アルバレス帝国と、フィオーレ王国の戦争は1週間という短い時間をもって『表向きは』両国の和解という形で終戦した。しかし、当然ながらアルバレス本国には一切のダメージはなく、またフィオーレ国王が受けた魔法によって事実上アルバレス帝国がフィオーレ王国を支配した形になった。
更に、フィオーレを囲うために東西南北の方向から進軍するために弊害となった国も軒並み併合、アルバレス帝国は名前を変えてアルバオーレ聖王国と名乗った。
そして、その初代国王にはアルバレス帝国の皇帝が入り、そして同時に彼には妻が出来た。見るからに幼子だったが、しかし国王の言うことは間違っていない、やっていることは間違っていないと国民は妄信的に信じていたため、それに意を唱える者はいなかった。
この頃から、国では……正確には元フィオーレ王国があった場所にはとある事が流行り始めていたのだ。
国のありとあらゆる場所には、昼夜問わず開いている娼館が立ち並んでおり、そしてそこにはかつて名を馳せていた女性魔導士達が軒並み入っているのだ。
そして、何人かはアルバレス帝国時代の女性魔導士や女性兵も混じっており、それらの店は大変繁盛したという。
唯一、元フィオーレ王国王女であるヒスイ・E・フィオーレの行方だけがわかっておらず、色々な噂が立っていた事もあった。今でも旧王宮で犯されている、野党に売られて各地を売り飛ばされ続けている、既に犯され尽くして死んでしまった……などと色々な噂が立っていた。元国民ですら見つけられない以上、国にはいないのだろうと諦めた者達が年々増えていき、ついにはその存在すらもたった1年も立たないうちに忘れ去られてしまったのだ。
そう、これは戦争が1年経ってからの物語。言葉だけで表せる程に淡々と、語るだけの物語。
かつて、ギルド
家も、目印も、名前もそのまま……しかし変わったのはそのあり方全て。かつてフィオーレ1だと言われたギルド、1度潰されても復活したギルド。
そのギルドは、ギルドという事をやめてこう名乗っていた『娼館妖精の尻尾』と。あれから、性奴隷となった女性魔導士についての扱いが考えられた。結果は、指定された人物が同じギルドの女性魔導士を集めて娼館を開くというものだった。そして、その儲けは全て個人で有していいものともされていた。
既に、当時の女性魔導士には人権が存在していなかった。仮に彼女達が妊娠した場合、それが男性であるならばアルバレスの兵に、女性であるならば母親と同じ運命を辿らせるという結論がなされた。無論、娼館の運営のために彼女達が出産する場合は手厚くもてなされた。産めば、また孕み袋になるだけなのだが。
「ねぇねぇお兄さん、寄っていかない?」
娼館がある場所の近くは、昔ならば痴女と言われていたであろう格好した女性や少女達が誘っているのだ。彼女達は、女性魔導士では無いものの、給料に釣られてこの仕事を始めた一般の女性達である。
ハッキリいえば、女性魔導士達よりも立場や給料は上である。というか、女性魔導士達には自由も給料もないので比べる事すら出来ないのだが。
そして、そんな中で少し離れた場所にあるカフェでこんな噂話が流れていた。
「なぁおい、知ってるか?」
「何の話だよ……」
「聖王国が、今度は南北の大陸にも喧嘩を売るんだってよ」
「マジでか?一体全体どうやって勝つつもりなんだか……」
「それがよ……今の国王の手元、何があると思う?」
「……なんだ?新しい兵器とかか?」
「いーや、違う。あるのは『無限の魔力』と『12の鍵』さ」
「なんだそれ……」
「12の鍵、って言うのはわかるよな?」
「黄道十二門の鍵の事だろ?でも無限の魔力ってなんだよ」
「国王……元皇帝がフィオーレに侵略しに来た理由さ、無限の魔力を持つ魔法がここにあって、それを手に入れたいがために侵略行為に出たんだって」
「で?手に入ったのか?手に入れたのは嫁さんだけな気がするが?」
「おかしいと思わねぇか?いくらなんでも嫁が若すぎるって」
「おいおい、そんな言葉吐いたら下手したら不敬罪だぞ?」
「ちげぇよ、その嫁さんが無限の魔力って話だよ」
「……まじか、いやでもそれなら急に婚姻した理屈は付けられるんだよな……」
「で、だ。その無限の魔力と12の鍵を使えば、南北の大陸2つともを一気に侵略できるって訳だ。
どんな兵器かはわかんねぇけどな」
「へぇ……となると、アルバレスが世界を征服する日も近いか?」
「かもしれねぇな」
と、噂話の域を出ない話を男達は行っていた。確かめる術はなく、また確かめる気も起きない。男にとっては楽園、女にとってはいい金儲け。それが今のフィオーレの現状であった。
かつて魔法で栄えていた国は、魔法ではなく女が栄えていた。女を道具として、女を商品として栄えていた。
「さて、俺らも行くかぁ」
「次どこの店行く?」
「そりゃあお前、セイバートゥースだろうよ」
1年、その間に街の様子や連絡網、交通などがとても発展していた。列車の駅は増え、そして1人1台魔導輪という時代にまで急速に発展していた。
それもこれも、アルバレスという巨大な国家が技術の提供を行ったからである。
今では、どこでも魔導輪と列車で行く時代になっているのである。馬車は、魔導輪すら通れないような狭い道などで活躍しているのでギリギリ廃業していない程度である。
「お兄さーん」
女達は媚びた声を上げて、男達を見せに誘う。しかし、この国では別段一般人女性と男性との間に明確な差はない……という訳では無いのだ。
こんな状況になっていて、一般人女性までもが二次災害と読んでもいい差別を受けている。
