灰色のひめしずか 作:かわいそうなのでも抜ける猫
――――リンクが、とうとう来てくれた。
全ての神獣を解放して、囚われた仲間たちを救い出して。
そうして、とうとう私のところに来てくれた。私を助けに、ここまで来てくれたんだ。
ゼルダは、自らの心眼からそれを感じ取った。ハイラル城の悍ましい空気の中に、懐かしい匂いが入ってきたのを感じ取っていた。
外の世界では百年も経っていた、長い長い時間の中で。その間リンクは眠り続けていて、これまでの記憶と力の多くを欠損させてしまって。
それでもリンクは、ここに来た。ハイラルのために、ガノンを止めるために。そして何より、ゼルダを救うために。彼は今、数多のガーディアンをガラクタに変えながら、この天守閣まで猛進している。
「リンク……」
嬉しい。心が温かくなる。挫けそうだったけど、もう少しだけ踏ん張れそうだと。
少女の無垢な心はそう感じ、リンク、リンクと忙しなく飛び跳ねていた。
その一方で、その先を案じる心もいる。
ガノンの苗床とされてしまった自分を見て、リンクはどう思うのか。彼に嫌われてしまうのではないかという強い不安が、彼女を押し潰そうと重く重く膨れ上がっていく。
そんな二つの気持ちに揺れ動かされ、彼女はとても不安定になっていた。
リンクが近付いてきたからこそ、均衡が歪んだ不安定さ。彼と再会できると思ったからこそ、不安を膨らませる心の闇。
バランスが崩れれば、それは力の制御も崩れてしまう。唐突に緩んだその力に、ガノンはここぞとばかりに牙を剥いた。この機会を逃す手はないと言わんばかりに、少女に向けて闇を伸ばす。
「……あっ……!?」
気付いた時には、もう遅い。
彼女の周囲の肉壁は脈動し始め、その様相を変貌させた。ぶちぶちとその接合部を剥がしていき、中からどろどろの体液を滴らせた何かが現れる。まるで蛹が羽化するかのように、赤黒いそれが、その全貌を露わにした。
「……ガノン……まさか、この時をずっと……」
待ちわびた。そう言わんばかりに、顎鬚のようなものに覆われた顔が笑う。
周囲の肉を裂いて現れたそれは、まるで蜘蛛のようにいくつもの足を生やした何か。体中から伸びる触手の他に、大きな足が八本ほど。それを封印の繭の中で這わしながら、驚愕に震えるゼルダへと歩み寄った。
厄災ガノン。百年の間、じっくり固めていったその姿。
ゼルダから搾った栄養で、作り上げた強靭な肉体。彼女を侵す一方で、彼女を囲う肉壁となって。そこでじっくり形作った体をもって、彼は再びゼルダへと襲い掛かる。
最後の仕上げだと言わんばかりに、彼女もろとも封印を破ろうと。そんな邪心を乗せた咆哮を、鬼の形相で轟かせた。
「きゃあっ!」
多脚で這いずる蜘蛛のような動き。それでいて仰向けになるように、ガノンはゆっくりと体勢を変える。謁見の間の天井に張り付いた繭の、底の部分。そこに寝そべるようにガノンは這い、触手をゼルダに絡ませた。
「うっ……また……また、するんですか……」
少女の瞳が、揺れる。
壊れそうなくらい儚いそれが、揺れ動く。
「リンクが、リンクがここに来てくれたのに……それでも……? 彼が、彼が今そこにいるのに……」
色をなくした彼女の視界には、ただ大きな闇が見えた。灰色に染まった闇が見えた。
自らを巻き取って、宙吊りにする触手。自らの下で仰向けになり、悍ましい柱を勃ち上らせる厄災ガノン。嗜虐的な顔で、少女を笑う邪念の姿。
「……もうっ、もういやです! 私はもう、こんなっ、こんなの――――」
そう言い切る前に、彼女の尻に触手が刺さる。かと思えば口内にも突き刺され、言葉の先を奪われた。声も何もなく、ただ水の跳ねる音が響き渡る。
口内はもちろんのこと、喉に入り込むその触手。少女の細い喉を、さぞ美味そうに撫で回す。その度にゼルダには嘔吐感が広がるが、栓のように塞がれているために押し返すこともままならない。
