※この作品はR-18です。

オバロリ   作:ラゼ

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皆様感想ありがとうございます。やる気がでます。


3話

 ローブル聖王国、首都『ホバンス』。その都市の一角にて、聖騎士の女性と、聖騎士見習いの少女が剣を交わしていた。当然のごとく劣勢は少女であったが、しかし見るものが見れば驚愕で声を上げただろう。

 

 聖騎士の方は、ローブル聖王国の中でも上位に当たる猛者だ。そんな彼女と曲がりなりにも『戦い』と言えるレベルで模擬戦を繰り広げているのである。それが単なる訓練生ともなれば、その若さも相まって将来を有望視されることに疑いはない。

 

「驚いた…! どうしたの、ネイア。数日で見違えたじゃない。いったい何があったの? 母さん、びっくりしたよ」

「えへへ…」

「むぅ…」

 

 見習いには似つかわしくない、魔法の力を秘めた剣を鞘に戻し、少女──ネイア・バラハははにかんだ。剣の道を目指すことを褒められても、剣の腕そのものを褒められたことはなかったのだから、嬉しさもひとしおといったところだろう。数日前とはまるで別物になったその力を、憧れの象徴である母親から褒められ、ネイアは誇らしげに胸を張った。

 

 そんな彼女の様子を不満げに見つめるのは、二人の戦いを見学していたネイアの父『パベル・バラハ』だ。間違いなく弓の適性があった娘が、数週間ほど家を離れていた内に剣に熟れていたのだ。威厳ある父親として、娘に弓のなんたるかを教授するという妄想が崩れ去ったのだから、彼の不機嫌も仕方のないことかもしれない。

 

「お母さんとお父さんがいない時にね、稽古をつけてくれた人がいたの。すっごく強くて、教え方も上手で……それで強くなったの!」

「へぇ…! にしても、ちょっと信じられないくらいの成長だよ。どこの誰か知らないけど、教導官に打診したいくらいだねぇ。どんな人なんだい?」

「うん、ちょっと珍しい名前で……ウン=エイさんって言うんだ。凄く立派な聖騎士って感じの人でね…!」

「──ウン=エイだと?」

「あら、知ってるの? あなた」

「うむ……前線は情報が早いからな。いや、しかしこの国に居るとは思えんが。そもそも存在自体少し疑わしいというか…」

「エイさんのこと知ってるの? ねぇ、聞かせて! エイさん、あんまり自分のこと話してくれなかったの」

「いや、正直眉唾ものの話ばかりでな。単なる噂でしかないと思っていたんだが……ううむ」

「どんな噂なんだい?」

「信じられん話ばかりだ。竜王国に急に現れた英雄だの、十万を超えるビーストマンを屠っただの……最強の剣士だと言う者もいれば、信じられん威力の魔法を使う詠唱者だという話もある。胡散臭い噂だが、しかし竜王国が窮状を脱したというのは事実らしくてな」

「ふぅん…? どうなんだい? ネイア」

「うん、絶対同じ人だよ! 剣の腕も凄かったのに、転移の魔法も使ってたもん。エイさん、そんな凄い人だったんだ…! わぁ、わぁ…! 私、そんな人と──」

「…っ!? 待ちなさい、ネイア。『そんな人』と……なんだ? 何があった?」

「えっ? う、ううん。なんでもない。そんな人に教わったんだな、って思っただけ!」

 

 娘の変化に目ざとく気付いた父親が、殺し屋のような目を更に鋭くさせる。まさに視線だけで人が殺せそうな瞳だ。誰が見てもネイアの父親だと言うことが丸わかりな、遺伝子の妙である。

 

 そんな父親の追及を躱しながら、ネイアはプレゼントとして貰った剣を抱きしめる。これは間違いなく君が持つべき剣だ──と、微笑みながら渡してくれた瞬間を脳裏に浮かべ、頬を染めた。そしてその様子を見て、更に怒気を強めるパベル。溺愛している娘にいったい何をしてくれたのかと、両手をボキボキと鳴らし始めた。クスクスと母親が笑い、娘が慌てて父親を諌める。

