※この作品はR-18です。

オバロリ   作:ラゼ

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えらい長くなってしまったので、エロだけ読みたい人は二つ目の■から読み始めてください。


5話

 リ・エスティーゼ王国が誇る二組のアダマンタイト冒険者──その内の一つ『蒼の薔薇』。女性のみで構成されるチームであるが故に、同性愛者である一人を除いては色恋沙汰でもつれることはない。その同性愛者にしても、チーム内のメンバーに本気で迫るようなことはない。

 

 だからこそ、肉体関係やその類のことで不和が広がることなど有り得ない筈なのだが──先日、双子の忍者であるティアとティナが痴情のもつれを起こしたと聞いて、リーダーである『ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラ』は耳を疑った。

 

 ショタコン忍者とレズ忍者。どう考えても一人の人間を取り合うような事態には成りえないのだから、いったい何が起こったのかと問いただすのは、まとめ役としても当然の帰結だった。拠点にしている宿屋に全員が集まり、机を挟んで相対する蒼い薔薇達。

 

 童貞食いの筋肉漢女『ガガーラン』、二百年ものの処女吸血姫『イビルアイ』、発達した文化に依らない純正の中二病『ラキュース』。彼女達三人の前には、非常に肌をツヤツヤとさせ、いかにも『充実しています』といった風の双子姉妹が並んでいた。

 

「あなた達、喧嘩していたんじゃ…?」

「喧嘩じゃない」

「機会の分配に関して物申すことがあっただけ」

「模擬戦で決めただけなのに、イビルアイが大事にした」

「ぬっ…! いや、しかしお前たち相当本気だっただろう! あれは完全な殺し合いだったぞ…」

「エイが作った『制限ぴーぶいぴー』空間だったから問題無し」

「結果的に、姉に勝てる妹などいないことが解った。重畳」

「あれは紙一重。次は私が勝つ」

「ちょっとなに言ってっかわかんねえな…」

 

 双子の言葉に疑問符を浮かべるばかりの三人。そもそも最大の疑問である『相手の性別』にすらまだ言及しきれていないのだ。肌ツヤ、雰囲気などを鑑みれば、彼女達の性生活が充実していることが窺える……しかしいったい男を取り合っているのか、女を取り合っているのかすら不明だ。

 

 とはいえ、それもすぐに解決するだろう。ラキュースが取り計らったこの時間帯は、その人物が来るであろう時間と被っているのだ。もう間もなく、宿屋の入り口を開いて二人に会いに来るだろう。ラキュースがチラとそこに目をやれば、どんぴしゃりで扉が開かれる。

 

 ──そこに現れたのは、年端もいかぬ見た目四、五歳の男児だ。キョロキョロと周囲を見渡した後、ティナの姿を確認して笑顔で寄ってくる様は、そういう趣味でなくとも庇護欲を掻き立てていた。

 

「おまたせ、ティナおねえ──」

「うおりゃぁぁーー!!」

「おぐぅぅっ! な、何を……鬼リーダー…」

「あなたって娘は、あなたって娘は…! 小さい子が好きだからって限度があるでしょう! 何も知らない子にそんなことをするなんて、最低よ! それこそ、腐った貴族となにも変わらないじゃない…!」

「えぇ…? おいおい、大丈夫かよティナちゃん。なにも説明してなかったの? そりゃラキュースちゃんもキれるぜ。幼い子へ手を出すやつなんかに、ろくな奴はいないからな」

「おま……いう…」

「うむ、僕はまごうことなきロクでなしだ。自覚してるからいいのさ」

 

 腹部を強打されたティナに駆け寄り、回復魔法をかける少年──エイ。そんな彼の口調にも、そして発動した魔法の位階にも驚愕を見せるラキュース。世界単位で見ても、上位に位置する神官戦士である彼女には、エイが使用した魔法が己にすら扱えぬほど高位であると理解できたのだ。

 

「エイ……説明して……ごふっ。私はもうダメみたい」

「いや、もう回復してるだろ絶対……まあいいか。こんにちは、蒼の薔薇の皆さん。僕の名前は『ウン=エイ』。この前ティナお姉ちゃんに襲われて、それからずっと酷いことをされて……うっ、うっ…」

「やっぱりかぁぁ!!」

「ごっふぅぅ! う、裏切りもの…」

「というのは冗談で、ほんとの姿はこっちね」

「──なっ!?」

「うおっ! マジかよ。マジックアイテムの効果か? だとしたら相当イイもんだな、オイ」

 

 再度腹部に痛打を食らったティナに寄り添い、またも回復魔法を行使するエイ。その後、からからと笑いながら元の年齢へと姿を戻した。その様子を見ていた三人は驚愕を露わにし、思わず席を立つ。

 

「そ、そう……本当は大人だったのね。よかったぁ…」

「全然よくない。殴られ損」

「あっ……その、ごめんね? ほら、やっぱり普段が普段だし…」

「謝罪と賠償を要求する」

「鬼ボスには体で払ってもらう。それでチャラ」

「あなたには何もしてないでしょう! ティア!」

「ティナの痛みは私の痛み……ティナへの賠償は私への賠償」

「いい話だなぁ、うん。その時はぜひ僕も混ぜてくれよ、ティアちゃん」

「了解」

「了解しないで!」

 

 気の置けない仲間たち──そんな仲睦まじいチームを見て、少しだけ羨ましそうにするエイ。彼は集団に帰属することがあまり好きではなく、奔放に生きることを是としていた。けれど絆や繋がりといったものに尊さを感じていることも、また確かだ。

 

「しっかしよぉ、ティナがお前さんのガキ姿に欲情すんのはまだ解るぜ? ティアはどういうこったよ」

「ん? ああ、それはこっちの姿でね」

「…ぬおっ!?」

 

 首を捻るガガーランへの答えとして、エイはその姿を絶世の美少女へと変化させた。彼は自身の外装を多数に渡って用意していたが、その中でも数点はその道のプロへ依頼して制作したものだ。もちろん自費故に貯金は目減りしたものの、どのみち時期がくれば無用の長物だ。惜しむ筈もない。

