宗隆を助けようと準備してるわ!!」
「な、ほんとか!?鈴!」
「ええ、私も参加するもの。仲間一人やられて私はねジッとしてられないの。だから行くわ、一夏も来るの?」
「ああ、行くぞ!!」
「箒は?」
「わ、私は・・・」
「箒、お前がどういう答えを出そうと俺は何も言わない。だけど無理だけはするなよ」
「一夏!私も行くぞ!!」
「箒・・・!」
「仲間がやられて助けに行かずして何が仲間か!!」
その10分後、7人は周りの制止も聞かず宗隆を救出、宗隆の敵討ちのために無断出撃していった。