灰色のひめしずか 作:かわいそうなのでも抜ける猫
「んっ……んんっ……!」
暗い肉の中で、ゼルダの噎せ返るような声が響く。
血管のようなものが露わになったガノンの触手。怨念が固まって、腸管を彷彿とさせるような不気味な形のそれは、脈打つように跳ねながら、ゼルダの口内に甘い汁を垂れ流していた。
精を放つが如く膨らんでは弾け、その度にゼルダの喉は苦しそうに上下する。粘り気のある、甘く脳を融かすようなその液体に、彼女の理性は蝕まれていった。
「……ぷはっ……!」
ようやく離されたそれから顔を逸らし、彼女は懸命に呼吸する。
足りなくなった酸素を補うように大口を開けて。口内に張り付いた粘液を、とにかく吐き出そうとしながら。
そんな彼女の口に向けて、別の触手が伸び始める。先程のと同様に、やけに鮮やかな桃色に染まったそれが、彼女の艶やかな口の中に潜り込もうと小さく唸った。
「……っ!!」
それにゼルダは顔をしかめる。そうして、ぎゅっと自らの口を閉めた。もう誰も立ち入らせんとするかのように、必死に歯を食いしばった。
桃色のそれは、名残惜しそうに彼女の唇を撫でるけれど。それでも彼女は、口を開かない。頑なに閉じて、二度目の侵入を断固拒否した。
触手は、悲しそうに彼女の顔から離れていく。唇と触手が粘液の細い橋を描き、それが儚くも途切れていった。
ようやく離れた。
その事実を前に、ゼルダはほっと一息つくも。
束の間。唐突に、彼女の肛門が抉じ開けられる。
「ひぐっ……!?」
見れば、先程視界から消えたあの桃色の触手が、仕方ないと言わんばかりに彼女の肛門へと潜り込んでいた。
先が入り口に入り込み、ギチギチと音を立てながら、奥へ奥へと侵入する。
「やっ、やめっ……あぁっ!」
必死に肛門に力を入れても、ぬめぬめと全身を滴らせるそれを抑えることはできなかった。
入り口を貫いたそれは、いとも簡単に彼女の中に入り込む。そうして、肛門を撫でるに飽き足らず、奥の方へと直進した。彼女の直腸の中に、太いそれが入り込んでいく。
「あっ、いやぁ……」
ごつごつと。腸壁に何度もぶつかりながら、それは彼女の体内を掻き回した。
あの表面にまとわりついた粘液が、彼女の腸に塗りたくられる感覚。奇妙な温かさが腹の内側に刻まれて、その度に彼女の背筋はぞくぞくと嫌な感覚を走らせる。
それでも触手は、止まらない。大腸をも貫いて、彼女の小腸に滑り込んだ。
「いっ……痛いっ、痛いです……っ!!」
彼女の小腸を、触手は無理矢理広げていく。その度に激痛が走り、少女は押し殺したような悲鳴を上げた。
見れば、少女の腹は奇妙な形で腫れ上がっている。中に蟲でも詰まっているかのように、不気味な膨らみを描いていた。あの美しいラインは、今や見る影もない。
「うっ……うそ……!?」
そのまま直進し続けた触手は、とうとう彼女の胃へと辿り着いた。中身が逆流する感覚に彼女は悶絶し、思わずその感覚を疑った。
しかし、胃へと辿り着いたことは何ら事実と変わりなく。触手は、ただ機械的に彼女の胃の中で体液を散乱させた。先程口に入れようとしたものを、彼女の胃の中に直接放射した。
「うあっ……なに、を……っ!!」
口に入れられたあの甘い蜜。おそらく、それと同じものだろう。
口から入れるのを拒むならば、肛門から直接胃に入れてしまおう。そんな、ガノンの強い意志をゼルダは感じた。
どうしてこれを自分に飲ませようとするのか。
この粘液は、どうしてここまで甘いのか。
「……栄、養……?」
ゼルダは考える。
この液体は、自らを生かすための栄養分なのではないかと。
私の体を生きながらえさせるための、栄養源なのではないかと。
ようやく噴射をやめて、彼女の中で暴れ回っていた触手は大人しく脱出をし始めた。
その度に腸が擦れるが、胃にこびりついた粘液の不快感の前では、もはやそれもどうでもよくて。
ただ、ゼルダは虚ろな目で思う。頭によぎった一抹の不安を、どうしようもなく受け止める。
「……あっ……」
あまりの感覚に、彼女の全身からは再び汗が噴き出ていた。続くように大量の触手が飛び出して、それを荒々しく舐め取っていく。