 

「そ、それもマジックアイテムか…?」

「いや、これは……これは……そういえばなんて言えばいいんだろ。外装は一アカ一アバター最高三つまでだから……運営特権って感じ?」

「駄目だ、何言ってるかわかんねえ」

「まあタレント的なものと思っとけばいいよ。不思議なことがあればタレントって言っときゃ済むのがこの世界の良いところだよね」

「それって褒め言葉なの…? ところで本当の性別はどっちなのかしら」

「そりゃあもちろん男さ」

「つってもよ、ティアってタチだろ? ってことはお前さん、ホモの気もあんじゃねえのか…?」

「ねえよ!」

 

 女だらけのチームではあるが、違和感なく溶け込むエイ。しかし今まであまり会話に入っていなかったイビルアイが、エイが発した言葉に違和感を覚え、指摘を入れる。

 

「この“世界”だと…? それに不思議な能力に、高位のマジックアイテム……お前、まさか“ぷれいやー”か?」

「うん? それは……イエスとも言えるし、ノーとも言えるね。それ以上が聞きたいならベッドの上でね。キーノちゃん」

「…っ!? お前、なぜその名を知って…!」

「タレント」

「絶対違うだろうが!」

「いやまあ、そこまで詳しく知ってるわけじゃないよ。二百年くらい生きてるとか、国堕としだとか、十三英雄の仲間だとか……そのくらい? あ、あと可愛い」

「──っ! 貴様、本当に何者だ…! “ぷれいやー”だとしても、そこまで知り得る筈が…!」

「タレント」

「全部それで済まそうとしてるだろお前!」

 

 ガーっと気炎を上げるイビルアイを『どう、どう』と押さえ込み、椅子へ座らせるエイ。他のメンバーを見渡せば、好奇心や警戒心などが幾つも混じった視線が向けられていた。イビルアイがアンデッドだというのは──それどころか伝説の吸血鬼『国堕とし』だというのは、蒼の薔薇のトップシークレットだ。それを知る人間を警戒するのは当然だろう。

 

 しかし同時に、エイがイビルアイを警戒していないことも確かな事実だ。人間は無条件でアンデッドを嫌うものなのだから、そうでないというだけで多少の安堵が混じるのは必然ともいえる。加えて、エイとイビルアイの間だけで通じている様々な単語が、警戒よりも好奇を誘う最大の理由なのだろう。

 

「エイさん、だったかしら? “ぷれいやー”というのはいったい…?」

「タレント……ってやつかな」

「いい性格してやがんな、マジで」

「オーケーオーケー、そろそろ真面目に話そうか。プレイヤーってのはそう、要は異世界からの来訪者のことだね。確認してる限りだと──六百年前の六大神を皮切りに、百年毎にこの世界へ訪れる異邦人を指す言葉さ」

「…! 本当、なの?」

「そりゃあイビルアイちゃんに聞けば早いでしょ。十三英雄だってプレイヤーを多数含んでるんだし。彼等がどこまで話したかは、僕も知らないけどね」

「む……私が知っているのは、異なる世界から偶に訪れる強者が居ること……そしてそれがぷれいやーと呼ばれているということだけだ。六大神がぷれいやーだったとは初耳だが、推測としては充分にあり得るだろうな」

「ふーん……まあ、そっか。たぶんだけど、十三英雄って新アカ作って最終日だけインした引退勢と、最後の乱痴気騒ぎでデスペナくらいまくった奴らっぽいんだよな……イビルアイちゃんからすればそうは思えないだろうけど、プレイヤーとしては相当レベルの低い集まりだった筈だぜ」

「なに? そんなわけがあるか。今の私ですら勝てるかどうか解らない奴らの集まりだったんだぞ」

「んー……別世界は……そう、『ユグドラシル』って言うんだけど、そこにいる存在は君ら基準で言う『難度三百』が基本なのよ。まずそこが最低線。だから六大神みたいな()()()でも、こっちに来ちゃえば神様扱いされるのさ」

「い、一般人って…」

 

 どこからか取り出した紅茶で唇を湿らせ、滔々と語るエイ。彼は嘘を必要とせず、真実を語ることに躊躇いはない。なにせ嘘をつくこと、真実を語らないことで得られるアドバンテージなど皆無なのだ。自身を害するものなど、あり得るとすればシステム外の強力な事象──真なる竜王が放つ“始原の魔法”くらいのものだろう。それすらも、精々が可能性というだけの話だ。限りなくゼロに近い確率である。

 

「逆にユグドラシルの頂点を誇った存在が『八欲王』。流石ワールドチャンピオンの集まりだけあって、この世界でも猛威を振るったみたいだね。なんだか悪として語られてるけど、人間種から見たらむしろ六大神より救世主してるんじゃない? 竜が蔓延する時代を終わらせて、人間にも扱える魔法──位階魔法という“法則”をワールドアイテムで生み出した。最後は自滅したところまで含めて、彼等に感謝すべきだよね」

「…三度目だ。()()()()()()()()()()()()? それが真実だったとして、なぜお前がそこまで知っている。お前はいつ──この世界に来たんだ?」

「僕? 僕は『運営』。プレイヤーを管理する存在だよ。この世界へ来たのはつい最近さ。なぜ諸々の事情を知っているかっていうなら、この世界でのプレイヤーの行動は全部ログに残ってるからね」

「ちょっと話が大きすぎてついていけないわね……つまりあなたは、とてつもなく凄い存在ってことでいいのかしら」

「ちょっと違うかな。僕の持ってる力がとてつもないってだけで、僕そのものはただの一般人だし。君らの王様と一緒さ。とても()()()一般庶民には絶対の存在だけど──無能だろ? 努力で得た役柄じゃないってのもミソだね」

 

