超次元ゲイムネプテューヌ Origins Visionary 作:シモツキ
・今回の話のように、就寝前及び起床後のどちらか、又は両方が描写されない場合もあります。
・通常のリクエストは勿論の事、特殊作品群に該当するようなリクエストも受け付けております。しかしその場合は当然相手となる作品の作者さんに了承を頂かなくてはいけない為、必ずしもリクエストにお応え出来るとは限りません(既存シリーズの続きが読みたい、というリクエストも承っております)。
人物・イリゼ
内容・ふたなり ミルキング 射精管理 絶頂管理 触手 くすぐり 拘束 媚薬
イリゼを騙し、利用しようとし、それを断られたとなるや、幽霊の少女はイリゼを玩具として徹底的に虐め抜いた。元より連日拷問を受けていたイリゼだったが、心を折り要求を飲ませる事が目的のアキと違い、少女は本当にただ虐め、苦しめる為だけに…その結果イリゼがどうなろうが関係ないというスタンスであった為に、与えられる苦痛はこれまでのものを容易に超えてくるものだった。
心身共に追い詰められ、苦しみも屈辱も嫌という程味わったイリゼに、少女は言った。お楽しみはこれからだ、と。そしてそれは、嘘でも誇張でもなく…本当に、少女にとってより楽しいのはここからであった。
「ふっ、ぅ…はぁ…はぁ……」
荒い息を、イリゼは漏らす。疲労と共に、力を振り絞っている…そんな状態である事が、その吐息だけで伝わってくる。
そのイリゼは今、全裸の状態で、ブリッジの体勢を取っていた。勿論これはやりたくてやっているものではなく、少女に命令された事。やらなければ命を奪うだけだと脅されたイリゼは、とにかく耐えて逆転のチャンスを待つしかないと、渋々ながらも従う事を選んだのである。
「あはっ、無様な格好ですわねぇ。それが一国の長たる女神の姿なんですの?」
「やらせておいて、何を……」
愉快そうに表情を歪めて煽る少女に対し、イリゼは恥ずかしそうにしながら返す。そんなイリゼの反応も、少女は口元をにぃ、歪めながら眺め…それから指を立てつつ言う。
「さて、今の無様な貴女を見ているのも悪くありませんけどぉ、ここで一つゲームをしませんこと?」
「…ゲーム?」
「ええ、今からわたくしは、貴女に射精封じの魔法を掛けた上で身体を弄りますわ。その状態で、三分間耐えてブリッジの体勢を維持出来れば貴女の勝ち、出来なければわたくしの勝ち…馬鹿な女神でも理解出来る、簡単なゲームでしょう?」
「…そのゲーム、私が耐えて勝った場合は何かあるの…?」
「そうですわねぇ。その場合は、射精させてあげますわ。けどたった三分も耐えられずに崩れた場合は、罰としてまたミルキングを致しますわ」
「……っ…!」
射精とミルキング。少女の発したその二つの言葉に、イリゼはそれぞれ反応す。これまで徹底的に、女神でなければとっくに気が狂っていそうな程に射精を管理されていたイリゼにとって、それはあまりに魅力的な報酬。だが一方で、つい先程まで散々ミルキングという快楽なく精液だけを排出させられる感覚を味わっていた事を思えば、このゲームの結果は正に天国と地獄。
勝てばいいだけ、などとは思えない。今の時点でもう、ブリッジの体勢を取るだけでも辛いイリゼに、余裕などは微塵もない。
「ふふ、射精はしたいけどミルキングは嫌〜、って顔してますわね。まあでも、迷う必要はありませんわよ?だって貴女に選択権はありませんもの」
疑問系で提案をしておきながら、選択肢など与えないとあっさり言う少女。しかしイリゼもそんな事だろうと薄々予想していた為、そう驚く事はなく、きゅっと身体を強張らせる。これから行われるであろう責め苦に耐えるべく、必死に力を掻き集める。
「せいぜい頑張って下さいまし。でなければ、面白くありませんわ」
気力と体力を振り絞ろうとするイリゼとは対照的に、少女は完全な遊び感覚。部屋にあったタイマーをセットすると、勿体ぶるような足取りでイリゼに近付き、片手の掌を上へと向ける。するとそこに魔法陣が浮かび上がり…次の瞬間、魔法陣の中から複数の細い触手が現れる。
うねうねと現れた細い触手は、その全てがイリゼの股間、今も生えたままである陰茎へと伸びる。少女はこれで扱くつもりか、それとも締め上げて苦しめるのが狙いか、と一瞬考えたイリゼだったが…少女の責めは、そんな程度のものではなかった。
「…ぇ?ま、待って、何して……い"ぃ"ぃッッ♡!?」
触手は竿に絡み付く…かと思いきや、その内二本が鈴口付近へ触れて止まる。その次の瞬間、触れた触手はいきなり左右へぐっと引っ張り、無理矢理鈴口を大きく広がる。そしてそして開いた鈴口へと狙いを定めるように、残りの触手はその先端を近付け…ずぶり、と尿道の中へ入り込む。
「ひぎぃいいぃッ♡!?なッ、やっ、オチンポの中穿られ…ん"ぁああぁぁッ♡!」
未知の感覚に悲鳴を上げるイリゼ。触手は非常に細く、痛みはあまりない…が、凄まじい異物感が尿道を襲う。ただでさえ本来ある筈のない陰茎、しかも本来は出す為の器官へ逆に侵入される感覚は、とても言葉で言い表せるものではなく、イリゼの腰はガクガクと震える。その振動が伝播するかのように、膝と肘もぐらついてしまう。
「あらぁ?もう震えているようですけど、まだゲームは始まったばかりですわよ?」
「そっ、そんな事…言われっ、て…も"ぉ"ぉっッ♡!」
嘲りしか感じられない少女の言葉にイリゼは言い返そうとするも、その声は途中で喘ぎ混じりの悲鳴へと変わってしまう。
入り込まれた時には、確かにあった異物感。しかしその裏から、段々とある感覚が滲み出てくる。尿道を内側から刺激され、通り抜けるという、射精にも似た感覚が募り、走り、足と腰から力が抜けてしまいそうになる。それを気力で堪え、ぐっと耐えるイリゼではあるが、少女に甘さなどは一切ない。
「内側ばかり刺激されるのは辛いでしょう?だから、外からもたっぷり刺激してあげますわ」
「ひっ♡!い、要らなッ…ぁひゃあぁああぁぁっ♡!い"ッ、止めてぇぇええっ♡!」
喋りながら、少女は逆の手にも魔法陣を発生させる。そこからも同じような触手が伸び、今度こそ触手はイリゼの一物へ巻き付く。隙間がないよう、触手同士がぴったりとくっ付き、そこから上下に動き始める。
柔らかく、表面は弾力がありながらも、その内側には引き締まった部分を感じる触手。それ等が巻き付き筒の様な形状となって、亀頭から根元までをごしゅごしゅと扱く。当然その間も尿道に入り込んだ触手は止まらず、中外同時にイリゼの陰茎は責め立てられる。
(しょ、触手がオナホみたいになってるッ♡我慢したいのにっ、しなきゃいけないのに、これ気持ち良過ぎるぅうぅううぅっっ♡!)
