灰色のひめしずか 作:かわいそうなのでも抜ける猫
「……あ、鳥……」
サトリ山の麓。
麓の平原は、今日も温かな日差しに包まれていた。空を覆う透き通るような青色と、大地に敷かれた鮮やかな緑色。そこに橙色の柔らかい光が舞い込んで、他の色をより澄んだ色へと変えていく。
そんな世界を優雅に泳ぐ、一匹の鳥。桃色に身を染めたその鳥の姿に、ゼルダはついつい見惚れていた。
「…………」
吸い込まれるような景色。それを目で追うゼルダ姫。
彼女の背後には、静かに佇む剣士が一人。
「リンク、リンク! 見てください、あの鳥! とても綺麗ですっ」
「……はぁ」
彼女にぐいぐいと手を引かれ、剣士――リンクは、おずおずと空を見上げる。
別段、大した光景じゃない。
鳥が空を飛んでいるのなんて、ハイラルの城下町でも見られる光景だ。
「あの鳥、モモイロサギという鳥なんです。この辺りで見られるのはちょっと珍しくて。鮮やかなピンク色が、とても可愛らしいでしょう?」
「……え、えぇ……」
ずいっと寄せられた顔にリンクはたじろぎながらも、生返事気味な声を返した。
そんな彼の対応に、少女はくすくすと笑う。楽しそうな様子で、彼女――ゼルダは笑った。
リンクは思う。最近、姫の笑顔が増えてきた、と。
今までは、ずっと不機嫌そうな顔をしていた。いつも何かに苛々している様子だった。それはなぜかはよく分からなくて、それはそれはかなり心労を重ねたものなのだが――最近は、そうでもなかった。
俺の目を見て話してくれる。俺の顔を見て、笑顔を見せてくれている。
そんなことを考えながら、リンクは心の中で顔を綻ばせた。とはいえ、それを表に出すことはない。感情を見せることは、自分のするべきことではないと、彼は自らを強く律した。
「私、マシロバトが一番好きなんですけど……あの子も綺麗ですね。リンクは、どんな鳥が好きなんですか?」
「……鳥、ですか?」
「はい。私、貴方の好きな鳥を知りたいです」
そう、彼女に頷かれて。
リンクは少しばかり沈黙に走るけれど。
「……俺は、食べられればなんでも」
「もう! そういう話じゃなくて!」
予想の斜め下の答えに、姫はむうっと頬を膨らますけど。
そんな彼女を、リンクは突然抱き上げた。
「きゃっ……ちょっ、リンク……?」
「…………」
突然浮いた体に、少女は思わず手を伸ばす。それでリンクの肩を掴みつつ、そっと彼の顔を窺った。何を考えているか分からない、その仏頂面を。
「あ、あの……? ど、どうしたんですか?」
ゼルダは、思わぬ密着に頬を赤く染める。
リンクに抱き上げられているという事実に、少しばかり胸を高鳴らせた。
「……姫の足元に、蛇が」
「えっ……?」
彼の視線を手繰り寄せるように、ゼルダも足元へと注視。
そこにいたのは、小さくも大きくもない一匹の蛇だった。それが草を掻き分けながら、悠然ととぐろを巻いている。
「あ……それで庇ってくれたのですね……ありがとう、リンク」
「…………」
ようやく彼の意図を理解できて、少女はそう礼を告げるのだが。
リンクは、それにも応えずに蛇を見続けていた。その体をじっくりと凝視していた。
「……リンク?」
「……姫」
少しばかり様子を窺うと、ようやく彼は口を開いて。
そのまま、教師に質問する子どものように。純な問いを口にした。
「蛇とは、途中で足が生えるものなのでしょうか」
「え……?」
おそらく、彼は特に何も考慮せずに、思った疑問を口にしたのだろう。
少しずつ築かれつつあった信頼関係。お互いに始めた歩み寄りの結果と言える。
リンクは、物知りな彼女に向けて、そのような疑問を口にすることが少しばかり増えた、今日この頃であった。
とはいえ、その蛇の体をじっくりと見やれば。
確かに、蛇の体に突起がついている。より尾に近いところに、小さな突起が二本ついている。
足と言えば、足に見えるかもしれない。
しかしそれは、足ではない。ゼルダは、その突起の正体を知っていた。
――故に、その顔を赤く染める。
「こ、これはっ、えっと……!」