一方の肛門。それは意外にも、入り口あたりに入り込んだだけで動きを止めた。そのまま出し入れを繰り返す訳でもなく、口づけをするように沈黙していたが――――。
「……~~っ!!?」
突然、無数の触手が放たれた。
異国の料理でいうところの、麺というものに近い形状。それほどまでに細く長い触手が、彼女の中で解き放たれる。無数に広がったそれが、彼女の肛門から直腸にかけて、その襞の一枚一枚に絡みついていく。
「……っ! んーっ!!」
喉を塞がれて叫べないゼルダ。それにも構わず行われる、獰猛な愛撫。
細かな触手に内側をぞわぞわと撫で回され、少女はただ打ち震えた。悍ましい感触に、ただただ顔を歪ませる。
そんな彼女の体に向けて伸びる、新たな触手。
「……っ!?」
その姿は、遥か古代の神話に現れる魔物によく似ていた。
盾を好んで食べるという、内臓をそのまま切り出したかのような生物。その者の名は、ライクライク。
伝承さながらに悍ましい出で立ちのその触手は、がばっと開いた口内を彼女の前で露わにする。とはいえ、それに彼女の体を呑み込めるほどの大きさはない。せいぜい、手足の一本が入る程度。伝承とはやや異なり、その大きさは幾分か小さいようだった。
いや、むしろ、その大きさでいい。彼女のみずみずしい手足こそが、それらの目的だった。何故なら、その触手は全部で四つもあるのだから。
「……っ、むーっ! ~~っ!」
その口の中は、べとべとの涎で滴っていて。独特の臭気を放つそれは、妙に生々しい熱気を放っていて。
そんな口内を、びっしりと無数の触手で満たしている。ハイリア人の小指程度の、細く小さな触手だ。されどそれが、腕一本を覆い尽くしてもなお余裕があるほど生えていた。丸呑みにしたものを舐め回そうとするかのように、その無数の触手をうねうねと揺らしている。
その見るも悍ましい姿を前に、ゼルダは必死に拒否の声を上げるけれど――結局のところ、それは何の意味もなかった。
「――――っ……!!」
ぞわっと。彼女の体中に、寒気のような感覚が走る。
まるで獣のように。獲物に喰らい付く肉食動物のように。
計四本のそれは一度に、それぞれ手足一本ずつをしゃぶり込んだ。一瞬にして四肢が熱に包まれ、無数の触手と粘液に浸される。皮膚の隙間まで舐め取ろうと繰り出される舌使いに、ゼルダはただただ悲鳴を上げた。
喉の奥に垂れ流される粘液の影響か。手足ですらまるで陰部のように敏感に感じるゼルダにとって、両手足をしゃぶり尽くされるのは筆舌し難い快感だった。
快感故に、少女は触手越しに歯を食いしばる。心を壊されないように、必死に抵抗した。
「……っ!」
根元まで呑み込まれる感触。不快感と快感を黄金比で混ぜ合わせた、思わず果てそうになるほどの刺激。根元の脇や太ももの付け根まで舐られて、少女は小さな悲鳴を短く上げる。
じゅぽんっ、なんて音を立てながら、ガノンは触手を引き抜いた。
甘い粘液を注いでいた触手を、彼女の喉から引き抜いた。
「かはっ、げほっ……っ」
ようやく離されて、少女は必死に呼吸をするけれど。
不意に近寄ってくる熱気に気付く。彼女の胸の果実を食べようとする不届き者に気付き、はっと瞳を滑らせる。
「……くぅっ……それ、やです……っ」
大口を開ける触手。まるで花のような姿の触手だった。
花びらさながらに周りに咲いた触手と、中央に詰まった種の如き細かな触手。中央には深い深い闇があり、腹が空いたと言わんばかりに荒い息を上げていた。その度に白い熱気が浮かび、より一層悍ましさを際立たせる。
両手足を激しく喰いしゃぶられて。直腸の中まで激しく舐め回されて。
そんな状態で、乳房をも攻められたらどうなるか。それを考えると、少女は気が気ではなかった。
「やっ、やぁ……いやぁ……っ!」
じっくりと、ゆっくりと。まるでじらすような動きで寄ってくるそれに、ゼルダはいやいやと首を左右に振るけれど。