 シニカルな笑みで肩をすくめるエイ。虚を突かれたように目を丸くするラキュース達をケラケラと笑う。『偉大さ』とは持っている力に宿るのではなく、歩んだ道と結果、そして精神性に宿るものだと彼は言う。だから自分は『一般人』なのだ、と。

 

「プレイヤーってのは、凄いけど凄くないのさ。僕だって凄いけど、凄くない。持ってる力が強すぎて、この世界の人には眩しすぎて、中身が見えにくいってだけだよ」

「…大丈夫、私達にはちゃんと見えてる」

「…うん」

「ティアちゃん? それにティナちゃんも…」

「神様は『おねえちゃん、おっぱいしゅきー』とか絶対言わない」

「神様がメスイキとかするわけない」

「あああぁぁぁぁ! 君らに合わせただけなんですけど! メスイキなんてしてないんですけど!」

 

 赤裸々な体験談をつまびらかに語る双子の忍者に、美少女姿のまま叫び声を上げるエイ。そんな様子を見て、ラキュース達は顔を見合わせてクスクスと笑った。なるほど、確かにただの一般人だ──そんな風に思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『アインズ・ウール・ゴウン』という男は、非常に慎重である。しかし臆病者かといえばそんなことはなく、やるべき時は誰もが驚くような決断力を見せる。運営の存在を警戒しつつも、しかし最優先はシャルティアの奪還である──そう考えるような男だ。

 

 大切な仲間達が残した唯一無二のNPC。たとえ何をおいても救わねばならぬと、死の支配者は覚悟を決めた。そうと決まれば彼の行動は早かった。他の配下達の制止も振り切り、単身シャルティアの元へと向かい、死闘の果てに打倒せしめたのだ。

 

 そして拠点にてシャルティアを復活させ、ひとまずナザリックには全員が揃った──もちろんアインズ以外の至高の四十一人を除いて、だが。

 

 ならば次は何をすべきか? アインズは考え抜いた。運営の存在は既に疑いもなく、噂の限りでは間違いなく善性の人間種である。ならばナザリックという存在に不快感を示す可能性は高く、管理者権限の程度によってはそのまま消滅させられる恐れすらある。

 

 ──つまり、ナザリックは変わらねばならない。善性であるというならば、そこにつけ込めばよいのだ。言うなれば『ボク悪いスライムじゃないよ』作戦。いくらカルマ値が極悪でも、実際に悪いことをしていない存在を消滅させることはないだろうと、アインズはそう考えたのだ。

 

 否。むしろ積極的に善を成していくことで、ナザリックは良い組織であると対外的に訴えていこうという試みだ。故にその考えを実現するため、最初に声をかけたのはカルマ値が善、極善である『セバス・チャン』と『ユリ・アルファ』の二人である。

 

「セバス、ユリ。お前たちに聞きたいことがある」

「はっ。なんなりとお聞きください」

「叡智の結晶たるアインズ様のご質問……ご期待にそえるよう、全力を尽くします」

「う、うむ……実はお前たちの性質についてなんだがな。ナザリックは知っての通り悪を標榜しているわけだが、お前たちはそれに納得しているのか? 私が非道そのものの命令を下した時、どう考え、どう行動に表れるかが知りたい。たとえばユリ、お前に幼子を拷問するよう命じれば……どうする?」

 

 びくり、とユリの肩が震える。しかしそれも一瞬のことであり、唇を固く引き結んだ後、彼女は主の望むであろう答えを返す。

 

「アインズ様のご命令であれば、是非もございません」

「…セバスはどうだ?」

「同様にございます。至高の御方のお言葉は、全てに優先されます」

「ふむ……ならばその時の心情はどうだ。カルマ値が善に傾いている以上、何も感じないということはないだろう」

「──申し訳ございません、アインズ様。おそらくボク──私であれば、助命の嘆願を致します。立場を弁えぬと理解はしていても……お許しください。ですが、厳命を下されたのならば、必ずや成し遂げましょう」

「…そうか。セバスも、やはり良い気分にはならないか?」

「…はっ。申し訳御座いません」

「いや、そう創られたのだ。謝る必要など一切ない」

 

 アインズは顎に手をあて、ふぅむと考える。カルマ値が善に傾いている者が、悪を成す際に感じる思い。カルマ値が悪に傾いている者が、善を成す際に感じる思い。これは同じなのだろうか、と。

 

「現状、ナザリックが悪として居続けることは非常に危険だ。私自身は善悪どちらを成そうがそこまで気にはならないんだが……問題はカルマ値が低い者達がどう思うか、だ。シャルティアやアルベド、デミウルゴス……ナーベラルなどは、善行をどの程度苦痛に感じるのか。それが知りたい。何物にも代えがたい苦痛か? それとも不愉快に感じる程度なのか?」

 

 ナザリックやNPC達のためを思っての『ナザリック大改革』ではあるが、善行そのものが身を引き裂くような苦痛であったり、死よりも辛いものであった場合、本末転倒だ。故にアインズは、逆パターンを現在進行系で体験している彼等に問うたのだ。『本質が善の者が、悪の組織に身を置くのは辛いか?』と。

 

「本音が聞きたい。私を慮ったり、気を使った物言いはやめてくれ」

「…悪事を目の当たりにすれば、心苦しくはございます」

「しかし、栄光あるナザリックの任務を果たすことには代えがたい充実感を覚えます」

「心情に複雑さはあれど、我らは任務の完遂をもって絶対の忠誠を捧げます」

「それだけは──それだけはアインズ様におかれましても、自身にとっても、疑いようのない真実でございます」

「…そうか。お前たちの忠誠を嬉しく思う。しかしストレスがかかるのはよろしくないな……逆に、その心苦しさを軽減するような手段はあるか? それが言いにくいことでも、心当たりがあるのなら全て言葉にしてほしい」

 

 アインズの言葉に、ちらりと視線を交わすセバスとユリ。それは『心当たり』の存在を如実に表しており、しかし言葉にするには憚られるという心情がありありと見て取れた。

 

