灰色のひめしずか 作:かわいそうなのでも抜ける猫
耳障りな音が鳴り響く。
まるで、耳元で羽虫が飛び交うような音。離れて跳べばいいもののを、わざわざ近付いて、さらに耳のあたりを念入りに飛び回るような。そんな、鬱陶しい羽虫の音だ。
その姿は、まるで蜂を巨大化させたような何かだった。
大きな複眼に、忙しなく舞う巨大な羽。ぎちぎちと歯を打ち鳴らしながら、わしゃわしゃと六本の手足で宙を掻き回す不気味な羽虫。
それが、少女の周りを飛び回る。大量の蟲を産み落としたばかりで、息も絶え絶えのゼルダ。そんな彼女の周りを、慌ただしく飛んでいる。
「……む、虫……?」
いつかの、研究のためにつついたハチの巣のように。
肉に囲まれたこの空間を満たすのは、数匹の羽虫だ。まるで蜂のようなその出で立ちに、少女は少しばかり首を傾げた。出産の痛みに苦悶したまま、胎盤を食される感覚に喘ぎながら。
少女の頭に過ぎるのは、つい先日の凌辱だ。
ガノンが、彼女の思い出を読み取ったかのようにカエルを生み出した。あまりにも巨大で、触手の茎を持ち合わせたカエルを。
一匹は彼女に卵を産み付けられ、もう一匹は濃厚な精を注いだ。そのまま陰茎によって栓をされた子宮は、柔らかな水槽へと変貌する。羊水と粘液に満たされたその水槽で、オタマジャクシは元気に生まれ育ったのだった。
はち切れんばかりに詰まったそれらは、とうとう彼女の中から溢れ返る。大量に零れ落ちた黒い塊を前に少女は涙した――なんてことが、つい最近の出来事だ。
オタマジャクシらは、所詮はオタマジャクシの形をとっているだけだ。厄災ガノンの怨念から生まれた触手に変わりなく、その本質もまた蟲状の赤子とそう変わらない。
小さな赤子が、共食いをし合って大きな肉へと変貌して。ガノンの種らしく、魔物の魂の受肉のために使われて。それらはみな各々の魔物の姿へと変貌し、このハイラルのどこかへ飛び立っていった。
「あっ……」
絡みついてきたこの羽虫もそうだ。
ガノンによる新しい凌辱の形。何としてでもゼルダを折ろうとする、恐ろしいまでの怨念だった。
その怨念の矛先が、少女の体に向かう。その雪のように白い肌に向けて、蜂の尻に伸びた針が襲い掛かる。
「いっ……! あっ……はあぁっ……っ」
走り抜ける、鋭い痛み。局所から一瞬で広がり始める、焼けるような熱さ。
背中に突き立てられた一本の毒針は、少女の中へ何かを注入した。皮膚の下で何かが這い回るような嫌な感触。その度に体が悲鳴を上げて、少女は痛みに呼吸を忘れる。
「……っ、あがっ……いっ、ぃぃぃ……っ!?」
上手く声が出ない。
上手く体を動かせない。
少女の体が、ぴくぴくと跳ね打った。まるで痙攣するカエルのように、細かく跳ね回る。
それは決して大きな動きではなくて、ただ痛みを逃がそうとするいじらしい抵抗のようで。彼女が思うように動けないことの証明。注入されたそれが、麻痺性の毒液であることの証となっていた。
「っ……っっ……うぅ、うーっ……」
痛みと、離れゆく意識に少女は唸る。
気絶しちゃだめ、眠ったらだめだと、彼女はひたすらに言い聞かせた。意識を手放そうとする体に、懸命に鞭を打った。
しかし、蜂は無情にも、少女に対して牙を剥く。
その細い爪で少女の体を掻きながら、その軽い四肢を持ち上げた。小柄な体を抱えたまま、蜂は軽々と浮き上がる。
「……あ……?」
宙吊りになった少女は、ただ股を開かされて。温かな粘液で滴るそれを、蜂たちの眼前で露わにされて。
「ひっ……」
そう、息を呑んだ瞬間に。ろくな覚悟も決められないままに。
貫かれる秘部。細い槍が、少女の聖域を荒らす様。
「あっああぁぁッ!」
毒液を注入した針とは、やや異なる形状だった。
いや、正確に言えば、その形状が変貌していた。
針は、針だ。毒を注射するあの針と同じものだ。しかし今度は、太く厚く、固いだけではない、固さの中に溶けた柔らかさをも有した針だった。
それを、蜂たちは撫で振るう。彼女を抱えて飛ぶものは、少女の小振りな肛門に。前から乗りかかるものは、彼女の小さな花弁の中に。各々の穴の感触を楽しむように、二匹はゆっくりと出し入れを繰り返していた。
「はうっ……あうぅぅ……っ……」
宙に浮かされ、さらに麻痺もさせられて。身動ぎすらまともにできないゼルダは、ただ耐える。掘り進められる秘部の痺れる感覚に、ただ耐えている。
その姿は、まるで狩りのようだった。花の蜜を集めるために、花弁の中へと潜り込むような。そんな虫の狩りの様子を描くかの如く、彼らは少女の花を貪っていた。
