カルデアのマスター(藤丸立香)が巨人王スルトと相討ちになってしまった、バッドエンドの世界線。
そんな世界線でのゲルダの運命を描きます。
【要注意!!】だいぶ胸糞悪い話です。過激な性描写があります。独自設定・原作設定との齟齬があります。許容できる方のみどうぞ。

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カルデアのマスター(藤丸立香)が巨人王スルトと相討ちになってしまった、バッドエンドの世界での話です。

【【要注意!!!】】だいぶ胸糞悪い話です。過激な性描写があります。独自設定・原作設定との齟齬があります。許容できる方のみお進みください。


嵐の続いた世界(あるいはゲルダの初恋の物語)

初めて「その人」に会ったときは、御使いさまだと思いました。

だって、巨人と戦える存在なんて、御使いさましか知らなかったから。

「その人」とマシュさまは、薬草を取りに集落の外に出て、巨人にぺしゃんこにされそうになっていたあたしを助けてくれて。

 

 

「ガンド!!!」

 

 

あの日、巨人を前にして震えるばかりだったあたしのところにかけつけた「その人」は、自身のふしぎな力と、マシュさまの盾の力で、あたしを守ってくれました。

 

 

「その人」は、全身黒の服に黒い髪で、あたしたちとはちょっと違う顔立ちをした男の人でした。年はあたしより少し上くらいだけれども時に達観したような態度、整っている顔立ちだけれども笑うとくしゃくしゃになる表情、やせているようでしっかりと筋肉のついた体つき、巨人と戦っているときは真剣そのものだけれどもあたしに笑いかけるときはとても優しい目つき。バラバラで、相反するようにも思える特徴が一人の人の中に住んでいる、そんな印象の人でした。

 

 

「その人」は、リツカと名乗りました。

 

 

リツカさまとマシュさまのこと、初めは御使いさまだと思い込んでいたので、「定めの日」に大人たちを迎えに来た御使いさまと戦い始めた時は、とてもびっくりしました。

御使いさま同士で戦うなんて話は、聞いたことがなかったから。

 

 

お二人をお家に泊めた時には、まるで夢の中の話のような、ふしぎなお話を聞くことができました。

 

 

あたしたちの集落では、子を持った大人は25歳、子を持てなかった人は15歳まで生きると定められています。「定めの日」に、愛された証である花束を持ってヴァルハラに召されるのです。が、お二人の元いたところでは、人間は25歳よりも長生きすることが出来て、「自由」に生き方を決めることが出来るそうです。

 

 

ただ、リツカさまの言う「自由」という意味は、最初はよく分かりませんでした。あたしだって、別に誰かに縄でぐるぐるにしばられている訳でもないし、集落の中ならどこへでも行くことが出来ます。80年も90年も長生きできて、生まれた赤ちゃんのさらに子供に会うことが出来るのは、うらやましいとは思うけれど。それでも、人間が無限に生きられるという訳では無く、ケガや病気でもっと早く命を落としてしまう人もいるのは、この集落と同じなのだそうです。

 

 

リツカさまの話では、リツカさまたちのいたところでも、全員が「自由」に生きられるという訳ではなく、生まれた家にお金がなかったり、生まれつき体が健康でなかったり、あるいは人間同士の戦いに巻き込まれてしまったりして、「自由」ではない人もいるそうです。

 

 

「『戦い』なんて、昔話の中の話か、御使いさまが巨人とするものだと思ってたわ」

 

 

この集落では、畑のとれ高が少なかったりして困っている家や、体を壊して働けない人がいれば、みんなで助け合います。人間同士で戦うなんてするのは、もってのほかですので、ちょっと信じられないような話です。それだったら、外の巨人はこわいけれど、この集落の人たちの方が「自由」とも言えるんじゃないかしら――、リツカさまの言葉を疑うわけではないけれど、ちょっとだけそうも思ってしまいます。

 

 

ただひとつだけ――、リツカさまのお話で強烈に興味をひかれるものがありました。リツカさまのいたところでは、人間は結婚する相手を「自由」に選ぶことが出来るそうです。

 

 

それはちょっとだけ素敵なことかなって思いました。この集落では、年に一度(大人たちの旅立ちの「定めの日」とは別の日です)、御使いさまが降り立って、その年15歳になる子供たちの中で誰が誰と結婚するかを告げることになっていたから。あたしも2年後には結婚することになるけれど、よく知らない男の人が結婚相手だったらちょっと困るな、って思っていたりもしていました。

 

 

自分で自分の結婚する人を選べるのだったら、昔話に出てくるような「恋」をした相手を、結婚相手に選ぶことも出来るのかな。でもあたしには「恋」という気持ちはよく分からないし、あたしが選んだ男の人があたしのことを良いと思ってくれるかもよく分からない。「自由」に選んでいいよと言われたら、それはそれでちょっと困りそうだな、とも思ったりしたのでした。

