つい先日から宗隆のお世話という名の生活管理が始まりはや3日、宗隆は前世からの宿題嫌いで癇癪を起していた。
「今日こそ!逃げるんだよおおおおおおお!!」
「させません!」
「フベッ!!」
「遊ぶ前に夏休みの宿題、今日の分やりますわよ!」
盛大に足を引っかけられ宗隆は倒れたのでセシリアが足を引きずっていく。
「きょ・・・う、こそ・・・!」
「はいはい、抵抗しないの」
這いつくばって抵抗するがシャルロットの手によりその抵抗も防がれる。
「今日も宿題の時間ですよ~」
「何が何でも私は逃げる!!」
「嫁よ、これで逃げられないだろう?」
「っあ・・・」ガシャ
宗隆に首輪を付けるラウラ。
「ラウラ、ナイスだよ!」
「手綱は私が握っているからな。逃げられると思うなよ」
「っあ・・・あ・・・・」ヘタッ
もはや逃げられないと諦め体の力を抜いてしまう。
「大丈夫ですわよ、私たちが優しく教えてあげますから」
「宗隆、じゃあ今日はこれから始めるね」
首輪に逆らえず課題をやり始める宗隆、その眼には血涙が流れていた。
それから3時間後の11時もうすぐお昼になろうとしたころ。
「お、おわた・・・」
「宗隆さん?明日もしっかりやりますからね」
「あ、明日こそは・・・」
「ふむ、これは朝起きたらすぐに首輪をつけておかないとな」
「え!?」
「じゃないと宗隆逃げるじゃん」
「だって遊びたいし・・・」
「逃げてどこに行くつもりだったの?」
「・・・、たまたま見たい作品があるから美術館へ・・・」
「宗隆さんが美術館ですか・・・」
「なんか変か?」
「いいや?でも美術館なんて意外だね」
「うーん、近くの美術館で『貴婦人と一角獣』が期間限定で展示されててね。前世のガンダムに出てきたから本物を見てみたくてね」
「もしかしてユニコーンのこと?」
「そそ、1~3号機のイメージ元ね」
「1号機が一角獣で2号機が獅子、3号機が鳥をモチーフにしたって」
「うん、それそれ」
「ですがあの作品にはまだ動物が描かれていましてよ?」
「もしかして、宗隆がサードシフトしたら4号機なんてのが出てきたりして」
「あ、覚醒したNTだもんね」
「そうなると、私のセカンドシフト先は色的に2号機のバンシィか?」
「え?でもそれだと一夏が1号機のユニコーンだよね」
「あ、確かにあいつの機体は白いしな」
「ですがそうなると3号機はどうなりますの?」
「妥当にシャルじゃね?オレンジで色近いし」
「でも私とセシリアはどうなるの?」
「あー、簪はHi-νガンダムで・・・セシリアは、NTガンダムじゃね?」
「なんです?そのNTガンダムとは」
「有線式ファンネルを2機搭載したファンネル搭載型の試作ガンダム・・・だよね?」
「僕に聞かれてもわかんないよ」
「こればっかりはそいつが出てくる話が劇場公開する前に俺こっちに来たから機体しかわかんねぇや」
「そうですの」
「・・・そういえばお腹空いたんだけど・・・」
「あ、もうこんな時間だ。じゃあお昼ご飯作るからちょっと待っててね?」
今日の当番はシャルとラウラだ。両名はキッチンへ入り昼ごはんを作る。
「では、お昼ご飯食べたら美術館に行って見る?」
「それはいいですわね」
「了解、じゃあみんなで行こうか」
お昼ご飯を食べて現在は昼の1時、近所の美術館を訪れる宗隆一行。そして『貴婦人と一角獣』の前まで来た。
「これが、『私の唯一の願い』・・・」
「これはまた、解釈の違いでどうとでも取れますわね」
「僕は、これがいまだに謎なのか分かった気がするよ」
「一角獣と獅子と鳥、ほかにもウサギや犬、羊に猿」
「山羊もいるぞ」
「・・・。私の・・・唯一の願い。可能性の獣?可能性という名の神・・・。理解?」
「どうしましたの?宗隆さん?」
「願い・・・。夢?希望?」
「宗隆?」
「おゝ、これは現実には存在せぬ獣。
ひとびとはこれを知らず、それでもやはり――そのさまよう姿、その歩みぶり、その頸を、そのしずかな瞳のかがやきすらを愛した。」
「宗隆どうしたの?」
「たしかに存在はしなかった。しかし人々はこれを愛したから、純粋の獣が生まれた。
人々はいつも余白を残しておいた。そしてその透明な、取っておかれた空間で獣は軽やかに首をあげ、そしてほとんど存在する必要さえもなかった。」
「嫁よ!一体どうしたと!?」
「人々は穀物では養わず、いつも、存在の可能性だけでこれを育てた。
可能性こそ獣に大いに力をあたえ、ために獣の額から角が生まれた。ひとふりの角が。
ひとりの処女(おとめ)のかたわらに、それはしろじろとよりそった――。
そして銀(しろがね)の鏡のなかに、そして処女のうちに、まことの存在を得たのだ。」
「どうしたのだ!嫁よ!しっかりしろ!!」
「宗隆!大丈夫!?」
「宗隆さん!?」
「宗隆、しっかり!」
宗隆は4人が見えないかのように、言葉を紡ぐ。
「人類の新たな可能性、分かりあえる力、ニュータイプ・・・」
「宗隆さん・・・もしかして!」
「うん、ニュータイプによる感応波が恐らくこの絵に反応している」
「なら、えい!」
「ナイスだ、簪!」
目を手で覆う簪、視界が遮られたことで宗隆は正気に戻る。
「あれ?俺今何を・・・」
「絵を見た瞬間意識がないかのように語りだしましたわ」
「そう・・・なのか」
「嫁よ、さっきは意識はあったのか?」
「いいや、おぼろげにさっきのことまでは覚えてるけど・・・」
「何を言っていたかまでは分からない?」
「ああ、わからない」
「宗隆、帰ろ?多分いますごく気分が悪いでしょ?」
「意識がちょっとな・・・」
「では帰りましょう」
そう言って5人は帰っていった。宗隆が拾った電波は一体何だったのだろうか・・・。
「俺は、最後まで可能性を信じられるのかな・・・?」
夜空に向かい一人ごちる。今日は帰ってからそんなことばかりが頭に浮かぶ。
「希望の象徴、ユニコーン、バンシィ、フェネクス。4号機なんてもの出てこないよね?きっと・・・。俺に人類の希望は重過ぎるよ・・・」
この不安は何から来るのだろうか?宗隆はそう疑問に思った。