もしゲームに負ければどうなるか。それを嫌という程理解しているにも関わらず、イリゼの身体は、生えた陰茎は刺激に反応してしまう。それを快感として、全身に駆け巡らせる。
耐える気はあっても、快感をシャットアウトする方法などない。耐えるしか、堪えるしかなく、しかし気力だけではどうにもならない。それを示すように、尿道を奥深くまで穿られ、竿を扱き上げられ、一物をぬちゅぬちゅぐにゅぐにゅと卑猥な音と共に遠慮なく責められたイリゼは抵抗虚しく射精を迎え……
「ああ、忘れていましたわ」
「ひぎゅッッ♡!?ぅ"あ"ッ、あ"ーッ♡!射精ない"ぃい"い"ぃぃいぃッ♡!」
外に出ようと込み上げてきていた精液は、内側で魔法にやって堰き止められる。正に射精をする、その直前で思い出したように少女はイリゼへと射精を封じる魔法を掛けて、ゲーム中の射精禁止を思い出させる。
これが本当に忘れていたのか、それともわざとこのタイミングが来るのを待っていたのか、イリゼには分からない。しかしこれが、痛烈である事は明白だった。
「ほら、残り時間は半分ですわよ?耐えるのでしょう?」
少女に言われ、イリゼは見る。確かに時間は残り半分。今の時点でもう相当辛いというのに、まだ半分なのかと一瞬イリゼは表情を歪めるが、半分は耐えたのだと思い直して自身の心を奮い立たせる。
しかし少女の責めも、一物だけに留まらない。二つの魔法陣から出現させた触手で尿道と竿を同時に責めつつも、そこから更に分身を作り出してイリゼを責める。分身が耳へと吐息を吹きかけ、腋や足裏を指で擽る。
「ふひぁっ♡!ずっ、ずるいっ、ぅははははははッ♡!んひひひんぁあ"へぇぇっ♡!」
「ズルい?どこがズルいのか、言って下さらなければ分かりませんわよ?」
複数の分身により、両耳と両腋、それに両足裏の六点を一斉に刺激される。少女は幽霊としての透過能力を用いている為、床に突いている足裏だろうと全く逃れる事は出来ない。そして、思わずズルいと言ったイリゼだが、説明したルールに何か違反している訳ではない。
その上で少女は擽る勢いを強め、よりイリゼを笑わせる。二重の理由でイリゼはズルい根拠を言う事が出来ず、苦しみと悔しさで表情を歪める。半分は耐えたのだから、残りは半分耐えれば良いだけ…その考え方は、前半にはなかった責めを一気に繰り出される事で呆気なく瓦解していた。
(気持ち良いっ♡!擽ったいっ♡!でも射精出来ないぃいいいいッ♡!苦しいっ、力抜けちゃうぅぅううぅっっ♡!)
笑ってしまってまともに出せない声の代わりに、イリゼは心の中で叫ぶ。腕と脚の震えは増し、バランスも崩れる。ちらりと見えたタイマーはまだ三十秒以上あるというのに、もう瀬戸際。いつ力が抜けて倒れてもおかしくない程追い込まれる。
「ぅぅううううぅッ♡!ふぎぅ"う"ううぅぅうッッ♡!」
「あはぁ、必死ですわねぇ。そんな必死な顔されたら…もっと虐めたくなってしまいますわ」
「むぐぅううぅッ♡!?ふごっ、ぉ"ごぉおぉぉッ♡!」
歯を食い縛り、鼻息を荒くしながら倒れる寸前で堪えるイリゼ。幸い女神としての高い身体能力や感覚が活きてイリゼは何とか踏み留まるが、そんなイリゼの抵抗を嘲笑うように、新たに現れた少女の分身がイリゼの口と鼻を塞ぐ。片手で両方覆われて、イリゼは呼吸が出来なくなる。
ただでさえ快楽責めをされていたところに擽りで思いきり笑わされ、イリゼの呼吸は荒くやっていた。そこで口と鼻を塞がれればすぐに苦しさが駆け登り、顔を振ってイリゼは逃れようとするも、そんな事で振り解ける筈がない。むしろただでさえギリギリ耐えているところに自ら揺れを起こそうものなら、それは自身に対する追い討ち以外の何物でもなく……
「ふむぅ"ぅ"っ♡!ぁぶッ…ぁ──」
大きく首を横に降った瞬間、ぐらりとその方向に傾く身体。咄嗟に立て直そうとするも、既にギリギリだった為とても間に合わず、イリゼは横に倒れてしまう。
「あーあ、残り十秒でしたのに、残念ですわねぇ」
「……っ、だ、だってこんな……っ!」
「そんな見苦しい言い訳をしても無駄ですわよ?ほぉら、それより負けた貴女には…今から罰のミルキングですわ」
「ひぃッ!は、離してッ!いやぁッ!」
分身達に無理矢理ブリッジの体勢へと戻されるイリゼの身体。続けて本体の少女は一度触手を消し、透過によってイリゼの精嚢をあっさりと掴む。そしてイリゼが目を見開く中、握り締める事でイリゼの精液を絞り出す。
「あああああああ"あ"あ"あ"ッッ!」
凄まじい激痛と、一切の快楽がないままただ絞り出されては垂れていく精液に、イリゼは絶叫。先程までとは打って変わって分身にブリッジの体勢を強いられている為、イリゼには絞り取られる精液をどうする事も出来ない。加えてブリッジでミルキングをされた事により、鈴口より排出された精液はたらたらと情けなく肉棒へ、腰へ、それから脚や腹部へと垂れていくばかりであり、屈辱感がイリゼの心をズタズタにする。しかし嫌でもイリゼは目を逸らさない。目が釘付けになって、離れない。
「ふぅ、こんなところですわね。それじゃあ、二回目を始めますわよ?」