 

 

ただ、このお話をしてくれた時のリツカさまの目は、とても優しい目をしていて――。

もしあたしに選ぶ「自由」があるなら、こういう優しい目つきの男の人がいいかなぁと、ちょっと思ったりもしたのでした。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

リツカさまたちが二度目に集落に来て、立ち去ってから、何日か経った時のことでした。御使いさまが突然集落に降り立ち、こう告げたのです。

 

 

 

人よ。

人よ。人よ。

婚礼の儀である。

人よ、今日まで存えたおまえたちの命の線は、ここに交わり、新たな命をなす礎となる。

是は愛である。

是は地上に唯一お残りになられた神が差し伸べる、

愛の手のひらであると心得るがよい。

人よ、人よ、頭を垂れよ。

氷と雪と光輝と、この地上での殖の神秘を讃えるが良い。

 

――ただし、本年の儀は、齢十三と十四の者も含めて、執り行うこととする。

 

 

 

結婚相手を告げられる「婚礼の儀」は、25歳になった大人たちが旅立つ「定めの日」と同じく、毎年決まった日に、決まった手順で行われるものでした。「定めの日」があってからこんなに早く「婚礼の儀」が行われたのは、過去に例がなかったことです。

 

 

何よりびっくりさせられたのが、15歳になる子供だけではなく、13・14の子供――つまりあたしを含めたもっと多くの子供たちが、結婚させられるということでした。

 

 

大人たちのうわさによると、今から数日前、北の方で、とても大きな巨人が現れて暴れまわるという出来事があったそうです。巨人の「王」のようなものだと言っている大人もいました。その巨人が、ここより北の集落をみんな焼け野原にしてしまい、人間の数が減ってしまったので、あたしたち13歳や14歳の子供にも赤ちゃんを産ませようというのが、御使いさまの思し召しなのではないか。大人たちの一部はそう推理していました。

 

 

結婚。いつか必ず来ることで、それが2年早まっただけだというのに。あたしの心は、自分で思ったよりも動揺していました。そして、御使いさまからあたしに下された神託の内容は、あたしをさらに動揺させるようなものでした。

 

 

「この23番集落を出て、北の11番集落に行け。そこにいる13歳の男が結婚相手である」

 

 

自分の生まれた集落を離れて結婚することは、珍しいことではありましたが、大きな災害などで集落の中で結婚相手がいなくなってしまったり、集落間で住む人の数にかたよりがある場合には、前例がないことではありませんでした。しかしその場合でも、せいぜい隣の集落に行かされるくらいで、11番なんていう離れたところまで行かされることは無かったのでした。やっぱり北の方の人間の数が減ってしまったのが関係してるのでは……というのが、大人たちの推理でした。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

数日後。23番集落から11番集落への出発の日。人間が一人で外を移動すると巨人にぺしゃんこにされてしまうので、御使いさまが付き添ってくれることになっていました。

 

 

11番集落まで人間の足で行くと何日もかかってしまうけれどどうするんだろう……と思っていたら、御使いさまは足の速い動物たちを飼いならしているようで、動物の引く車に乗って向かうことになりました。

 

 

車の中でもあたしは、これから見知らぬ土地で見知らぬ男の子と結婚する、という現実感がないままに考え事をしていました。代わりに考えていたのは、主にリツカさまのこと。最後に会ったあの日、あわただしいままに出発してしまい、そのままお別れのあいさつをする機会も無かったけど、元気にしているのかな……?

 

 

「あの、御使いさま。お尋ねしたいことがあるんです。御使いさま以外で、壁の外を出歩いていた人を知らないかしら……? 真っ黒な服装の二人組で、一人は男の人、一人は女の人で、女の人は大きな盾を持っていて、うさぎみたいなリスみたいなふしぎな動物を連れているんだけれど……」

 

 

思い切ってそう聞いてみたりもしたのですが、「人間に対する規定外の情報提供は許可されていない」と、あっけなく断られてしまったのでした。

 

 

ここ数日間だけでも、大きな巨人の出現、御使いさまからの突然の神託、そしてあたしの突然の旅立ち……、色々と想像も出来ないようなことが起こっています。ひょっとしてまさか、二人は大きな巨人にぺしゃんこにされてしまったのでは……? いやいや、御使いさまにも負けないほど強かったリツカさまとマシュさまが、負けるはずがない。そう自分に言い聞かせました。

 

 

しかしながら、旅の途中に、御使いさま同士で話しているのがたまたま聞こえてきた、「汎人類史のマスター……、相討ち、スルトと……」という言葉が、意味は分からないものの、いやな棘のように、あたしの心に突き刺さっているのでした。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

