昨日、フランスに到着した翌日の朝。朝食を終えたシャルロットと宗隆は二人でシャルロットの生まれ故郷である小さな田舎町へ向かっていた。因みに後の3人は気を利かせて待機している。
「宗隆、もうすぐ僕の生まれ故郷の町に着くよ」
「お、そろそろか。いいな、こういうところに生まれたかったな」
「あれ?宗隆って都会っ子?」
「そうさね、都会っ子だね。だからだろうな、こういった喉かな場所に住みたいって言う憧れは」
「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ」
そんな会話をしているとドライバーが車を止めて町に到着したことを告げる。
「では、お嬢様また後程」
そう言って車は去っていった。
「ようやくついたね。ここが僕の生まれ故郷の町、ダンジョーだよ」
「いい町だね。シャルはこんなところで育ったんだ・・・。やっぱり羨ましいよ」
「えへへ、そう言ってくれるのやっぱりうれしいな~」
二人で手をつなぎながら大通りを歩いているとお店のおじさんやおばさんから声を掛けられる。
「あれ!シャルロットちゃんじゃないか!こっちに帰ってきたの?」
「あ、八百屋のおじさん!うん、今学校が冬休みだから帰ってきたんだ!」
「おっと、そこにいる兄ちゃんはシャルロットちゃんの彼氏かい?連れてきたってことは、なにかい?結婚するのかい?」
「うん!今度結婚することになったからその挨拶に連れてきたの!」
「そいつぁおめでたいねぇ!」
「みんな!シャルロットちゃんがお婿さん連れてきたってさ!!」
「え!?シャルロットちゃんがお婿さんを!」
「それはめでたいな!!」
「よっしゃ!今日はサービスだ!シャルロットちゃん、これ持って行きな!」
「おっと、わしからの店はこれをサービスしてやるけ!」
「シャルロットちゃん!これこれ、お店で一番いいやつだから持って行って!」
「おっと、こうなりゃこっちもこれ!シャルロットちゃん、これで彼氏さんにおいしい料理作ってあげな!」
一人に声を掛けられ結婚するとシャルロットが言った瞬間、あれよあれよという間に町中大騒ぎ、お店の品物をサービスやお祝いと言っていろいろ渡して来て荷物が増える増える。しかも喋っているのはフランス語、宗隆にはちんぷんかんぷんである。が、宗隆はある一種の感動を覚えていた。
「(何言ってるかは分からないけど・・・。みんなシャルのことが大好きだったんだ。どうやらお祝いしてくれてるみたいだし・・・。あぁ、この町は温かい・・・)」
町の人々から感じられるのは純粋なお祝いの感情や喜びの感情であふれていた。
「も~!こんなに持てないよ~!!」
「ちょっと待っててくれ!今リアカー持ってくる!!」
まだまだ増える人だかり、その中には近所のご婦人方や近所の交番の方まで、増える増える。
「シャルロットちゃん、もしかしてあの人が彼氏さんなの?ねぇ、どこに惚れたの?」
「ふぇ!え、えっと・・・。優しくて、強くて、でもちょっぴり子供で・・・」
『ふんふん』
「そして、何よりもかっこよくて頼りがいがあってそんなところに惚れたの・・・」///
「それはいい人を見つけたわね~!私もそんな人と出会いたかったわ~」
フランス語なので何を言っているのかわからないこと30分。さすがに荷物が増えたので一旦シャルロットの住んでいた家に行くことに、もちろんリアカーは宗隆が引っ張っている。
「なかなかいい人たちじゃないか」
「そうでしょ?小さい時は毎日のようにここに買い物に来てたね~。お店のおじさんとか私を見てよくサービスしてくれたんだよ?」
「そうなのか。それはよかったじゃないか。それで?君の住んでた家って・・・」
「あ、もうすぐだよって言ってももう着いたね。ここだよ」
示されたのは小さな木組みの家、こう童話で出てきそうな家だった。
「へ~、この家に住んでたのか・・・。やっぱり羨ましいよ~」
「えっと、リアカーはそこに置いておいて。えっと・・・家の掃除はできてるってお父さんが言ってたし・・・。よし、じゃあお昼ご飯を作ろうか」
「おーい、リアカーから荷物出したけどどこに置けばいい~?」
「あ、テーブルに置いておいて。これからお昼ご飯を作るからね。」
「えっと、俺に何かできることは・・・・」
「ないから大丈夫だよ」
「え?」
「ないから待ってて?」
「はい・・・」(´・ω・`)
手伝いを拒否られてしょぼくれる宗隆だがこの男、料理関係はからっきしであまり役に立たないのである。かくして待つこと30分・・・。