「に、二回、目…?そんなの、聞いてな…んんんんぅぅ"ッ♡!」
「当たり前ですわ。だって言ってませんもの」
一頻り絞ったところで、当たり前のように少女は再び責め始める。イリゼの体内から手を抜き、再度触手と分身でイリゼを擽り喘がせる。失意に茫然とする暇もなく再開された責めに慌ててイリゼは身構えようとするも、既に一物をその内外から刺激され、耳や腋や足裏をくすぐったさが駆け巡っている為まともに力を込められない。
しかも意地の悪い事に、少女は速攻で勝負を決めようとはしない。わざと初めは緩く、そこから段々と激しく責める事で、半端にイリゼに希望を持たせる。それと共に、必死になって耐える時間を長くする。
「ふぅぅッ!う"ぅ"っーっ♡!あぁ無理あははははははッ♡!」
「まだ一分ですわよ?それなのにもうこんなにガクガクになって、これで残り二分耐えられまして?」
両腕はくの字に曲がり、両脚も品のない蟹股となってしまうイリゼ。擽りから逃げたい重いから踵が浮き爪先立ちになるも、そんな事では全く逃げられない。むしろ身体を支える力が弱くなるばかりなのだが、それを考える余裕すらない。
そうしてまた、イリゼは姿勢を崩して倒れる。今度は口と鼻を塞がれるまでもなく、ただ責めに負けてばたんと背中から落ちてしまう。
「あら、まだ残り一分だというのに失敗するなんて、先程までの根気はどこに行ってしまったんですの?」
「はぁ…はぁ…わ、私だって…倒れたくて倒れた訳じゃ……!」
「倒れたくないのに倒れるなんて、頭がおかしいようですわね。さて、それではまたミルキングを……」
「……ッッ!ま、待って!止めてぇっ!お願いっ、お願いだからぁ!」
少女に見下ろされ、分身にまた手脚を掴まれる中、イリゼは金切り声を上げて懇願。威勢の良い言葉を、屈しない精神を見せるなどという思考はもうない。…それ程までに、辛いのだ。辛く、苦しく…耐え難いのだ。
もし掴まれていなければ、イリゼは縋り付いていたかもしれない。或いは自ら土下座していたかもしれない。それ程の恐怖に駆られながら、イリゼはミルキングの免除を乞い…少女は、口元をにぃっと歪める。
「ならば、もっとちゃんと言って下さるかしら?」
「ちゃ、ちゃんと…?」
「そうですわねぇ。『淫乱な女神ですみません。何も出来ない雑魚女神のオチンポに溜まっている精液を出す為に射精させて下さい』位は言って……」
「……っ、い…淫乱な女神ですみません…!何も出来ない、雑魚女神の…オチンポに溜まっている精液を出す為に、射精させて下さい……!」
ちゃんと言え。そう言った少女が次に口にしたのは、明らかに屈辱を与える、侮辱の為の言葉。その言葉に、イリゼはただでさえ必死になって真っ赤だった顔を更に赤くし…だが少女が言い切る前に、それすら待たずに言われた通りの発言をする。
そんな反応をしてしまう程に、イリゼは必死だった。それでミルキングをされずに済むのなら、と恥を捨ててしまう程、イリゼはミルキングを恐れていた。藁にも縋る思いで言ったイリゼの懇願に、少女はぴくりと眉を動かし…言う。
「そんな声では聞こえませんわ」
「んな……っ!?」
「ちゃんと言う気もないのであれば、やはりミルキングをする他ないですわね。今度はさっきよりもたっぷりと、もっと沢山絞り出してあげようかしら」
「……っっ!淫乱な女神ですみませんッ!何も出来ない雑魚女神のオチンポに溜まってる精液を──」
「五月蝿い」
「あぎゃあ"あ"あ"あ"ぁぁ"ぁぁぁぁッ!!」
すぐに言ったにも関わらず、小声でもなかったにも関わらず、聞こえないと少女は返す。そこへ脅すような言葉を重ね、手を透過させて直接精嚢に触れた事で、イリゼは泡を食って大声で、声を張り上げるようにして言い直すも、今度は言っている最中に五月蝿いと一蹴し、そのまま精嚢を掴んで締め上げる。それによってイリゼの懇願を黙らせると共に、苦痛でイリゼに絶叫をさせる。
「五月蝿いと言っているのが聞こえませんの?少しは静かにしなさいな」
「う"ぎぃい"ぃ"いぃぃいぃッ!ふぎぅ"ッ、ぁ"ぁ"あああ"あ"ッッ!」
冷たい声音で、より強く少女は精嚢を握る。圧迫し締め上げる事で、無理矢理精液を中から押し出す。静かにしろと言われても、こんな苦痛を、激痛を与えられて黙っていられる訳などないのだが、勿論少女はそんな事などお構いなし。ただ静かにしないからという一方的且つ理不尽な理由を以って、宣言通りに一度目以上の精液を絞り出す。
「さてと、では三回目ですわ。わたくし、ちゃんと勝てたら射精させてあげようと思ってますの。だから今度こそ耐えてみせて下さいまし」
やるだけやった少女は手を離すと、普通の事であるかのように三回目の開始を告げる。イリゼの反応を待つ事なく、触手と分身でじっくりと責める。約束を違えるつもりはないと言う少女ではあるが…それが本当であるかどうかも、イリゼからすれば定かではない。
しかし本当かどうか以前に、最早イリゼに勝つのは困難だった。ただでさえ消耗したところから始まり、二度のゲームで更に激しく削られたイリゼに三分という時間はあまりに長く、勝つどころかやる度に少しずつ耐えられた時間は減っていった。