 

 ──とある三人家族の、そんな日常であった。ちなみにネイアが持つ剣の名前は『アルティメイト・ツヴァイヘンダー・スーパー』……とある弓の同シリーズ武器である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 元漆黒聖典、現ズーラーノーン所属であるクレマンティーヌは、己の悪癖に対しこれ以上ないほど後悔していた。先日エイに警告された彼女は、苛つきながらもその助言をしかと受け入れた。ふざけた言動を繰り返すふざけた男であっても、その実力は本物なのだ。ならばその言葉を軽々と扱うほど、クレマンティーヌは愚かではなかった。

 

 しかし行動そのものを止めるには、彼女を取り巻く事情が許さなかったのだ。そもそもクレマンティーヌは、いくら嗜虐趣味であったとしても、わざわざ街を滅ぼすような面倒事を計画する人物ではない。ならば何故か──その理由は“元”漆黒聖典という部分に集約される。

 

 国の暗部から抜け出した彼女を抹殺せんと、風花聖典が追手をかけているのだ。とはいっても、追われる最大の理由は国の秘宝を盗み出したという一点に尽きるため、まさに自業自得だ。

 

 人が移動すれば、どう気をつけようとも痕跡が残る。そして探索に特化した風花聖典は、どんな小さな痕跡も見逃さない。一時を逃れたとしても、いずれ捕捉されるのは自明の理であった。だからこそ必要なことは、足跡の完全な抹消だ。

 

 彼女は追手を完全に撒くため、エ・ランテルを死の街に変えんとする同僚へ手を貸したのだ。街がアンデッドの巣窟になってしまえば、いかに風花聖典といえども追跡は困難を極める。そんな目論見を持って行動していたのだが、クレマンティーヌはエイとの邂逅により予定を少しばかり変更していた。

 

 『プレイヤーがいる』と警告してきた意味を考えれば、取るべき選択肢は限られる。きっとそのプレイヤーは騒動を解決するのだろう。それはきっと予定調和で、街の壊滅は期待できる状態ではないのだろう。しかしそれなりの規模の騒動にはなる筈だ、とクレマンティーヌは考えた。

 

 彼女はもともと計画の半ばまでは墓地にいる心算であったが、それを変更し、計画のキーパーソン──『ンフィーレア・バレアレ』を誘拐した後、騒動の開始と同時に逃走を開始することに決めたのだ。

 

 騒動の大元は墓地故に、解決する者がいればそちらに向かうだろう……そう考えて。風花聖典もアンデッドを完全に無視はできない以上、逃走成功の確率は低くない。『これならぷれいやーが居たところで問題はないだろう』と計画を進めた彼女であったが、結果だけを見れば無駄な足掻きだったのだろう。

 

 全てが中途半端だった。やめるのならすっぱりとやめるべきであった。一応殺しは控えておこうと、誘拐の際に一戦交えた冒険者に情けをかけるのなら、温情を貫くべきであった。ハンティングトロフィーである『冒険者プレート』だけは頂こう──そんな色気を出してしまったが故に《ロケート・オブジェクト/物体発見》を使用したプレイヤーに追いつかれる羽目になったのだ。

 

(まずいまずいまずい…! くそ、間違いなくぷれいやーだよな…? 戦闘は悪手──つっても逃走も厳しい、か)

「どうした? あれだけのことをやらかした割には、随分と大人しいじゃないか」

「…プレートは返すからさ、見逃してくんない? 実行犯はカジッちゃんだしー、そこまで悪いことしてないよー?」

「無理な相談だな」

「…ちっ」

 

