ついに冬休みが始まった。そして現在宗隆は絶賛飛行機に搭乗しようとていた。
「最初はセシリアからだっけ?」
「ええ、イギリスに行って、次に列車でシャルロットさんのお宅へ。そしてドイツのラウラさんのところへいって最後に簪さんですわ」
「これ全部7日以内に回るの?」
「うん、だって宗隆だって家でゆっくりしたいでしょ?」
「まぁそうだけどな。家帰っても親は恐らく年末年始は夫婦水入らずの旅行だし姉ちゃんはどうするか連絡きてねぇし」
「じゃあ、あいさつ回り終わったらまたみんなで宗隆の家で過ごそうよ」
「それがいいな。よし!そうと決まれば善は急げってことでいってきまーす!!」
「宗隆さん!向かう方向が逆ですわよ!!」
「あ、こっちだった・・・」
『20XX年12月17日(月)1週間結婚挨拶周り 羽田空港搭乗ラウンジ』
「まったく、宗隆さんは地図をお持ちにならなければ迷いますのに」
「正直、すまないと思ってるよ」
「ところでもうすぐ搭乗時間だけどいろいろ大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。えっと・・・クッキー、ビスケット、ミニバームクーヘンにポテトチップス・・・。あと飴ちゃん」
「スマホとかは?」
「んーあるぞ。ここにほれ!」
「ならいいけど、にしてもそのリュックいっぱい入るね」
「束さんに作ってもらった四次元ポケットモドキさ」
「ほう、便利なものを持っているが。菓子を食べる量は制限するからな。このリュックは私が管理しよう」
「あ!ラ、ラウラ!!と、とっちゃ・・・」
「何、しっかりお菓子は許す範囲で出してやる。心配するな」
「そ、そんなー!!」(´・ω・`)
やっぱり尻に敷かれる宗隆、そして飛行機に乗り一路イギリス首都ロンドンへ。と言ってもさすがはイギリス貴族、プライベートジェットでイギリスへ在来線よりとっても早く着く。約10時間のフライト、時差は9時間進むので現在時刻は午前10時、向こうに着くのは日本時間の明日午前5時、イギリス時間で14時である。
そんな中、宗隆達はロンドンに降り立った。
「セシリアさん、私はまだ寝ていたいんだけど・・・」(´Д⊂ヽ
「もう着きますから!降りる支度をしてくださいまし!!」
「ゆうて、あの飛行機めっちゃ乗ってて気持ちええねんで!まだ乗ってたいわ!!」
「でもこれは結婚の挨拶周りだからね?しっかりしないと・・・」
「し、しないと・・・?」
「嫁のおやつが1週間から2週間ほどなくなる」
「わかった、しっかりしようじゃないか!」(`・ω・´)
「ホント、お菓子が大好きなんだから」
「シャルさん、ニュータイプってのはな脳が使う糖分も桁違いなんじゃよ」
「でも、太ったことは事実だよ?」
「い、痛いところを突くな。簪さん」
「それがこれから私の仕事になるからよろしく」
「そういやそうだった・・・。これからどうなるんだろ、俺・・・」
「私たちが宗隆さんの生活等はきっちり管理いたしますので」
「スケジュールや時間割なんかもね」
「どうせ我々が居なければ嫁は働かないだろう?」
「すべてはお見通しってね!」
「・・・。」スッ
自分から腕を差し出す宗隆でした。本人曰く、「もう逃げるのはやめにしよう」とのことでした。
さて、宗隆一行はロンドン国際空港に到着後、オルコット家の迎えと共にオルコット邸へ向かい急いでドレスアップ、セシリア以外は別室待機となっている。そしてそこにはセシリア婚約パーティーと称した英国貴族の気持ち悪い魔窟が待っていた。
「えぇ・・・。この度、セシリアさんと結婚させていただくことになりました神崎宗隆です。どうぞよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げて挨拶すると周囲がガヤガヤと騒ぎ始める。
「あれが南極にて活躍した・・・」
「学園卒業後は、地球連合部隊の元帥となる話を聞いたぞ・・・」
「ここは取り言っておいた方が・・・」
などなど、騒ぎ立てる。宗隆はそんな集団を異質な目で見ていた。
「(私欲にまみれた金を持った貴族達・・・。そんな目で見るんじゃない、人を値踏みし、従ったほうがいいと思えば媚びへつらい寄ってくる。信頼関係なんてあったもんじゃない)」
と、宗隆は悪意とは違ったまた気持ち悪いものと感じていた。それと同時にセシリアに関心していた。