(もう、無理…うん、どうせ耐えようとしてもあの手この手で崩してくるんだから、だったら耐えたところで体力の無駄……)
何度も繰り返された末、イリゼの頭にぼんやりと浮かんだ思考。それは、どうせ耐えられないのならそこに気力を注いても無駄、むしろ適当なところで諦めてしまった方がまだ微かにでも体力を残せるのではないかという、後ろ向きな考え。ここまで頑張ってきた、頑張り続けてきたイリゼも、終わりの見えない中で疲弊と苦痛を延々と重ねられた事で、いよいよその気丈さも翳りつつあった。
目だけを動かして見たタイマーの残り時間は、二分と少し。であれば一分経った辺りで諦めてしまおう、そこで力尽きたように見せかけよう…そんな風に考えたイリゼ。そうして一分が経過した時点でイリゼは腕の力を抜こうとしたが……。
「…はぁ。そんな事、許すと思いますの?」
「い……ッ!?」
次の瞬間、手足に感じた鋭い冷たさ。瞬く間に腕も脚も凍結していき、イリゼは身動きが取れなくなる。
「ぁ、な、何を……!」
「諦めてゲームを放棄するつもりだったんでしょう?そんなのお見落とし…どころか、自分で言っていましたわよ?」
「な、ぁ……っ!」
呆れた面持ちの少女の言葉に、イリゼは愕然とする。イリゼは思考に耽っている時や精神的な余裕がなくなった時、時偶考えていた事をそのまま口にしてしまうという悪癖があるのだが、よりにもよって今、その癖が出てしまったらしい。
当然イリゼは弁明…というより誤魔化そうとする。しかし相手は元より身勝手な少女、加えて無意識とはいえ自分から言ってしまっていたとなれば、それを誤魔化す事などあまりに困難。
「全く、勝った場合のご褒美まで用意してあげているというのに、ゲームを台無しにしようだなんて…どうやら罰が必要みたいですわね」
「だ、だからそれは…って、なッ、やめっ…ふぐぉ"おおおおぉぉっっ!?」
少女が両手で展開していた魔法陣、それが一瞬強い輝きを見せたかと思うと、これまでとは太さの違う触手が大量に出現。それがイリゼへと殺到する。反射的に逃げようとしたイリゼだったが、魔法で手脚を凍らされている為全く逃げる事が出来ず、触手の束が揃ってイリゼに襲い掛かる。
臍、膣、陰茎、耳、鼻…それに口。それぞれの部位や穴に合った太さの触手が一斉に襲い、容赦なく入り込む。口は塞がれ、耳や鼻にも侵入され、膣は突かれ、臍の奥や尿道にも触手が伸びる。そして触手からは、ぶしゅりとガスが噴出する。
「ん"ごォ"オ"オ"オオお"お"お"お"ぉ"ぉ"ぉッッ♡!?」
次の瞬間、燃えるように熱くなるイリゼの身体。全身に熱が、刺激が駆け抜け、頭の中が焼き切れるような感覚を味わいながらイリゼは大声で絶叫する。
触手が噴出させたガス。それにはめ強力な媚薬成分があった。イリゼには知る由もない事だが、それを体内に直接送り込むなど常人であれば発狂死してもおかしくないレベルの危険な行為であり、現にイリゼも肘や膝の関節が砕けんばかりの勢いでビクンビクンと身体を暴れさせていたが、少女は全くのお構いなし。それどころか膣と陰茎を襲う触手には絶頂と射精へそれぞれ誘う動きをさせ、一瞬で媚薬漬け状態にさせられたイリゼは瞬く間に果てそうになるも、射精に加えて絶頂も出来ないように少女が魔法を追加した為、イリゼはどちらにも至らない。ただでさえ狂ってしまいそうだったところへ、更に狂いそうな苦しさ切なさがイリゼの中で迸る。
それは、これまでの比ではない。これまではまだ、イリゼという玩具が壊れてもいいという意識での責めだったが、これは最早壊す為の責めであり所業。
「ふぎう"う"ぅ"う"うぅう"ぅッ♡!う"ぐぅうう"う"ぅぅッッ♡!」
「口を塞いでもまだ騒ぐんですの?はぁ、馬鹿に付ける薬はない、という言葉がありますけれど、確かにどうしようもない馬鹿は存在するみたいですわ」
呆れたように少女は言い、責めを続行。膣や尿道はそのまま責め、臍は擽るように触手を動かす。逆に鼻へは雑に奥へ触手を突っ込み、痛みを容赦なく味わわせる。耳にも奥まで触手を入れるが、敢えて極細の触手を違う事で、喋るのを封じた口とは対照的に、少女の言葉責めは聞こえるように責め立てる。
快感も、痛みも、苦しみも、もどかしさも、擽ったさも、何もかもが一斉に押し寄せる。どれか一つでも相当な刺激が、津波の様にイリゼを飲み込む。しかもそれは、媚薬ガスで気が狂いそうな状態となった上での事。常人は勿論、女神であっても廃人になりかねない程の、そうとしか思えない程の責め苦を前に、イリゼの精神は吹き飛んでしまいそうだったが……どんなに狂いそうでも、狂わない。アキに付けられたリングによって発狂しない、発狂出来ないように精神が寸前のところで防御されているが故に、そんな逃げ道すらイリゼにはない。
(お"かしく"な"るッ♡!お"か"し"く"な"る"ぅぅ"う"う"ぅ"ぅぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ッッ♡!)
