「で、今日はシオンの居た学園に来てる訳だけど」
「ダレカワタシヲコロシテコロシテ……アンナハズカシイマネシテヨクノウノウノイキテルヨ」
昨日のおねだりが記憶にこびりついて離れないのか、朝からずっとこんな調子だった。
「ほら、ふらふらしてないで。手握るわよ」
「アハハハ、アヒヒヒ……」
シオンはお酒が入っても記憶は覚えてるのか。
これはいい事を知った。
そんな風に悪巧みをしつつ、学園に正面から入る。
警報が一瞬作動しかけたが、瞬間的に魔力を通して破壊した。
そして、件のシオンが間違えたとかいう依頼書が置かれた場所へと移動する。
「C級C級……無いわね。戻ってるのかしら」
探したけれど無いので特S級の依頼書の束を探す。
暫く書類をひっくり返していると、私の名前が書かれているのが出てきた。
その書類には劣化防止の魔法が掛けられており、普通では上書き出来ないが私の魔力で強引に上書きする。
『従者:シオン・ブラド』の項目を書き足した。
その時ふと、この紙からシオンとは違う匂いを感じた。
意識を集中させて魔力感知を行う。
(……これは)
少し気になる事が出来たのでシオンに声を掛けてその感知した存在の元へ私は歩いていった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(あああああああああああああああ)
思い出すのは昨日の馬鹿みたいにわんわん鳴いて挙げ句の果てにお尻を振っておねだりして、最後はきゃんきゃん鳴いていた昨日の私の姿だ。
(わんわんわんんんんわんわんわんんんんんん)
わんわんで思い出した。そう言えば私の事を先輩って呼んで慕ってくれてたハーフウルフの子が居たっけ。
今頃どうしてるのだろうか。
そんな事を考えると、後ろに殺気を感じたので首を振って回避する。
「ふーん、吸血鬼の手下になったって噂は聞いていたけど本当みたいね」
見れば例の出発する時にアルに話した半吸血鬼化した私の事を殺そうとしてくると予想していた教会関係の人達が居た。
「この神の教えを信じなかった背教徒め!その報いだ!」
「神様は全て見てるわ!バチが当たったのよ!」
「いい気味だ!この化け物!」
(…………)
隙だらけだったので先頭で喋っている人の肩を撃ち抜いた。
何か叫んでる。
ハハッ、昨日人生最大の恥を晒した私にもはや怖いものなどない。
口々に聖書の一節を叫びながら武器を振りかぶる連中を相手に私は、
「残念、近付くのは悪手だよ」
全員を拘束糸で絡め取った。
「あー神様が居るならなんで貴方達の正義の鉄槌は私に当たらないのかしらねー」
動けないその人達の利き腕を一発ずつリボルバーで撃ち抜いていく。
口々に汚ならしい言葉で罵ってくるが、拘束糸を少し身体に食い込ませると途端に大人しくなった。
「せ、先輩!?」
その時だった。懐かしい声がしたのは。
振り返るとそこには学園で唯一私を慕ってた少女が立っていた。
「あれ、なんで?」
「それは私が説明しよう」
その少女の隣に立っていたアルが人差し指を立てて説明を始めた。
「この前学園に一人だけ慕ってくれる後輩が居たって言ってたでしょ?」
「……いや確かに居ましたけど、それアルに言ったっけ」
「最初のえっちの時に訊いたら教えてくれたわよ」
「覚えてない……」
後ろの連中が貴様もシオンの仲間だったのか!半人狼なのが気に入らなかった!殺す!とか言い出したので、拘束糸を引っ張って全員肉片へと変える。
「それで?」
「で、さっき私の依頼書に別の匂いが付いていてね、ただの知り合いがここまでするのかと思って気になって調べたら、この子も特殊な能力があって教会に拾われてたらしいのよ。シオンの知り合いだし、折角だから連れて帰ろうかなって」
随分と話が急展開した。
自分の中でまとめていると、後ろががやがやと騒がしくなりかつての教師の一人が入ってきた。
騒ぐのは煩いので眉間に銃弾を撃ち込んで黙らせる。
「分かったよ。なら皆で帰ろう」
「貴女もそれでいいわよね?」
「え、ええ!?」
どっちみち私の知り合いと勘違いされたならこのままここに居ても未来はない。
適当な扉にアルが鍵を当てて、城までのゲートを作る。
先に入っていったアルに続いて狼の少女を抱えながら私もゲートを通り元居た城へと舞い戻った。