擦られれば擦られる度に、花の奥からは蜜が染み出してくる。その感触に悦ぶように、蜂たちは一層その貪りを加速させた。
「あっ……ひゃあっ、あっ、はあぁぁっっ!!」
襲い掛かる、快感の渦。
麻痺の毒に、催淫性の高い汁でも混ざっていたのだろうか。ただ叩き付けられる快楽に、少女は甘い声で鳴く。秘部を穿たれる感覚に、奥まで荒らす固柔らかい針の感触に。
そしてそれは、彼女が絶頂する音へと成り変わった。蜂たちが、自らの体に秘めたものを解き放つ音へと成り変わった。
どびゅっと、粘液が叩き付けられる音。
どちゅっと、固形の何かが押し出されるような音。
麻痺して感覚も混乱した彼女には、分からなかった。自分の体の中で、胎内も腸内も満たすその正体が、分からなかった。
それでも、予想はできる。先日のカエルの一件から、何をされているかは察していた。
「……ま、た……っ……たま、ご……っ!」
カエルのものより幾分か固いそれは、粒々とした感触を残している。小さな個体が、襞に絡み合っているような感触。胎内の奥で、粒が揺れ動く感触。
それを卵と思えば思うほど、伝わってくる感触はまさに卵そのものだった。僅かながらも脈動するような感覚に、少女はただぞっとする。
「……っ……あっ……!」
ふと、体の拘束が緩んだ。と、思えば彼女を掴んでいた蜂はその腕を離し、興味をなくしたかのように彼女を落とす。卵さえ産めばもう飽きたと言わんばかりに、少女の体を放り出した。
「きゃあ……っ!」
産卵されてなお動けない彼女の体に、別の個体が掴みかかる。
掴みかかって、その秘裂の中へと針を押し込んだ。挿入の衝撃で、産み付けられた卵が奥の方へと転がり込む。
「あうっ……ああぁっ!?」
背後からがっしりと掴みかかる、はたまた別の個体。それがそのまま、彼女の直腸めがけて針を刺す。
「ひっ……な、何……っ!?」
再び襲いくる前と後ろの感覚に、彼女は喘ぐしかない。
しかし、目の前の光景を見ては、喘ぐのも
針を剥く、二匹の蜂。
新しい二匹の蜂が、彼女の体に掴みかかっていた。まるで尻を見せるけるような体勢で、その二匹が柔肌に傷をつけている。
そんな尻の先から伸びるのは、これまた鋭く長い産卵管。それが、少女の乳房へとあてがわれた。
「……やっ、やだ……やらぁ……っ!」
もうそこは嫌なの。
胸の中に針を刺されるのは、もう嫌なの。
痛くて痛くて、とっても苦しいの。
そんな言葉は。もはや懇願といってもいい言葉は、確かに彼女の思考の中に湧き上がる。
しかし、そこから口に出されることはなかった。麻痺によって上手く言葉を発せない彼女は、拒否の意思を示すことすら許されなかった。
「あぎっ……っ!!」
突き立てられる、細い針。されど管の形をしたそれが、少女の柔らかな乳房の中に埋まっていく。
乳管を通り、乳腺を滴らせる針。挿入の衝撃で隙間から母乳を溢す乳房を、心地よさそうに抉る上下運動。その度に胸の膨らみは形を変えて、入れられれば潰れ、引き抜かれれば伸ばすように跳ねた。
その度に走る猛烈な痛みが、少女を襲う。乳を噴き出す母乳が、ほんのり桃色に染まり始める。
「はがっ……あっ、あ"ぁぁぁッッ!!」
蜂による凌辱の痛みは、麻痺で縛られている体をも暴れ回させた。少女の半狂乱な力が、その細い筋肉を酷使させる。
だが、例え暴れようとも、少女の力ではまるで及ばない。ただ蜂の鋭い爪に抑えつけられ、逃げることも許されなかった。
皮膚が裂け、血が零れ、そのままゼルダを痛みに押し込める蜂たち。計四匹が彼女の体の上で這い回り、その産卵管を激しく上下させる。その度に少女は悲痛な叫び声を上げるが、蜂たちの動きを止めるには至らない。
「あっ、がっ……おぉぉっ……」
いよいよ膨れ上がり始めた感覚に、少女はただ呻いて。
再び放たれた卵の感触と、卒倒しそうになる自らの体を。必死に抑えつけながら、少女は儚くも歯を食いしばるのだった。
「……はぁ、はぁ……あぁ、あぁぁぁ……っ」
体中に注がれた卵。
胎内や肛門はもちろん、乳房にまで注がれたそれに、少女はただ泣いていた。
胸の中に、こりこりとした何かが溜まっている。口を開けた乳頭の奥で、嫌な感覚が渦巻いている。
そんな恐ろしい感覚に、少女はただ嗚咽を漏らすのだが――――。
「……ひっ」
突然躍り出た影に、その嗚咽は小さな悲鳴へと成り変わった。
太い手足に、腫れたような体。無機質な複眼の瞳に、不気味な文様を描く羽。
