冬の入り口の11月になり、みんなが冬に備え終わったころのある休日。
「はぁ~、いきかえるわ~」
「私の特性スコーンも食べてくださいな」
「ん~!おいしー!!」パクパク
「セシリア、どんどん料理うまくなってる」
「これも愛のなせる業か・・・」
「これは負けてられないね!」
「セシリア、最初はすごかったからね・・・」
「ふぉふなふぉふぉなはっは」モッシャモッシャ
「食べながら喋るなんて行儀悪いよ?」
「らっれおふぃふぃいんだもふぉ」モグモグ
「スコーンは逃げませんから、ゆっくり召し上がってくださいな」
「わふぁっふぁ」モシャモッシャ
5人でお茶会していた休日の午前。だが突然、部屋の電力が停止し防護シャッターが降りてきて真っ暗になる。
「あら、何やらおかしいですわね」
「非常事態だけどこれどうしたらいいんだろう?」
「教官から指示が来ると思うが・・・」
「ちょうど来たよ」
『専用機持ちは至急送信されたルートデータに従い指定の場所へ集合。隔壁が下りている場合は破壊を許可する。』
「・・・。行きましょうか」
「宗隆!行くよ!?」
シャルロットが宗隆を見てびっくりしていた。驚くのも無理もない、宗隆から怒りのオーラが出ているからだ。
「ふむ、怒っているな」
「お茶会、邪魔されたのが嫌だったんだね」
「お茶会・・・邪魔・・・。スコーン・・・いっぱい・・・」
「もう!おいしいスイーツならいつでも作ってあげますから!早く集合場所へ行きましょう!!」
怒る宗隆を4人で宥めながら集合場所へ連れていく。
「と、言う訳だ。お前たちには直接電脳世界へとダイブしてもらって原因を突き止め解消してもらいたい」
「わかった。俺!行く!!」
「ま、まだ怒っていらっしゃるのですね・・・」
「まぁ、それが宗隆だから仕方ないよね」
「宗隆のこういうところ好き・・・」
「嫁の食べ物の恨みはすごいからな」
ちなみに一夏と箒、鈴は3人で出かけていてこの場にはいない。そのため4人でのダイブになる。簪はこちらに残ってバックアップの役だそうだ。山田先生一人で5人のバックアップはきついからね。
「じゃあ、みんな。装置に入ったね。ダイブ開始するよ」
「あ、簪!帰ったら餡蜜食べたい!!」
「ふふふっ、分かった。じゃあ作ってあげるから頑張ってきてね」
「うい!じゃあ行ってきます!!」
4人は電脳世界へとダイブしていった。
「さて・・・。楯無、お前には別の任務を頼みたい」
「侵入者の排除、ですね?」
「ああ、これを好機と思ったのか無粋な輩が土足で入ってきたようだ」
「わかりました。早急に排除したします」
「ここが・・・。電脳世界、ですの?」
「そうみたい。でもここに4つの扉があるね」
「おそらく各個人で用意されているのだろう。では私はこっちだな」
「私はこちらで」
「じゃあ僕はこれだね」
「待ってろ!お茶会邪魔した原因ーーーー!!」
ダイブして周りを確認し終えた宗隆は目の前の扉へ勢いよく入っていった。
「あははは・・・。もう!宗隆ってば・・・」
「・・・。行ってしまわれたのですし私たちも」
「そうだな、行こうか」
残りの3人も扉に入るがその出口でまた3人と出会う。さっきと同じ部屋みたいだ。
「これは・・・。」
「どういうこと?」
「ふむ、扉もないな・・・」
「みんな!」
「簪さん!これはどういうことですの!?」
「こっちで調べてみたら3人は一定のところでアクセスが止められているの。奥に行けたのは宗隆一人だけ」
「じゃ、じゃあ!」
「大丈夫、いま先生と協力して宗隆の処に行けるようにしてるからちょっと待ってて」
「わかったよ」
「了解した」
3人は待機が決まった。
「って、勢いよく入ったわいいけど・・・。ここどこだ?」
周りは白い花の咲く草原、空を見ると都市部では見られない満天の星空が広がっている。それは、人が太古の昔に忘れた景色でもあるようだった。
「・・・。奇麗だな・・・今の地球からじゃこんな星、南極やシベリアに行かなきゃ見れないな・・・」
「これが、君が一番今心の奥底で願っている景色なの?」
不意に声をかけられて振り返るとそこには篠ノ之 束がいた。
「・・・。何の用だ?」
「う~ん、君に聞きたいことがあってね」
「聞きたいことか?」
「うん。ねぇ、君はニュータイプとしてこの世界は楽しい?この世界で唯一進化した人類として答えてね」
「・・・正直言ってつまらない。と言えるんだけど、俺はそれこそつまらないことだと思う」
「ふ~ん、続けて?」
「世界は文字通りつまらないよ。でもねそのつまらないを面白いにすることにできるのは自分自身だと俺は思うわけ。で、今は面白いって言える。正直、俺はお前に感謝してるんだ」
「はぁ?感謝だと?」
「正直、中学までは普通につまらない人生かな?と思ったけど、IS適性があるってわかって学園に入って、みんなと過ごして、恋人も4人できて、普通に生活しながらいろいろな事件に巻き込まれて。でも全部ISのおかげなんだ、ISがあったからみんなと出会えた。そう思うと案外世界は自分が思っているほどつまらなくはないのかもしれない。」
「ふーん、じゃあお前はISについてどう思っている?」
「俺は翼だと思う。宇宙へ行くための、それこそ人間の可能性を広げるための翼、人類が宇宙へ行って新たなる扉を開けるための物」
「・・・・」
