決闘を申し込む手紙が部屋に置かれた次の日、なにかを思い出したように簪が叫びだす。
「あー!あの筆跡!お姉ちゃんのだ!」
「あー、前言ってたコンプレックスの元凶の・・・」
「それで、簪さんのお姉さんがどうか致しましたの?」
「え?知らないの!?お姉ちゃんは学園の生徒会長なんだよ!」
「ん?生徒会長なら別に問題ないだろ」
「そういう意味じゃなくて!」
「ではどういう意味ですの!」
「この学園の生徒会長となる条件は、『最強であれ』なんだよ!」
「・・・まさか!それでは宗隆さんの相手とは!」
「そう、生徒の中で最強に君臨する生徒会長であるお姉ちゃんってこと・・・」
「でもそれだけだったら手立てはまだ・・・」
「それにお姉ちゃんは現ロシア国家代表」
「それって本気で言ってますの?」
「本気も本気、マジだよ」
簪から告げられるのはある意味死刑宣告だった。
「そうか・・・。でも俺は戦うよ」
「逃げても文句は・・・え!?」
「今戦うとおっしゃいまして!?」
「ああ、戦う。ここで逃げ出すのは・・・なんか自分が自分じゃなくなるような気がして・・・。」
「宗隆さん・・・」
「別に肩書がどうであれ俺は戦って勝たなくちゃいけないって思うんだ。だから・・・」
「宗隆・・・」
「ごめん!二人とも、俺行くよ!」
「そう、それが宗隆さんの選択ですのね。でしたら!わたくしはどこまでもついていきますわ!」
「わたしも、セシリアだけにいい思いはさせたくないし」
「で、でも!」
「いいんですわ。これが」
「私たちの選択だから」
「ごめん、じゃあ一緒に来てくれるか?」
「はい!」
「私たちがしっかりバックアップするからね!」
そのあとは簪による相手のISの性能や攻撃手段などが伝えられ、セシリアがそれに対する対策を付け焼刃だが考えてくれた。
「そういえば今日、男性操縦者の一人と生徒会長が決闘するみたいなの」
「え?でもこの学園の生徒会長って学園最強の地位と同じでしょ?それに目を付けられるなんて、片方のほうも気の毒ね」
「まあ、千冬様の弟ならまだしもまったく関係のないやつが動かした時点でこうなることは知っていたけどね」
「たぶん生徒会長はそっちを叩き潰してISは女性のものだって主張するのかも」
「多分そうだよ~。絶対会長には勝てないもんね~」
「そうだね~。あっハハハ!」
「今日の放課後のこと噂になってますわね」
「でもあんなにひどく言わなくたっていいじゃない!」
「ですがこれを聞かれては宗隆さんのコンディションに差し支えます!」
「き、聞かれないようにしないと!!」
この後噂や上級生の会話が耳に入らないように宗隆の気をそらし続ける二人であった。
そして放課後、指定の場所に3人で来た。ちなみに第2アリーナの観客席は満員だ。噂を聞きつけた一夏一行と上級生たちや1年生たちも見に来ていた。
「あなたが、神崎宗隆君ね。簪ちゃんをたぶらかした張本人」
「えっと・・・後のは分かりませんが俺が神崎宗隆です。」
「まあいいわ、今回この決闘を受けてくれてありがとうね。まあと言っても負けたら簪ちゃんと別れてもらうから」
「はぁ!ちょっと待て!いきなりなんだそれは!」
「簪ちゃんは私の妹なの、私の許しなくあなたと付き合うことなんか許せません!」
「なら、俺が勝ったらそれを許してもらいます」
「いいわ、勝てるならね」
「ではまた試合場で」
「またね」
二人はお互いに準備をするためにピットへ向かう。
「お姉ちゃんなんて言ってた?」
「なあ、お前の姉ちゃんってシスコンか?」
「え?あ、ああそういうことね。おそらく負けたら別れてって言ってきたんでしょ」
「そうだけど」
「はぁ、やっぱり。あのあほ姉ちゃんってば・・・」
「ま、まあ心中お察しするぜ」
「宗孝さん、今日の朝とお昼の時の対策は一応ありますが本番何があるかわかりません。お気をつけて行ってらっしゃいませ」
「ん!わかった。簪はオペレーターを頼めるか?」
「うん、いいよ。完璧にオペレートしてあげる」
「頼りにしてるよ!」
そう言って宗隆はドラッツェを纏い、簪とセシリアはオペレートルームへと入りオペレートを始める。
「宗隆、聞こえる?」