知らない訳ではない。知らないと嘘をつくのは彼女の信条に反するのだ。
知っている。確かにそれが何かは知っているが、それを彼の前で口にするのは、どうにもこうにも憚れる思いがあった。
「う、うぅ~……っ」
ただ、ゼルダはもじもじと言葉を言うに言えず。くぐもった唸り声を上げていた。
△▼△
「あっ……!」
鼻息を荒げた魔物に、少女は押し倒される。
肉の壁。溢れる瘴気。黒い触手。
厄災ガノンの肉の中。力を封じた繭の中で、今日もまた少女の凌辱が行なわれようとしていた。
目の前で跳ねるのは、計四匹のリザルフォス。それぞれ色の異なる彼らが、ゼルダの柔肌を見ては、嬉しそうに口周りを舐めている。
「うぅ……」
仰向けの状態で、肉の床へと押し倒された少女。
ぶよぶよとした感触に包まれる一方で、ぎょろぎょろとした不気味な瞳に晒された。
肉に塗れる金の髪。恥ずかしそうに歪ませる整った眉毛。
重力に掴まれて形を大きく崩す果実に、それでも負けじと形を保った小さな蕾。
ぴくりと震える花びらと、小さく揺れる丸い花弁。
体の全てを曝け出されて、少女は羞恥に喉を震わす。手足を抑えられる痛みと、涎に滴る長い舌が迫る恐怖。それに、ただ眉間を強く寄せていた。ぎゅっと、大きな瞳を強く瞑る。
「っ……ぅ……」
そっと、舌が彼女の肌を走った。
熱がこもったその感触。柔らかさと共に水気を塗りたくられる感覚。触れられた瞬間に感じた熱さが、空気に触れて即座に冷やされる。
「くぅ……っ」
一つだけではない。四本もの舌が、彼女の体を舐め回した。
なんといっても、長い舌だ。まるで蛇のように長い舌。それらが、彼女の首筋を、脇を、乳房を、腹を、そして秘部まで舐り上げる。その度にねっとりとした熱さを感じて、少女は小さく身動ぎした。
「んっ……あんっ……」
触手のように締め上げるのではなく、亜人のように握り締めるのではない。
ただ長い舌を巻きつけて、優しく肌を舐め回す。丁寧で、腫れ物に触れるかのようなその舌使いに、少女は声を上げずにはいられなかった。
「はぅ……どうして、そんなっ、舐めて……っ」
まるで、甘露を舐めるかのようだ。
小さな容器に溜まった少量のそれを、丁寧に丁寧に舐め上げる。すぐに無くなってしまわないように、ゆっくり深く味わうかのように。そんな舌使いで、彼らはゼルダの体をじっくりと舐め続けた。
脇に浮いた汗を、さっと一舐め。
お腹の感触にも飽き足らず、小さなへそをほじくり回し。
そして、艶やかな太ももを念入りに啜り始める。
「くあっ……っ」
不意に、少女から甘美な声が漏れた。
舌が、彼女の果実を搾り上げたのだ。そうして上へと持ち上がったその果肉を、さぞ美味そうに愛撫。その度に溢れる母乳を、そっと舐め取った。桃色のつぶらな突起から溢れたそれを、紅色の蛇が吸いとっていく。
「はぁっ……あっ、胸はっ……やっ……!」
舐める動きに合わせ、その形をたぷたぷと変える乳房。まるで水面のように波を打っては、ぷるりとその張りを主張する。揉みしだけば軽々と窪みを描くものの、それでも強かに元へと戻ろうとするそれは、極上の柔らかさと適度な弾性を持ち合わせていることを証明していた。
例えるなら、つきたての餅だ。ハイラル米に改良を重ねあげ、丁寧に丁寧に仕上げたそれ。もちもちとした食感と、仄かな温かさを伝えてくる感触。リザルフォスをもしゃぶりつかせる、この世に二つとない究極の品だ。
そんな餅の先には、小さな突起がついている。まるでグミのように、くりくりと甘噛みしたくなるような突起。柔らかさと固さの比率を、より固さの方に振って。それでも仄かな柔らかさを残し、つねればこれまた乳房とは異なる味わいを広げていく。固柔らかさとでも呼びたい感触だ。弾性の中に溶けたその柔らかさは、思わずしゃぶりつきたくなるほどの心地よさに満ちていた。
大きな餅の中央に芽吹いたグミ。その周りは、根元には、少しばかりこりこりとした独特の感触がある。それが彼らの舌に、なんとも言えない幸福感をもたらした。柔らかいのは柔らかいが、その感触は相応しい言葉が当てられない。ただ、いつまでも触っていたい感触だ。いつまでも、舐め続けたい感触だった。