「…あるのだな? ならば言え。これは命令と心得よ」

「…はっ。アインズ様、恐れながら申し上げます」

「うむ」

「たとえどのような苦痛を感じようとも──その後に御方からお褒めの言葉を頂きますれば、幸福に塗りつぶされるかと」

「アルベド様やシャルティア様を例に出すのならば……あの方々が人間種などに頭を下げたりするような状況に陥れば、屈辱に身を震わすのは確かでございましょう。しかしその後にアインズ様にお褒めいただけると知っていれば、むしろ進んで屈辱へと向かうかと」

(なにそれこわい)

 

 御方から誉を求める浅ましさをお許し下さい、と頭を垂れる二人。そんな彼等に対し、アインズはドン引きであった。洗脳教育が完全に染み渡ったブラック企業の如き服従っぷりだ。褒めるだけで問題ないってなんだよ、と焦燥と強制的な鎮静を繰り返す。

 

「そ、そうか。ならば我らナザリックはこれより、世のため人のために活動する組織であることを、行動によって示していこうと思う。全配下に大々的に通達せねばならん。セバス……階層守護者を此処に集めよ」

「はっ!」

 

 『姉妹たちには申し訳ないが』『守護者達には申し訳ないが』と思いつつも、アインズの言葉に喜ぶセバスとユリ。他人への思いやりある行動が全てナザリックのためになるというならば、彼等にとってはこれ以上ないほど素晴らしい変革だ。加えて、直々に褒められる機会が増えるともなれば、さらなる忠誠を誓えるというものだろう。

 

 喜び勇んで部屋を後にする彼等の後ろ姿を見て、アインズは憂鬱そうにため息を吐く。『愛が重い』というのはこういうことなのか──そんなことを思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、なぜわざわざ蒼の薔薇に色々と説明したのか──それはもちろんセックスのためだ。自身が超越者だと知られれば、選択肢の幅が狭まるじゃないかって? いやいや、そりゃあノーセンスな奴が言うことだ。

 

 僕は運営だぜ? イベンターでもあり、シナリオライターでもある。ユグドラシル内のイベントやらシナリオやらの発案、進行を引き受けていた実績もある。その上で言えることは、セックスにおいて一番の大敵は『マンネリ』だ。

 

 毎度毎度弱みにつけ込んだり、手っ取り早い方法でしたってすぐに飽きちゃうだろ? イベントには深みや仕込みが必要不可欠だ。僕を『神様のような存在』だと知ってしまった彼女達だからこそ取れる手段もある。特にラキュースちゃんなんかは、僕にとって理想の“プレイヤー”だ。

 

 提供する側にとって、相手が中二病であるというのは一切マイナス要素にならない。中二病を馬鹿にする風潮こそが、人生を素直に楽しめない要素になるんだ。そもそも僕がアインズ・ウール・ゴウンに配慮するのは、中二病を患っているあのギルマスが好きだからだ。最後までユグドラシルを愛し、狂気に近い執着の対象にさえなる──運営冥利に尽きるってもんだろう。

 

 というわけで、ラキュースちゃんにはレイドボス討伐シナリオ『災厄の魔樹と運命の申し子』の主人公になってもらう予定だ。愛と勇気とセックスが王国を救う、彼女にピッタリなストーリーと言えるだろう。ほんとこの国って、利用できるイベントに事欠かないよね。

 

 ちなみにイビルアイちゃんにはラブコメディシナリオ『失われた記憶と偽りの恋慕』のヒロインになっていただく予定である。どちらにしても腕が鳴る、僕自身のセンスも問われるイベントと言えるだろう。とりあえず今日のところは、ラキュースちゃんへの仕込みをしてお暇する予定だ。

 

 和やかに会話が終わり、ラキュースちゃんとお別れの挨拶をする直前……指をパチンと鳴らし、時間を停止させる。この世界では、対策をしていない人間が時間停止の効果を受けた場合、かけた側が何もしなければ魔法が発動したことすら気付かない。

 

 反してユグドラシルでは時間停止対策をしていないプレイヤーであっても、停止中は動けないだけで意識はある。本当に時間が止まるわけはないのだから、それは当然のことだろう。この違いこそが重要なポイントであり、第一シナリオの肝は彼女に『中途半端な時間耐性』を付与することだ。

 

 こちらの世界にきて様々な検証を行ったが、時間停止に関しては中々興味深い結果となった。耐性を最低限にすると、体は動かないものの、意識は覚醒したままの状態となる──要はユグドラシルと似たような結果となるのだ。

 

 それを利用し、止まった時間の中でラキュースちゃんだけを覚醒させておく。しかし僕はそのことに気付いていない……振りをする。そして『この世界の管理者』と会話をする……振りをする。なんやねん世界の管理者って。

 

「──やぁ。どうしたんだい、急に連絡してきて。うん……ああ、偶然だけど、会ったよ。『ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラ』……確かに『彼』の血を引いているね。覚醒の可能性は充分にある」

 

 めっちゃ視線感じる。いったい何が起きているのか──という彼女の雰囲気を感じつつ、話を続ける。

 

「おいおい、僕は何もするつもりはないよ。この世界の管理者は君さ。彼女達にも言ったけど、僕はあくまでも異邦人……傍観者に過ぎない。たとえもうすぐ王国が滅びるとしても、手は貸さない──というより、貸したら君、怒るだろう?」

 

 ピクリピクリと、僕が出す単語に反応している様子が窺える。特に『王国が滅びる』という言葉に反応しているようだ。あと『覚醒の可能性』とかいう意味不明の言葉にもめっちゃ気をやってる。ごめんね、そんなのほんとはないんだ。ラキュースちゃんごめんして。

 

「ルールは守るさ。安心してよ……うん? “契約”はルールの範囲外になるだろうって? まあ確かに僕が彼女と契約すれば覚醒を促すことになるけど──心配しなくても、彼女には無理さ。『無垢なる白雪』なんてつけてるんだ、君にも解ってるんじゃないのかい? ま、僕にできることは精々危険を呼びかけるくらいさ」