その身を少女に映る景色の通り、灰色に染まった別の虫。それが、仰向けの彼女に覆い被さるように、その羽を伸ばしてくる。
もはや、蜂といえるのか。蜂よりも、むしろ蝿に近いその体。そんな悍ましい体躯をもって、その虫は少女を貪ろうと茎を生やした。
「あ……あっ……」
その数、五本。
もはや茎と呼ぶには多過ぎて、また悍ましい。その出で立ちは、さながらガノンの触手のようだった。
それが、一度に注がれる。少女に空いたいくつもの穴へ、五本が同時に注がれた。
「はがっ――――」
卵を優しく包む胎内に。
ねっとりと体液で満たした腸内に。
柔らかな感触と栄養に富んだ母乳で満たす、乳房の中に。
そして、唾液を滴らせる少女の口へと。
それはまさに、悍ましい光景だった。
太い肉棒は少女の股に咲いた二つの花をほじくり回す。
一方で細い茎が、たわわに実った二つの果実に食い付いて。
その度に中に粘液を滴らせながら、奥へ、奥へと入り込む。卵に精を届けんと、激しく少女を貫いた。
「……っ、…………ッッ!!」
喉が塞がれて声が出ない。
オクタロックの足のような、独特の臭気を放つ陰茎だった。酸っぱいような、苦いような、どこか現実離れをしたその臭い。その生々しい味に少女は吐き気を催しつつも、それを吐き出すことはできそうになかった。悲鳴を上げることすら、ろくにできやしないのだ。
くちゅくちゅと音を立てながら、二本の細い触手が乳腺を侵す。
蝿の胴から生えたそれは、少女の耳の穴ほどに細い触手。されど力強く脈動するそれが、確かに逞しい男根であることを主張している。脈動する度に筋は震え、その震動が乳房に伝わった。ふゆんふゆんと形を揺らすそれが、一層
秘部を擦り付ける触手の感触は、もはやいわずもがなだ。まるで本命と言わんばかりに強く伸びたその巨根は、悍ましい繊毛でびっしりと覆われていた。その一本一本が愛液や腸液を滴らせ、少女の凹凸を念入りに嘗めずっていく。その度に少女はびくんと体を震わして、ただひたすらに叫んだ。塞がれて出ない声で、助けを求めるように叫び続けた。
「……っ、っぅ~~ッッ……ぁっ……!」
そんな叫びも、まるで無意味だ。
荒れ狂って腰を振る蝿の前では、ただの雑音でしかない。
心のままに全てを解放する蝿の嬌声が、そんな少女の叫びを真っ白に塗り潰していった。
「……っ、あぁ……胸の中で、何かが動いてる……っ」
彼女も触手も触らずとも、少女の乳房は揺れ動いていた。まるでそこに、何か別の生き物がいることを暗示するかのように。ただ細い線をいくつも描きながら、もにゅもにゅとその柔肌を伸縮させている。
そんな胸の痛みにも負けじと、彼女の腹にも嫌な感覚が走っていた。小さくて細いものが這い回る感覚。ぞわぞわと体内を撫でる感触に、少女はただぞっとする。
「うっ、産まれ……産まれちゃう……っ!」
ぷちゅぷちゅ、なんて音を立てながら、中で何かが弾けるような感覚。
まるで気泡溢れる飲料のように、小さな粒が割れていく感触。
それが終わったと思ったら、今度はこの奇妙な脈動が少女を襲った。無数の小さな何かが、彼女の皮膚の下を這い回るような、そんな恐ろしい胎動が。
「あっ……痛ぁっ……っ!」
みちみちと広げられた乳頭から、細い何かが飛び出した。
それはまるで、白い糸のよう。まるでミミズのように、一本の細いその何かが、次から次へと顔を出す。
少女の胸から溢れ出したのは、それは紛れもない幼虫だった。蜂の卵に、蝿の精を注がれて産まれたそれ。ミミズのように長い蛆虫だ。
それが発破をかけたかのように、少女の体から次々と幼虫が溢れ出す。
両の乳房から、麗らかな花弁から、汚れた蕾のその奥から。
それぞれが、それぞれの栄養を吸って育ってきた。甘い母乳を、とろみに満ちた愛液を、癖のある香りの腸液を。
十分に育った彼らは、母の体を抉るように飛び出して。細い筋を突き抜くように、大量の波となって溢れ出して。
「あっあぁ……早く、早く出てってくださいぃ……」
ぼとぼとと、次から次へと蛆が湧く。
白い大量のそれが少女の体から零れ落ちる様は、それはそれは圧巻だった。
とはいえ、本人からすれば絶望するのもいいところだろう。使命と、想い人のために奮闘し続ける少女だが、流石にこれには心を強く削られた。
「……巣穴、だなんて……もう、いやぁ……っ」
幼い子どものように泣きじゃくる少女。
全身から幼虫を溢れ出させるその出で立ちは、紛れもなく蟲の巣穴そのものだった。