今日から放課後は簪さんのIS作りに手を貸すことになっている。今日はその1日目。
「簪さーん、きたぞ~。本音もつれてきたぞい!」
「かんちゃーん、いる~?」
「返事がない・・・」
「ただの屍のよ~だ~」
「勝手に殺さないでよ」
「うわっ!」
「びっくりした~」
後ろから簪さんが声をかけてきたので二人してびっくりしてしまう。
「まったく、ちょっと離れていれば勝手に人を死人扱いして・・・」
「ごめんごめん、いなかったから本音に振ったら乗っちゃって・・・」
「かんちゃーん、手伝うよ~」
本音さんは相変わらずのマイペースで早速ISに手を出そうとする。
「まったく、私はシステムのほう何とかしなくちゃいけないから二人は機体のほうをお願い」
「りょーかい」
「あいあ~い」
というわけで作業開始
「本音さん、これってどこら辺までできてるの?」
「ん~、見た感じ大体50%くらいだね~」
「そうか、でもぱっと見なんかおかしくねぇか?」
「どこがおかしいの~?」
「いや、パーツに違和感が・・・というかなんか悪く言えば不良品・・・ていうか・・・」
「ね~ね~、たかちゃんのそれって感なの~?」
「あ?ああほぼ感だけど・・・こういう嫌な予感だけは当たるんだよね俺」
「ん~、ならチェックしてみるよ~」
・・・・・・・本音チェック中・・・・・・・・
「あ~!たかちゃんの言うとおりだー!」
不良品の数々を見て本音は戦慄した。
「かんちゃーん!!たいへん!たいへんだよ~!!!」
「どうしたの本音?」
「かんちゃんの専用機のスラスター部品ほとんど不良品だったんだよ~!!」
「え?それってホント?」
「うん!私がちゃんとチェックしたから本当のことだよ、たかちゃんに嫌な予感がしなかったら大事故になるところだったよ~!!」
「え?宗隆くんが?」
「そう、たかちゃんが嫌な予感がするから調べてって言ったから調べたの。そしたらほとんど不良品だったんだ・・・」
「で、宗隆くんは?」
「ん~、飲み物とかお菓子とか買ってくるって~。もうすぐ戻ってくるはずだよ~」
「ただいま~。本音~。簪さーん、いったん休憩入れますよ~」
「あ、噂をすれば!たかちゃーん!君の感が当たったよ~!」
「マジかよ・・・。で、どうするんだ?」
「とりあえず製造元に掛け合ってパーツを送らせてみるよ~」
「了解、じゃあ休憩しようか!」
「んいや、こういうことは早めのほうがいいからね、かんちゃんとたかちゃんは先に休んでて」
「いいの?本音」
「いいのいいの、こういうときぐらい幼馴染に任せなさ~い!!」
本音さんがそんなことを言ってくれる。
「ならお願いね、本音」
「あいあ~い!じゃあ、行ってくるね~」
本音は整備室を出ていく。
「よかったな、大事になる前に見つかって。少し遅くなりそうだけど完成はさせられるな」
「なんでかな・・・不良品をつかまされたのは・・・」
「簪・・・」
「私の専用機の打鉄弐式はね、織斑一夏の専用機と同じ製造元なの・・・」
「ということは、一夏に人員を割かれて完成を無期延期にさせられたのか」
「そう、だから私はこの子を引き取って自分で作ろうとしたの。お姉ちゃんがそうしたように」
「そうか、でもお前はここまで一人でやってきた。それはすごいことさ」
「でもね、私ほんとのことを聞いてあなたに出会って、この子の完成を手伝ってもらって、でも完成できないようになっていて・・・」
「大丈夫だ、俺がそれは気づいただろ?だから完成できるって」
「でも!私は気づけなかった!!!」
簪が涙目になってる。宗隆は簪を慰める。
「大丈夫、もうお前は一人じゃない・・・俺がいて本音がいて、もし人手が足りなかったら整備課の先輩に掛け合って助けてもらって・・・。そして完成すればいいじゃないか、そしてこんなにも優秀な私を裏切ったことを後悔させてやろうぜ」
「うん・・・うん!」
「そうか、なら機体のほうは任せてシステムに集中しろよ!」
「うん!こうなったらとことんやる!!」(せめて、この時だけでも宗隆くんと一緒に居たいな・・・)
簪は密かに宗隆に恋心を抱く。それが叶わないと思いながら。
今日も今日とて簪の手伝い行くがセシリアに呼び止められる。
「あ、本音は先に行っていて」
「あ~い、早めに来てね、そのほうがかんちゃんも喜ぶから~」
「あいよ。で?話ってのはなんだ?セシリア」
「いえ、昨日夕食は食堂が閉まるギリギリに食べてましたよね。そんな時間まで放課後に何をしているのかなと思いまして・・・」
「あ、ああえっと・・・」(どうしようかな・・・簪さんのこと手伝ってることを言ってもいいのかな・・・でもここは協力を仰いでおいたほうがよさそうだしな・・・よし!)