心の中で、イリゼは叫んでいた。もうそうする事しか出来なかった。そしてどんなに心の中で叫んだところで何も変わらず、刺激を処理する頭が吹き飛びそうな時間がひたすらに続く。
とにかく耐える。少しでも体力を残し、チャンスを待つ。そんな思考は、もうイリゼの頭の中のどこにもなかった。どうすればいいか、どう耐えるべきか…そんな風に考える事も、終わる瞬間だけを願う事も出来なかった。何も出来ない。思考も全く回らない。精神はリングによってギリギリ保たれていても、イリゼの思考回路は疾うに弾け飛んでいた。
*
気付いた時、イリゼは床に倒れていた。倒れた際の衝撃に気付く…それが、暫くの間おかしくなっていた思考がまともに動いた瞬間だった。
とはいえ、気絶していた訳ではない。気絶する事も出来なかったからこそ…与えられた刺激の全てが、頭の中に焼き付いている。
「ぁ"っ…ぁ"ぁ……♡」
手足の凍結は魔法を解いたのか既に消えており、今は触手の存在もない。随分と久し振りな気のする…しかし実際にはどの程度の時間行われていたのかも分からないような状態の中、床に倒れたイリゼは微かな呻き声を漏らしながら痙攣を繰り返す。
そのイリゼを見下ろす少女は、無言でイリゼの股の間に膝を突く。そこから手を伸ばすと、指先をイリゼの肛門に触れさせ…次の瞬間、腕ごと少女は手を突っ込む。
「かッ、ひ……っッ♡!!?」
目を剥きイリゼが息を詰まらせる中、少女は直腸の奥へと無理矢理腕を押し込んでいく。幾ら小さな少女(の幽霊)とはいえ、腕が肛門と直腸へすんなりと入る訳などないのだが、少女はイリゼの激痛と引き換えに力技でこじ開け手を奥深くへ到達させる。当然その間にイリゼが上げていた絶叫などは気にも留めず、深くへ到達してからは指でぐりぐりと腸壁を押さえる。
「えーっと、多分この辺りで……あぁ、ここですわね」
「ほぎゅ"あ"ッ♡!?ひぐッ、ぅ"あ"ああああぁっっ♡!」
そうして少女が見つけたのは精嚢。その位置を捉えると、少女は二本の指先をそこへ向けて押し付ける。強く押し付け、直腸越しに見つけた精嚢を圧迫する。圧を掛けられた精嚢からは、中の精液が押し出され…また、たらたらと鈴口から白濁液が溢れ出る。幽霊としての性質を用いない、言うなれば普通のミルキングで今一度イリゼは精液を吐き出させられる。
間接的且つ指先のみでの圧迫な為、排出される勢いはこれまでより弱い。また肛門には裂けるような痛みがあるが、それでも精嚢を直接握られていた時に比べれば痛みもマシで…だからこそ、より精液が無意味に、無駄に溢れては垂れていく事からイリゼは意識を離せない。更に言えば、媚薬ガスによってイリゼは種類問わず刺激で快楽を感じている。今ある痛みも、痛みは痛みのまま同時に快楽を感じており……それなのに、一物の快感だけはない。それだけはないまま、じわりじわりと虚しく精液が絞られていく。
「ああっ、ぃ"ああァッ、う"ぁぎッ…ぐひぃいい"い"ぃ"ぃ"ィッ♡!」
「分かりまして?わざと失敗しようとするのなら、また同じように罰を与えますわ」
ある程度ミルキングを行ったところで、挿れた時と同様、乱暴に少女は腕を引き抜く。答える事の出来ないイリゼを見下ろしながらそう告げて、尚もゲームを続けようとする。
「くはぁッ…はぁ…む、無理…もう、力…入らない……」
「そう言って、スタート直後に倒れるつもりですの?」
「ち、違っ…本当に、もう……っ!」
「ふぅん…まあ、そういう事であれば仕方ありませんわね」
顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃ、身体も汗と精液でべとべとという酷い姿を正す余力もないまま、イリゼは嘘ではないと訴える。すると少女はその訴えを受け入れるような反応を見せ、イリゼは一瞬安堵した……が、次の瞬間イリゼの身体は勝手に動き出す。力の入らない腕と脚が、まるで外から操作されているかのようにぎこちなく胴体を持ち上げ勝手にブリッジの体勢となる。当然イリゼは訳が分からず混乱し…すぐに気付く。こんな事が起こる理由など、一つしかない。
「さあ、続けますわよ」
「ま、待って、ほんとに無理……ぁぁあッ!」
立ったのではなく、魔法で立たされた。イリゼがそう理解すると同時に少女は再開を宣言し、それと共に魔法を解く。
当然、イリゼにそこから耐える体力などもうどこにもない。魔法という支えが失われた瞬間膝も膝もあっさりと曲がり、イリゼはそのまま下に倒れる…と、他でもないイリゼ自身が思っていたが、その瞬間両腕両脚が再び少女の魔法で凍結し、イリゼの身体は半端な姿勢で動かなくなる。
「はぁ…まさか女神がここまで学習能力がないとは思いませんでしたわ。これではまた罰ゲームをしなくてはなりませんわね」
「ち、ちが、違う…!ほんとにっ、わざとじゃない……っ!」
凍らされ急速に熱を奪われていく腕と脚。しかしそんな事は関係なしに顔を青ざめさせたイリゼは必死になって首を横に振るが、少女は全く弁明を聞かず、その訴えを無視して再び触手でイリゼを襲う。
尿道を、竿を、口を、膣を、直腸を…至る所に触手が這いずり、嬲る。太い触手が複数口内に入り込み、あっという間にイリゼは声が出せなくなる。強烈な扱きとピストンで射精と絶頂の欲求が募り、疲れきったイリゼは碌に堪える事も出来ずに達してしまいそうになるが、当然少女はそれを許さない。その両方を封じる魔法によって堰き止められ、有無を言わさず押さえ込まれる。封じられ、行き場の失った快楽が、その抗議をするようにイリゼの中で暴れ回る。
更にそこへ、耳と鼻にも触手が侵入。鼻の粘膜を、鋭敏な神経を雑に痛め付けられ、突き刺すような激痛が迸るも、口の触手で悲鳴一つ上げられない。耳の中へ入り込んだ触手は中で膨張し、耳の穴を完全に塞ぎ、イリゼから聴力を、聞こえる音を奪う。辛くて苦しくて堪らない。しかしイリゼは、何も出来ない。
