アルバレスとフィオーレとの戦争は、混沌としていた。それもそのはず、もはやここで起こっていることは戦争ではなかったからだ。仮に戦争だとしても、アルバレスとフィオーレの戦争は既に終わっているようなものであり、今は『男と女の戦争』という状況に等しかった。
どこから始まったのか、何から始まったのか。男達はフィオーレアルバレス問わず、女性魔導士を犯し始めるようになってしまった。目の前に女が倒れていれば、それが敵だろうが味方だろうが構わなかった。
気づいた時には、王女でさえも男の餌食となっており、既に女達は男に陵辱されるだけの存在となっていた。先程戦争と言ったが、最早男と女の立場で見ても勝ちは明白だった。
「はぁ、はぁ……!」
そしてここに、1人だけ逃げている女性がいた。ギルド
戦争が始まって、未だ数日すらも経っていないというのに何故逃げているのか彼女自身理解していなかった。しかし、彼女が発見した『その光景』は明らかに異常なものであり、そこに巻き込まれれば自分であっても最後だと認識してた。
「ここまで、来れば……ぐっ…!」
彼女は肩を抑える。スプリガン
「ウェンディとシャルル…シェリアが居なくなって……回復薬がいなくなった。
けどその後にスプリガン12を倒したって報告が上がってきてたけど……」
倒したのは12全員だと聞いている。が、どうにも戦場は未だに荒れているばかりであった。そして、同時に倒したあろう捕虜達の姿が見えないのもまた疑問だった。
「本当に倒されているの…?」
彼女はここまでにいくつも見たのだ。犯される女性の姿を、自分と同じ妖精の尻尾の女性達もアルバレスの男達に犯されているところを、バッチリ見てしまったのだ。
スプリガン12にも、女性はいるという話は聞いている。そして、男達の現状と照らし合わせて考えると……彼女は1つの結論を導き出す。
「……女性のスプリガンも、犯されてるのかもしれない……」
そうなるしか無かっただろう。寧ろ、自分達側の男も同じように敵側の女性魔導士を犯していたので、ありえない話ではないのだ。
だが、そうなるともはや彼女にとっての味方は敵であり、敵もまた敵だということに変わりがない状況となっていた。
「……誰から、助ければいいの…?」
エバーグリーンは、迷っていた。このような状況になって、敵も味方も男と女に別れて、そして同性同士でくっついていた。
ハルジオンの港町も和平で取り戻せたという話を聞いたが、それは果たして本当にまともな和平だったのだろうか?そんな風に疑いを持ち初めていた。
「……それでも、ギルドに向かわないと」
もしかしたら、ギルドならば安全かもしれない。そのようなないよりもマシ程度の希望を持って、エバーグリーンは走り始めた。既に、その後ろには男が着いてきているとも知らずに。
「……誰も、いない…?」
ゆっくりとドアを開けてエバーグリーンは、ギルドに乗り込む。その中には不気味な程に誰も存在していなかった。
乱交パーティや敵に占領されていたなどと予想していたが、そのようなことは全く無かった。
「どうして……」
既にもぬけの殻、ならば初代はどこに行ったのか?敵も既にここから離れてしまったのか?色々な考えが巡っていき、そして消えていった。
「……地下まで、調べないと」
妖精の尻尾の地下には、元々初代マスターメイビスの体を封じていた水晶が存在していた。そこにまだ初代がいるのだったら、ギルドは敵に見つかっていない安全圏だということが証明できるのだ。
しかし、地下の存在は知っていてもその場所は分からない…ともかく繋がりそうな場所を、片っ端から探そうとしたエバーグリーン。そんな彼女の耳に、人の声のようなものが下から届いていた。
「……人の声…誰かいるのかしら…初代……?」
誰が話しているのかは分からないが、しかし行かねばどうにもならないとエバーグリーンは地下室目がけて歩みを進めていく。
だが、そこに居たのは初代だけではなかった。
「ぁ……ひぁ……」
「なんだ?もうへばったのか?妖精軍師と言われていたようだが……こっちの方は殆ど経験がないんだな」
「っ…!!」
エバーグリーンは、すんでの所で声を出さずに済んだ。しかし、驚いたのは変わらない。その場にいたのはメイビスともう1人、男が一人立っていた。そしてメイビスを現在進行形で犯しているのだ。
「あの装飾……」
例えスプリガン12でもしないような服装の豪華さが、男の違和感を際立たせていた。さすがに別大陸の王の顔までは分からないが、もしかしたらあれがアルバレス帝国皇帝なのだろうか、とエバーグリーンは予測を立てていた。その予想は当たっていた。
「……とりあえず、どう近づくか…」
目の前の男を倒せば戦争はフィオーレの勝利である。そうなればこの現状も、少しはマシになるだろうとエバーグリーンは考えた。そもそも、殺しても変わるかどうかわからないのならば、殺すしか道はないのだ。
だが、世の中そう甘くはないのだ。
「━━━なんだ、雑魚か」
「はっ……がっ……!?」
後ろから声がしたと思った瞬間、エバーグリーンの意識は持っていかれる。その音でこちらの存在にも気づいた皇帝が、メイビスを犯しながら男に話しかける。
「あれ?誰この子」
「侵入者ですよ、気づかなかったのですか?我が王よ」