「ああ、聞こえるぞ。それに右端に顔も映ってるぜ」
「よし、システムは完璧みたい。それじゃあ、お待ちかねの発進シーン行くよ」
「ああ!」
そして決闘目前なのに茶番が始まる
「今回は激しい反撃に遭うだろう」
「そうですわね、ドラッツェは集中砲火を浴びることになる」
発進用カタパルトが移動し定位置へ着く。
「ゲイターが舵をとる。武装の準備完了」
「ドッグファイトに備えてくださいまし」
「待ちきれない」
隔壁が閉まりいつでも発進可能な状態になる。
「宗隆、SATOのジャッカルが攻撃を受けています。我々は戦闘の真っただ中に飛び込むことになるでしょう」
「了解、リトリビューションからの火力支援が必要になりますわ」
「イエッサー」
ブーストをチャージし発進に備える。
「苦難が訪れると奴に伝えろ」
「ドラッツェⅠ、タワーから通知。デブリが漂っているので注意せよ」
「1-1了解」
発進体制が整う
「ドラッツェⅠ発進できるぞ」
「ラジャー」
発進カウントダウンが始まる。
「発進まで、3、2、1」
「よっ!!」
一気にブーストを開放し瞬間加速の要領でトップスピードで発進した。
「宗隆さん・・・」
「宗孝君・・・」
恋人2人は発進した後ろ姿を心配そうに見つめていた。
「あら、逃げずに来たのね。」
「ええ、俺は逃げも隠れもしませんよ」
『試合開始!!』
「簪ちゃんがかかってるから本気で行くわ!!」
そう言って更識姉は蒼流旋のガトリングを撃ちながら接近してくる。
「いきなりか!」
対する宗隆は横緊急回避を使いガトリングを避けた後2丁マシンガンを引きうちばらまく
「引きうちでそうそうやられるわけないじゃない!」
接近スピードを上げ更識姉は斬りかかる。
「待ってました!」
突然宗隆はタックルを使い、
「おりゃ!たあああああはあ!」
バトオペ2のドラッツェの専用カウンターをお見舞いする。
「な!カウンターですって!!」
あのタイミングでカウンターをかまされるとは思っていなかったのだろう。まだ学園に入学してまだ半月ましてや乗り始めてまだ3週間といったところの操縦者に正確なタイミングでカウンターを入れられたのだ。それは予想外のことなのだ。
「もう来ないならこっちから行きまっせ!!」
宗隆はドラッツェの最高速度で更識姉の周りをまわりマシンガンやアサルトライフル、グレネードランチャーを叩き込む。
「そんなことしても私には効果なんてないわよ」
「いいやあるね!」
「なら好きなだけ撃てば~?」
そう言って5秒が過ぎたあたりだろうか更識姉は違和感を感じた。
(何かがおかしい、私はまだアクア・クリスタルで射撃を無効化しているのに・・・一向にやめようとしない・・・)
またそれから5秒後
(まだ続ける・・・でも私のアクア・クリスタルは・・・)
と思ったところでいきなりアクア・クリスタルに異常が発生した。
「これならいける!!」
「何を言って!!キャッ!」
宗隆の射撃攻撃がアクア・クリスタルを抜けSEを削りだす。宗隆はこの瞬間を狙っていた。全方位からの継続射撃攻撃による飽和攻撃、これによりアクア・クリスタルのナノマシン製造の上限を射撃のほうが上回り射撃攻撃が通用するようになったのだ。
「まさか、そんなことが!」
「撃て!撃ち続けるんだ!銃身が焼けこげるまで打ち続けるんだ!!」
撃ち続けていたが、途中で弾切れを起こしてしまい射撃が止まる。
「あら、弾切れみたいね」
「だけど、お前のSEは結構削れたぜ」
宗隆のSE残量はまだ戦えるが更識姉のSE残量はエクバでいうなればバエルの高い高いコンボで底をつく数値だった。だが更識姉は不気味にほくそ笑む。
(な、何かおかしい・・・有利なのに・・・この状況を一手で覆せる何かがある気がする・・・)
「ねえ、ここ暑くない?」
「戦ってるからな、体温が上がって暑くなるのは当然のことだ」
「ならこれでお終いよ!!」
更識姉の掛け声により突然周囲が爆発していく。何もない空中だがどこからともなく宗隆の周囲が爆発していく。が
「てえええええええい!!」
「なんですって!?」
「一つ言っておこう!今日の私は、阿修羅すら凌駕する存在だ!!」
『更識盾無SEエンプティ!勝者神崎宗隆!!』