北の11番集落にたどり着くと、そこは大きな地震と、なだれと、山火事が同時に襲ったかのようなありさまでした。森や畑は焼け焦げ、家は崩れ、ところによっては瓦礫で道を歩くのも難しいような状態になっていました。道の端には、お墓を掘って入れるのが間に合わないのか、亡くなった人の遺体が放置されており、集落中にとてもいやな臭いが漂っていました。とても大きな巨人が暴れまわったといううわさは、嘘ではなかったようです。

 

 

御使いさまが案内してくれたのは集落の入り口までで、あたしは集落の大人に先導され、これから住むことになる家、つまりあたしの夫となる人の家に連れて行かれることになりました。集落のはずれにある家に案内された頃には、もう夜になっていました。

 

 

そこであたしは初めて、あたしの結婚相手となる男の子と会うことになりました。クラウス、と名乗ったその子は、男の子だけれども背たけや体つきは小さくて、声もぼそぼそとした喋り方、元気がないのかな?というのが第一印象でした。集落のひどい状況を考えると、元気をなくすのも無理はないのかもしれませんが。

 

 

初対面のあいさつもそこそこに、ひととおり、家の間取りの説明などを受け、家財道具や台所用品の場所などのことを聞きました。クラウスは晩ごはんをまだ食べていないということだったので、そのまま、あたしが晩ごはんを作ることになりました。

 

 

(食べ物がずいぶん少ないわ……、今ある食べ物で何か作ろうと思うと、作れるのは野菜とチーズの切れ端のスープくらい? 明日の朝一で買い物しないと、朝ごはんも作れないわ)

 

 

エプロンを着て台所に立ちながら、そんなことを考えていたときでした。突然後ろから、見知らぬ男たちに腕をつかまれたのは。

 

 

(……!!??、えっ、何、誰なの、何で知らない男の人たちが家の中に!? 泥棒!?)

 

 

「おっと、声を立てるなよ。これから俺達がやろうとしていることは、あんたの旦那も納得ずくのことなんだからよ」

 

 

見知らぬ三人の男たちは、あたしよりも少し年上――ちょうどリツカさまと同い年くらい――の見た目でしたが、それぞれの顔には、リツカさまの表情とは似ても似つかない、下衆な笑みを浮かべていました。男の一人があたしの胸を触り、下着に手を入れ始めたときには、流石にあたしにも男たちが何をしようとしているのか、分かりました。

 

 

「やめて……!!」

「おっと、喋るなっつたろーが」

「フ、フヒッ、やめて!だって、か、可愛いなあ、お、おれ、もうギンギンに勃ってきちまったよぉ」

 

 

真っ白になる頭の中から辛うじて声を絞り出します。が、途中で男の一人に口を塞がれ、声はどこにも届くことはなかったのでした。男たちは容赦なく、あたしを床に押し倒し、一人があたしの手を、もう一人があたしの足を押さえつけながら、残った一人があたしの服を剥ぎ取っていきました。何で、どうしてこんなことに? 旦那も了承しているって、どういうこと? 頭の中を駆け巡る疑問に答えるかのように、男のうち一人が喋りだしました。

 

 

「あんた、名前はゲルダ……だったな? あんたの旦那と取引をさせてもらったんだ。あんたの旦那の畑な、大きな巨人に全部焼かれちまったんだ。明日食うものにも困る状況なんだとよ。そこで、俺らの畑からは食料を提供する、あんたの旦那は『あんた』を俺らに提供することになった。取引成立、って訳だ。困ったときには隣人同士助け合う――、御使いさまの掟にもあっただろ?」

 

 

取引だなんて。そんな。まるで人間を家畜か何かみたいに……。この男たちは人間じゃない。人間の形をした獣だ。口を塞がれて遠のきかける意識で、男たちの手を逃れる術を必死に考えます。

 

 

「おーい、口を開けてやってもいいんじゃないか? どうせこんな村外れ、助けを呼んでも誰も来ないだろ。それより、『こっち』でこの女の口を塞ぎたいんだけれど」

 

 

あたしの口に、男の怒張したものが押し当てられ、集落に漂う死臭よりも不快な獣臭にむせ返りそうになります。結婚後の夫婦の営みについては、書物で教えられたので、ひととおりの知識はあります。しかし、それを夫婦ではない者たちの間ですることは。ましてや、無理やりにするなどということは、重大な禁忌であるはずなのでした。

 

 

「フ、フヒッ、ゲルダちゃんのお口はお前がつ、使うの? じゃあお、おれはお胸のほうを、使わせてもらおうかな」

「おいおいお前ら、この娘を孕ますのが目的じゃなかったのか? 子を持てなかった者は死ぬ――、掟を忘れたわけじゃないだろうな。それでも無駄撃ちしたいなら、俺が生き残る確率が上がるだけだ、勝手にすればいいが」