 

 ピクリピクリっていうか、ビクンビクンしてる。まあ意味深なこと言いまくってるから、中二心が刺激されてるんだろう。ごめんね、僕も半分くらいは何言ってるか解んないよ。ライブ感って大事だよね。

 

「ああ、災厄の魔樹の復活は近い。それが王国へ向かうとしても……それで滅んだとしても、腐敗のツケでしかない──そう言いたいんだろ? はいはい……うん、じゃあね」

 

 通話を切る。振りだけど。というか、ほんとになんか変な電波が飛んできそうなやり取りだ。『なにやってんだろ私』感が半端ない。とはいえ、最後までやり通さねば。再度パチンと指を弾き、時間停止を解除する。別れを告げるところだったから、その続きだ。

 

「じゃあね、みんな。ティナちゃん達はまた明日」

「ん」

「明日は十二歳ショタ茶髪セミロングのかっこでヨロ」

「清々しいほど欲望に忠実だなお前達……まったく、男にうつつを抜かす暇があるなら修行でもしろというに。色恋など強者には不要だ」

「──待って!」

 

 真剣な瞳で僕を呼び止めるラキュースちゃん。とりあえず一つ目のフラグはゲット、と。なんだい? 何か質問があるなら二人きりで聞こうじゃないか。じゃないとティナちゃんとティアちゃんにすぐバレるし。

 

 ──さあて、イベント一日目の始まりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あー、頭を使った後は何も考えずセックスがしたい。『ラキュース・アインドラは勇者である』計画は順調だし、あっちで頭を使った分、別の場所では下半身を使おう。さて、この王都で手っ取り早く性欲解消をしたいならどうすべきか? そう、娼館だ。

 

 違法娼館に行って存分に下卑た欲望を叩きつける──というのは趣味じゃないので、娼館を叩き潰しつつ可哀想な娼婦達を救って、感謝のセックスと洒落込もう。事務的なセックスを避けるためのコツとは、可哀想な状況の人間を救うことから始まるのだ。うん、なんかすごいクズ思考だな。

 

「というわけで襲いにきましたー」

「っ! 来やがったぞ! …な──っ!? てめ……ガッ!」

「はいはいさっさと投降してねー……って『来やがった』ってなに?」

「こ、ここは八本指と関係のある娼館だぞ! てめえ自分が何やってるかわかってんのか!? どんだけの数を敵にまわ──あがっ!」

「はいはい八本指八本指。掛けましては六十四指」

 

 んー? なんかやたら武装してる人間が多いな。ある程度の護衛は常駐してるだろうけど、流石に戦力過多じゃなかろうか。というか襲撃されること知ってたみたいな反応がちょっと気になる。支配して聞いてみるか。いちいち拷問しなくて済むし、魔法ってほんと便利だよね。

 

「なんでこんなに数が多いんだい? 毎日こうってわけじゃないよな。護衛費用だって馬鹿にならないだろうし。それに襲撃があることを知ってた理由も教えてくれる?」

「最近……娼館への襲撃が相次いでいる……護衛の数が強化されて……警備部門である六腕の全員も雇われたらしい…」

「…へえ?」

 

 はて、時期的にはクライム君の活躍もまだな筈だけど……っていうか蒼の薔薇のみんなも何も言ってなかったし。まあ僕が好き勝手やっている以上、当然変化はあるだろうけど。でも襲撃が『相次いで』いるのは不自然だ。あの怪物王女様が発案するなら、一晩で全てが終わるように画策するだろう。散発的に行動して警戒を強めるなんて、悪手以外のなにものでもない。雲隠れされて、場所を変えてまたやられるのがオチだ。

 

「下手人に見当は付いているのかい?」

「解らない……だが……最初に襲撃があった日の前夜に……娼婦が一人連れ去られている。銀級の冒険者のチーム……尋問のため……六腕の内二人が向かっている…」

「ふぅん…? なんだそりゃ」

 

 そもそも戦力的に八本指を襲撃し続けられるような個人、あるいは組織って相当限られてるよな…? まさかアインズ・ウール・ゴウンってことはないと思うけど……つーか銀級冒険者って誰だよ。ワケワカメなことばっかりだ。さっさと可哀想な人達を助けてしっぽりセックスの予定だったのに。

 

 つーかよくよく聞いてみると今は経営してないらしい。ここは罠として待ち受けるための場所だって。ああ、どうりで大して調べもしてないのにここに辿り着けたわけだ。そっちから積極的に情報を流してたわけね。

 

 うーん……ん? 感知スキルに反応があるな。どれどれ……おや、シャルティアちゃんとソリュシャンちゃん? ああ、八肢刀の暗殺蟲も二人隠れてるな。なにごとだ? 確かにそろそろ王都での活動時期ではあった筈だけど……ツアレちゃんイベントでも早まったのだろうか。にしても面子があの二人ってのは理解の範疇にない。

 

 八肢刀の暗殺蟲がいるってことは正式に命じられた任務である可能性が高いし、既に僕の知る展開とは別物と考えた方がいいな。その上で先程のお雑魚さん達の発言を加味するなら、彼等こそが最近頻発しているという襲撃犯の正体に間違いないだろう。なんだなんだ、先に八本指を掌握しようって計画なのか? いや、それにしては少し杜撰すぎる。

 

 やろうと思えばすぐに掌握できるんだから、他に目的がある筈だ。数度にもわけて襲撃を行う意味……うーん……じわじわと追い詰めて恐怖を煽るため? いや、死よりも恐ろしい拷問の手段なんぞナザリックにはいくらでもある。わざわざここまで迂遠にする意味はないだろう。

 

