「ねぇアル、一瞬で帰ってこれるならあの電車での私の我慢はなんだったの?」
「可愛かったわよ♪」
「ちくしょー!やっばりそうか!」
完全にからかわれていたらしい。
気を取り直して所在なさげに辺りを見渡している少女に声を掛けた。
「えっと、久しぶりカノン。急に連れてきちゃったけど平気?」
「大丈夫です!先輩の事は探していたので!」
おっと、かなり元気そうだ。
というかそのまま走って抱き付いてきた。
(え、えへへ、先輩の匂いがする……)
何かもごもごいっているが聞き取れない。
こうして見ると行動といい犬みたいだ。
……昨日の私は関係ない。
「そう言えばアル、この子の特殊な能力って?」
「それはね~……うん、後にしましょう。その方が面白そうだし」
「おい」
面白そうだしって何だ。
仕方ないのでカノンに直接訊いてみる。
「カノン、教えて?」
「えっと!その、アルカディアさんに連れてこられた時に条件で教えちゃダメって言われてて……」
「……成る程」
なんのサプライズだろう?
「さ、折角の我が家だし夕食にしましょう?」
「……分かりましたよ。ところでカノンの扱いはどうするんです?」
「取り敢えず客人ね。その内決めるわ」
離れようとしないカノンを説得して引き離して、調理場へと向かう。
視界の端でアルがカノンに話し掛けていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
夕食を作り終えて二人を呼びに行くと、部屋で随分と楽しそうに話していた。
随分と早く打ち解けたな。
「ご飯出来ましたよー」
「分かったわ。ほら、行きましょ」
「はい!」
半人狼なのは知っていたけど、声に反応してコロコロと表情が変わる辺りに犬らしさを感じる。
ともあれ、そのまま何事も無く夕食を終えて夜になった。
旅から帰って来た事もあって今日は何もされないかと思っていたら……
「何で私の部屋に居るんですか」
「いやーちょっとね。お土産を試したくて」
お土産?何か買ったっけ?
「これよ」
「………………寝ていいですか」
アルが袋から取り出したのは拘束用の器具だった。
「駄目よ、折角買ったのだし楽しまなくちゃ」
「嫌ですよ!それにアルならそんなの使わなくても私程度なら拘束出来るじゃないですか!!」
「まぁそう言わずに」
私の力で敵うわけもなく、強引にベッドに連れ込まれて服を着たままカチャカチャと手枷と足枷を付けられていった。
「はぁ……服を汚したくないので最初から脱がして欲しいんですが」
「嫌よ。恥じらう姿がいいんじゃない……それにもう汚しちゃってるみたいだけど?」
「ーーっ!そんな事、ないです」
下着の上からくにくにとアルの指が秘所を刺激する。
これまで繰り返されてきた情事のせいで我慢しようとしても身体が勝手に興奮してきてるのがホントたち悪い。
「っん……あ……う……」
「そうそう、言い忘れたけどあの子が寝てる場所、隣の部屋だから♪」
「……っえ?」
驚く間もなくアルの牙が首筋に刺さる。
叫び声が一瞬漏れるも、噛み殺した。
「偉い偉い。そう、我慢しないとシオンのはしたない姿見られちゃうわよ」
「~~~~っ!!」
この、悪趣味なご主人様はァーーー!!
心の中で叫んだ。
そこからご主人様の容赦無い責めが始まった。
一切の遠慮も無しに手が下着の中へと侵入し私のクリトリスを痛いくらいにぎゅっと、何度も刺激する。
痛みと快感でぐちゃぐちゃになってる所に何度も全身を噛まれて感度を軽く触られて震えるまで上げられた。
上着はボタンを弾き飛ばして破られ、乳房をまるで物のように乱暴に揉まれ、乳首を吸われる。
既に何度達したのか分からないまでに朦朧としてきた意識を更なる快感が奥底からガツンと揺さぶり意識の喪失を許さない。
股関からだらだらと伝わる愛液。
既に全身は絶頂で仰け反る以外では弛緩仕切っており、アルの責めに反応して無様に身体を壊れた玩具のように跳ねさせる。
膣へと挿入された指が私の中から分泌された愛液を根こそぎ掻き出してベッドの上の染みを大きくしていく。
アルの犬歯が乳房へと突き刺さる。
これ以上気持ち良くなりたくないと泣いて懇願するも、聞き入れられない。
跳ね上がった感度のまま乳首を噛まれて痛い筈なのに気持ちよくなってしまう。
もはや口から溢れるのは意味のない喘ぎ声だけになっている。
その時だった。
「せ、せんぱい……?」
扉が開いて顔を出したのは、私が今の醜態を一番見られたくない相手だった。
「……っ!……みな、いで……!」
「そんな!アルカディアさん!これって!?」
駆け寄ってくるカノン。
そんな彼女にアルが私の姿をよく見せようと、後ろに回り込み乳房に手を這わせて全身が興奮で紅潮した私の肢体を弄んできた。
「どう?貴女の妄想でもここまでになってたかしら?」
「何を言って……!」
「まぁ聞きなさい。今このチャンスを逃したらシオンとえっちな事出来る機会なんてそうそう無いわよ?」
「っ!」
話している間にもぐちゃぐちゃと卑猥な音を立てながらアルの指が私の秘所をかき回す。
「ーーーーっ!!ーーーっんんん!!」
人に見られた状況でイキたくないという私の願いはあっさりとアルに折られた。
仰け反り、拘束具をガチャガチャと鳴らしながら、脚が痙攣する。
「はーーっ……はぁーっ…………」
気付くとアルが背後からどき、私はベッドへと倒れ込んだ。
(おわ、った?)
