修学旅行2日目、今日は招待状が指定した日。宗隆はそれに行こうとする。
「宗隆さん、招待状の約束は今日ですけど行かないでくださいましね?」
「行かないよ。あんな怪しい招待状になんて乗るわけないじゃない」
「嘘ついたら嫌だからね?」
「嘘はつかないよ」
「宗隆?しっかり行かないって明言したからね?」
「嫁よ、大丈夫なのだな?」
「ああ、大丈夫」(嘘つくの辛いな・・・だけど、行かなきゃいけない気がするんだ)
嘘をつくのはつらいが行くことにする宗隆であった。
2日目の夜11時半、宗隆はこっそりホテルを抜け出し、招待状の指定場所へ向かった。スマホのナビを頼りに歩くこと20分、目的地に着いた。
「ここが・・・。確か最上階レストランだったな・・・」
エレベーターに乗り最上階を押しあがっていく。
「もうそろそろだな・・・」チーン
最上階の20階へ到着、エレベーターを出るとウェイトレスがいたのでスコールという名前を出して案内してもらい、スコールという人がいるであろう個室にたどり着く。
「スコール様、お待ちになっていた方がお見えになりました。」
『入って頂戴』
「かしこまりました」
そう言ってウェイトレスは扉を開けて宗隆を中へ案内する。
「昨日ぶり、と言っておいたほうがいいかしら?神崎宗隆君」
「あ、あなたがスコールだったのですか・・・」
「ええ、今日は私の誘いに乗ってくれてありがとう」
「それで?話って言うのは・・・」
「単刀直入に聞くわ?宗隆君、あなた私たちの組織に入る気はない?」
「組織とは・・・?」
「私たちが運営している組織は世界を裏から支配しようとしていてね。まあ、国際テロ組織とでも思っていて頂戴?でもそれも今はだけれど」
「それ完全に悪者じゃないですか。俺は悪事には手を貸しませんよ」
「いいえ、そういうことじゃないの。もし、こっち側に来ればあなたのやりたいことがより早く成し遂げられる。もしくは最善の近道だとしたら?」
「俺のやりたいこと、あなたはそれを知らないと思いますけど?」
「ええ、知らないわ。だけどこれだけは分かる。」
そしてスコールの口から宗隆が驚愕する内容が出てくる。
「この世界でたった一人のニュータイプなのは知っているわ~」
「な、なぜそれを!!」
「ふふふ、やっぱり。あなたはニュータイプのようね?」
「き、貴様!!」
「そしてあなたが描いている理想っていうのはもしかしてアムロ・レイやバーナージ・リンクスと同じことじゃない?」
「もし、同じだとしてそれで俺をどうしたいんだ?」
「あら、身構えなくてもいいわよ?ここは交渉の席ですものそんな野蛮なことはしないわ?で、伝えたいことはまだあるわ」
「お前の言うことに聞く耳なぞ・・・!」
「あなたのその力、支配のために使わない?」
「支配?」
「そう、支配。この世界にはあなた一人しかニュータイプがいない。で、あるならばそれは必然的に神に与えられし人類の支配権なのよ」
「王権神授説か、古いな」
「だけど、あなたはその権利を持っているのよ。その権利が施行できるのは私たちのところだけ」
「だけど今の世界は平和だ。この力は支配に使われるべきじゃない」
「あなた、本当に平和だと思っているの?なら今私が真実を教えてあげる!!」
そう言って宗隆はスコールの思念波を感じ取る。
「な、なんだこれは!!」
「こんな世界が平和だと思う?女尊男卑の世界でひどいところだと生まれたばかりの男の子の人身売買が日常化したところや、売られた男の子が非人道的実験に苦しめられていたり」
「そ、そんな・・・」
「そして、思想や信条が違うことによる諍いの激化・・・。持つ国と持たざる国との支配と被支配」
「い、いやだ!!見せるな!みせるなああああ!!」
脳裏に映る悲惨な光景の数々、見せられた宗隆は正気を保てなくなってくる。
「そして行き着く先はISに乗れなければ弾圧の対象。国が持っていなければ大国の傀儡となり果てる小国。最後は、ISの数が国の優劣を決めすべてがその国のいいようになってしまう。そんな世界」
「こ、こんなの!!こんなの!!」
頭の中は完全に混乱し錯乱状態に陥る宗隆
「だけどあなたがすべてを支配できれば、そんなことはなくなる。あなたはニュータイプとして理解できまた最善の考えを導き出せるその力。だからあなたの力は支配の力よ?宗隆君?」
「はぁ!はぁ!はぁ!」
悲惨なヴィジョンが終わってもなお混乱状態が続く。
「この世界に可能性なんてほんのわずかしかない。そのわずかな可能性を生かすためにはあなたが世界を支配するしかないのよ。そして支配するためには実力が必要。私たちはその必要な実力よ?だからあなたと私たちが組めば世界支配なんて簡単なこと」
スコールは畳みかける。
「あなたは何もしなくていいわ。手を汚さなくてもいい。あなたは世界を一つにまとめた時のことだけを考えていればいいわ」
「え?ああぁ・・・」
「この手を取りなさい?そうすればあなたが目指す優しくあたたかな世界への扉が開くわ。さぁこの手を取って私たちとともに・・・」