口内に再び潜るものもいた。それぞれが独特のぬめりをもって、彼女の舌に自らの舌を絡ませていく。頬を、口蓋垂をもしゃぶり尽くす。
湿った秘部は大きな舌で舐めとられ、肛門も構わず吸い上げられて。
終いには、彼女の乳房だ。健康的に発達したその果実を、大量の触手が持ち上げる。柔らかさを証明するが如く形を揺らすそれに、今度は別の触手が牙を剥いた。
見た目は掌のようだが、その指と指の間には水かきのようなものがあって。掌の中央にある口からは、細い触手が何本も顔を出していて。
その細いものが、まず彼女の乳首へと絡む。
「……んっ」
先日、さらに細い触手に乳腺を弄られ、その上謎の液体を注入されて。
それ以降、彼女の体は変異してしまった。妊娠もしていないというのに、彼女の母乳が溢れ出すようになったのだ。
乳首をつねられて、その先からは白いミルクが零れ出した。ポタポタと垂れたものを、他の触手がありつこうと暴れ狂う。一方で掌のようなそれは、悠然と彼女の果実に近付いて、ゆっくりとその全てを咥え込んだ。
「あん……っ」
そのねっとりとした仕草に、ゼルダは思わず声を上げる。
それが昂ぶらせたのか、掌は態度を一変。激しく、彼女の乳房を揉みしだき始めた。
「あっ、あぁっ……いやっ、やめて……っ」
思わず持ち上がった肩を震わせて。ゼルダは必死に逃げようとするが――。
彼女の果実は、ハイリア人サイズの掌ではやや手が余る。しかし触手は、その果実を全て咥えた上で、さらに細い触手で巻き上げた上で。激しく、それを揉んだ。その度に果実は震え、波打って、そしてその中に貯めた母乳を吐き出していく。
くちゅくちゅと嫌な音を立てながら、触手は彼女のミルクを搾り上げ続けた。さぞ美味そうに、吸い上げた。
「……そんな、そんなのって」
彼女は、確信する。
自らが今、ガノンの餌となっていることを。
そして同時に、自分にとってもガノンが餌となっていることを。
ガノンは彼女から体液を絞り出して、封印の力を奪おうとすると同時に、その栄養を吸い取って活動している。
では、ゼルダは?
「こんなの……認めたくない……っ」
彼女もそうだった。
ゼルダから甘い蜜を吸ったガノンは、それを吸収した後に自らの体液を生成する。自身の魔力も加えたそれは、栄養素に満ち溢れた極上のものだ。そして、今度はそれをゼルダの中に垂れ流すのである。
このようにゼルダに栄養を届け、再び彼女を潤してから。
ガノンは、彼女の体を搾り上げる。出来立ての蜜を味わうかのように、彼女の力をゆっくり吸い上げるのだ。
――――そうして、いつか彼女の体が、ガノンなくては生きられなくなるように。
ガノンは、彼女の体を作り変えようとしていた。
そんな、互いに食い合う日々がしばらく続いた頃。
ガノンを封印し続けるために寝ることを許されず、そして絶え間ない凌辱が続いて眠ることもできなかったゼルダに、さらなる苦難が待ち受けていた。
「……あ……?」
全身に纏わりつく、白濁した液体。独特の臭みが伴う、悍ましい感触。生々しい苦味に、彼女は顔を歪ませていた。
あれから何度も全身をしゃぶられて、その後に体の中に甘い粘液を入れられて。
それとは別に、白濁した液体を口内、肛門、そして子宮の中へと注がれる。
そんなローテーションに、彼女の心に大きな罅が走り始めた頃だった。
ここ最近、ハイラルの魔物の数が減少している。
ガノンがこの城に封じられている今、奴は外に向けて大きな力を行使することができない。力の大元が塞がれた今、魔物の勢力も緩やかになりつつあった。そして、ガノンの脅威が抑えられた結果、人々の力が蓄えられつつあったのだ。
その結果、各地の集落は活性化し、魔物の侵入を容易く拒めるほどまで発展した。旅人として魔物と戦いながら、各地を転々とする者もまで少しずつ増加している。
大厄災復活からかなりの時間が経過したものの、今はそのようなパワーバランスへと少しずつ変わっていったのだ。
ガノンは、これをよしとしない。減り始めた魔物を、なんとか補わなければならない。そう考えるようになった。
どうやって魔物を増やすか?