「いやぁ、こっちに集中してるせいで全然気づかなかったよ」
メイビスをオナホのように動かしながら、皇帝は笑みを浮かべる。屈託ない笑顔と共に、目が死んだ魚のような目になっているメイビスが写っているのがどうにもミスマッチである。
しかし、それでも皇帝は辞めようとはしない。
「どうなさいますか?」
「……なら、『あそこ』に持って行ってよ。丁度ほかのスプリガン達もいるだろうし、ちょうどいい。フィオーレの者達との和平で、あそこは全員の溜まり場みたいなものだからな」
「かしこまりました」
それだけ言った後、男はエバーグリーンを担いで地下室から出ていく。それを確認した皇帝は、再びメイビスを犯し始めるのであった。
「ここだ、その目でよく見てみろ」
「うぐっ……」
エバーグリーンが連れてこられた場所は、彼女にとっての地獄そのものだった。純粋に女は道具として犯され、そして男達は満足するまでその道具を使っていく。
「こんな、こんなことが……」
「許されるから、我々は帝国になりえているのだ。安心しろ……ここに居るのは、元我等の同胞かお前らの仲間だった女達のどちらかしかおらん」
「なっ!?」
エバーグリーンは、2度見していた。確かに、よく見ればその場にはルーシィやカナ、ウェンディやシャルル、ジュビア、エルザにリサーナ、ミラジェーンと妖精の尻尾の名だたる女性魔導士達が軒並み犯されていたのだ。
「ひぁ!あひぃ…!」
「あ、んぁ……!」
「こっちの金髪はほんとに胸がでけぇなぁ……突くたびに揺れるもんだから、まるで牛みてぇだ」
「こっちの黒髪も、中々いいぜ?まだまだガキのくせして、男の喜ばせ方を熟知してやがんだからな」
そう言われながら、ルーシィとカナは犯されていた。その表情には嫌悪感を感じさせるものはなく、寧ろ喜んでいる風にさえエバーグリーンは感じていた。
「このガキ、まだまだ小さいくせにこんなの覚えちまって……」
「こっちの白い方もだな……へへ、こういうガキがエロい表情するってのもいいもんだなぁ?」
「んぶっ……じゅぶる……」
「ひぐっ!はぁ、はぁ……!」
ウェンディは男の陰茎を咥え、フェラをしていた。そして、シャルルは自前の尻尾と耳を撫でられながらも乱暴に犯されていた。しかし、先程の2人と同じようにこちらの2人もまた、喜んでいるかよ笑うな表情を見せていた。
「なんで、こんな……」
「犯されすぎて心が壊れたり、快楽に屈したり……色々あるだろうな。それに、あの金髪と黒髪の女だが……元々はお前らに犯された女達だ。味方であっても、女であるならば犯される……恐ろしい場所だなぁ、フィオーレという場所は」
ニヤニヤと、嫌な笑みを浮かべながらエバーグリーンを見る男。エバーグリーンは、そのことばに否定も肯定も何も出すことは無かった。今言ったことは恐らく事実なのだろう。なにせ、男達のルーシィ達を見る目は下心が丸出しのそれだったからだ。
「さて……そして今日からお前もここにいれられる。安心しろ、自殺出来ないように下処理はしてやろう」
そう言って、エバーグリーンの首に氷の首輪が取り付けられる。取り付けられた瞬間に、その首輪は消えてなくなったが恐らく体の中に浸透するという形で消えたのだろう。
「今やったのは、『一定の思考を封じる』首輪だ。思考だけならいくらでも可能だが、1部のことに関しては考えることすら思いつかない状態になっている」
「ま、まさか……」
「舌を噛み切って自殺……なんて事は考えないでくれよ?お前は我々の所有物だ、勝手に死なれては困るのでな」
そう言ってから、男はどこかへと去っていく。女に興味はないのか、淡々と歩みを進めて行った。
そして、その場に残されたのはエバーグリーンただ1人だった。
酷く荒廃したフィオーレ王国。それを見下ろすかのように、一人の女性が城下町を見下ろしていた。
髪は金髪、その顔はまるで大人になったルーシィのような顔つきだった。
「……こんな、こんなことになるなんて…」
その瞳からは涙が出ていた。何故こんなことになったのか、自分でも分からないが涙が溢れて止まらなかった。
彼女の名はアンナ、400年前の過去から来たルーシィの先祖である。時を超える魔法の扉を作成した本人である。そして、とある事情により400年前からこの時代にやって来たのだ。
「……私に出来ることは、何も無い。12の鍵を持っている子達は彼らに捕まり、そして取られてしまっているはず……」
見捨てるなんて、できるわけが無い。しかしそれは気持ちの問題の話である。彼女の目的のため、それを叶えるために見捨てなければならないのだ。
「ごめんなさい……レイラ…」
一人の女性に謝る。レイラはルーシィの母親……どちらも、アンナにとっては大事な子孫である。
「……私、ちゃんとやりなさいよ…!」
頬を叩いて、自分に喝を入れるアンナ。しかし、その後ろから迫る影に彼女は気づくことは無かった。仮に気づいていたとしても、星霊魔導士でしかない彼女には、彼女に仕える星霊が居ないために身を守る手段すらないのだ。
「はっ━━━」
そして、彼女もまたこの時代における男達の毒牙にかかり、人生を終えてしまうのであった。
出てないキャラもいますが、タイトルで分かる方もいると思いますが、終盤に突入致しました。