 ──なら考えられるのは『見せしめ』か、あるいは『示威』『誇示』あたりだろうか。行動そのものに意味がないのなら、見せつけること自体に意味がある筈だ。それなら行動を数回にわける意味も出てくる。誰かに対して『お前もこうなりたくなかったら』のサイン……もしくは『我々はこういうことをしている』の主張。

 

 はてさて、どうしたものか。考えている内に扉が開かれた。何気にナザリック勢が僕を認識するのは初めてだろう。おお、めっちゃ驚いてる。まあ探知不可属性を僕自身に付与してるから、それも無理はない。八肢刀の暗殺蟲もそうだし、ソリュシャンちゃんもレンジャー技能は高かった筈だから、それを掻い潜っている時点で警戒に値するのだろう。ま、とりあえず適当に話しかけてみるか。

 

「あ、エ・ランテルのワガママお嬢ちゃまだ。なんでこんなとこにいるんだい? ずいぶん雰囲気が違って見えるけれど」

「…あちらでお会いしていましたか。恥ずかしい姿をお見せ致しましたわ……しかしあの時の私は世を忍ぶ仮の姿…! その正体は──」

「そうでありんす! 世のため人のため、悪を誅する正義のヒロインズ──」

「“イルミナティ・エナミティ”! 所属は『ナザリック』。ナザリック地下大墳墓ですわ」

「正義の墳墓、ナザリックでありんす!」

「……」

「……」

「……」

「そ、そう…」

 

 頭が沸騰しそうだよぉ……何が起きたらそうなるんだ? もしかしてギルマスじゃなくて、正義のワールドチャンピオンでも来てたのか? いやいや……ヘルヘイムの悪の華、異形種の筆頭、運営にもファンのいる偽悪の集団がなんの冗談だ。

 

 待てよ? もしかして僕が転移したのはオーバーロードの世界ではなく『ぷれぷれぷれあです』とか『不死者のOh!』の世界なのか? それならこの意味不明な事態もギャグ時空として納得できるけど。いやでもそれならみんなもっとぷにぷにろりろりしてていい筈だ。

 

 しっかし、なんにしても可愛いな……ダサいポーズと口上だけど、絶世の美女と美少女がやるとそれだけで様になるな。ん…? 『ダサいポーズと口上』ってことは──うん、間違いなくAOGのギルマスがきてるな。いまいち何が起きているかは解らんが、とりあえずおべっか使っとこう。NPC達ってご主人様アゲしとくと割とチョロいイメージ。

 

「──そのポーズと見得切り……そこはかとなく偉大さとセンスを感じるぜ。隠しきれない智慧が滲み出てる。どちらかが考えたのかい?」

「くふっ…! ぬしはわかっていんす。それにその隠密の上手さ……そいで僅かなヒントから御方の智謀を感じ取る慧眼…! 只者ではありんせん。何処の何方様でありんすかぇ?」

 

 『うんうん』って感じで頷くシャルティアちゃん可愛い。ちょっとこういう言い方はあれだが、やはり別格の容姿だ。福本作品に突如現れた矢吹ヒロインばりに違って見える。

 

 さて、とにかくだ。君たちがプリキュア風にくるってことは、僕も倣えばいいのかしらん。いいんだな? やるぞ? そっち系の空気ってことでいいんだな? よし、いこう。ついでに対『シャルティア・ブラッドフォールン』用の決戦外装を使うとするか。当たり前だけど、ナザリックに対する準備は万端だ。

 

「ふっ。バレたのならば仕方ない。僕は……いや! ──私は!」

 

 『魔の法則と少女達』アップデートで実装された変身ステッキの力を見よ! …まあ外装のチェンジは管理者権限でやってるだけだけど。くるっとステップ、ターン&ターン、くるりくるりとチェンジスピナー。

 

「ある時は娼館を襲撃する男! またある時は殺戮の堕天使! しかしてその正体は──」

 

 何言ってんだろ僕。とはいえ、これもセックスするためには意外と有効なのだ。もちろん女の子に変わることが、じゃなくて『馬鹿になること』が、だ。童貞はよくチャラい男のノリを馬鹿にするけど、あれはあれで真理だ。セックスへ移行するためには、男と女の双方がある程度馬鹿にならなければ成立しない。大学生の『うぇーい』は意外と馬鹿にできないもんだぜ。

 

「──街を裏から守る正義の吸血鬼! マジカル☆イウェン!」

 

 彼女達のダサいポーズを踏襲しつつ、胸を強調する姿勢を崩さない。今の僕の姿は、金髪ロングのちょいロリ美少女巨乳吸血鬼だ。屍体愛好家(ネクロフィリア)で巨乳好きで同性愛者でもあるシャルティアちゃんに対しては、中々の効果を見せるんじゃなかろうか。

 

「…くひっ…!」

 

 …うわー、現実に舌なめずりする人って初めて見たわ。まあ僕が取った姿もさることながら、衣装も衣装だからな。ワカメちゃんばりのミニスカな上、黒い乳バンドから零れそうな乳房は、動く度にぽよんぽよんと揺れ動くのだ。正直分身して自分を犯したいくらいだ。レベル高すぎだって? うん、僕もそう思う。

 

「あいあい、各々疑問はあれど、人ならざる者が集いし今夜……異形には異形に相応しき理が御座(おわ)します。此度の出会いは豈図(あにはか)らんや、されどただ求むは獣の道理なれど、それは我らの運命(さだめ)と定め──格の違いを引き比べましょう?」

 

 『偶然出会った僕達は互いに目的を知りたいだろうけど、人間じゃないのだからまず必要なことがあるでしょう……どちらが上かを決める、獣染みた格の付けあいが』という感じに訳せるセリフだ。ああ、心が中二の頃に戻った気分である。でも雰囲気って大事だからね。僕もやりたかないんだけど仕方ないんだ(棒)

 

「あぁら、ずいぶんと自信がありんすのね」

「うん。言葉の通り、自分を信じているからね」

「──くきっ」

 