死んだ魔物は、魂が残留する。
故に、肉体さえあればどうとでもなる。
ではその肉をどうやって用意するか?
――――丁度良いものが、今目の前にあるではないか。
「……な、何、を……」
その触手の動きは、いつもとは違った。
細かな触手に全身を舐め上げられるのではなく、太く大きな触手に自分の手足を持ち上げられる。
そうして引き上げられるままに立たされた彼女だったが、それにも留まらず彼女の体は宙に浮いた。
「……っ」
小さく、彼女は息を呑む。
背後から近付いてきた大きな影に、その細い喉を震わせる。
これまで全身を凌辱してきたものよりも、さらに大きな触手。それらを湛えた肉壁が、今彼女の背後にまでせり上がってきていた。
抵抗する声も出ないままに、彼女の体はそれに絡み取られる。
そのまま肉壁に背中を押し付けられて、手足を、脇を、そして腹までも雁字搦めにされてしまう。
「……えっ……なに、それ……」
現れたのは、これまでのどの触手よりも、男性器に酷似した触手だった。
百年に一人生まれる、男性のゲルド族。まだ自らの肉体が在った頃を、無意識的にイメージしたのだろうか。しかし生前のものよりも数倍は大きく反り立ったそれに、ゼルダは頬を引き攣らせる。
王家に生まれ、乳母に育てられた彼女は、この十七年とガノンとの時間の中で、ただの一回も男性器を見たことがなかった。学術書での記述をたまたま目に通したくらいで、本物を見たことはなかったのである。
いや、これを本物と呼ぶには、あまりにも桁が外れているが。しかし、今までで一番男性器らしいそれに、少女は本能的に戦慄した。
形こそ男性器のものだが、所詮は触手の一つである。その一つ一つが、ゲルド族のそれとは比べ物にならないほどに悍ましい。
表面をびっしりと覆う小さな触手。イボ状に広がったそれが、うねうねと小さく蠢いている。サイズも彼女のふくらはぎほどはあるのではというほどに巨大で、先からは白い湯気のようなものを滲ませている。
明らかに、ハイリア人には過剰すぎるそのひと振りを。
ガノンは無慈悲に、ゼルダの秘裂へと押しやった。
絶望の色に染まる、彼女の温かな花びらへと擦り付けた。
「……やだ、やだやだやだ……! そんなっそんなの無理だよっ、入る訳っ……い"っ!」
ミチっと嫌な音が響く。
ゼルダの秘裂を無理矢理裂いて、ガノンのそれが侵入を試みる。
彼女の心を折るためのものではない。
正真正銘、彼女を孕ませるためだけのものが、今その牙を剥いた。
「うそ、うそうそうそ……だめっ、ダメっ! ダメぇ――――っっ!!」
ばちゅん。なんていう、滴った肉の跳ねる音が木霊した。
一瞬で奥まで貫かれた音か。それとも、柔らかな膣が悲鳴を上げた音か。
いずれにせよ、その触手はゼルダの中に入り込んだ。裂けかねないほど太いそれが、我が物顔で彼女の内部を擦り始めた。
「……っ!! ッッッ!!!」
もはや、悲鳴も声にすらならない。
敏感な部分を拡張される痛みと、襞の一つ一つに絡みつくイボの身の毛もよだつ感触。そして、緩くなった子宮口を突き上げる、重い肉の衝撃。
それらが相まって、ゼルダはもはや絶叫することもできなかった。
ガノンは、構わず触手を繰り続ける。
奥の奥までその巨根を押し付けた後、秘裂付近まで引き上げ、さらにはそこで激しく横に擦り付ける。かと思えば再び奥まで貫いて、その度にゼルダが仰け反って。
この時ばかりは、ガノンは本能に赴くままに腰を振った。生前の頃を失った脳で思い描きながら、ただひたすらにゼルダと肉を絡ませた。
抜いて、差して、また引き上げて、再び奥まで突き入れて。