「宗隆、お昼ご飯できたから食べよ」
「うい~。お、これは・・・」
「プレ・ロティとラクレットだよ」
「初めて食べるな・・・。どれどれ・・・ッ!!」
「ど、どうかな・・・?」
「うまい!!これすごくうまいぞ!!!」
「よかった~。って早食いはダメってこの前言ったよね?」
「うっ・・・。はい・・・」
「わかればよろしい」
シャルロットの料理はとてもおいしかった。
「宗隆、あそこのお花屋さんでお花買ってくるからちょっと待ってて」
「おう、待ってるぜ」
現在昼食を食べた後の午後2時、宗隆とシャルロットはシャルロットのお母さんのお墓へ向かっている途中だ。
「(ここも、いい町だな。笑顔が絶えない長閑な田舎町、近くにはブドウ畑や柑橘類の畑に野菜の畑まで・・・。老後はこういうところに隠居しようかな・・・)」
「宗隆、おまたせー!」
「おう、買ってきたか」
「うん、それじゃあ行こう」
少し歩いたところにある小さな教会、その墓地にシャルロットのお母さんのお墓はある。
「お母さん、ただいま。好きだったお花持ってきたよ。」
そっと、シャルロットは墓石の前に買ってきた花を添える。
「帰ってきてすぐだけどお母さんに聞いてほしいことがあるんだ。僕ね、もうすぐ結婚するんだ」
笑顔で話すシャルロット、だけどその笑顔は少し寂しそうだった。
「紹介するね、僕の結婚相手の神崎宗隆君だよ。宗隆はね、とっても優しいんだ」
そのあとは宗隆についてシャルロットは話す。何かを必死に伝えようとしている。そしてここで宗隆は一筋の風を感じる。戦いの時の物じゃなく優しく何かを伝えようとする感覚を感じた。
「(ここでも・・・。どうしてだろうな・・・。善人はみんな早くに居なくなる。残るのは俺みたいなロクデナシだけ。ここでも、向こうでもそれは同じなのかね・・・。)」
「宗隆?どうしたの?」
「あ、あぁ・・・。シャルちょっとごめんよ」
「え?」
宗隆はシャルロットの手を握り、ニュータイプ能力を行使し宗隆が受け取ったものをシャルロットに転送する。
「こ、これって・・・」
「お前のお母さんからだ」
「お母さんから・・・?」
シャルロットは転送されてきたメッセージを開き読み始める。
『シャルロットへ
あなたを一人にしてしまってすっごく心配だったけど、その様子じゃ大丈夫みたいね。いい男も捕まえてるみたいだし、お母さんから見て宗隆君はあたりよ。ジャベールには劣るけどね。そんないい男、死んでも放しちゃだめだからね。それと結婚おめでとう!お母さんとっても嬉しいわ。娘がこんなに可愛く育って、いい男も連れてきてくれてとっても嬉しいわ、もう思い残すこともないわ。
それと、ごめんなさいね。お父さんのことやアンリのことを何も言わずに逝ってしまってごめんなさい。お母さんうっかりしてたわ~。シャルロットがまったく聞いてこないから伝え忘れちゃったのよ。ごめんね?でも真実は知っているみたいだし私がうっかりしたおかげで宗隆君っていうイイ男がいるし結果オーライって言うことで許してね。
さて、宗隆君にも伝えたいことは伝えたし。娘のことも心配する必要もなくなったし。これからは向こう側で見守ってるわね。
アリス・アッシュより』
「お母さん・・・。うっかりしてたって・・・。もうっ!宗隆と一緒になれたからいいけどさ・・・!!」
シャルロットは涙を流しながら母親に文句を言う。
「せめて最後ぐらいに言ってよ・・・。遠回りしちゃったじゃん・・・!!」
「シャル。」
「うぇええええええええええええええええん」
シャルロットを宗隆は抱きしめ、シャルロットは宗隆の胸の中で泣いた。
「それで・・・何があったのかは聞かないけど、何がそうしたんだい?宗隆君とシャルロットがそんなにくっついているなんて・・・」
「お父さんには内緒!」
「そ、そうか・・・」
とりあえずシャルロットの生まれた町から帰ってきた直後、ジャベールさんにそんなことを聞かれた。
「まぁ、端的に言えば再度シャルが俺と結婚してくれるって確認できたってことです」
「そうか、なら父親から言わせてもらうけど娘を頼むよ。泣かせたらタダじゃ済まさないからね」
「は、はいッ!」
「それじゃあ、今日はもう遅いからお休み」
「おやすみなさい、お父さん」
ジャベールさんが寝室に向かったので二人も寝室へ向かうことに。
「ねぇ、宗隆。一緒に寝ていい?」
「ん、いいぞ」
「やった!」
今日も夜は更けていく。
そしてあいさつ回りは残り2か所、ラウラのドイツと簪の更識家への挨拶。