「しつけぇな……おい!この店の店員いねぇのか!?」
「お客様、どうかなされましたか?」
「鬱陶しいんだよ、この女……さっきからずっと俺に声掛けてきてよォ…」
「も、申し訳ありません!!直ぐに『教育』致しますので!!」
「ひっ!?」
女は、教育という言葉を聞いて顔を青ざめさせていた。これは、彼女自身にとっては初めてのことである。しかし、それが一体何を指す言葉なのかは理解しているのだ。
このご時世、女性に向ける教育という言葉はとある一言に集約される『奴隷調教』と。
別段、一般人女性が奴隷になれない訳では無い。奴隷にならないために、男に服従する事を強制されているだけであり、そこには逃げの意思しかないのだ。それでも、給料は貰えるし独り身でも暮らしていけるし、愛してくれる人だって存在する。
しかし、奴隷になってしまえばその時点でそれら全てがなくなるのだ。勝ち組の人生を歩むチャンスすらも貰えないのだ。
「ご、ごめんなさい!教育、教育だけは……」
「うるせぇ!てめぇの失態はてめぇの人生とその末代までの人生全部で払いやがれ!!」
「そ、そんな……きゃっ!!」
女は、着ていた服を無理やり剥ぎ取られて行った。そして、全裸に剥かれた後にそのまま店の中につれて行かれた。客であろう男は、そのままその店を通り過ぎて何事も無かったかのように無表情で通り過ぎていくのだった。
そしてここは、とある山奥の小屋の中。山奥にあるにしてはそれなりに大きく綺麗な外観もあって、よくある山地のキャンプ施設のような趣を感じるものだった。
しかし、実態はほぼ真逆と言っても過言ではなかった。その施設は、山賊が秘密裏につくりあげたものであり、当然否認化の状態である。そして、その施設の中で3人の女が首輪を付けられて飼われていた。
「んぶっ……ん、んん……!」
1人は、かつてこの国の王女だった人物。ヒスイ・E・フィオーレ本人であった。何故彼女がこんな所にいたのか?少しだけ時間を遡ることとなる。
かつての戦争の際、アイリーンによって土地が縮小されなおかつ無茶苦茶になったあの日。アイリーンの手によって、城の男達は腰を振る獣と化して、城内の女性達を犯す為に襲い始めたのだ。
そして、犯され続けたところでアイリーンの魔法が解けて、再び土地の上にいる人物達はランダムの位置に飛ばされる……その際に、城内の女性全員が、何故か山賊のこの小屋にまで飛ばされてしまったのだ。
あとは簡単である。美しく、そしてスタイルのいい王女は彼らの格好の餌となってしまったのだ。それから、調教による調教を重ねて一年後の今では、すっかり屈服して服従してしまったということなのだ。
「じゅぶ、んじゅぶ……」
「ちゅるるる……」
そして、同じように城で犯されていた餓狼騎士団のコスモスとカミカもそこで犯されていた。
彼女達もまた、ヒスイと同じような状態となっている。
「おい、もっと激しくしやがれ……ったく、すっかり堕ちたと思えばこうなっちまってんだから、そろそろ売り時かねぇこの女共も」
「つっても頭ァ、この女達売っぱらっちゃったらこのご時世に女捕まえんのは難しくなりやすぜ?」
「……確かにその通りだよなァ」
そして、国による女達の私物化はこういった奴隷にするための拉致などに意外にも効果を発揮していた。
女を攫うとなると、国による摘発が行われてしまう。怖いもの知らずな同業者が痛い目にあったのを、彼らはよく覚えていた。ギリギリ許されるのが、街で歩いている売り子である。しかし、女性魔導士でない女性はかなり脆いのだ、体力的にも精神的にも。無論、どちらにも例外こそあるが、このご時世に鍛えている女性などいないだろう。
「仕方ねぇ……新しい女さらえるまで我慢すっか」
「うぃーっす」
山賊達が、頭の言葉によってだるそうに声を上げていた。しかし、これが彼らにとっての賢いやり方なのだ。この女達に飽きれば、街に行って適度に女を買いに行けばいいのだ。
所詮、そこまでの金はかかることも無い。犯罪者ではあるが、国が総力を上げて潰しに来るほどのことをしなければ大丈夫なのだ。
そしてまた、各地の色々なところで退廃的なことが行われるのであった。
「……これが、今のこの国の現状だ。理解してくれたか?メイビス」
「……」
「答えられない、か。まぁ道具として……仮初の嫁として働いてくれるならそれでいい」
元アルバレス帝国、首都の城にて……国王はメイビスに語りかけていた。しかし、そのメイビスの目は完全に死んでおり、その体に纏うものはたった一つの鉄の首輪だった。
「だがまぁ……こうして首輪が良く似合う女になってくれたな。嫁にした甲斐があったというものだ」
メイビスの首輪から垂れ下がった鎖を触りながら、国王はメイビスを見る。死んでいる訳では無い、しかしあまりの絶望で心を閉ざしているだけなのだ。だが、それもとあることをすればガラリと変わる。
「……寵愛をさずけてやろう。メイビス、股を開け」
「ぁ……ハイ……!」
そうめいしられた瞬間に、メイビスの体は喜ぶかのように愛液を出し始める。そして、その表情も喜びに溢れたものとなっていた。
彼女が絶望から逃れられる唯一の手段、それが国王の陰茎によって体を蹂躙されることである。
「ァ……あ……!」
「くく、この時だけはお前も喜んでいるなメイビス」
犯されることによる快楽、その快楽による喜び、そして喜びによって起こる現実逃避。
それを行うことでしか、メイビスは自分を保つことが出来ないのだ。既にかつての彼女の面影はどこにも存在していない。しかし、それもまた運命……それは、等しく誰にでも訪れるものなのである。
この小説のまとめに入ります。