セシリアの貴族パーティーの翌日、午前はセシリアの両親に挨拶に行き午後にフランス行きの列車に乗る予定となっている。
「本当に二人っきりでよかったのか?」
「ええ、せっかくの結婚の報告ですもの二人っきりでなければいけませんわ」
「そうか、ならいいんだ。」
話しながら歩くこと数分、2人はセシリアの両親のお墓へたどり着く。
「ここが、わたくしのお母様とお父様の眠るお墓ですわ」
「立派なお墓だね。セシリアの両親ってどんな人だったんだい?」
「どちらも、優しかったですわ。今思い出してみるとお父様は私にとてもやさしかったのです」
「そっか。・・・セシリア、ちょっとごめんよ?」
「え?いったい何を・・・え?」
微かに宗隆が虹色の光に包まれた。すると、セシリアの専用機に1通のメッセージが受信された。
「こ、これは・・・」
「読んでみて?」
「は、はぁ・・・」
セシリアはメッセージを開封し、読み始めると差出人の名前に驚きを隠せなくなる。
「ッ!ま、まさかお父様とお母様ですの!!」
「・・・」コク
宗隆はそっと頷きセシリアに読み進めさせる。
『愛する娘、セシリアへ。
まずは結婚おめでとう。いい人を見つけたね。僕には分かる、宗隆君はとっても優しくて僕なんかよりも強い人だ、君なら分かってるとは思うけど全力で支えるんだよ?いいね?
本心を言えば大事な娘の結婚式に参加できないことがとても残念でならない。折角の晴れ舞台なのにそばにいてやれなくて本当に申し訳ないと思ってる。ごめんね、こんな父親だけど許してほしい。君には弱い男だと思われてても君を娘を愛していたことだけは信じていてくれ。次に母さんからだ。
セシリア、結婚おめでとう。お父さんの認めた人だから結婚は許してあげる。しっかり、旦那さんを支えてあげるのよ?いい?
それと、私たちは謝らなければいけません。あなたに勘違いさせたまま残してしまったことを。
ごめんなさいね?お父さんのあれは演技だったの。本当は愛し合っていたのだけど、そうせざるを得ない状況だったの。本当はもっともっとあなたと一緒に居たかったし、このことも打ち明けるつもりだったの。でもこんな形で打ち明けることになっちゃってごめんなさい。本当はお父さん、とっても強いのよ?元SAS隊員ですもの。初めて出会ったのはテロリストによる領事館襲撃事件の時ですの。その時お父さんに助けられて、その時に惚れちゃったのよ~。まぁ、惚気話はこれくらいにして。
結婚おめでとう、セシリア。私たちの分まで幸せに生きてね?最後に宗隆さん、セシリアのことお願いしますよ、私たちの自慢の娘ですので、幸せにしなかったら呪い殺しますから。じゃあねセシリア、生きていてくれてありがとう。素敵なお婿さんを見せに来てくれてありがとう。じゃあね、私たちはいつでも見守ってるから。
エリオット・オルコット、エミリア・オルコットより』
手紙の内容はセシリアがずっと知りたかったこと、父と母がなぜあんなにも夫婦仲が悪いようにしていたのかの理由とセシリアへの愛がつづられていた。
「お父様・・・、お母様・・・ッ!!」
「セシリア・・・」
宗隆はそっと抱きしめた。優しく包み込むかのように、そして愛する人を守るように。
「うわああああああああああ!!!!」
セシリアは泣いた。もっともっと、一緒に居たかったと、愛してほしかったと。宗隆は何も言わずそっと頭を撫でるだけであった。
どのくらい泣いたのだろう。ひとしきり泣いた後セシリアは宗隆に聞いた。
「なぜ、このメッセージが私の元に来ましたの?」
「それはね、セシリア。このお墓に来た時に君のご両親にそっと手紙を渡されてね、セシリアの渡してほしいと言ってたから俺の力を使って思念を文章にして君に送ったんだ」
「そう、でしたの。お父様とお母様はその時なんと?」
「お父さんからは『セシリアを頼むよ。僕たちはもう見守ることしかできないけど、ずっと見てあげるから』って、お母さんからは『自慢の娘です。絶対に幸せな家族にしてくださいね?幸せにしなかったらどうなるか分かってますよね?』って言われたよ」
「お母様らしいですわね」
「そっか、じゃあみんなを待たせてるし行こうか」
「はい!」
そう言ってセシリアは宗隆の腕にくっつき腕を絡ませる。
「おっと・・・、あ、当たってるって」
「当ててるのですわ」
「そ、そうかい・・・」
「ふふふ、かわいいですわ」
「む・・・・」
宗隆とセシリアは歩き出す。明るい未来へと・・・。