 エ・ランテルからかなり距離を稼いだというのに、追いつかれた事実。それは標的を捕捉し、容易に距離を縮める手段があるということに他ならない。彼女にとって『ぷれいやー』とは『神に等しい実力を持つ者』という認識だ。番外席次という別格の存在が知識にあるクレマンティーヌにとって、それを超える実力を有しているであろう人物との戦闘はありえない。選択肢にもならない愚かな一手だろう。

 

 故にここを逃れたくば、詭弁を弄する以外にない。しかしにべもなく、取り付く島もない様子に彼女は忌々しげに舌打ちをする。他に何かないかと、思考に隙を見せたその瞬間──彼女は閃光に貫かれた。

 

「ガッ…!?」

「モモンさ──んに舌打ちをするとは、身の程をわきまえなさい下等生物。そもそもこれだけ手を煩わせただけでも万死に値すると言うのに、こともあろうか見逃せなどと──」

「ナーベ。そこまでにしておけ」

「──はっ!」

 

 まさにゴミ虫を見るような目。ナーベと呼ばれた魔法詠唱者の瞳を見て、体中の痛みを忘れるほど怒りを覚えたクレマンティーヌ。しかし実力差は如何ともし難く、そもそも既に抗うほどの体力が残っていない。

 

 たった一つの魔法で勝負がついたことに、やはりぷれいやーかと歯を軋ませる。せめて負け惜しみでも、負け犬の遠吠えでも、なんでもいいから一矢報いたい。彼女は自身の命よりも、目の前の敵の顔が歪む様を見たかった。

 

 ──けれど現実は残酷で、目の前の男は虫が何を言おうとまったく気にしないだろうと、クレマンティーヌにはなんとなく理解できてしまった。それでも自身が英雄級であるという自負、あるいは矜持ゆえか、痺れの残る体を鞭打って立ち上がる。

 

「ほう。ナーベの一撃を食らって立つとはな……今までで一番レベルが高いか…? どうせなら持ち帰るのもアリか……ふむ」

「どうされますか?」

 

 そんな彼女の必死の行動も、彼らにとっては珍しい虫を見つけた程度にしか映らない。それがどうしようもなく悔しくて、腹立たしくて、クレマンティーヌは怒りのあまり奥歯を噛み砕いた。ガギリと耳障りの悪い音が響く。

 

(なにか、なにか……なにかないか? あいつらがちょっとでも悔しがるなにか……──っ! そうだ、アイツ……ぷれいやーを管理してるって言ってた……ほんとかどうかなんて解らないけど…)

「クレマンティーヌ、だったか。服従を誓うというなら、今すぐには殺さないでいてやるが……どうする?」

「はっ…! なんか調子に乗ってるねー。自分が絶対だって信じてるその態度……クソむかつく」

「少なくともお前程度になら、絶対の力だと思うがな。それより返答を聞かせてもらおうか」

「…たかがいち『ぷれいやー』が……調子に乗ってるって……アイツが知ったら、どうなるかな。くひっ…!」

 

 ぷれいやーに対してこのような言葉を吐いたと知れば、法国の上層部は『何をしてくれたのだ』と憤るだろう。そんな光景が手に取るように浮かび、クレマンティーヌは状況も忘れて口を歪める。しかし男にとっては予想外の言葉だったのか、驚きを露わにする様子に、彼女は少しだけ溜飲を下げた。

 

「…っ! …その単語はどこで知った? 『アイツ』とは誰のことだ。返答によっては、地獄すら生温いと感じる場所へ──」

「私ってさぁ! …『うんえい』のお気に入りなんだよねー。こんな目に合わされたって『うんえい』が知ったら……どうなるかなー? くふ、くひゃっ」

「なっ…!?」

「あ、あの、モモンさ──ん? どうされましたか? あの下等生物の言動が不愉快でしたら、すぐに消しますが…?」

「ま、待て!」

 

 蜘蛛の糸を掴んだ、とクレマンティーヌは口元を歪める。まさか男の言葉が事実だったとはと、驚きと共に喜悦が混じる。生き延びるためには頭を垂れる必要があり、しかし彼女はその選択肢を選ぶような性格を持ち合わせていない。故に完全に詰みの筈だった彼我の関係──それが覆され、彼等の立場は揺蕩い、対等な交渉の余地が生まれた。