そう淡い期待を込めて目を開けた私の眼前に飛び込んできた光景は……
「せんぱいっ!!」
「あ…………ぐっ!……うっ!?」
私に馬乗りになって肩に噛み付いてきたカノンの姿だった。
何度も噛む場所を変えて私の身体にかじりつく。
止めようにも拘束具のせいで上手く動けない。
肩に走る鋭い痛みをも今の私の身体は快感に変えてしまっていた。
「だめっ……とめて、ぇっ……アルぅ……!」
「私はもう十分楽しませて貰ったし?聞けばカノンちゃん、学園でシオンにずっと憧れてたらしいじゃない。」
「…………え?……っ、ぐっ…………」
カノンのこの状況って……え?そういう事なの?
唐突過ぎるし、興奮してて話して落ち着いてくれそうにない。
「……っ!」
アルには通用しないので使えなかったがこっそり右手に仕込んでおいた拘束糸を展開し、カノンの身体へと巻き付ける。
「せんぱ……っあれ?」
「……はなし、を……きいて」
しかし、カノンの動きを止められたのは一瞬だけだった。
「……いやです」
「うぐっ!?、あっ!?ぎゃああああ!??」
拘束していた筈の糸が一瞬にして断ち切られ、私の身体の表面に何十ヵ所も切り傷が出来た。
血が噴き出す。
快感に変換されない純粋な痛みが神経に突き刺さる。
「あぐっ!?いっ!?かの、ん……やめ……!」
「せんぱい……せんぱいっ……」
カノンの目を見たら焦点も合わずに我を失っている。
その虹彩は真紅に染まっていた。
……これアルの暗示だ。
「アル!……この子、止めっ!……あぐッ!?」
「私は少し素直になれるようにおまじないしてあげただけよ?」
「そんな……っぎ!?」
噛みつこうとしていたカノンの頭を抑えていた右腕に裂傷が新たに刻まれた。
痛さで神経が焼き切れそうだ。
シーツが紅く染まっていく。
泣きながらカノンの責めに耐えていると、ふとアルが私の首筋に牙を近づけている事に気が付いた。
「……っ!?何を……」
「これだけ血の匂いをさせてるなんて誘ってるようなものでしょ?」
全身になもう力は入らず、アルにカノンごと身体を持ち上げられるままに首筋を晒す。
「それに、そこまで痛いのは可哀想だし気持ちよくしてあげるわね」
「いやだ……やめ……おねがい……」
この痛みすら気持ちよくなるなんて人として絶対おかしい。そのおかしい感覚に突き落とされたらもうまともな感性ではいられなくなってしまう。
今までのアルとした行為はたとえ過剰だったとしても気持ちよくなる為の行動だ、しかしカノンのこれはただ痛いだけ、今も泣き叫んで逃げようとするくらいに。
しかし、それを気持ちいいと思えてしまうのなら?
進んで身体を傷つけて欲しいと願ってしまうのでは?
「ひっ……やだ、やめて……」
「ほーら、怖くないわよ」
牙が私の身体に埋まり、数秒後、どくん、と心臓が大きく跳ね……
「………………あっ…………う…………?」
今まで頭の中で跳ね回っていた痛いという感情が消え失せ、全身から伝わる快感に頭の処理が追い付かない。
身体は逆にすぐさま反応を返して股からはその莫大な快感に反応して尿と見紛うばかりの愛液を垂れ流す。
「あっ、あっ、ぐっ、う、ああああああああ!!??」
その快感を受け流す術を知らない私はただ泣きながら叫んで耐えるしかない。
全身のあらゆる場所に両者の牙が刺さり、歯形の痕から血が滲む。
「いっ!?ぎゃあああ!!??」
そこからは血の匂いとその淫靡な香りに興奮させられた二人の獣によって私が滅茶苦茶になるまで狂った淫宴は続いたのだった。
カノンの能力は『切断』でした。
アルがカノンを連れてきたのは、最近糸に頼りがちなシオンの特訓の為です。
後半の暴走はアルも予定外でした。
あの後、主人公は失血し過ぎて死ぬ寸前にアルが止めたので、瀕死ですが生きています。