「(だ、め…もう、意識…が……)──ん"ぐぅ"う"ううぅ"ぉ"おお"ぉ♡!?」
視界が暗くなり、意識が遠くなっていく。抗おうにも術はなく、耐える為の気力もない。薄れゆく意識、それをイリゼはぼんやりとした思考で受け入れ……だが次の瞬間、身体中を襲う触手がその先端から液体を噴き出す。熱く粘つく、まるで精液の様にどろりと重い液体を。
身体の至るところへその液体を流し込まれ、或いは撒き散らされ、イリゼの意識は強引に引き戻される。触手はイリゼの意識を引き摺り戻すだけでは飽き足らず、次から次へと粘液が身体に注がれていく。
「ぇ"お"ぼッ、ぉ"ぐぁぁッぅ"……ッ♡!」
「あははっ、素敵なお姿ですわよ?」
愉快そうに笑った少女は、部屋にあった鏡を触手の一つで持ってくる。そうしてイリゼへ、にやつきながらその鏡を見せる。
鏡に反射して映る、イリゼの顔。それは口と鼻に何本も触手が押し入り、涙と鼻水と涎でぐちょぐちょとなり、辛さと苦しさで酷く歪んだ、見るも無惨な形相だった。女神であるだとか、女性であるだとかは関係なく、ただただひたすらに見るに耐えない姿だった。
しかもそこへ、口や鼻から溢れ出た粘液が垂れてくる。色まで精液に似た、白濁とした液体…それがブリッジの体勢故に目元や額へと垂れていくさまは、イリゼの顔を一層惨めに彩っていた。
(なんで、こんな…こんな……)
じわり、と新たな涙がイリゼの瞳に滲んで落ちる。身体も心ももうボロボロ。強靭な女神であろうと、無限に耐えられる訳ではない。今のイリゼは、そんな本当に追い詰められた、いよいよ本当に限界だという状態であり、押し寄せる苦痛と異物感に意識を縛られていなければ、そのままぽろぽろと生娘の様に泣いていたかもしれない。そして裏を返せば、それすら今のイリゼには許されていなかった。
膣や直腸に注がれた粘液は、そのまま奥に溜まっていく。口腔内にぶちまけられた粘液も殆ど吐き出す事が出来ずに喉奥から食道へと流れていく。そうして注がれ続けた結果、今やイリゼの腹部は妊婦のよう。
「ほごぉ"…う"ぉ"ぉぉ……っ♡」
「段々反応が鈍くなってきましたわね…まあ玩具にしてはよく耐えてる方ですわ」
元より胴を上へ突き出すようなブリッジの格好だった事もあり、イリゼの腹部は割れてしまいそうな程の張り具合。その状態で力なく呻くイリゼへ少女は心ない言葉をぶつけて、呆れたように魔法を解く。触手が消え、凍結も解かれ、その瞬間にイリゼは崩れ落ちる。
背中から床に倒れたイリゼは、その衝撃で上からも下からも粘液を吐く。咳き込みながら吐き出し、割れ目と肛門からはごぽりごぽりと大きな粘液溜まりが出来る程の量を漏らす。しかしそれでもまだ、イリゼの腹部は膨らんだまま。一体どれだけの量の粘液を注ぎ込まれたのか、それが容易に伺える。
「こんなデカデカとお腹を膨らませて…だらしがないと思いませんの?」
「…そん、なの…私、だって……」
「望んでいないと?えぇ、そうでしょうね。だから…特別に、元通りにして差し上げますわ」
「…な…何を……」
声に力のないイリゼを見下ろし、わざとらしく少女は言う。その意味が分からず初めは困惑していたイリゼだが、少女がイリゼの横側、脇腹の辺りへと移動をし、ゆっくりと足を上げた事で意図に気付いて顔から血の気が引いていく。
震えながら、首を横に振るイリゼ。しかし少女はまるで聞こえていないかのように、足をイリゼの腹部へと置く。そして息を詰まらせるイリゼに笑い掛け……次の瞬間、強く腹部を踏み込んだ。
「ふぎゅぉ"ぉ"ぉ"ぉ"おお"お"お"お"お"お"オ"オ"オ"オ"ォ"ォッ♡!!?」
凡そ人のものとは思えないような絶叫と、破裂したかのような排泄音。二つの孔から凄まじい勢いで白濁液が撒き散らされ、床どころか壁にまで放出された粘液が飛び散る。
この時、既にまるで力の入らないイリゼの身体は、踏んでいる足ごと浮かせるように激しく腰が跳ねていた。脚が爪先までピンと伸び、腰だけが床から離れている格好となっていた。だがそれも一時の事で、少女は足に力を込めて無理矢理押し返す。粘液の排泄というあり得ない刺激に暴れるイリゼの腹部を押さえ付けて、力一杯踏み付ける。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"ッ♡!?ン"ぉ"お"おお"お"ぉ"ぅ"ぅ"ッッ♡!」
「あははははッ!いいですわっ、最高に惨めで無様で滑稽ですわよ!」
狂ったように叫び続けるイリゼの姿に、少女はぐりぐりと足を押し付けながら笑い転げる。心底愉快そうに、楽しそうに腹を抱えて笑い…漸く元の大きさに近付いてきたイリゼの腹部へ、そのまま足を食い込ませる。潰さんばかりに抉り込む。
最早イリゼに、恥や屈辱といった感情はなかった。もうそんな精神面の苦痛を感じられる状態ではなく、あるのは痛みと、苦しさと、割れ目と肛門が焼けるように熱い感覚と…それでも媚薬によって感じてしまう、理解不能な快楽であった。
「…か、ひゅ…ぅぁ、ぁ……」
何も出なくなったイリゼの下半身。ただ息が漏れているだけのような、弱々しいイリゼの声。その腹部には、少女の足がめり込んでいた。口から粘液を吐くと共に、イリゼは食べた物も嘔吐していた。
強制排泄が終わった事で、少女は足をイリゼから放す。腹部が解放された事で、イリゼは咳き込み……しかしまた、イリゼの身体を激痛が襲う。
「ゥ"あ"ッ…!?はッ…が……ッ!」
「二度目の罰ゲームはこれで終了。ですからここからは、3分間持ち堪えられなかった事への罰ですわ」
下腹部を透過し精嚢を掴む少女の手。粘液塗れの孔など触りたくない、とわざわざ少女はイリゼに伝えた上で、またこの形で精液を絞る。精嚢を握って締め上げる。