アナウンスが入り宗隆の勝利を告げる。
「な、私が・・・まけ・・・た・・・?」
「勝たせてもらったぜ・・・」
そういう宗隆のSEは残り1だった。ちなみにフィニッシュ技はガンダムバーサスのフラッグの覚醒技だった。
「あ、あなたは何者なの!?」
「あ?何者かって?そうだな、強いていうなれば・・・白金の彗星かな?」
「なーに?それ?二つ名かなんか?」
「まあ、そんなところです。でもそんなことはよくって、簪との仲認めてもらいますよ」
「あー、はいはい。負けちゃったし認めてあげるわ。まったくこれじゃあ逆らえないしね・・・。ただし!泣かせたら承知しないからね!」
「ぜ、善処します・・・」
「そう、ならいいわ。じゃあ、私はこれで・・・」
「お姉ちゃん!待って!」
「簪ちゃん・・・」
アリーナでISを解いた俺たちのもとに簪とセシリアがやってきた。
「そうやってまた逃げるの!本当のこと教えてくれないで!」
「そ、そういうわけじゃ・・・」
「お姉ちゃんはいっつもそう!私のことになると何も教えてくれない!教えてくれたとしてもわかりにくいこと言って誤魔化して!」
「か、簪ちゃん・・・わ、私はねあなたのことを思って・・・」
「それはもうわかってる!宗隆と一緒にいてセシリアと同じ人を好きになって!お姉ちゃんが私のことが大好きなシスコンだってことは分かってる。あの時ああいったのはそういうことなんだなって!!」
「そうよ、ようやく・・・」
「ばか!なんでなの!私はお姉ちゃんじゃないから、わかんないんだよ?」
「ごめんね・・・簪ちゃん・・・」
「思いはね、しっかり伝えないと意味がないんだよ?だからね?お姉ちゃんは私のことどう思ってるの・・・?」
泣きながらそう訴える簪に更識姉は
「もうっ!私は簪ちゃんのことが大好きに決まってるじゃない!ごめんね!ごめんね簪ちゃん・・・」
そう言って泣きながら二人は抱き合い仲直りした。
そのあとはあの姉妹を二人っきりにさせた。
「よかったですね。仲直りできまして」
「そうだな。まあ仲がいいことが一番だ!」
「そうですわね。私たちも仲良くやっていきましょう」
「それがいいよ。っていうかクラス別トーナメントっていつだっけ?」
「それは2日後ですわ」
「あいつ勝てるかな~」
「まあそれは、もうお察しですわね・・・」
「まあ、頑張ってもらうしかないだろう。ていうか学食フリーパスかかってるなら俺がやればよかったな~」
「もう過ぎてしまったことを嘆いても仕方ありませんわ」
「だってさ~、ブーブー」
「ふふふ、宗隆さんったらそんなにスイーツがお好きなのですね」
「だっておいしいじゃん!学食の特大イチゴパフェすごくおいしいんだ!でもね・・・でもね・・・」
「な、どうしまして?」
「高すぎて・・・月に1回しか食べられないの・・・」
宗隆は涙目である。
「月の仕送りがあるんだけど・・・今俺の姉ちゃんが大学行っていて、その学費でほとんど両親の収入が持っていかれて・・・。俺の仕送りは月に3万あるかどうかで、生活用品買うお金と少しばかりの趣味のお金、学食は基本タダだけど、スイーツ系はお金取られるし・・・」
「して、そのパフェは1ついくらでして?」
「3000円・・・」
「それ本当にパフェですの!?」
「クリームからアイス、ソースまですべて最高級のイチゴで作られた至高の一品なんだ、だから高いんだ・・・」
「ですが、それくらいでしたらわたくしの実家でしたら毎日10個は食べられましてよ」
「ホント!?なら!」
「ですが!そんなに食べたら太ってしまいますので、せめて1週間に1個ですわ!」
「そんなー(´・ω・`)」
「そんなかわいい顔してもダメですからね!」
「はーい(´・ω・`)」
「まったく、ですが私の作るスイーツなどでしたら毎日食べてもいいですわよ」
「ホント!やったー!(*´ω`*)パァ」
「ふふふ、でしたら何が食べたいのですか?」
「だったらクランペットが食べたい!日本じゃあまり食べられないからね」
「では、材料を買わないといけないので今週の休日を楽しみにしておいてくださいませ」
「りょーかい!」
この後このことを聞いた簪もカップケーキを作って参加することになった。