「(これほどの集団をわずか10歳で躱してきたのか・・・。セシリアはすごいな、俺なら1か月でつぶれるよ。こんな気持ち悪い集団。あぁ・・・気持ち悪い、なんだって・・・。あぁ、気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ)」
宗隆は気持ち悪い集団に対し排除の意思を見せ始める。もちろん顔には出ていないが、セシリアにはそれがはっきりと感じ取れた。
「では、ご挨拶も終わりましたし。ここからはゆっくりとパーティーをお楽しみくださいませ」
そして、セシリアの一言で一時宗隆への視線は逸れる。その隙にセシリアは宗隆の隣へ向かった。
「宗隆さん、大丈夫です。わたくしがいますわ」
「せ、セシリア・・・。」
「大丈夫ですわ。わたくしはここにいますし、あんな人たちは無視するのが一番ですわ」
「・・・。ダメ、あんな気持ち悪い集団、無視しろという方が無理・・・。前とは違った邪悪を、感じる」
「せめてこの時間は耐えてくださいまし。終わったらいっぱい甘えていいですから」
「わかった。耐えるよ、ありがとう。セシリア」
宗隆が耐えること3時間、ようやくパーティーもお開きとなりようやく休息が取れるようになった。そして、宗隆は今日宿泊するオルコット邸の自室に帰った。そして宗隆が心配であったセシリアはほかの3人に事情を話している最中、4人にノエルからコアネットで緊急の知らせが入った。
『は、隊長が!隊長が!!』
「どうしたのですか!?」
『精神的な衰弱によって体調が崩れて・・・。』
「それで!?」
居てもたってもいられず、4人は宗隆の部屋へ向かいながら話を聞くことに。
『とても危険な状況です!身体的衰弱と嘔吐が症状に見られます!!そして、隊長が自傷行為にッ!!!』
4人は、自傷行為という言葉を聞いて走った。走って宗隆の部屋に向かった時は喉にナイフと突き刺そうとしている宗隆が目に入った。
「宗隆さん!!おやめなさい!!!」
「アハッ!!あっハハハハハ!!」
「宗隆!!どうしちゃったの!?戻ってきて!!」
「消えちゃえ消えちゃえ!!ぜーんぶ消えちゃえ!!あっハハハは」
ナイフを取られた宗隆は泣き笑いしながらクルクル回ってそんなことを言い出す。
「こういう時はこうすればいいのだ。嫁よ、止まるのだ」
「ふぇ?」
「怖かったろう?寂しかったろう?もう大丈夫だ、私がいる。ここにいる。お前は一人じゃないさ」
「りゃうりゃ・・・?」
「あぁ、私だ。もう大丈夫だ、何も怖いものはない。」
ラウラは宗隆を抱きしめ、頭を撫でながらあやす。
「全部悪い夢だ、眠れば夢から覚めるはずだ。だから、眠れ。私が付いていてやる」
「ホント?ホントのホント?」
「ああ、本当だ、本当の本当だ。私はお前と一緒に居てやる。だから眠って大丈夫だ」
「うん、ラウラ・・・。おやすみ」
「あぁ、お休み。私の可愛い嫁よ」
「すぅ・・・。すぅ・・・。」
宗隆はラウラに抱かれながら眠った。
「これで大丈夫だ。嫁は寝て朝起きればすべて元に戻るだろう」
「本当に大丈夫なの?」
「大丈夫、だと思いたいのだがな」
「宗隆さんは貴族特有の何と言いましょうか、気持ち悪さに当てられてしまったのですわ」
「宗隆は人より共感性が高いのもあるからね」
「とりあえずは、今日はもう寝ようよ。宗隆もその態勢じゃ寝づらいだろうしね」
「嫁のことは任せておけ。私が見ておく」
「ではよろしくお願いしますわ。」
4人は解散し、ラウラは宗隆と共に就寝、3人はほかの部屋で就寝と相成った。
朝を迎え、ラウラは隣を見ると宗隆は泣いていた。
「どうした、嫁よ。私はここにいるぞ」
「ラう・・・ら・・・・。俺、俺!!あっああああああ!!」
「大丈夫だ、お前は孤独ではない。私たちがいる、一人ではないんだ」
「一人じゃない・・・?」
「ああ、お前は一人じゃないし、お前を誰も一人になんかにはしない。人は一人では生きてはいけない、ニュータイプだって同じはずだ。だからお前は一人ではないし、一人になどさせるものか」
「あり・・・がとう・・・」
「お前はそんな思いを力にできるんだ。お前は一人ではないさ」
「うわああああああああああああああああああああああああああ!!!」
ラウラの胸を借りて宗隆は泣いた。まだまだ世界は変わり切れていない現実と自分が信じた可能性、この狭間に挟まれた今が宗隆にとっては一番つらいのかもしれない。
そして宗隆一行は、次の目的地フランスへと行くことになる。そしてシャルロットの故郷へ向かうのだが、宗隆はそこで何を見るのか。そして何を思うのか。