終わらない。何度も何度も、何度も何度も、おかしくなりそうな程の苦痛を与えられ続ける。そして気絶する事も、狂う事も叶わない。八方塞がりの、どうしようもなくどうしようもない苦しみの地獄。必死に、懸命に耐えてきたイリゼだったが……心はもう、奥の奥までズタズタに潰され引き裂かれていた。
*
絞り尽くすようなミルキング。女神でなければとっくに使い物にならなくなっていたであろう、精嚢への圧迫。既に粘液だらけだった床へ、更に追加でイリゼの精液が流れ、たっぷり絞り出されてからミルキングが終わった時…イリゼはもう、女神としての姿を失っていた。見た目がではなく、精神が…心が弱りきってしまっていた。
イリゼは目元に腕を当て、ぼろぼろと涙を零して泣く。仰向けに倒れたまま、泣いて何度も謝罪する。
「ごめん、なさい…もう、許して…許してよぉ……」
怯え震える少女の様に、イリゼは謝罪と懇願を繰り返す。それは痛ましさを感じさせる姿であり…そのイリゼを見下すようにしながら、暫く聞いていた少女は言う。
「…正直、驚きですわ。これだけやって、散々虐めて虐めて虐め抜いて、やっと心が折れるとは。流石に女神は格が違う…その事は認めてあげますわよ」
これまで愚弄一辺倒だった少女の、彼女らしからぬ言葉。それにイリゼが困惑する中、少女は続ける。
「それに壊れないでいてくれたおかげで、満足するまで楽しめましたわ。ここまで楽しめる事なんて、滅多にありませんの。だから、ご褒美としてもう一度だけチャンスをあげますわ。わたくしと手を組んで、あの馬鹿女を懲らしめる気はなくて?」
「……っ!…そ…それ、は……」
少女の提案に、イリゼはぴくりと肩を震わせる。それは既に一度、はっきりと断った提案。当然今も、女神として応じる訳にはいかないという気持ちはある。…だが、その言葉が出なかった。少女に与えられた数々の苦痛が、まるで深い傷の様に心へと刻まれてしまっていたが為に、声を出したくても出なかった。
「よく考えてみなさいな。貴女はあの馬鹿女に恨みを晴らす理由はあっても、助ける義理なんてないでしょう?第一どう考えても女神を監禁して痛め付けるだなんて重罪、そのせいで国にも悪影響があるのは確実なんでしてよ?つまりこれは、女神としての正当な裁きでもある…そうでしょう?」
すぐに突っ撥ねる事の出来ないイリゼを見て、少女は説得にかかる。女神を散々痛め付けてきたのは少女も同じなのだが、自分の事は棚に上げて協力こそが正しいのだとイリゼを懐柔しようとする。
実際、その発言そのものには大きな間違いはない。アキには何度も苦しめられてきたのだから、簡単に許せる訳がないのも事実。それに何より、少女に協力すれば苦しみから解放される…それがイリゼの心を、最初に提案をされた時とは段違いの魅力となって激しく揺さ振る。それでも良いんじゃないか……そんな風にすら、思ってしまう。
「…わ、私は…私、は……」
声が震える。ぐるぐると思考が頭の中で渦巻き、気持ち悪さにも似た感覚をイリゼは抱く。しかしそれを堪え、きゅっと拳を握り締め……絞り出すようにして、イリゼは言った。
「…こ、断る……」
「…なんですって?」
ふっ、と冷たくなる少女の声音。それにびくりと肩を震わせるイリゼだったが、撤回はしない。ぶんぶんと首を横に振りながら、必死の思いで言葉を紡ぐ。
「無理、むり、出来ない…っ!だって私、女神だから……っ!だからむり、むりなのぉ…っ!」
「女神だから?ではまさか許すんですの?あの女を?あの女がした事を?」
「違うっ、違うけど無理!無理無理むりむり出来ないっ、出来ないぃっ!」
癇癪を起こしたように、或いは駄々を捏ねるように、イリゼは同じ言葉を繰り返す。あまりに稚拙な拒否だったが、もうそんな言葉しか出てこない。初めのように、毅然とした態度で断る精神力は残っていない。
それでも少女の話に乗らなかったのは…その言葉通り、女神であるから。女神として、少女の行いを許容する事は出来ない。そしてアキが間違った事をしているからこそ、女神として改心させてあげなければいけない…その思いだけは、今も折れていなかった。完全に怯えてしまったイリゼだが、だとしても女神としては未だ屈していなかった。
そんなイリゼを見て、拒否を受けて、少女は黙り込む。暫くの間目を伏せ、それから肩を震わせ始め……次の瞬間、イリゼの首を掴む。
「…ああ、そう、そうですの。このわたくしが認めてあげたというのに、もう一度チャンスをあげたというのに、それをふいにするんですの…。そんなの…そんなの許せないッ、許さないッ!わたくしの言う事を聞かないなんて、わたくしの思った通りにならないなんてぇぇッ!」
「ぁッ、が……ッ!」
指に強く力を込め、少女はイリゼの首を締める。苦しさから反射的にイリゼは抵抗しようとするも、少女の分身がイリゼの手足を押さえ込む。弱りきった今のイリゼでは、全く以って敵わない。
「後悔するがいいですわッ、このわたくしをここまでコケにした事を…ッ!」
掌を押し付け、指を食い込ませるようにしめ、少女は締め上げていく。対するイリゼは何も出来ない。そしてその状態で、更に少女は分身を作る。出現した分身はイリゼの陰茎を握り、割れ目へと指を突っ込み、乱暴に刺激を与え始める。
苦しさの中で、下半身から登ってくる快感。どちらかがもう一方を覆い隠す事なく、苦しさと快感が揃ってイリゼの意識を襲う。頭に血が登っているからか、少女の手付きはこれまでのように巧みなものではなく、力任せで煩雑なものだったが、心身共にもう抵抗の出来ないイリゼにはそんな刺激でもダイレクトに伝わり、絶体絶命だというのにびくびくと腰が震えてしまう。
「あ"ッ…ぁっ、ァ……♡」
もう悲鳴も絶叫も上がらない。上げられない。首を絞められているから…というのは勿論だが、それを抜きにしても、もうイリゼの身体からは殆どの反応が消えていた。眼球はぐるんと回って白目を剥き、口の端からは泡混じりの唾液が垂れ…身体は糸が切れたように動かない。まだ力を感じるのは、一物だけ。これ程の状態になっても尚、陰茎の勃起だけは収まっていなかった。