 

「じゃあ──ちょっとお話しましょうか? くくっ」

「…そう、だな。そうするとしようか」

 

 ──かくして狂人と死の支配者の交渉が始まった。それがどこに向かっていくのかは、まさに神のみぞ知るといったところだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …はっ! なんかクレマンちゃんが危険な目にあってるような気がする。いや、気のせいかな? あれだけ警告したんだから、まさかプレイヤーに喧嘩を売る真似はしないだろう。何とも言えない嫌な予感を振り払い、僕は目の前の敵に向き直った。

 

「──〈次元断切〉」

「うおっ…!? ほんとにすげえな、エイの旦那」

「そりゃあ勘違いだぜ、ヘッケラン。僕が凄いんじゃなくて、僕が使う技が凄いのさ」

「同じことでは…?」

「ノンノン、同じようで全然違うんだよ。ロバーデイク」

 

 なんせプレイヤースキルで言えば初心者と大して変わんないからね。管理者権限がなけりゃ話にならないお粗末さだ。まあそんなとこまで話すつもりはないけど。

 

 ん? いったい何をしているのかって? なにってそりゃあ、未踏破の遺跡を『フォーサイト』の面々と一緒に攻略してるのさ。もっと言えば、アルシェちゃんの未踏破オマンコを攻略するために行動してるのさ。

 

 ここまで持ってくるのは結構苦労したぜ。まずトブの森の中域にダンジョンを作ってさ。そんでそれとなく噂を流して、欲に目のくらんだワーカーに探索させたんだよ。そして彼等を無事に帰せば、一攫千金の夢を掴んで悠々自適に引退したワーカーさんが一組、出来上がるじゃん?

 

 しかも途中で引き返してそれだ。奥にはまだまだ価値のあるお宝が眠っている可能性もある──あるが、彼等は身の程を弁えた優秀なワーカーだった。既に孫の代まで遊んで暮らせる大金を手に入れたのだから、奥まで進む必要性はないと帰還したのだ。

 

 大金は人を惑わせる……が、それが馬鹿げた金額ともなると別のものが生まれる。“余裕”だ。もうあくせく働く必要もなければ、危険に身を置く必要もない。そんな環境を手に入れた彼等は、幸せをお裾分けすることにも寛容だった。

 

 ワーカーとしては中々のお人好しである『フォーサイト』。そのチームの一人が金に困っていると聞けば、金を恵む程ではなくとも、ダンジョンの情報を教えてやる程度に恩を受けたことがある──まあそんなワーカーを僕が選んだわけだけど。

 

 かくしてフォーサイトは秘密のダンジョンを目指し、トブの森へ向かった。そして僕はアルシェちゃんのケツを追ったわけだ。ちなみにダンジョンは森の東の方……二次創作に出てきてはすぐ殺されちゃう系トロール『グ』さんの住処から、そう離れていない場所へ作った。

 

 人間種以外には探知されないように設定してあるから、変に荒らされることもない。しかしそこを目指す人間まで気付かないわけもなく、フォーサイトはものの見事に捕捉された。彼等のレベルでは『グ』の打倒どころか、逃走すら難しいだろう。

 

 よく雑魚描写される『グ』さんだが、仲間の存在を加味すればガゼフでも死は免れない強さを持っているのだ。ミスリル級程度のフォーサイトには厳しい相手だろう。

 

 唯一『グ』に再生不可能なダメージを与えられるアルシェちゃん。彼女が優先的に狙われるのは当然で、それを必死に妨害するヘッケランやイミーナちゃん……それを援護するロバーデイク。

 

 しかし奮戦むなしく、凶刃に倒れ伏す仲間たち。『空を飛んで逃げろ』と叫ぶ仲間に、涙を零しながら首を横に振るアルシェちゃん。嗤いながら毒の滴る剣を振りかぶる『グ』さん──そんなところに危機一髪で駆けつけた僕。まあ見計らってただけだけども。