 シャルティアちゃんが完全武装に変身した。歪んだ口元や不遜な態度とは裏腹に、まったく油断していない様子が窺える。誰も僕を感知できなかった事実に加え、おそらくは傾城傾国で操られたイベントは普通に起きたんだろう。世界には格下ばかりでないという認識がきっちりあるように思える。

 

 ──しかし今はお馬鹿なノリでいくと言った筈だぞ。エロゲ脳で『戦い』といえばセックス勝負だろうが常識的に考えて。臨戦態勢に移行した彼女達を前にして、僕も乳バンドを華麗に脱ぎ去って準備を整える。

 

「おほっ……んんっ! 戦うというのになんのつもりでありんすか? それとも……くひっ、ベッドの上での勝負でありんしたかしらぁ?」

「え? そのつもりだけど…」

「…え?」

「娼婦はもう居ないみたいだけど、元々そういう施設だし……地下には正義──じゃなかった、性技を競うのに向いてるグッズもいっぱいあるぜ。最初にイった方が負けの……『床勝負』を致しましょう?」

 

 右腕を下乳に添えて、美巨乳をこれでもかと主張させる。瞳にはエロさとだらしなさを込める……これは演技の必要もなく素だ。そんな僕の姿を見て、シャルティアちゃんは一瞬だけ目を丸くした後──欲望に爛れた瞳で、ニタリと口元を歪めた。

 

 まあ配下の『吸血鬼の花嫁』とネチョプレイしたり、アルシェちゃんのアナル調教したり、巨乳アンデッドであるユリちゃんを密かに狙っていたりと、元から変態の彼女である。こんな好機を逃すわけもないだろう。

 

「そう、そう、そう…! そういうことなら仕方ないでありんすねぇ。ソリュシャン? これは情報を得るために必要な戦いだと思いんす。すぐに終わらせんしょう。ぬしは上で見張ってなんし」

「…程々にしておかれますよう」

 

 トイレでレイプ中のヤンキーが、舎弟に『入り口見張っとけよ!』って言ってるみたいな雰囲気を感じるな。ソリュシャンちゃんにも言ってるんだろうし、さり気なく視線を八肢刀の暗殺蟲に向けてるあたり、彼等にも伝えてるんだろう。

 

「では……行きんしょうか」

「オーケー」

 

 どちらも負けることなど考えていない表情をしながら、並んで地下へ降りていく。うわぁ、拡張器具やら三角木馬やらスケベイスやら鞭にロウソク、媚薬にギャグボールとなんでもござれの、性戦にもってこいのステージだ。

 

 いくつかある部屋の内、一つを選んで入る。先手必勝、その無防備な後ろ姿をガバリと抱きしめ、ドレスの隙間から彼女の秘所へと手を伸ばす。パニエ必須の膨らんだスカートは、セックスするのに面倒な手順を増やす──通常であればそうだ。しかし彼女のそれは前から手を差し込めるようになっている多重構造で、金属のワイヤーは折りたたみ式のワンタッチ仕様。見た目と実用性がハイブリッドされた完璧な衣装だ。ペロロンチーノさん、こだわり過ぎで素晴らしいと思います。

 

「んっ……せっかちは嫌われるでありんすぇ」

「こんなに濡らしといて言うセリフじゃないよねぇ」

「はっ、ん…! あっ、はぁ…!」

 

 ぐちゅぐちゅと彼女の雌穴を掻き回すと、濃厚な雌の匂いが部屋に充満していく。肌触りの滑らかさ、入り口の締め付け、膣壁の感触……全てが一級を超えた、まさに理想の体だろう。まあ今の僕も負けてないとは思うけど──ってなに女として張り合ってんだ僕は。どうにも、精神というやつは体に引っ張られる傾向があるな。

 

「うひゃっ!?」

「んくっ、くふ…! 張りも形も感触も……極上でありんす」

「く、んんっ…!」

 

 く、勝負だもんな。そりゃあっちも攻めてくるさ。しかしこっちには明確なアドバンテージがあるんだ。僕は君をよく知っていて、君は僕のことを何も知らないだろう? 赤ちゃんのように僕の胸にしゃぶりついてくるシャルティアちゃん。そんな彼女の尻を撫で回しつつ、前の穴と後ろの穴を気ままに弄る。とめどなく溢れる蜜は、彼女の興奮具合を物語っているようだ。

 

「おやぁ…? 自信の割には、まだ処女なんだねぇ。男を知らない未熟な花で、僕に勝てるつもりかい?」

「くふ、その分女の扱いには自信がありんすの。ここは大事な御方のために取っているのよ」

「へぇ…!」

 

 蕩けたような笑みで処女を誇るシャルティアちゃん。頭に浮かべているのは主人か創造主か……ま、それが君の敗因だよ。NPC達の主人愛や創造主愛は異常なレベルで、彼女はそれが特に顕著だ。というより、その忠誠は性欲にも直結していると言うべきか。忠誠の儀でびしょびしょに濡らし、イく寸前だったという事実がそれを証明している。ならそれを利用すればいい。

 

「ふぅん……じゃあ()()を逞しいので貫かれる気持ちよさ、知らないんだぁ…!」

「…む…!」

 

 僕も知らんけどな。というか一生知りたくはない。

 

「じゃあちょっと想像してみなよ」

「そ、想像…?」

「そうだねぇ……今までで一番『良かった』のは“バードマン”だったかな?」

「──っ! バ、バードマン……でありんすかぇ?」

「そう。あの種族のアレって逞しくてねぇ……シャルティアちゃんの()()()()にバードマンがいるんなら、その人で想像してみなよ。彼のぶっとい剛直が、ここに入って……ガンガン突いてくるの。気持ちいいよぉ?」

「あ……あ…! ペ、ペロロンチーノさまの、太いの…!」

 

 うわっ、急に締まりが…! 指が痛いくらいだ。それに愛液もすごい勢いで溢れてくる。ぴっちりと閉じた割れ目の上、陰核を擦ると、先ほどとは比べ物にならない嬌声が上がる。ペロロンチーノ効果しゅごい。流石名前も微妙に卑猥なだけはある。ペロペロチンチーノ効果とでも名付けておくか。

