私はここに来る前は学園でそこそこ有名なエクソシストだった。
獲物は古びたリボルバー。私は生まれつき何故か『狙った場所へ弾が撃てる』ので、それを生かして土地に染み付いた概念じみた怨霊であっても問答無用で弾を叩き込んで祓ったりしていた。
エクソシストはその仕事上聖書を読み込んだり暗記をしたりしている内に信心深くなる事が多いけど、私は特にそういう風には染まらないままに過ごしていたのだが、そのせいで少し疎まれていた所があった。
まぁ他の人が聖書暗唱して十字架を振り回している中、拳銃ぶっ放して強制除霊とかやられたら嫌だろう。
やがて一人で学外での活動をするようになり、弾詰まりなどの障害は出来るだけ排除した結果、動作の確実性を取ってリボルバーをメイン武器にしたのだ。
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「今日の依頼は……っと」
三年生にもなるとほぼ大人達と変わらない依頼を請ける事が出来るようになり、当然一人の私は依頼書を漁っていた。
「ん、吸血鬼か」
見れば何人もが請けおったまま失踪してる案件があった。
この学園は割と生徒の生死に無頓着だ。
「まあこれでいいかな」
この時私はもう少し依頼書を詳しく見ておくべきだった。
私が見ていた依頼書は特S級の依頼書であり、その討伐対象は吸血鬼のアルカディア・ブラドであった事を。
対吸血鬼装備を整える。
極力肌を露出しない格好、対幻覚薬、噛まれた時の血清、愛用してるM19に予備の弾丸、閃光弾。
そして学園から出てる馬車、そこから別の業者の馬車を乗り継ぎ、最後は徒歩で対象が根城にしている城へとたどり着いた。
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「たまに思うんだけど大人数で対象の拠点回りに爆薬仕込んで日中に引きずり出して焼き殺すってのはなんでやらないんだろう」
そうぼやきながら城へと近付き、銃を抜いて辺りを警戒しながら先へと進む。
扉を開けると、外側は窓を締め切っているものの、中は蝋燭が灯り明るかった。
(明るい?)
吸血鬼は夜型の筈なのだが。
何かおかしい気がしながら先へ足を進める。
その瞬間だった。
背後の扉が急に音を立てて閉まり、その音に振り返った私の背後に一人の少女が首に爪を突き付けて立っていた。
「久しぶりのお客さんね。物騒なもの持ってるみたいだけど」
そう言ってクスクス笑う。
「……初めまして、私はエクソシストです」
「驚いた。誤魔化したら殺そうと思ってたんだけど」
下手にやらかすのは不味い。今ので間違いなくこの吸血鬼が私の遥か格上なのが分かった。
「そっちを向いてもいいですか?」
「そうね、なら両手を上げてこっちへ向きなさい」
許可は下りたのでゆっくりと声の方を向く。
見れば私とほぼ同じ背丈の金髪の吸血鬼が居た。
「銃を捨てなさい」
「…………」
前もって撃鉄を下ろしていた自分に感謝しながら私は手を広げてリボルバーを地面へと落下させた。
地面に落ちた衝撃で誤作動を起こし、リボルバーが暴発する。
私の銃弾は狙った場所へと放たれた。
「なっ!?暴発で!?」
弾の発射を知覚すると同時に地面のリボルバーを拾い上げて間髪入れずに引き金を引く。
跳弾を利用して相手の逃げた先に弾が回り込むように放つ。
その包囲網を突破した相手が攻撃して来るのを横っ飛びで避けながらその最中にスピードリローダーで再装填を行う。
「へぇ……中々やるわね」
「はぁっ……はぁっ……」
一瞬の攻防でもう息が上がる。
種族の差から長期戦は不利なのは分かってる。
相手の姿が消えた瞬間、勘に従って2発の弾丸を早撃ちで叩き込む。
次の瞬間私は壁へと叩き付けられた。
何が起こったのか理解する前に目の前に迫る拳を首を振って避ける。
壁の破片を喰らいながら、転がって何が起きたのか理解した。
避けられたのだと。
ヤバい、これも避けられるとなるともうタネがない。
「見事な技ね、ここまでの人間はそうは居ないわ」
「~~っ!」
銃を声のした方向に向けた瞬間には既に相手はこちらの懐に入り込んでいた。
次の瞬間腹が裂けるのではないかと思わんばかりの力で殴られ、地面に胃の内容物を全て吐き出させられた。
「あっぐ、げ、が、げほっげぼっ」
「あらもうお仕舞い?」
リボルバー向けようとした腕を掴まれ、地面に背中から激突させられた。
「が、はっ!」
肺の空気が全てを吐き出されて呼吸が出来なくなり、視界が歪む。
「男の子にしては可愛い声を出すわね……ってあら?」
吸血鬼が何を言っているのか意識が朦朧として聴こえない。
「女の子だったのね♪何十年振りかしら女の子が遊びに来てくれるなんて」
最後に何か邪悪な声を聴いたのを最後に私の意識はそこで途切れた。
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アルカディア・ブラド、彼女は特S級のリストに入る強者の一人であり、そして特記事項として書かれているのは
過去に犠牲を出しつつ調査した結果、基本的に接触しなければ無害、館へと侵入した場合男は殺され、女は可能な限りその肢体と精神を弄ばれて廃人となって帰ってくる事であった。
なので一応特S級の括りに置いてはいるものの、ほぼ討伐対象とは見られていない。
シオンが出した爆薬の案ですが、そういう戦法が通じる怪異はとうの昔にそれらの方法で駆逐されていて、生き残っているのがそんな戦法が通じない化物ばかりだからやらない。
というのが真実でした。
次回殺し愛。