「あっ、あっ……ひゃうっ、ふあっ!? いっ……うっ、うああぁぁ……」
念入りに乳首をしゃぶられて、少女は悲鳴を上げる。二匹の魔物に、それぞれ一つずつ果実を味見される感覚。搾り出される痛みと熱さに、少女はどうしようもなく顔を引き攣らせた。
二匹、彼女の乳房を舐めている。柔らかな果肉を揉みしだき、その形の良い乳首に舌を絡ませて。溢れる果汁を、念入りに舐め取って。美味い、美味いと喚きながら、少女の乳房を
母乳溢れる乳頭上を、荒く撫で回す。
上から押し潰すように舌に力を込め、その独特の感触を楽しんだり。
小さな突起を倒しては立たせ、倒しては立たせを繰り返したり。
すると突然、その桃色の側面を舐め上げ、その度にぞくぞくとした感覚を少女に刻んでいく。
そんな激しい乳首攻めに、少女が歯を食いしばった頃だった。
艶に満ちた声を上げかけた少女の口に、蛇が入り込む。蛇のように長い舌が、彼女の喉奥まで滑り込む。
「っがっ……~~っ!? ……っ、っっ……ッッ!!」
それに驚いたのも束の間、下の口にも入り込む舌。それに、少女は声にならない声を上げる。
唾液と共に喉の感触を楽しむそれは、舐められる度に少女の食道を上下させ、その小さな喉に大きな膨らみを描き出した。
一方で、少女の花弁をほじくる舌。愛液に滴るその膣内を、舌が激しく這い回る。襞の一つ一つの凹凸を念入りに舐められるその感触に、少女は哭いた。ただ、哭くことしかできなかった。
「んんーっ、んっ、んむっ……ふむっ、うぅ~~っ!!」
舌と舌を這わせ合うキスは、ハイリア人の夫婦がよく行う愛情表現だ。
しかしそれは、もはやキスなどという次元ではない。喉奥を穿つ行為。される側からすれば、もはや立派な捕食行動である。
両の乳房を舐め回される感覚は、もはや尋常ではない。激しい愛撫と、柔らかな吸引。搾り上げられる感覚に、熱い感覚を残すそのねぶり。まるで赤子のように乳を貪る姿には、嫌悪感しか抱けない。
無防備な陰部を穿る舌は、強烈だった。陰茎ほど大きくも固くもないが、自由に這い回るその動きは舌特有のものだ。滴る愛液を舐め取って、その刺激に再び愛液が染み出して。そんないたちごっこも構わず延々と続ける魔物を前に、少女はただ快感を必死に抑え込む。
ようやく解放された頃には、止まっていた呼吸を思い出すくらいに。それくらいに激しい攻めが、少女の体をほじくり回したのだった。
「――――はぁ、はぁ……」
どれほどの時間が経っただろうか。
少女は、ただ疲弊したように息をしていた。襲い掛かる快感に、焦点が定まらない瞳を揺らしながら。大きく息をして、その度に胸が膨れ上がって。綺麗な乳房が、その上下の動きに合わせて微かに揺れる。
舌の唾液が枯れるまで、少女をしゃぶった。それにリザルフォスは満足したように、その舌を口の中へと戻す。蛇のように伸びていたその長い舌を、小さく巻いて口内へと帰らせた。
満足したように? いや、違う。
もっと満足するために、だ。
「……あ……あぁぁ……」
リザルフォスの腰から、白いものがそそり立つ。まるで
「や、やです……っ、そんな、そんなの……っ!!」
――――蛇とは、途中で足が生えるものなのでしょうか。
そんな、素朴な疑問を口にしたリンクの言葉。それが少女の頭を走り抜けた。
今、少女の目の前には、あの時の蛇が生やしていたものと同様のものが向けられている。
悍ましく勃った、二本の茎。
白い色に染まった、爬虫類特有の生殖器。
左右に一本ずつそそり立つそれは、まさに生命の神秘である。しかしこの時ばかりは、少女を蹂躙するための凶器でしかない。
二股の槍。通称、半陰茎。
「あっ……いたっ……っ!」
突然、右腕を引っ張られた。それに少女が悲鳴を上げるも、リザルフォスは構わずにその細い腕を引っ張り上げる。
そうして、横向きで寝るような体勢になるよう圧迫。上からトカゲが数匹乗りかかって、その華奢な体を押し付けた。