その間僅か数秒足らずを、絶え間なく、それもかなりの時間し続ける。
声も出ないゼルダはただひたすら耐えることしかできず、手放しそうになる意識を必死に掴んでいた。ガノンの意図も知る由もなく。これがただの凌辱ではないと、気付くこともなく。
「……っあっ!!」
不意に、下腹部のさらなる膨張を感じた。
はち切れんばかりに膨れ上がった一物の感覚に、彼女はぞっと悪寒を覚える。
しかし背後には肉の壁。手足も太く強靭な触手に絡めとられ、微動だにすることも叶わない。ただ、備え付けられた肉壺のように、彼女は触手が弾けるのを待つしかなかった。
「……もう、やめてっ……お願い……っ」
泣き腫らした目をぎゅっと瞑って、少女はそう願う。
あまりの痛みに抵抗する意思も絶え、幼い子どものようにすすり泣いた。
「あっ……あっ……いや、いやぁ……」
いよいよ弾けんとさらに速度を上げた腰使いに、少女は泣きながら顔を歪ませて――――。
「…………っっっ!!」
腹の奥で解き放たれる、熱い奔流に絶頂した。
貯めた全てを吐き出した触手は、余韻を楽しむように少女からその身を引こうとしない。吐き出す口と、彼女の子宮の口を、接吻の如く擦り付けて。その中に、熱い精液を注ぎ込む。
その排出のあまりの勢いに、彼女の腹は圧迫され、まるでポンプのように跳ねた。腹の肉は押し上げられ、少しずつ膨張をし始める。妊婦さながらに腫れ上がる自分の腹と、そこからくるこの世のものとは思えない痛みに、ゼルダはただひたすら歯と歯を打ち鳴らした。
拡張される子宮。されど、それでもなお子種は入り切らないほどの、大量の射精。触手の先から飛び出したものの、子宮の中に入れずに押し退けられてしまったものは少なくない。それらは仕方なく、触手と膣壁を無理矢理押し退けて、彼女の秘裂から外へと飛び出した。
これまでのものより、さらに色の濃く、そして粘り気の強いそれが、放物線を描いていく。それがゼルダの下に、まるで沼のような液溜まりを形成した。
「……あっ、あぁ……」
もはや光を失ったかのように、彼女は儚い声を上げる。明滅を繰り返す意識の向こうで、自らの下にできる悍ましい沼を見た。
沼が、ぴちゃぴちゃと飛び跳ねている。白い何かが、陸に上げられた魚のように飛び跳ねている。
「……え……なに、あれ……」
そこにあったのは、ただ粘り気の強くなっただけのガノンの体液──では、なかった。
さながらメダカほどの、小さな何かが無数に散らばっている。そのどれもが活発に飛び跳ねて、その沼を震わせている。
「うそ……あれ……って……」
学術書で読んだ限りでは、男性の精子と女性の卵子が重ね合うことで受精が成る、なんて。そんな知識程度を持ち合わせていた彼女だったが、それは細胞であるために、視認はできないものだと考えていた。
しかし今、沼の中で飛び跳ねるものは。彼女の胎内で、跳ねるように暴れ狂う感覚は。これが、ガノンから放たれる本当の精なのでは、と。ゼルダはそんなことを予感する。
「うっ……かはっ……」
あまりの拒否感に、ゼルダはえずいた。えずいて、胃の中に溜まった白い液体を逆流させる。
口から零れ落ちたものは、今彼女の胎内を満たすものよりもあっさりとしていて、跳ね回るなんてことはなかった。そう思えば思うほど、彼女の中の拒否感は肥大する。
そんな少女の姿を嘲笑うかのように、ガノンは低い唸り声を上げるのだった。
放出した後に、抜かれることもなく、ただ栓を閉めるように子宮口を塞ぐ触手。
その子宮の中で、不気味な感覚が走る。
まるで、まるで自分のお腹の中に、自分ではない別の何かが蠢いているような。
そんな悍ましい感覚に、ゼルダはただ震えるしかなかった。