「ここだけの話今な、ある子の専用機の製造を手伝ってるんだ。」
「どういうことでして?」
お互いに内緒話の体制で話す。
「いやな、一夏の奴専用機持ってるだろ?その専用機のしわ寄せが代表候補生の専用機に来ていて、製造が無期延期にされちゃったもんでな。」
「それって国の信用にかかわる問題じゃないですか!!」
「んで専用機の操縦者の子が一人で頑張ってたんだけどな、そいつが見ててほっておけないし危なかったから手伝ってるんだ」
「ならわたくしにも手伝わせてせて下さいませ」
「わかった、なら今から整備室に行くぞ」
「わかりましたわ、行きましょう」
IS製造の手伝い2日目の整備室、今日はセシリアもいる。
「簪さーん、来たよ~」
「あ、宗隆くん!えっと・・・隣の人は・・・」
「初めまして、わたくしはイギリスの代表候補生セシリア・オルコットですわ」
「は、初めまして。日本代表候補生の更識簪です。オルコットさん」
「セシリアでいいですわよ」
「な、なら私も簪でいいです。セシリアさん」
「わかりましたわ。簪さん」
それからは作業がスムーズに進んだ、セシリアはシステム面でも優秀で簪が作っているマルチロックオンシステムを見てアドバイスや簪さんとどのようなシステムにするのか話し合っており、予定より早くできる感じみたいだ。
こちらはスラスター系のパーツが届くまで各部のパーツ確認と配線の確認がなされ、あとはスラスターの修繕だけの状態となった。
「今日はみんなありがとう、みんなのおかげであと1週間くらいでできそう。」
「それはよかったですわ、簪さんの専用機早く完成させたいですわね」
「でもここで焦ってはだめだな、焦ってミスっては元も子もないからな」
「そこは大丈夫だよ~。だってIS整備が得意な私がいるからね~」
「確かに、本音さんの整備の腕前には舌を巻きますわ。ですけども油断は禁物でしてよ」
「そ~なのか~」
「こいつ、ほんとに分かってるのか?」
「「「ははははは」」」
完成をまじかにみんなで談笑する。簪はこれで満足だと思った。
(これで私は満足、だってこんなにも楽しめたし宗隆くんのそばに居れた。これでもう、あきらめはつくよ)
だけど簪を見たセシリアはある決断を下した。
「それでは、宗隆さんは先に帰っていてくださいませ」
「ん?どうした?俺だけって?」
「ここからのお話は男子禁制でしてよ」
「む・・・そういわれたら下がるしかないジャマイカ・・・」
「なら本音さん、宗隆さんをお部屋に送ってくださいな」
本音は何かを感じ取り宗隆を整備室から連れ出した。
「え、えっと・・・」
「それで?簪さんは宗隆さんのことどう思っていますの?」
「わ、私は・・・なんとも・・・」
「嘘をつかないでくださいな。正直に答えてくださいまし」
「わ、私は・・・」
「正直にしっかりと、出なければ思いは伝わりませんわよ?」
「私は!好きなの!宗隆くんが!だって、私は私だって言ってくれた!専用機がダメになりそうだった時も助けてくれて、傍にいてくれた!だから、私はそんな、そんな宗隆くんが好きなの!」
「そうでしたか・・・ならばあなたも宗隆さんの恋人になりましょう。」
「ど、どうして?どうしてそんなことが言えるの?」
「わたくしは、あの方を守りたいのですわ・・・」
「守りたい・・・?」
「ええ、宗隆さんは織斑さんと比べて何もないのです。家柄も地位も何もないのです。」
「ってことはもしかして!!」
「そうなのですわ、聞いたのですけど女性権利団体から一度襲撃を受けていますわ・・・」
「そんな!!じゃ、じゃあ宗隆くんって狙われやすいってこと!?」
「ええ、そうなのですわ。織斑さんには織斑千冬というブリュンヒルデとIS開発者篠ノ之束のお気に入りという現在世界最強の後ろ盾とコネがあります。それに比べ宗隆さんは普通の家庭出身で両親は普通の平社員でコネも何もない。ですから気に入らないという理由で宗隆さんは襲われてしまいますわ。」
「だからなの?セシリアさんだけでは守れないって思って・・・」
「そうですわ、そして宗隆さんは自由国籍を取るつもりですわ。ですから結婚相手は一人だけという日本の法律にも縛られませんし、現在は国連の会議で一夫多妻制を男性操縦者に適応させようとする動きもありますし」
「なら、私は宗隆くんの恋人になる!」
「わかりましたわ、なら明日それを伝えましょう!」
「うん!!」
新たに恋人として更識簪が増えた。だがそれを良しとしない一つの影があった。
さーて、ダレでしょうかね~。