「重いっ……やだぁっ……」
思わず体を丸めさせようと、ゼルダは閉じた脚を腹に向けては持ち上げようとするが。
それを、一匹の厳つい腕が阻止して。むしろ柔らかなその右脚を、勢いよく持ち上げて。
――――彼女の秘裂と肛門を、露わにするかのように持ち上げた。
「ひっ……何、何を……」
横一列に並んだ、彼女の腰の小さな穴。まるでリザルフォスの双頭に合わせたかのように、彼女の秘部は横に並ばされる。
「あっ、いやっ……いやぁ……」
秘宝に満ちた黄金郷。それを守る、双頭の蛇。
そんなありきたりな神話を体現するかのように、二股の魔物が、彼女に向けて進行を開始した。
前の穴も、後ろの穴も、同時に擦られる嫌な感触。続く、その洞窟を抉じ開けられるような度しがたい感覚。
「あ"っ……あ"ぁぁッッ!!」
挿入と同時に、激しい腰振りが行なわれる。
リザルフォスが腰を引けば、二本の茎は大きく引き抜かれて。
リザルフォスが腰を突き出せば、二本の茎は力強く飛び込んできて。
「あっ、ああぁっ! やめっ、やめてっ……! それっ……やめてっ、くだ、さい……っ……くあぁっ!」
傍から見れば松葉崩しのようなその光景だが、もはやそれはその範疇にはない。
腰振りの度に、膣も肛門も同時に犯された。どちらも激しく圧迫されて、その度に熱い感覚を撒き散らされる。痛いとも気持ちいいとも思えずに、ただ激しく秘部を抉じ開けられる感覚。それに少女は、ただ歯を食いしばるのだが。
「――――っ!? なっ、何……!? いたっ……痛いぃ……ッ!」
腰を振るリザルフォスが、吠えた。
同時に、その牙を振りかざす。もたげた鎌首をもって、彼女の柔らかな腹へと振り落とす。
「痛いっ、痛いです……っ! 噛まないでっ……ッ!!」
その牙を、奴は少女の腹へと突き立てた。美味しそうな肉にかぶりつくかのように、迷いも何もなく少女の柔肌に歯形を刻む。
巻き付くような体勢で、少女の体に絡みついて。そうして腹を噛み締めながら、より一層激しく腰を振り続けた。
あまりの勢いに、少女の体は大きくずれてしまうから。それを防ぐために、奴は彼女の体に噛み付いたのだ。固定し、より交尾をしやすくするために、彼はゼルダに牙を立てたのだった。
「あっあっ……あぁぁぁッ!!」
その腰振りはいよいよ頂点に達し、放射。
熱い粘液の奔流が、彼女の中で引き起こされる。一度に出された大量のそれに、少女はただ虚ろな悲鳴を漏らしていた。
「あっ……あぁぁ、うああぁぁ……」
どくどくと脈動する、二つの槍。子宮も腸も、トカゲの粘液で満たされていく。どろどろのそれで、真っ白な色に染められていく。
長い長い硬直だった。リザルフォスは、挿入の感覚を楽しむかのように唸り声を上げる。少女の体に密着し、肌を重ねながら放射を続ける。満足そうに目を細め、脈打つ茎とその度に上がる苦悶の声に悦んで、ひたすらに長い余韻を楽しんだ。
その一方で、前も後ろも同時に凌辱された姫はといえば。
過去に読んだ学術書から、トカゲの見分け方についての項目を思い出していた。
トカゲの雄は、交尾の際に雌の体に噛み付く性質がある。
そのため交尾を経験した雌は、腹に噛み痕を負うのだ。噛み痕が多いのは、それは経験豊富な雌である証拠と言える。逆に言えば、噛み痕のないトカゲは処女であろう。
そんな文言を読みながら、当時の彼女はふと疑問に思うのだった。
そもそも雄雌をどう見分けるのか、と――――。
そんな淡い疑問も、長い長い余韻の前ではもはや意味を為さない。
これがあと三匹、もしくはそれ以上続くという現実の前には、もはやどうでもいいものだった。
ハイリア人でありながら、トカゲの雌にされてしまったような感覚。
それにゼルダは、小さな嗚咽を漏らす。
いつかの過去に、リンクに抱き上げてもらった時のことを思い出しながら。そんな夢のような光景を思い描いて、悲痛な現実から目を逸らそうと。嗚咽が、喘ぎの声に変わっていくのに気付かない振りをするように。
少女はただ。
少女はただ――――いつかの過去に逃避する。