 

 イケメンナイトよろしく、わざわざ彼女を抱きしめて、片手で大上段からの一撃を受けとめた。その後はお決まりの虐殺フルコースだ。取り巻きのトロールを首チョンパして、再生する前に六位階の魔法で焼いた。

 

 ちなみに今の職業構成は戦士よりの神官魔法剣士である。ユグドラシル基準で言うと中位職だけで構成されたゴミっぷりだ。でもあんまり高位階を使用できちゃうと、アルシェちゃんが『おげぇぇ!!』しちゃう可能性があったからさ。気遣いの出来る男ってやつだ。

 

 なら戦士職だけでよかったんじゃないかって? いやいやなに言ってんの。彼女より高位階の魔法が使えるという事実は、命の恩人というのも相まって好感度をアップさせるのに一役買ってんのよ。ついでに回復も使えると恩を着せやすいし。

 

 ことが終わった後、しきりに感謝される僕。うーん、なんとも心地良いじゃないか。セックスとはまた違った気持ちよさだ。しかしきっとアルシェちゃんの穴には敵わないことだろう。会話する内に目指す場所が同じだったと互いに知った僕らは、仲良しこよしでダンジョンへ侵入したってわけだ。

 

 彼等も彼等で、ある程度の打算はあったのだろう。自分たち以外の人間がダンジョンを目指しているという事実は、既に情報が漏洩しているということに他ならない。つまり時間をおけばおくほど宝を得る可能性が低くなるということだ。普通に考えれば、これだけ消耗したチームが一度引き返さない道理はない。

 

 しかしその間に他の冒険者やワーカーが大挙し、めぼしいものを全て持っていかれては全てがおじゃんだ。だからこそ、対価もなしに救ってくれた僕と一緒に進むことにしたのだろう。不測の自体に陥ってもなんとかしてくれると見越して、危険を推して進むべしと。

 

 強かだが、そういうのは嫌いじゃない。それに出来うる限りは自分たちでどうにかするという意思は感じるし、どうやって恩を返そうかという逡巡も伝わってくる。良いやつらじゃあないか。正直イミーナちゃんとも寝取りックスしたいと思いました。しないけど。

 

「情報ではこの辺りで引き返したらしいが……どうだ? イミーナ」

「罠の気配はないわね。それも情報の通りだけど…」

「いったいなんのために作られたんでしょうかね。通路にも複雑さはない……話によれば、そこかしこに貴重な品が置かれていたんでしょう? 目的が一切読めませんね」

「…不思議」

 

 まあオマンコ目的のダンジョンとか意味不明すぎてわけ解んないよね。とはいえ、もう少し進めばダンジョンの良さはきっと解ってくれるさ。なんせこれでも『運営』だ。確かに転生者という前提はあるけど、ユグドラシルという世界をおもしろくおかしくするために邁進してきた事実は確かにあるんだ。不純な目的があるとはいえ、マップ構築に手は抜かない。まあそのせいでクソ運営クソ運営言われてたわけだが。

 

 よーし、そろそろだ。イミーナちゃん程度のレンジャー能力では察知できない罠。それとなくアルシェちゃんの傍に寄って、と。トラップカード発動! 

 

「なっ…!?」

「ロバー!」

「イミーナ! ヘッケラン!」

「ぐおっ…!?」

 

 わりとよくある転移罠。とはいえこの世界ではまずありえないトラップに、見事分断されるフォーサイトの面々。イミーナとヘッケラン、僕とアルシェちゃん、そしてロバーデイク。周囲が光に染まり、それぞれ設定された場所へ飛ばされていく。

 

