波の国の任務を終えて木の葉に戻った俺達第八班には、再びDランクやCランクの依頼をこなしながら修業をする日々が戻って来た。
ガトーの一件で木ノ葉の人間のアスマに対する評価は急上昇し、流石三代目の息子だの次期火影の座に一歩近くなっただのという話が里のあちこちで囁かれる様になった。
もっともアスマ本人は紅からの評価を得る事が一番重要なのだろうが、当然の事ながら紅は我関せずという態度で俺達の任務や修業の指導に勤しんでいる。少々不憫に思えてくるが、今更紅をアスマに渡すつもりは無いので忍者らしく耐え忍んで貰うだけである。
尚、小南に関する事は三代目にも一切の報告はしなかった。
上手く誤魔化す理由が思い付かなかったというのも有るが、小南をイタチの様に暁に対するスパイに利用されると他の暁メンバーに怪しまれる可能性が高まるからだ。
もっとも俺個人には猫バアの店を密会場所にして情報提供をする約束をしてくれた。その見返りが金では無く性行為なのは言うまでもない。
そして6月の下旬に差し掛かったある日。いつも通り修業を続けていた俺達の頭上の空を一羽の鷹が飛んで行くのが目に入った。
「アレは……みんな、悪いけど今日はもう解散よ。急いで火影様の所に行かなきゃ」
「えっ、急用ですか?じゃあ今日の先生の家での反省会は?」
「残念だけど今日は中止ね。まったく、下らない招集理由だったら許さないわよ」
紅が招集の連絡を受けた所為で恒例の反省会は急遽中止となり、ならば3人だけでもと言っていたサクラとヒナタもそれぞれに用事が出来てしまい実家に帰ってしまう。
「久々に一人だけで過ごす事になるか……ん?そう言えば時期的に中忍選抜試験が始まるのか」
中忍選抜試験とはその名の通り下忍の中から中忍に相応しい物を選別する試験であり、木の葉の里だけでは無く同盟国の忍者も合同で行われる為、今頃各里から木の葉の里に試験を受けに多くの下忍が訪れている筈だ。
「一番の問題は大蛇丸だな。もし呪印なんて刻まれたら一族復興どころじゃなくなるぞ」
テマリやテンテンなど中忍試験で関係を深める事が出来る相手を取るか、大蛇丸対策として中忍試験を受けずに試験の期間中は紅達と共に木の葉を離れるべきか。
ある意味今後の俺の人生を決定付けるであろう選択に悩みながら歩いていると、俺の目の前に木ノ葉の忍者では無い3人組が立ち塞がった。
「うちはサスケ君……ですね?」
一人は顔の大半を包帯で包み、右腕に忍具を装着した男。
「ちょっと俺達に付き合ってくれよ」
もう一人は死の文字が縦に三つ並んで書かれている服を着ている男。
「素直に言う事聞いた方が身の為よ」
最後の一人はかかとまで届く黒い長髪の女であり、それぞれ音符を記した額当てをしていた。
このタイミングで俺に接触して来た音忍三人組に驚きつつも、それを顔に出さない様に平常心を保ちながら三人の背後に向かって指を差す。
「人違いだな。サスケだったらあっちに居るのが本物だぞ」
「つまらない真似は止めた方が良いですよ。僕達はこう見えて残忍な性格ですから」
そう言いながら右腕を俺に向けようとする音忍ドス・キヌタよりも早く印を結び、俺は波の国で再不斬からコピーし白との性質変化の修業で使用可能になった術を発動させる。
「ぶ、分身の術?いや、この鼓動音は実際にそこに存在している」
「水分身の術だ。水の無い所だからこの人数が限界だけどな」
そう言って俺は敢えて影分身の術よりはチャクラ消費の低い水分身を作り出すと、それに加え霧隠れの術発動させてドス達が戸惑っている隙を突いて四方に散開し逃走する。
「ま、待ちやがれ!!おいドス、うちはサスケはどっちに逃げた!?」
「多分あっちに逃げた奴が本物だろうけど。今は深追いする必要は無いよ」