宗隆は手を取りそうになる。が宗隆の中に違和感が生まれた。
「温かくない・・・」
「え?」
「だめ、この手はつめ・・・たい・・・?」
「温かな世界を作るためには必要な冷たさよ?」
「い・・・や・・・。冷たいの・・・いや・・・」
宗隆は立ち上がり出口に向かう。
「あ・・・れ?あたたかなて?」
そして宗隆の脳裏には4人の顔が浮かぶ。
「かえ・・・らなきゃ・・・。いそ、いで・・・」
走り出すそして宗隆は完全にスコールの前から姿を消した。
「失敗しちゃったけど、あれだけ動揺を与えたんだもの。十分よね?まだ答えは出そうにないし。次あった時にまた交渉すればいいわ」
だがこのときスコールには分かってはいなかった。宗隆を優しく包み込む4人の存在を知らないでいた。
「はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!オええええええええ!!!」
宗隆はスコールから逃げ路地裏で混乱の時に生じた吐き気で参っていた。
「かえ・・・る」
ただあの4人のところに帰ることだけを考えて。
「こ・・・こ?」
全力で走って10分、泊っているホテルに着いてそのまま宗隆が感じたあたたかな気配を頼りに宗隆の一人部屋に入ると、4人が部屋に来ていた。
「宗隆さん!!」
「やっぱり、行ってたんだ!」
「やっぱり嘘ついて行ってたんだね?」
「嫁、嘘は感心しないな」
「あ、ああああああああ!!」
安心したのかとうとう宗隆は泣き出してしまう。
「な!大丈夫ですか!?」
「宗隆!しっかり!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!!!!」
「宗隆!どうしたの!!」
「嫁よ!しっかりしろ!!!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!!!!」
「よしよし、大丈夫だよ。宗隆、僕が抱きしめていてあげるから」
「ううう、うっうううう」
「にしてもどうしてこうなったのでしょう」
現在、泣きじゃくる宗隆をシャルロットが抱きしめて落ち着かせている。
「恐らく、招待状の送り主が何かしたのだろう」
「でも大概のことじゃ宗隆はこうはならないよ」
「シャルロットさん、聞き出してもらってもいいですか?」
「いいよ、じゃあちょっと待っててね」
シャルロットは抱きしめるのをやめて翔真に向き合い何があったのかを聞き出す。
「宗隆?何があったの?」
「こ、こわい・・・。いや!いや!」
「それだけじゃわからないよ?宗隆、何が怖いの?」
「ひ、人・・・いっぱい、死ぬ・・・」
「人がいっぱい?」
「こ、子供も・・・みんな、みんな。いや!見たくない!見たくない!!!!」
「大丈夫!ここはホテルの部屋だよ。何も起きないから!」
「嫌!嫌!来ないで!こないでえええええええ!!」
「大丈夫!僕がここに・・・」
「冷たい!冷たい!そ、そんな手で!嫌、嫌、嫌!」
「宗隆!」
シャルロットは宗隆を抱きしめ落ち着かせる。
「これ以上は宗隆がかわいそうだよ!」
「嫁が壊れてしまう」
「ですがわずかですが情報は手に入れられました。おそらく宗隆さんが見ている幻覚は戦争、でしょう」
「戦争?」
「はい、ですが人がたくさん死亡すると言ったら恐らく一方的な虐殺のほうだと思いますわ」
「そして冷たい手、と嫁は言っていたな」
「それは多分、宗隆の力を利用しようとしている人たちのことを言っていると思う」
「恐らくはこうだろう。嫁の力を巡って世界中が争っていると」
「ええ、おそらくは。そして周りの人々を殺し宗隆さんを炙り出すといったところでしょう」
ふと、シャルロットと宗隆の方を見ると、宗隆はだいぶ落ち着いて眠っていた。
「っうううう。グズッグズッ」
「よしよし、大丈夫、怖いものなんてここにはないよ」
「シャルぅうう・・・・」
「怖かったよね?寒かったよね?もう大丈夫。僕がいるから。怖いものなんてないし冷たいものなんてないから」
「うん、うん・・・」
「疲れたら寝てもいいよ?大丈夫、僕が付いていてあげるから」
「う・・ん・・・・。」
「よしよし、よしよし・・・」
「すぅすぅすぅ・・・・」( ˘ω˘)スヤァ
「ふふふ、かわいい」
シャルロットは宗隆を寝かしつけた。そしてセシリア達と話し合い自室に戻ることにした。
「戻りましょう。」
「そうだね」
「ここにいるのがばれたらまずいし」
「教官はおそらく顔真っ赤にして怒るだろうな」
「あのガキはこっちに来るのか?」
「まだわからないわ。でもこれ以降も揺さぶりをかけていくわ」
「物好きだな、あんなガキ一人を交渉でどうにかしようなんざ」
「脅迫とかじゃあまり協力心を得られないわ。彼自身から協力したいという感情を持たせないと」
「それで?これからどうするんだ?」
「学園を襲撃しつつ、彼を揺さぶり続けるわ。楽しみね、彼どんな色に染まるかしら」
「きっと俺たちと同じ黒、だろうよ。」
「そうね。私たちと同じ色に染め上げてあげましょうか」
宗隆をつけ狙う不穏な影、宗隆はどんな選択をするのか。