「大丈夫かい? アルシェちゃん」

「あ……うん、ありがとう。ここは…?」

「入り口は一つだけ、か。わざわざ転移トラップなんて仕込んでたんだ。ただの部屋じゃないと思うけど……ん? っと、この部屋全体に転移阻害がかけられてるな」

「…みんなが心配」

「ああ、とりあえず部屋を出ようか。危ないから僕の後ろにね」

 

 こくりと申し訳なさそうに頷くアルシェちゃん。いやいや、気にしないでおくれよ。どっちにしてもこの扉は開かないからさ。用心する振りをして扉を調べ、開かないことを見せつける。次元断切まで使用して見せるも、そもそも破壊不能オブジェクトに指定してあるため、傷一つ付かない結果に終わる。

 

「固いな……なにか特殊な条件が必要なのか? ふーむ…」

「あ……扉の上、何か書いてある」

「ん? ああ、気付かなかったな。なになに……あ、僕こっちの国の字は読めないんだった」

「字が読めないの?」

「…だね。おいおい、そんな目で見るなよアルシェちゃん。自分の国の字はちゃんと読めるってば」

「気のせい。考え過ぎ」

「そうかなー? なんかちょっと嬉しそうな雰囲気感じるけどなー」

「気のせい」

 

 やっと役に立てることが嬉しいのか、どことなく雰囲気が緩んだアルシェちゃん。可愛い。少し掠れ気味で、読みにくい文字を目を細めて睨んでいる。視線が左から右にすいっと移り、問題なく読み終えたことがうかがえる。

 

 さあどうしたんだいアルシェちゃん。何が書いてあったか教えてくれよアルシェちゃん。きっとこの部屋を出る条件が書かれていたんだろう? アルシェちゃん。さあ、さあ、さあ、顔を赤くしてないでさっさと口に出してくれたまえよ。

 

「なんて書いてあったんだい? 部屋の名前か、それとも開けるための条件かなにかだと思うんだけど…」

「…っ、ぅ、え、えっと…」

「アルシェちゃん?」

 

 怪訝な表情をつくる。いやたぶんつくれてない気がするけど、彼女も動揺しまくってるから気付いてないな、うん。真っ赤な表情で狼狽えるアルシェちゃんほんと可愛い。ほらほら、悪足掻きはよすんだ。なんて書いてあるのかなー?

 

「あ、あの…」

「うん?」

「セ……『セックスしないと出られない部屋』と……か、書いてある」

「…」

「…」

「アルシェちゃんってそういう冗談言うんだ…? なんというか、意外というか…」

「ほ、本当! 本当に書いてある!」

「いや、常識的に考えてそんな部屋があるわけないだろ……ひょっとして僕、馬鹿にされてるのかい?」

「ち、違う…!」

 

 まあ彼女も自分の言っていることが意味不明という自覚はあるのだろう。『字の読めない男をからかっている』という疑いを晴らそうと必死だ。そんな彼女の様子に、ふっと微笑む。

 

「ま、アルシェちゃんが良い娘だってのはわかってるよ。だからここが『セックスしないと出られない部屋』ってのは信じるけど……それはそれでどうしたもんか…」

「っ…! あ、あぅ…」

「試せるものは全部試したし、後はなにか仕掛けを探すくらいしか出来ることはないけど……僕もアルシェちゃんもそういう技能ないしなぁ」

「あ、あの…」

 

 仕方ないかなぁ。これは仕方ないかなぁ。うん、仕方ないよな。どうしたのアルシェちゃん? ああ、仲間が心配だから早くここを出たいって? でもここセックスしないと出られない部屋だよ? どうするの?