「俺は信じてるんだ。人間を、可能性を、未来を」
「未来?」
「可能性は誰しもが持っているんだ。でもそれには理解が必要で、いろんな人と分かり合わなくちゃいけない」
「そんなことできるわけ・・・」
「できるよ。だって人間には言葉という道具があるじゃないか。これを使えば分かり合うことができる」
「でも天才の言っていることは凡人には理解できないよ」
「トーマス・エジソンは言った。天才とは、99%の努力と1%のひらめきだと」
「それで?」
「俺はこの努力というのは天才が理解されるための努力だと思う」
「どういうこと?」
「理解されるためには話し合うことが必要だ。そしてその相手には専門知識がない人も含まれる。だからみんなが理解し、それを正しく使えるようにするのが天才の役目ってことだ。それでもって初めて天才と呼ばれ、慕われ、発明品が正しく使われるのさ」
「じゃあ、束さんはまだ天才じゃないって言いたいの?」
「はっきり言うとそうだね、君がやったのは説明を十分にせずに発明品をほったらかしている状態だ。そんなんじゃ正しく使われるなんて夢のまた夢だ。だって誰も君の発明を理解できていないのだから」
「じゃあ、私はどうすればいいのかな?」
「それは分からないよ。俺は君じゃない、だから答えは出せない。けどねヒントは上げる。ISは何のための存在か、もう一度考えてみればいいと思うよ」
「・・・。君、やっぱりわかんないや」
「は?」
「だって、束さんを前にしても怖気づかないし、媚びないし、むしろ反撃してくるし」
「ははは、それはまた。俺が媚て諂うのは嫁さんだけだってwww」
「あの4人?」
「そうそう。いやー、男ってのは根本的に女には勝てなないよ。俺は料理はできないし、掃除もあまりできないし、趣味ばっかりにお金つぎ込んじゃって食費が嵩むし」
「ふふふ。面白いね!君は」
「面白いか?俺としてはもうちょっと趣味に使っていいお金増やしてほしいんだけどね~」
「趣味って?」
「おいしいスイーツを食べることと戦艦のプラモデル作りさ!模型店とか通りかかると入ってみたいな~。って思うんだけど、いっつも4人に止められるんだよね~」
「やっぱり面白いよ!」
そのあとはなんやかんや、宗隆の愚痴大会が始まった。
「もうちょっとお菓子が欲しいんじゃ・・・」
「うんうん、わかるよ~」
「あそこのスイーツ食べに行きたいんだけどね」
「そこのスイーツおいしいよね~」
などなど、他愛もない会話が続くこと2時間
「じゃあ、もうそろそろ私行くね」
「うん、また愚痴聞いてよ」
「あんたの嫁さん愚痴はもういいです」
「え~!!」
「今度会うときは私の愚痴聞いてよね!」
「あいあい・・・じゃあな・・・じゃないか!またな、束。」
「うん!またねたかちゃん!」
そう言って束は電脳世界から消えて行った。
「ふむ・・・。まだここに残れるのか。お?あそこにあるのはピアノか・・・。迎えが来るまで弾いてよ」
ピアノを弾きながら待つ宗隆であった。
「もう!簪さん!?まだ繋がりませんの!!」
「まって!これすごい強固なプロテクトになってるから!!って、解除された!!今すぐ繋げる!!!」
「とりあえずつながったはいいけど・・・」
「嫁は無事だろうか・・・?」
一枚の扉が現れる。そこへ入っていく3人であった。
「この景色は・・・」
「わぁ・・・!綺麗・・・」
「ふむ、嫁はどこにいるのだ?」
入ってすぐに周りを見渡すが宗隆はいない。少し遠くからピアノの音が聞こえてくる。
「向こうから微かにピアノの音が聞こえましてよ」
「多分宗隆が待ってるんだよ」
「ふむ、行って見るとしようか」
歩き出して間もなく、宗隆の姿が見える。
「~♪~♪♪」
「楽しそうですわね」
「どうしよう!あれ見てたら止めるのかわいそうになってきたよ!!」
「嫁は一人で弾いているとあんなに楽しそうにするのか。だが・・・」
「い!いででででで!!」
耳を引っ張って連れて帰ろうとするラウラ
「帰るぞ、嫁よ。これ以上ここに居たら皆に心配される」
「ちょ、ラウラ!離せ!離して!!」
「ラウラ、それじゃ宗隆がかわいそうだよ!!」
「ふむ、まぁいいだろう」
手を離すラウラ
「シャ、シャル~」(ノД`)・゜・。
「あああああ。よしよし、いたかったね~」
「痛いのだ~」
「よしよし」ヾ(・ω・*)なでなで
「それより、宗隆さん?帰りますよ。」
「もうちょっとピアノ弾きたいのだ・・・」
「もう、ダメだって。ピアノ弾くのは帰ってからね?」
「・・・。うん・・・」
電脳世界から帰る4人であった。ちなみに簪に無茶苦茶心配したと怒られましたとさ。
「楯無、これで報告は以上か?」
「はい、襲撃者は亡国機業の実働部隊でした。おそらく、今回のことを好機とみて神崎君を殺そうとしてたようです」
「そうか、それにしてもなぜ神崎を狙うんだ?亡国機業のやつらも」
「それは、私にもわかりません。何せ神崎君は秘密が多い見たいですし、簪ちゃんに聞いてもはぐらかされて聞き出せませんし」
「そうか・・・。」
「どうするのですか?織斑先生」
「普段のままでいいだろう。おそらく本人にとってこれは不本意なことであるはずだ。必要以上つつく必要もない。」
「わかりました。では現状維持で」
「それでいい」
裏での話し合い。もしかする宗隆たちが関わるのは割と近いのかもしれない。