 

「ほら……ガンガン突かれた後は、女として求めるものがあるよね? 言ってみなよ、ほら」

「あっ、あっ、ん゛っ…! ペロロンチーノ様…! 膣内に、膣内に出してくんなまし…! シャルティアは、わらわは孕みたくございます…! あぅっ! ふっ──」

「なら──イけよ、シャルティア。バードマンの肉棒を雌穴でいやらしく扱く妄想で……だらしない顔のままイッちゃいなよ」

「ああっ! ペロロンチーノしゃま、ペロ──んきゅぅっ! …は、あ…? ひゃふ、んぅ…」

 

 お尻だけ高く上げながら、脱力したようにベッドへうつ伏せになるシャルティアちゃん。バックから突いていいってことかな? そろそろ僕も我慢できないし、挿れさせてもらうか。勝者はなにをしても許される……それが真理だ。

 

「僕の勝ちだね」

「ひゃ、ひゃい……っ!? って、な、なんでありんすかそれは…? は、生えて…?」

「何って、オチンチンだよ。見りゃわかるだろ?」

「そ、そういう意味じゃ──だ、ダメでありんす! ()()は御方に捧げる、だ、大事な…!」

「解ってるって。だからこっちで……ね?」

「お、お尻の処女も、ぜんぶ捧げたいのでありんす…」

「ワガママ言っちゃダメだよ、シャルティアちゃん。それにさぁ…」

 

 まだ力の入らない様子の彼女の穴に、いやらしく肉棒を擦りつける。カリがクリトリスに引っかかる度、ぴくんと反応する様が淫靡だ。

 

「前の穴は、大事なもの。それはわかるよ。でも後ろの穴は? これはいったいなんのために付いてるのかな?」

「はぁっ、んっ、か、かきまわしゃないで……こ、ここは……排泄用の、あなでありんしゅ…!」

 

 がくがくと体を震わせながら、幼い体を捩らせるシャルティアちゃん。必死に答えてくれたのはいいけど、間違ってるぜー。

 

「おいおい、僕らアンデッドは飲食不要なんだから排泄用の穴ですらないだろ?」

「ふ、ふぇ…?」

「ここは──練習用の穴だよ。いざ愛しい人とセックスする時に失敗したら嫌だろ? だからそのために、チンポの悦ばせかたを学ぶ穴」

「あ……あ…」

「処女が大事と言うけれど、大事なのは心さ。どんな経験をしようが、心の膜さえ守っときゃ処女だって。ほんとほんと」

「あ……あ…! は、挿入ってく──んぅっ!」

 

 んじゃ和姦ってことで。僕も前の穴はモモンガさん用なイメージあるからさ、アナルで我慢しとくよ。にしても──こっちの具合も尋常じゃないな…! 奥に進む時は入り口が程よくしまって、抜く時は逃さないとばかりに絡みついてくる。

 

「は、あ、んっ、大き、い゛っ、ふ、ぅっ──」

「ペロロンチーノさんとやらは……もっと大きいだろうねぇ」

「──っ!」

 

 うひゃ、すごいうねった。ただでさえチンポ絞り特化の穴だったのに、極上なんて言葉じゃ言い表せないケツ穴に変化した。流石にこれは……保たないな。

 

「中に出すぞ! …主のチンポより先に、知らないチンポを受け入れただらしない穴で──受け止めろ!」

「ああっ、はう──も、もうひわけありまひぇん…! ペロロンチーノひゃまぁ! いぐっ──」

 

 …今までの人生で一番出たわ。中出ししてる最中、穴全体がごくごく飲み干すようにチンポを刺激してきた。最初から最後まで、信じられない気持ちよさだった。これがWeb版ではヒロインの座を我が物にしていた穴か…! できれば前の穴も体験してみたかったけど、残念だ。

 

 気絶した彼女を満足げに見ながら、ぎゅぽんとチンポを抜く。シャルティアちゃんのアナルからは噴水のように精液が溢れ出し、ベッドを汚す。いやあ、なんだか感慨深いものがあるね。

 

 ──ん? 人の気配……ソリュシャンちゃんか。ちょっと時間かけすぎたかな? 扉をノックされたので、どうぞの声をかける。蕩けたような顔で失神しているシャルティアちゃんと、まだ勃ったままの僕のチンポを見比べて驚きの表情を作っている。

 

「僕の勝ち、だね」

「…然様でございますか」

 

 …ん? どしたの近付いてきて……ソリュシャンちゃんも勝負するってのかい? おいおい、今更手コキごときでどうにかなる僕じゃないぜ──っ!?

 

「うわっ…!? ちょ、待っ…!」

「勝負に待ったはございません」

 

 手コキじゃなくて、なんだこれ……掌にチンポが飲み込まれて…? そういやソリュシャンちゃんってスライムだった──待て待て待て! なにこの感触、ちょ、洒落になってない…! やばい、すごく無様だ。彼女の腕を必死に掴んで、犬みたいに腰をカクカク振ってしまう。でも振らずにはいられない。ソリュシャンちゃんの蔑んだような視線と、歪んだ口元が被虐心を煽る…! やば、出るっ…!

 

「はぁっ、ふぅ──……っ!? ちょっ! いま出したからもう……うわっ!?」

 

 もう無理だって! く、くそ…! ならこっちも攻めて……え? スライムだから性感帯とかないって? ちょ、待ってほんとに待って……し、搾り取られる…! うぁ、また勝手に勃起して…!

 

「これで一対一。引き分けということでよろしいでしょうか?」

「は……ひ…」

 

 世界で一番気持ち良いのは、具合を自由に調節できるスライムの体内……そんなことを思い知らされた。掌だけでイカされるって、屈辱極まりないなぁ。この恨み、いつか晴らしてやるぞソリュシャンちゃんめ。

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