 

 えっ? オマンコしていいんですかやったー! 実はさアルシェちゃん、初めて会ったときから可愛いと思ってたんだよ。え? お世辞はいらないって? いやいやほんと可愛いって。セックスしなきゃならないから言ってるんじゃなくて、本心からだよ。

 

「とても申し訳ないんだけどさ、アルシェちゃん」

「な、なに?」

「こんな状況になって、実はものすごく嬉しいです」

「──は、はわっ…」

 

 よーし、和姦成立だ。今頃イミーナとヘッケランもよろしくやってるだろうし、僕達も楽しもうぜ。ロバー? あいつの部屋にはオナホを置いておいたから問題ないさ。男であれば、たとえ知識がなくともそれがチンポを突っ込むモノだと理解してくれるだろう。

 

「──は、ぁ……んっ」

「おやぁ? なんでする前から濡れてるのかな…? もしかしてアルシェちゃん、ずっと期待してたのかい?」

「…! ち、ちがっ──はひゃぅ!?」

「こんな良い締め付けで違うなんて言われてもね。もしかして、オナニー好きなの?」

 

 耳まで真っ赤だ。ほうほう、原作の裏ではオナニーっ娘だったのかアルシェちゃん。まあ常にストレス過多な生活だったろうし、どこかしらで発散しなければ人間壊れるからね。彼女の場合はそれがオナニーだったと。

 

 なるほど、Webの方では尻尾を付けられて悦んでたけど……元々その素養があったわけか。シャルティア嬢のお気に入りになるわけだ、うん。となると俄然僕もお尻の穴が気になってきたな。吸血鬼にぶっといディルドを挿れられた可能性もあった尻穴。吸血鬼に散々ほじくられる可能性もあった尻穴。お尻の尻尾を振りながら、下品に処女喪失をねだる可能性もあった雌穴。

 

 ──ものすごく興奮してきた。

 

「──ん゛っ!? そ、そっちは……だめ…!」

「ほんとに? 今すごく良い反応したけどなー」

「ひゃ、あ、う、いっ、だめっ…」

「今すぐ射精できなきゃ、こっちに挿れちゃおっかなー」

「…! はっ、うっ、んっ、んっ…!」

 

 おおっ。自分から必死に腰を振り出してくれた。くぅ、アルシェちゃんはミミズ千匹ってやつだろうか? 膣内のヒダが蠢いて、これでもかとチンポを刺激してくる。騎乗位でパンパン腰を打ち付けてくる彼女。限界の雰囲気を感じたから、ちょっとしたイタズラ心で両足をすくった。

 

「っ!? あ、あがっ…! いっ──ぎゅ、ぅ」

「僕も出すよ」

「あ、熱っ、ぅ……あ、膣内で…」

 

 子宮まで到達したチンポは、出口を塞ぎながら思い切り射精した。うっわ、この吸いつくされる感じ…! ちょっと普通じゃ味わえないだろうな。

 

「あ、あいた……みひゃい…」

「そっか。うん、じゃあこっち使わせてもらうね?」

「ふぇ……──うあ゛っ!? な、にゃんで、こっちで出ひた、のに…!」

「だって、アルシェちゃんの尻穴がずっとひくついて誘ってくるからさ」

「ひ、あ、あ、あ──」

 

 アルシェちゃん嬉しそう。やっぱり彼女は尻穴が似合うんやなって。にしてもこの入口の締め付け具合…! もう僕一生君の尻尾でいいや。そのくらい気持ちいい。むずがる彼女を壁に押し付けて、激しくピストンする。嫌がってる振りはしてるけど、さっきから何回イッてるのさ? 初めてのケツ穴でイくとか、もう認めちゃいなよ。君はアナルの方でこそ感じるド変態なんだって。

 

 ほら、もうわかってるんだろ? この先、チンポ無しじゃ生きていけないって。ふふふ

……帝国の現地妻ならぬ、現地穴手に入れちゃった。こっち来る度に使ってあげるからね? 他の肉棒くわえこんじゃダメだよ? オーケー? うん、いい子だ。なら──出すから受け止めな。

 

 ふぅ。今日もいいセックス日和だった。さ、行こうかアルシェちゃん。みんなも首を長くしてまってるよ。もしかしたらイミーナちゃん達はまだやってるかもしんないけど、イケそうなら混ざろうぜー。寝取りはNGだけど、スワッピングは嫌いじゃないんだよ僕。

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