しかし触手は止まらない。そのたわわに実った果実に、待ってましたと言わんばかりに噛み付いた。
「あぁぁっ……!!」
先の蕾のみならず、果実全体を一度に吸い上げられるその刺激。
それに思わず仰け反って、少女は股から麗水を吐き出した。
「あっ、あぁぁっ……だめぇ……っ!」
もちゅ、もちゅ、なんて音を立てながら、ガノンはそのみずみずしい果実を頬張っていく。
触られれば、その指圧に合わせた形へと流れるほどの柔らかさ。されど、しっかりと元に戻る弾力性も持ち合わせたその乳房。それを一度に、細かい触手でねっとりと、吸い上げられるように揉みしだかれたのならば。
少女はただ、吠えるしかない。泣きそうな声で、喘ぐしかなかった。
「ひっ……ひゃんっ、何っ、おっ……お尻……っ!」
触手の隙間から、母乳が溢れ返るほどに。それほどまでに強烈に吸引されていた少女が、不意にお尻の違和感に気付いた。
が、それも一瞬。細い細い触手たちが、一斉に動き出す。肛門に密着していた根元の触手が一瞬で離脱した。その動きに合わせて、彼女の中を這い回っていた触手も外へと飛び出していく。じゅぽぽぽ、なんて卑猥な音が、少女の穴から鳴り響いた。
「ひゃあああぁぁっ!?」
その刺激に、ゼルダは堪らず絶叫。それによって、先程から漏れていた麗水が一度に解き放たれる。
潮のように、しょっぱい香りを放つそれ。猛烈な勢いで押し出された聖水。一本線さながらの鋭い軌跡が、ガノンの上に撒き散らしていく。
「……っっはぁっ、はぁ、はぁーっ……」
絶頂のあまりに潮を噴いたのだろうか。
性知識に乏しく、百年もの間、書物からも人からも遠ざけられた彼女にとっては、今自分に走る感覚がなんなのか、その正体すらも分からない。
ただ、全身が痙攣し、全身が焼けるように火照っていて。体中が麻痺してしまったかのように、ぴくぴくと跳ね回る感覚だけがあった。少女はそれに、震えることしかできなかった。
「……あぁっ、はぅぅ……っ」
びっしょりと汗を流し、口から涎を垂れ流し。
股の花からは、だらしなく蜜を溢れさせる少女。
ガノンは、感化されたかのように触手を伸ばした。少女の全身から、甘露を搾るかのように這わせていたあの触手。手足と胸をを吸い上げられる少女を、なおもしゃぶり尽くさんと。細い大量の触手を、少女に向けて解き放った。
「あっ、あっあぁっ……いやぁ……」
それに、果てたばかりの少女は涙を溢す。
ただただ悍ましい感覚を前に、搾り上げるような声で哭く。
――大きく広げられたお尻の穴に、太い触手が入り込むまでは。
「あぐっ……ッ!?」
予想だにしていなかった衝撃に、少女は驚いて。しかし驚きは、それに止まらない。
その触手は、ただひたすらに前進した。濡れた腸壁を押し広げ、何度もぶつかりながらも道を抉じ開けていき。その度に奥を開かれる感触に、少女は胃の中に無理矢理栄養素を注がれたことを思い出す。
肛門から大腸へ、大腸から小腸へ。そして、小腸から胃の中へと。太い触手は、ただひたすらに前進した。
「……あっ、うそ……っ!?」
胃の中に入り込んで、その胃液を舐めるように絡ませて。それでもなお、触手は前進を止めなかった。少女の食道に目がけて、陸に揚げられたドジョウのように激しく滑り込む。
「はっ……ごっ……ッ!」
食道まで入り込んだそれは、少女の喉を逆流した。
舌を舐り、歯茎を擦って、彼女の口の外にまで伸びる。尻から入り込んだその触手が、文字通り彼女を貫通した瞬間だった。
「……っ、…………ッ!」
もはや母乳を搾られる感覚すらも、これに比べればまだ優しいものなのかもしれない。
口から伸びる異物の感覚に、少女はいよいよ気が遠くなってしまう。眼球がぐるりと、上の方まで転がっていく。
そうして、掠れ掠れになった少女の秘部を。