「よ、夜は長いんだ、まずお胸で一発、お口で一発、最後におまんこで一発、させてもらおうかな」

「あ……あなたたち、こんなことして許されると思って……。それに、子を持てなかった者って、あなたたち15歳を超えてるでしょう、あなたたちにも奥さんがいて、子供がいるはずじゃないの!?」

 

 

奥さんと、子供。その言葉を聞いた瞬間、男たちの中でリーダー格と思しき男の目の奥に、仄暗い炎が宿りました。

 

 

「奥さんに、子供なぁ。俺らの妻と子供は、みんな今回の巨人騒ぎで死んじまったんだよ」

「……!!」

「俺らが新たに子供を持って生き長らえようと思ったら、こうでもするしかねぇ。あんたの旦那は、食料をもらって明日を生き長らえる。俺らのうち一人は、食料の代わりに、あんたを孕ませて、明日より先を生き長らえる可能性を得る。初めからそういう取引なんだよ、これは」

 

 

男たちがあたしの下着の最後の一枚を乱暴に剥ぎ取ります。リーダー格の男がズボンを下ろし、あたしの太股を大きく広げさせます。

「で、でも!! こんなことをしたら、あなたたちはヴァルハラには行けなくなるわ!! 」

 

 

「ヴァルハラ、か。俺たちの妻と子供はなぁ、そこにはいねぇんだよ。愛された証を持たずに死んだからな」

 

 

「――俺たちは、大人としての責務を全うして、神の愛でヴァルハラに召されるのが名誉と幸福だと教えられて生きてきた。だからこそ、数年後には巨人に殺される運命を受け容れて妻を養い、子を育ててきた」

 

 

「だが、今のこの有様はどうだ? 妻と子はヴァルハラに行けなかった。多くの人が死に、森は焼け、畑は荒れ果て、家は崩れ落ちた。生き残った者も、この冬を越せるか分からない。それ以前に生きる意味を失った」

 

 

「なあ、あんた。答えてくれよ。

神は、――本当に存在するのか?

神が本当にいるなら、俺たちの妻も子も、何故救われなかった?

神が俺たちを救わないとしたら、俺(・)た(・)ち(・)は(・)ど(・)う(・)や(・)っ(・)て(・)生(・)き(・)て(・)、(・)ど(・)う(・)や(・)っ(・)て(・)死(・)ね(・)ば(・)い(・)い(・)ん(・)だ(・)?(・)」

 

 

次の瞬間、男のものがあたしの中に侵入し、――あたしは、処女ではなくなりました。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

男たちに散々体を弄ばれ、かわるがわる何度も何度も子種を膣内に出されたあたしが解放された時には、既に東の空が白み始めていました。あたしは起こったことを受け止めきれないまま、目も虚ろな状態で行く当てもなく家を飛び出し、夜明けの雪原をさまよっていました。集落を囲う壁が、一部巨人に壊されていて、気づかないうちに村の外に出てしまっていたようです。

 

 

村の外に出てしまうということは、巨人に見つかる可能性があるということを分かっていましたが、もうこのまま巨人にぺしゃんこにされた方が良いのかもしれない、むしろ、はやく巨人に見つからないかなという気持ちでした。でも、こんなときに限って、巨人は姿かたちを見せないのでした。この世界を、端っこまでずっと歩き続けるとどうなるのか? そこには、止むことのない大嵐の壁があると聞いたことがあります。巨人があたしを殺してくれないなら、いっそ、世界の果ての嵐に飲まれて消えてしまいたい。

 

 

現実感の無い思考の中で、男のものを無理やり何度も入れられた股の痛みと、垂れ落ちてくる男の子種の不快な滴りの感触だけが、時々あたしを現実へと引き戻しました。

 

 

そんな時、ふと目に入ってきたものがありました。雪原の中で、一つだけ雪をかぶらずむき出しになっている灰色の岩の上に、カラフルな色合いの「何か」が置いてあるのでした。

 

 

引き寄せられるように近づいていくと、岩の上に置いてあるのは花束でした。そして花束の横には、――見覚えのある、手の甲に穴の空いたデザインの手袋が置かれていたのでした。その手袋は、間違いなくリツカさまが着けていた、リツカさまの使える不思議な力のもとになる、確か、魔術礼装、と言っていたもので――

 

 

持ち主が健在であれば決して手放さないであろうそれが、花束の横に置かれていることの意味は、理解したくなくても理解せざるを得ませんでした。

 

 

「っ……っく……」

 

 

花束を前に、あたしは泣き続けていました。

嗚咽以外には物音一つしない静寂の中で、雪が降り始め、あたりに積もっていきました。

あたしがリツカさまに感じていた感情。それは、昔話でいうところの――、「恋」という感情であったと。

全てが終わってしまった世界になって初めて、そう理解しました。


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