「なぁ、俺腹減った・・・」(´・ω・`)
「なら、はい。お弁当にサンドイッチ作ってきたから」
「わ~、ありがとう!シャル!!いただきまーす!」(*´ω`*)
「召し上がれ~」
「おいしー」ハムハム
現在、宗隆一行5人はイギリス・ロンドンからフランス・パリを結ぶユーロスターに乗ってパリへ移動中である。そして、現在時刻は午後1時、ちょうどお昼時だったのでみんなが作ってきたサンドイッチを列車内で食べていた。因みに席は3人座席2つを向かい合わせて座っている。
「あ!こらこら!!そんなに急いで食べないの!」
「おふぃふぃいんだふぁふぁしふぁなない」(おいしいんだから仕方ない)
「それでも、ゆっくり味わって食べないとめっ!だよ?」
「わふぁっふぁ」(わかった)
食べる速度を緩めてゆっくり食べだす宗隆。
「やっぱり宗隆って私たちの料理になると急いで食べるよね」
「逃げはしないのですが・・・」
「だってさ~、おいしいんだもの。箸や手が進む進む」
「だからといって、早食いは太る元だぞ」
「またダイエットしたいの?」
「うッ!そ、それはご勘弁を・・・」
「なら今度からは早食いはしないことですわね」
「はい・・・」(´・ω・`)
これを見ていたほかの乗客は温かい目で見守っていた。
ロンドンから2時間半、ついにフランス・パリへと到着した宗隆一行。そして出迎えたのは社長夫婦だった。
「おかえり、シャルロット。待ってたよ」
「おかえりなさい、シャルロット」
「お父さん、お母さん!」
シャルロットは一目散に笑顔で駆け寄った。
「ただいま!あ、そうだ。紹介するね、僕の恋人の神崎宗隆君、で僕と同じ恋人のセシリアとラウラと簪だよ」
「どうも、シャルロットの父であるジャベール・デュノアだ。よろしく」
「ジャベールの妻でシャルロットの義母のアンリ・デュノアよ。よろしくね?」
「えっと、神崎宗隆です」
「セシリア・オルコットですわ」
「更識簪です」
「ラウラ・ボーデヴィッヒです」
「みんないい子たちでよかったわ。ささ、車に乗って?家まで案内するわ」
全員で車に乗り移動すること15分、シャルロットの実家であるデュノア社本社兼自宅に到着した。
「あ、そうそう!今日の晩御飯は僕に作らせてよ!」
「どうしてだい?シャルロット」
「えっと、宗隆はね私たちの料理じゃないとあんまり食べないんだよ」
「それはそれは、またいい男を捕まえたわね」
「でしょ?あ、でもそういえば外食した時の反応が面白かったね」
以下回想
「おかしいなぁ、おかしいなぁ」
「どうしたの?」
「この料理なんかが足りないんだよ。おかしいなぁ」
「何が足りないの?」
「それがわからないんだよなぁ。おかしいなぁ」
その時はたまたま学食の新メニューの試食会であった。そして呼応するかのように一夏も
「おかしいなぁ、おかしいなぁ」
「一夏もか」
「ああ、宗隆も・・・」
「なんか足りないんだよなぁ・・・」
「なんなんだろうなぁ・・・」
そして頻りに二人して「おかしいなぁ、おかしいなぁ」とうなり始める。結局それを言い続けて、夕食の時に
ヒロインズの料理を食べて・・・
「「こっちのほうがおいしいなぁ」」
と言っていた。結局二人は何が足りなかったのかわからなかったのである。
回想終了、
「っていうことがあって・・・」
「それで晩御飯をシャルロットが作りたいって言ったのね」
「ははぁ・・・」
「シャルロット?それはね愛情って言うのよ。」
「愛情?」
「そ、愛情。多分宗隆君はシャルロットの愛情の味を知ってるんじゃないかしら」
「それでは仕方がないな。君たちに任せるとしようか」
「ありがとう!」
晩御飯はいつも通りみんなで作ることにしました。
「そういえば、もう結婚の予定は決まってるのかい?」
「早くて春かな~。遅くても2年生の時に結婚する予定だよ」
「あらあら、早いわね~。宗隆さんもそれでいいの?」
「はい、みんなをあまり待たせるわけにはいきませんし」
「そうかい、ならこれからもシャルロットを頼むよ。彼女は優しい子だ、きっといいお嫁さんになると思うよ」
「それはもう重々分かってますよ」
とこんな感じであいさつを済ませ、今日は移動で疲れたこともあり早めに寝ることに。
「あ、宗隆。明日二人で僕の生まれ故郷に行こうよ」
「いいよ。行こう行こう、シャルの故郷行って見たかったんだ」
「うん!じゃあ明日行こうね!!」
「おう」
そして二人は翌日に備えて就寝した。