ガノンは。あの極太の柱のようにそそり立っていた肉茎へと擦り付けて。
そのまま全身の触手で少女を絡ませ、あっという勢いで下へと引き寄せた。一瞬で男根が子宮にまで入り込み、ぼこんと、少女の小さな腹が膨れ上がる。
「――――ッ!!」
もはや痛みも何も感じなくなってきた。
痛いという声も、気持ちの良さも悪さも、全て溶け込んで灰色に還っていく。何もかも見えなくなった視界に、少女はただされるがままに蹂躙される。
体内を全て貫いて、その体を串刺しにする触手。
豊かな乳房を噛み締めて、甘い母乳を啜る花びら。
少女の全身を浸し、その極上の旨みを堪能する舌。
柔らかな膣の、その向こうへ。子宮ごと犯す、ガノンの茎。
馬に騎乗するかのような体勢で、少女はひたすらに穿たれる。
触手に宙に吊るされて、さらにその触手に全身を
「っ、っっ……っ――――ッッ!! ……っ……!」
喉を下から満たされて、声も出ない少女。
下から突き上げられる衝撃に、腹を何度も膨らませる少女。
ガノンは吠えた。吠えて、その細い脚を忙しく動かし始める。
触手でゼルダを抱えたまま、その体勢を変更。彼女を跨らせるようにして突き上げていたものから一変、今度は彼女を組み敷いて、上から抑えつけ始めた。乗りかかるような正常位だ。
「……っ……~~……っ」
下を向いた柱が、滑り込むように少女を穿ち。
愛液と粘液が絡んで、ガノンとゼルダをいくつもの細い橋が繋いで。
肉と肉がぶつかる音が響く度に、その橋は潰されては掛けられ、潰されては掛けられて。
そうして、いよいよ溜まり切ったそれを吐き出すように。ガノンは、ゼルダの奥に向けて、その大剣を振り抜いた。子宮口を破り、子宮の奥の奥へと押しやったその巨根を。まるで風船のように膨らませ、直後に溜め切ったものを解き放つ。
悍ましいほどの精の奔流が、彼女の腹を弾けんばかりに膨張させた。
「…………」
もはや、ゼルダは何も発せない。
蜘蛛のような、蟲のような、不気味な形をしたそれに組み敷かれて。プレスされるような体勢で、大量の粘液を胎内に吐き出される。一滴も残らず注ごうとする、ガノンのあまりの欲の深さに、抵抗することすらままならない。ただ茫然と、上から熱い露を飲まされていた。
焦点の合わない、光を失った瞳。いよいよ途切れそうになった、少女の意識。体もろくに動かせなくて、ただガノンにされるがままに侵され続けて。
――――少女の心は、床に落ちた花瓶のように割れた。
あまりの苛烈な凌辱に、少女の心は折れる。保ち続けていた意識は途切れ、ふっと体中の力が抜けた。
ゼルダの気絶。それは、ガノンを抑えつける力の途切れを意味する。
「――――――――ッッッ!!!!」
響き渡る、ガノンの咆哮。
咆哮し、その身に迸る力を解放して。さらに古代エネルギーを吸収しては、青い光を全身から弾けさせた。
――リンク。
私の力では、もう――――。
心が折れて、ガノンを封じられなくなったゼルダは。途切れる寸前の、微睡みのような感覚の中で。
自身の封印を破り、暴れ狂うように繭を破るガノン。その闇の中に取り込まれながらも、必死に声を張ろうとしていた。
とうとう目の前に来てくれたリンク。彼に向けて、少女は届くかどうかも分からない声を放つ。
ようやく来てくれたことの喜びと、ガノンを打ち倒して欲しいという願いと。そして自らの体に関する羞恥の念と、リンクに見られることの恐怖感を。その他の感情の奔流ごと全て混ぜ合わさせた声を、振り絞るように形にした。
しかしそれも、大口を開けるガノンの前に、どうしようもなく溶けていく。あの邂逅した夜に、少女を呑み込もうとした猪の如く。大口を開けたガノンの中に、儚く、切なく、溶けていく。
ゼルダは、自身が呑み込まれる感覚をどこか他人のように感じながら、目を閉じた。
閉じた瞼の裏には、リンクの凛々しい顔が淡く浮かんで、そして儚く消えていった。