そしてそれは、感覚も同じ事。もうイリゼは、苦しさと下半身の快感以外感じない。音も、匂いも、熱も、イリゼの感覚からは失われ…苦痛と快楽だけは、いつまでも消えてくれなかった。
「終わりですわッ!このまま何もかも果てるがいいですわッ!あははははははッ!」
既に聞こえていない事を知らない、或いは気にしてもいない少女は、完全に息の根を止めようとする。命と射精と絶頂…それ等全てへ、最後の最後で纏めて同時に至りかける。
(誰か、助けて…誰か、誰か──アキ……)
今にも消えそうな意識の中、もう自分のものかどうかも分からない思考でイリゼは助けを求める。家族に、友に、仲間に、信頼する人達に求め……そうして最後に浮かんだのは、事の発端にして元凶たるアキだった。
何故彼女なのかは分からない。少女以外でこの屋敷にいるのは彼女しかいないからという現実的な思考故か、もうまともに思考が回っていない為に彼女が頭に浮かんだという事なのか、或いはアキに対して抱きつつあった疑問…彼女には、自分に見せているのとは違う思いが、本心があるのではないかという可能性を知らず知らずの内に抱いていたからか。風前の灯たる意識では、それについて考える事も出来ない。だがなんであれ、もう同じ事。心の中で助けを求めるのに最後の力を使い切ったかの如く、イリゼの意識は深い闇へ……
「──イリゼっ!」
その時だった。突然大きな音と共に、勢い良く部屋の扉が開かれたのは。それと共に、アキの声が響いたのは。
直後、まるで強風に吹かれた蝋燭の火の様に幽霊の少女が消える。首への圧も消えた事でイリゼは呼吸が出来るようになり、その場で何度も激しく咳き込む。
「げほッ、げほげほッ、ぇぐ…ッ!」
「イリゼ、イリゼッ!」
視界がチカチカと明暗する中、少しずつ失われていた感覚が戻り始める。ぼんやりとだが声が聞こえ、イリゼは自分が揺さぶられているのだと気付く。
「…ア、キ……?」
「良かった…良かったぁぁ……っ!」
絞り出しても尚掠れた声。それをイリゼが発した瞬間、アキはびくりと肩を震わせ、それからへなへなと脱力する。安心したように表情が緩み…じわり、とその目尻には涙が浮かぶ。
突然の出来事に、まだイリゼの理解は追い付かない。…だとしても、今の目の前にアキがいる事、そして自分は間一髪で助かったのだという事だけは、すぐに分かった。
「…どう、して……」
「はぁ…はぁ…ごめんね、ごめんなさいイリゼちゃん…!私、徹夜で機械を作っていたらいつの間にか寝ちゃってて、でもイリゼちゃんの命が危なくなったら電流を流してくれる装置のおかげで目が覚めて、もしかしたらと思って今までずっと探してて…ぉえ……ッ!」
勢い任せに喋るアキは、元々息が上がっていた事もあり、話の途中でえずいてしまう。その様子にイリゼが言葉を失う中、手にしていた装置を見せ、それが対幽霊用の機械である事、アキも幽霊の存在を把握しているのだという事を伝える。
そんなアキの鼻は赤くなっており、鼻血が出ていた。本人は気付いていないようだが、恐らくここへ来るまでにどこかにぶつけたか、或いは転んだのだろうとイリゼは察する。言葉から、様子から、アキがどれだけ必死だったのか、必死の思いで自分を探してくれていたのかが、イリゼの心に伝わってくる。必死だったのは、イリゼに逃げられてしまうと不味いから。もし幽霊と手を組まれたら自分が危ないから…そういった理由でない事は、今のイリゼにとっては考えるまでもない。
「ほんとに、ほんとにごめんね…!私のせいで、イリゼちゃんは……」
「……ありがとう、アキ…」
「うぇ……っ!?」
労わるようにアキはイリゼを抱え、上体を起こす。それと共に何度も謝罪を口にする中、イリゼはそのままアキへもたれ掛かるようにして抱き締め、感謝を伝える。
耳の横で聞こえてくる、アキの驚愕した声。…勿論、イリゼも分かっている。そもそもアキが自分を騙して捕える事をしていなければ、今の事態にもなっていない事は。普通に考えれば、アキへ感謝しなければいけない道理などない事は。それでも今は、心身共に弱りきっていた事もあり、イリゼの心の中は感謝の気持ちが占めていた。イリゼは感謝を伝えたかった。
「…でも、アキ…どうして…そんな……」
暫くの間、イリゼはそのままでいた。アキもイリゼを振り払う事はなかった。そうして少し気持ちが落ち着いてきたところで、イリゼはアキの動機を…恐らく今までアキが語ってきた言葉の裏にあるのであろう、ここまで必死になって探してくれた本当の理由を尋ねようとしたが、そこでイリゼの意識は再び朦朧とし始める。絶体絶命の窮地を脱した安堵感と蓄積した疲労により、急速にイリゼの意識は朧げなものとなっていく。
「い、イリゼちゃん…?…そっか、そうだよね…。…どうしてそんなに必死になってまで…って訊こうとしたの?もしそうなら…そんなの、簡単だよ。だって……」
イリゼの脱力に気付いたアキは動揺するも、部屋中に撒き散らされた精液や愛液からイリゼの疲労状態を察し、そのまま支える事にする。そうしてもうイリゼが気絶してしまったものだと思い込んだアキは、これまで聞いた事のないような穏やかな声で……言う。
「…好きだから。女神オリジンハート様の事が…イリゼの事が」
(あぁ、そうか……)
聞いてしまえば、それは至極単純な理由。好きだから助けた、ただそれだけの事。そして、食事の事、呼び方の事、お菓子作りの事…何より時折見せる、悪意によるものとはとても思えないような反応の事。全てとは言わずとも、アキの不可解であった言動の幾つかは、それが理由であれば容易く理解出来るものであり……抱いてきた違和感に対する一つの答えを得たイリゼは、そのまま気を失うのであった。