音忍の一人ザク・アブミの怒号を背に受けながら、俺は中忍試験編に突入した事を実感しながら大蛇丸の木ノ葉崩しをどう切り抜けるか思案するのだった。
サスケが音の下忍3人組から逃げきり帰宅していた頃、木の葉の里で営業するラーメンの店一楽でナルト達第七班のメンバーは任務終了後の打ち上げの食事をしていた。
「あ~疲れたってばよ。オッちゃん、味噌チャーシュー大盛りだってばよ」
「あいよ、今日もお疲れさん。今出前のラーメン作ってるからちょっと待っててくれ」
看板娘のアヤメの提案で出前サービスを始めた一楽は以前にも増して繁盛しており、ナルト達は手際の悪い新人バイト二人組のせいで中々食べる事が出来ないラーメンを待ちつつ、突然急用が出来たと言って消えてしまったカカシの用事が何なのか雑談を始めた。
「もしかすると俺達もシカマル達みたいにAランク級任務を任されたりしてな」
「へへへ、その時は俺が大活躍するからキバの出番はないってばよ」
「ま、あり得ない話だな。何故ならこの時期は例年通りに……アイツらは」
相変わらず回りくどい言い回しをするシノがふと視線を向けると、その先には見慣れない木ノ葉の里の者ではない二人組が歩いていた。
「なんだアイツら?里の人間じゃねえな」
「恐らくアレは砂隠れの忍者だ。何故なら額当てを見ればすぐ分かる」
額当てという分かり易い身元証明をシノが指さすと、二人組が砂隠れの忍者だと聞いたナルトはアカデミー生時代から変わっていない猪突猛進を発揮して砂隠れの二人に突っかかって行く。
「やいやいお前等!!どうして砂隠れの奴が木の葉に居るんだってよ!!」
「ああん?何なんじゃんお前?」
黒い装束に包帯に巻かれた等身大の物を担いだ男は突然現れたナルトを訝しむと、金髪を四つ束に纏めた特徴的な髪型をした女はナルトの言動と振る舞いを見て見下した様にナルトを鼻で笑う。
「見たところ木ノ葉の忍者みたいね。しかも間違いなく下忍確定の」
「ヘッ、木ノ葉の下忍がこんな奴ばっかりなら今度の中忍選抜試験は楽勝じゃん」
「俺をバカにするなってばよ!!ん?中忍選抜試験って何だってばよ」
ナルトの質問に答える事も無く砂隠れの忍者カンクロウとテマリは、お前には一生関係ない話だと言い残してその場を去り、残された第七班の面々は二人をぶっ飛ばしてやると暴れるナルトを取り押さえるのに苦労するのであった。
「お~いナルト、早く食べないとラーメンが伸びちまうぞ。それにしてもアヤメは相変わらず出前から帰って来るのが遅いな」
愛娘アヤメの提案で始めた出前サービスだったが、当の本人が一度出前に出かけると中々帰って来ない事が、今だ上達しないバイト二人と共にテウチの悩みの種だった。
「そう言えば珍しく今日は一人前の注文だったな。うちはサスケ君は」
アヤメが出前から戻るのが遅いのは、決まってサスケから受けた注文の時とテウチが知るのはそう遠くない未来なのかもしれない。
「アンッ、サスケ君、そろそろお店に戻らないとお父さんに怒られちゃう」
「まだ大丈夫だろ。それにこっちの口はまだ帰りたくないって言ってるぜ」
波の国から帰国後すぐに復興の協力者に加えたアヤメと食後の運動をしながら、俺は音忍から逃走する序でに水分身に情報集めをさせ、今の所俺の記憶にないイレギュラーが存在していない事に安堵する。
「多分紅は俺達を中忍試験に推薦するだろうからな。もし試験を受けるとしたら暫くは会えなくなるが、それでも今日はもう止めるか?」
「ひゃう、そういう事なら今日はとことん付き合っちゃおうかな」
俺に注がれた白濁液を垂らしながら向けられたアヤメの下半身に再度挿入し、その後三代目に俺達を中忍試験に推薦した事を報告しに来た紅を交えて復興作業という名の性行為は朝まで続いたのだった。